(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プレナムチャンバを備えている患者インタフェースフレームに連結するように構成され、鼻上シール部および口シール部を備えている、患者インタフェースのための発泡体クッションアセンブリであって、
前記患者の鼻および口の周りをシールするために配置されている発泡体クッションと、
前記発泡体クッションに連結するように配置され、前記プレナムチャンバの内側においてくぼみを有する凹状の断面を有する凹状部分を有しているクッション支持部品であって、前記クッション支持部品は、前記クッション支持部品の少なくとも周辺にわたって、厚さに対する高さの割合が少なくとも3であることを特徴とする、クッション支持部品と、を備え、
前記高さは、前記クッション支持部品の壁が、(a)発泡体クッションが該壁に付着する第1の境界と、(b)前記患者インタフェースフレームまたは第2の支持部品が前記壁に付着する第2の境界との間に延びる距離によって特徴付けられ、前記第2の境界は、前記第1の境界から離れたところに位置し、
前記割合の前記厚さは、前記第1の境界と前記第2の境界との間にある前記壁の一部の厚さによって特徴付けられている、発泡体クッションアセンブリ。
前記クッション支持部品は、可撓性であり、剛性材料から形成され、1つまたは複数のコンプライアンス領域を導入することにより可撓性を生じさせる、請求項2に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記クッション支持部品は、使用時に前記患者インタフェースに圧力が加えられたときに空気ばね効果を容易にする、寸法、および材料特性を有している、請求項1または2に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記発泡体クッションは、約110.48〜303.11ニュートンの押込硬度特徴を有している、請求項1から10のいずれか1項に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記発泡体クッションは、約2.32〜7.26キロパスカルの圧縮応力歪み特徴を有している、請求項1から11のいずれか1項に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記発泡体クッションは、約24.3〜117.85キログラム毎立方メートルの見掛け密度特徴を有している、請求項1から12のいずれか1項に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記発泡体クッションは、約0.16〜17.30パーセントの圧縮永久歪み特徴を有している、請求項1から13のいずれか1項に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記クッション支持部品の形状、寸法、および材料特徴が、前記クッション支持部品の少なくとも一部が片持ちばねとして、使用時に作用するように選択されている、請求項1から16のいずれか1項に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記第2の支持部品は、前記クッション支持部品より剛性が高く、前記クッション支持部品が前記発泡体クッションより剛性が高い、請求項18に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記発泡体クッション、前記クッション支持部品、および前記第2の支持部品は、一体接続されている、請求項18から20のいずれか1項に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記クッションアセンブリの外周に沿った少なくともいくつかのセクションは、前記クッションアセンブリの外周に沿った他のセクションの支持およびコンプライアンス特性とは異なる支持およびコンプライアンス特性を有している、請求項1から21のいずれか1項に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記発泡体クッションおよび前記クッション支持部品のばね定数は、0.05ニュートン毎ミリメートル〜0.18ニュートン毎ミリメートルであることを特徴とする、請求項1から23のいずれか1項に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記外周リップと前記発泡体クッションの係合は、前記リップの外周に沿った少なくとも一部に張出し発泡部を形成している、請求項25に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記クッション支持部品は、プレナムチャンバ内の第1の面を有するクッションカップリング部を備え、該クッションカップリング部は、前記第1の面の反対側に位置する第2の面を有しており、前記発泡体は、前記第2の面に取り付けられている、請求項1から27のいずれか1項に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記クッション支持部品の前記クッションカップリング部は、使用時に前記プレナムチャンバに巻込み反応をもたらすように構成されている、請求項28に記載の発泡体クッションアセンブリ。
使用時に、ヘッドギアストラップによって押し下げられて、前記発泡体クッションのそれぞれの領域に圧力を加えるように構成された突起をさらに備えている、請求項1から29のいずれか1項に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記クッション支持部品は、接触面が設けられている発泡体クッションカップリング部を備え、これに前記発泡体クッションが取り付けられている、請求項1から32のいずれか1項に記載の発泡体クッションアセンブリ。
前記発泡体クッションは、前記鼻および口のために、共通のプレナムチャンバを前記フレームと共に形成するように配置されている、請求項1から41のいずれか1項に記載の発泡体クッションアセンブリ。
【背景技術】
【0003】
2.2 関連技術の説明
身体の呼吸器系は、ガス交換を容易にする。鼻および口が患者の気道への入口を形成する。
【0004】
気道は、一連の分岐管からなり、これらの分岐管は、肺の中へ深く入り込むにつれて、より細くなり、より短くなり、より多くなる。肺の主な機能はガス交換であり、それにより、酸素が空気から静脈血中へ移動できるとともに、二酸化炭素が外部へ移動できる。気管は左右の主気管支へと分かれ、さらに、主気管支は最終的に終末細気管支へと分かれる。気管支は、誘導気道を形成し、ガス交換に関与しない。気道のさらなる分割は、呼吸細気管支をもたらし、最終的に肺胞をもたらす。肺の胞状領域は、ガス交換が行われる場所であり、呼吸領域と呼ばれる。「Respiratory Physiology」、John B.West、Lippincott Williams&Wilkins、第9版、2011年出版を参照。
【0005】
様々な呼吸器疾患が存在する。
【0006】
睡眠呼吸障害(SDB)の一形態である閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠中の上気道の閉塞によって特徴付けられる。それは、異常に小さい上気道と、睡眠中の舌、軟口蓋、および後口咽頭壁の領域における筋緊張の正常損失との組合せに起因する。病状により、罹患患者は、一般的に30〜120秒間の持続期間にわたって、時には一晩に200〜300回呼吸が停止する。それにより、しばしば、過度の日中傾眠を生じさせ、循環器疾患および脳損傷を引き起こす場合がある。該症候群は特に中高年の肥満男性に一般的な疾患であるが、罹患者がその問題に気付いていない場合がある。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照。
【0007】
チェーンストークス呼吸(CSR)は、動脈血の脱酸素および再酸素化の繰り返しを引き起こす、換気量の増大および減少の律動的な交互の周期が存在する患者の呼吸制御器の疾患である。CSRは、反復性の低酸素症に起因して有害であると考えられる。一部の患者において、CSRは、重度の睡眠乱れ、交感神経作用の増大、および、後負荷の増大を引き起こす、睡眠からの反復的な覚醒と関連付けられる。米国特許第6,532,959号(Berthon−Jones)を参照。
【0008】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の他の既知の原因がない場合の重度の肥満と覚醒慢性高炭酸ガス症との組合せとして規定される。症状としては、呼吸困難、起床時の頭痛、過度の日中の眠気が挙げられる。
【0009】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、ある特徴を共通して有する任意の一群の下気道疾患を包含する。これらの特徴としては、空気移動に対する抵抗の増大、呼吸の長い呼気相、および肺の正常な弾力性の損失が挙げられる。COPDの例は、肺気腫および慢性気管支炎である。COPDは、習慣的なタバコ喫煙(第一危険因子)、職業被爆、空気汚染、および遺伝因子によって引き起こされる。症状としては、労作時呼吸困難、慢性咳、および痰が出ることが挙げられる。
【0010】
神経筋疾患(NMD)は、内因性筋病理を介して直接的に、または神経病変を介して間接的に筋肉の機能を低下させる多くの疾患および病気を包含し得る。一部のNMD患者は、歩行能力の喪失、車椅子に束縛されること、嚥下障害、呼吸筋力低下、および最終的に呼吸不全による死に至る進行性筋肉機能障害によって特徴付けられる。神経筋疾患は、急速進行性と緩徐進行性とに分けられ得る。(i)急速進行性疾患は、数カ月にわたって悪化して数年以内に死に至る筋肉機能障害(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および十代の若者のデュシェンヌ型筋ジストロフィ(DMD))を特徴とし、(ii)可変進行性または緩徐進行性疾患は、数年にわたって悪化して平均余命をほんの少し短くする筋肉機能障害(例えば、肢帯筋ジストロフィ、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィ、および筋強直性ジストロフィ)を特徴とする。NMDにおける呼吸不全の症状としては、全身衰弱の増加、嚥下障害、労作時および安静時呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中や気分の変化の困難が挙げられる。
【0011】
胸壁疾患は、呼吸筋と胸郭との間の非効率的な結合をもたらす一群の胸郭変形である。疾患は、通常、拘束性障害によって特徴付けられるとともに、長期高炭酸ガス性呼吸不全を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後弯症が重度の呼吸不全を引き起こす場合がある。呼吸不全の症状としては、労作時呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性肺感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振が挙げられる。
【0012】
それ以外には、健常者が、呼吸器疾患の発症を予防するためにシステムおよびデバイスを利用してもよい。
【0013】
2.2.1 治療
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を治療するために、鼻持続的気道陽圧(CPAP)法が使用されている。前提は、持続的気道陽圧が、空気圧スプリントとして作用するとともに、軟口蓋および舌を後口咽頭壁から離れるように前方へ押すことによって上気道の閉塞を防止できることである。
【0014】
非侵襲的換気(NIV)は、上気道を通して患者に換気補助を提供し、呼吸作業の一部または全部を行うことにより、患者が十分に呼吸するのを補助し、および/または体内の適切な酸素レベルを維持する。換気補助は、患者インタフェースを介して提供される。NIVを用いて、CSR、OHS、COPD、MD、および胸壁疾患を治療している。
【0015】
侵襲的換気(IV)は、自分で有効な呼吸ができなくなった患者に換気補助を提供し、これは気管切開チューブを用いて行われる。
【0016】
人工呼吸器は、患者に送り込まれる呼吸のタイミングおよび圧力を制御し、患者が行う呼吸をモニタすることができる。患者の制御およびモニタ方法として、一般的に、従量式および従圧式方法がある。従量式方法としては、特に、圧調整従量式制御法(PRVC)、量換気法(VV)、および従量式持続的強制換気法(VC−CMV)が挙げられる。従圧式方法としては、特に、補助調節法(AC)、同期的間欠的強制換気法(SIMV)、制御機械換気法(CMV)、圧補助換気法(PSV)、持続的気道陽圧法(CPAP)、または呼吸終末陽圧法(PEEP)が挙げられる。
【0017】
2.2.2 システム
睡眠呼吸障害を治療するために使用する1つの公知のデバイスは、ResMed製のS9睡眠治療システムである。ResMed Stellar(登録商標)シリーズの成人用および小児用人工呼吸器などの人工呼吸器は、限定されないがNMD、OHS、およびCOPDなどのいくつかの症状を治療するために、様々な患者に対して侵襲的および非侵襲的な非依存性換気の補助を提供することができる。
【0018】
ResMed Elisee(登録商標)150人工呼吸器およびResMed VS III(登録商標)人工呼吸器は、いくつかの症状を治療するために、成人患者または小児患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存性換気の補助を提供することができる。これらの人工呼吸器は、シングルリム回路またはダブルリム回路を有する容積測定換気モードおよび気圧換気モードを提供する。
【0019】
システムは、PAPデバイス/人工呼吸器、空気回路、加湿器、患者インタフェース、およびデータ管理を含むことができる。
【0020】
2.2.3 患者インタフェース
患者インタフェースを用いて、例えば、呼吸可能ガスの流れを供給することにより、呼吸器をそのユーザに結合することができる。呼吸可能ガスの流れは、マスクを介して鼻および/または口へ、チューブを介して口へ、または気管切開チューブを介してユーザの気管へ供給され得る。施す治療に応じて、患者インタフェースは、例えば患者の顔面領域とのシールを形成して、治療を行う周囲圧力とは十分に異なる圧力、例えば、約10cmH
2Oの陽圧のガスの送出を容易にすることができる。酸素の送出などの他の治療形態について、患者インタフェースは、約10cmH
2Oの陽圧のガス供給の気道への送出を容易にするのに十分なシールを含まなくてもよい。
【0021】
患者インタフェースの設計は、いくつかの課題を呈する。顔面は複雑な3次元形状を有する。鼻のサイズおよび形状は人によってかなり異なる。頭部が骨、軟骨、および軟組織を含むため、顔面の異なる領域は、機械力に対して異なって反応する。顎または下顎骨は、頭蓋の他の骨に対して動くことができる。呼吸治療の期間中、頭部全体が動く場合がある。
【0022】
このような課題のため、一部のマスクは、閉塞性である、美的に望ましくない、コストが掛かる、うまく嵌合しない、使用し難い、特に長期にわたって着用するとき、または患者がシステムに不慣れなときに不快であるといったことの1つまたは複数に見舞われる。例えば、飛行士のためにのみ設計されたマスク、個人的保護器具(例えば、フィルタマスク)の一部として設計されたマスク、スキューバマスク、または麻酔薬投与のために設計されたマスクは、当初の用途においては許容できる場合があるが、それにもかかわらず、長期間にわたって、例えば数時間にわたって着用することは不快であり望ましくない。睡眠中にマスクを着用する場合には、これはさらに不快である。不快なマスクは、患者のコンプライアンスに影響を与えるおそれがある。
【0023】
鼻CPAP治療は、患者が治療に適合すれば、ある呼吸器疾患を治療するのに非常に有効である。マスクが不快であるか、または使用し難い場合、患者は治療に適合しないおそれがある。患者が定期的にマスクを洗うことがしばしば推奨されるため、マスクが容易に交換可能でなく、洗浄し難い(例えば、組み立てまたは分解し難い)場合、患者はマスクを交換または洗浄することができず、これは患者のコンプライアンスに影響し得る。
【0024】
これらの理由で、睡眠中に鼻CPAPを行うためのマスクは、独特の分野を形成する。
【0025】
2.2.3.1 シール形成部
患者インタフェースはシール形成部を含むことができる。
【0026】
患者インタフェースは、使用時にシール形成部を顔面に係合させる場合の設計意図によって部分的に特徴付けることができる。患者インタフェースの一形態において、シール形成部が、それぞれの左鼻孔および右鼻孔に係合する2つの下位部分を含むことができる。患者インタフェースの一形態において、シール形成部が、使用時に両鼻孔を囲む単一の要素を含むことができる。そのような単一の要素は、例えば、顔面の上唇領域および鼻梁領域を覆うように設計され得る。患者インタフェースの一形態において、シール形成部は、例えば顔面の下唇領域にシールを形成することにより、使用時に口領域を囲む要素を含むことができる。患者インタフェースの一形態において、シール形成部は、使用時に両鼻孔と口領域とを囲む単一の要素を含むことができる。これらの異なるタイプの患者インタフェースは、鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフ、および口鼻マスクを含む、製造業者による様々な名前で知られたものであり得る。
【0027】
1つのタイプのシール形成部は、患者インタフェースの外周にわたって延びるとともに、シール形成部をユーザの顔面に突合せ係合させた状態で力が患者インタフェースに加えられるときに、ユーザの顔面に対してシールするようになっている。シール形成部は、空気充填クッションまたは流体充填クッション、またはゴムなどのエラストマーから作られた弾性シール要素の成形面もしくは形成面から構成されてもよい。このタイプのシール形成部を用いると、嵌合が適切でなければ、シール形成部と顔面との間に隙間が存在し、また、患者インタフェースを顔面に押し付けてシールを達成するために、さらなる力が必要とされる。
【0028】
別のタイプのシール形成部は、陽圧がマスク内に加えられるときにユーザの顔面に対する自己シール作用をもたらすようにマスクの外周にわたって位置決めされる薄い材料のフラップシールを組み込む。これまでのスタイルのシール形成部のように、顔面とマスクとの適合が良好でなければ、シールを行うために追加の力が必要とされる場合があり、またはマスクが漏れる場合がある。さらに、シール形成部の形状が患者の形状に適合しなければ、シール形成部が使用時に折れるか、または座屈する場合があり、それにより漏れが生じる。
【0029】
別のタイプのシール形成部は、例えば鼻孔に挿入するために摩擦嵌め要素を含んでもよい。
【0030】
別の形態のシール形成部は、シールを行うために接着剤を使用することができる。一部の患者は、接着剤を自分の顔面に何度も塗布して除去することが不便であると感じる場合がある。
【0031】
様々な患者インタフェースシール形成部技術が、ResMed Limitedに譲渡された以下の特許出願、WO1998/004,310、WO2006/074,513、WO2010/135,785に開示されている。
【0032】
2.2.3.2 位置決め安定化
陽圧空気治療に使用される患者インタフェースのシール形成部は、シールに支障を来す空気圧の対応する力に晒される。したがって、シール形成部を位置決めして、それを顔面の適切な部分とのシール関係に維持するために様々な技法が使用されている。
【0033】
1つの技法は接着剤の使用である。例えば、米国特許出願公開第2010/0000534号を参照。
【0034】
別の技法は、1つまたは複数のストラップおよび安定化ハーネスの使用である。多くのそのようなハーネスには、うまく嵌合しない、かさばる、不快である、使用し難いといったことの1つまたは複数に見舞われる。
【0035】
2.2.3.3 通気孔技術
患者インタフェースシステムの一部の形態は、吐き出された二酸化炭素の流出を可能にするための通気孔を含むことができる。多くのそのような通気孔は雑音がある。他の通気孔は、使用時に塞がって不十分な流出をもたらすことがある。一部の通気孔は、例えば雑音または集束気流によって、患者1000のベッドパートナ1100の睡眠を妨げるおそれがある。
【0036】
ResMed Limitedは、いくつかの改良されたマスク通気孔技術を開発している。WO1998/034,665、WO2000/078,381、米国特許第6,581,594、米国特許出願第2009/0050156号、米国特許出願第2009/0044808号を参照。
【0037】
先行技術のマスクの雑音の表(ISO17510−2:2007、1mで10cmH
2Oの圧力)
【0038】
【表1】
【0039】
(*ISO3744に規定された試験方法を用いて、CPAPモードにおいて10cmH
2Oで測定された1つの試料のみ)
【0040】
様々な対象の音圧値を以下に挙げる。
【0041】
【表2】
【0042】
2.2.3.4 鼻枕技術
鼻枕の一形態は、Puritan Bennett製のAdam Circuitにおいて見出される。別の鼻枕、または鼻パフは、Puritan−Bennett Corporationに譲渡された米国特許第4,782,832(Trimble他)の主題である。
【0043】
ResMed Limitedは、鼻枕を組み込んだ以下の製品、すなわち、SWIFT鼻枕マスク、SWIFT II鼻枕マスク、SWIFT LT鼻枕マスク、SWIFT FX鼻枕マスクおよびLIBERTYフルフェイスマスクを製造している。ResMed Limitedに譲渡された以下の特許出願、すなわち、国際特許出願第WO2004/073,778号(特にResMed SWIFT鼻枕の態様について記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特にResMed SWIFT LT鼻枕の態様について記載)、国際特許出願第WO2005/063,328号および第WO2006/130,903号(特にResMed LIBERTYフルフェイスマスクの態様について記載)、国際特許出願第WO2009/052,560号(特にResMed SWIFT FX鼻枕の態様について記載)は、鼻枕マスクについて記載している。
