(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジンで油圧ポンプを作動し、該油圧ポンプから油圧回路に送り出された作動油を利用して操作部での操作により作動され、前記油圧回路上に存在する油圧アクチュエータを備え、前記操作部に設けられた停止機構の操作に基づいて前記エンジンを停止させる、油圧駆動装置のエンジンの制御システムであって、
前記停止機構の操作に基づいて、前記作動油を前記油圧回路に送り出すことを許可するか又は送り出しを遮断する油圧ロック手段と、
前記停止機構が作動油の供給を許可するロック解除状態にあるか、又は遮断するロック状態にあるかを検出する状態検出手段と、
前記エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記状態検出手段からの信号と前記回転数検出手段からの信号とに基づいて、前記エンジンの動作を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、第1コントローラと、第2コントローラとにより構成され、
前記第1コントローラは、前記状態検出手段からの信号がロック解除状態にあるか又はロック状態にあるかを判定する第1判定手段と、前記回転数検出手段からの信号が、あらかじめ設定された所定のエンジン回転数よりも高いか低いかを判定する第2判定手段とを備え、
前記第2コントローラは、前記停止機構がロック状態にあると前記第1判定手段により判定されたときに、前記エンジンの回転数を前記所定の回転数よりも低い回転数まで下げるエンジン回転数制御手段を備え、
前記第1コントローラは、前記第1判定手段がロック状態にあると判定したときに前記第2コントローラに前記所定の回転数よりも低い回転数まで下げるための信号を送り、該信号に基づいて、前記第2コントローラの前記エンジン回転数制御手段が前記エンジンの回転数を前記所定の回転数よりも低い回転数まで下げ、
前記第1判定手段がロック状態にあると判定し、且つ、前記第2判定手段が前記所定のエンジン回転数よりも低いと判定した場合に、前記第1コントローラは前記第2コントローラに対し前記エンジンを停止させるための信号を送り、該信号に基づいて、前記第2コントローラは前記エンジンへの燃料の供給を遮断する、ことを特徴とする油圧駆動装置用エンジンの制御システム。
エンジンで油圧ポンプを作動し、該油圧ポンプから油圧回路に送り出された作動油を利用して操作部での操作により作動され、前記油圧回路上に存在する油圧アクチュエータを備え、前記操作部に設けられた停止機構の操作に基づいて前記エンジンを停止させる、油圧駆動装置のエンジンの制御方法であって、
前記停止機構の操作に基づいて、前記作動油を前記油圧回路に送り出すことを許可するか又は送り出しを遮断する油圧ロック工程と、
前記停止機構が作動油の供給を許可するロック解除状態にあるか、又は遮断するロック状態にあるかを検出する状態検出工程と、
前記エンジンの回転数を検出する回転数検出工程と、
前記状態検出工程からの信号と前記回転数検出工程からの信号とに基づいて、前記エンジンの動作を制御する制御工程と、含み、
前記制御工程は、第1制御工程と第2制御工程とにより構成され、
前記第1制御工程は、前記状態検出工程からの信号がロック解除状態にあるか又はロック状態にあるかを判定する第1判定工程と、前記回転数検出工程からの信号が、あらかじめ設定された所定のエンジン回転数よりも高いか低いかを判定する第2判定工程とを備え、
前記第2制御工程は、前記停止機構がロック状態にあると前記第1判定工程により判定されたときに、前記エンジンの回転数を前記所定の回転数よりも低い回転数まで下げるエンジン回転数制御工程を備え、
前記第1制御工程は、前記第1判定工程がロック状態にあると判定したときに前記第2制御工程に前記所定の回転数よりも低い回転数まで下げるための信号を送り、該信号に基づいて、前記第2コントローラの前記エンジン回転数制御工程が前記エンジンの回転数を前記所定の回転数よりも低い回転数まで下げ、
前記第1判定工程がロック状態にあると判定し、且つ、前記第2判定工程が前記所定のエンジン回転数よりも低いと判定した場合に、前記第1判定工程は前記第2制御工程に対し前記エンジンを停止させるための信号を送り、該信号に基づいて、前記第2制御工程は前記エンジンへの燃料の供給を遮断する、ことを特徴とする油圧駆動装置用エンジンの制御方法。
【背景技術】
【0002】
