特許第6976042号(P6976042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976042
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】発電システム排気冷却
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/18 20060101AFI20211118BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20211118BHJP
   F01D 25/30 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   F02C7/18 D
   F01D25/12 C
   F01D25/30 F
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-123113(P2016-123113)
(22)【出願日】2016年6月22日
(65)【公開番号】特開2017-15083(P2017-15083A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2019年6月13日
(31)【優先権主張番号】14/753,077
(32)【優先日】2015年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジョセフ・リード
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・バークリー・デイヴィス,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】パラッグ・パラカス・クルカルニ
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−167293(JP,A)
【文献】 特開2014−139429(JP,A)
【文献】 特開2014−074405(JP,A)
【文献】 特開2013−249836(JP,A)
【文献】 特開2013−148082(JP,A)
【文献】 特開2011−038517(JP,A)
【文献】 特開2010−071281(JP,A)
【文献】 特開2010−025107(JP,A)
【文献】 特開2007−071202(JP,A)
【文献】 特表2003−529701(JP,A)
【文献】 特開平04−228838(JP,A)
【文献】 特開昭52−001221(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0132101(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1643113(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 6/18, 7/00, 7/12− 7/18
F01D 17/00,25/12−25/30
B01D 53/86−53/90
F01N 3/08− 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構成要素(18)、燃焼器構成要素(20)及びタービン構成要素(22)を含むガスタービンシステム(12)のための空気流制御システムであって、前記圧縮機構成要素(18)が、第1の過剰空気流を発生させるための少なくとも1つの過大圧縮機段(58)を含んでおり、当該空気流制御システムが、
前記圧縮機構成要素の上流側で前記ガスタービンシステム(12)の回転シャフト(24)に取り付けられる空気流発生システムであって、吸気セクション(16)を通して第2の過剰空気流を引き入れる空気流発生システムと、
前記ガスタービンシステム(12)のタービン構成要素(22)から排気ガス流(32)を受け入れるための混合領域(33)と、
前記圧縮機構成要素(18)の少なくとも1つの過大圧縮機段(58)で発生させた第1の過剰空気流の少なくとも一部を抽出し、かつ前記空気流発生システムで発生させた第2の過剰空気流の少なくとも一部を抽出してバイパス空気を提供するとともに、バイパスダクトを通して前記バイパス空気を前記混合領域(33)内に分流して前記排気ガス流(32)の温度を下げるための、空気抽出システム(70)であって、該空気抽出システム(70)が、バイパス空気を供給するためのダクトシステムであって、第1の抽出ダクト、第2の抽出ダクト及び前記バイパスダクトを含むダクトシステムを備えており、前記第1の抽出ダクトが、前記少なくとも1つの過大圧縮機段(58)で発生させた第1の過剰空気流の少なくとも一部を抽出してバイパス空気の第1の部分を提供するとともに、該バイパス空気の第1の部分を前記バイパスダクトに分流し、前記第2の抽出ダクトが、前記空気流発生システムで発生させた第2の過剰空気流の少なくとも一部を抽出してバイパス空気の第2の部分を提供するとともに、該バイパス空気の第2の部分を前記バイパスダクトに分流する、空気抽出システム(70)と、
前記第1の抽出ダクト及び前記第2の抽出ダクトの少なくとも一方を通る空気流を選択的に制限するための流れ制限システム(80)であって、前記第1の抽出ダクト及び前記第2の抽出ダクトの少なくとも一方を通って前記バイパスダクトに流入する空気流を制御するためのダンパ(82)を含む流れ制限システム(80)と、
前記バイパスダクトから前記バイパス空気の一部を前記ガスタービンシステムの外部に選択的に放出するための、前記混合領域の上流側の空気放出システム(86)と
を備える、空気流制御システム。
【請求項2】
前記空気流発生システムがファン(56)を備える、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項3】
前記空気流発生システム及び前記圧縮機構成要素(18)の少なくとも1つの過大圧縮機段で発生させた前記第1及び第2の過剰空気流(72)が、前記ガスタービンシステム(12)の燃焼器構成要素(20)及びタービン構成要素(22)の少なくとも一方の流量容量よりも10%〜40%大きい、請求項1又は請求項2に記載の空気流制御システム。
【請求項4】
温度が下がった前記排気ガス流(32)を処理するための選択的触媒還元(SCR)システムをさらに備える、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の空気流制御システム。
【請求項5】
ターボ機械システムであって、
圧縮機構成要素(18)、燃焼器構成要素(20)、及びタービン構成要素(22)を含むガスタービンシステム(12)であって、前記ガスタービンシステム(12)の前記圧縮機構成要素(18)が、少なくとも1つの過大圧縮機段(58)を含む、ガスタービンシステム(12)と、
前記タービン構成要素(22)により駆動されるシャフト(24)と、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空気流制御システムと、