【0044】
2.2.4 呼吸装置(PAPデバイス/人工呼吸器)
呼吸装置の例として、ResMedのS9AutoSet(登録商標)PAPデバイスおよびResMedのStellar(登録商標)150人工呼吸器が挙げられる。PAPデバイスまたは人工呼吸器は、一般的に、モータ駆動ブロワまたは圧縮ガスリザーバなどのフロージェネレータを備え、呼吸可能ガス(例えば、空気)を患者の気道に制御して供給するように構成される。場合によって、空気または他の呼吸可能ガスの流れを、モータ駆動ブロワなどのPAPデバイスによって、患者の気道に陽圧で供給することができる。ブロワPAPデバイスまたは人工呼吸器の出口が、空気回路の可撓性送出導管を介して、前述したような患者インタフェースに接続される。
【0045】
人工呼吸器またはPAPデバイスは、一般的に、フロージェネレータ、入口フィルタ、患者インタフェース、フロージェネレータを患者インタフェースに接続する空気回路の送出導管、様々なセンサ、およびマイクロプロセッサによるコントローラを含む。患者インタフェースは、前述したように、マスクまたは気管切開チューブを含むことができる。フロージェネレータは、サーボ制御モータ、ボリュート、およびブロワを形成するインペラを含むことができる。場合によって、モータのブレーキを実施して、ブロワの速度をより急速に低下させ、モータおよびインペラの慣性を克服することができる。ブレーキにより、ブロワが、慣性に関わらず、呼息との同期に遅れずに低圧状態をより急速に達成することができる。場合によって、フロージェネレータは、モータ速度制御部の代わりとしての、患者に送出される圧力を変更するための手段として、発生した空気を大気中に排出可能な弁を含むこともできる。センサは、特に、圧力トランスデューサなどを用いて、モータ速度、質量流量、および出口圧力を測定する。装置は、場合により、空気送出回路の経路に加湿器および/またはヒータ要素を含んでもよい。コントローラは、データ検索および表示機能が組み込まれた、または組み込まれていないデータ収納能力を有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0102】
5 発明の詳細な説明
本技術をさらに詳細に説明する前に、本技術は本明細書に記載された特定の例に限定されず、変更可能であることを理解されたい。本開示で用いられる用語は、本明細書に記載された特定の例のみを説明するためのものであり、限定するものではないことも理解されたい。
【0103】
5.1 治療システム
一形態において、本技術は呼吸器疾患を治療するための装置を含む。装置は、患者インタフェース3000につながるチューブなどの空気送出導管を介して、空気などの加圧呼吸ガスを患者1000に供給するためのフロージェネレータまたはブロワを含むことができる。
【0104】
5.2 治療
一形態において、本技術は、患者1000の気道の入口に陽圧を加えることにより、呼吸器疾患を治療するための方法を含むことができる。
【0105】
5.2.1 OSAのためのCPAP
一例において、本技術は、本明細書に記載の患者インタフェースを用いて持続的気道陽圧を患者に加えることにより、患者の閉塞性睡眠時無呼吸を治療するための方法を含むことができる。他の陽圧治療法を提供してもよい(例えば、2層CPAPなど)
【0106】
5.3 PAPデバイス4000
本技術の一態様による例示的なPAPデバイス4000は、機械的な空気圧式部品4100、電気部品4200を含むことができ、持続的気道陽圧または陽圧治療法のいずれか1つまたは複数の提供を制御ためなどの、1つまたは複数の制御方法もしくはアルゴリズムを実行するようにプログラムされる。PAPデバイスは外側ハウジング4010を含むことができ、これは外側ハウジング4010の上部4012と外側ハウジング4010の下部4014との2つの部分で形成され得る。代替形態では、外側ハウジング4010は、1つまたは複数のパネル4015を含むことができる。PAPデバイス4000は、PAPデバイス4000の1つまたは複数の内側部品を支持するシャーシ4016を含むことができる。一形態において、空気圧ブロック4020がシャーシ4016により支持されるか、またはシャーシ4016の一部として形成される。PAPデバイス4000は、ハンドル4018を含むことができる。
【0107】
PAPデバイス4000の空気圧経路は、入口空気フィルタ4112、入口マフラ4122、陽圧の空気の制御可能な供給源4140(好ましくはブロワ4142)、および出口マフラ4124を含むことができる。1つまたは複数の圧力センサ4272および流れセンサ4274が空気圧経路に含まれていてもよい。
【0108】
例示的な空気圧ブロック4020は、外側ハウジング4010内に位置する空気圧経路の一部を含むことができる。
【0109】
PAPデバイス4000は、電源4210、1つまたは複数の入力デバイス4220、プロセッサ、圧力デバイスコントローラ、1つまたは複数の保護回路、メモリ、トランスデューサ、データ通信インタフェース、および1つまたは複数の出力デバイスを有することができる。電気部品4200は、単一のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202に取り付けられてもよい。代替形態では、PAPデバイス4000は、2つ以上のPCBA4202を含むことができる。
【0110】
PAPデバイス4000のプロセッサは、使用時に、好ましくは前処理トランスデューサ信号モジュール、治療エンジンモジュール4320、圧力制御モジュール、およびさらに好ましくは故障状態モジュールを含む一連のアルゴリズムモジュールを実行するようにプログラムされてもよい。
【0111】
5.4 患者インタフェース3000
5.4.0 特性
本技術のいずれかの変形形態における患者インタフェース3000は、一般的に、シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決め安定化構造3300、通気孔3400、分離構造3510、接続ポート3600、額支持部3700、窒息防止弁3800、および/または1つまたは複数のポート3900などのオプションの特性を含むことができる。そのような特性は、少なくとも
図4および
図36の例を参照して検討することができる。
【0112】
5.4.0.1 シール形成構造3100
本技術の一形態において、シール形成構造3100はシール形成表面を提供し、さらにクッション機能を提供することができる。
【0113】
本技術によるシール形成構造3100は、シリコーンなどの柔軟で可撓性の弾性材料、または本明細書を通して説明する他の材料および構造から構成されてよい。
【0114】
一形態において、シール形成構造3100は、シールフランジを含むことができ、支持フランジをさらに含むことができる。シールフランジは、プレナムチャンバ3200の周囲にわたって延びる、約1mm未満、例えば約0.25mm〜約0.45mmの厚さを有する比較的薄い部材であってよい。支持フランジは、シールフランジよりも比較的厚くてよい。支持フランジは、シールフランジとプレナムチャンバ3200の周縁部との間に配置され、周囲にわたる通路の少なくとも一部に延びることができる。支持フランジは、ばね状要素であるか、またはばね状要素を含み、使用時にシールフランジを座屈しないように支持するよう機能する。使用時に、シールフランジは、シールフランジの下面に作用するプレナムチャンバ3200内のシステム圧力に容易に反応して、シールフランジを顔面に密にシール係合させるように付勢することができる。
【0115】
一形態において、非侵襲的患者インタフェース3000のシール形成部が、一対の鼻パフまたは鼻枕を含み、各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻のそれぞれの鼻孔とシールを形成するように構成されて配置される。
【0116】
本技術の態様による鼻枕は、少なくとも一部が患者の鼻の下面にシールを形成する切頭円錐部、柄部、円錐部の下面にあって円錐部を柄部に接続する可撓性領域を含むことができる。加えて、本技術の鼻枕を接続する構造は、柄部の基部に隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、切頭円錐部と鼻枕を接続する構造との相対運動、すなわち変位および角運動の両方に対処するユニバーサルジョイント構造を促進するように協調して作用することができる。例えば、切頭円錐部は、柄部を接続する構造に向かって軸方向に変位することができる。
【0117】
非侵襲的患者インタフェース3000の一形態において、シール形成部は、使用時に患者の顔面の上唇領域(すなわち上唇)にシールを形成する。
【0118】
一形態において、非侵襲的患者インタフェース3000は、使用時に患者の顔面の下顎領域にシールを形成するシール形成部を含む。
【0119】
本明細書のさらなる詳細を参照して、シール形成構造の追加の特性をさらに考慮することができる。
【0120】
5.4.0.2 プレナムチャンバ3200
好ましくは、プレナムチャンバ3200は、使用時にシールを形成する領域における平均的な人の顔面の表面輪郭を補完するように形成された周囲を有する。使用時に、プレナムチャンバ3200の周縁部は、顔面の隣接面に近接して位置する。顔面との実際の接触は、シール形成構造3100によりもたらされる。使用時に、シール形成構造3100がプレナムチャンバ3200の全周にわたって延びることが好ましい。
【0121】
5.4.0.3 位置決め安定化構造3300
本技術の患者インタフェース3000のシール形成構造3100が、使用時に、位置決め安定化構造3300によりシール位置で保持されることが好ましい。
【0122】
5.4.0.4 通気孔3400
一形態において、患者インタフェース3000は、吐き出された二酸化炭素の流出を可能にするように構成されて配置された通気孔3400を含む。
【0123】
本技術による通気孔3400の一形態は、複数の孔、例えば、約20〜約80個の孔、または約40〜約60個の孔、または約45〜約55個の孔を含む。
【0124】
通気孔3400がプレナムチャンバ3200に位置することが好ましい。あるいは、通気孔3400は分離構造3510、例えばスイベルに位置する。
【0125】
5.4.0.5 分離構造3510
一形態において、患者インタフェース3000が、少なくとも1つの分離構造3510、例えばスイベルまたはボールおよびソケットを含む。
【0126】
5.4.0.6 接続ポート3600
接続ポート3600により、空気回路4170への接続が可能になる。
【0127】
5.4.0.7 額支持部3700
一形態において、患者インタフェース3000が額支持部3700を含む。
【0128】
5.4.0.8 窒息防止弁3800
一形態において、患者インタフェース3000が窒息防止弁3800を含む。
【0129】
5.4.0.9 ポート3900
本技術の一形態において、患者インタフェース3000は、場合により、プレナムチャンバ3200内の容積にアクセスできるようにする1つまたは複数のポートを含むことができる。一形態において、これにより、臨床医が補給酸素を供給することができる。一形態において、これにより、圧力などのプレナムチャンバ3200内のガス特性を直接測定することができる。
【0130】
5.4.1 鼻下シール
図4〜
図7を参照しながら、本技術の一例による非侵襲的患者インタフェース3000を検討することができる。患者インタフェースは、以下の特性、すなわち、クッション3110などのシール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、1つまたは複数のヘッドギアベクトルなどの位置決め安定化構造3300、および空気/ガス回路4170に接続する接続ポート3600のいずれかを含むことができる。一部の形態において、そのような特性の1つまたは複数が、1つまたは複数の物理的構成要素によってもたらされる。一部の形態において、1つの物理的構成要素が、1つまたは複数の機能的特性をもたらすことができる。使用時に、シール形成構造3100は、患者の皮膚に直接接触して、患者の気道の入口を囲み、気道への陽圧の空気の供給を容易にするように配置されてもよい。
【0131】
例えば、
図4〜
図7に示すように、患者インタフェースは、患者の口および鼻孔とのシールインタフェースを提供して、加圧された呼吸可能ガスを口および鼻孔の両方に向けるマスクとして構成されてもよい。そのようなマスクは、略鼻下マスクであるように構成されてもよい。図示したように、プレナムチャンバ3200は、フレーム3500とクッション3110とにより形成されてよい。クッション3110は、シール形成構造3100としても機能し得る。フレームは、呼吸治療装置に連結して、呼吸治療装置から患者の呼吸器系に加圧ガスを連通可能にするように構成されてもよい。クッションは、フレームに連結するように構成されてもよい。
【0132】
場合によって、
図7に示すように、クッションは、略鼻下シール部UNSPおよび口シール部MSPとのシールを形成することができる。そのような構成は、
図10の例示を参照して検討することができる。鼻下シール部は、患者の両鼻孔周りに半周シール境界を形成する鼻下隆起3131によって形成されてもよい。これに関し、場合によって、上唇LSの中心領域におけるシール部または他のマスク接触構造を避けながら、両鼻孔および口とのそのようなシールを達成することができる。そのようなマスクは、鼻プロングと組み合わせ可能な口マスクと比べたときなどに、有効なシールを依然として提供しながら、より開放した快適感をユーザに与えることができる。
【0133】
口と鼻の鼻孔下の両方をシールする単一のクッションを有するシールを、標準のシリコーンクッション材料を用いる鼻クレードル設計によって達成することは困難であり得る。顔面特性の人体計測的な変動が大きいことが分かっている。標準シリコーンなどの一部の材料は、特に鼻および口を囲む複雑な顔面特性に関して、シールおよび快適性の両方を達成するには不十分な屈曲を有する場合がある。
【0134】
場合によって、この問題は、半連続(または半独立)気泡発泡体などの発泡体の実装により克服することができる。一部の例では、クッションが発泡シリコーン材料またはポリウレタン発泡体などであってよい。場合によって、超低ジュロメータ熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリウレタン(TPV)、シリコーン、またはゴム材料を実装することができる。発泡体の柔順性により、発泡体を比較的小さい張力で複雑な顔面特性に圧縮することができ、良好なシールに影響する。これにより、患者が感じる容易な適応性と柔軟性と組み合わせて、比較的迅速で容易なマスク設定をもたらす。発泡体の多孔性も、シリコーンより良好な呼吸可能性を呈し、顔面から水分を吸い取ることができる。したがって、発泡体の使用を、接触またはシールの領域における良好な冷却および不快感の低下と関連付けることができる。
【0135】
場合によって、クッションおよび/またはフレームは、
図7に示すプレナムチャンバ3200などの、患者の口および鼻の鼻孔を下から覆う単一のチャンバを画定することができる。本明細書でより詳細に説明するように、クッションは、略長円形状および/または三角形状を有することができる。シール面は、口とのシールを可能にする1つの面と、患者の鼻孔下でシールを容易にする第2の面との2つの面で実質的に連続して延びることができる。第2の面は、第1の面に対して角度を形成することができる。角度は、約90度近くまたは略垂直であってよいが、わずかに大きくてもわずかに小さくてもよい。そのような角度は鼻唇角に近くてよい。そのような単一のチャンバ発泡体クッションは、本明細書でより詳細に説明するように、直接またはクリップによりフレームに取り付けられるように設計され得る。
【0136】
そのようなマスクの口および鼻孔周りのシールは、患者の顔面とアセンブリ(例えば、フレーム、可撓性クリップ、および/またはクッション)の複合反応との相互作用によって生じ、ヘッドギアからの張力を受けることができる。組立時の部品の構造は、共に作用して、鼻および口の周りの可変圧縮量をもたらし、有効なシールがこの領域に生じるようにすることができる。
【0137】
図8および
図9は、例示的な鼻下隆起3131を含むシールの一部の鼻下領域の横断面図である。図は、鼻下領域でシールを達成するための機構を示す。
【0138】
鼻を鼻下隆起の領域でクッション(例えば、発泡体)に当てると、ヘッドギアを締め付けることができる。ヘッドギアベクトルにより、内側に巻いて(
図9に矢印RRで示す)鼻孔の外周にわたって閉じるクッション(例えば、発泡体)および/またはクッション支持構造8800(例えば、クリップ3535)の組合せを通して、両鼻孔の外周でシールを強化するのを助ける。クッションおよび/またはクッション支持構造の組合せの可撓性により、クッションを鼻の鼻翼角および鼻唇角に位置合わせすることが可能になる。ヘッドギアベクトルをさらに締め付けると、より大きいシール力を鼻孔の外周に加えることができる。クッションおよびクッション支持部(例えば、クリップおよび/またはフレーム)の巻きおよび圧縮により生じるこれらの反力によって、フレーム支持部から患者へ戻って放射状に広がる(略垂直に)反応ベクトルが生じる。さらに、マスクプレナムチャンバの内側に蓄積する、(例えば、マスクアセンブリに連結されたフロージェネレータから)発生したガス圧力が、クッション(例えば、発泡体)を外側に押すことができる。これにより、気道を鼻孔に対して確実に開くことができ、クッションを上方に(患者の鼻下領域側に)圧縮することもできるため、鼻孔周りにシール圧力を発生させる。
【0139】
場合によって、設定または使用時に、一部のクッションにより鼻孔が閉塞する可能性があり得る。鼻孔周りのシールを一部の発泡体の圧縮に関連付けると、圧力がマスクに加わる前のマスク設定時に、鼻閉塞が生じるおそれがある。閉塞の可能性を最小限にするために、発泡体厚さ、鼻孔外周にわたる発泡体プロファイル、および支持構造(例えば、使用する場合には、クリップ)の片持ちばね特徴のバランスを達成することができる。
【0140】
発泡体を実装する場合、鼻領域にあるような薄い発泡体部分が適していることがある。例えば、約8〜20mm(例えば、13mm)の発泡体厚さが、設定時の閉塞を顕著に改善/防止することができる。場合によって、発泡体の内側プロファイルを、鼻孔開口部に外周などで適合するように位置合わせおよび/または形成することができる。柔軟弾性材料(シリコーン、TPE、TPUなど)を、クッション支持部などのための材料として実装してもよい。そのような材料は、鼻に対する軽い片持ちばねの影響を伝えるように構成されてもよい。
【0141】
CPAP治療などの圧力治療中、鼻孔での閉塞を避けることができる。発泡体クッションの内側プロファイル(
図9に示す)は、鼻孔周りに解放をもたらすことができる。一般に、発泡体は、鼻孔を膨張させる内側CPAP圧力によって、鼻孔の外周にわたって圧縮され得る。適切で快適なシールを達成するために、発泡体の剛性は、鼻孔を膨張させる内側CPAP圧力によって発生する反力より大きくないようにすべきである。この状況により、CPAP中に鼻孔を開いて保持することができ、閉塞が生じない。
【0142】
クッション支持部(例えば、クリップおよび/またはフレーム)の片持ちばね力は、設定時に鼻孔を閉塞することなく鼻を発泡体クッションに押し込むのに十分に柔軟であり得る。逆に、クッション支持部のばね力は、発泡体クッションをマスクの全シール領域に押し込むのに十分な反力を与えることができる。これは、鼻の角などの領域に重要であり得る。
【0143】
本技術のマスクアセンブリの例示的な部品を、
図11〜
図23にさらに示す。場合によって、
図11に示すように、フレーム3500は、クリップ3535およびクッションから分離可能な部品であってよい。
図12に見られるように、フレームは、1組のファスナ3537を含むことができる。ファスナをヘッドギア(図示せず)の接続のために使用して、マスクアセンブリを使用のために位置決めして支持することができる。フレームは、場合により、通気孔3400を含んでもよい。一形態において、通気孔3400は、吐き出された二酸化炭素を流出可能にするように構成されて配置されてもよい。通気孔3400は、複数の孔、例えば、約20〜約80個の孔、または約40〜約60個の孔、または約45〜約55個の孔により形成され得る。通気孔3400はプレナムチャンバ3200に位置することができる。あるいは、通気孔3400は分離構造、例えばスイベルまたは他のカプラに位置してもよい。
【0144】
フレームは、一般的に接続ポート3600を含むことができる。接続ポート3600により、呼吸治療装置またはフロージェネレータとの接続などのための空気回路4170への接続が可能になる。空気回路へのそのような接続は、前述したように、分離構造によって行うことができる。場合によって、患者インタフェース3000は、窒息防止弁(図示せず)を含むことができる。場合により、フレームは、1つまたは複数の追加のポートを含むことができる。そのような追加のポートにより、プレナムチャンバ3200内の容積にアクセス可能になる。例えば、そのようなポートにより、補給酸素の供給を導入することが可能になり得る。そのようなポートは、圧力などの、プレナムチャンバ3200内のガスの特性を直接測定するためのセンサ用のカプラまたはハウジングとして機能することもできる。
【0145】
フレームは、
図12に示すもののように、その後側(患者の近位側)外周にわたるフランジ3515を含むことができる。このフランジは、シールを行う顔面の部分の湾曲に従うために、プレナムチャンバの外周にわたる角度および幅が変化し得る。フランジは、シールが患者の顔面に存在することになる箇所に近い領域に略平行に延びることができる。変化する傾斜フランジはヘッドギアベクトルと共に作用して、口および鼻孔周りの変化する部分に所望の量のクッション圧縮を与えて、快適で有効なシールを達成することができる。
【0146】
場合によって、マスクアセンブリは、
図13または
図14に示すようなクリップ3535を使用することができる。クリップは、フレームに解放可能に取り付けることができ、クリップに当てることのできるクッションの交換を便利にすることができる。これに関し、
図20および
図21は、フレームに連結されるクリップ(クッションなし)を示す。しかしながら、本明細書に記載のクリップの特性のいずれか1つまたは複数を、場合により、フレーム自体の構造およびそれに当てられるクッションに組み込んでもよい。
