【実施例】
【0041】
  以下、本発明を下記の実施例によってさらに詳しく説明する。しかし、これら実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって限定されるのではない。
【0042】
  製造例1:  アルロースの準備
  下記実施例に使用されたアルロース粉末は、韓国公開特許第2014−0021974号、韓国公開特許第2014−0080282号および韓国登録特許第10−1318422号に記載された方法によって製造した。
【0043】
  実施例1:有効性試験
  (1)対象選定
  本実施例の目的と研究方法などに関する詳細な説明を聞いてから書面同意した者を対象にしてスクリーニング検査を実施した後、選定/除外基準に適した者を選定した。具体的選定基準は下記の通りであり、最終選定された対象は過体重あるいは肥満である成人男女99名であり、選定対象者の人口統計学的情報は下記表1に示した。
  選定基準
  1.満19歳以上65歳以下の成人男女
  2.BMIが23kg/m2以上30kg/m2未満の過体重成人男女
  3.可妊期女性の場合、スクリーニング時妊娠反応検査で陰性である者
  4.調節が可能な患者(糖尿あるいは高血圧など):薬物によってよく調節される患者を含み、対象中10%が高血圧を有し、5%が糖尿を有する。
  本人体適用試験に参加した対象者の性別は、高容量群は男性が5名(15.15%)、女性が28名(84.85%)、低容量群は男性が6名(18.18%)、女性が27名(81.82%)、対照群は男性が2名(6.06%)、女性が31名(93.94%)であった。高容量群は平均年齢が45.06歳(範囲:25歳〜65歳)、低容量群は41.52歳(範囲:26歳〜61歳)、対照群は44.61歳(範囲:26歳〜63歳)と示され、性別と年齢全て対象者分布に統計的に有意な差を示さなかった。
  前記99名に選定された対象を3グループに区分して高容量群(33名)、低容量群(33名)、対照群(33名)と試験対象を最終決定した。
【0044】
【表1】
【0045】
  (2)試験製品
  99名に選定された試験対象を3グループに区分して高容量群(33名)、低容量群(33名)、対照群(33名)に下記のような三つの製品をそれぞれ提供して有効性試験を行った。高容量試験群にアルロース高容量製品を、低容量試験群にアルロース低容量製品を、対照群にプラシーボ(Placebo)製品を提供した。
  前記製品群は、気密容器、室温(1〜30℃)、乾燥して風通しのよい所に保管した。
【0046】
【表2】
【0047】
  (3)摂取方法
  試験対象99名を高容量群、低容量群または対照群に無作為配分して各試験群当り33名ずつ含むようにした。3個試験群で同一に1日2回水100mLに溶かして経口摂取させた。
  試験対象1名に対する1日摂取量は、高容量群の場合、アルロース12g、低容量群の場合、アルロース6gと無水ブドウ糖6g、対照群の場合、無水ブドウ糖12gを1日2回に分割して提供した。無作為配分日(0Day)の翌日から摂取するようにし、12週間食事と共に朝および夕方2回飲用水と共に摂取させるようにした。
  無作為配分日(0Day)にDXA測定などの有効性評価項目および安全性評価項目を実施し、人体適用試験用製品摂取開始時点を基準にして4週、8週と12週に外来訪問を通じて当該訪問に対する評価項目を実施した。また、人体適用試験期間の間、韓国語版国際身体活動アンケート(IPAQ)を用いて対象者の平素の身体活動量を調査した。本人体適用試験期間の間、平常の身体活動量と同様に活動量を維持するように教育を実施した。各訪問時、対象者が記録した日誌を用いて食事摂取量を調査した。食事摂取量はまた平素の食事と同様に摂取し、食べすぎないように教育を実施した。
【0048】
  実施例2:  有効性評価方法
  (1)DXAで測定した体脂肪量(Body  fat)と除脂肪量(lean  body  mass)
  訪問2(Visit2)と終了訪問(Visit5)時点で米国Lunar社のprodigy  DXAを使用して体脂肪率(Body  fat  ratio)と体脂肪量(Body  fat)を測定した。
  DXAで測定した体脂肪量に対して基底時点に対する12週後の体脂肪量の変化量を算出した後、記述統計量(平均、標準偏差、中央値、最小値、最大値)を整理し、資料の正規分布有無を検定してANOVAまたはKruscal−Wallis  testを用いて三群間比較検定し、群間に有意な差がある場合、Tukey−Kramer方法を通じて多重比較を実施した。群内平均変化量に差があるか調べてみるために、Paired  t−testまたはWilcoxon’s  signed  rank  testを用いて分析した。
【0049】
  (2)糖指標検査
