【実施例】
【0056】
実施例
実施例1:弱毒型Kozak配列を用いた安定な細胞株におけるVP1:VP2:VP3比の調節
rAAV粒子の生物学的効力(例えば、感染力)は、ビリオンカプシド組成に部分的に依存し、例えば、カプシドタンパク質VP1、VP2およびVP3の化学量論比に部分的に依存する。昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)などの異種システムで製造された幾つかのrAAV血清型(例えば、AAV5、AAV8およびAAV9)は、異常なVP1発現レベルにより特徴付けられる。ウイルスの組み立て時に、異常なVP1発現は結果として、不適切なカプシドタンパク質比からなるウイルス粒子の産生をもたらし、それは、該粒子の効率的な細胞形質導入能力を妨げる。有用な化学量論比のカプシドタンパク質を得る方法は、過剰量のVP1が、ウイルス粒子を効率的にパッケージする昆虫細胞の能力を損なうことがあり、VP1のレベルが低いと、形質導入が非効率的な粒子になる可能性があること示す結果によって複雑になる。従って、現在のシステムを用いた昆虫細胞rAAV産生に関して、粒子の組み立てに有害な影響を及ぼすことなく感染性粒子の収量を増加させる方法を見出すことは依然として課題である。
【0057】
現在の研究は、Sf9昆虫細胞で発現されたrAAVにおけるVP1の翻訳開始速度を修飾することによってカプシドタンパク質比を改善することを目指している。具体的には、標準的ATG開始コドンを一定に保ちながら、AAV5、AAV8およびAAV9におけるVP1のKozak配列を弱毒化し、形質導入効率を測定して、組み立てられた粒子を評価した。
【0058】
一組の弱毒型KozakエレメントをAAV5について設計し、これらのエレメントをコードする核酸を作製した。コードされたKozak配列を表4に示す。4つのKozakエレメントのサブセットは、
図2Aに示すウェスタンブロッティング分析によって示されるように、野生型AAV5 VP1:VP2:VP3比が1:1:10に近いカプシドタンパク質をコードすることが見いだされた。これらのエレメント(AAV5 Kozak配列7−10)については、(VP1):(VP2):(VP3)のそれぞれの比は、(0.5−2):(0.5−1):10の範囲内であった。翻訳開始配列(TIS、Kozak配列とも称する)のインビトロの相対効率は、それぞれの組み立てられた粒子について測定された(表4)。これらの数字は、
図4Bのウェスタンブロットパネルの下の数字に対応する。AAV5 Kozak配列7(配列番号8)および8(配列番号9)は、最大の効率を示し、さらなる分析のために選択されたrAAVを産生した。
【0059】
【表4】
【0060】
AAV5 Kozak配列7は、VP1:VP2:VP3比をそれぞれ2:1:(8−9)とした。HEK293細胞から単離されたAAV5と比較して、昆虫細胞で産生された配列7の粒子は、2倍高い形質導入効率を示した。AAV5 Kozak配列8は、VP1:VP2:VP3比をそれぞれ(1−1.5):1:10とした。HEK293細胞から単離されたAAV5と比較して、配列8の粒子は、3から5倍高い形質導入効率を示した。配列8のパッケージされたrAAV5変異体の収量は、配列7のrAAV5変異体の収量の約10倍高いことが示された。
【0061】
一組の弱毒型KozakエレメントをAAV8について設計し、これらのエレメントをコードする核酸を作製した。コードされたKozak配列を表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
AAV8 Kozak配列1−12は、
図2Bに示されるウェスタンブロッティング分析によって示されるように、VP1の過剰発現ならびにVP2およびVP3の低発現を示した。これらの配列は、その後の試験から除外した。残りのエレメント(配列13−20)は、VP1:VP2:VP3の発現を、HEK293細胞から単離したAAV8と同様の比率でもたらした。
【0064】
一組の弱毒型KozakエレメントをAAV9について設計し、これらのエレメントをコードする核酸を作製した。コードされたKozak配列を表6に示す。
【0065】
【表6】
【0066】
AAV9 Kozak配列2(配列番号35)、3(配列番号36)、5(配列番号38)および9(配列番号42)は、
図2Cに示されるウェスタンブロッティング分析によって示されるように、満足できるVP1:VP2:VP3比のAAV9カプシドをもたらした。各AAV血清型を用いて行った実験を考慮すると、“コンセンサス”の弱毒型Kozakエレメントが得られた。
図3に示すように、−5(開始コドンから5ヌクレオチド上流)の位置は、AAV血清型5、8および9から選択された所与のカプシドについてのVP1:VP2:VP3発現比の正確な調節のために最もフレキシブルである。
【0067】
実施例2:rAAVの評価
rAAV製造のためのバキュロウイルス/Sf9システムの主な欠点は、Bac由来のrAAVベクター血清型のほとんどが、ほとんど例外なく、変更されたカプシド組成およびより低い生物学的効力を示すことである。AAVカプシドタンパク質の化学量論の血清型特異的調節を達成するための、弱毒型Kozak配列およびリボソームの読み漏らしを利用した新しい昆虫細胞ベースの生産プラットフォームが記載されている。例として、rAAV5およびrAAV9が産生され、HEK293由来のベクターと並行して、総合的に特徴付けられた。質量分析は、ヒト細胞由来のベクターと比較して、VP1およびVP2カプシドタンパク質含量の両方において3倍の増加を証明した。さらに、次世代シークエンシングを用いて、カプシド化された一本鎖ウイルスDNAの広範な分析を行い、昆虫細胞で産生されたrAAV5について、副次的にパッケージされた混入DNAの6倍の減少が示された。その結果、再設計されたrAAVは、rAAV5の場合、マウスにおける脳組織の4倍高い形質導入を仲介するHEK293により製造されたrAAVとの比較においてさえ、有意に高い生物学的効力を示した。従って、記載されたシステムは、優れた感染性かつ例外的な純度のrAAVベクターをもたらし、GMPグレードのベクター産生のための増産可能な(scalable)プラットフォームを提供する。
【0068】
rAAVは、遺伝子治療/DNAワクチン送達のためのベクターとして広く使用されているが、臨床治験のための高度に感染性のrAAVのスケールアップ産生は依然として課題である。AAVカプシドは、AAVゲノム中の単一カプシド遺伝子の選択的スプライシングおよび異なるコドン使用を介して誘導された3つのカプシドタンパク質VP1、VP2およびVP3からなる。VP3配列は、3つ全てのスプライス変異体間で共通であり、VP2およびVP1は、ウイルス感染に重要なホスホリパーゼドメインA2を含むVP1のユニークな領域を有するN末端の長い配列を有する
1。カプシドにおけるVP1/VP2/VP3の正確な量は、未知であるが、SDS−PAGEで決定されたカプシドタンパク質のデンシトメトリー分析に基づいて、1/1/10であると推定される
2−4。さらに、VP1/VP2/VP3化学量論は定義されておらず、組み立て(アセンブリ)は、カプシドに組み込まれるVP1/VP2/VP3の相対量が主としてそれらの相対的発現レベルによって変わるように確率論的(stochastic)であると考えられる
5。従って、所与のrAAV産生システムにおけるカプシドタンパク質発現ユニットの設計は、生物学的に強力な遺伝子治療ベクターの構築に必須である。
【0069】
この目的のために、元のスケーラブルなシステムの1つは、rAAV遺伝子導入カセット、AAV repおよびcapヘルパー遺伝子をそれぞれコードするオートグラファ・カリフォルニカ・マルチカプシド核多角体病ウイルス(AcMNPV)に由来する3つの組換えバキュロウイルスを同時感染させたSf9昆虫細胞の懸濁培養液を利用した
6。しかしながら、このシステムで産生されたAAV血清型の大部分は、VP1カプシドタンパク質の不適切な含有量およびそのホスホリパーゼA2活性によって、HEK293由来のベクターと比較して低い形質導入率によって特徴付けられた
