特許第6976030号(P6976030)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6976030非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善用組成物
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  • 特許6976030-非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善用組成物 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976030
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7004 20060101AFI20211118BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20211118BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20211118BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20211118BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   A61K31/7004
   A23L33/125
   A61K47/26
   A61P1/16
   A61P3/06
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-523300(P2020-523300)
(86)(22)【出願日】2017年10月27日
(65)【公表番号】特表2021-500382(P2021-500382A)
(43)【公表日】2021年1月7日
(86)【国際出願番号】KR2017012020
(87)【国際公開番号】WO2019083070
(87)【国際公開日】20190502
【審査請求日】2020年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヘジョン
(72)【発明者】
【氏名】パク,チョンジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,カンピョ
【審査官】 大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−1731063(KR,B1)
【文献】 Journal of Food Science,2015年,Vol.80, No.7,p.H1619-H1626
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7004
A23L 33/125
A61P 3/06
A61P 1/16
A61K 47/26
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルロースを有効成分として含み、
肝脂肪蓄積を抑制し、且つ除脂肪量(lean body weight)の減少を抑制するものであり、
前記アルロースの対象個体の1日投与量が6〜12g/体重60kgである
非アルコール性脂肪肝疾患の予防、軽減または改善用組成物。
【請求項2】
前記アルロースの1日投与量が、1−4回に分割された投与量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記投与が経口投与である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記アルロースが他の糖類を含む混合糖であり、前記混合糖の総固形分含量100重量部を基準にしてアルロース2〜55重量部、果糖30〜80重量部、ブドウ糖2〜60重量部およびオリゴ糖0〜15重量部で含むものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、非アルコール性脂肪肝疾患の予防、軽減または改善用食品組成物である、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記食品が健康機能食品である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物の投与前/後に測定された除脂肪量(lean body weight)の平均変化量が基底時点に対する12週時点で1.5%以内である、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルロースを有効成分として含む非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善用薬学組成物および食品組成物に関するものであって、さらに詳しくは、アルロースを投与することによって肝脂肪蓄積を抑制して非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善を誘導する組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脂肪肝疾患(fatty liver disease)とは、脂肪肝とも呼ばれ、肝細胞に脂肪(トリグリセリドなど)が異常蓄積されることに起因して肝障害を招く疾患である。