エンジンで油圧ポンプを作動することにより作動油を送り出し、種々の油圧アクチュエータを動作させる代表的な油圧駆動装置として、油圧ショベル等の掘削機や、ホイールタイプ又はクローラタイプのローダー等の建設機械がある。建設機械等の油圧駆動装置のなかには、エンジンを自動停止させる制御システムを備えたものがある。例えば、オペレータがエンジンを切らずに油圧ショベル等の建設機械の運転席から離れて、一定の作業を行ったり、所定の確認を行ったりした場合に、オペレータが運転席から離れて一定の時間が経過すると、制御システムがエンジンを自動停止する。エンジンを自動停止する理由としては、(1)エンジンを停止して安全を確保すること、(2)エンジンを停止して、不必要な排気ガスを排出することを防止して環境を保護すること、(3)エンジンを自動的に停止することにより無駄な燃料を消費することを防止すること等がある。こうしたエンジンを自動停止する油圧駆動装置は、これまでに種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1ではエンジンを自動停止させる建設機械に関する技術が提案されている。この建設機械は、次の構成要素を備えることによりエンジンを自動停止している。建設機械は、(i)エンジン、(ii)エンジンによって駆動する油圧ポンプを含む油圧回路、(iii)油圧回路セット制御手段、(iv)ロックレバー、及び(v)コントローラを備えている。
【0004】
上記(iii)の油圧回路セット制御手段は、油圧回路を作動可能なセット状態に保つ回路セット制御と、この回路セット制御による油圧回路のセット状態を解除する回路セット解除制御とのいずれかを選択的に実施する。上記(iv)ロックレバーは、油圧回路セット制御手段で回路セット制御を実施させるロックレバー信号を出力させている。上記(v)のコントローラは、第1判別手段と出力手段とを内蔵している。
【0005】
第1判別手段は、ロックレバー信号が出力されたかどうかを判別している。また、出力手段は、第1判別手段でロックレバー信号が出力されたと判別されたときには、回路セット状態に保持する油圧回路セット信号を、また、第1判別手段でロックレバー信号が出力されていないと判別されたときには、回路セット状態を解除する油圧回路セット解除信号を、それぞれ油圧回路セット制御手段に出力している。
【0006】
さらに、コントローラは、(vi)第2判別手段、(vii)第3判別手段、(viii)第4判別手段、(ix)計時手段、(x)第1処理手段、及び(xi)第2処理手段を備えている。
【0007】
上記(vi)の第2判別手段は、エンジンの駆動を制御するエンジン制御手段を備えると共に、コントローラが、ロックレバー信号が出力されていた状態から出力されない状態に変化したかどうかを判別する。上記(ix)の計時手段は、第2判別手段でロックレバー信号が出力されていた状態から出力されない状態に変化したと判別されたとき、所定時間を計測する。上記(vii)第3判別手段は、計時手段が、所定時間を計測したかどうかを判別している。上記(x)第1処理手段は、第3判別手段で計時手段が所定時間を計測したと判別されたときにエンジン駆動停止信号を上述した出力手段からエンジン制御手段に出力させている。上記(viii)の第4判別手段は、第3判別手段で計時手段が所定時間を計測していないと判別されている状態においてロックレバー信号が出力されているかどうかを判別する。そして、上記(xi)第2処理手段は、第4判別手段でロックレバー信号が出力されていると判別されたときに、油圧回路セット信号を選定して出力手段から油圧回路セット制御手段に油圧回路セット信号を出力させている。
【0008】
コントローラは、さらに、(xii)第5判別手段、及び(xiii)第3処理手段を備えている。(xii)の第5判別手段は、コントローラが、エンジンの駆動を指令するキースイッチの操作に伴うキースイッチ信号が出力されているかどうかを判別している。また、(xiii)の第3処理手段は、第5判別手段でキースイッチ信号が出力されていると判別されている状態にあって上述した第1判別手段でロックレバー信号が出力されていると判別されたとき、エンジンを駆動させるエンジン駆動信号を出力手段からエンジン制御手段に出力させている。
【0009】