7−10。この欠点は、VP1についての非標準的なACG開始コドンを利用するリボソームの読み漏らしを誘導する、カプシド遺伝子ヘルパーベクター設計の結果であった
6。他のグループが、異なる開始コドンCUG
11または人工イントロン
12を利用してこの問題をある程度解決したとしても、その解決策は、血清型特異的配列調整に必要な柔軟性を欠くことが明らかであった。調整可能なリボソームの開始コドンスキャニング漏れによる相対的VP1/VP2/VP3組成の調節の新規システムが導入された。
【0070】
哺乳動物起源の細胞では、AAVにおけるP40により駆動される転写産物はスプライシングを受けて、VP1またはVP2/VP3カプシドタンパク質をそれぞれコードする2つのスプライシングされたmRNA変異体を産生する。バキュロウイルス/Sf9システムにおいては、polhプロモーターがP40/イントロン配列の代わりに用いられるため、スプライシングによる調節は利用できず、リボソームの開始コドンスキャニング漏れによるVP1発現の代替調節が用いられる。コンセンサス配列GCCRCC
AUGGC(配列番号49)(R=AまたはG)は、Kozak配列としても知られる有効な哺乳動物翻訳開始部位(TIS)であると考えられる
13。この配列からの逸脱は、VP1 AUGの開始コドンの読み漏らし(leaky scanning)の増加およびインフレームの下流のVP2 ACGまたはVP3 AUGコドンからの翻訳の開始をもたらし、それによりVP1/VP2/VP3の化学量論比の変化をもたらす。最近の研究では、バキュロウイルス/Sf9システムにおけるVP1/VP2/VP3カプシド組成物の比を合理的に調節して、より高いVP1/VP2含量を有する粒子をもたらし、結果としてHEK293由来のベクターと比較しても顕著に大きな生物学的効力をもたらす方法が説明されている。
【0071】
この先進的な産生プラットフォームの全体を特徴付けるために、製造されたカプシド形成されたDNAの次世代シークエンシング(NGS)分析を以下の2つの方法により行った:従来のHEK293のトリプルプラスミド同時トランスフェクションおよび安定して組み込まれたrep/capヘルパー遺伝子を挿入したSf9細胞株の単独BEV感染。2つのプラットフォームにより製造されたrAAVカセットの直接的なサイドバイサイド(side-by-side)NGS分析は、混入しているDNAを有意に少なくカプセル化した昆虫細胞におけるウイルスDNAパッケージの精度を高めた。
【0072】
AAV5およびrAAV9カプシド遺伝子の設計。リボソームの読み漏らしを増加させるため、弱毒型Kozak配列が先行する基準AUGコドンを用いた。8つの残基の関連ストレッチにまたがる可能性のあるTIS配列の複雑性は65,536の可能性のある並べ替え(permutation)があるため、AUGの上流または下流のヌクレオチドをランダムに修飾することは現実的なアプローチではないであろう。さらに、コンセンサスKozak配列は、酵母
14、高等植物
15、無脊椎動物
16、または脊椎動物
17について異なっていることが明らかである。従って、弱毒型TISのスクリーニングを合理化する1つの方法は、Nodererら
18により行われた全ての可能性のある哺乳動物TIS配列の実証されたヒートマップを利用することであって、これにより、TISの全ての可能な組み合わせに、コンセンサスKozak配列と比較して“開始効率(initiation efficiency)”の値が割り当てられた。
【0073】
12−43%の範囲の開始効率が選択され、2−4%の増加により異なる10個の変異体について試験した。10個すべてのAAV5 VP1で試験したTISを表9に示し、既報
7の通りにBS
Rプール細胞株を誘導し、それらのカプシド組成を評価するために、cap発現ヘルパープラスミド(
図4A)という観点で用いた。顕著な例外を除いて(例えば、
図4B、レーン6)、相対的VP1含量は徐々に減少し、それは相対的TIS効率の理論値の低下に密接に従った。この相関は、翻訳開始コドンの読み漏らしがVP1含量を調節するのに利用できるという元々の仮説を支持する。有用なVP1/VP2/VP3化学量論をさらに同定するために、10個のrAAV5ベクターのそれぞれの感染力および全体の力価をアッセイした。感染性rAAV5ベクターを産生するために、BEVをコードするCBAにより駆動されるGFP(
図10A、pTR−Bac−UF26)を作製した。サイドバイサイド比較は、40%のTIS相対効率を有する構築物(
図4B、レーン2)が、他の全ての構築物と比較して優れており、最も高い収量を生じることを明らかにした。従って、弱毒型TIS、UGUUUUAUGUC(表9の配列番号9)を組み込んだ、この特定のカプシド遺伝子含有ヘルパー構築物を選択して、プロデューサー細胞株を誘導した。しかしながら、他の配列もまた使用可能である。同様の方法で、弱毒型Kozak配列を有する12個のAAV9 VP1プラスミド構築物をスクリーニングした(表9)。AAV9について、特に有用な配列は、UAGUGUAUGGC(配列番号42)であって、45%の相対的TIS効率を構成した。しかしながら、他の配列もまた使用可能である。
【0074】
rep2/cap5安定細胞株の特徴付け。個々の細胞株は、Rep結合エレメント(RBE)を欠くRep2−およびCap5を発現するプラスミドを用いて誘導された
8。Cap5ヘルパーは、以下の弱毒型TISを含んだ:UGUUUU
AUGUC(配列番号9)。5個の個々の細胞株を増殖させ、上記のように試験した
7。rAAV5−−UF26の最高収量を示す1つの細胞株、吹き替え(dubbed)B8を、特徴付けのために選択した。以下のパラメーターを調べた。
【0075】
【表7】
【0076】
VP1/VP2/VP3化学量論。連続二倍イオジキサノール勾配によりHEK293細胞から精製されたrAAV5−GFPのカプシド組成は、VP1/VP2/VP3について1/1/10の理論値から逸脱しており、すなわち、より低いVP1含量であった(
図4C)。さらに、このカプシドは、わずかに高いMWを有するさらなるVP2カプシドタンパク質を組み込んでいた。対照的に、Sf9 B8由来のベクターは、より高いレベルのVP1およびVP2から構成された(
図4C)。rAAV9について、Sf9由来のベクターのカプシド組成は、HEK293細胞で作製されたベクターのものとほぼ同一であった(
図4D)。rAAV5とは異なり、両ウイルスサンプルは、VP2より多くのVP1を取り込み、カプシド特異的タンパク質分解の産物であり得るVP3よりも小さいバンドを含むことも明らかである
19。
【0077】
正確な数値を定量化するために、rAAV5についてのそれぞれのカプシドバンドの密度を、曲線下面積(AUC)としてプロットした(
図11)。以下の値(VP3=10の共通の分母に調整した、2つの独立した実験の平均)を導出した:HEK293 VP1/VP2/VP3=0.2/0.5/10;Sf9 B8 VP1/VP2/VP3=0.7/1.7/10。計算された化学量論を検証するために、rAAV5カプシド組成物を、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化−飛行時間(MALDI−TOF)を用いて質量分析によって分析した。
【0078】
MALDI−TOF。ビリオン殻を構成するAAV VPは、それらのVP3 C末端を共有する(
図5A、黒色で示す)。VP1(破線)およびVP2(一点短鎖線)のユニークなN末端は、共通の共有VP3ドメインと比較して比較的小さく、それらのユニークなトリプシンペプチドを分析することにより相対的化学量論を読み解くことを困難にしている。従って、差異的
16O/
18O 標識アプローチを用いて、同一のペプチドであるがVP1、VP2またはVP3に由来するペプチドを識別した。重酸素の安定同位体である水H
218O をトリプシン消化中に使用するとき、2つの
18O原子がトリプシンペプチドのC末端カルボキシル基で交換され、4Daだけ質量シフトする