脂肪肝疾患の初期病態は肝細胞に脂肪沈着のみを認める単純性脂肪肝であり、その後に脂肪肝炎(肝線維症を含む)、また肝硬変や肝細胞癌に病態が進行するのが知られている。一般に、肝臓に脂肪が沈着される原因としては、アルコール摂取、肥満、糖尿病、脂質代謝異常、薬剤(ステロイド、テトラサイクリンなど)、Cushing症候群、中毒(黄燐など)、高度な栄養障害などが挙げられる。
【0003】
脂肪肝疾患の原因は大きくアルコール性と非アルコール性に分けられ、前者を原因とする肝臓疾患をアルコール性脂肪肝疾患(アルコール性肝障害とも呼ばれる)、後者を原因とする肝臓疾患を非アルコール性脂肪肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD、またはnonalcoholic steatohepatitis)と呼ぶ。
【0004】
非アルコール性脂肪肝疾患は、過量のアルコールを摂取しない患者で炎症反応を同伴しない単純脂肪肝、およびこれによって進展し、肝細胞の炎症反応(hepatocellular inflammation)を示す非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis、NASH)、肝線維化および肝硬変を含む広い範囲の疾患を意味し、以前に使用された非アルコール性脂肪肝炎(Ludwig J et al.,Mayo Clin Proc 1980,55(7),434−438)に比べて広義の概念である。
【0005】
非アルコール性脂肪肝疾患とは、肝に有害な程度と認められるアルコール摂取病歴がないにもかかわらず、肝組織検査でアルコール性肝炎の特徴的な所見である脂肪性変化(fatty change、steatosis)と小葉性肝炎(lobular hepatitis、steatohepatitis)などを示す場合をいう。肝の病理所見は単純脂肪肝(Non−Alcoholic Fatty Liver、NAFL)から脂肪肝炎(Non−Alcoholic Steatohepatits、NASH)、脂肪肝炎と同伴された線維化症、肝硬変症などの多様なスペクトルを示し、非アルコール性脂肪肝疾患はこれら全てを含む意味として使用される。
【0006】
このような非アルコール性脂肪肝疾患に対する確立された治療法はまだ無く、これは糖尿病、肥満、冠状動脈疾患、座っている習慣などの多様な要素と関連して現れるためである。肥満は非アルコール性脂肪肝疾患の治療において重要なターゲットであり、体重減少によって肝損傷の危険因子であるインシュリン抵抗性と関連した因子、肝に流入される脂肪酸の量および炎症性または線維化性アディポカイン(adipokine)の減少を誘導することができるためである。食餌調節および運動による体重減少によってアラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase、ALT)数値および肝の中性脂肪含量を減少できるが、壊死性炎症があるか肝線維化がある患者の場合、体重減少による改善はほとんど知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、非アルコール性脂肪肝疾患に対しては十分な治療方法が確立されておらず、非アルコール性脂肪肝疾患を事前に予防または防止することが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一例は、アルロースを有効成分として含む非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善用薬学的組成物または食品組成物を提供する。
本発明の一例は、アルロースを必要とする対象に投与する工程を含む非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善方法を提供する。
本発明の他の一例は、アルロースを有効成分として含む肝脂肪蓄積抑制を通じた非アルコール性脂肪肝疾患の軽減、予防、改善または抑制用薬学組成物または食品組成物を提供する。