温度が下がった前記排気ガス流(32)を処理するための排気処理システム(14)と
を備える、ターボ機械システム。
【請求項6】
発電システムであって、
請求項に記載のターボ機械システムと、
電気を発生させるために前記シャフトに結合した発電機と
を備える発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に発電システムに関し、より具体的には、発電システムの排気ガスを冷却するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電システム、例えば単純サイクルガスタービン発電システムからの排気ガスは、大気中に放出される排気ガスの組成に関して厳格な規制要件に適合しなければならない場合が多い。ガスタービン発電システムの排気ガス中に典型的に見いだされる規制を受ける成分の1つは、窒素酸化物(すなわちNOx)であり、これは、例えば一酸化窒素及び二酸化窒素を含む。排気ガス流からNOxを除去するために、選択的触媒還元(SCR)などの技術がしばしば利用される。SCRプロセスにおいて、アンモニア(NH3)または同種のものがNOxと反応して、窒素(N2)及び水(H2O)を生成する。
【0003】
SCRプロセスの有効性は、処理される排気ガスの温度に一部依存する。ガスタービン発電システムからの排気ガスの温度は、約1000°Fを上回ることが多い。しかしながら、SCR触媒は、妥当な触媒寿命にわたって有効性を維持するには約900°Fより低温で稼働させる必要がある。この点で、単純サイクルガスタービン発電システムからの排気ガスは、典型的にはSCRに先立って冷却される。
【0004】
周囲空気などの冷却ガスを排気ガスと混合することによりガスタービン発電システムの排気ガス温度を900°F未満に下げるために、大型の外部ブロアシステムが用いられている。外部ブロアシステムの故障による触媒の損傷の可能性があるので、冗長外部ブロアシステムが典型的に利用される。これらの外部ブロアシステムは、ブロア、モータ、フィルタ、吸気構造、及び大型ダクトなどの多くの構成要素を含み、これらは高価であり、嵩高く、ガスタービン発電システムの運用コストを付加することになる。さらに、外部ブロアシステムとガスタービン発電システムの動作とは本来的に連動していないので、SCR触媒が種々のガスタービン動作モード中に過剰温度に起因して損傷を受ける可能性が高くなる。過剰温度によるSCR触媒の損傷(例えば、外部ブロアシステムが故障した場合又は排気ガスを十分に冷却できない場合)を防止するために、温度の問題が是正されるまでガスタービンを運転停止する必要がある場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8,186,152号明細書
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の態様は、ガスタービンシステムのための空気流制御システムを提供し、該空気流制御システムは、ガスタービンシステムの圧縮機構成要素と、ガスタービンシステムの回転シャフトに取り付けるための空気流発生システムであって、空気流発生システム及び圧縮機構成要素が、吸気セクションを通して過剰空気流を引き入れる、空気流発生システムと、ガスタービンシステムにより生成された排気ガス流を受け入れるための混合領域と、空気流発生システム及び圧縮機構成要素により発生した過剰空気流の少なくとも一部を抽出してバイパス空気を提供するための、及びバイパス空気を混合領域内に分流して排気ガス流の温度を下げるための、空気抽出システムと、
を含む。
【0007】
本開示の第2の態様は、ターボ機械システムを提供し、該ターボ機械システムは、圧縮機構成要素、燃焼器構成要素及びタービン構成要素を含むガスタービンシステムであって、ガスタービンシステムの圧縮機構成要素が、少なくとも1つの過大圧縮機段を含む、ガスタービンシステムと、タービン構成要素により駆動されるシャフトと、ガスタービンシステムの上流でシャフトに結合したファンであって、ファン及び圧縮機構成要素の少なくとも1つの過大圧縮機段が、吸気セクションを通して過剰空気流を引き入れる、ファンと、ガスタービンシステムにより生成された排気ガス流を受け入れるための混合領域と、ファン及び圧縮機構成要素の少なくとも1つの過大圧縮機段により発生した過剰空気流の少なくとも一部を抽出してバイパス空気を提供するための、及びバイパス空気を前記混合領域内に分流して排気ガス流の温度を下げるための、空気抽出システムと、温度が下がった排気ガス流を処理するための排気処理システムと、を含む。
【0008】
本開示の第3の態様は、発電システムを提供し、該発電システムは、圧縮機構成要素、燃焼器構成要素及びタービン構成要素を含むガスタービンシステムであって、ガスタービンシステムの圧縮機構成要素が、少なくとも1つの過大圧縮機段を含む、ガスタービンシステムと、タービン構成要素により駆動されるシャフトと、電気を発生させるためにシャフトに結合した発電機と、ガスタービンシステムの上流でシャフトに結合したファンであって、ファン及び圧縮機構成要素の少なくとも1つの過大圧縮機段が、吸気セクションを通して過剰空気流を引き入れる、ファンと、ガスタービンシステムにより生成された排気ガス流を受け入れるための混合領域と、ファン及び圧縮機構成要素の少なくとも1つの過大圧縮機段により発生した過剰空気流の少なくとも一部を抽出してバイパス空気を提供するため、及びバイパス空気を混合領域内に分流して排気ガス流の温度を下げるための、空気抽出システムと、温度が下がった排気ガス流を処理するための排気処理システムと、を含む。
【0009】
本開示の例示的な態様は、本明細書に記載した課題及び/又は論じていない他の課題を解決するように設計されている。
【0010】
本開示のこれら及び他の特徴は、本発明の種々の態様を表した添付図面を参照しながら本発明の種々の態様に関する以下の詳細な説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態による単純サイクルガスタービン発電システムの概略図。
図2】実施形態による図1のガスタービン発電システムの一部の拡大図。
図3】実施形態による単純サイクルガスタービン発電システムの概略図。
図4】実施形態による図3のガスタービン発電システムの一部の拡大図。
図5図3の線A−Aに沿ったガスタービンシステムのバイパス・エンクロージャ及び圧縮機要素の例示的な断面図。
図6図4の線B−Bに沿ったガスタービンシステムのバイパス・エンクロージャ及び圧縮機要素の例示的な断面図。
図7】実施形態による、ガスタービンシステムの種々の負荷百分率における、混合領域に入るバイパス空気流と、排気ガス流の温度との間の例示的な関係を表すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
各図面は、必ずしも縮尺通りではない点に留意されたい。当該図面は、本発明の典型的な態様のみを描くことを意図しており、従って、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。図面では、同じ参照符号は、複数の図面にわたり同じ要素を示している。