【0147】
場合によって、クリップのプロファイルは、クッションに形を与えるのを助けて、クッションを人の顔面に適合するのに適した多次元形状(例えば、多面)に構成して、鼻下構成に良好なシールを形成することができる。これに関し、
図13および
図14に見られるように、クリップに曲げまたは傾斜領域ABRを形成してもよい。傾斜領域ABRにより、鼻平坦領域NPRと口外周領域PRとの間の角度が可能になる。略鼻唇角ANAを、口外周領域の面および鼻平坦領域の面により形成することができる。
図22および
図23に示すようにクッションをクリップ(および/またはフレーム)に当てると、クッションにそのような領域がまだ形成されていない場合に、これらの領域の特徴をクッションに与えることができる。
【0148】
あるいは、2D平坦クリップを使用してもよい。この場合、3D形状のフレームに取り付けることにより、3D形状を可撓性クリップ/クッションの組合せに与える。
【0149】
一般に、クリップは、フレームに恒久的に連結されるか、または
図13、
図22、および
図23に示すもののようなコネクタ3536を含んで、フレームとの取外し可能な連結を容易にすることができる。これらの要素は、クリップがフレームに結合するクリップの一側(例えば、下側外周または遠位側)の周りに形成され得る。
図32〜
図35を参照して、そのような接続要素のさらなる例を本明細書でより詳細に説明する。クリップの両側(例えば、上側外周面または患者近接側)が、クッション(例えば、発泡体リング)を取り付けるための接続面または着地面を提供する。これに関し、クリップの特性は、クッションのための吊下装置として機能することができる。
【0150】
クリップの壁厚さが比較的小さい(すなわち、数ミリメートル)であるため、クリップの本体は、一般に、湾曲面に近くなり得る。クリップ外周にわたるクリップの横断面プロファイルは、クリップの異なる部分において異なり、可撓性/剛性の異なる領域をクッションに与えることができる。
図15、
図16、および
図17の横断面図を参照して例を検討することができる。例えば、幾何学的形状が変化し得るクリップ外周に沿った横断面を持つ、開いた壁または凹面壁3535Wを有するように、クリップを形成することができる。これらの横断面形状は、例えば、
図15に示すもののようなU字型、
図16に示すもののようなL字型、
図17に示すもののようなC字型として形成することができる。他の例は、I字型またはZ字型の横断面構成を含むことができる。場合によって、これらの壁構成の一部または全部が形成されていてもよい。各形状(
図13、
図15、
図16、および
図17に参照符号SOで示す)の開口部を、マスクの中心またはプレナムチャンバに向かって内側に向けることができる。これらの異なる壁構造は、異なる可撓性特徴を有することができる。そのような横断面形状により、クリップがばねまたは片持ちばねとして作用することが可能になる。そのようなばね構成により、発泡体クッションは、顔面にさらに適合して、位置合わせが達成されると顔面に向けて圧縮し、顔面へのクッションのコンプライアンスを向上させることができる。
【0151】
したがって、クリップ(またはフレーム)に、発泡体クッションを可変に支持する可撓性外周リップを形成してもよい。マスクフレーム、クリップ、クッション、および患者の顔面間に形成されたプレナムチャンバ内の圧力は、クリップ部分(例えば、壁の形状開口部SO)およびクッションの内側に作用して、外周リップおよびクッションを患者の顔面に向けて押すことによって、クッションにより作られたシールを強化する。圧力が上昇すると、シールを作る力も大きくなる。このように、空気圧が空気ばね効果を生じさせることのできる厚さおよび可撓性を有するように、クリップの壁を選択することもでき、シールのコンプライアンスにさらに寄与する。
【0152】
前述したように、鼻シール領域および口シール領域の周りの剛性または可撓性を変更するために、クリップ外周にわたる壁形状は変化し得る。異なる剛性/剛性を、顔面のこれらの異なる部分で達成して、良好なシール、快適性、および安定性のバランスを得ることができる。例えば、鼻は圧力に敏感であるが、口の側部は、より大きいシール圧力に不快感なく耐えることができるため、鼻の周りでより柔軟なシールを達成することができる。したがって、クリップ(またはフレーム)の可撓性がこれらの異なる可撓性特徴を与えることができる。
【0153】
一部のそのような例では、鼻シール領域でのクッションの支持部を、
図15に示す可撓性の横断面「U」字型として形成することができる。クリップ壁(凹面壁3535W)は、その後、本明細書で説明するように、クッション支持面3538およびコネクタ用のフレーム連結面3539を有することができる。場合によって、口の側部のシール領域におけるクッションの支持部は、
図16に示す「L」字型に似た横断面形状を有する可撓性壁によって形成されてよい。さらに、口の下部のシール領域におけるクッションの支持部は、以下で
図17に示す「C」字型に似た横断面形状を有する可撓性壁によって形成されてよい。
【0154】
同様に、
図14、
図18、および
図19の少なくとも例示的なクリップに関して、クリップの構造の2つのアクティブ部は、有効な片持ち張出し部を形成する外周リップ3540と、フレーム連結面3539およびクッション支持面3538の間のクリップ外周の中央横部3541である。これらの部品の両方は、ばねとして作用することができ、変形によりシール反力を与える。クリップにより付与されるシール力の、口の周りにおける分散を、クリップの材料および形状によって調節することができる。さらに、マスクのヘッドギアの締付け量に応じて、ユーザが力を制御することができる。
【0155】
これに関し、発泡体クッションとクリップの可撓性支持構造との組合せが適度な結果をもたらすことができる。しかしながら、最適なシールの快適性を達成するために、可撓性クリップは、外周リップの支持面よりも大きくなり得る発泡体クッション幅の支持部を増大させる大型の外周リップを備えてもよい。外周リップ幅のそのような変化によって、口クッションの外周にわたって異なる反力を生じさせることができる。より短い外周リップは、より長い外周リップの場合よりも、ある単位力についてのクリップ偏向が小さいため、より硬い機械システムを生じさせることを、ビームおよび曲げ原理によって単独で示すことができる。
【0156】
図14、
図18、および
図19のクッション支持構造を参照して、そのようなクリップを検討することができる。外周リップの幅(
図18に矢印LWで示すような)のサイズ決めにより、シール形状の変化を導入することもできる。例えば、鼻および口に近接した外周リップ領域の異なる(例えば、より狭い)幅は、これらの領域に異なる反応シール力を達成するのを助けることができる。
図18に示すように、クリップの外周リップのプロファイルを、破線で示すようなものに変えてもよい。結果として得られるクリップが
図19に示される。図示したように、より短いリップ幅(矢印SLWで示す)を、より可撓性の低い鼻平坦領域の先端部に設けてもよい。比較的長いリップ幅(矢印LLで示す)を、より可撓性の高い、中心に開いた上唇領域COLSに近接して設けてもよい。
図19に示すように、そのようなクリップの反力は、外周リップまたは片持ちアームのそのような変化する幅の結果として外周にわたって変化し得る。一部のそのような場合には、クッションの幅が同様に変化し得る。しかしながら、クッションの幅は、
図23に示すようなその外周にわたる支持構造幅の変化に関わらず、比較的一定であり得る。この意味で、発泡体の形状プロファイルは、クリップの形状に正確には従うことができない。その結果、マスクの最終的な力プロファイルは、クリップと圧縮発泡体との組合せに影響され得る。
【0157】
シール外周にわたる可撓性の調節は、リップの厚さを変化させることによっても達成され得る。例えば、口の側部に沿って鼻の先端部に向かうリップ厚さの値は、口の底部に沿った厚さの約2倍であり得る。そのような割合は、鼻領域のより低い可撓性と下唇領域の比較的高い可撓性とをもたらすことができる。1つのそのような例では、クリップ材料に応じて、外周リップ厚さは、口の側部に近接した領域から鼻の先端領域までの比較的一定の約2.2mm(+/−0.1mm)の厚さなどの約1.5mm〜2.5mmであってよい。下唇(口の底部周り)に近接した外周リップの領域は、比較的一定の約1.0mm(+/−0.1mm)の厚さなどの約0.75mm〜1.25mmであってよい。
【0158】
一般に、本体深さ(
図14に矢印BDで示す)は、クリップ外周にわたって比較的一定であってよい。
図14、
図18、および
図19の例では、クリップ(クッションまたはフレームに接続しない部分)の本体深さが、例えば、約8mm〜15mmまたは、例えば約11mm〜13mmの深さであってよい。
【0159】
場合によって、可撓性鼻突起などの追加の機能がクッション支持構造に形成され、または加えられて、さらにシールの作用に影響する。そのような例が
図13のクリップに関して示され、
図20および
図21にもフレームに加えられた状態で示される。
図13の例では、クリップが、片持ちばねとしてさらに機能し得る追加の片持ち突起3561を含むこともできる。これらの要素により、クリップは、鼻の角などのシールが困難な領域に発泡体を押し込み、クッションコンプライアンスの可変レベルを効果的に与えることができる。
【0160】
前述したように、クッション支持(クリップまたはフレーム)、またはその一部は、異なるグレードの熱可塑性エラストマーTPEから成形することができる。異なる硬度のグレードを使用してもよい。一般に、TPE材料は、一部のクッション(例えば、発泡体)により容易に成形することができ、その処理時間がシリコーンより速くなり得るため、シリコーンに対してより有益であり得る。しかしながら、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリウレタンTPVまたはゴムなどの他の弾性または可撓性材料を使用してもよい。さらなる例として、場合により、可撓性支持構造(例えば、クリップ)を、室温加硫RTVシリコーンなどのシリコーンで形成してもよい。
【0161】
前述したように、可撓性の性質のため、クッションおよびクッション支持構造(例えば、クリップ)は一致して動作して、ヘッドギアベクトルによりフレームに加えられる圧縮力に反応する。しかしながら、クッションは、発泡体の使用時などに、単により柔軟な部品であってより大きく圧縮可能であることにより、ユーザの顔面への適合においてより大きな役割を果たすことができる。結果として、ヘッドギア張力が加えられ、フレームが患者の顔面に向けて引かれると、発泡体および可撓性支持構造が平衡形状に到達し、シールが作られる。
【0162】
本技術のマスクアセンブリの例示的なクッションが、
図24および
図25に示される。クッションは発泡体であり、三角形または長円形のリングを形成することができ、共通の鼻および口開口を有することができる。角は丸くなっていてもよい。
図24の例では、クッションが略平坦な患者接触面PCSを有する。一部のそのような場合には、縁部が丸くなっていてもよい。例えば、
図25に示すように、外周に沿ったクッションプロファイルが、全体が湾曲した患者接触面PCSを有することができる。他のクッションプロファイルを実施してもよい。クッションのフレームまたはクリップ接触側は略平坦であってよく、またはクッション支持構造の接触面に適合してもよい。
【0163】
これらの例示的な略単一面のクッションにより、
図26および27に示すように、クッションは、クリップまたはフレームに接続されると、前述したように、シールにより良好な多面形状に変形することができる。三角形状に変形されると、クッションは、略鼻下構成を維持し、かつ中心に開いた上唇領域を設けつつ、鼻孔の一部の外周にわたって、鼻の角内へ、および口の側部および底部の周りにシールを作ることができる。したがって、マスクは、上赤唇と鼻下領域の鼻柱との間の中心上唇領域に、略非接触領域を有することができる。さらに、この非接触領域は、使用時にプレナムチャンバ内にあってよい。
【0164】
図26および
図27のクッションは略単一面であり、フレームまたはクリップにより変形されて、多面の使用構成(例えば、鼻平坦領域と口外周領域との間の鼻唇角を含む)を有する。場合によって、クッションまたは発泡体は、クリップまたはフレームの形状に一致した多面形状に予め形成または予め切断されてよい。
【0165】
一般に、クッションとその支持構造(例えば、クリップ)との間に気密シールがあるべきである。様々な方法を使用して、クッションのそのような接合を実施することができる。例えば、クッションを、糊、スプレー接着剤またはホットメルトなどを用いて支持構造に付着させてもよい。場合によって、クッションを、超音波溶着により付着させてもよい。場合によって、クッションを縫製して付着させてもよい。接合を、テープ(例えば、両面接着テープ)などの中間材料を用いて実施してもよい。場合によって、支持構造(例えば、クリップ)をクッションにオーバモールドしてもよい。
【0166】
同様に、そのような方法を、結合クリップなどを用いることなくクッションをフレームに接合するために使用してもよい。これに関し、フレームは、形状形成構造および表面を提供して、患者シールの所望のプロファイルにクッション(例えば、発泡体)を保持することができる。そのような実施形態では、クッション発泡体は、シールを行い患者に快適性をもたらすのに必要なばねおよび柔軟性の一部または全部を提供することができる。別の方法では、前述した可撓性の機能(例えば、クリップの片持ち部品)の一部をフレームにより形成して、シールと快適性の有効性を助けることができる。一部のそのようなクリップなしの場合には、クリップの可撓性の特性の一部を、クリップではなくクッションの二次層を用いることにより、発泡体に加えることができる。そのような二次クッション層は、患者接触発泡体層に加えられ、第1の発泡体層と比べて異なる可撓性/剛性特性を有することができる。そのような場合には、二重クッションの第2の層を、クリップなしでフレームに直接加えることができる。
【0167】
場合によって、発泡体クッションは、交換可能な物品であってよい(一部の実施形態では、交換可能な物品が、クッション/クリップの組合せを含んでよい)。クッションを、発泡体(またはそれぞれのクリップ(可撓性もしくは剛性))の表面に位置する接着膜を通してフレームに直接取り付けることができる。そのような場合、クッションを単に取り外した後、新しい接着ストリップを有する異なるクッションを、再利用可能なフレーム(または再利用可能なクリップ)に取り付けることができる。場合によって、発泡体クッションおよびフレームを共に成形してもよい。一部のそのような場合には、その後、クッションおよびフレームユニットを共に廃棄することができる。
【0168】
一部の例では、クッション3110は、追加の特性を含むことができる。例えば、
図28に示すように、クッションは、略平坦シール面の代わりとして、クッションの鼻平坦領域などに、スカラップ状の切欠き3763などの窪みを含むことができる。窪みは、シールの鼻部でクッションの縁部の半周に切込みを入れることにより形成され得る。一部の例では、切込みは、中心下部位置から半径方向に高い位置へ上がる縁部を形成することができる。そのような半周領域は、鼻の周りにカッピング支持部を提供することができる。カッピング形状は、より大きい表面領域(支承面)をもたらすことができる。これに関し、スカラップ状の縁部形状の特性は、ユーザの鼻下の構造を再現することができる。このように、スカラップ状の切欠きは、鼻下隆起領域のシールを向上させることができ、鼻の快適性を向上させることができる。切欠きは、鼻の膨張を最小限にする機能を果たすこともできる。この特性は、患者が鼻を配置させるための知覚可能に明確な着地領域を提供し、より直感的な設定にすることができる。場合によって、切欠き領域または鼻平坦領域に印を付けて、ユーザが取り付けるための鼻位置を表示してもよい。例えば、その領域は、クッションの残りの領域に対して別の色を有することができる。
【0169】
そのような切欠きの形状は、以下の人体計測特性、すなわち、鼻翼基部の唇挿入部間の幅、鼻翼長さ、鼻翼傾斜角、鼻柱の傾斜、鼻の先端突起、鼻の幅のいずれかから画定され得る。場合によって、窪みの細部の深さが、鼻柱の傾斜、マスクの鼻下部分を着用すべき箇所に関する十分な表示に対する患者の知覚、鼻の縁部湾曲周りをシールするのに十分な表面、圧力治療による圧力などによって鼻が膨張することを防ぐための鼻の外周にわたる十分な支持のいずれかに基づいてもよい。
【0170】
窪みの形状の他の変形形態は、鼻の外周に従う単純な面取り縁部を含むことができる。発泡体が鼻に適合する面取りについて十分なコンプライアンスを有するとき、改良されたシールが得られる。同様に、発泡体が、様々なサイズの顔面特性に適合する十分なコンプライアンスを有するため、スカラップ状の鼻特性の全体として三角形の形状における他の変化を達成することができる。
【0171】
前述したように、スカラップ状の鼻の細部などの窪みは、鼻の下側外周を効果的にカップ状にすることができ、シールおよび快適性のための追加の表面領域をも提供することができる。したがって、窪みは、使用中にマスクアセンブリ(クリップおよびフレーム)の他の部品と共に作用して、シールとして効果的に機能することができる。シールに関し、鼻の特定の人類学に応じて、シールインタフェースは、鼻下から鼻の側部の下および/または部分的に上へ移動するか、または延びることができ、または移動しかつ延びることができる。快適性に関し、ヘッドギアから鼻に加えられる力およびシールインタフェースからの治療圧力が、これにより、大きい表面積にわたって分散されて、より良好な快適性をもたらすことができる。
【0172】
発泡体クッションの窪みの形状は、様々な鼻のサイズに対応して変化することができる。例えばマスク設定中にスカラップ状の細部に押し込まれた鼻は、発泡体が鼻に適合するまで発泡体を変位させる。クッション支持構造(例えば、クリップおよび/またはフレーム)の可撓性ばねの性質により、この段階で抵抗力を与えて、鼻が発泡体に完全に押し通されることを防止することができる。治療圧力下で、発泡体を鼻に対して押し戻すことにより、有効なシールの提供を助けることができる。
【0173】
場合によって、窪みは、クッションの完全な圧縮切断プロセスの一部として製造されてもよい。あるいは、この機能は、熱成形、超音波溶着または切断などの二次プロセスにより製造されてもよい。場合によって、スカラップ状の鼻の細部を含むクッション全体を、単一の圧縮切断または熱成形プロセスから製造してもよい。
【0174】
一部のさらなる例では、クッションが1つまたは複数の突起を含むこともできる。そのような突起は、クッションの表面に含まれてもよい。例えば、1つまたは複数の突起は、マスクが患者の顔面に適合するときに、突起がクッションから外へ患者の顔面の一部までさらに延びるように配置されてもよい。このように、突起は、追加の構造支持およびより良好なシールをもたらすことができる。例えば、1つまたは複数の略長円形または別の形状の突出部などの1組の(例えば、1対の)突起3764が、
図29、
図30、および
図31のクッションおよびマスクに示される。これらの突起は、鼻の左側および右側(例えば、左鼻翼突起および右鼻翼突起)で延びるように配置される。例えば、各突起は、患者の鼻翼に隣接して曲がるように構成されてもよい。このように、突起は、鼻の両側の困難なシール領域におけるクッションのシールの強化を助けることができる。鼻突起は有用であるがオプションである。これらの困難な領域における有効なシールを、これらの領域における発泡体クッションの厚さの増加および形状の変化を含む他の手段により達成してもよい。例えば、クッションの鼻側部領域を狭くすることにより、より良好なシールが容易になり得る。
【0175】
前述したように、クリップとフレームとの接続を様々な構造で実施してもよい。
図32〜
図35に一部の例が示される。一般に、クリップを実装する場合、クリップとフレームとの間に気密シールがあるべきである。クッション/クリップアセンブリはフレームから取外し可能であり、フレームと比べたときにクッションがより短い耐用年数を有する可能性がある場合に、クッションの定期的な交換を可能にする。
【0176】
クリップをフレームに固定するための一部の例示的な接続構造は、舌および溝形状、フレームの縁部周りに延びる伸縮性外周スカート、気密食品容器と同様のものなどの、干渉嵌めにより接続する外周縁部、および二次リップシールまたはガスケットが存在する舌およびスロットインタフェースを含むことができる。場合によって、クリップの接続構造は、既存のマスクフレームに対応して、本明細書に記載のクッション設計に既存のマスクフレームを後付けすることができる。
【0177】
図32Aおよび
図32Bのコネクタの例では、クリップおよびフレームを、球状隆起3572およびチャネル3574により共に連結することができる。例えば、フレームをチャネルと共に形成することができ、クリップは隆起を含むことができる。隆起およびチャネルの横断面図は、ボールおよびソケットのように見える。柔軟で可撓性の(例えば、TPE、シリコーン、または他の可撓性材料の)球状隆起を剛性チャネルフレーム(例えば、プラスチック)に押し込んで、シールおよび機械的保持をもたらすことができる。場合により、スナップフィンガ3576は、組立ておよび部品の成形品取出しを助けることもできる。
【0178】
図33Aおよび
図33Bのコネクタの例では、クリップおよびフレームを、スカート3578と、フレーム3500のプレナムチャンバの周りで連続的に延びるフランジなどのフランジ3515とにより共に連結することができる。そのような場合には、クリップのスカート3578が、クリップのリングの周りで連続的に延びる半剛性要素(例えば、TPE、ポリプロピレン、または他の同様の半剛性材料)であってよい。スカートを曲げてフランジ上でカップ状にすると、シールとして機能し、機械的保持をもたらすことができる。
【0179】
図34のコネクタの例では、クリップおよびフレームの外周にわたって連続的または半連続的に延びるスナップ肩部3580および係合キャビティ3582により、クリップとフレームとを共に連結することができる。そのようなスナップをクリップ3535のリムに形成することができる。半剛性材料(例えば、ポリプロピレン)であり得るスナップ肩部を係合キャビティ3582内で曲げるときなどの係合時に、リムおよびスナップをより剛性のフレームによって変位させることができる。リムおよびフレームの表面係合によりシールをもたらすことができ、スナップ肩部および係合キャビティの連結により機械的保持をもたらすことができる。