本発明の一例は、アルロースを必要とする対象に投与する工程を含む、肝脂肪蓄積抑制を通じた非アルコール性脂肪肝疾患の軽減、予防、改善または抑制する方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明はアルロースを有効成分として含む非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善用薬学組成物および食品組成物に関するものであって、さらに詳しくはアルロースを投与することによって肝脂肪蓄積を抑制して非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善を誘導する組成物に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例による人体適用試験方法を示す図式図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、アルロースを有効成分として含む肝脂肪蓄積抑制および非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善用組成物、例えば薬学組成物または食品組成物に関するものである。
【0012】
また、本発明は、アルロースを必要とする対象に投与する工程を含む非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善方法に関するものである。前記対象は、動物および人間を含む哺乳動物であってもよい。前記対象は、非アルコール性脂肪肝疾患を有する患者であってもよい。
【0013】
本発明に係るアルロースを有効成分として含む組成物は、肝脂肪蓄積を抑制し、筋肉組織の減少を抑制して、体構成成分改善作用を果たす。
【0014】
非アルコール性脂肪肝疾患は、過量のアルコールを摂取していない患者で炎症反応を伴わない単純脂肪肝、およびこれによって進展し、肝細胞の炎症反応(hepatocellular inflammation)を示す非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis、NASH)、肝線維化および肝硬変を含む広い範囲の疾患を意味し、以前に使用された非アルコール性脂肪肝炎(Ludwig J et al.,Mayo Clin Proc 1980,55(7),434−438)に比べて広義の概念である。
【0015】
非アルコール性脂肪肝疾患とは、肝に有害な程度と認められるアルコール摂取病歴がないにもかかわらず、肝組織検査でアルコール性肝炎の特徴的な所見である脂肪性変化(fatty change、steatosis)と小葉性肝炎(lobular hepatitis、steatohepatitis)などを示す場合をいう。肝の病理所見は単純脂肪肝(Non−Alcoholic Fatty Liver、NAFL)から脂肪肝炎(Non−Alcoholic Steatohepatits、NASH)、脂肪肝炎に伴った線維化症、肝硬変症などの多様なスペクトルを示し、非アルコール性脂肪肝疾患はこれら全てを含む意味として使用される。
【0016】
本発明に係るアルロースを有効成分として含む組成物により、DXAで測定した体脂肪量項目の基底時点に対する12週時点の変化量が三群間統計的に有意な差を示した。除脂肪量(lean body weight)は、体重から脂肪量を除いた水分、筋肉タンパク質、骨などの測定量であって、体重が減少した原因が脂肪以外の体の他の構成成分の変化によるか、或いは体脂肪変化によるかが分かる。本発明に係るアルロースを有効成分として含む組成物の低容量群および高容量群では、DXAで測定した除脂肪量項目の基底時点に対する12週分析で有意な差が認められなかったが、対照群では基底時点に対する12週で減少して有意な差を示した。前記体脂肪量が減少したことは統計的に有意なので、体重が減少した原因が体脂肪変化によることを確認することができ、体脂肪蓄積抑制に効能があっても他の有益な体構成成分(水分、筋肉、骨など)の変化が伴わないか非常に小さいので、健康的に非常に好ましい結果を達成することができる。
【0017】
前記アルロースは、統計的に有意に除脂肪量(lean body weight)の減少を抑制するものである組成物であってもよい。前記除脂肪量減少の抑制は、投与前/後に測定された除脂肪量の平均変化量が基底時点に対する12週時点で1.5%以内、好ましくは1.0%以内であってもよい。
【0018】
肝CT中、対照群のLiver HU平均値、Liver−Spleen HU、Liver/Spleen HU項目で全て減少する傾向を示し、投与前後で統計的に有意な差を示した。本試験では、肝機能を反映する血中肝酵素指標が共通的にアルロース服用以後に好転する結果が示され、非アルコール性脂肪肝疾患は肥満によって誘発される代謝症候群のまた他の表現型と見なされる。結論的に、前記人体構成要素を分析した結果によれば、アルロースが体脂肪蓄積および筋肉量減少を抑制した。
【0019】