20、21。2個の異なるタンパク質に由来する同一のペプチド(例えば、VP1またはVP3)間のこのシフトは、タンパク質の同定および定量を可能にする。
【0079】
パイロット消化を行った後、VP3領域の3つのペプチド(
図5A)を選択して、各タンパク質の相対存在量を定量した。2個の
18O原子の完全な取り込みを、VP3/VP1サンプルおよびVP2/VP3サンプルを別々に試験することによって確認した。その後、H
218O中の全てのVP3消化トリプシン産物の完全なMALDIスペクトルを分析した(
図5B)。全てのペプチドは、予測されたペプチド分子量から4Daの質量シフトを示し、2つの
18O原子が組み込まれていることを確認した。観察された質量シフトが2Daのみの場合、反応が完全でないか、または不完全なトリプシン不活性化からの逆交換が起きたかのいずれかである
20。
図5Cは、別々にスポットされ、MALDI−TOFによって分析されたVP1(元のカラー図では赤色)またはVP3(元のカラー図では青色)のいずれかからトリプシンペプチドTWVLPSYNNHQYR(配列番号48)の重複を示す。VP3サンプルについての4Daの明確な質量シフトは、逆交換は見られず、完全な
18O原子交換を証明した。
図5Dは、H
218Oで消化され、H
216O中で消化されたVP1と1:1で混合されたVP3の代表的なMALDI−TOFスペクトルを示す。ピーク領域を統合し、各タンパク質の存在量を計算するために用いた。
【0080】
それぞれ3回反復したMALDI−TOF実験において、各タンパク質当たり、3つのユニークなペプチド(
図5A)を分析した(表10および11)。これにより、それらの相対存在量の信頼性の高い定量化が可能になった
22。以下の値(3つの独立した実験の平均、VP3=10の公分母に合わせた)が得られた:HEK293 VP1/VP2/VP3=0.4/0.5/10;Sf9 B8 VP1/VP2/VP3=1.1/1.7/10。これらの数値は、上記のAUC密度と顕著に一致した。
【0081】
【表8】
【0082】
【表9】
【0083】
完全粒子/空粒子の比。このパラメーターを調べて、2つの製造プラットフォームのいずれが、有害な免疫応答の潜在的な発生源およびベクター精製中の技術的課題である、より高い比率で空粒子を生じるかどうかを決定した。rAAV5およびrAAV9は、単一特異性抗体親和性樹脂、rAAV5についてAVBおよびrAAV9についてPOROS CaptureSelect(商標)を用いた一工程のクロマトグラフィーにより精製した。精製後、ベクターゲノム粒子の力価を、QC PCRを用いてアッセイした。rAAV5およびrAAV9ベクターの全粒子力価を、金ナノ粒子で装飾されたrAAVカプシドのナノ粒子トラッキング解析(NTA)を用いてアッセイした。この方法は、金ナノ粒子などの高度に光散乱する材料とウイルスカプシドとの間の静電引力を利用する。得られた金標識されたウイルス粒子は、光学システムによって視覚化され追跡されるのに十分な光を散乱させ(
図6A−6F)、NTAを用いて、AAVのサイズおよび濃度を測定することができる。興味深いことに、両プラットフォームのrAAV9粒子の平均サイズは同一であった(38nmの主要ピーク、
図6A、6B)が、HEK293由来およびSf9 B8由来のrAAV5の平均サイズは異なっていた(48nm 対 42nm、
図6D、6E)。注目されるのは、これらのサイズは、ウイルス粒子の電荷の関数である、ウイルス/金ナノ粒子複合体の近似値である。
【0084】
全体−対−完全粒子の比を計算した後、HEK293由来のrAAV9についてこれらの値は2.8であって、Sf9由来のrAAV9については−3.1であった(
図6C)。同様に、rAAV5について、比は有意には相違しなかった:14.8 対 15.2(
図6F)。明らかに、rAAV9について全体的なより低い比は、DNA含有rAAV9粒子の優先的結合および濃縮を示したCaptureSelect樹脂クロマトグラフィーの精製バイアスに起因した(データ示さず)。
【0085】
インビトロでの形質導入効率。ルシフェラーゼおよびmAppleレポーター遺伝子を組み込んだrAAV導入遺伝子カセット(
図10B、pTR−UF50−BC
23)を用いて、形質導入効率を試験するためにSf9 B8細胞株に感染するそれぞれのBEVを生成した。また、同じプラスミドを用いて、HEK293細胞の三重プラスミド同時トランスフェクションによってrAAVを生成した。精製され、サイドバイサイドで滴定された、両方のrAAV5−Luc−mAppleベクターを用いて、HeLa由来のC12細胞株を感染させた
24。FACS分析(
図12A)は、Sf9により産生されたrAAV5ベクターについての形質導入効率よりも顕著に高い(5倍まで)ことを明らかにした。rAAV9について、rAAV9の2つのサンプル間に有意差はなかった(
図12B)。両方の実験からのデータは、タンパク質含有量と一致する。
【0086】
インビボでの形質導入効率(
図7)。HEK293細胞およびSf9 B8細胞で産生されたrAAV5−Luc−mAppleを、マウスの脳(線条体)においてインビボでアッセイした。注入の3週間後、形質導入効率を生物発光(BLI)により決定した(
図7A)。Sf9 B8由来のAAV5を注入された動物は、HEK293由来のAAV5よりも4倍高いBLIシグナル強度を示した(
図7B、それぞれ4.3x10
5±1.8x10
5、および1.1x10
5±3.5x10
4)。同様に、脳切片の蛍光分析は、HEK293と比べて、Sf9 B8由来のサンプルにおいてより強いmAppleシグナルを示した(
図7C)。
【0087】
HEK293細胞およびSf9細胞で産生されたrAAV5ベクターの次世代シークエンシング(NGS)解析。より高い効力のrAAV5ベースのベクターの産生のための改善されたOneBacシステムを確立するために、HEK293細胞における標準トリプル同時トランスフェクションプロトコールによって製造されたか、または安定なrep2cap5 Sf9細胞株B8の単一のBEV−UF26感染により製造された、カプシド化ssDNA(pTR−Bac−UF26、
図10A)の比較NGS解析を行った。NGS解析の目的は、rAAVカセット特異的なDNA種、ならびに副次的にパッケージされた混入DNA種を特徴付けることであり、そのために、GMPグレードのrAAVベクター産生の要求を満たす好ましいプラットフォームを確立した。全てのNGSライブラリーを調製し、配列決定し、デュプリケートで分析した。一般的なワークフローは、フローチャートに示されている(
図13)。以下のパラメーターが分析されている。
【0088】
混入DNA配列の副次的パッケージ。
フィルタリング後、インデックスに割り当てられたリード総数は757,433,116であった。対照配列に対してリードをアライメント後、rAAVカセットのカバレッジ(coverage)は、2,260,074リード数/nt(nt位置 2,000)に高まった。副次的にパッケージされた配列に関して、カバレッジは顕著に低かった:10,781リード数/nt(nt位置 1,299、ベクター骨格)、または6,424リード数/nt(nt位置 200、AcMNPVゲノム)。
【0089】
両方の産生プロトコールについて、大部分のリードは、すべてのカプシド化されたDNA配列の96.5%(HEK293)および99.4%(Sf9)を占めるrAAV−Bac−UF26カセットであった(表12、
図8A、8B)。HEK293システムの混入DNAの大部分は、低レベルのrep2/cap5ヘルパー配列(0.7%)およびヒトゲノムDNA(0.17%)を含む細菌プラスミド骨格(2.5%)であったが、一方、Sf9調製物中の混入物質は、シャトルプラスミド骨格(0.3%)およびAcMNPVゲノム(0.2%)であった。Sf9由来のrAAV5については、近年、ATCCから得られたSf9細胞株から単離された外来性の(adventitious)ラブドウイルス(Sf−ラブドウイルス)と相同であることが見いだされたリードはなかった
25。
【0090】