こうした特許文献1で提案されている技術は、エンジンが自動的に停止した後でもロックレバーを再操作するだけで建設機械のエンジンを再起動させることができるようにしたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の特許文献1で提案されている技術は、エンジンを停止させる否かの判断を、ロック解除状態であるか、又はロック状態であるかをリミットスイッチ等のセンサーでセンシングすることだけで行っている。そのため、リミットスイッチ等のセンサーが何らかの理由により故障した場合、エンジンを停止すべきときに、エンジンを停止しなかったり、停止すべきではないときに停止したりするなど、コントローラが誤作動を起こすおそれがある。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、エンジンを停止させるか否かの判断を高い信頼性で行うことができる油圧駆動装置用エンジンの制御システム及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記課題を解決するための本発明に係る油圧駆動装置用エンジンの制御システムは、エンジンで油圧ポンプを作動し、該油圧ポンプから油圧回路に送り出された作動油を利用して操作部での操作により作動され、前記油圧回路上に存在する油圧アクチュエータを備え、前記操作部に設けられた停止機構の操作に基づいて前記エンジンを停止させる、油圧駆動装置のエンジンの制御システムであって、前記停止機構の操作に基づいて、前記作動油を前記油圧回路に送り出すことを許可するか又は送り出しを遮断する油圧ロック手段と、前記停止機構が作動油の供給を許可するロック解除状態にあるか、又は遮断するロック状態にあるかを検出する状態検出手段と、前記エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、前記状態検出手段からの信号と前記回転数検出手段からの信号とに基づいて、前記エンジンの動作を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
第1コントローラと、第2コントローラとにより構成され、前記第1コントローラは、前記状態検出手段からの信号がロック解除状態にあるか又はロック状態にあるかを判定する第1判定手段と、前記回転数検出手段からの信号が、あらかじめ設定された所定のエンジン回転数よりも高いか低いかを判定する第2判定手段とを備え、
前記第2コントローラは、前記停止機構がロック状態にあると前記第1判定手段により判定されたときに、前記エンジンの回転数を前記所定の回転数よりも低い回転数まで下げるエンジン回転数制御手段を備え、
前記第1コントローラは、前記第1判定手段がロック状態にあると判定したときに前記第2コントローラに前記所定の回転数よりも低い回転数まで下げるための信号を送り、該信号に基づいて、前記第2コントローラの前記エンジン回転数制御手段が前記エンジンの回転数を前記所定の回転数よりも低い回転数まで下げ、
前記第1判定手段がロック状態にあると判定し、且つ、前記第2判定手段が前記所定のエンジン回転数よりも低いと判定した場合に、
前記第1コントローラは前記第2コントローラに対し前記エンジンを停止させるための信号を送り、
該信号に基づいて、前記第2コントローラは前記エンジンへの燃料の供給を遮断する、ことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、コントローラが、ロック状態検出手段からの信号がロック解除状態にあるか又はロック状態にあるかを判定する第1判定手段と、回転数検出手段からの信号が、あらかじめ設定された所定のエンジン回転数よりも高いか低いかを判定する第2判定手段と、を備え、コントローラは、第1判定手段が、ロック状態にあると判定し、且つ、第2判定手段が、所定のエンジン回転数よりも低いと判定した場合に、エンジンを停止させるので、ロック状態検出手段だけでロック状態にあることを検出する場合に比べ、エンジンを停止させる状態であるか否かを高い信頼度で判定することができる。そのため、誤作動により、エンジンを停止させてしまうことを抑制することができる。
【0016】
この発明によれば、第1判定手段がロック状態にあると判定したときに、エンジンの回転数を所定の回転数よりも低い回転数まで下げるエンジン回転数制御手段を備えるので、油圧駆動装置が作動し、エンジン回転数が上がっているときや、エンジンがアイドリング状態のときに比べ、通常ではあり得ない低い回転数であることを検出した場合にのみエンジンを停止させることができる。
【0018】
この発明によれば、上記のように、コントローラを第1コントローラと第2コントローラとに分けているので、各コントローラの構造を簡素化することができる。特に、第2コントローラとして一般に用いられているエンジンコントロールユニットを用いた場合、第1コントローラの制御内容を簡素化することができ、且つ、エンジンを確実に停止させることができる。