  採取した血液を用いてスクリーニング訪問(Visit1)、訪問2(Visit2)と終了訪問(Visit5)時点でのFBS、Insulin、HbA1c検査を施行した。
  基底時点に対する12週後の糖指標(FBS、Insulin、HbA1c)の平均変化量を算出した後、記述統計量(平均、標準偏差、中央値、最小値、最大値)を提示し、資料の正規分布有無を検定してANOVAまたはKruscal−Wallis  testを用いて三群間比較検定し、群間に有意な差がある場合、Tukey−Kramer方法を通じて多重比較を実施した。群内平均変化量に差があるか調べてみるために、Paired  t−testまたはWilcoxon’s  signed  rank  testを用いて分析した。
【0050】
  (3)肝CT
  訪問2(Visit2)と訪問5(Visit5)時点で肝内脂肪沈着程度を評価するために、基底時点に対する12週後の肝のHU、脾臓のHU、肝と脾臓のHU差(Liver  minus  Spleen)、肝と脾臓のHU比(Ratio  Between  Liver  and  Spleen)を測定した。肝と脾臓を全て含む1個の非造影増強腹部CT映像で、肝の右葉と脾臓で血管を避けて均質的なところと選択した関心領域(regions  of  interest、ROI)でCT  attenuation  values(Hounsfield  units)を3回測定して、その平均値をそれぞれのCT  attenuation  numberにした。この時、各関心領域の大きさは120mm2で同一に指定した。
  肝CTを通じて基底時点に対する12週後の肝のHU、脾臓のHU、肝と脾臓のHU差(Liver  minus  Spleen)、肝と脾臓のHU比率(Ratio  Between  Liver  and  Spleen)に対して基底時点と比較した平均変化量に対して記述統計量(平均、標準偏差、中央値、最小値、最大値)を提示し、資料の正規分布有無を検定してANOVAまたはKruscal−Wallis  testを用いて三群間比較検定し、群間に有意な差がある場合、Tukey−Kramer方法を通じて多重比較を実施した。群内平均変化量に差があるか調べてみるために、paired  t−testまたはWilcoxon’s  signed  rank  testを用いて比較分析した。
【0051】
  (4)血液化学的検査結果
  スクリーニング訪問(Visit1)、訪問2(Visit2)および終了訪問(Visit5)時に施行された検査項目は、Alkaline  phosphatase、AST、ALT、γ−GTPであった。
  連続型資料の場合、基底時点と比較した平均変化量に対して記述統計量(平均、標準偏差、中央値、最小値、最大値)を提示し、資料の正規分布有無を検定してANOVAまたはKruscal−Wallis  testを用いて三群間比較検定し、群間に有意な差がある場合、Tukey−Kramer方法を通じて多重比較を実施した。また、群内平均変化量に差があるか調べてみるために、資料の正規分布有無を検定してPaired  t−testまたはWilcoxon’  signed  rank  sum  testを通じて比較分析した。カテゴリカルデータの場合、記述統計量(頻度、百分率)を提示し、Chi−square  testまたはFisher’  exact  testを用いて三群間比較検定した。
【0052】
  実施例3:  有効性評価結果
  (1)DXAで測定した体脂肪量(Body  fat)と除脂肪量(lean  body  mass)
  8ITT分析対照群99名を対象にして基底時点に対する12週時点の体脂肪量(Body  fat)項目の平均変化量は、高容量群の場合0.25±1.34kg増加し、低容量群の場合0.16±0.91kg増加し、対照群の場合0.95±1.65kg増加し、三群間統計的に有意な差を示した(p−value=0.0358)。また、対照群の場合、基底時点に対する12週時点での前後統計的に有意な差を示した(p−value=<0.0001)。
  Lean項目の平均変化量は三群間統計的に有意な差を示さず、対照群の場合、基底時点に対する12週時点での平均変化量が−0.61±1.28kg減少して統計的に有意な差を示した(p−value=0.0048)。DXAで測定した体脂肪量に関する結果を下記表3に示した。
【0053】
【表3】
【0054】
  DXAで測定した体脂肪量項目は、基底時点に対する12週時点の変化量が三群間統計的に有意な差を示した。対照群は体脂肪量増加が前/後統計的に有意な差を示したが、アルロース低容量群および高容量群では若干増加したものの前/後統計的に有意な差はなかった。