副次的にパッケージされた配列は、rAAVカセットおよびそのそれぞれの骨格:HEK293細胞について細菌プラスミド、およびSf9細胞についてバキュロウイルスゲノム、の即時の連結によってより豊富に表示された。注目すべきことに、2つのシステム間のジャンクションリードのカバレッジにおいて少なくとも10倍の有意な差があり、それにより、HEK293細胞が、より高い頻度で左右の両方のAAV末端リピートからより離れた細菌プラスミド骨格配列をカプシド化することが明らかであった(
図8C、8D)。従って、混入DNA配列の解析は、HEK293細胞について3.5%に対して、カプシド形成されたベクターゲノムの0.6%のみが外来DNAを取り込むことにより、OneBacシステムがより正確に送達し、より高品質のrAAVベクターを提供することを示唆する。
【0091】
【表10】
【0092】
rAAVゲノムカバレッジ。NGSライブラリーを作製するために8サイクルのPCR増幅工程のみを含む標準プロトコールを用いて、いくつかの配列がCBAプロモーター内で同定され、下流イントロンがAAVカセットの残りと比べて、少なくとも10倍低い配列決定カバレージを示した。厳密な試験により、これらの配列が顕著にGCリッチであることが明らかとなった(
図8A、8B)。この比較的低いカバレッジは、DNA複製中の短縮化のために、パッケージされたビリオン中のこれらの配列のより低い表示を反映している可能性がある。あるいは、この低下は、PCR関連NGSライブラリー調製によって導入された人工的な効果である。第2の可能性を排除するために、NGSライブラリーを、PCR増幅せずに精製したカプシド化したrAAV DNAから直接調製した。このようにして、目的の配列のカバレッジはカセットの残りの部分に匹敵するレベルに回復した。従って、HEK293細胞およびSf9細胞は両方とも、短縮化の証拠がほとんどなく、全長rAAVカセットのパッケージを支持する。
【0093】
rAAV−Bac−UF26カセットのゲノム同一性。AAVカセットの高い配列決定深度は、そのそれぞれの親細菌プラスミドに対するパッケージされたDNAの配列同一性および相関の詳細な分析を可能にした。誤った呼び出し(call)の可能性を減らし、一塩基多型(SNP)分析の信頼性を高めるために、PCRフリーサンプルのNGSデータのみを利用した。両ウイルスサンプルならびに陽性対照プラスミドサンプルからのDNAのSNP変異体は、置換の顕著に類似したプロファイルを示した(相関係数0.75−0.77)(
図9A)。興味深いことに、SNPの大部分が、GC含有が豊富な領域として上記で同定された非コーディング配列:ニワトリβアクチンプロモーターおよびイントロン配列と共局在していた(
図9B)。さらに、およびLecomteら
26と一致して、AAV TRは、比較的高いSNP変動性を示した。
【0094】
昆虫細胞で製造されたAAV5およびAAV8血清型のrAAVベクターの相対的に低い効力は、Urabeら
10およびKohlbrennerら
9により以前に報告されている。その後、多くの他のOneBac由来のAAV血清型が、293由来のAAVと比べて低い感染力により特徴付けられることが示された
27。全ての影響を受けた血清型の統一の原因は、カプシドヘルパー遺伝子の改変型配列であって、結果としてホスホリパーゼA2活性を組み込んだVP1カプシドタンパク質のより低い含有量がもたらされる。予期されるように、推奨される解決策は、異なる開始コドンであるCUG
11または人工イントロン
8、12を用いることによってこの問題を緩和することを目的とした。新しいデザインがいくつかのベクターの感染力を増加させるのに役立ったとしても、その解決策は、血清型特異的配列の調整に必要なフレキシビリティがないようであった。
【0095】
カプシドの相対的VP1/VP2含有量を増加させるための新しい方法が本明細書に記載されている。これは、VP1 AUG開始コドンに先行する標準的Kozak配列を改変することにより達成される。原理の証明のため、最も好ましい翻訳開始部位が、HEK293由来の対応物の形質導入効率を上回るrAAVベクターを血清型特異的に産生することを示す、AAV5およびAAV9血清型についてある範囲のKozak配列を試験した。しかしながら、記載された方法は、異なる血清型についても変化する相対的なTIS効率の狭いウインドウにおけるVP1 Kozak配列の微調整を必要とする。この変化の理由の1つは、VP1:VP2:VP3比が、VP1 TISの相対的効率だけでなく、すべての血清型についても異なるVP2およびVP3 TISの相対効率にも依存することである(表13)。さらに、VP1:VP2:VP3比が理論値である1:1:10から大幅にシフトすると、ウイルスの収量が急激に減少するため、意図的に任意の閾値を上回るVP1含有量に増加させること(例えば、
図4B、レーン1および6)は、逆効果であるようである。特定の用途のための特異的TISが経験的に同定され得るという理解の下で、当業者は、‘コンセンサス’VP1TIS: U(C)A(C/G)U(G)UG(U)U
AUGG (配列番号50)を導き出すことができる。
【0096】
【表11】
【0097】
分析のために選択されたrAAV5構築物において、相対的VP1含有量の数値は、HEK293由来のベクターにおける0.2−0.4(2つの独立したアッセイによる)からSf9細胞における0.7−1.1まで増加した(すなわち、平均3倍増加した)。VP2について、これらの値は、0.5から1.7に増加し、同様に3倍増加であった。VP2の同時増加は、rAAV5 VP1の相対的増加の予期しない影響の1つであった。VP1およびVP2の両方のN末端には、AAVがそのゲノムを核内に送達し、その後細胞に形質導入するのに有用な保存的核局在配列(NLS)モチーフを表す、いわゆる塩基性領域3(BR3、PKRKKART(配列番号51))を組み込む
28−30。従って、各VP1およびVP2の3倍の増加が、より感染性のウイルスの収量を増加させることは驚くべきことではない。
【0098】
上記のデータには、最近記載されたOneBac2.0
8 および現在のシステムで製造されたrAAV5およびrAAV9の直接比較は含まれない。しかしながら、当業者は、それぞれのカプシド比を関連付け、これらの血清型について、新たに設計されたcap ヘルパー遺伝子が、AAV5およびAAV9カプシドの両方の化学量論を顕著に改善させ、より高い効率のウイルスベクターに翻訳されることを結論付けることができる。
【0099】
別の予期せぬ発見は、HEK293細胞およびSf9細胞によって提示されたパッケージ効率の類似性であって、完全−対−空の粒子比の代替パラメーターによって評価された。1:2.5のrep/cap発現カセットの以前に同定された比を用いて、安定なプロデューサー細胞株を構築し
7、HEK293と同様に、パッケージ効率を達成した。
【0100】
多くの臨床治験が進行中であり、異なるプロトコールによって製造されたrAAV株(stock)の遺伝的同一性を評価することは、規制上の重大な課題となっている。多くのグループが、パッケージ宿主細胞
26,31,32、細菌ヘルパープラスミド骨格
26、33、ヘルパーウイルス
8、32、およびwt AAV rep/cap配列
26、34に由来する配列の副次的なカプシド形成を報告している。パッケージされたrAAVカセットの遺伝的同一性を評価するために、カプシド化された一本鎖ウイルスDNAのNGS分析が行われた。パイロット分析は、両プラットフォームでほぼ同一であるGC富化配列における該カセットの不均一な配列カバレージを示した。PCRフリープロトコールを利用することにより、カバレッジの低下は、明らかに、ライブラリー調製中のPCR誘導性人工物に起因し、短縮型rAAVゲノムのパッケージが原因でないことが示された
35、36。NGSライブラリー調製のためのPCRベースの方法の精度は、とりわけ逆位末端反復(ITR)などのGCに富むパリンドロームでのAAV関連解析には適切ではない
37、またはGC富化配列に適用される
38といくつかのグループによって調べられた。従って、rAAVベクター調製物のNGS解析は、適当なプロトコールを用いて行われるべきである。
【0101】