【0180】
図35Aおよび
図35Bのコネクタの例では、クリップおよびフレームを、テーパロック(分解
図3583に示す)によって共に連結することができる。そのような例では、剛性であり得るフレームの外周リム3702を、クリップの外周チャネル3585内に保持することができる。フレームのテーパ要素3586を、可撓性(例えば、シリコーン、TPEなど)であり得る、クリップのテーパ受けチャネル3587に連結してもよい。テーパ要素およびテーパ受けチャネルは、クリップおよびフレームの外周にわたって連続的または半連続的に延びるように形成されてもよい。テーパ要素およびテーパ受けチャネルは、その後、フレームおよびクリップ部品の機械的保持を助けることができる。
【0181】
5.4.2 鼻上シール
従来のフルフェイスマスク(患者インタフェースとも呼ぶ)は、口の周りと鼻梁上との両方をシールするシリコーンクッションによってユーザの顔面とのシールを得る。これに関する主な問題は、シリコン材料の性質により、ユーザがしばしば快適性の問題(すなわち、顔面に跡が付く、または他の皮膚炎)に直面することである。
【0182】
この問題は、前述した発泡体などの発泡体の実装によって克服することができる。一部の実施形態では、発泡体クッションは、患者の皮膚に直接接触することができる。発泡体の柔順性により、クッションを比較的小さい張力で複雑な顔面特性に圧縮し、良好なシールに影響することができる。これにより、患者が受ける容易な適応性および柔軟性と組み合わせて、比較的迅速で容易なマスク設定が提供される。また、発泡体は、シリコーンより良好な呼吸可能性を呈する。したがって、発泡体の使用は、(多くのユーザにより「シリコーンに対する顔面の異なる感覚」と関連付けられる)より良好な透過性、およびシール領域における接触領域の不快感の減少と関連する。
【0183】
発泡体の透過性に関連する快適性は、高い透過性と関連する漏れの増加とのバランスを取らなければならない。鼻下マスク構成の場合のように、発泡体クッションは一般に、気泡の大半が連続した連続気泡発泡体により、気泡の大半が連続した独立気泡発泡体により、または連続気泡と独立気泡との混合により形成された半連続(もしくは半独立)気泡発泡体により形成することができる。一例において、説明した技術は、連続気泡の数が独立気泡の数よりもかなり大きい半連続気泡発泡体を使用することができる。これにより、確実に透過性が限られ、クッションを通る漏れが少なくなる。そのような限られた透過性を有し、開示された技術に適していると分かっている透過性の値の特定の範囲について、本明細書において以下で説明する。連続気泡および独立気泡の数の他の割合を使用してもよい。より透過性が高い場合、透過性の増加を軽減するために様々な対策を取らなければならない。本明細書の他の箇所で説明したように、1つのそのような対策は、可撓性クリップまたは他の非透過膜を延ばして、発泡体クッションの内面を覆い、全体の透過性を低下させることである。連続気泡発泡体または独立気泡発泡体を、説明した技術に従って使用してもよいことが予想される。
【0184】
快適な適合、良好なシール、および安定性を達成するために、現在のフルフェイス発泡体マスクは、従来のシリコーンシールを有するマスクと比べて設置面積が大きい。
【0185】
ある流れの特徴を達成するために、従来使用された一部の発泡体クッションは、透過性でないか、または空気が発泡体を通過するのを止める二次層を発泡体上に含む場合がある。両方の選択肢は、発泡体シールの呼吸可能性の利点を排除する。シールされた、または非透過性の発泡体クッションを有する従来の発泡体のフルフェイスマスクのみが、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の現在の呼吸治療に適合する。
【0186】
一部の先行技術の発泡体マスクはまた、クッションを共に形成する別の個々の部品を含む。一例において、発泡体層をシリコンクッションに取り付けて、シールの質とマスクに関連する快適性とを向上させることができる。状況によっては、そのような配置はサイズが大きく快適でないことがあり、ユーザがマスクを分解、組立て、および洗浄することがより困難になり得る。
【0187】
本技術の一部の変形形態では、
図36および
図37の例に示すように、マスクが口および鼻梁上をシールするように構成されるときなどに、発泡体クッションを実装してもよい。
【0188】
例えば、発泡体クッションアセンブリは、口の周りおよび鼻梁上をシールするように構成されてよく、快適で有効なシールを達成することができる。そのようなアセンブリは、発泡体クッション部とクッション支持構造(例えば、支持クリップ部)とを含むことができる。ここで、「鼻梁上を」という表現は、鼻梁「にわたって」と解釈すべきであり、鼻梁の「上方を」と解釈すべきでない。支持クリップ部は、クッションのコンプライアンスを補完してクッションのサイズを小さくできるように構成された、可撓性(または柔軟)クリップ部であってよい。発泡体クッションをクッション支持クリップに外側から取り付けることができる。そのような外側からの取付けにより、クッションの発泡体表面を患者の皮膚に直接接触するように構成することができる。
【0189】
一例において、発泡体を用いて作ることのできるクッション3810が、患者の口および鼻を外周で覆う(鼻梁の略中程、しかし、これは特定の患者の顔面構造に応じて変化し得る)単一の領域を画定する。発泡体クッションを、例えば、以下の例示的な材料、すなわちポリエチレン、ポリウレタン、エチレンビニルアセテート(EVA)の1つまたは複数などの適切な材料から作ることができる。場合によって、発泡体クッションは、ポリウレタンから作られたものなどの半連続独立気泡発泡体であってよい。半連続気泡発泡体のクッションは、本明細書でより詳細に説明した範囲のように限られた透過性を有することができる。
【0190】
クッション3810は、ユーザの顔面の輪郭に従うシール面を有する略三角形または洋ナシ形を有することができる。単一のチャンバ発泡体クッションは、それ自体第2のより剛性のクリップ3814(
図38に示すように)である第1の支持(例えば、可撓性)クリップ3812に取り付けられるか、またはマスクフレーム3816に直接取り付けられるように設計される。一実施形態では、第1の支持クリップ3812は、発泡体クッションより剛性であるが、第2のクリップ3814より柔軟または可撓性が高い可撓性クリップであってよい。発泡体および可撓性クリップの組合せが、全体的なシールインタフェースの物理的特性を規定する。可撓性クリップにより、インタフェースが大きな変化に対応することができ、患者の顔面の輪郭にうまく適合することができる。発泡体クッションの柔順な性質により、微調整を行い、患者の皮膚と相互作用する快適性インタフェース層を形成する。
【0191】
クッションアセンブリまたはクッションマスクの一部の変形形態は、使用時にヘッドギアストラップにより押し下げられて、発泡体クッションのそれぞれの領域に圧力を加えるように構成され得る突起または位置合わせ突起を含むことができる。例えば、突起3813は、場合により、
図37に示すように、口の両側部の(例えば、口の周りに対称に位置する)第1の支持クリップ3812(例えば、可撓性支持クリップ)の外面に、それぞれのヘッドギアストラップが各突起を横切ることができるように含まれてもよい。そのような配置により、顔面の幅変化に対処するときに、口の両側でより良好なシールが可能となり得る。ヘッドギアは、締め付けられると、突起を患者の顔面に向けて押し下げることができる。そのような圧力が発泡体クッションに伝わり、クッションを患者の顔面に向けて押し下げ、口のこの領域でシールを強化する。突起の高さ、ヘッドギアの張力またはこれらの両方を変化させることにより、追加の圧力を修正することができる。2mm〜6mm、3mm〜5mm、および好ましくは約4mmの高さが、そのような修正に十分であると考えられる。突起を、可撓性クリップの表面に位置させる代わりに、発泡体クッションまたは剛性クリップの外面に位置させてもよい。異なる部品に位置する異なる高さ/厚さの突起(すなわち、一方が剛性クリップに位置し、他方が可撓性クリップに位置する)を使用して、例えば、マスクの側部に沿った内向き圧力の勾配を生じさせることができる。別の実施形態では、突出部が、発泡体クッションおよび可撓性クリップの両方を横切って延びることができる。さらなる実施形態では、フランジは、フレームから延びて内向きの力を加え、同様の方法でシールを強化するように形成されてもよい。
【0192】
一部の例では、発泡体のみのクッションアセンブリをフレームに直接当てることによって、可撓性クリップまたはさらに可撓性クリップと剛性クリップとの両方を省いてもよい。しかしながら、そのような設計は、クッションが実質的な厚さおよび高さを有する必要があり得る。剛性クリップでも、特に可撓性クリップでも、または前述したように柔軟クリップと剛性クリップとの組合せでも、クリップの実装によって、コンプライアンス、シール、および快適性を損なうことなく、発泡体クッションの寸法を小さくすることができる。剛性クリップの1つの役割は、洗浄または交換のために、フレームに対する発泡体/クリップアセンブリの取外し可能な取付けを容易にすることである。発泡体クッションアセンブリ3901の部品は
図39に示す通りである。発泡体クッションアセンブリ3901の組立図が
図40に示される。
【0193】
図39および
図40に示すように、剛性の第2のクリップ3814のフレーム連結側FCSは、第2のクリップをマスクフレーム3816に取外し可能に連結する構造を含むことができる。例えば、連結隆起4022を、マスクフレームの対応する構造に係合するように設けてもよい。連結隆起4022は、干渉嵌めによるものなどのシールの形成、フレーム連結側FCSでのマスクフレームおよび第2のクリップの接触面における治療圧力の逃げの防止を助けることができる。1つまたは複数のオプションの係合可能なスナップ要素4024により、マスクフレームに対する第2のクリップのスナップ嵌めまたはスナップロックが可能になり得る。そのようなスナップ要素は、可撓弾性であってよく、隆起止め4025がレセプタクルの縁部またはマスクフレームの開口に係合することができるまで、マスクフレームの対応するレセプタクルに対して曲がるようになっている。スナップ要素の上縁部のテーパ4027は、隆起止め4025がマスクフレームのレセプタクルまたは開口に入って、マスクフレームのレセプタクルまたは開口内でロックするまで、第2のクリップをマスクフレームに連結する間、スナップ要素の曲げを生じさせることができる。場合によって、スナップ要素をマスクフレームに形成することができ、対応するレセプタクルを第2のクリップに形成することができる。スナップ要素を手で曲げることにより、その後、第2のクリップをマスクフレームから取り外すことができる。
【0194】
発泡体の一つの例示的な実装では、
図40に示すように、可撓性クリップおよび剛性クリップが共に形成されるか、または互いに恒久的に取り付けられて、一体のクッションアセンブリを形成する。発泡体および可撓性クリップは、アセンブリの柔順な部分を形成し、剛性クリップはクッションアセンブリをマスクフレームに取り付ける機構を提供する。これにより、洗浄および/または交換のためにクッションアセンブリを取り外すことができる。剛性クリップにより、クッションアセンブリとマスクフレームとの剛性接続が可能になり得、これによってマスクの取扱いがより便利になり、より高い耐久性が得られる。したがって、クッションアセンブリの部品(例えば、発泡体クッション、可撓性クリップ、およびより剛性の高いクリップ)を、1つの一体アセンブリに恒久的に取り付けることができる。しかしながら、あるいは、
図39に示すように、これらの部品は分離可能な要素であってもよい。これらの3つの要素を、別個に形成され、共に組み立てられるが、必要であれば分解されて再び組み立てられるように配置することができる。あるいは、発泡体クッションおよび可撓性クリップは、互いに恒久的に取り付けられるが、剛性クリップに取外し可能に接続されてもよい。別の例では、可撓性クリップおよびより剛性の高いクリップは、互いに恒久的に取り付けられるが、発泡体クッションに取外し可能に接続されてもよい。
【0195】
そのような取外し可能な取付けの機構は、当技術分野で公知のものであってよく、(発泡体を可撓性クリップに取り付けるための)接着層、干渉嵌め、およびスナップロック係合を含むことができる。可撓性クリップなどのより可撓性の高い部品の外周を、フレームまたは剛性クリップなどのより剛性の高い部品の外周にわたって伸張させてもよい。
【0196】
3つの部品の任意の組合せが可能であり、代替設計の変形形態は、発泡体クッションのみ、発泡体クッションおよび可撓性クリップ、または発泡体クッションおよび硬質クリップを有するクッションアセンブリを含むことができる。
【0197】
場合によって、発泡体クッションは、それ自体、他のマスク部品、アセンブリ、またはマスククッションのためのスリップオーバ発泡体カバー部品として形成されてもよい。例えば、発泡体クッションの上覆いを伸縮性係合スカートとして、または伸縮性係合スカートにより形成することができる。その後、スカートまたは発泡体スカートを、フレーム、クリップ、またはさらにはシリコンクッションなどのマスク部品により画定された基礎構造の上に伸張させてもよい。発泡体クッションは、基礎部品の縁部に適合するように装着されると、患者の顔面に接触する快適なシール層として機能することができる。このように、スリップオーバ発泡体クッションは、既存のシリコーンまたは発泡体クッションマスクの快適性を向上させる、容易に交換可能なカバー部品としてさらに機能することができる。
【0198】
5.4.2.1 シール機構
図36および
図37のマスクの例により、発泡体クッションは、患者の皮膚に直接接触するように配置される。口の周り、鼻の側部、および鼻梁のシールは、患者の顔面と、ヘッドギア張力に対する、フレーム(硬質クリップによってクッションアセンブリに当てられ得る)、可撓性クリップ、および発泡体クッションの反力の組合せとの相互作用によって生じる。これらの3つの部品の各々について以下でさらに詳細に説明する。これらの部品は、共に組み立てられると、一致して動作して、鼻および口の周りに可変量の発泡体の圧縮をもたらし、有効シールをこれらの領域で生じさせる。これに関し、
図41の例示は、これらの3つの部品の組合せによりシールを達成するように作られた機構を示す。
【0199】
図41に示すように、発泡体クッションをユーザの顔面に当て、ヘッドギアベクトル(
図37に見られる)を締め付けることにより、鼻梁上、および鼻および口の側部の周りなどで、患者の顔面との発泡体の接触面に沿ってシールが発生する。発泡体の圧縮および/または偏向ならびに可撓性クリップの圧縮の組合せによってシールが生じる。
【0200】
発泡体および可撓性クリップの組合せにおける可撓性により、発泡体マスクを患者の顔面プロファイルに十分に適合させることができる。
【0201】
ヘッドギアベクトルをさらに締め付けると、より大きいシール力SFが加えられる。
【0202】
ヘッドギアによるクッションおよびクリップの偏向および圧縮によって生じるクッションおよび可撓性クリップの反力により、フレーム支持部から患者へ向けられる反応ベクトルが生じる。
【0203】
発泡体クッションおよび可撓性クリップの構造は、マスクプレナムチャンバ内に蓄積された治療圧力(例えば、CPAP)も可撓性クリップおよび発泡体の内面に作用して、これらを外側に押し、発泡体をユーザの顔面に対して圧縮するようになっている。したがって、配置は、プレナムチャンバ内の圧力をさらに使用し、シール圧力の維持を助ける。前述したように、可撓性の性質のため、発泡体とクリップとは一致して動作して、ヘッドギアベクトルによりフレームに加えられる圧縮力に反応する。最終的に、必要なヘッドギア張力を加えて、フレームを患者の顔面に向けて引くと、発泡体およびクリップが平衡形状に到達し、そこでシールが作られ保持される。一部の例では、剛性が大きいと、クリップは、発泡体クッションによって与えられるものよりも実質的に大きい反力を与えることができる。クリップおよび発泡体クッションの反力は、それらの外周に沿って変化し得る。
【0204】
同様に、圧縮された発泡体は、クッション外周の一部の部分に比較的小さい弾性反力を与え、他の部分により大きい力を与えることができる。
【0205】
本明細書で前述したマスクの例(例えば、鼻下マスク)と同様に、可撓性クリップは、凹状のプロファイルまたは内側に凹状の形状を有するように外周で内側に凹状であってよい。これにより、圧力がクリップの内面に作用して、マスクのシールを強化することができる。
【0206】
可撓性クリップの異なる部分は、異なる機能を果たすことができる。例えば、形状(例えば、「C」字型)の中間領域から与えられるばね定数は、ヘッドギアによって加わる張力に応じて主な反力を生じさせる支持ビームとして作用することができる。発泡体を支持するための外周リップは、発泡体を患者の顔面に向けて押してシール係合を強化する片持ち梁として機能することができる。加えて、クリップの全体的に開いた(凹状の、C字型、またはL字型)構造により、マスク内の空気圧を外周リップの内面に加えることができる。この面は、発泡体支持(また、シール)面とは反対に位置する。したがって、マスク圧力が外周リップを押すことにより、発泡体クッションを患者の顔面に向けて圧縮して、シール係合をさらに強化し、発泡体の空気透過性の低下を潜在的に助けることができる。クリップがない場合でも、圧力は発泡体クッションに加えられる。しかしながら、使用される発泡体が半連続気泡型であるため、加えられた圧力が発泡体を通って漏れるおそれがある。したがって、
図41に最もよく見られるように、クリップの凹形状は、発泡体クッション3810の下面の少なくとも一部が可撓性クリップの非透過性材料に覆われることを意味する。これを用いて、クッションを通る漏れを制御し、マスクプレナムチャンバ内の圧力を上昇させることができる。この概念をさらに取り入れ、クリップは、患者の皮膚に接触しない限り、クッション3810の外側壁の少なくとも一部を覆うように延びることができる。他方、様々な理由で、発泡体の表面の一部を露出させたままにすることが望まれる場合がある。本明細書で後述するように、そのような設計の1つの肯定的な結果は、発泡体の一部が可撓性クリップによって支持されず、その結果、ヘッドギアを締め付けるときに発泡体が「巻き込む」傾向があり得る。そのような巻込み効果は、例えば、鼻の一部の領域のシールに有効であり得る。
【0207】
5.4.2.2 発泡体クッション
図42に示すクッションの例では、発泡体が、鼻梁から口の底部まで変化する横断面を有し、中心面を通して対称である。使用中、発泡体の形状は、可撓性クリップの全体的な設計で用いられる人体計測データおよび発泡体材料の仕様(例えば、硬度、圧縮永久歪み、透過性、圧縮応力歪み、密度など)により影響される。
【0208】
クッションは、各領域間が平滑に移行する3つの領域、すなわち鼻梁MNBR、鼻側部領域MSNR、および口側部領域のMMRに分割可能な変化する横断面により構成されてもよい。各部分は、シールする顔面の特定の領域について最適化されるプロファイルにより構成されてもよい。
【0209】
発泡体の横断面は、以下を考慮に入れて設計され、形状は、領域の各々に対応するように設計される。
【0210】
(a)快適性
発泡体の量(高さおよび幅の両方)の増加により、全体的な快適性が向上することが分かっている。第1のクリップの特定の横断面に応じて、第1のクリップは、約8.0mm未満の高さの場合に、目立つようになり、発泡体を通して感じられる(
図42の例では、発泡体の高さの範囲は約8mm〜16mmである)。同様に、クッションの快適性は、約12mm未満の幅の場合に大きく影響された。一例の発泡体について、幅を約12mm〜30mmとし、望ましくは約15〜20mmとすることができる。
【0211】
(b)シール
患者と直接接触する発泡体の表面の幅が増加すると、シールが向上することが分かった。
【0212】
(c)安定性
シールの安定性は、発泡体の高さが増加すると悪影響を受け、発泡体の幅が増加すると良い影響を受けることが分かった。
【0213】
(d)侵入
侵入の主な危険は、クッションアセンブリがユーザの眼に入る/眼を塞ぐおそれがあることである。場合によって、これらの眼の領域で発泡体の幅を小さくしてもよい。
【0214】
注目した範囲で発泡体クッションの高さおよび幅の一方または両方を最小化することにより、マスクの全体サイズを最小化することができる。
【0215】
5.4.2.2.1 発泡体横断面
(a)鼻梁領域MNBR−
図43
一部の例では、
図43に示すようなクッションの鼻梁領域は、(その横断面が)台形に構成されてもよい。これは、より良好な安定性の特徴をもたらすことができる。快適性および良好な美的外観のために上角を丸くしてもよい。例えば、約12mm(または0〜25mm)の幅が、ユーザの鼻梁に接触する表面部に適しているとされ得る。この幅は、この領域のシール面を増加させるために、他の領域よりも実質的に大きく維持することができる。
【0216】
(b)鼻側部領域MSNR−
図44
一部の変形形態では、
図44に示すもののようなクッションの鼻側部領域は、(その横断面が)台形に構成されてもよい。これは、安定性の特徴をもたらすことができる。快適性のために上角を丸くしてもよい。クッションが患者の眼に入るのを避けるために、ユーザの顔面における表面接触部の幅は、約6.35mm(約0〜14mm)であってよい。
【0217】
(c)口領域MMR−
図45
一部の変形形態では、
図45に示すもののようなクッションの口領域は、(その横断面が)台形に構成されてもよい。これは、良好な安定性の特徴をもたらすことができる。快適性のために上角を丸くしてもよい。約9mm(約0〜17mm)の幅が表面接触部に適しているとされ得、快適性/シールと全体的なマスクサイズとの妥協点となり得る。
【0218】
これらの別個の領域が台形横断面形状で示されるが、他の横断面形状が