また、実験室的検査中、Alkaline phosphatase、γ−GTP項目が、基底時点に対する12週時点で高容量群および低容量群で減少し、対照群で増加して三群間統計的に有意な差を示し、高容量群と低容量群では前/後統計的に有意な差を示した。ALTは、高容量群および低容量群で減少し、対照群で増加して三群間統計的に有意な差を示し、高容量群で前/後統計的に有意な差を示した。非アルコール性脂肪肝炎は、肥満によって誘発される代謝症候群のまた他の表現型である。
【0020】
本発明の一実施例による組成物に含まれているアルロースの含量は特に制限されず、例えば、組成物総重量を基準にして0.01〜100重量%であってもよい。
【0021】
本発明に係る組成物を投与する対象個体は、肝脂肪蓄積の抑制が必要な対象であってもよく、正常または患者である人間を含む動物であってもよい。また、肝脂肪蓄積抑制または非アルコール性脂肪肝疾患を有しているか、前記疾患を有する危険があるか、前記疾患が発生する原因、例えば肥満または過体重などを有する正常人であってもよい。
【0022】
本明細書で用語“投与”とは、ある適切な方法で対象に本発明の組成物を導入する行為を意味し、投与経路は目的組織に到達できる限り経口または非経口の多様な経路を通じて投与することができ、好ましくは経口投与である。
【0023】
本発明の組成物の投与頻度は特に制限されないが、1日1回〜4回投与するかまたは容量を分割して数回投与することができる。例えば、アルロースを1日1−4回投与する場合、同一な量で均等分割するか異なる量で分割して投与することができる。
【0024】
前記アルロースの1日投与量は、対象個体の単位体重kg当り0.05〜0.75g、さらに好ましくは0.05〜0.75gの量であってもよく、ヒトの平均体重を60kgにして3〜45g、好ましくは3〜25g、さらに好ましくは6〜12gであってもよい。
【0025】
本発明に係る組成物に含まれるアルロースは、粉末またはシロップ形態であり、例えば純度90重量%以上のアルロースの粉末、またはこれを用いて多様な濃度で製造した溶液または果糖−含有溶液で化学的または生物学的方法でアルロースに転換した溶液であってもよい。
【0026】
また、前記アルロースは、アルロース単独で使用するか、または追加の他の糖類を含む混合糖であってもよく、混合糖の例は全体混合糖の固形分100重量部を基準にして1〜99.9重量部のアルロースを含有することができ、追加的に果糖、ブドウ糖、およびオリゴ糖からなる群より選択された1種以上を追加的に含むことができる。
【0027】
前記アルロース含有混合糖の具体的な例は、混合糖の全体固形分含量100重量部を基準にして、アルロース2〜55重量部、果糖30〜80重量部およびブドウ糖2〜60重量部、およびオリゴ糖0〜15重量部を含むものであってもよく、オリゴ糖は含まなくてもよい。前記アルロース、果糖およびブドウ糖は、好ましくは全てD型−異性体である。
【0028】
前記アルロースは、化学的合成、またはアルロースエピマー化酵素を用いた生物学的方法で製造することができ、好ましくは生物学的方法で製造することができる。よって、前記アルロースは、アルロースエピマー化酵素、前記酵素を生産する菌株の菌体、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選択された1種以上を含むアルロース生産用組成物を、果糖−含有原料と反応して製造されたものであってもよい。本発明の一例で、生物学的方法によってアルロースを製造する方法としては、アルロースエピマー化酵素を生産する菌株またはアルロースエピマー化酵素をコードする遺伝子が導入された組換え菌株を培養し、これから得られたアルロースエピマー化酵素を果糖−含有原料と反応して生産することができる。前記アルロースエピマー化酵素は、液状反応または固定化酵素を用いた固相反応で製造することができる。
【0029】
または、アルロースエピマー化酵素を生産する菌株またはアルロースエピマー化酵素をコードする遺伝子が導入された組換え菌株を得て、菌株の菌体、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選択された1種以上を含むアルロース生産用組成物を、果糖−含有原料と反応して製造することができる。アルロースエピマー化酵素を生産する菌株の菌体を用いてアルロースを製造する場合、液状反応または固定化菌体を用いた固相反応で製造することができる。
【0030】
前記アルロース生産方法において、効率的なアルロース生産のために、基質として使用される果糖の濃度は全体反応物を基準にして20w/v%以上、例えば40〜98%(w/v)または40〜95%(w/v)、例えば40〜75%または50〜95%(w/v)であってもよい。果糖の濃度は、工程の経済性、果糖の溶解度を考慮して適切に選択することができる。前記果糖は、緩衝溶液または水(例えば、蒸留水)に溶解された溶液状態で使用することができる。