【0013】
上述のように、本開示は、一般に発電システムに関し、より具体的には、発電システムの排気ガスを冷却するためのシステム及び方法に関する。
【0014】
図1及び図3は、ガスタービンシステム12及び排気処理システム14を含むターボ機械システム(例えば単純サイクルガスタービン発電システム10)のブロック図を示す。ガスタービンシステム12は、天然ガス及び/又は水素リッチ合成ガスなどの液体又は気体燃料を燃焼させて高温燃焼ガスを発生させ、ガスタービンシステム12を駆動することができる。
【0015】
ガスタービンシステム12は、吸気セクション16、圧縮機構成要素18、燃焼器構成要素20、及びタービン構成要素22を含む。タービン構成要素22は、シャフト24を介して圧縮機構成要素18に駆動結合する。作動時、空気(例えば周囲空気)は、吸気セクション16を通ってガスタービンシステム12に入り(矢印26で示される)、圧縮機構成要素18内で加圧される。圧縮機構成要素18は、シャフト24に結合した複数の圧縮機ブレードを含む少なくとも1つの段を含む。シャフト24の回転が、対応する圧縮機ブレードの回転を生じさせ、それにより空気が吸気セクション16を通って圧縮機構成要素18内に引き込まれ、空気は燃焼器構成要素20に入る前に圧縮される。
【0016】
燃焼器構成要素20は、1又は2以上の燃焼器を含むことができる。実施形態において、複数の燃焼器が、シャフト24の周りに概ね円形又は環状配置で複数の周方向位置で燃焼器構成要素20内に配置される。圧縮空気が圧縮機構成要素18から出て燃焼器構成要素20に入ると、圧縮空気は、燃焼器内で燃焼のために燃料と混合される。例えば、燃焼器は、燃焼、エミッション制御、燃料消費、出力などに適した比率で燃料空気混合気を燃焼器内に注入するように構成された、1又は2以上の燃料ノズルを含むことができる。燃料空気混合気の燃焼は、高温加圧排気ガスを発生させ、これは次にタービン構成要素22の1又は2以上のタービン段(各々が複数のタービンブレードを有する)を駆動するために利用される。
【0017】
作動時、タービン構成要素22に流入して通過する燃焼ガスは、タービンブレードに当たり及びタービンブレード間を流れることにより、タービンブレードを駆動させ、それによりシャフト24を回転させる。タービン構成要素22内で、燃焼ガスのエネルギーは、仕事に変換され、その一部は回転シャフト24を通じて圧縮機構成要素18を駆動するために用いられ、残りは、負荷、例えば、限定ではないが電気を発生させるための発電機28及び/又は他のタービンなどを駆動するための有用な仕事に利用される。
【0018】
タービン構成要素22を通って流れる燃焼ガスは、排気ガス流32としてタービン構成要素22の下流側端部30を出る。排気ガス流32は、排気処理システム14に向かって下流方向34に連続して流れることができる。タービン構成要素22の下流側端部30は、混合領域33を介して排気処理システム14のCO除去システム(例えば、CO触媒36を含む)及びSCRシステム(例えば、SCR触媒38を含む)に流体結合することができる。上述のように、燃焼プロセスの結果として、排気ガス流32は、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、炭素酸化物(COx)、及び未燃焼炭化水素などの特定の副産物を含む場合がある。特定の規制要件のため、排気処理システム14を使用して、このような副産物の濃度を大気に放出する前に低減するか又は実質的に最小化することができる。
【0019】
排気ガス流32内のNOxを除去する又は量を低減するための1つの技術は、選択的触媒還元(SCR)プロセスを用いることによる。例えば、排気ガス流32からNOxを除去するためのSCRプロセスにおいて、アンモニア(NH3)又は他の適切な還元剤を排気ガス流32に注入することができる。アンモニアは、NOxと反応して窒素(N2)及び水(H2O)を生成する。
【0020】
図1及び図3に示すように、アンモニア蒸発システム40及びアンモニア注入グリッド42を用いて、アンモニア溶液(例えばタンク46に貯蔵される)を気化させてSCR触媒38の上流で排気ガス流32に注入することができる。アンモニア注入グリッド42は、例えば気化したアンモニアを排気ガス流32に注入するための開口部/ノズルを有する管網を含むことができる。理解されるように、排気ガス流32のアンモニア及びNOxは、SCR触媒38を通過する際に反応して窒素(N2)及び水(H2O)を生成し、これにより排気ガス流32からNOxが除去される。結果として得られた排出物は、ガスタービンシステム12のスタック44を通じて大気中に放出することができる。
【0021】
アンモニア蒸発システム40は、例えば、ブロアシステム48と、1又は2以上のヒータ50(例えば電気ヒータ)と、アンモニア注入グリッド42を介して排気ガス流32に注入される気化アンモニアを供給するためのアンモニア気化器52とをさらに含むことができる。アンモニアは、ポンプシステム54を用いてタンク46からアンモニア気化器52へとポンプ輸送することができる。個々のブロア/ポンプが故障した場合にアンモニア蒸発システム40の連続動作を保証するために、ブロアシステム48は冗長ブロアを含むことができ、さらにポンプシステム54は冗長ポンプを含むことができる。
【0022】
SCRプロセスの有効性は、一部には、処理される排気ガス流32の温度に依存する。ガスタービンシステム12から発生する排気ガス流32の温度は、約1100°Fを上回る場合が多い。しかしながら、SCR触媒38は、典型的には、約900°F未満の温度で稼働させる必要がある。
【0023】
実施形態によれば、ファン56及び「過大(oversized)」圧縮機構成要素18を組合せて用いて、排気ガス流32の温度をSCR触媒38に適したレベルまで下げるための冷却空気をもたらすことができる。図1に示すように、ファン56をガスタービンシステム12の上流でガスタービンシステム12のシャフト24に結合して、吸気セクション16を通って引き込まれる冷却空気(例えば、周囲空気)を供給することができ、この冷却空気を排気ガス流32の温度を下げるために用いることができる。ファン56は、ガスタービンシステム12のシャフト24に固定的に取り付ける(例えば、ボルト止め、溶接、等)ことができる。この点で、ファン56は、シャフト24と同じ回転速度で回転するように構成される。他の実施形態において、クラッチ機構を用いて、ファン56をガスタービンシステム12のシャフト24に解除可能に結合することができる。これによりファン56を必要に応じてシャフト24から選択的に切り離すことが可能になる。クラッチ機構が係合する場合、ファン56はシャフト24に結合し、シャフト24と同じ回転速度で回転するように構成される。クラッチ結合/分離コマンドを、空気流制御装置100を介してクラッチ機構に与えることができる。可変速度駆動システムを用いてファン56をシャフト24に結合させて、ファン56がシャフト24とは異なる速度で回転することを可能にすることもできる。