図46に示される。そのような横断面形状としては、丸上部形状4621−A、直線縁部丸上部形状4621−B、矩形形状4621−C、および丸縁部を有する矩形形状4621−Dが挙げられる。丸上部形状4621−Aは、完全に丸い上面のある横断面を有する。これはユーザと発泡体との間の隙間を大きくして、全体的な安定性を向上させる。矩形形状4621−Cは矩形横断面を有し、これは台形形状と同様に機能することができ、作用の目的で、丸角を有する矩形横断面と同様である。丸角により、クッションの全体的な快適性が向上する。これは、尖った角を除去することにより、マスクの使用中に発泡体がこれらの領域でそれほど圧縮されないためである。
【0219】
クッションの一部の例では、形状の組合せを、異なる領域内および/または異なる領域間の単一の発泡体クッションにおいて実施することができる。例えば、発泡体は、領域間の形状の移行を有して構成されてもよい。一例において、クッションが平坦な上部(例えば、快適性およびより良好なシールのための矩形の上部)を有する横断面形状から丸上部へ移行して、特定の顔面領域の周りの隙間を大きくすることができる。
【0220】
図45および
図46に示す例示的な横断面形状は、約12mmの発泡体高さを各々有する。しかしながら、一部の例では、12mm超または12mm未満の適切な高さを有する領域間および/または領域内で、発泡体の高さが移行してもよい。適切な高さは、クッションの個々の部分で必要とされる作用を変化させるように選択されてよい。
【0221】
5.4.2.2.2 発泡体の製造
発泡体の例示的な実施形態を、圧縮切断により製造することができるが、打抜き、熱成形、成形、研削、圧縮切断などを含む方法のいずれかにより、またはこれらの組合せにより製造してもよい。例えば、
図47に示すように、発泡体を平坦なプロファイルに圧縮切断してもよい。この平坦なプロファイルでは、その形状が主に2次元に画定されるため、発泡体の形状がやや2次元であるが、第3の次元に平面であってもよい。発泡体がクリップ(例えば、柔軟/可撓性クリップ)の一方または両方に取り付けられると、発泡体はその2次元形状を変化させるだけでなく、第3の面(次元)に曲がり、真の3次元になる。したがって、クリップは、(顔面接触を改善させるための変化などのために)組立時に発泡体に輪郭を与えることができる。
図47の例では、発泡体が第1のクリップにより輪郭付けされた形状に保持される。取付構成にあるクッションの3次元(3D)態様のより良好な図が、
図84に示される。また、クリップの1つによりクッションに与えられた3D形状を有する代わりに、クッション自体を3D形状に形成することができ、または、3D形状をフレームによってクリップおよび/またはクッションの一方または両方に与えることができる。
【0222】
5.4.2.2.3 組立て方法
接着剤(例えば、糊および/またはテープ)により、火炎貼合せにより、成形(例えば、クリップ上への発泡体の成形、または発泡体上へのクリップの成形)により、溶着により、発泡体とクリップとの機械接続、縫製などにより、発泡体を柔軟/可撓性クリップなどのクリップまたは他のマスク構造に組み付けることができる。発泡体は、略平坦または平面の輪郭を有して形成されまたは切断される。しかしながら、発泡体は、患者においてマスクとして使用されると、顔面輪郭(例えば、
図58Aおよび
図22のクッションの顔面輪郭を参照)を有する。場合によって、本明細書に記載のマスクのいずれかの発泡体クッションは、クッションを取り付けるクリップの輪郭に対応する顔面輪郭を有するように単に曲げられまたは変形され得る。したがって、発泡体は、顔面輪郭を有するようにクリップに依存することができる。しかしながら、場合によって、発泡体を成形または切断することなどによって、顔面輪郭を有して発泡体を形成することができる。そのような場合、発泡体の顔面輪郭は、クリップまたは他の構造から独立していてよい。
【0223】
5.4.2.3 第1の可撓性クリップ(例えば、「柔軟」クリップと呼ぶ場合もある)
図48のクッションアセンブリの横断面図に示すように、第1の柔軟/可撓性クリップは、クッション連結部4840、支持部4842、および基部4844を含む。クッション連結部4840は、クッションを取り付ける接触面を提供する。支持部4842は可撓性であるが、特定の剛性度合により、ヘッドギアに張力がかかり、マスクが使用されているときに、クッションに対してかなりの反応支持を与えるようになっている。基部4844は剛性の第2のクリップに取り付けられ、または一部の実施形態では、フレームに取り付けられる。例えば、異なる剛性/可撓性特徴を有する1つまたは複数の追加の支持部4842を、連結部4840と基部4844との間に含んでもよい。
【0224】
再び、壁の厚さが比較的小さい(数ミリメートル)ため、クリップ本体の一般的な形状は、マスクのプレナムチャンバの中心に向かって内向きの開口部を有する湾曲した凹面である。可撓性クリップの横断面プロファイルは形状が変化するが、L字型またはC字型、またはさらにはZ字型、単純なVカット、または壁部分の変化などとして一般に説明することができる。クリップの開いた、または凹状の性質により、クッションと患者とのシールを強化するように、マスクプレナムチャンバ内の圧力をクッションに加える(
図48の矢印P4で示す)ことができる。支持部4842は、シール面SP−5(例えば、
図56のC字型横断面、およびそのそれぞれの支持部4842を参照)に略垂直であってよい。可撓性クリップがクッションに対するかなりの支持をもたらすが、同時に、マスクの使用時に、その構成を変化させて片持ちばねとして作用することができるように、クリップの材料特性、クリップの支持部の形状および寸法(特に厚さおよび高さ)を選択することができる。クリップの剛性に関連する反力は、取り付けられた発泡体クッションを患者の顔面に向けて圧縮することにより、顔面へのシールを向上させるが、導入されたコンプライアンス(すなわち、クリップの片持ちばねの性質により)は、発泡体クッションが顔面に適合するように助ける。クリップの剛性、特に横方向(顔面に対して上下または左右)の剛性はまた、マスクの横方向の安定性をもたらす。そのような安定性は、特に、患者の頭部の動きがマスクに支障を来し、シール係合を損なう傾向がある夜間にマスクを着用するときに有利である。
【0225】
使用中の十分な動きを可能にするため、可撓性クリップは約5mmの最小高さが望ましく、これにより、ユーザは可撓性クリップの「底に当たる」ことがない。この文脈で「底に当たること」は、可撓性クリップがその偏向限界に到達したとき、または止めまで完全に平坦に圧縮されて、ユーザの顔面に作用してユーザが受ける張力が急増するときに生じる可能性がある。クリップに覆われた顔面の領域に応じて約5mm〜30mmの高さになるように、高さを選択することができる。
【0226】
可撓性支持クリップ全体または中央支持部4842は、例えば、「Z」字型、「C」字型、または「L」字型横断面形状を有する湾曲面を呈することができる。クッション連結部4840は、発泡体に接続して有効な片持ち張出し部を形成する外周リップの形状であってよい。クリップ横断面プロファイル(
図48に示す)の様々な部分の構造および材料特徴に応じて、支持部4842の上縁部に対するクッション連結部4840、または可撓性支持部4842とフレーム取付部4844との間の境界に対する部分4840、4842の組合せにより形成された張出しリップなどの可撓性クリップの特定の部分に、片持ちばね効果を主に制限することができる。
【0227】
ヘッドギアに張力がかかると、クリップの支持部4842が変形し、クリップをその元の形状に戻そうとする反力が生じる。この力は、発泡体を患者の顔面に向けて押し下げて、シール係合を強化する。
【0228】
支持クリップ全体の構成は、支持と可撓性とのバランスをもたらすように構成される。寸法(主に壁厚さおよび高さ)を変化させることにより、クリップの周囲に沿った剛性および横断面形状、異なるレベルの支持および可撓性がマスクの異なる部分に与えられる。
図48に見られるように、クリップの支持部4842はシール面SP−5に略垂直であるが、一部の実施形態では、支持部とシール面に対する垂線とが間に角度αを形成することができる。本技術の一部の例では、可撓性支持クリップの横断面形状は、角度αおよび/またはL字型、C字型またはZ字型のアームの相対長さによって少なくとも部分的に特徴付けられる。例えば、
図51〜
図54に関して後述するように、鼻梁の敏感な領域などにおいて、より高い柔軟性と下部支持とが必要な場合、クリップは、以下の特性、すなわちより高い支持部4842、より薄い支持部4842、または角度αの増加の1つまたは2つもしくはそれ以上の組合せを用いることができる。例えば、20°〜50°の角度、より詳細には30°〜40°の角度が、そのような適用に適していることがある。クリップの全体的な形状の変化(すなわちC字型からL字型へ)またはクリップの様々な部分の相対長さの変化(例えば、クッション連結部4840または支持部4842の相対長さの変化)などの第1の可撓性クリップの全体的な物理的構造の変動を実施して、同様の結果を達成してもよい。
【0229】
クリップの可撓性の性質により得られる片持ちばね効果について、前の段落ですでに説明した。しかしながら、クリップの可撓性の性質は、クリップの長さに沿って分散可能であり片持ちばね効果を越える、より幅広い自己調節効果を規定することができる。特に、そのような調節は、マスクが動作構成、すなわちマスクがユーザに取り付けられ、ヘッドギアストラップが締め付けられ、マスクのプレナムチャンバが加圧される構成にあるときに行われる。この場合、クリップに作用する力の間にあるバランスが確立される。例えば、接触面SP−5に垂直な方向で、そのような力は、クリップを押し下げる力(マスクフレームを介して加わるヘッドギアの張力、加えられる圧力P4、および発泡体クッションによって加えられる反力など)、ならびに支持部4842によって主に規定されるクリップのばね定数を含む。しかしながら、プレナムチャンバに加わる圧力は、P1として示す方向だけでなく、クリップの内面全体にも作用する。力の全体的なバランスおよびクリップの可撓性は、マスクがその動作構成になると、クリップの横断面プロファイルの構成全体を動的に変化させることにつながり得る。したがって、クリップの形状(
図48に示す略L字型形状など)は変化を受けることができ、これはクリップの異なる外周部分において異なる場合がある。変化の一部は、以下、すなわち支持部4842のいずれかの部分における内向きまたは外向きの曲げ、部分4840、4842間の角度の修正(
図48には示さないが、角度αを補完する)、クッション支持部4840の傾斜角度の変化のいずれか1つを含むことができる。プレナムチャンバに向かうクッション連結部4840(クッション支持面)の内回転により、クッションの巻込み効果を規定する。変化はクリップの外周に沿って変動し得る。例えば、クリップ外周にわたる一部の部分において、クッション連結部4840(および、したがってクッション)のクリップの表面が巻き込むことができ、一方他の部分では巻き出すことができる。
【0230】
クリップの構成の修正の方向および程度は、前述した力のバランス、患者の顔面プロファイル、および剛性/可撓性などのクリップの材料特性に依存する。これらの特徴は、クリップの形状、寸法(例えば、厚さおよび/または高さ)、および/または材料特性を変化させることによって修正することができる。使用時にクリップの横断面プロファイルそのような修正を容易にする、クリップの少なくとも一部の実施形態の特定の寸法および材料の(より詳細には、機械的)特性について、本明細書でさらに説明する。修正は、可撓性クリップおよび取り付けられた発泡体クッションが様々な顔面形状および特性に対応することができ、快適で確実なシールをもたらすことができる自己調節機構を呈する。そのような自己調節機構の効果は、
図51〜
図54に関連して説明するように、機械的特性の意図的な変化、および可撓性クリップの外周にわたる部分4840、4842間の一般的な空間関係(または角度)によってさらに強化され得る。
【0231】
場合によって、クリップの支持部4842は、空気圧が空気ばね効果を生じさせることができる寸法(高さおよび厚さ)ならびに機械的特性(すなわち、可撓性)を有するように選択されてもよい。すなわち、
図48に示すように、支持クリップの可撓性のため、プレナムチャンバ内の圧力P4を用いて、発泡体クッションを患者の顔面に向けて押し下げることによってマスククッションの全体的なシールを助けることができる。圧力が上昇すると、シールを生じさせる力も増加する。また、ばね効果は、クリップ外周にわたって変化し得る。
【0232】
前の段落で説明したすべての効果により、可撓性クリップが支持クリップの可撓性を補完することができる。しかしながら、それらの効果はクリップの剛性によって限定される。クリップは、大きな構造支持を発泡体に与えるために十分な全体的剛性を有する必要がある。
【0233】
一部の特定の実施形態では、何らかの理由で実質的なコンプライアンスおよび柔軟性が必要な場合、クリップの寸法および材料特性は、使用時にマスクに加わる圧力下で、クリップが少なくとも部分的にバルーン状に膨張できるように選択されてもよい。そのような配置により、コンプライアンスは上昇するが、安定性は低下する。
【0234】
図49に示す例では、柔軟/可撓性の第1のクリップは、鼻梁から口の底部まで変化する横断面を有し、中心面を通して対称である。可撓性クリップの形状は、発泡体の全体的な設計およびクリップ材料の仕様に大きく影響される。1つの特定の実施形態について、連結部4840および支持部4842の両方における可撓性クリップの厚さは、約1mm〜2mmで変化し得る。しかしながら、他の厚さを実施してもよい。
【0235】
図48および
図50に示す位置隆起4845は、発泡体に接触する可撓性クリップの表面の外周に含まれてもよい。この構造は、その後、発泡体の製造プロセスにおいて、可撓性クリップの連結部4840により提供される発泡体取付面との位置合わせを助けることができる。位置隆起は、小さく設計され、ユーザの顔面に接触しない。例えば、位置隆起は、約0.5mmの高さおよび幅であり、上部が完全に丸くなっていてよい。他の高さを選択してもよく、約0.2mm〜2mmであってよい。
【0236】
5.4.2.3.1 第1のクリップ領域
第1のクリップは、クリップの異なる領域における異なる特徴により実施することができる。例えば、クリップの様々な部分における異なる横断面形状および/または特性は、以下で詳細に説明するように、マスクの関連部分に異なる特性を与え、ユーザの顔面のそれぞれの領域との効率的なシールを可能にするものである。例示的な領域が
図49に示される。領域は、鼻梁領域FC−NBR、鼻側部領域FC−SNR、口側部領域FC−SMR、および口底部領域FC−BMRを含むことができる。
【0237】
(a)鼻梁領域−
図51
図51に示すこの領域の横断面形状の例は「C」字型であってよく、発泡体クッションがユーザの顔面に対して略垂直に動いて、様々な鼻梁深さに対応することができる。この領域は、第1のクリップの最も柔軟な/最も可撓性の部分であってよく、支持部4842の厚さが約1mmであってよい。しかしながら、一部の変形形態におけるこの厚は約0.25mm〜1.5mmであり得る。内側の顔面(この場合45°)(0°〜90°の範囲で)と「C」部分の全体サイズとの間の角度によって、動きが生じる。
【0238】
クッション連結部4848で発泡体に取り付けられる表面は、この領域で最も大きくなり得る(例えば、約15mm)が、約10mm〜25mmであってよい。このサイズ決めは、シールがこの領域での可撓性クリップの外側への動きを制限するため、鼻の側部でシールが膨張する可能性を低下させるように行われる。
【0239】
図51に示すように、可撓性クリップを剛性クリップに取り付けるために使用される領域の境界から、発泡体に取り付けるために使用される領域の境界までの測定されたクリップの高さは、13mmと示される。しかしながら、これは10〜20mmで変化し得る。クリップの約0.25mm〜1.5mmの示された厚さについて、これは、厚さに対する高さの割合5〜80を規定する。
【0240】
これらの値の組合せは、全体的なシールと快適性の質とを規定することができる。
【0241】
(b)鼻側部領域−
図52
図52に示すこの領域における第1のクリップの例示的な横断面形状も、「C」字型であってよく、発泡体が旋回して、ユーザの鼻の側部で顔面形状に適合することができる。これにより、発泡体接触面がユーザの鼻と平行になり得る。可撓性クリップのこの領域における可撓性クリップ支持部4842は、約1mmの厚さを有することができる。しかしながら、一部の変形形態におけるこの厚さは、約0.25mm〜1.5mmであってよい。約12mmの高さは、ユーザの鼻に適合するために必要な動きの範囲を与える。しかしながら、一部の変形形態におけるこの高さは、約8mm〜20mmであってよい。
【0242】
図52に示すように、可撓性クリップを剛性クリップに取り付けるために使用される領域の境界から、クリップを発泡体クッションに取り付けるために使用される領域の境界までのクリップの高さが測定される。クリップ外周のこの部分の上記厚さおよび高さは、厚さに対する高さの割合5〜80を規定する。
【0243】
(c)口側部領域−
図53
口の両側部の領域における
図53に示す例示的なクリップ横断面形状は、「L」字型であってよく、口の側部の周りの固定点を効果的に形成する、クリップの最も高い剛性の部分であり得る。支持部およびクッション連結部は、安定性の向上およびより良好なシールのために互いに対して傾斜していてもよい。これらの顔面の口側部領域が最も圧力に敏感でないと考えられるため、より剛性の高い構成が適している。さらに、この傾斜構成により、発泡体をユーザの顔面へ旋回させて、顔面プロファイルを変化させることができる。可撓性クリップおよび詳細にはその支持部4842が、約2mmの厚さを有することができるが、剛性を高くするために約1.5mm〜3mm)の他の厚さも実施可能である。一部の変形形態では、可撓性クリップのこれらの領域のために、「C」字型形状を実施してもよい。しかしながら、これにより、全体的なマスクの設置面積が大きくなり得る。
【0244】
図53に示すように、可撓性クリップを剛性クリップに取り付けるために使用される領域の境界から、発泡体クッションに取り付けるために使用される領域の境界までの測定されたクリップの高さは、15mmと示される。しかしながら、これは10〜20mmで変化し得る。クリップの示された厚さについて、これは、クリップの外周のこの部分についての厚さに対する高さの割合3〜80を規定する。
【0245】
(d)口底部領域−
図54
図54に示す口底部領域の例示的なクリップ横断面形状は、「L」字型であり、可撓性クリップが巻き込むことができるように構成される。これにより、発泡体は顔面に対して上下(
図54に対して左右)に動くことができ、ユーザの顔面に対して平行な上部シール面を維持することができる。この特性により、クッションと患者とのシールを失うことなく、ユーザの顎が動くことができる(すなわち、使用中に顎が下がる)。可撓性クリップは、この領域に1mmの厚さ(0.25〜1.5mmの範囲)を有することができる。丸い内面RISにより巻込み作用が可能であり、発泡体(クッション連結部4840)に取り付けられたリップ表面が内側に折り曲がらないようにするのに十分に大きい半径(例えば、約4mmだが、約2〜10mmの半径であってよい)を有することによって、巻込み作用がさらに補助される。可撓性クリップは、約17mmの高さを有することができるが、この領域で約15〜25mmの高さであってよい。この高さ範囲により、発泡体クッションの十分な動きが可能になる。
図54に示すように、可撓性クリップを剛性クリップに取り付けるために使用される領域の境界から、発泡体に取り付けるために使用される領域の境界までのクリップの高さが測定される。「L」字型横断面形状が示されるが、一部の変形形態では、「C」字型形状がこの領域に構成されてもよい。しかし、これにより、全体的なマスクの設置面積が大きくなる。
【0246】
クリップの示された厚さおよび高さは、クリップ外周のこの部分の厚さに対する高さの割合10〜100を規定する。
【0247】
5.4.2.3.2 第1のクリップ結合
一部の変形形態では、可撓性クリップが、
図55および
図56に示す例のようなリップシール5550を含むことができる。リップシールは、可撓性クリップをマスクフレームにシールする可撓性クリップの一部として機能する。したがって、リップシール5550を可撓性クリップとマスクフレームとの間で使用して、シールが2つの部品間で確実に維持されるようにする。リップシールは可撓性クリップの一部であってよく、可撓性クリップの内周にわたって延びることができる。リップシールは可撓性であり得る。例えば、硬質のクリップ取付け機能などによって可撓性クリップをマスクフレームに連結すると、マスクフレームのより剛性の高い部分をより可撓性の高いリップシールに対して押し下げて、これらの間に密/有効なシールを作ることができる。これによって、より可撓性の高いリップシール5550の何らかの動きまたは変位が生じ得る。他の構成では、リップシール5550は、第1の支持クリップ3812(例えば、可撓性クリップ)の一部ではなく、剛性の第2のクリップ3814またはフレーム3816の一部であってよい。
【0248】
第2のクリップ(またはより剛性の高いクリップ)とマスクフレームとの結合も、
図55および
図56に示される。剛性クリップは、可撓性クリップを有するクッションアセンブリがマスクフレーム内に押し込まれ過ぎることを防止する硬質止め5551として機能することができる。したがって、剛性クリップは、リップシール5550の適切な位置合わせを確実に行うことを助けることができる。クッションが誤って組み立てられると、リップシールを通る漏れにつながり、マスクフレームが突出し過ぎて患者に接触し、マスクフレームのヘッドギア取付具が遠くへ動き過ぎて患者に接触する。
【0249】
作用特徴(荷重下でどのように作用するか、例えば、シール力の増加/減少)を、以下、すなわち材料特性、柔軟クリップ厚さ、全体的な可撓性クリップ高さ、幅および/または柔軟クリップ形状のいずれか1つまたは複数を修正することによって、可撓性クリップの個々の部分で変更することができる。
【0250】
5.4.2.3.3 第1のクリップ材料
一般に、空気透過性であり得る発泡体クッションとは異なり、第1のクリップは、一般的に発泡体から作られず、それ自体、空気不透過性であり、または空気を通さない。第1のクリップは、使用時に可撓性であり、荷重下で変形する弾性材料から作ることができるという点で、「可撓性」または「柔軟」と考えられる。この材料としては、限定されないが、シリコーン、TPE、TPU、および天然ゴムが挙げられる。