【0031】
前記アルロースおよびその製造方法に関する詳しい技術内容は、韓国公開特許第2014−0021974号、韓国公開特許第2014−0080282号および韓国登録特許第10−1318422号に記載されている。
【0032】
本発明の食品組成物は、当業界で公知の通常の方法によって多様な形態に製造することができ、アルロースは食品、飲料、食品添加物、飲料添加物、健康機能食品などの種類として製造されて提供できる。例えば、お茶、ジュース、炭酸飲料、イオン飲料、ドリンクなどの飲料類;散剤、錠剤、カプセル剤などの健康食品製剤類;ガム、菓子、パン、麺などの食品類などになり得る。本発明の食品組成物には、その有効成分以外に、甘味剤、香味剤、風味剤などが含まれてもよい。また、本発明の食品組成物は、必要によって保存剤、乳化剤、粘増剤などを含むことができる。本発明の食品は、非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善を目的として、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液状、丸剤などの形態に製造および加工することができる。
【0033】
本発明で“健康機能食品”とは、健康機能食品に関する法律に従って人体に有用な機能性を有する原料や成分を使用して製造(加工を含む)した食品をいい、“機能性”とは、人体の正常的な機能を維持するか生理機能活性化を通じて健康を維持し改善するなどのような、保健用途に有用な効果を得ることをいう。また、前記機能性は、人体の成長・増進および正常的な機能に対する栄養素の生理学的作用である栄養素機能、人体の正常機能や生物学的活動に特別な効果を示す健康上の寄与や機能向上または健康維持・改善作用である生理活性機能、または食品の摂取が疾病の発生または健康状態の危険を減少する作用である疾病発生危険減少機能を意味する。
【0034】
前記食品はアルロース適用可能な食品であれば特に制限されず、例えば、穀類加工品、豆類加工品、薯類加工品、糖類加工品、水産物加工品、その他加工品、菓子、キャンディ類(例、ハードキャンディ、ゼリー類、グミ類)、パン類、餃子類、食肉加工品、卵加工品、寒天類、加工油脂、その他麺類、油湯麺類、固形茶、液状茶、コーヒー、果菜ジュース、果菜飲料、その他発酵飲料、高麗人参紅参飲料、混合飲料、飲料ベース、調味味噌、コチュジャン、チョングクチャン、ソース類、複合調味食品、ハクサイキムチ、調味塩辛、漬物類、糖漬物、農産物煮物、畜産物煮物、調味干物類、干物類、落花生または堅果類加工品、果菜加工品、調味海苔、抽出食品、即席摂取食品、パーボイルド米、きのこ子実体加工食品飲料類、肉類加工品類、チョコレート、菓子類、ピザ、麺類(ラーメン、そばなど)、ガム類、アイスクリーム類、アルコール飲料類、ビタミン複合剤および健康補助食品類などであってもよい。
【0035】
本発明に係る食品は通常の食品添加物を含むことができ、食品添加物としての適合可否は、他の規定がない限り、食品医薬品安全庁に承認された食品添加物共典の総則および一般試験法などによって該当品目に関する規格および基準によって判定する。
【0036】
前記“食品添加物共典”に記載された品目としては、例えば、ケトン類、グリシン、クエン酸カルシウム、ニコチン酸、桂皮酸などの化学的合成物;カキ色素、甘草抽出物、結晶セルロース、コウリャン色素、グアーガムなどの天然添加物;L−グルタミン酸ナトリウム製剤、麺類添加アルカリ剤、保存料製剤、タール色素製剤などの混合製剤類などが挙げられる。本発明に係る非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善用組成物は、薬学組成物または食品組成物として使用することができる。
【0037】
本発明の一例で、非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善用薬学組成物は、本発明に係る薬剤学的組成物として製造できる。本発明に係る薬剤学的組成物は、経口または非経口で投与することができ、好ましくは経口投与方式で適用される。
【0038】
本発明に係る薬剤学的組成物は、薬剤学的に許容される担体を含む。前記担体は製剤時に通常用いられるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウムおよびミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるのではない。本発明に係る薬剤学的組成物は、必要によって前記成分以外に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを追加的に含むことができる。参考に、薬剤学的に許容される適した担体および製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳しく記載されている。
【0039】
本発明に係る薬剤学的組成物の適した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、食べ物、投与時間、投与経路、排せつ速度および反応感応性のような要因によって多様に処方できる。
【0040】
本発明の薬剤学的組成物は、薬剤学的に許容される担体および/または賦形剤を用いて製剤化することによって単位容量形態に製造されるか多用量容器内に入れて製造することができる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに詳しく説明する。しかし、これら実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって限定されるのではない。
【0042】
製造例1: アルロースの準備
下記実施例に使用されたアルロース粉末は、韓国公開特許第2014−0021974号、韓国公開特許第2014−0080282号および韓国登録特許第10−1318422号に記載された方法によって製造した。
【0043】
実施例1:有効性試験
(1)対象選定
本実施例の目的と研究方法などに関する詳細な説明を聞いてから書面同意した者を対象にしてスクリーニング検査を実施した後、選定/除外基準に適した者を選定した。具体的選定基準は下記の通りであり、最終選定された対象は過体重あるいは肥満である成人男女99名であり、選定対象者の人口統計学的情報は下記表1に示した。
選定基準
1.満19歳以上65歳以下の成人男女
2.BMIが23kg/m2以上30kg/m2未満の過体重成人男女
3.可妊期女性の場合、スクリーニング時妊娠反応検査で陰性である者
4.調節が可能な患者(糖尿あるいは高血圧など):薬物によってよく調節される患者を含み、対象中10%が高血圧を有し、5%が糖尿を有する。
本人体適用試験に参加した対象者の性別は、高容量群は男性が5名(15.15%)、女性が28名(84.85%)、低容量群は男性が6名(18.18%)、女性が27名(81.82%)、対照群は男性が2名(6.06%)、女性が31名(93.94%)であった。高容量群は平均年齢が45.06歳(範囲:25歳〜65歳)、低容量群は41.52歳(範囲:26歳〜61歳)、対照群は44.61歳(範囲:26歳〜63歳)と示され、性別と年齢全て対象者分布に統計的に有意な差を示さなかった。
前記99名に選定された対象を3グループに区分して高容量群(33名)、低容量群(33名)、対照群(33名)と試験対象を最終決定した。
【0044】
【表1】
【0045】
(2)試験製品
99名に選定された試験対象を3グループに区分して高容量群(33名)、低容量群(33名)、対照群(33名)に下記のような三つの製品をそれぞれ提供して有効性試験を行った。高容量試験群にアルロース高容量製品を、低容量試験群にアルロース低容量製品を、対照群にプラシーボ(Placebo)製品を提供した。
前記製品群は、気密容器、室温(1〜30℃)、乾燥して風通しのよい所に保管した。
【0046】
【表2】
【0047】
(3)摂取方法
試験対象99名を高容量群、低容量群または対照群に無作為配分して各試験群当り33名ずつ含むようにした。3個試験群で同一に1日2回水100mLに溶かして経口摂取させた。
試験対象1名に対する1日摂取量は、高容量群の場合、アルロース12g、低容量群の場合、アルロース6gと無水ブドウ糖6g、対照群の場合、無水ブドウ糖12gを1日2回に分割して提供した。無作為配分日(0Day)の翌日から摂取するようにし、12週間食事と共に朝および夕方2回飲用水と共に摂取させるようにした。
無作為配分日(0Day)にDXA測定などの有効性評価項目および安全性評価項目を実施し、人体適用試験用製品摂取開始時点を基準にして4週、8週と12週に外来訪問を通じて当該訪問に対する評価項目を実施した。また、人体適用試験期間の間、韓国語版国際身体活動アンケート(IPAQ)を用いて対象者の平素の身体活動量を調査した。本人体適用試験期間の間、平常の身体活動量と同様に活動量を維持するように教育を実施した。各訪問時、対象者が記録した日誌を用いて食事摂取量を調査した。食事摂取量はまた平素の食事と同様に摂取し、食べすぎないように教育を実施した。
【0048】
実施例2: 有効性評価方法
(1)DXAで測定した体脂肪量(Body fat)と除脂肪量(lean body mass)
訪問2(Visit2)と終了訪問(Visit5)時点で米国Lunar社のprodigy DXAを使用して体脂肪率(Body fat ratio)と体脂肪量(Body fat)を測定した。