【0024】
圧縮機構成要素18は、流量容量を有しており、その流量容量に基づいて吸気セクション16から空気流(周囲空気)を引き入れるように構成される。ファン56と圧縮機構成要素18とを組合せた流量容量は、燃焼器構成要素20及びタービン構成要素22の少なくとも一方の流量容量よりも約10%から約40%大きくすることができ、過剰の空気流を生じる。すなわち、燃焼器構成要素20及びタービン構成要素22の少なくとも一方がファン56と圧縮機構成要素18との組合せで供給される空気の全てを利用することはできず、過剰の空気流が作り出される。この過剰空気流を用いて、ガスタービンシステム12の排気ガス流32を冷却することができる。実施形態によれば、過剰空気流の少なくとも一部を供給するために、圧縮機構成要素18の圧縮機段58のうちの少なくとも1つを「過大」にすることができる。後述するように、10%から40%の更なる空気流を、排気ガス流32の冷却のために、及び所望であればガスタービンシステム12の過給のために用いることができる。単一の過大圧縮機段58の使用を以下で説明するが、これは限定を意図したものではなく、他の実施形態においては更なる過大圧縮機段58を用いることができる。一般に、空気流の増大百分率は変更することができ、ガスタービンシステム12に対する負荷、ガスタービンシステム12に引き込まれる空気の温度、SCR触媒38における排気ガス流32の温度、等を含む幾つかの因子に基づいて選択的に制御することができる。
【0025】
図2に示すように、複数の入口ガイドベーン62を含むガイドベーン組立体60を用いて、ファン56及び圧縮機構成要素18が利用できる空気量を制御することができる。各入口ガイドベーン62は、独立したアクチュエータ64により選択的に制御する(例えば回転させる)ことができる。アクチュエータ64は図2に模式的に示しているが、任意の既知のアクチュエータを利用することができる。例えば、アクチュエータ64は、電気機械式モータ、又は他の任意の型式の適切なアクチュエータを含むことができる。
【0026】
アクチュエータ64は、空気流制御装置100からのコマンドに応答して独立に及び/又は集合的に制御して、入口ガイドベーン62の位置決めを選択的に変更することができる。すなわち、入口ガイドベーン62は、アクチュエータ64によりピボット軸の周りで選択的に回転させることができる。実施形態において、各入口ガイドベーン62は、他のあらゆる入口ガイドベーン62から独立して個々にピボット運動することができる。他の実施形態において、入口ガイドベーン62のグループが、他の入口ガイドベーン62のグループとは独立してピボット運動することができる(すなわち、1つのグループ内の全ての入口ガイドベーン62が一緒に同じ量だけ回転をするように、2つ以上がグループでピボット運動する)。入口ガイドベーン62の各々に関する位置情報(例えば、電気機械式センサ又は同種のものにより検知される)を空気流制御装置100に提供することができる。
【0027】
ファン56及び圧縮機構成要素18の過大圧縮機段58の組合せにより供給される増大した空気流は、圧縮機構成要素18における空気圧を高めることができる。例えば、空気流がファン56及び圧縮機構成要素18の過大圧縮機段58の動作によりもたらされる増大した空気流は、約5インチ水柱から約15インチ水柱の圧力上昇を可能にすることができる。この圧力上昇を用いて、圧力損失を克服すること、及び下流の排気処理システム14における冷却空気と排気ガス流32との適正な混合(後述する)を促進することができる。圧力上昇を用いて、ガスタービンシステム12を過給することもできる。
【0028】
図1及び図2を参照すると、空気抽出システム70を使用して、ファン56及び圧縮機構成要素18の過大圧縮機段58にから供給される追加空気流の少なくとも一部を抽出することができる。空気流72は、例えば1又は2以上の抽出ダクト74(図2)を用いて抽出することができる。抽出された空気、又は「バイパス空気」(BA)は、ガスタービンシステム12には入らず、代わりに矢印BAで示されるようにバイパスダクト76を通って混合領域33に導かれ、そこでバイパス空気を用いて排気ガス流32を冷却することができる。残りの空気(すなわち、追加空気流のうち抽出ダクト74を介して抽出されなかった部分)は、ガスタービンシステム12の圧縮機構成要素18に入り、通常の方式でガスタービンシステム12を通って流れる。残りの空気流がガスタービンシステム12の流量容量よりも大きい場合には、ガスタービンシステム12の過給を生じさせることができ、ガスタービンシステム12の効率及び出力が高くなる。
【0029】
バイパス空気は、1又は2以上のバイパスダクト76を通してタービン構成要素22の下流の混合領域33に向かって送ることができる。バイパス空気は、バイパスダクト76から出て、バイパス空気注入グリッド110(図1)を通って混合領域33に入り、そこでバイパス空気(例えば、周囲空気)は、排気ガス流32と混合して、これをSCR触媒38との使用に適した温度まで冷却する。実施形態において、ガスタービンシステム12から発生する排気ガス流32の温度は、混合領域33でバイパス空気により約1100°Fから約900°F未満の低い温度まで冷却される。バイパス空気注入グリッド110は、例えば、バイパス空気を混合領域33に導く(例えば注入する)ための複数のノズル112又は同種のものを含むことができる。バイパス空気注入グリッド110のノズル112は、混合領域33内でのバイパス空気と排気ガス流32との混合を最大化するような方式で混合領域33の周りに分散配置することができる。バイパス空気注入グリッド110のノズル112は、所定位置に固定すること、及び/又は混合領域33へのバイパス空気の注入方向を選択的に調節するために可動にすることもできる。
【0030】
補助混合システム78(図1)は、混合領域33の内部に配置して混合プロセスを強化することができる。補助混合システム78は、例えば、静止型混合器、バッフル、及び/又は同種のものを含むことができる。また、CO触媒36は、背圧(例えば、タービン構成要素22に向かう戻り方向の)をかけることにより、混合プロセスの改善を補助することができる。
【0031】
図2に示すように、各抽出ダクト74に入る空気流72は、例えば、ダンパ82、ガイドベーン、又は空気流を選択的に制限することができるその他の装置を含む流れ制限システム80を用いて、選択的に及び/又は独立的に制御することができる。各ダンパ82は、独立したアクチュエータ84により選択的に制御する(例えば回転させる)ことができる。アクチュエータ84は、電気機械式モータ、又は他のいずれかの型式の適切なアクチュエータを含むことができる。ダンパ82を、空気流制御装置100からのコマンドに応答して独立的に及び/又は集合的に制御して、所望量のバイパス空気が混合領域33の中に導かれるようにダンパ82の位置決めを選択的に変更することができる。ダンパ82の各々に関する位置情報(例えば、電気機械式センサ又は同種のものにより検知される)を空気流制御装置100に提供することができる。
【0032】