【0251】
TPE材料は、発泡体および/または剛性クリップに接着/成形される可能性が高いため望ましい。
【0252】
5.4.2.3.4 第1のクリップの製造
可撓性クリップの製造プロセスは、射出成形を含むことができる。可撓性クリップを、以下の技法のいずれか1つまたは複数により成形することができる。可撓性クリップを別個の部品として成形することができる。硬質クリップ、マスクフレーム、および発泡体クッションのいずれか1つなどの別の1つまたは複数の部品上に、可撓性クリップをオーバモールドしてもよい。例えば、可撓性クリップを、発泡体および硬質クリップの両方に成形することができる。
【0253】
製造プロセスに応じて、可撓性クリップが別個の部品として製造される場合、可撓性クリップを1つまたは複数の技法により硬質クリップに組み付けることができる。例えば、可撓性クリップを、接着剤、糊、またはテープなどにより接着することができる。可撓性クリップを、火炎貼合せ、超音波溶着、単一の射出成形プロセスによって複数の(例えば、2つの)異なるポリマーを使用する2Kまたは二個取射出成形プロセスなどの射出成形によって組み立てることができる。
【0254】
5.4.2.4 第2のクリップ(例えば、硬質クリップ)
図56および
図57に示すように、可撓性クリップに対してより剛性が高くてよいオプションの第2のクリップ3814により、クッションアセンブリをマスクフレームに対して容易に組立ておよび分解することが可能になり得る。これにより、マスクフレームの洗浄およびクッションアセンブリの交換が容易になり得る。異なる構造が剛性クリップをマスクフレームに取り付けるための機構として機能するが、
図56および
図57は、複数の保持機能(例えば、スナップ要素4024またはクリップ)がフレームのそれぞれの表面にロックし、剛性クリップ(およびクッションアセンブリ全体)をフレームに当接支持する例を示す。
図40を参照して、保持機構のこれらの機能について説明する。代替アセンブリも可能である。
【0255】
一般に、第2のクリップ3814により、可撓性クリップ/発泡体アセンブリとマスクフレームとの間により硬質のインタフェースが可能になる。硬質クリップの使用は、有用性を高めることができるが、マスクの動作に必須ではない。代わりの取付け機構を使用して、クッションアセンブリをマスクフレームに取り付けてもよい。同様に、可撓性でない支持クリップを必ずしも含まなくてよいマスクアセンブリを設計することができる。本明細書で前述したように、より大量の発泡体の使用はそのような場合に必要となる。
【0256】
一部が剛性クリップまたはさらには可撓性クリップを含まない、発泡体クッションとマスクフレームとの間の代わりのアセンブリ機構は、可撓性クリップとマスクフレームとの間に舌および溝形状を含むことができる。
【0257】
一部の変形形態では、可撓性クリップの一部を、マスクフレームの連結縁部を伸張および把持することによって、マスクフレームに取り付けるように構成することができる。一部の例では、可撓性クリップは、気密食品容器と同様に、干渉嵌めによりマスクフレームまたは剛性クリップに連結するように構成されてよい。一部の変形形態では、可撓性クリップおよびマスクフレームは、舌およびスロットインタフェースを間に有することができ、空気/圧力漏れを防止するために、二次リップシールまたはガスケットがあってもよい。一部の変形形態では、クッションアセンブリを、マスクフレームに恒久的に取り付けることができる。一部の変形形態では、接着テープなどの接着剤を、クッションアセンブリとマスクフレームとの間で使用してもよい。
【0258】
剛性の第2のクリップは、可撓性クリップおよび発泡体クッションの柔軟性/可撓性の性質によって、構造の完全性をクッションアセンブリに与えることができる。また、剛性クリップにより、クッションアセンブリは、マスクフレームから分解されたときでも、その形状を維持することができる。
【0259】
5.4.2.4.1 第2のクリップの材料
硬質クリップを、任意の適切な剛性材料から作ることができる。例えば、第2のクリップを、剛性の熱可塑性材料から作ることができる。そのような材料としては、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ナイロンおよび/またはポリカーボネートが挙げられる。
【0260】
第2のクリップは、例えば、射出成形により製造されてもよい。
【0261】
5.4.3 鼻上シールの追加の例
図69〜
図86を参照して、本技術の別の例示的な発泡体マスクについて検討することができる。マスクは口の周りおよび鼻上のシールに適したものであってよい。発泡体クッション3810が
図69に示される。クッションの横断面形状は略台形で、患者の顔面に接触する角が、快適性のため丸くなっている。この略台形の形状は、安定性をもたらす。
図70に示すように、平坦な接触面が部分的に除去されて、ユーザの鼻を受けて、マスクにより鼻梁領域に加わる圧力を低下させるように構成された鼻凹部6912を形成する。(鼻高さに平行な垂直方向の)凹部の高さは約17mmであり得る(
図70の横断面を参照)。一部の変形形態では、場合により、凹部の高さは、発泡体の幅までの任意の高さ、例えば25mm)であってよい。垂直方向(ユーザの鼻の長さに沿った方向)から水平方向(ユーザの鼻の幅の方向)へ動くと、点6910Aから始まる凹面が点6910Bで非凹面に接合するまで、凹部が次第に小さくなる。水平方向の凹部の幅6910Cは約10〜35mmであるが、約20〜25mmであってよい。十分に設計された凹部により、発泡体がユーザの鼻に密着することができる。これにより、この領域におけるマスクの安定性が高まる。凹部の幅の増加により、さらなる解放/快適性をユーザに与えることができるが、これはシールおよび安定性に対して悪影響を与える。凹部の深さは約9mmであるが、発泡体の完全な高さまでの範囲、例えば、9mm)であってよい。凹部の深さが大きくなると、視界が改善され、さらなる解放/快適性をユーザに与えるが、発泡体クッションの全体的な耐久性に悪影響を与えることがある。
【0262】
鼻および口側部領域の発泡体の横断面形状は、本明細書に記載のクッションの変形形態のいずれかの横断面形状であってよい。しかしながら、新しい鼻梁と鼻側部領域との間に平滑な移行があってもよい。凹部を発泡体クッションのための圧縮切断プロセスと同時に製造してもよいが、例えば、追加の圧縮切断、熱成形および/または研磨によって、二次プロセス中に凹部を形成してもよい。
【0263】
5.4.3.1. 第1のクリップ(例えば、可撓性クリップ)
前の例と同様に、マスクは、クリップの領域(例えば、鼻梁領域FC−NBR、鼻側部領域FC−SNR、口側部領域FC−SMR、および口底部領域FC−BMR)によって変化する横断面形状を有する第1のクリップ(例えば、柔軟/可撓性クリップ)を含むことができる。これらの領域の各々の例示的な横断面形状を
図71、
図72、
図74、
図75にそれぞれ示す。
【0264】
A.可撓性クリップの鼻梁領域
発泡体クッションを鼻梁領域で支持する可撓性クリップ表面の幅を小さくすることによって、発泡体クッションの凹部の形成を補完することができる。支持部を小さくするとコンプライアンスが大きくなり、圧力が加わるとクッションが巻き込むことができ、これにより、鼻梁領域におけるユーザの快適性がさらに向上する。
【0265】
クリップ外周のこの領域の
図71に示す横断面は略「L」字型であり、発泡体がユーザの顔面に対して略垂直に動いて様々な鼻梁深さに対応することができる。この領域は、クリップの最も柔軟な(すなわち最も可撓性の高い)部分を形成し、約0.5mmの厚さ(支持部4842)を有する(しかし、適切には約0.25〜1.5mmの厚さであってよい)。支持部4842の屈曲と、支持部4842と発泡体接触面を有する部分との間の角運動において、可撓性を示すことができる。この例では、支持部が約11.44mmの高さを有するが、適切には約8mm〜20mmの高さであってよい。さらに、発泡体接触面の幅は、例えば約6.5mmであるが、約3〜12mmの幅であってもよい。これにより、発泡体がより幅広になり得るため、発泡体クッションが接触面に重なることができる。発泡体の取り付けられない部分は、クリップから独立して屈曲することができる。一部の変形形態では、このクリップの横断面部分は「C」字型であってよいが、全体的なマスク設置面積が大きくなる。
【0266】
B.可撓性クリップの鼻側部領域
図73に見られるように、位置7310Hの鼻側部領域において、鼻の両側のクリップの支持部分によって、発泡体の全体的な高さが周囲領域と比べて増加する。これによって、より良好な支持が行われ、この特定の領域におけるシールが向上し得る。
【0267】
図72に示すように、マスクのこの領域におけるクリップの横断面は略「L」字型であり、発泡体がより容易に旋回して、ユーザの鼻の側部で顔面形状に適合することができる。形状により、発泡体の接触面をユーザの鼻に平行にすることができる。支持部4842の可撓性クリップは、この領域で約0.75mmの厚さを有することができるが、約0.25〜1.5mmの厚さであってよい。
【0268】
約9.46mmの高さ(適切には約8mm〜20mmの高さであってよい)は、ユーザの鼻に適合するために必要な動きの範囲を与えることができる。この領域において、そのように高さが局所的に増加することにより、この領域の発泡体の形状または厚さを変化させることなく、追加のシール力を加えて、この重要な領域の周りに良好なシールを形成することができる。
【0269】
あるいは、またはクリップ高さの増加に組合せによって加えて、
図73のクリップの領域における発泡体クッションの高さを位置7310Hで局所的に増加させることを通して、同様の効果を達成することができる。
【0270】
場合により、「C」字型形状をこの領域で実施することができるが、全体的なマスク設置面積が大きくなる。
【0271】
C.可撓性クリップの口側部領域
図74に示された横断面形状を、口側部領域において実施することができる。この領域は、支持部4842の軸に垂直な水平線と発泡体クッションを支持する発泡体接触面との間に角度βを有するように構成されてよい。この傾斜により、発泡体接触面の内側への巻込みが可能になり、発泡体クッションを当てたときに顔面のこの領域により良好に密着する。これにより、システムの全体的な安定性を向上させることもできる。
【0272】
図74に示す口の両側部のこのクリップの横断面形状は略「L」字型である。角度βが大きいと、クリップの内側への屈曲範囲が小さくなり、クリップの剛性が高まる。これにより、マスクのこの部分が顔面により良好に密着することができ、口の側部の周りに固定点を効果的に形成する。可撓性クリップの剛性は、この領域で最も高くてよい。顔面のこの領域は、ユーザの最も圧力に敏感でない領域であるため、この領域でそのように可撓性が低いことが適切であり得る。斜め形状により発泡体をユーザの顔面へ旋回させて、顔面プロファイルを変化させることもできる。可撓性クリップおよびより詳細にはその支持部4842が、約1.2mmの厚さを有することができ(しかし、約1mm〜2mmの適切な厚さであってよい)、所望の剛性をもたらす。角度βは約37.1度であってよい(しかし、約20〜60度の適切な角度であってよい)。
【0273】
場合により、「C」字型形状の設計をこの領域で使用することができるが、全体的なマスク設置面積が大きくなる。
【0274】
D.可撓性クリップの口底部領域
口底部領域について
図75に示すクリップの横断面形状は略「L」字型であり、可撓性クリップは巻くことができる。小さい(ゼロに近い)角度βにより、発泡体支持面が屈曲することができる。これにより、発泡体は、ユーザの顔面に対して平行な上部シール面を維持しながら、顔面に対して上下(
図75の例示に対して左右)に動くことができる。この特性により、シールを失うことなく、ユーザの顎が動くことができる(例えば、使用時に顎が下がる)。可撓性クリップは、0.75mmの厚さを有することができる(しかし、適切には約0.25mm〜1.5mmの厚さを有することができる)。平滑な丸い内面RISと約14.21mmの高さ(しかし、約12〜25mmの適切な高さを有することができる)とにより、巻込み作用が補助される。
【0275】
場合により、「C」字型形状をこの領域で実施してもよいが、全体的なマスク設置面積が大きくなる。
【0276】
5.4.3.2 第2のクリップ(例えば、剛性クリップ)
他の変形形態と同様に、
図76に示す可撓性クリップは、可撓性クリップが硬質クリップに取り付けられると、硬質クリップ(例えば、第2のクリップ3814)の縁部7660の上に張り出すリップシール5550を有する。張出し係合は、この外周リップが硬質クリップ縁部に対してシールするようになっている。リップシールが水平線に対してなす角度Gは小さい(例えば、約5度(適切な角度範囲は約0〜20度))。これにより、フレームをクッション組み付けるときに、リップシールは、より剛性の高いマスクフレーム部7662に対して押し下げられるため、常に張力を受け、これによりシール係合を向上させ、リップシールの起こり得る座屈の変化を最小限にする。
【0277】
柔軟クリップと硬質クリップとの係合は、硬質クリップの係合リブ7664がマスクフレームの係合溝7666に受けられるようになっている。係合溝に沿っていくつかの点があり、そこに止め点7668が形成されて、溝への係合リブの挿入を制限する。硬質止めは、フレーム外周にわたるいくつかの(例えば、6の)位置に局所化された連続した隆起または1組の点であってよい。クリップが係合構成にあるときに、係合リブがこれらの止め点の一部または全部に当接して、係合溝にそれ以上入らないように、硬質止めを配置してもよい。垂直方向への挿入を制限することに加えて、硬質止め点は、フレームの水平運動をクッションアセンブリに拘束することもできる。これは、係合リブを受ける凹部を有する硬質止め点の少なくとも1つ、好ましくはいくつかによって達成される。開口部の幅がリブ7664を密に受けるように配置されると、この配置は水平方向へのクリップの動きを制限する。
【0278】
図77〜
図82に見られるように、上部取付けスナップ要素8010−1をそれぞれのフレーム開口部8012に係合させることができる。1つの方法は、クリップアセンブリ全体を旋回させて、クリップの上部ロッキング縁部のスナップ要素8010−1がそれぞれのフレーム開口部8012に旋回可能に挿入されるようにすることである。これは、ユーザのために最小の努力を必要とする。その後、クリップアセンブリ全体をフレームに平行になるように旋回させて戻し、底部スナップ要素8010−2がカチッと音を立ててそれぞれのフレーム係合部と係合するまで、クリップ/クッションの下部をフレームに対して押し下げる。あるいは、クリップアセンブリ全体を平行に位置合わせし、クリップアセンブリの上部スナップ要素および底部スナップ要素の両方がフレームに係合するまで、フレームに対して押し下げることができる。この場合の上部取付具の係合は、上部ヘッドギア張力に略等しくなるように配置されたわずかに大きい力を必要とする。そのため、組立中に上部取付具が完全に係合していない場合、ユーザがマスクを着用したときに上部取付具が自己係合する。
【0279】
底部スナップ要素8010−2は、ユーザが分解中に操作する主なインタフェースを形成し、指で快適に機構を動作させることができるようなサイズになっている。
図81に最もよく見られるように、硬質クリップの底部スナップ要素8010−2はテーパ縁部につながる2つの円形部を有し、これにより、マスクフレームの対応する受けスロット8014内につながるものとして作用するときに有用性を高める。
【0280】
この変形形態では、フレームの係合機構(受けスロット8014)が底部にわたって完全には延びず、これは、分解中にユーザが指を硬質クリップに完全に接触させたまま下方に滑らせることができるように特に設計される。
【0281】
5.4.3.3 発泡体マスクアセンブリ動作
図83〜
図86を参照して例示的なマスクの動作/作用について検討することができる。
図83のクッションアセンブリの外周にわたる作用領域は、鼻梁領域ZA、鼻側部領域ZB、上頬領域ZC、口側部領域ZD、および口底部領域ZEを含む。クッションがユーザの顔面に対してどのように反応するかに関するクッションの設計意図を、本明細書でさらに説明する。
【0282】
クッションは、ユーザの顔面の個々の領域に対して異なる量の荷重または反力を加えるように構成される。鼻梁領域ZAは、最も敏感な領域であるため、最も荷重が少ない。その後、領域ZBおよびZCにおけるより頑強なシールがユーザの眼への漏れの可能性を低下させるにつれて、これらの領域の荷重が増加する。比較すると、領域ZD、ZEには最も大きな荷重がかかり、クッションをユーザの顔面に固定するように作用する。領域ZD、ZEにわたって均一な荷重があるが、個々のユーザの顔面プロファイルのため、これは変化し得る。
【0283】
クッションは、上部ヘッドギアストラップおよび底部ヘッドギアストラップを締め付け、または緩めるときに旋回動を有する。おおよその旋回軸が
図84に矢印で示される。上部ヘッドギアストラップを締め付けることにより、領域ZA、ZB、ZCはユーザの顔面へ旋回し、領域ZD、ZEは離れて旋回する。底部ストラップが締め付けられると、領域ZA、ZB、ZCはユーザの顔面から離れて旋回し、領域ZD、ZEはユーザの顔面へ旋回する。上部ヘッドギアストラップおよび底部ヘッドギアストラップを緩めると、逆のことが行われる。
【0284】
図85は、マスクの様々なそれぞれの領域における相対圧力/反力の概略を示す。矢印は、ヘッドギアに張力がかかって、マスクをユーザの顔面で支持するときに、マスクによってユーザの顔面に加わる圧力/力を示す。異なる矢印のサイズは、それぞれの領域の相対圧力差を示す。したがって、マスクは、(例えば、クリップおよび/または発泡体クッションの特徴によって)その患者接触面の異なる領域に異なる反力を加えるように構成することができる。
図85の例示的な例では、マスクは、マスクの上部領域(例えば、敏感な鼻梁領域ZA、鼻側部領域ZBおよび/または上頬領域ZC)により小さい力が加わるように構成される。マスクは、マスクの下部領域(例えば、口側部領域ZDおよび/または口底部領域ZE)により大きい力が加わるように構成されてもよい。この例では、マスクが、鼻梁領域ZAの最も小さい力に合わせて構成される。これらの力は、
図85の図の左右に対称であり得る(例えば、それぞれの領域において左側は右側と略同一である)。他の力の分散/変動を適用してもよい。
【0285】
本明細書で前述したように、クッションは、ユーザの顔面に当てられると、巻込み効果を呈することもできる。領域ZAがユーザの鼻梁によって押し下げられると、領域ZBはユーザの鼻の側部へ巻き込むことができ、これは、ユーザの顔面に対するクッションのシールのコンプライアンスを高めるように作用する。領域ZEがユーザの下顎によって押し下げられると、領域ZDはユーザの口の側部へ巻き込んで、ユーザの顔面に巻き付くときにより有効な固定具を形成する。
【0286】
図86は、マスクのそれぞれの領域における、おおよその巻込み反応を示す。矢印は、ヘッドギアに張力がかかってマスクをユーザの顔面で支持するときの、巻込み反応の相対的な程度を示す。矢印のサイズの差は、それぞれの領域における巻込みの相対差を示す。
【0287】
したがって、マスクは、(例えば、クリップおよび/または発泡体クッションの特徴によって)患者接触面の異なる領域に異なる度合の巻込みを有して構成することができる。
図85の例示された例では、マスクは、最大度合の巻込みが鼻側部領域ZBおよび/または口側部領域ZDに加えられるように構成され、この度合は略同一であり得る。マスクは、より小さい度合の巻込みが他の領域(例えば、鼻梁領域ZA、上頬領域ZCおよび/または口底部領域ZE)に加えられるように構成されてよく、この度合は略同一であり得る。これらの巻込み力は、一般的に、
図85の図の左右に対称であり得る(例えば、それぞれの領域において左側は右側と略同一である)。しかしながら、他の力の変動を構成してもよい。
【0288】
巻きの度合を意図的に修正して、マスクの快適性および効率的なシールを助けることができる。巻きの特定の度合を達成するいくつかの方法がある。
【0289】
一般に、クッションインタフェースの外周にわたって、発泡体クッションが着座する面が、巻込みの度合を促すように、異なる角度でユーザの顔面側へ内側に傾斜することができる。一部の領域(口の側部など)は、より大きい巻込みの影響を容易にするために、より大きい角度を有する。
【0290】
発泡体クッションを組み付ける柔軟(例えばTPE/シリコーン)クリップの可撓性は、右角度ビームとして広く形成されるため、(前述した内側傾斜により意図される)内側への巻きが可能になる。
【0291】
可撓性クリップ材料は、可撓性で柔順であるように選択され、(前記意図および説明に従って)内側への巻きを可能にすることもできる。
【0292】
基礎可撓性クリップ表面により行われる発泡体に対する支持の度合を、可撓性クリップの支持面が発泡体表面の下で確実に部分的にのみ延びるようにすることによって変化させてもよい。したがって、通常マスクの内側にある発泡体表面の一部は、支持されなくてよい(すなわち、発泡体が可撓性クリップの上に張り出す)。圧力が発泡体に加わると、支持されない表面が下がって、巻込み効果を容易にする。
【0293】
したがって、一部の例では、発泡体クッションアセンブリは、クリップの外周および/またはアセンブリの少なくとも一部の部分で変化するパラメータを有することができる。パラメータは、クリップおよび/または発泡体クッションのばね定数、クリップおよび/または発泡体クッションの横断面プロファイル、クリップの壁厚さ、クッションを取り付ける接触面の角度、支持接触面に対するクッションの張出し、および/または発泡体厚さを含む。
【0294】
5.4.4 さらなるオプションの発泡体マスク機能