両プラットフォーム由来のウイルスDNAの遺伝的同一性の分析は、昆虫細胞 対 ヒト細胞においてカプシド化されたrAAV DNA間に有意差を示さなかった。しかしながら、注目すべきことは、HEK293細胞をトランスフェクトするために用いられるpTR−Bac−UF26プラスミドDNAプールの配列の、データベース中のこのプラスミドの配列とのずれという本明細書に記載された事実である。プラスミドDNAのそのような遺伝的浮遊の事実は、驚くべきことであるが、以下のメカニズムによって説明することができる。rAAVカセット含有プラスミドを、AAV ITRの完全性を維持するために大腸菌の組換え欠損株において増殖させる。これらの株は、非標準的な二次および三次構造の再構成および消失を触媒する経路の成分(endA、recB recJ)を欠く。その結果、プラスミドDNAは、ミスマッチ修復系によって修復され得るミスマッチ塩基および点突然変異を蓄積する。DNAにおけるミスマッチは、修復されなければ、自然突然変異頻度が高いという結果になる。従って、トランスフェクション中、変異したプラスミドDNAは、宿主HEK293細胞核にそのヘテロ二重鎖“インプリント”構造を有し、ここで、それは修復された
39 または複製された変異の複製物である。従って、同時トランスフェクションプロトコールにおけるプラスミドDNAプールは、いくつかのGCに富む配列にとって実質的であり得るカプシド形成されたAAVカセットへの大腸菌の突然変異の導入頻度が高いものをいくつか含む。興味深いことに、GFPレポーターcDNAは、その合成“ヒト化”複製起点を反映し得る、最小限の変異を有する(
図8A)
40。この点に関して、その免疫原性関連作用に加えて
41、rAAVカセットからCpGモチーフを枯渇させることは、親プラスミドDNAの遺伝的安定性を高めるのに役立つかもしれない。
【0102】
2つのプラットフォームにより製造されたrAAVカセットの直接的なサイドバイサイドNGS解析は、予期せず、昆虫細胞におけるウイルスDNAパッケージが高い精度であり、混入DNAがかなり少ない量でカプシド化されること(0.6% 対 3.5%)を明らかにする。この6倍の減少は、当業者が、FDAガイドラインの“細胞基質DNA残存量が1用量あたり10ng以下でなければならない”との記載を考慮するときに、重要であると思われる(fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/BloodVaccinesandOtherBiologics/VaccinesandRelatedBiologicalProductsAdvisoryCommittee/UCM319573.pdf)。
【0103】
現在のrAAVを用いる臨床治験を考慮すると、用量が6x10
13 vg/kgまで高くなると
42、43、ベクターは、HEK293細胞で産生された場合、FDAガイドラインを超える量の混入DNAを取り込み得る。ここで、OneBacシステムを用いて産生されたrAAV5ベクターは、顕著により感染性であり、同時に、より少ない量の外来DNAをカプシド形成することが示された。従って、この産生方法は、その有効用量を低下させ、安全性を向上させることにより、ベクター投与の可能性のある治療結果を改善する。
【0104】
材料および方法
以下の非限定的な材料および方法を、本明細書に記載のいくつかの実験に関連して用いた。これらの、または他の材料および方法は、本明細書に記載の態様と関連して用いることができる。
【0105】
HEK293細胞におけるrAAV5およびrAAV9産生
rAAV5およびrAAV9ベクターは両方とも、既報の三重同時トランスフェクト法
44により産生された。rAAVカセット(rAAV5−Bac−UF26、またはrAAV5−UF50−BC、ならびにrAAV9−Bac−UF26、
図10A−10B)を有するプラスミドを、pHelperおよびpRep2Cap5(または、pRep2Cap9)と1:1:1モル比で組み合わせて用いた。rAAV5およびrAAV9の両方を、連続2回のイオジキサノール浮遊密度勾配遠心分離(sequential double rounds iodixanol buoyant density centrifugation)を用いて精製した。具体的には、完全粒子を含有する第1ラウンドのイオジキサノール画分を1×PBS−MK緩衝液で2.5倍に希釈し、標準勾配で15%のイオジキサノール−1M NaCl工程のかわりに用いた
44。
【0106】
Sf9細胞におけるrAAV5およびrAAV9産生
Bac−UF26、またはUF50−BC rAAVカセットを、pFastBac骨格に挿入し、それぞれのBEVをBac−to−Bacシステムガイドラインに従って誘導した。既報
7の通りに、プラーク精製したBEVをP3に増殖させ、プラークアッセイにより滴定し、そしてrep2cap5またはrep2cap9誘導性ヘルパー遺伝子を有するSf9ベースの安定な細胞株を感染させるために用いた。回収時、凍結融解溶解物をベンゾナーゼで処理し、20,000gで30分間の高速遠心によって清澄化した。上清を、HEK293により製造されたAAVについて上記の通りに精製した。
【0107】
rAAV5およびrAAV9の一工程精製。rAAV5を、既報
45のとおりに、AVBセファロース 高速親和性クロマトグラフィー樹脂(GE Healthcare)を用いて、清澄化された粗溶解物から精製した。rAAV9を、POROS CAPTURESELECT(商標) AAV9樹脂(Thermo Fisher)を用いて一工程親和性クロマトグラフィーにより粗溶解物から精製した。具体的には、清澄化された粗溶解物を重力下で樹脂0.5mlを含むカラムに適用し、その後、該カラムを10倍のカラム容量の1xPBSで洗浄し、次いで1mlの溶出緩衝液:50mM クエン酸緩衝液pH3.0−1M NaClで洗浄した。溶出されたrAAV9を、0.1ml 1M TrisHCl pH8.4で直ちに中和した。
【0108】
rAAV滴定(力価測定)
rAAVベクターの直接比較分析には、それぞれのウイルス力価の正確な予測が必要である。4つの独立したアッセイを用いて、HEK293またはSf9細胞に由来するrAAVを力価測定した:1)BioRad QX200 Digital PCRシステムを用いて対照標準を確立する、Droplet Digital PCR (ddPCR)
46;2)iTaq(商標) Universal SYBR(登録商標)Green Supermixキット(BioRad、1725121)およびqPCR BioRad CFX Connect RealTime システムを用いる、定量的競合PCR(QC−PCR);3)ピコグリーンベースのプロトコール
47、および4)rAAV粒子の力価およびサイズを定量化する、NanoSight 300(NS-300、Malvern Instruments、Malvern、UK)を用いるナノ粒子トラッキング解析(NTA)。各プロトコールの条件を確立し、ddPCRによる対照標準を用いた後、プロトコール2)および3)から計算した力価は、常に、2倍以内であり、平均して作用力価を得た。簡潔には、以下の手順に従った。
【0109】
ddPCR.0.05%プルロニックF−68を補充した1x乳酸リンゲル(LR)溶液を用いて、反応当たり1〜10
3 ウイルスゲノムコピーの範囲内で3組の希釈物のセットを調製した。DdPCRを以下のプライマーを用いて行った:TM_CMV_F 5’−ATAGGGACTTTCCATTGACGTC−3’(配列番号52)、TM_CMV_R 5’―TGATACACTTGATGTACTGCCAAG−3’(配列番号53)、TM_CMV_プローブ FAM 5’― TGGGTGGACTATTTACGGTAAACTGCC−3’ BHQ (配列番号54)。
【0110】
QC−PCR.標準曲線を得るために、rAAV−UF26導入遺伝子カセットを、それぞれのプラスミドpTR−Bac−UF26のSmaI消化後にゲル精製した。回収したDNAをおよそ1ng/μlの濃度に希釈し、正確な濃度をQUBIT dsDNAアッセイにより決定した。高度に精製されたSf9またはHEK 293より産生されたrAAVの直接的QC−PCR滴定を、同じプライマーセットを用いて、対照rAAVサンプル(ddPCR)およびゲル精製されたrAAVカセット(QC−PCR)の10倍連続希釈によって作成された標準曲線を用いて行った。