バイパス空気は、例えば1又は2以上の空気出口90内に配置された1又は2以上のダンパ88(又は空気流を選択的に制限することができる他の装置、例えばガイドベーン)を含む空気放出システム86を用いて、1又は2以上のバイパスダクト76から選択的に放出することができる。空気出口90内のダンパ88の位置は、独立したアクチュエータ92により選択的に制御する(例えば回転させる)ことができる。アクチュエータ92は、電気機械式モータ、又は他のいずれかの型式の適切なアクチュエータを含むことができる。各ダンパ88を、空気流制御装置100からのコマンドに応答して制御して、所望量のバイパス空気がバイパスダクト76から放出されることができるようにダンパ88の位置決めを選択的に変更することができる。各ダンパ88に関する位置情報(例えば、電気機械式センサ又は同種のものにより検知される)を空気流制御装置100に提供することができる。更なる空気流制御は、空気流制御装置100からのコマンドにより制御される1又は2以上の絞り弁94を通じて1又は2以上のバイパスダクト76からバイパス空気を放出することによりもたらすことができる。
【0033】
変化する動作条件下でSCR触媒38における適切な温度を維持するために、空気流制御装置100を用いて、バイパス空気として分流されてバイパスダクト76を通って混合領域33に入る、ファン56及び圧縮機構成要素18の過大圧縮機段58から発生した空気の量を、ガスタービンシステム12に入る(及び排気ガス流32として出る)空気の量に対して調節することができる。ガスタービンシステム12の様々な負荷百分率における、混合領域33に入るバイパス空気流と、排気ガス流32の温度との間の例示的な関係を図7に示す。この例において、図7は、1)ガスタービンシステム12の様々な負荷百分率におけるガスタービンシステム12の排気ガス流32の温度変動と、2)対応する、ガスタービンシステム12の様々な負荷百分率における、SCR触媒38の温度を適切なレベル(例えば900°F)に維持するために必要なバイパス空気流の、排気ガス流32に対する百分率で表した変動と、を示す。図7に表されるように、SCR触媒38における温度を調節するために、排気ガス流32の温度が変化する場合に、バイパスダクト76を通って混合領域33に流入するバイパス空気の流量を変更(例えば、空気流制御装置100の制御下で)することができる。
【0034】
空気流制御装置100は、ガスタービン発電システム10の動作に関連するデータ102を受け取ることができる。このようなデータは、例えば、排気ガス流32が混合領域33に入る際の温度、混合領域33内で混合/冷却が生じた後のSCR触媒38における排気ガス流32の温度、ファン56及びガスタービンシステム12の圧縮機構成要素18により吸気セクション16に引き込まれる空気の温度、及びガスタービン発電システム10の種々の位置において得られる他の温度データを含むことができる。データ102は、例えば、吸気セクション16内で、入口ガイドベーン62で、ファン56で、過大圧縮機段58及び/又は圧縮機構成要素18のその他の段の入口で、抽出ダクト74内で、バイパスダクト76内で、タービン構成要素22の下流側端部30で、及びガスタービン発電システム10内の種々の他の位置で得られる、空気流及び圧力のデータをさらに含むことができる。負荷データ、燃料消費データ、及びガスタービンシステム12の動作に関連する他の情報を空気流制御装置100に提供することもできる。空気流制御装置100は、入口ガイドベーン62、ダンパ82及び88、弁94、等に関連付けられる位置情報をさらに受け取ることができる。このようなデータの入手方法(例えば、適切なセンサ、フィードバックデータ等を用いる)は当業者には明らかであり、このようなデータの入手に関する更なる詳細は本明細書では示さない。
【0035】
受け取ったデータ102に基づいて、空気流制御装置100は、バイパスダクト76を通って混合領域33に流入するバイパス空気の量を必要に応じて変更して、SCR触媒38における温度を適切なレベルに維持するように構成される。これは、例えば、ファン56とガスタービンシステム12の圧縮機構成要素18との組合せ作用により吸気セクション16へ引き込まれる空気流(この流れは、例えば、1又は2以上の入口ガイドベーン62の位置を調節することにより及び/又はシャフト24の回転速度を上げることにより制御することができる)、抽出ダクト74へ流入する空気流72(この流れは、例えば、1又は2以上のダンパ82の位置を調節することにより制御することができる)、及び抽出ダクト74からバイパスダクト76を通って混合領域33に流入するバイパス空気流(この流れは、例えば、1又は2以上のダンパ88の位置及び/又は絞り弁94の動作状態を調節することにより制御することができる)のうち、少なくとも1つを変更することにより達成することができる。
【0036】
空気流制御装置100は、バイパスダクト76を通って混合領域33に流入するバイパス空気の量を例えばデータ102及び/又は操作者からの命令を用いて制御するように構成されたプログラムコードを実行する少なくとも1つのプロセッサを有する、コンピュータシステムを含むことができる。空気流制御装置100により生成されるコマンドを用いて、ガスタービン発電システム10の種々の構成要素(例えば、アクチュエータ64、84、92、弁94及び/又は同種のもの)の動作を制御することができる。例えば、空気流制御装置100により生成されるコマンドを用いて、アクチュエータ64、84及び92の動作を制御して、入口ガイドベーン62、ダンパ82及びダンパ88の回転位置をそれぞれ制御することができる。空気流制御装置100により生成されるコマンドを用いて、ガスタービン発電システム10のその他の制御設定を有効にすることもできる。
【0037】
図3及び図4に示すように、外部バイパスダクト76を用いる代わりに、ガスタービンシステム12をバイパス・エンクロージャ111で囲むことができる。バイパス・エンクロージャ111は、吸気セクション16から混合領域33に延びてこれを流体的に結合する。バイパス・エンクロージャ111は、任意の適切な構成を有することができる。例えば、バイパス・エンクロージャ111は、図3の線A−Aに沿った断面である図5に示すような環状構成を有することができる。バイパス・エンクロージャ111は、ガスタービンシステム12の周りに空気通路113を形成し、これを通って、ガスタービンシステム12の排気ガス流32を冷却するための冷却バイパス空気(BA)を供給することができる。
【0038】
空気抽出システム114を設けて、ファン56及び圧縮機構成要素18の過大圧縮機段58により供給される追加空気流の少なくとも一部を抽出し、抽出された空気をバイパス・エンクロージャ111とガスタービンシステム12との間に形成された空気通路113に導くことができる。空気抽出システム114は、例えば、入口ガイドベーン、ステータ、又は空気流を空気通路113に選択的に導くための他の任意の適切なシステムを含むことができる。以下の説明において、空気抽出システム114は、限定ではないが、入口ガイドベーンを含む。図4の線B−Bに沿った断面である図6に示すように、空気抽出システム114は、バイパス・エンクロージャ111とガスタービンシステム12の圧縮機構成要素18との間に形成された空気通路113の入口を完全に囲んで全体に延びることができる。