【0020】
この発明によれば、第2コントローラとして一般に用いられているエンジンコントロールユニットを用いた場合、第1コントローラの制御内容を簡素化することができ、且つ、第1コントローラからの指令に基づいて、エンジンの回転数を確実に下げることができる。
【0021】
(2)上記課題を解決するための本発明に係る油圧駆動装置用エンジンの制御方法は、エンジンで油圧ポンプを作動し、該油圧ポンプから油圧回路に送り出された作動油を利用して操作部での操作により作動され、前記油圧回路上に存在する油圧アクチュエータを備え、前記操作部に設けられた停止機構の操作に基づいて前記エンジンを停止させる、油圧駆動装置のエンジンの制御方法であって、前記停止機構の操作に基づいて、前記作動油を前記油圧回路に送り出すことを許可するか又は送り出しを遮断する油圧ロック工程と、前記停止機構が作動油の供給を許可するロック解除状態にあるか、又は遮断するロック状態にあるかを検出する状態検出工程と、前記エンジンの回転数を検出する回転数検出工程と、前
記状態検出
工程からの信号と前記回転数検出
工程からの信号とに基づいて、前記エンジンの動作を制御する制御工程と、含み、
前記制御工程は、
第1制御工程と第2制御工程とにより構成され、前記第1制御工程は、前記状態検出工程からの信号がロック解除状態にあるか又はロック状態にあるかを判定する第1判定工程と、前記回転数検出工程からの信号が、あらかじめ設定された所定のエンジン回転数よりも高いか低いかを判定する第2判定工程とを備え、
前記第2制御工程は、前記停止機構がロック状態にあると前記第1判定工程により判定されたときに、前記エンジンの回転数を前記所定の回転数よりも低い回転数まで下げるエンジン回転数制御工程を備え、
前記第1制御工程は、前記第1判定工程がロック状態にあると判定したときに前記第2制御工程に前記所定の回転数よりも低い回転数まで下げるための信号を送り、該信号に基づいて、前記第2コントローラの前記エンジン回転数制御工程が前記エンジンの回転数を前記所定の回転数よりも低い回転数まで下げ、
前記第1判定工程がロック状態にあると判定し、且つ、前記第2判定工程が前記所定のエンジン回転数よりも低いと判定した場合に、前記第1判定工程は前記第2制御工程に対し前記エンジンを停止させるための信号を送り、該信号に基づいて、前記第2制御工程は前記エンジンへの燃料の供給を遮断する、ことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、上記の第1判定工程と第2判定工程とを有し、第1判定工程においてロック状態にあると判定し、且つ、第2判定工程において所定のエンジン回転数よりも低いと判定した場合に、エンジンを停止させるので、第1判定工程だけでロック状態にあることを検出する場合に比べ、エンジンを停止させる状態であるか否かを高い信頼度で判定することができる。そのため、誤作動により、エンジンを停止させてしまうことを抑制することができる。
【0024】
この発明によれば、第1判定工程においてロック状態にあると判定したときに、エンジンの回転数を所定の回転数よりも低い回転数まで下げるので、油圧駆動装置が作動し、エンジン回転数が上がっているときや、エンジンがアイドリング状態のときに比べ、通常ではあり得ない低い回転数であることを検出した場合にのみエンジンを停止させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、エンジンを停止させるか否かの判断を高い信頼性で行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態及び図面に記載した形態と同じ技術的思想の発明を含むものであり、本発明の技術的範囲は実施形態の記載や図面の記載のみに限定されるものでない。
【0028】
[基本構成]
本発明に係る制御システムは、エンジン50で油圧ポンプP1,P2を作動し、油圧ポンプP1,P2から油圧回路200に送り出された作動油を利用して、操作部69での操作により作動され、油圧回路200上に存在する図示しない油圧アクチュエータを備えている。エンジン50は、操作部69に設けられた停止機構65の操作に基づいて停止されるように構成されている。本発明に係る制御システムは、このような油圧駆動装置のエンジン50の制御システム(以下、「制御システム」という。)である。この制御システムは、油圧ロック機構30、ロック状態検出センサー40、回転数検出センサー55、及びコントローラ100を備えている。