前述したように、前記の鼻上マスクまたは鼻下マスクであっても鼻のみのマスクであっても、マスクに発泡体クッションを実装することができる。一般に、最大の快適性およびコンプライアンス/シール性能を有するマスクを達成することが望ましい。様々な発泡体シール形成クッション構成は、この希望を達成するように構成されてよい。しかしながら、快適な発泡体クッションを設計するときに、考慮すべき他の妥協点がある。1つのそのような妥協点は透過性であり、これは発泡体の柔軟性およびコンプライアンスに密接に関連する。所望のシールおよび快適性を達成するために、マスク上に発泡体の比較的厚い層を実装してもよい。より重く目立つことに加えて、限られた透過性を有するより大きい層または発泡体は、漏れの増加と関連し、提供される圧力治療を損なうおそれがある。サイズおよび透過性に関するこの問題に対処するために、前述した本技術の一部の変形形態は、発泡体層とフレームとの間に可撓性の中間構造部品(例えば、クリップ)を使用することができる。前記可撓性クリップなどのそのような構造は、発泡体シール形成層に取り付けられる。そのような中間構造(例えば、可撓性クリップ)の剛性と可撓性とのバランスを、中間構造が発泡体クッションの一部に代わるものとして機能できるように選択することができる。したがって、よりかさばらない発泡体層を使用することができる。加えて、クリップは一般に非透過性材料から形成される。そのため、および本明細書で前述した特定の凹状構成のため、クリップの一部が発泡体クッションの少なくとも一部を覆い、発泡体クッションに関連する全体的な漏れを低減させることができる。その後、可撓性クリップは、漏れを最小限にしながら、支持およびコンプライアンスの利点を維持することができる。中間構造の一部の追加のオプションの特性を、前述した可撓性クリップの目標の一部を達成することに関して考慮することができる。
【0295】
5.4.4.1 クリップの可撓性
発泡体シール形成層を硬質クリップまたはマスクのフレーム/外殻に単に与えることの1つの欠点は、硬質/剛性部の底に当たるおそれがあることである。患者が基礎クリップまたはマスクのフレーム/外殻の剛性または硬度を感じ始める程度まで発泡体が圧縮されたときに、底に当たる。この問題に対処するために、本明細書全体を通して説明される一部の例は、マスクに加わる圧力によって屈曲する柔軟/可撓性クリップを導入する。配置は、可撓性クリップの可撓性およびコンプライアンスが発泡体層のそれを補完してマスクの全体的なコンプライアンスを向上させるようになっている。
【0296】
しかしながら、これらの可撓性クリップの可撓性の性質は、必ずしも特に可撓性材料の結果である必要はない。例えば、代わりに、発泡体を当てる半剛性もしくはさらには剛性のクリップまたはマスクフレーム/外殻により、可撓性クリップの機能を達成してもよい。そのような場合、発泡体を取り付ける剛性クリップまたはフレームにヒンジまたはVカットを形成することのできる、局所的に薄くした、またはプロファイルを持つ部分などの構造特性によって、可撓性の反応を導入することができる。したがって、コンプライアンスが必要な位置にコンプライアンスが構造的に導入された可撓性部分を有するように設計された剛性クリップに、発泡体シール形成層を直接取り付けることができる。したがって、可撓性支持クリップを剛性材料によって形成することができ、1つまたは複数の脆弱線あるいは1つまたは複数領域の脆弱領域を導入することによってなど、1つまたは複数のコンプライアンス領域を導入することによって、可撓性を生じさせることができる。
【0297】
そのような構成の2つの異なる例が、
図58Aおよび
図58Bに関して示される。
図58Bは、発泡体クッション3810および剛性クリップ5858を有する、
図58Aの発泡体クッションアセンブリの横断面を示す。剛性クリップ5858は、その後、フレーム(
図58に図示せず)に取り付けられ得る。この剛性クリップ5858は、屈曲を促すように設計された構造特性を有するという点で可撓性である。
図58Bに示すように、クリップの壁は、5859−AのVカットを実装するプロファイルを含むが、壁の厚さは変更されていない。5859−Bで示す他の例は、壁がより薄いクリップの外周にわたって1つまたは複数の脆弱線を導入する。各線は、連続線であっても、断続線、例えば一連の脆弱点であってもよい。そのような場合、結果として、剛性または半剛性のクリップまたはフレームの壁の可撓性レベルを上昇させることができる。これらの構造特性は、本明細書全体を通して説明したクリップのいずれかなどの、すでに可撓性のクリップの可撓性およびばね定数を修正するように実施されてもよい。
【0298】
他の剛性または半剛性のマスクプレナムチャンバに可撓性を与える別の例は、凹状の剛性クリップ6758またはマスク外殻に画定された屈曲部分を実装することである。例えば、発泡体クッション3810に連結されたそのような剛性クリップが、
図67および
図68に示される。図示したように、フレーム/クリップは、1つまたは複数のクリップ凹部6770で除去された剛性材料の一部を有することによって導入された1つまたは複数の脆弱領域を有することができる。これにより、剛性クリップ/外殻を荷重下でより容易に圧縮することが可能になる。したがって、これらの凹状部分を、より高い可撓性またはコンプライアンスが必要な不快領域(鼻梁近くまたは鼻の側部など)に位置させることができる。凹部に、例えば、シリコーンもしくはTPEから作られた凹部膜6772などの別の可撓性(しかし、不透過性)材料を充填することができる。あるいは、除去された部分によって作られた凹部は、単一の可撓性シートによって覆われてもよい。そのようなシートは、例えば、剛性クリップの内側に取り付けられたシリコーン膜を呈する場合がある。
【0299】
5.4.4.2 クリップの代替形態
本明細書に記載の様々なアセンブリにおいて、発泡体をマスクフレームに当てるための中間構造としてクリップが説明される。例えば、発泡体マスク設計について、可撓性クリップに取り付けられる発泡体シール形成層を有し、可撓性クリップが続いて硬質クリップに取り付けられるものとして説明した。硬質クリップは、マスクフレームに取外し可能に取り付けることができる。この場合、フレームは、形状およびマスク構造に対する支持のいくつかのレベルをもたらし、ヘッドギア張力をシール形成部に伝えて顔面にシールすることのできる、マスクの剛性部分であってよい。
【0300】
発泡体マスクの別の構成は、可撓性材料(TPEまたはシリコーンなど)から作られた可撓性外殻またはチャンバを含むことができる。
図61、
図60、および
図60を参照して、そのようなアセンブリを検討することができる。可撓性チャンバまたは外殻6160は、部分的に可撓性クリップとして機能することができ、ここでは、圧力がマスクに加わるときに、外殻の可撓性がコンプライアンスを与える。この場合、外殻開口6163を含み得るヘッドギアフレーム6162は、剛性材料から作られた別個の取外し可能な構造としての外殻6160に嵌合して支持を与える。外殻6160の凹状のシリコーンチャンバは、部分的に、C字型可撓性クリップとして機能することができ、1つの実質的な違いは、可撓性外殻もマスクチャンバまたはプレナムチャンバ3200の一部をより完全に形成することである。例えば、場合により、外殻は、ガス送出導管または回路4170および/または通気孔3400に連結する接続ポート3600を含んでもよい。
【0301】
図60は発泡体クッションに取り付けられるクリップの外殻6160の変形形態を示すが、場合によって、
図63A、
図63B、および
図59に示す例のようなさらなる中間物を実装してもよい。マスクアセンブリのこれらの変形形態は、剛性クリップ6314に直接取り付けられる発泡体クッションを実装する。剛性クリップ6314は、その後、外殻6160または他のマスクフレームを係合機能6319に連結することができる。発泡体は半透過性であってよく、これは柔軟性および呼吸可能性と相関する。しかしながら、透過性発泡体層は空気および空気圧を漏出させる。
【0302】
この場合、外殻6160または他のマスクフレームは、マスクプレナムチャンバ内で外周に位置し、
図63Bに示すように、剛性クリップを外殻またはマスクフレームに組み付ける/結合するときに発泡体クッションの少なくとも一部を覆うように構成された追加の可撓性部材6320を含むことができる。この可撓性部材6320は、発泡体クッションの内面に係合してこれを覆うように動くマスクチャンバ内に位置する、空気不透過性のスカート、フラップ、または層であってよい。
【0303】
可撓性部材6320は、例えば、TPEまたはシリコーンから作られた可撓性膜であってよく、マスク外殻/フレームのチャンバ形成壁、またはマスク外殻/フレームに取り付けられた剛性クリップ6314に取り付けることができる。この可撓性膜は、少なくとも圧力が加えられたときに発泡体と相互作用し、圧力がマスクに加えられたときに発泡体層の下面を少なくとも部分的に覆うように構成されたフラップを形成する。フラップは、患者の顔面と相互作用しないことが好ましい。そのような非透過性層の実装により、シールの全体的な質が高まる。そうでない場合、少なくとも部分的に透過性の発泡体層によって、シールの質が少なくとも部分的に損なわれるおそれがある。
【0304】
このシール層(可撓性部材6320)は、チャンバ内の空気−ばね効果を高めることもできる。発泡体シール部が、硬質クリップまたは硬質クリップが取り付けられるフレームの縁部から張り出すと、フラップに加わる力も発泡体シール部に作用する。非透過性可撓性フラップが発泡体の下面(発泡体のプレナムチャンバ側)を覆うことにより、フロージェネレータからの圧力がマスクチャンバに加わるときに、圧力が蓄積して、発泡体をより良好なシール係合に押し込むことができる。
【0305】
可撓性部材6320の変形形態が、さらに
図59に見られる。この変形形態では、可撓性部材が、基礎剛性クリップの支持面を越えて内側に延びることによって、発泡体クッションをより完全に覆う。このように、可撓性部材は、発泡体クッションの側部内面を少なくとも部分的に覆うように延びてもよい。この位置で、可撓性部材は、マスクを通るフロージェネレータからの流れによってさらに影響されて、
図59に示すように動くことができる。フラップの長さは、発泡体層がどれくらの厚さであるか、および顔面とのフラップの接触が望ましいかどうかに基づいて選択され得る。したがって、フラップは、一部の変形形態では顔面に接触するように延びることができ、他の変形では顔面に接触するように延びなくてよい。そのような膜を本明細書で説明したマスクのいずれかに当てることにより、発泡体の空気漏れ(すなわち、発泡体シール形成層を通る漏れ)を減らすことができる。
【0306】
一般的な必要として、発泡体層の輪郭は、患者の顔面プロファイルまたは顔面輪郭に適合することによって、シールの快適性および効果を最大化すべきである。したがって、発泡体シール形成層は、所望の3次元(3D)プロファイルまたは所望の顔面プロファイルに構成され得ることが好ましい。
【0307】
一例において、可撓性クリップが所望の3D形状または顔面プロファイルに成形されて、可撓性クリップが発泡体に取り付けられたときに、この形状を略平坦な発泡体シール形成層に与える。あるいは、3D形状の硬質クリップは3D形状(例えば、顔面輪郭)を可撓性クリップおよび可撓性クリップに取り付けられた発泡体シール層に与えることができる。
【0308】
図64、
図65、
図66A、および
図66Bは、発泡体に所望の形状を与える代替方法を示す追加のマスクの例を示す。1つのそのような例は、マスクフレーム3816または外殻などの発泡体支持部品にスナップ要素によりスナップ留めまたはスナップ嵌めされたときのように、発泡体クッションを所望の3次元(3D)プロファイルに押し潰すまたは締め付ける、1つまたは複数の剛性オーバクリップを設けることである。例えば、丸いシール形成面を有する発泡体シール形成層が望ましいことが分かっている。したがって、
図64、
図65、
図66A、
図66Bに示すように、内周クリップ(クリップ6470−1)および外周クリップ(クリップ6470−2)などの複数のクリップ(例えば、2つの別個のオーバクリップ6470−1、6470−2)は、発泡体本体の対向する外周縁部/側部を押し下げまたは締め付けて、発泡体層の患者接触縁部を効果的に丸くすることができる。あるいは、図示したクリップの1つのみを使用することができ、または2つのクリップを単一のクリップに配置することができる。
【0309】
図65の例に示すように、クリップ6470は、縁部だけでなく、発泡体層の1つまたは複数の上部または内部をマスクフレーム3816、外殻、または他のマスクアセンブリ構造の向けて押し潰すための、1つまたは複数のオーバクリップ部6580を有することができる。例えば、
図65に示すように、鼻梁および下唇領域の中央において、発泡体の上側部を部分的に通るオプションのスリット6582が、クリップ6470のチャネルとして機能する。その結果、発泡体はある部分で膨張し、マスクの他の部分で押し下げられ得る。これにより、発泡体シール形成層のコンプライアンスおよび/または快適性を高めることができる。
【0310】
あるいは、例示したオーバクリップ部の1つまたは複数は、3D形状(例えば、顔面輪郭)を有することができ、これは同一の効果をもたらすことができる(発泡体をある領域で膨張させ、発泡体を他の領域で押し下げることができる)。
【0311】
5.4.5 さらなる発泡体クッションの特徴
本明細書でマスクに関して説明したクッションに多くの異なる発泡体材料が実装されていてもよいが、患者コンプライアンスを促して、有効な医療の提供を確実に行う重要な必要がある場合、ある作用特性を有する発泡体は、呼吸治療のための実装時に特に十分に適合することができる。これに関し、特に適切な発泡体は、透過性(リットル/分)、押込硬度(ニュートン(N))、圧縮応力歪み(キロパスカル(Kpa))、密度(キログラム毎立方メートル(kg/m
3))、動的摩擦係数(計算された摩擦(cf))、圧縮永久歪み(パーセント(%))、引張強度(メガパスカル(Mpa))、破断点での伸び(パーセント(%))および/または引裂強度(ニュートン/ミリメートル(N/mm))のいずれか1つまたは複数により特徴付けられ得る。
【0312】
5.4.5.1 透過性
例えば、発泡体クッションは、特定の透過性特徴を有するように構成されてよい。発泡体の透過性特徴は、所与のサンプルを通って流れる空気の割合の、リットル/分における測定値であってよい。そのような透過性は、以下の透過性試験により判定され得る。試験片を、1つの発泡体からダイまたは鋭利なナイフを用いて環状形状(すなわち、リング形状の発泡体サンプルまたは四角い断面のトロイド)に切り込むことができる。試験片は、少なくとも72時間前に製造された発泡体サンプルから、気泡上昇方向に対して公称に切断される。リングは、リング底部から気泡上昇方向の上部までの高さ25mm(プラスまたはマイナス1.0mm)を有する。発泡体リングの内部開放シリンダは、その高さと、70mm(プラスまたはマイナス1.0mm)の直径とを有する。発泡体リングの外縁部は、110mm(プラスまたはマイナス1.0mm)の直径を有する。試験片には、表皮間隙および高密度化線がない。試験片は、バリ、剥離、引裂きなどの目に見える欠陥のない良好な状態になる。その後、試験では、一定の横断面を有する発泡体リングの環を通る空気流を測定する。円形状により、確実に圧力が均一に分散されて、発泡体が均一に膨張する。発泡体試験リングは、試験前の温度23±2°Cおよび相対湿度50±5%の雰囲気で、少なくとも16時間調整され、偏向されず、歪まない。リングは、流れ試験中に、リングの高さが25mmから17.5mmに減少するように、板間で圧縮されてもよい。フロージェネレータからなどの20cmH
2Oの一定の空気圧が、発泡体リングの中心に加えられる。その後、リングを通って中心から発泡体を横切って外側へ流れる空気流を、流量計を用いてリットル/分で測定する。本技術に適した発泡体クッションは、約0〜20L/分の透過性特徴を有することができ、好ましくは約0〜3L/分の透過性特徴を有することができる。
【0313】
5.4.5.2 押込硬度
発泡体クッションは、特定の押込硬度(IDF)特徴を有するように構成されてよい。この特徴は、材料の堅さまたは剛性に関連する。この特徴は、快適性、シール、および安定性の必要との重要な相関を有する。一般に、IDFが低いほど、材料が柔軟になる。一般に、試験は、BS EN ISO 2439:2008(方法C)に従った、40%押込硬度の判定であってよく、これは、サンプルの厚さの40%にサンプルを圧縮すること、および最大の力(N)を記録することによって確認される。本技術に適した発泡体クッションは、約110.48〜303.11Nの押込硬度(IDF)特徴を有することができ、好ましくは、約122.76〜275.55Nの押込硬度(IDF)特徴を有することができ、さらに好ましくは、約143.1〜198.88Nの押込硬度(IDF)特徴を有することができる。
【0314】
5.4.5.3 圧縮応力歪み
発泡体クッションは、特定の圧縮応力歪み特徴を有するように構成されてよい。この特徴は、発泡体材料が応力または荷重下でどのように偏向するかに関連する。この特徴は、快適性、シール、および安定性の必要との重要な相関を有する。圧縮応力歪みは、BS EN ISO 3386:1997 +A1:210に従って判定され得る。試験速度は100mm/分であってよい。40%圧縮時の応力を計算することができる。本技術に適した発泡体クッションは、約2.32〜7.26Kpaの圧縮応力歪み特徴を有することができ、好ましくは約2.574〜6.6Kpaの圧縮応力歪み特徴を有することができ、さらに好ましくは約3.15〜4.29Kpaの圧縮応力歪み特徴を有することができる。
【0315】
5.4.5.4 見掛け密度
発泡体クッションは、特定の密度特徴を有するように構成されてよい。この特徴は、材料の重量、堅さ、「プラッシュ性(plushness)」または「触感」に関連する。この特徴は、快適性、シール、および安定性の必要との重要な相関を有する。見掛け密度は、BS EN ISO 845:2009に従って判定され得る。測定された寸法(mm)および重量(g)を用いることにより、密度(kg/m
3)を計算することができる。本技術に適した発泡体クッションは、約24.3〜117.85kg/m
3の密度特徴を有することができ、好ましくは約27〜107.14kg/m
3の密度特徴を有することができ、さらに好ましくは約50.76〜66.11kg/m
3の密度特徴を有することができる。
【0316】
5.4.5.5 動的摩擦係数
発泡体クッションは、特定の動的摩擦係数特徴を有するように構成されてよい。この特徴は、顔面の快適性と、手の快適性の知覚とに関連する。この特徴は、材料の表面の感触または質感との重要な相関を有する。この特徴は、患者の皮膚と材料の表面仕上げとの関連の結果としてシールおよび安定性との適度な相関を有する。動的摩擦係数は、BS EN ISO 8295:2004に従って判定され得る。試験片を、1.96Nの荷重下で、ガラス基板上において30mm/分の速度、37℃〜39℃の温度で試験することができる。力の読取値を測定することができ、摩擦を計算することができる。本技術に適した発泡体クッションは、約1.86〜19.12CFの動的摩擦係数特徴を有することができ、好ましくは約2.07〜17.38CFの動的摩擦係数特徴を有することができ、さらに好ましくは約2.43〜2.97CFの動的摩擦係数特徴を有することができる。
【0317】
5.4.5.6 圧縮永久歪み
発泡体クッションは、特定の圧縮永久歪み特徴を有するように構成されてよい。この特徴は、発泡体が圧縮および調整後にその元の状態に戻る能力に関連する。発泡体は、高い/低い圧縮永久歪みを有する場合、動的シールとして作用しなくなる。発泡体が圧縮永久歪みを有していない場合、劣化に対する強い回復力と相まって、発泡体は長期にわたって使用可能となる。圧縮永久歪みは、BS EN ISO 1856:2001に従って判定され得る。試験スペーサは、公称50%および75%の圧縮を各試料に与えるように選択されてよい。圧縮は、ある温度および相対湿度で、ある時間(例えば、22時間)、(例えば、23℃(プラスまたはマイナス2℃)および10%R.H.で22時間、ならびに70℃(プラスまたはマイナス1℃)で22時間行うことができる。試験試料の締付けを解除すると、再測定および圧縮永久歪みの%が計算される前に、試験試料は23℃(プラスまたはマイナス2℃)で、30分間で回復することができる。本技術に適した発泡体クッションは、約0.16〜17.3%の圧縮永久歪み特徴を有することができ、好ましくは約0.18〜15.73%の圧縮永久歪み特徴を有することができ、さらに好ましくは約3.06〜4.4%の圧縮永久歪み特徴を有することができる。
【0318】
5.4.5.7 引張強度
発泡体クッションは、特定の引張強度特徴を有するように構成されてよい。この特徴は、発泡体を破るのに必要な力に関連する。この特徴は、安定性およびシールとの適度な相関を有する。クッションは、低い引張強度を有する場合、漏れおよび安定性の低下を生じさせることができない。引張強度は、BS EN ISO 1798:2008に従って、500mm/分の引張試験速度で判定され得る。荷重を記録することができ、伸びをレーザ伸縮計により判定することができる。本技術に適した発泡体クッションは、約0.03〜0.27Mpaの引張強度特徴を有することができ、好ましくは約0.036〜0.242Mpaの引張強度特徴を有することができ、さらに好ましくは約0.117〜0.143Mpaの引張強度特徴を有することができる。
【0319】
5.4.5.8 破断点での伸び
発泡体クッションは、特定の破断点での伸び特徴を有するように構成されてもよい。この特徴は、破損の前に伸びる発泡体の能力に関連する。この特徴は、引張強度により、安定性およびシールとの適度な相関を有する。本技術に適した発泡体クッションは、約72.9〜369.05%の破断点での伸び特徴を有することができ、好ましくは約81〜335.5%の破断点での伸び特徴を有することができ、さらに好ましくは約243〜335.5%の破断点での伸び特徴を有することができる。
【0320】
5.4.5.9 引裂強度
発泡体クッションは、特定の引裂強度特徴を有するように構成されてもよい。この特徴は、張力下での引裂に耐える発泡体の能力に関連する。引張強度および破断点での伸びにより、この特徴と安定性およびシールとの適度な相関がある。引裂強度は、BS EN ISO 8067:2008(方法A)に従って、50mm/分の試験速度で判定され得る。本技術に適した発泡体クッションは、約0.07〜0.69N/mmの引裂強度特徴を有することができ、好ましくは約0.081〜0.627N/mmの引裂強度特徴を有することができ、さらに好ましくは約0.225〜0.297N/mmの引裂強度特徴を有することができる。
【0321】
5.4.6 さらなるクリップの特徴