【0111】
ピコグリーンベースのアッセイを、既報
47のように、標準曲線を較正するためにLambda DNA標準を用いて、Quanti−iT PicoGreen dsDNAアッセイキット(Life Technology、P7589)により行った。光学密度を、Perkin Elmer 1420 Multilabel Counter Victor Vにより測定した。
【0112】
NTA.NTA解析の前に、ウイルスストックの力価をPAAGゲル電気泳動によって評価した。およその力価を知ると、LR緩衝液で希釈した50μlのAAVストック液を、標識緩衝液(20mM クエン酸、pH3.5、0.1%プルロニックF68、1mM NaCl)および金ナノ粒子(Sigma、カタログ番号 741949)を含む標識ミックスに添加した。室温(RT)で30分間インキュベーション後、金標識したAAVを、標識緩衝液で終濃度5x10
8−3x10
9粒子/mLまで希釈した。AAVを含まない標識ミックスおよび金を含まない標識緩衝液中のAAVを陰性対照として用いた。測定を以下の設定を用いて、NS−300装置を用いて行った:レーザータイプ−Blue488、カメラレベル−15、フレーム数−749、記録時間−30秒、記録数−各データ点毎に3つ。NS−300によって生成された少なくとも4つのデータ点を用いてAAV力価を計算した。
【0113】
MALDI−TOF.VP1、VP2およびVP3バンドをSDS−PAAGから切り出し、トリプシン消化のために調製した。カプシドタンパク質を、製造者推奨プロトコールを用いてPromega(Madison WI)のシークエンシンググレードのトリプシンを用いてゲルスライス内で消化した。簡潔には、バックグラウンドポリアクリルアミド材料を最小限に抑えるために、バンドを可能な限りそれに近くトリミングした。次いで、ゲル片をナノピュアH
2O中で5分間洗浄した。洗浄工程を2回繰り返した後、各サイクル10分間の1:1 v/vのメタノール:50mM 重炭酸アンモニウムでの脱染色を2サイクル行った。ゲル片を、1:1 v/vのアセトニトリル:50mM 重炭酸アンモニウムで脱水した。ゲルスライスを再水和し、ジチオスレイトール(DTT)溶液(100mM 重炭酸アンモニウム中25mM)と共に30分間インキュベートした後、100mM 重炭酸アンモニウム溶液中55mMのヨードアセトアミドを添加した。ヨードアセトアミドを暗闇下でゲルスライスと共に30分間インキュベートした。ゲルスライスを再度、2サイクルのH
2Oで洗浄し、1:1 v/v アセトニトリル:50mM 重炭酸アンモニウムで脱水した。0.01%proteaseMAX界面活性剤中12ng/mlのトリプシン中で、5分間、再水和することによりゲル片内にプロテアーゼを導入した。その後、該ゲル片を、40μLの0.01%のproteaseMAX界面活性剤:50mM 重炭酸アンモニウム上に置き、振とう機で1時間穏やかに混合した。0.5% TFAの添加により消化を停止させた。MS分析を、高品質のトリプシンペプチドで最小限の非特異的切断を確実にするために直ちに行うか、またはサンプルを分析するまで−80℃で凍結させた。proteaseMAX界面活性剤以外は同じ方法で
18O−標識した消化を行い、トリプシンをH
218O中で調製した。逆交換を防ぐために、トリプシンを100℃で15分間インキュベートすることにより不活性化した。VP3をH
218Oを用いて消化し、一方で、VP1を通常のH
216O中で消化した;消化産物を1:1で混合し、MALDI−TOFにより分析した。VP2/VP3についても同様の分析を行った。
【0114】
MALDI−TOFは、Bruker Daltonics Microflex LRF質量分光計(Bruker Daltonics、Breman、Germany)にて、N2レーザーを用いて、リフレクトロン(reflectron)のポジティブイオン(正イオン検出)モードで操作して行った。レーザー出力は、シグナルを生成するのに必要な閾値レベルで用いた。この機器を、アンギオテンシンII、アンギオテンシンI、サブスタンスP、ボンベシン、ACTHクリップ1−17、ACTHクリップ18−39、ソマトスタチン28、ブラジキニンフラグメント1−7、〜700Da−3200Daの質量範囲のブタ(porcine)のレニン基質であるテトラデカペプチドの混合物である、ペプチド較正標準II(Bruker Daltonics)で較正した。α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸をマトリックスとして用い、50% ACN/0.1% TFA(H
2O中)中の飽和溶液として調製した。1μLのマトリックスおよび1μLのサンプルの分液(allotment)を完全に混合した;これの0.5μLを標的プレート上にスポットし、乾燥させた。
【0115】
インビトロ形質導入アッセイ。rAAV5−Bac−UF26およびrAAV9−Bac−UF26を、MOIが2,000でrAAVを感染させ、MOIが5でAd5を共感染させたC12細胞
24を用いてアッセイした。感染の48時間後、mApple蛍光が陽性の細胞を、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって計数した。
【0116】
AAV注射
全ての動物実験手順は、フロリダ大学動物実験センター(University of Florida Institutional Animal Care and Use Committee)の承認を受けている。4〜5週齢のメスのBALB/c(The Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME USA)マウスをこの実験に用いた。
全ての外科的処置は、無菌操作およびイソフルランガス麻酔を用いて行った。脳外科手術は既報の通りに行った
23。簡潔には、麻酔した後、マウスを定位フレーム(Kopf Instruments、Tujunga、CA)に入れ、2μlのHEK−または8B−由来のrAAV5−UF50−BC ベクター(4.75×10
11 vg/ml)のいずれかを、30−40μmの内径を有するガラス製マイクロピペットを通して、0.5μl/分の速度で、右線条体(座標:前方(anterior)−後方(posterior)−0.3mm、外側(lateral) −2.0mm、背腹側(dorsoventral) −3.0mm)に注射した。針を脳から抜く前に、5分間その場に留置した。
【0117】
生物発光イメージング
マウスを既報の通りに画像化した
23。D−ルシフェリン(PBS中15mg/mL、126mg ルシフェリン/kg体重)の腹腔内注射の12分後に、生物発光測定を、Xenogen IVIS Lumia インビボイメージングシステム(PerkinElmer、Waltman、MA)を用いて目的の領域(region-of-interest)の分析から得た。3匹のマウスを、25cmの視野で同時に画像化した。中間感度の(medium)ビニングで60秒の撮影時間およびエフストップ(f-stop)=1を、カメラ設定に用いた。各データセットに表示された画像は、適当な色強度スケールに正規化された。BLIデータは、電荷結合素子検出器に到達する総カウント数として生データとして報告される。
【0118】
脳組織調製および蛍光イメージング
マウスをペントバルビタール(Beuthanasia-D)で深麻酔し、10mlの生理食塩溶液、次いで、0.1M リン酸緩衝液(pH7.4)中10mlの氷冷4%パラホルムアルデヒド(PFA)で上行大動脈を灌流した。脳を取り出し、PFA中、4℃で一晩固定化した。60マイクロメートル厚の冠状切片をビブラトームステージVT1000 S(Leica Microsystems、Wetzlar、Germany)で切断した。可変モードレーザースキャナー(Typhoon 9200、GE Amersham、Pittsburgh、PA、USA)により、または倒立顕微鏡DMI4000 B(Leica Microsystems、Wetzlar、Germany)を用いてmApple蛍光を分析した。