【0029】
油圧ロック機構30は、本発明の油圧ロック手段を構成している。油圧ロック機構30は、操作部69に設けられた停止機構65の操作に基づいて、作動油を油圧回路200に送り出すことを許可するか又は送り出しを遮断する。ロック状態検出センサー40は、本発明のロック状態検出手段を構成している。ロック状態検出センサー40は、油圧ロック機構30が作動油の供給を許可するロック解除状態にあるか、又は遮断するロック状態にあるかを検出している。回転数検出センサー55は、本発明の回転数検出手段を構成しており、エンジン50の回転数を検出している。コントローラ100は、ロック状態検出センサー40からの信号と回転数検出センサー55からの信号とに基づいて、エンジン50の動作を制御している。
【0030】
コントローラ100は、ロック状態検出センサー40からの信号がロック解除状態にあるか又はロック状態にあるかを判定する第1判定部11と、回転数検出センサー55からの信号が、あらかじめ設定された所定のエンジン50の回転数(以下、「基準回転数」という。)よりも高いか低いかを判定する第2判定部12と、を備えている。第1判定部11は、本発明の第1判定手段を構成し、第2判定部12は、本発明の第2判定手段を構成している。このコントローラ100は、第1判定部11が、ロック状態にあると判定し、且つ、第2判定部12が、基準回転数よりも低いと判定した場合に、エンジン50を停止させる制御を行っている。
【0031】
本発明に係る制御システムによれば、エンジン50を停止させるか否かの判断を高い信頼性で行うことができるという特有の効果を奏することができる。
【0032】
以下、本発明に係る制御システムについて具体的に説明する。なお、本発明に係る制御システムは、エンジン50で油圧ポンプを作動させて作動油を油圧回路200に送り出し、油圧回路200上に存在する図示しない油圧アクチュエータを作動させる油圧駆動装置の制御であれば、油圧駆動装置の種類は、特に限定されない。油圧駆動装置としては、例えば、油圧ショベル、ブルドーザ、ホイール式又はクローラ式のローダー、アスファルトフィニッシャー等の道路機械、及びクレーン等の建設機械を挙げることができる。本明細書では、油圧駆動装置の実施形態として油圧ショベルを例として説明する。
【0033】
[油圧駆動装置のエンジン制御システムの全体構成]
図1は、油圧ショベルにおける制御システムの概要を示したブロック図であり、
図2は、オートデセル機能、すなわち、ジョイスティックレバー66が中立位置に存在するときにエンジン回転を自動的にアイドリングまで下げるシステムの概要を示すブロック図である。
図1に示すように、油圧ショベルは、エンジン50と、エンジン50により駆動されるポンプP1,P2と、図示しない、油圧シリンダや油圧モータ等の油圧アクチュエータが設けられた油圧回路200とを備えている。
【0034】
ポンプP1,P2は、油圧アクチュエータを作動させるための油である作動油をメイン回路201に供給する第1ポンプP1と、コントロールバルブ71を構成しているバルブ70等が設けられたにパイロットライン202に作動油を供給する第2ポンプP2を備えている。なお、
図1には、第1ポンプP1と第2ポンプP2とを示しているが、必要に応じて図示しない第3ポンプ、第4ポンプ等が設けられる。コントロールバルブ71を構成しているバルブ70は、コントロールバルブ71が作動した際に、コントロールバルブ71が作動したことを検出するために、パイロットライン202によって供給された作動油を通過させたり遮断したりしている。バルブ70により作動油の流れが遮断されたか否かは、バルブ70の下流側に取り付けられた圧力センサー80がバルブ70の下流側の圧力を検出することにより行っている。具体的に、コントロールバブル71が作動したときに、バルブ70は作動油の流れを遮断する。作動油の流れが遮断されると、バルブ71よりも下流側の圧力が低下する。圧力センサー80は、圧力が低下したことを検出することにより、バルブ71が作動したことを検出する。こうしたコントロールバルブ71の内部には、バルブ70の下流側に絞り72を備えており、回路内の圧力がリリーフ圧になるように設定している。
【0035】
また、油圧ショベルは、オペレータが着座して図示しないブーム、アーム及びバケット等を操作する操作部69としてのキャビンを備えている。なお、キャビンの内部には、図示しない走行用のレバー、ブーム、アーム及びバケット等を操作するジョイスティックレバー66及び、エンジン回転数を表示するためのタコメータ、種々のメーター類が設けられたパネル等が設けられている。