  除脂肪量(lean  body  mass)は、対照群で12週後に−0.61±1.28kg減少したが、アルロース服用群は服用前後に差を示さなかった。本研究では対象者選定基準に過体重を含んだため全体対象者は軽度肥満群(平均体質量指数27以下)でありグループ当り対象者数が不足して統計的有意な体重や体質量指数の変化を観察できなかったと思われる。筋肉量減少を抑制した。
【0055】
  (2)糖指標
  ITT分析対照群99名を対象にした糖指標検査の結果、Glucose、Insulin、HbA1c全ての項目で基底時点に対する12週時点の平均変化量の高容量群、低容量群および対照群間の差は有意でなく、群内前後差も統計的に有意でなくて、正常血糖である分析対照群での血糖低下効果はなかった。分析対照群の糖指標分析結果を下記表4、表5および表6に示した。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
  (3)肝CT
  ITT分析対照群99名を対象にして検査した肝CT検査の結果、全ての項目で基底時点に対する12週時点の平均変化量は三群間統計的に有意な差は示されなかった。肝CT中、対照群のLiverHU平均値、Liver−SpleenHU、Liver/SpleenHU項目で全て減少傾向を示し、前後統計的に有意な差を示した(p−value=0.0300、0.0027、0.0029)。
【0060】
【表7】
【0061】
  (4)血液化学的検査結果
  血液化学的検査項目別に、基底時点に対する12週時点で平均変化量の群間差を分析し、その中のAlkaline  phosphatase(p−value=<0.0001)、ALT(SGPT)(p−value=0.0127)、γ−GTP(p−value=0.0043)で三群間統計的に有意な差が示された。
  Alkaline  phosphatase、γ−GTP項目が、基底時点に対する12週時点で高容量群と低容量群では減少し、対照群で増加して三群間統計的に有意な差を示し、高容量群と低容量群では前/後統計的に有意な差を示した。ALTは高容量群と低容量群で減少し、対照群で増加して三群間統計的に有意な差を示し、高容量群で前/後統計的に有意な差を示した。
【0062】
【表8】
【0063】
  Alkaline  phosphatase、γ−GTP項目が、基底時点に対する12週時点で、高容量群および低容量群では減少し、対照群では増加して三群間統計的に有意な差を示し、高容量群と低容量群では前/後統計的に有意な差を示した。ALTは高容量群と低容量群では減少し、対照群では増加して三群間統計的に有意な差を示し、高容量群で前/後統計的に有意な差を示した。本試験では肝機能を反映する血中肝酵素指標が共通的にアルロース服用以後に好転する結果を示し、非アルコール性脂肪肝疾患は肥満によって誘発される代謝症候群のまた他の表現型と見なされる。結論的に、以上の体構成要素を分析した結果は、アルロースが体脂肪蓄積および筋肉量減少を抑制した。
【0064】
  実施例4:  安全性実験
  安全性実験のための理学的検査で低容量群および高容量群は全ての項目で正常あるいは臨床的に意味がない異常所見と調査され、三群間統計的に有意な差は示されなかった。理学的検査総12個の詳細項目(ITT、Ears/Nose/Throat、Eye、/Head/Neck、Cardiovascular  system、Abdomen、Respiratory  system、Breast/Genitalia、Neurological  system、Lymph  nodes、Skin、Musculoskeletalなど)は“正常(Normal)、異常(Abnormal:Not  Clinically  Significant)、異常(Abnormal:Clinically  Significant)”の三つ範疇に分類され、全ての項目で正常あるいは臨床的に意味がない異常所見と調査され、三群間統計的に有意な差は示されなかった。
  そして、バイタルサイン実験結果でも収縮器血圧平均変化量は基底時点に対する8週時点で高容量群は4.15±10.30mmHg減少、低容量群は2.67±9.71mmHg減少、対照群で1.73±9.63mmHg増加し、三群間統計的に有意な差を示した(p−value=0.0349)。その他、拡張期血圧、脈拍では三群間統計的に有意な差は示されなかった。
  また、実験室検査で項目別基底時点に対する12週時点で平均変化量の群間差を分析し、血液化学的検査項目の中のAlkaline  phosphatase(p−value=<0.0001)、ALT(SGPT)(p−value=0.0127)、γ−GTP(p−value=0.0043)で三群間統計的に有意な差が示された。小便検査の正常有無を比較した結果、臨床的に意味のある異常対象者は存在せず、全ての項目で三群間統計的に有意な差はなかった。