【0119】
NGS解析
NGSを、HiSeq 3000 装置(Illumina、San Diego、CA)およびペアエンドシーケンシングを用いて、UF ICBRコアにより実施した。選択されたNGSプロトコールの再現性を実証するために、全てのDNAサンプルをデュプリケートで調製した。同様に、NGSライブラリー合成、シークエンシングおよびバイオインフォマティクスのすべてのステップを並行して、デュプリケートで行った。
【0120】
HEK293ベースの産生のための対照DNAは、rAAVストックを汚染する可能性のある全てのDNA配列を含んだ:ヒトゲノム配列(HEK293、GRCh38.P9、ncbi.nlm.nih.gov/assembly/GCF_000001405.35 またはRefSeqアセンブリ受託:GCF_000001405.35);アデノウイルスヘルパープラスミド(pHelper、GenBank:AF369965.1);AAV2 RepおよびAAV5 VPタンパク質(rep2cap5)をコードするpACGr2c5、ならびにそれぞれのプラスミド骨格。Sf9ベースの産生については、以下の配列を分析した:ヨウトガ(S.frugiperda)ゲノム(JQCY02.1.fsa_nt.gz、GenBank: JQCY00000000.2);AcMNPVゲノム(GenBank NC_001623.1);S.frugiperdaラブドウイルス単離体 Sf(GenBank KF947078.1); FastBac シャトルプラスミド骨格、ならびにAAV2 RepおよびAAV5 VPをコードする配列。
【0121】
PCRフリーおよびPCR濃縮オプションの両方を含むACCEL−NGS(登録商標)2S PCR−フリー DNAライブラリーキット(Swift Biosciences、Ann Arbor、MI)を利用して、NGSライブラリーを作製した。精製したrAAV粒子の十分なDNAse処理および二本鎖(ds)DNA合成を、Lecomteら
26の文献に記載のプロトコールに僅かな修正を加えて行った。簡潔には、4x10
11のベクターゲノム(vg)を含む粒子を、ベースラインZEROおよびPlasmid−Safeのエキソヌクレアーゼで、次いで、プロテイナーゼKおよびRNAseA処理により十分に処理した。DNAを、2:1のビーズ:DNA比を用いてMag−Bind RxnPure Plusキット(Omega Bio-Tek、Norcross、GA)を用いて精製した。DNApolIを用いて第2鎖を合成後、DNAをCovaris装置を用いて超音波処理した。DNAせん断のために以下の設定を用いた:標的サイズ 400bp、ピーク出力増加−175W、デューティ比(duty factor) −10%、バースト当たりのサイクル数−200;時間−38秒、水位−15、水温−7.6〜7.8℃、および反応容積−47μL。せん断されたインプットdsDNAおよび合成されたNGSライブラリーのプロファイルを
図14に示す。Sf9細胞およびHEK293細胞に由来するrAAV DNAのサンプルは、NGSライブラリー調製中の各段階において同様のプロファイルおよび品質を示した。ライブラリー調製の全段階において、DNA品質を、テープステーション(Agilent)およびQubit(Thermo Fisher Scientific)によりモニタリングした。PCRフリーのNGSライブラリーの合成のために、220ngのdsDNAをせん断して、200bpのオプションインプットの標的サイズにした。PCR富化ライブラリーについて、ライゲーション工程2の後のDNAの10%を、製造業者の推奨に従って8サイクル増幅させた。最後に、全てのライブラリーを1xMag−Bindビーズで精製した。
【0122】
バイオインフォマティクス分析
バイオインフォマティクスワークフローのフローチャートを
図15に示す。Fastqファイルを、そのデフォルト設定でスーパーコンピューティングクラスタで使用されるように改変された専用のオープンソースソフトウェアContaVect v2.0
26を用いて分析した。ContaVectのコードは、ジョブスケジューラ(job scheduler)によって管理されるバッチ環境で最大の効率およびスループットを得るために、blastnツールおよびbwaツールの実行を適切にスケーリングするように適合された。変更の1つは、コンピューターを起動するノード(computing node)上のCPUコアの総数に等しいスレッド数で常にblastnとbwaを実行するContaVectの制限に関連していた。共有コンピューティング環境においてパーソナルワークステーションで使用するとき、この仮定が有効な場合もあるが、一般的に、スレッド数はバッチ処理(batch job)に要求されたかまたは仮想マシン内で利用可能なCPUコア数と等しくなければならない。そうでなければ、問題のプログラムの効率は、分析のスループットを大幅に低下させる。ContaVectのコンフィグレーションファイルにおいてスレッド番号が0に設定されているとき、新しい改変により、互換性のために古いモデルを使用できるようになったが、現行のContaVectは、指定されたスレッド数でblastnとbwaを実行できる。デフォルトでは1つのスレッドが使用される。さらに、MATPLOTLIBRC環境変数を介して環境にエクスポートできるオプションの構成ファイルが追加されて、ContaVectを、X11環境を使用しないクラスタノードで駆動するとき、失敗なくmatplotlibを用いてグラフを生成できるようにする。上記の変更により、分析は、UF Research Computing HiPerGator スーパーコンピューターで成功裏(正常)に完了し、データに対するContaVectの実行時間は、数日から数時間に短縮された。全ての変更は、GitHubコードのPull Request(プルリクエスト)として以下のリポジトリ:github.com/a-slide/ContaVect and github.com/a-slide/pyDNAにおいてContaVectの作成者に提出された。記載されている全ての適合が承認され、ソースコードに組み込まれている。SNP変異体は、BAMファイルから、高深度カバレッジの配列解析に利用されるJavaベースのアプリケーション(github.com/lindenb/jvarkit/wiki/MiniCaller)であるMiniCallerソフトウェアにより検索された。HEK293またはSf9 rAAVライブラリーのためのMiniCallerにより作成されたVCFファイル、ならびに陽性対照ライブラリー(各デュプリケート)を、GenBankの対照分子とアライメントした。VCFファイルの解析は、CSVファイルを生成するPythonスクリプト(nbviewer.ipython.org/github/a-slide/iPython-Notebook/blob/master/Notebooks/VCF_analysis.ipynb)により実行された。VCFファイルおよびCSVファイルは、Dryad Digital Repositoryから入手可能である:bio.rc.ufl.edu/secure/zolotukhin/genther/; ユーザー名:“genther”、パスワード:“KrAkkegZ8F”。
【0123】
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【0124】
他の態様
本明細書に記載された特徴の全ては、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書に記載の各特徴は、同じ、同等、または類似の目的を果たす代替の特徴と置き換えることができる。従って、他にこれと異なる記載がない限り、記載された各特徴は、同等または類似の特徴の一般的なシリーズの一例に過ぎない。
【0125】