本明細書でマスクに関して説明したクリップを有するクッションアセンブリに多くの異なる材料が実装されていてよいが、患者コンプライアンスを促して、有効な医療の提供を確実に行う重要な必要がある場合、ある作用特性を有する発泡体およびクリップの組合せは、呼吸治療のための実装時に特に十分に適合することができる。これに関し、特に適切なクッションアセンブリは、ばね定数の特徴により特徴付けられ得る。
【0322】
これに関し、クッションアセンブリの硬度として知覚され得る本技術のクッションアセンブリのばね定数は、その部品の単なる合計よりも大きい。部品(例えば、可撓性クリップおよび発泡体クッション)は共に動作して、最終的な相乗効果を生じさせる。発泡体と基礎可撓性クリップとの両方を互いに同調させることができる。例えば、一方の特徴が変化すると、アセンブリ/システム全体の作用が変化する。さらに、クッションおよびクリップアセンブリ(例えば、クッションおよび可撓性クリップ)のばね定数の特徴が、設定位置で異なっていてもよい。ばね定数または「k値」としても知られるばね率は、線形特性ばねの1ミリメートルの変形ごとに生じる力であってよく、式F=kXにより求められてもよい。例えば、ばね率は、クッション/クリップアセンブリの特定の試験位置で作用するようにプローブを位置合わせすることによって判定されてよく、フレームの表面に垂直であってよい。プローブは、(50mm/分などで)その位置に駆動され得る。プローブは、力がある限度(例えば、10N)を越えると停止することができる。力/変位の結果を記録し、グラフ化することができる。
【0323】
そのようなばね定数に関連し、本技術の例示的なマスクアセンブリを以下の表に示す。これらは、
図47と同様の、FCで示す可撓性クリップ+発泡体クッションアセンブリ、クリップがクッションと同一の、輪郭を持つ発泡体のブロックに置き換えられた、FFで示す別の可撓性クリップ+クッションアセンブリ、
図69に示すように、アセンブリFFと同様であるが、形造られた鼻凹部を有する、さらなる可撓性クリップ+クッションアセンブリ(K1で示す)を含む。これらの測定値は、他のマスク部品、詳細には、発泡体SCのない可撓性クリップ、および「発泡体」として表に示す標準の25mm厚さの発泡体スラブの測定値によって補完された。
【0324】
ばね定数は、底部中心、口側部領域(「角1」および「角2」の点は、横方向に互いに約0.5cmずれた、口の同一側にある)、頬骨領域、および鼻梁領域に沿った3つの垂直に位置合わせされた点(鼻梁1、鼻梁2、および鼻梁3の点は、垂直方向に互いに約0.5cmずれる)を含む、クッションの様々な場所で判定された。表中のばね定数データは、ニュートン毎ミリメートル(N/mm)でまとめられる。表は、形造られた鼻凹部、鼻領域(例えば、鼻梁領域)よりも口領域(例えば、口側部領域)において大きいばね定数、ならびに鼻領域および頬骨領域における同様のばね定数を有する(発泡体+クリップ)アセンブリについて示す。可撓性クリップのみの構成(SC)について、表は、鼻領域および口領域の角において同様のばね定数を示す。表はさらに、頬領域において鼻領域(例えば、鼻梁領域)よりも大きいばね定数を示すが、頬領域(例えば、頬骨領域)において口領域(例えば、口側部領域)よりも小さいばね定数を示す。
【0325】
表中の平均数はいくつかのサンプルを平均したものである。最小数および最大数の各々が、特定の位置の最小値または最大値のそれぞれとして示される単一の測定値に対応する。
【0327】
5.5 用語解説
本技術の開示の目的で、本技術のある形態では、以下の定義うちの1つまたは複数が適用される場合がある。本技術の他の形態では、別の定義が適用される場合がある。
【0328】
5.5.1 総論
空気:本技術のある形態では、患者に供給される空気が大気であってよく、本技術の他の形態では、大気に酸素を補給することができる。
【0329】
持続的気道陽圧(CPAP):CPAP治療は、大気に対して持続的に陽の、好ましくは患者の呼吸サイクルを通して略一定の圧力で、空気または呼吸可能ガスを気道の入口に供給することを意味するものと解釈される。一部の形態において、気道の入口の圧力が、単一の呼吸サイクル内で数センチメートルの水だけ変化し、例えば吸気中において高く、呼気中において低い。一部の形態において、気道の入口の圧力が呼気中においてわずかに高く、吸気中においてわずかに低い。一部の形態において、圧力は患者の異なる呼吸サイクル間で変化し、例えば、部分上気道閉塞の兆候の検出に応じて上昇し、部分上気道閉塞の兆候がなければ低下する。
【0330】
5.5.2 顔面の解剖学的構造
鼻翼(ala):各鼻孔の外側の外壁または「翼」(複数形:alar)。
【0331】
鼻翼最外点(alare):鼻翼の最も外側にある点
【0332】
鼻翼湾曲(または鼻翼頂部)点:鼻翼と頬との結合によって形成されるしわに見出だされる各鼻翼の湾曲ベースラインにおける最も後側の点。
【0333】
心耳または耳介:耳の視認できる全体の外側部分。
【0334】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨前頭突起、および前頭骨の鼻部を含む。
【0335】
(鼻)軟骨骨格:鼻の軟骨骨格は、鼻中隔軟骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、および小鼻翼軟骨を含む。
【0336】
鼻柱:鼻孔を分離するとともに、鼻尖から上唇まで延びる皮膚片。
【0337】
鼻柱角:鼻孔開口の中点を通って引かれる線と、鼻下点を横切りつつフランクフルト水平面に垂直に引かれる線との間の角度。
【0338】
フランクフルト水平面:眼窩縁の最下点から左耳点まで延びる線。耳点は、耳介の耳珠より上の切痕における最深点である。
【0339】
眉間:軟組織上に位置する、額の正中矢状面内の最隆起点。
【0340】
外側鼻軟骨:軟骨の略三角形の板。その上縁が鼻骨および上顎骨前頭突起に付いており、その下縁が大鼻翼軟骨に接続される。
【0341】
大鼻翼軟骨:外側鼻軟骨の下にある軟骨の板。大鼻翼軟骨は鼻孔の前部の周囲で湾曲する。その後端は、鼻翼の3つまたは4つの小軟骨を含む頑丈な線維膜によって、上顎骨前頭突起に接続される。
【0342】
鼻孔(鼻の孔):鼻腔への入口を形成する略楕円形の開口。鼻孔(nares)の単数形が鼻孔(naris(nostril))である。鼻孔は鼻中隔によって分離される。
【0343】
鼻唇溝または鼻唇ひだ:鼻の両側から口の角まで延び、頬を上唇から分離する皮膚のひだまたは溝。
【0344】
鼻唇角:鼻下点を横切る状態での鼻柱と上唇との間の角度。
【0345】
下耳底点:心耳が顔面の皮膚に付く最下点。
【0346】
上耳底点:心耳が顔面の皮膚に付く最上点。
【0347】
鼻尖:頭部の一部の残りの側面図において特定され得る、鼻の最突出点または先端。
【0348】
人中:鼻中隔の下縁から上唇領域における唇の上部へ延びる正中溝。
【0349】
ポゴニオン:軟組織上に位置する、下顎の最前中点。
【0350】
堤(鼻堤):鼻堤は、鼻根から鼻尖まで延びる鼻の正中突起である。
【0351】
矢状面:身体を右半部と左半部とに分ける、前(正面)から後(背面)まで通る垂直面。
【0352】
鼻根:軟組織上に位置する、前頭鼻骨縫合の領域を覆う最凹点。
【0353】
中隔軟骨(鼻中隔軟骨):鼻中隔軟骨は、中隔の一部を形成するとともに、鼻腔の前部を分ける。
【0354】
鼻翼最下点(subalare):鼻翼基部が上(上側)唇の皮膚と結合する鼻翼基部の下縁の点。
【0355】
鼻下点:軟組織上に位置する、鼻柱が正中矢状面内で上唇と合流する点。
【0356】
オトガイ:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の中線における最凹点。
【0357】
5.5.3 頭蓋の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、額として知られる領域に対応する、大垂直部、すなわち前頭鱗を含む。
【0358】
下顎骨:下顎骨は下顎を形成する。オトガイ隆起は、下顎を形成する顎の骨隆起である。
【0359】
上顎骨:上顎骨は上顎を形成し、下顎骨の上および眼窩の下に位置する。上顎骨前頭突起は、鼻の側部によって上方へ突出するとともに、鼻の側部境界の一部を形成する。
【0360】
鼻骨:鼻骨は、個人によってサイズおよび形状が異なる2つの小さい楕円形の骨である。鼻骨は、顔面の中央部および上部に並んで配置されるとともに、それらの接合によって鼻の「梁」を形成する。
【0361】
ナジオン:前頭骨と2つの鼻骨との交わりであり、眼と鼻梁の上とのちょうど間にある陥凹領域である。
【0362】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋骨の後下部に位置する。後頭骨は、長円形開口、すなわち大後頭孔を含み、この大後頭孔を通じて頭蓋腔が脊柱管に連通する。大後頭孔の後ろの湾曲板が後頭鱗である。
【0363】
眼窩:眼球を収容するための頭蓋骨腔。
【0364】
頭頂骨:頭頂骨は、共に接合されると、頭蓋骨の天蓋および側部を形成する骨である。
【0365】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋の基部および側部に位置するとともに、こめかみとして知られる顔面の部分を支持する。
【0366】
頬骨:顔面は、顔面の上部および側部に位置するとともに、頬の隆起を形成する2つの頬骨を含む。
【0367】
5.5.4 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:胸郭の底部を横切って延びる筋層。横隔膜は、心臓、肺、肋骨を収容する胸腔を腹腔から分離する。横隔膜が収縮すると、胸腔の容積が増加し、空気が肺に引き込まれる。
【0368】
喉頭:喉頭または発声器は、声帯を収容するとともに、咽頭(下咽頭)の下部を気管に接続する。
【0369】
肺:人の呼吸器官。肺の伝導領域は、気管、気管支、細気管支、および終末細気管支を含む。呼吸領域は、呼吸細気管支、肺胞管、および肺胞を含む。
【0370】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔面中央の鼻の上後方にある大きい空気充填空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直ひれによって2つに分けられる。鼻腔の側部には、鼻甲介(conchae、単数形「concha」)または鼻甲骨と呼ばれる3つの水平な延出部がある。鼻腔の前方には、背部が後鼻孔を介して鼻咽頭と一体化するが鼻がある。
【0371】
咽頭:鼻腔の真下(下方)に位置し、食道および喉頭の上に位置する咽喉の一部。咽頭は、通常3つの部分、すなわち鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、中咽頭(oropharynx)(中咽頭(mesopharynx))(咽頭の口腔部分)、および咽喉頭(下咽頭)に分けられる。
【0372】
5.5.5 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書では、シリコーンへの言及は、液状シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)への言及である。市販のLSRの一形態は、Dow Corning製のSILASTIC(この商標で販売される様々な製品に含まれる)である。LSRの別の製造業者はWackerである。特に逆の明記のない限り、LSRの好ましい形態は、ASTM D2240を用いて測定される約35〜約45のショアA(またはタイプA)押込硬度を有する。
【0373】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの一般的に透明な熱可塑性ポリマー。
【0374】
5.5.6 患者インタフェースの態様
窒息防止弁(AAV):フェイルセーフ方式で大気へ開放することによって、患者が過剰なCO
2を再呼吸する危険を減らす、マスクシステムの部品またはサブアセンブリ。
【0375】
エルボ:ある角度にわたって方向を変えるように空気流の軸を方向付ける導管。一形態において、角度が約90度であってよい。別の形態では、角度が90度未満であってよい。導管は、略円形横断面を有することができる。別の形態では、導管は、長円形または矩形横断面を有することができる。
【0376】
フレーム:フレームは、ヘッドギアとの2つまたはそれ以上の接続点間で張力負荷を支持するマスク構造を意味するものと解釈される。マスクフレームは、マスクにおける気密でない負荷支持構造であってよい。しかしながら、マスクフレームの一部の形態は、気密であってもよい。
【0377】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上で使用するように設計された位置決め安定化構造の一形態を意味するものと解釈される。ヘッドギアが、呼吸治療を提供するために患者の顔面上の所定位置に患者インタフェースを位置決めして保持するように構成された1つまたは複数の支柱、紐、および補強材の集合体を含むことが好ましい。一部の紐は、発泡体と布との積層複合体などの柔軟な可撓性の弾性材料から形成される。
【0378】
膜:膜は、好ましくは、実質的に曲げ抵抗を有さないが伸張抵抗を有する、一般的に薄い要素を意味するものと解釈される。
【0379】
プレナムチャンバ:マスクのプレナムチャンバは、空間の容積を囲む壁を有する患者インタフェースの一部を意味するものと解釈され、容積は、使用時に大気圧よりも高く加圧された空気を内部に有する。外殻が、マスクのプレナムチャンバの壁の一部を形成することができる。一形態において、患者の顔面の領域が、プレナムチャンバの壁のうちの1つを形成する。
【0380】
シール:名詞形(「シール」)は、2つの表面の界面を通る空気の流れに意図的に抵抗する構造またはバリアを意味するものと解釈される。動詞形(「シールする」)は空気の流れに抵抗することを意味するものと解釈される。
【0381】
外殻:外殻は、好ましくは、曲げ剛性、引張剛性、および圧縮剛性を有する湾曲構造、例えば、マスクの湾曲構造壁を形成するマスクの一部を意味するものと解釈される。外殻は、その全体的な寸法と比べて、比較的薄いことが好ましい。一部の形態において、外殻が面取りされていてもよい。そのような壁は気密であることが好ましいが、一部の形態において気密でなくてもよい。
【0382】
補強材:補強材は、別の部品の曲げ抵抗を少なくとも1つの方向で高めるように設計された構造部品を意味するものと解釈される。
【0383】
支柱:支柱は、別の部品の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向で高めるように設計された構造部品を意味するものと解釈される。
【0384】
スイベル:(名詞)好ましくは独立して、好ましくは低トルク下で、共通の軸の周りを回転するように構成された部品のサブアセンブリ。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度にわたって回転するように構成されてもよい。別の形態では、スイベルは、360度未満の角度にわたって回転するように構成されていてもよい。部品のサブアセンブリは、空気送出導管の文脈で使用されるとき、円筒形導管の適合された対を含むことが好ましい。使用時に、スイベルからの空気流の漏れがほとんどないか、全くないことが好ましい
【0385】
紐:紐は、張力に抵抗するように設計された構造部品を意味するものと解釈される。
【0386】
通気孔:(名詞)吐き出された二酸化炭素(CO
2)の流出および酸素(O
2)の供給を可能にするための、マスクの内部からの空気の意図的な制御された割合の漏れを許容する構造、または外気への導管。
【0387】
5.5.7 患者インタフェースに関連して用いられる用語
(表面の)曲率:一方向で上に湾曲し、異なる方向で下に湾曲するサドル形状を有する表面の領域は、負曲率を有すると言われる。2つの主方向で同様に湾曲するドーム形状を有する表面の領域は、正曲率を有すると言われる。平坦面は、ゼロの曲率を有すると解釈される。
【0388】
軟質:以下の特性の組合せである、材料、構造、または複合体の性質。
・指圧に容易に適合する。
・それ自体の重量を支持するときに、形状を保持できない。
・剛性でない。
・わずかな労力で弾性的に伸張させることができ、または曲げることができる。
【0389】
軟質であるという性質は、方向と関連付けられてもよく、したがって、特定の材料、構造または複合体は第1の方向に軟質であるが、例えば第1の方向に直交する第2の方向に硬質または剛性である。
【0390】
弾性:1秒などの比較的短い時間内で、略弾性的に変形することができ、荷重除去時にエネルギーの略すべてを解放することができる。
【0391】
剛性:指圧に対して、および/または患者インタフェースを患者の気道の入口とのシール関係に設定して維持するときに一般的に受ける張力または負荷に対して容易に変形しない。
【0392】
半剛性:気道陽圧治療中に一般的に加えられる機械力の作用下で実質的に歪まないように十分に剛性であることを意味する。
【0393】
5.6 その他の所見
本特許文書の開示の一部は、著作権保護を受ける題材を含む。著作権者は、特許文書または特許開示のいずれかによる複製に何ら異存はない。これは、複製が、特許商標局の特許ファイルまたは記録に現れるが、その他の点では、いかなる場合でもすべての著作権を留保するからである。
【0394】
文脈が別段に明確に指示しない限り、値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限と下限との間にある下限の単位の1/10までのそれぞれの値、および、任意の他の述べられた値またはその述べられた範囲内にある値は、本技術内に含まれることが理解される。これらの介在範囲に独立に含まれ得る介在範囲内の上限および下限も、述べられた範囲内の任意の特に排除された限界値の制約下で本技術内に含まれる。述べられた範囲がその限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれた限界値のいずれか一方または両方を排除する範囲も本技術内に含まれる。
【0395】
さらに、1または複数の値が本技術の一部として実施されるように本明細書中で述べられる場合には、別段の記載がなければ、そのような値が近似されてもよいことが理解され、また、そのような値は、任意の適した有効数字まで利用されてもよい。ただし、実用的な技術的実施がそれを許容するまたは必要とする場合に限る。
【0396】
別段の規定がなければ、本明細書中で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本技術が属する技術分野における当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と同様または等価な任意の方法および材料を本技術の実施または試験で使用することもできるが、本明細書中には、限られた数の例示的な方法および材料が記載される。
【0397】
特定の材料が構成要素を構成するために使用されることが好ましいと見なされる場合、同様の特性を有する自明な別の材料が代替物として使用されてもよい。
【0398】
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別段に明確に指示しない限り、それらの複数の等価物を含むことが留意されなければならない。
【0399】
本明細書中で言及されるすべての刊行物は、それらの刊行物の主題である方法および/または材料を開示して説明するべく、参照により本願に組み入れられる。本明細書中で論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためだけに与えられているにすぎない。本明細書中のいずれも、本技術が従前の発明に基づきそのような刊行物に先行する権利を有さないことを認めるものと解釈されるべきでない。また、与えられる刊行物の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、公開日は独立に確認される必要がある場合がある。
【0400】
また、開示内容を解釈する際、すべての用語は、文脈と一致する最も広い妥当な態様で解釈されるべきである。特に、「備える(comprises)」および「備えている(comprising)」という用語は、非排他的に要素、構成要素、またはステップに言及しているものとして解釈されるべきであり、言及された要素、構成要素、またはステップが存在し、利用され、または、明確に言及されない他の要素、構成要素、もしくはステップと組み合わされてもよいことを示唆している。
【0401】
「柔軟」および「可撓性」という表現ならびにその派生語は、本明細書において第1の支持クリップ3812(
図40)を説明するために使用されるとき、「患者インタフェースに関連して用いられる用語」の欄で明記した「弾性」という表現の意味を有するものとされる。すなわち、可撓性支持クリップは、略弾性に変形することができ、荷重除去時にエネルギーの略すべてを即座に解放することができる。
【0402】
詳細な説明で使用される主題の表題は、読者の参照を容易にするためだけに含まれており、開示または特許請求の範囲の全体にわたって見出される主題を限定するために使用されるべきでない。主題の表題は、特許請求の範囲または請求項の限定を解釈する際に使用されるべきではない。
【0403】
本明細書中の技術を特定の実施形態に関連して説明したが、これらの実施形態は、本技術の原理および用途の単なる例示にすぎないことを理解されたい。一部の場合には、専門用語および記号は、本技術を実施するために必要とされない特定の詳細を示唆することがある。例えば、「第1」および「第2」という用語が使用される場合があるが、別段に明記されなければ、それらの用語は、任意の順序を示すように意図されず、別個の要素間を区別するために利用されることがある。さらに、方法論におけるプロセスステップが所定の順序で説明されまたは図示される場合があるが、そのような順序付けは必要とされない。当業者であれば分かるように、そのような順序付けは変更されてもよく、および/または、その態様が同時にまたはさらには同期して行われてもよい。
【0404】
したがって、本技術の精神および範囲から逸脱することなく、例示された実施形態に対して多数の変更がなされてもよく、また、他の配置が考え出されてもよいことを理解すべきである。