【0039】
図4に示すように、空気抽出システム114は、バイパス・エンクロージャ111とガスタービンシステム12との間に形成された空気通路113内に導かれる空気の量を制御するための複数の入口ガイドベーン116を含むことができる。各入口ガイドベーン116は、独立したアクチュエータ118により選択的にかつ独立して制御する(例えば回転させる)ことができる。アクチュエータ118は、図4では模式的に示されているが、任意の既知のアクチュエータを利用することができる。例えば、アクチュエータ118は、電気機械式モータ、又は他の任意の型式の適切なアクチュエータを含むことができる。
【0040】
空気抽出システム114のアクチュエータ118は、空気流制御装置100からのコマンドに応答して独立的に及び/又は集合的に制御して、入口ガイドベーン116の位置決めを選択的に変更することができる。すなわち、入口ガイドベーン116は、アクチュエータ118によりピボット軸の周りで選択的に回転させることができる。実施形態において、各入口ガイドベーン116は、他のあらゆる入口ガイドベーン116から独立して個々にピボット運動することができる。他の実施形態において、入口ガイドベーン116のグループが、他の入口ガイドベーン116のグループとは独立してピボット運動することができる(すなわち、1つのグループ内の全ての入口ガイドベーン116が一緒に同じ量だけ回転をするように、2つ以上がグループでピボット運動する)。入口ガイドベーン116の各々に関する位置情報(例えば、電気機械式センサ又は同種のものにより検知される)を空気流制御装置100に提供することができる。
【0041】
バイパス空気は、ガスタービンシステム12には入らず、代わりに矢印BAで示されるように空気通路113を通って混合領域33に導かれ、そこでバイパス空気を用いて排気ガス流32を冷却することができる。残りの空気(すなわち、ファン56及び過大圧縮機段58によって発生した追加空気流のうち空気抽出システム114を介して抽出されなかった部分)は、ガスタービンシステム12の圧縮機構成要素18に入り、通常の方式でガスタービンシステム12を通って流れる。残りの空気流がガスタービンシステム12の流量容量よりも大きい場合には、ガスタービンシステム12の過給を生じさせることができ、ガスタービンシステム12の効率及び出力が高くなる。
【0042】
バイパス空気は、空気通路113を通ってタービン構成要素22の下流の混合領域33に向かって流れることができる。実施形態において、バイパス空気は、空気通路113を出て、所定の角度で混合領域33内の排気ガス流32に向かってその中に入り、混合が強化される。混合領域33において、バイパス空気(例えば周囲空気)は排気ガス流32と混合して、これをSCR触媒38と共に使用するのに適した温度まで冷却する。実施形態において、ガスタービンシステム12から発生した排気ガス流32の温度は、混合領域33でバイパス空気によって約1100°Fから約900°F未満の温度まで冷却される。
【0043】
図3及び図4に示すように、バイパス・エンクロージャ111の遠位端120を混合領域33に向かって内向きに湾曲させて、バイパス空気を所定の角度で混合領域33の排気ガス流32に向けてその中に入れることができる。バイパス空気と排気ガス流32との交差する流れは、混合を促進することができ、それにより排気ガス流32の冷却が強化される。流れ方向付けシステム122を設けて、バイパス空気を所定の角度で排気ガス流32に向けてその中に入れることもできる。このような流れ方向付けシステム122は、例えば、出口ガイドベーン、ステータ、ノズル、又はバイパス空気流を混合領域33の中に選択的に導くための他の任意の適切なシステムを含むことができる。
【0044】
例示的な流れ方向付けシステム122を図4に示す。この例において、流れ方向付けシステム122は、複数の出口ガイドベーン124を含む。各出口ガイドベーン124は、独立したアクチュエータ126により選択的に制御する(例えば回転させる)ことができる。アクチュエータ126は、図4に模式的に示されているが、任意の既知のアクチュエータを利用することができる。例えば、アクチュエータ126は、電気機械式モータ、又は他の任意の型式の適切なアクチュエータを含むことができる。実施形態において、流れ方向付けシステム122は、バイパス・エンクロージャ111とガスタービンシステム12のタービン構成要素22との間に形成された空気通路113の出口を完全に囲んで延びることができる。
【0045】
補助混合システム78(図1)を混合領域33に配置して混合プロセスを強化することができる。補助混合システム78は、例えば、静止型混合器、バッフル、及び/又は同種のものを含むことができる。また、CO触媒36は、背圧(例えば、タービン構成要素22に向かう戻り方向の)をかけることにより、混合プロセスの改善を補助することができる。
【0046】
図4に示すように、バイパス空気は、例えば1又は2以上の空気出口134内に配置された1又は2以上のダンパ132(又は空気流を選択的に制限することができる他の装置、例えばガイドベーン)を含む空気放出システム130を用いて、バイパス・エンクロージャ111から選択的に放出することができる。空気出口134内のダンパ132の位置は、独立したアクチュエータ136により選択的に制御する(例えば回転させる)ことができる。アクチュエータ136は、電気機械式モータ、又は他のいずれかの型式の適切なアクチュエータを含むことができる。各ダンパ132は、空気流制御装置100からのコマンドに応答して制御して、所望量のバイパス空気がバイパス・エンクロージャ111から放出されることができるようにダンパ132の位置決めを選択的に変更することができる。各ダンパ132に関する位置情報(例えば、電気機械式センサ又は同種のものにより検知される)を空気流制御装置100に提供することができる。更なる空気流制御は、空気流制御装置100からのコマンドにより制御される1又は2以上の絞り弁140(図4)を通じてバイパス・エンクロージャ111からバイパス空気を放出することによりもたらすことができる。
【0047】
様々な動作条件下でSCR触媒38での適切な温度を維持するために、空気流制御装置100を用いて、バイパス空気として分流されてバイパス・エンクロージャ111を通って混合領域33に入る、ファン56及び圧縮機構成要素18の過大圧縮機段58から発生した空気の量を、ガスタービンシステム12に入る(及び排気ガス流32として出る)空気の量に対して調節することができる。SCR触媒38における温度を調節するために、排気ガス流32の温度が変化する場合に、空気通路113を通って混合領域33に流入するバイパス空気の流量を変更することができる(例えば、空気流制御装置100の制御下で)。
【0048】