上述の明細書の記載から、当業者は本明細書の記載の本質的な特徴を容易に確認することができ、そして当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な用途および条件に適合させるために、本明細書に記載されるものを改変および修飾することができる。従って、他の態様もまた、本発明の範囲内にある。
【0126】
均等物
いくつかの本発明の態様が本明細書に記載され説明されているが、当業者は、機能を実行し、そして/または結果および/もしくは本明細書に記載の利点の1つ以上を得るための種々の他の手段ならびに/あるいは構造を容易に想到することができ、かかる変形および/または修飾の各々は、本明細書に記載の本発明の態様の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載の全てのパラメーター、寸法、材料、および構成が非限定的であることを意味し、実際のパラメーター、寸法、材料および/または構成は、特定の用途または本発明の教示が用いられる用途によって変わり得ることを容易に認識し得る。当業者は、本明細書に記載の特定の本発明の態様に対する多くの均等物を認識するか、または単に常套的な実験を用いて確認することができる。従って、上記の態様は単なる例示として記載されており、添付の特許請求の範囲およびそれと均等の範囲内で、本発明の態様は、具体的に記載され特許請求される以外の方法で実施され得ることが理解されるべきである。本明細書に記載の本発明の態様は、本明細書に記載される個々の特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法を対象とする。さらに、かかる特徴、システム、物品、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、そのような特徴、システム、物品、キットおよび/または方法の2以上の任意の組み合わせは、本発明の範囲内に包含される。
【0127】
本明細書で定義され用いられている全ての定義は、辞書の定義、引用により組み込まれた文献の定義、および/または定義された用語の通常の意味を包含すると理解されるべきである。
【0128】
本明細書中に記載される全ての参考文献、特許および特許出願は、それぞれが引用されている主題に関して参考文献として組み込まれており、ある場合には、その文献の内容全体が包含され得る。
【0129】
本明細書および特許請求の範囲において用いられる不定冠詞“a”および“an”は、他にこれと異なる記載がない限り、“少なくとも1つ”を意味すると理解されるべきである。
【0130】
本明細書および特許請求の範囲において用いる語句“および/または”は、そのように結合された要素の“一方または両方”を意味する、すなわち、複数の要素が、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離して存在することを意味すると理解されるべきである。“および/または”と共に列挙された複数の要素は、同じように、すなわち、そのように結合された要素の“1つまたはそれ以上”と解釈されるべきである。場合によって、具体的に特定された要素と関連するかどうかにかかわらず、語句“および/または”によって具体的に特定されたそれらの要素以外の他の要素が存在していてよい。従って、非限定的な例として、“Aおよび/またはB”への言及は、“含む(comprising)”などの制限のない用語(open-ended language)と併せて用いられるとき、一態様において、Aのみを意味してよく(場合により、B以外の要素を含む);別の態様において、Bのみを意味してよく(場合により、A以外の要素を含む);さらに別の態様において、AおよびBの両方を意味してよい(場合により、他の要素を含む);等。
【0131】
本明細書および特許請求の範囲において用いる、“または”は、上で定義した“および/または”と同じ意味を有すると理解すべきである。例えば、リスト中で項目を分けるとき、“または”または“および/または”は、包括的であると解釈されるべきであり、すなわち、多数の要素または要素のリストの少なくとも1つを含むが、2以上も含み、場合により、さらなるリストにない項目も含む。これに対して、“〜のうち1つのみ”または“〜のうち正確に1つ”のように明示された用語または、特許請求の範囲において用いるとき、“〜からなる”と明示された用語のみが、多数の要素または要素のリストのうち正確に1つの要素を含むことを意味し得る。一般的に、本明細書で用いる用語“または”は、“いずれか”、“〜の1つ”、“〜の1つのみ”または“〜の正確に1つ”のような排他的な用語の前にあるとき、排他的な選択肢(すなわち、“一方または他方であるが、両方でない”)を示すものとしてのみ解釈されるべきである。特許請求の範囲に用いるとき、“本質的に〜からなる”は、特許法の分野で用いられる通常の意味を有するものとする。
【0132】
本明細書および特許請求の範囲において用いる、1つまたは複数の要素のリストを引用して、“少なくとも1つ”という語句は、要素のリストにおいていずれか1つまたは複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも要素のリスト内に具体的に列挙された各要素および全要素の少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリストにおいて要素の任意の組合せを除外しない。この定義はまた、場合により、要素のリスト内に具体的に特定される要素以外に、要素が存在してもよいことを可能にし、ここで、語句“少なくとも1つ”が、具体的に特定される要素に関連するか、関連しないかを問わない。従って、非限定的な例として、“AおよびBの少なくとも1つ”(または、同様の“AまたはBの少なくとも一方”、または同様の“Aおよび/またはBのうち少なくとも1つ”)は、一態様において、少なくとも1つの、場合により2以上の、Aを含み、Bが存在しない(および、場合により、B以外の要素を含む)ことを意味し得る;別の態様において、少なくとも1つの、場合により2以上の、Bを含み、Aが存在しない(および、場合により、A以外の要素を含む)ことを意味し得る;さらに別の態様において、少なくとも1つの、場合により2以上の、Aを含み、および少なくとも1つの、場合により2以上のBを含む(および、場合により他の要素を含む);等、を意味し得る。
【0133】
他にこれと異なる記載がない限り、2以上のステップまたは動作を含む本明細書に記載の任意の方法において、該方法の複数のステップまたは動作の順序は、必ずしも該方法の複数のステップまたは動作が列挙される順に限定されないことも理解されるべきである。
【0134】
特許請求の範囲において、ならびに上記の明細書の記載において、“含む(comprising)”、“含む(including)”、“担持する(carrying)”、“有する(having)”、“混入する(containing)”、“伴う(involving)”、“保有する(holding)”、“構成する(composed of)”などのような全ての移行句(transitional phrase)は、制限されない(open-ended)こと、すなわち、包含を意味するが、限定されなないことが理解されるべきである。“〜からなる”および“本質的に〜からなる”という移行句のみが、米国特許商標庁のManual of Patent Examining Proceduresのセクション2111.03において記載されるように、それぞれ閉鎖式(closed)または半閉鎖式(semi-closed)の移行句であるものとする。制限のない(open-ended)移行句(例えば、“含む(comprising)”)を用いて本明細書に記載された態様もまた、別の態様において、制限のない移行句によって記載された特徴“からなる”および“本質的にそれからなる”として意図されることが理解されるべきである。例えば、本明細書の記載が“AおよびBを含む組成物”を記載するとき、該記載は、別の態様“AおよびBからなる組成物”および“本質的にAおよびBからなる組成物”も企図する。