DXAで測定した体脂肪量に対して基底時点に対する12週後の体脂肪量の変化量を算出した後、記述統計量(平均、標準偏差、中央値、最小値、最大値)を整理し、資料の正規分布有無を検定してANOVAまたはKruscal−Wallis testを用いて三群間比較検定し、群間に有意な差がある場合、Tukey−Kramer方法を通じて多重比較を実施した。群内平均変化量に差があるか調べてみるために、Paired t−testまたはWilcoxon’s signed rank testを用いて分析した。
【0049】
(2)糖指標検査
採取した血液を用いてスクリーニング訪問(Visit1)、訪問2(Visit2)と終了訪問(Visit5)時点でのFBS、Insulin、HbA1c検査を施行した。
基底時点に対する12週後の糖指標(FBS、Insulin、HbA1c)の平均変化量を算出した後、記述統計量(平均、標準偏差、中央値、最小値、最大値)を提示し、資料の正規分布有無を検定してANOVAまたはKruscal−Wallis testを用いて三群間比較検定し、群間に有意な差がある場合、Tukey−Kramer方法を通じて多重比較を実施した。群内平均変化量に差があるか調べてみるために、Paired t−testまたはWilcoxon’s signed rank testを用いて分析した。
【0050】
(3)肝CT
訪問2(Visit2)と訪問5(Visit5)時点で肝内脂肪沈着程度を評価するために、基底時点に対する12週後の肝のHU、脾臓のHU、肝と脾臓のHU差(Liver minus Spleen)、肝と脾臓のHU比(Ratio Between Liver and Spleen)を測定した。肝と脾臓を全て含む1個の非造影増強腹部CT映像で、肝の右葉と脾臓で血管を避けて均質的なところと選択した関心領域(regions of interest、ROI)でCT attenuation values(Hounsfield units)を3回測定して、その平均値をそれぞれのCT attenuation numberにした。この時、各関心領域の大きさは120mm2で同一に指定した。
肝CTを通じて基底時点に対する12週後の肝のHU、脾臓のHU、肝と脾臓のHU差(Liver minus Spleen)、肝と脾臓のHU比率(Ratio Between Liver and Spleen)に対して基底時点と比較した平均変化量に対して記述統計量(平均、標準偏差、中央値、最小値、最大値)を提示し、資料の正規分布有無を検定してANOVAまたはKruscal−Wallis testを用いて三群間比較検定し、群間に有意な差がある場合、Tukey−Kramer方法を通じて多重比較を実施した。群内平均変化量に差があるか調べてみるために、paired t−testまたはWilcoxon’s signed rank testを用いて比較分析した。
【0051】
(4)血液化学的検査結果
スクリーニング訪問(Visit1)、訪問2(Visit2)および終了訪問(Visit5)時に施行された検査項目は、Alkaline phosphatase、AST、ALT、γ−GTPであった。
連続型資料の場合、基底時点と比較した平均変化量に対して記述統計量(平均、標準偏差、中央値、最小値、最大値)を提示し、資料の正規分布有無を検定してANOVAまたはKruscal−Wallis testを用いて三群間比較検定し、群間に有意な差がある場合、Tukey−Kramer方法を通じて多重比較を実施した。また、群内平均変化量に差があるか調べてみるために、資料の正規分布有無を検定してPaired t−testまたはWilcoxon’ signed rank sum testを通じて比較分析した。カテゴリカルデータの場合、記述統計量(頻度、百分率)を提示し、Chi−square testまたはFisher’ exact testを用いて三群間比較検定した。
【0052】
実施例3: 有効性評価結果
(1)DXAで測定した体脂肪量(Body fat)と除脂肪量(lean body mass)
8ITT分析対照群99名を対象にして基底時点に対する12週時点の体脂肪量(Body fat)項目の平均変化量は、高容量群の場合0.25±1.34kg増加し、低容量群の場合0.16±0.91kg増加し、対照群の場合0.95±1.65kg増加し、三群間統計的に有意な差を示した(p−value=0.0358)。また、対照群の場合、基底時点に対する12週時点での前後統計的に有意な差を示した(p−value=<0.0001)。
Lean項目の平均変化量は三群間統計的に有意な差を示さず、対照群の場合、基底時点に対する12週時点での平均変化量が−0.61±1.28kg減少して統計的に有意な差を示した(p−value=0.0048)。DXAで測定した体脂肪量に関する結果を下記表3に示した。
【0053】
【表3】
【0054】
DXAで測定した体脂肪量項目は、基底時点に対する12週時点の変化量が三群間統計的に有意な差を示した。対照群は体脂肪量増加が前/後統計的に有意な差を示したが、アルロース低容量群および高容量群では若干増加したものの前/後統計的に有意な差はなかった。