図4に模式的に示すように、バイパス・エンクロージャ111に、1又は2以上のアクセスドア150を設けることができる。アクセスドア150は、バイパス・エンクロージャ111を通ってガスタービンシステム12の種々の構成要素へのアクセスを可能にする(例えば、保守、修理等のため)。
【0049】
上述のように、空気流制御装置100は、ガスタービン発電システム10及びその構成要素の動作に関連する種々のデータ102を受け取ることができる。受け取ったデータ102に基づいて、空気流制御装置100は、空気通路113を通って混合領域33に流入するバイパス空気の量を必要に応じて変更して、SCR触媒38における温度を調節するように構成される。これは、例えば、ファン56とガスタービンシステム12の圧縮機構成要素18とにより吸気セクション16へ引き込まれる空気流、空気抽出システム114を介して空気通路113の中へ導かれる空気流(この流れは、例えば、1又は2以上の入口ガイドベーン116の位置を調節することにより制御することができる)、及び空気通路113を通って混合領域33に流入するバイパス空気流(この流れは、例えば、1又は2以上のダンパ132の位置及び/又は絞り弁140の動作状態を調節することにより制御することができる)のうち、少なくとも1つを変更することにより達成することができる。
【0050】
従来の大型外部ブロアシステム及び/又は他の従来の冷却構造体の代わりに、ファン56及び過大圧縮機段58を含む圧縮機構成要素18を使用することは、多くの利点をもたらす。例えば、冗長外部ブロアシステム及び付随する構成要素(例えば、ブロア、モータ、及び関連の吸気構造、フィルタ、ダクト、等)の必要性が排除される。このことは、ガスタービン発電システム10の製造及び運用コスト、並びに全体の設置面積を削減する。設置面積は、ファン56及び過大圧縮機段58が、外部ブロアシステムと共に用いられる場合が多い独立した専用吸気構造ではなく既存の吸気セクション16を通じて空気を引き入れるので、さらに削減される。
【0051】
ファン56及び過大圧縮機段58の使用は、より信頼性の高い効率的なガスタービン発電システム10を提供する。例えば、混合領域33の冷却のために用いられるバイパス空気は、ガスタービンシステム12自体のシャフト24により引き起こされるので、大型外部ブロアシステムはもはや必要とされない。さらに、ファン56及び過大圧縮機段58から発生する空気流の少なくとも一部を用いてガスタービンシステム12を過給することができる。
【0052】
ガスタービン発電システム10の所要動力は、ファン56及び過大圧縮機段58がガスタービンシステム12のシャフト24に結合されてこれにより駆動されるので、低減される。この構成は、従来の外部ブロア冷却システムに一般に使用される大型ブロアモータの必要性を排除する。
【0053】
種々の実施形態において、互いに「結合している」と記述された構成要素は、1又は2以上の界面に沿って接合することができる。幾つかの実施形態において、これらの界面は、異なる構成要素間の接合部を含むことができ、他の場合には、これらの界面は、強固に及び/又は一体に形成された相互接続を含むことができる。すなわち、幾つかの場合には、互いに「結合した」構成要素は、同時に形成されて単一の連続部材を定めることができる。しかしながら、他の実施形態において、これらの結合した構成要素は、別個の部材として形成され、その後、既知のプロセス(例えば、締結、超音波溶接、ボンディング)により接合することができる。
【0054】
ある要素又は層が、別の要素の「上にある」、別の要素に「係合する」、「接続する」又は「結合する」と言及される場合、これは、直接、他の要素の上にある、他の要素に直接係合する、直接接続する又は直接結合する場合もあり、又は介在する要素が存在する場合もある。対照的に、ある要素が他の要素の「直接、上にある」、他の要素に「直接係合する」、「直接接続する」又は「直接結合する」と言及される場合、介在する要素又は層は存在し得ない。要素間の関係を説明する他の語も同様の仕方で解釈すべきである(例えば、「間」と「直接的な間」、「隣接」と「直接的な隣接」等、)。本明細書において用いる場合、「及び/又は」という用語は、1又は2以上の関連する列挙要素のいずれかの及び全ての組合せを含む。
【0055】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではない。本明細書で使用される場合、単数形態は、前後関係から明らかに別の意味を示さない限り複数形態も含む。さらに、本明細書内で使用する場合に、用語「備える」及び/又は「備えている」という用語は、そこに述べた特徴部、完全体、ステップ、動作、要素及び/又は構成部品の存在を明示しているが、1又は2以上の他の特徴部、完全体、ステップ、動作、要素、構成部品及び/又はそれらの群の存在又は付加を排除するものではないことは理解されるであろう。
【0056】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、また、当業者が、任意の装置又はシステムを作成すること及び使用すること並びに任意の組み込まれた方法を行うことを含めて、本開示を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、あるいは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【0057】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
ガスタービンシステムのための空気流制御システムであって、
ガスタービンシステムの圧縮機構成要素と、
上記ガスタービンシステムの回転シャフトに取り付けるための空気流発生システムであって、上記空気流発生システム及び上記圧縮機構成要素が、吸気セクションを通して過剰空気流を引き入れる、空気流発生システムと、
上記ガスタービンシステムにより生成された排気ガス流を受け入れるための混合領域と、
上記空気流発生システム及び上記圧縮機構成要素により発生した上記過剰空気流の少なくとも一部を抽出してバイパス空気を提供するための、及び上記バイパス空気を上記混合領域内に分流して上記排気ガス流の温度を下げるための、空気抽出システムと、
を備える、空気流制御システム。
[実施態様2]
上記空気流発生システム及び上記圧縮機構成要素により発生された上記過剰空気流が、上記ガスタービンシステムの燃焼器構成要素及びタービン構成要素の少なくとも一方の流量容量よりも約10%から約40%大きい、実施態様1に記載の空気流制御システム。
[実施態様3]
上記ガスタービンシステムの上記圧縮機構成要素が、少なくとも1つの過大圧縮機段を含む、実施態様1に記載の空気流制御システム。
[実施態様4]
上記空気流発生システムがファンを備える、実施態様1に記載の空気流制御システム。[実施態様5]
上記空気抽出システムが、上記ガスタービンシステムの周りで上記バイパス空気を分流し、上記混合領域に流入させて上記排気ガス流の温度を下げるためのバイパスダクトを備える、実施態様1に記載の空気流制御システム。
[実施態様6]
上記空気抽出システムが、上記ガスタービンシステムを囲み、空気通路を形成するエンクロージャを備え、上記バイパス空気は、上記空気通路を通って上記ガスタービンシステムの周りを流れて上記混合領域に流入して上記排気ガス流の温度を下げる、実施態様1に記載の空気流制御システム。
[実施態様7]
上記バイパス空気を上記混合領域の上記排気ガス流に向けてその中に入れる流れ方向付けシステムをさらに備え、上記流れ方向付けシステムは、内向きに湾曲した上記エンクロージャの端部及び/又は少なくとも1つのガイドベーンを備える、実施態様6に記載の空気流制御システム。
[実施態様8]
上記空気抽出システムが、上記過剰空気流の一部を上記圧縮機構成要素内に分流して上記ガスタービンシステムを過給するように構成されている、実施態様6に記載の空気流制御システム。
[実施態様9]
温度が下がった上記排気ガス流を処理するための選択的触媒還元(SCR)システムをさらに備える、実施態様6に記載の空気流制御システム。
[実施態様10]
ターボ機械システムであって、
圧縮機構成要素、燃焼器構成要素、及びタービン構成要素を含むガスタービンシステムであって、上記ガスタービンシステムの上記圧縮機構成要素が、少なくとも1つの過大圧縮機段を含む、ガスタービンシステムと、
上記タービン構成要素により駆動されるシャフトと、
上記ガスタービンシステムの上流で上記シャフトに結合したファンであって、上記ファン及び上記圧縮機構成要素の少なくとも1つの過大圧縮機段が、吸気セクションを通して過剰空気流を引き入れる、ファンと、
上記ガスタービンシステムにより生成された排気ガス流を受け入れるための混合領域と、
上記ファン及び上記圧縮機構成要素の上記少なくとも1つの過大圧縮機段により発生した上記過剰空気流の少なくとも一部を抽出してバイパス空気を提供するための、及び上記バイパス空気を上記混合領域内に分流して上記排気ガス流の温度を下げるための、空気抽出システムと、
温度が下がった上記排気ガス流を処理するための排気処理システムと、
を備える、ターボ機械システム。
[実施態様11]
上記ファン及び上記圧縮機構成要素の少なくとも1つの過大圧縮機段により発生された上記過剰空気流が、上記ガスタービンシステムの燃焼器構成要素及びタービン構成要素の少なくとも一方の流量容量よりも約10%から約40%大きい、実施態様10に記載のターボ機械システム。
[実施態様12]
上記空気抽出システムが、上記ガスタービンシステムの周りで上記バイパス空気を分流し、上記混合領域に流入させて上記排気ガス流の温度を下げるためのバイパスダクトを備える、実施態様10に記載のターボ機械システム。
[実施態様13]
上記空気抽出システムが、上記ガスタービンシステムを囲み、空気通路を形成するエンクロージャを備え、上記バイパス空気は、上記空気通路を通って上記ガスタービンシステムの周りを流れて上記混合領域に流入して上記排気ガス流の温度を下げる、実施態様10に記載のターボ機械システム。
[実施態様14]
上記バイパス空気を上記混合領域の上記排気ガス流に向けてその中に入れる流れ方向付けシステムをさらに備え、上記流れ方向付けシステムは、内向きに湾曲した上記エンクロージャの端部及び/又は少なくとも1つのガイドベーンを備える、実施態様13に記載のターボ機械システム。
[実施態様15]
上記空気抽出システムが、上記過剰空気流の一部を上記圧縮機構成要素内に分流して上記ガスタービンシステムを過給するように構成されている、実施態様10に記載のターボ機械システム。
[実施態様16]
上記排気処理システムが、選択的触媒還元(SCR)システムを備える、実施態様10に記載のターボ機械システム。
[実施態様17]
発電システムであって、圧縮機構成要素、燃焼器構成要素及びタービン構成要素を含むガスタービンシステムであって、上記ガスタービンシステムの上記圧縮機構成要素が、少なくとも1つの過大圧縮機段を含む、ガスタービンシステムと、上記タービン構成要素により駆動されるシャフトと、電気を発生させるためにシャフトに結合した発電機と、上記ガスタービンシステムの上流で上記シャフトに結合したファンであって、上記ファン及び上記圧縮機構成要素の少なくとも1つの上記過大圧縮機段が、吸気セクションを通して過剰空気流を引き入れるファンと、上記ガスタービンシステムにより生成された排気ガス流を受け入れるための混合領域と、上記ファン及び上記圧縮機構成要素の少なくとも1つの上記過大圧縮機段により発生した上記過剰空気流の少なくとも一部を抽出してバイパス空気を提供するため、及び上記バイパス空気を上記混合領域内に分流して上記排気ガス流の温度を下げるための、空気抽出システムと、上記温度が下がった排気ガス流を処理するための排気処理システムと、を備える発電システム。
[実施態様18]
上記空気流発生システム及び上記圧縮機構成要素により発生された上記過剰空気流が、上記ガスタービンシステムの燃焼器構成要素及びタービン構成要素の少なくとも一方の流量容量よりも約10%から約40%大きい、実施態様17に記載の発電システム。
[実施態様19]
上記空気抽出システムが、
上記ガスタービンシステムの周りで上記バイパス空気を分流し、上記混合領域に流入させて上記排気ガス流の温度を下げるためのバイパスダクトと、
上記ガスタービンシステムを囲み、空気通路を形成するエンクロージャと、
を備え、上記バイパス空気は、上記空気通路を通って上記ガスタービンシステムの周りを流れて上記混合領域に流入して上記排気ガス流の温度を下げる、実施態様17に記載の発電システム。
[実施態様20]
上記排気処理システムが、選択的触媒還元(SCR)システムを備える、実施態様17に記載の発電システム。
【符号の説明】
【0058】
10:ガスタービン発電システム
12:ガスタービンシステム
14:排気処理システム
16:吸気セクション
18:圧縮機構成要素
20:燃焼器構成要素
22:タービン構成要素
24:シャフト
26:矢印
28:発電機
30:下流側端部
32:排気ガス流
33:混合領域
34:下流方向
36:CO触媒
38:SCR触媒
40:アンモニア蒸発システム
42:アンモニア注入グリッド
44:スタック
46:タンク
48:ブロアシステム
50:ヒータ
52:アンモニア気化器
54:ポンプシステム
56:ファン
58:過大圧縮機段
60:入口ガイドベーン組立体
62:入口ガイドベーン
64:アクチュエータ
70:空気抽出システム
72:空気流
74:抽出ダクト
76:バイパスダクト
78:補助混合システム
80:流れ制限システム
82:ダンパ
84:アクチュエータ
86:空気放出システム
88:ダンパ
90:空気出口
92:アクチュエータ
94:弁
100:空気流制御装置
102:データ
110:注入グリッド
111:エンクロージャ
112:ノズル
113:空気通路
114:空気抽出システム
116:入口ガイドベーン
118:アクチュエータ
120:遠位端
122:流れ方向付けシステム
124:出口ガイドベーン
126:アクチュエータ
130:空気放出システム
132:ダンパ
134:空気出口
136:アクチュエータ
140:弁
150:アクセスドア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7