除脂肪量(lean body mass)は、対照群で12週後に−0.61±1.28kg減少したが、アルロース服用群は服用前後に差を示さなかった。本研究では対象者選定基準に過体重を含んだため全体対象者は軽度肥満群(平均体質量指数27以下)でありグループ当り対象者数が不足して統計的有意な体重や体質量指数の変化を観察できなかったと思われる。筋肉量減少を抑制した。
【0055】
(2)糖指標
ITT分析対照群99名を対象にした糖指標検査の結果、Glucose、Insulin、HbA1c全ての項目で基底時点に対する12週時点の平均変化量の高容量群、低容量群および対照群間の差は有意でなく、群内前後差も統計的に有意でなくて、正常血糖である分析対照群での血糖低下効果はなかった。分析対照群の糖指標分析結果を下記表4、表5および表6に示した。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
(3)肝CT
ITT分析対照群99名を対象にして検査した肝CT検査の結果、全ての項目で基底時点に対する12週時点の平均変化量は三群間統計的に有意な差は示されなかった。肝CT中、対照群のLiverHU平均値、Liver−SpleenHU、Liver/SpleenHU項目で全て減少傾向を示し、前後統計的に有意な差を示した(p−value=0.0300、0.0027、0.0029)。
【0060】
【表7】
【0061】
(4)血液化学的検査結果
血液化学的検査項目別に、基底時点に対する12週時点で平均変化量の群間差を分析し、その中のAlkaline phosphatase(p−value=<0.0001)、ALT(SGPT)(p−value=0.0127)、γ−GTP(p−value=0.0043)で三群間統計的に有意な差が示された。
Alkaline phosphatase、γ−GTP項目が、基底時点に対する12週時点で高容量群と低容量群では減少し、対照群で増加して三群間統計的に有意な差を示し、高容量群と低容量群では前/後統計的に有意な差を示した。ALTは高容量群と低容量群で減少し、対照群で増加して三群間統計的に有意な差を示し、高容量群で前/後統計的に有意な差を示した。
【0062】
【表8】
【0063】
Alkaline phosphatase、γ−GTP項目が、基底時点に対する12週時点で、高容量群および低容量群では減少し、対照群では増加して三群間統計的に有意な差を示し、高容量群と低容量群では前/後統計的に有意な差を示した。ALTは高容量群と低容量群では減少し、対照群では増加して三群間統計的に有意な差を示し、高容量群で前/後統計的に有意な差を示した。本試験では肝機能を反映する血中肝酵素指標が共通的にアルロース服用以後に好転する結果を示し、非アルコール性脂肪肝疾患は肥満によって誘発される代謝症候群のまた他の表現型と見なされる。結論的に、以上の体構成要素を分析した結果は、アルロースが体脂肪蓄積および筋肉量減少を抑制した。
【0064】
実施例4: 安全性実験
安全性実験のための理学的検査で低容量群および高容量群は全ての項目で正常あるいは臨床的に意味がない異常所見と調査され、三群間統計的に有意な差は示されなかった。理学的検査総12個の詳細項目(ITT、Ears/Nose/Throat、Eye、/Head/Neck、Cardiovascular system、Abdomen、Respiratory system、Breast/Genitalia、Neurological system、Lymph nodes、Skin、Musculoskeletalなど)は“正常(Normal)、異常(Abnormal:Not Clinically Significant)、異常(Abnormal:Clinically Significant)”の三つ範疇に分類され、全ての項目で正常あるいは臨床的に意味がない異常所見と調査され、三群間統計的に有意な差は示されなかった。
そして、バイタルサイン実験結果でも収縮器血圧平均変化量は基底時点に対する8週時点で高容量群は4.15±10.30mmHg減少、低容量群は2.67±9.71mmHg減少、対照群で1.73±9.63mmHg増加し、三群間統計的に有意な差を示した(p−value=0.0349)。その他、拡張期血圧、脈拍では三群間統計的に有意な差は示されなかった。
また、実験室検査で項目別基底時点に対する12週時点で平均変化量の群間差を分析し、血液化学的検査項目の中のAlkaline phosphatase(p−value=<0.0001)、ALT(SGPT)(p−value=0.0127)、γ−GTP(p−value=0.0043)で三群間統計的に有意な差が示された。小便検査の正常有無を比較した結果、臨床的に意味のある異常対象者は存在せず、全ての項目で三群間統計的に有意な差はなかった。
図1