【0036】
本実施形態の油圧ショベルは、さらに、エンジン50を停止させるための制御システムを備えている。制御システムは、コントローラ100を備えている。コントローラ100は、第1コントローラ10と第2コントローラ20とより構成されており、Controller Area Network(CAN)より相互に通信されている。なお、CANとは、耐ノイズ性の強化を考慮して設計され、相互接続されたコントローラ10,20間のデータ転送に使われる規格である。第1コントローラ10は、第1判定部11と第2判定部12とを備えている。一方、第2コントローラ20は、エンジン50の回転数を制御するエンジン回転数制御部21を備えている。なお、エンジン回転数制御部21は、本発明のエンジン回転数制御手段を構成している。
【0037】
第1コントローラ10には、ロック状態検出センサー40が接続されている。ロック状態検出センサー40は、ロック解除状態にあるか又はロック状態にあるかを検出するセンサーである。ロック状態検出センサー40としては、例えば、リミットスイッチが用いられる。ロック状態検出センサー40は、油圧ショベルを操作するオペレータが着座する座席60が設けられたキャビンの内部に設けられおり、油圧ロック機構30を操作するための停止機構65の状態を検出している。具体的に、キャビンの内部に設けられた停止機構65は、油圧ロック機構30の状態を変化させている。油圧ロック機構30は、停止機構65の操作に基づいて、油圧ポンプから供給された作動油を油圧回路200に供給する状態と、油圧回路200に供給している作動油を遮断させる状態との間で状態が変化される。そして、ロック状態検出センサー40は、オペレータにより操作される停止機構65の状態を検出している。
【0038】
第1コントローラ10には、さらに、回転数検出センサー55と圧力スイッチ80とが接続されている。回転数検出センサー55は、エンジン50の回転数を検出している。また、圧力スイッチは、コントロールバルブ71の油通路を構成する信号回路内の圧力を検出している。この圧力スイッチ80は、オートデセル機能システムの1つの構成要素である。ジョイスティックレバー66を使用して油圧ショベルを操作しているときには、バルブ70は、パイロットライン202に流れる作動油を遮断する位置にスプールを移動させている。このとき、圧力スイッチ80はリリーフ圧を検出している。一方、ジョイスティックレバー66が中立にされると、バルブ70は、パイロットライン202に作動油を流す位置にスプールを移動させる。圧力スイッチ80は、そのときの圧力信号を第1コントローラ10に送っている。第1コントローラ10は、パイロットライン202に作動油が流れる状態の圧力を検出してから一定の時間が経過した後に、第2コントローラ20に対し、エンジン回転数をアイドリングまで下げるための制御を行う指令を出している。
【0039】
第2コントローラ20は、エンジンコントールユニット(ECU)である。第2コントローラ20に設けられたエンジン回転数制御部21は、エンジン50の燃料供給系統に接続されており、エンジン50の燃料供給量を制御することにより、エンジン50の回転数を制御している。具体的に、燃料供給系統を構成する燃料噴射ポンプに供給する燃料の流量を調整してエンジン50の回転数を制御したり、燃料噴射ポンプに供給している燃料を遮断することにより、エンジン50を停止させたりしている。
【0040】
〈油圧ロック機構〉
油圧ロック機構30は、
図1に示すように、パイロットライン202に作動油を流すか、又は作動油の流れを遮断させるかを制御するための構成要素である。具体的に、油圧ロック機構30は、停止機構65の操作に基づいてロック解除状態にされたときには、ロック状態検出センサー40からの信号に基づいて、パイロットライン202に作動油が流れる状態を形成する。一方、油圧ロック機構30は、ロック状態にされたときには、ロック状態検出センサー40からの信号に基づいて、パイロットライン202の作動油の流れを遮断する。
【0041】
油圧ロック機構30としては、例えば、電磁気の作用を利用してスプールを動かすタイプのソレノイドバルブが用いられる。ただし、油圧ロック機構30は、パイロットライン202に作動油が流れる状態と、作動油の流れを遮断する状態とを切り換えることができる構成要素であれば、ソレノイドバルブを用いることには限定されない。
【0042】
ロック解除状態では、パイロットライン202に作動油を流すことができ、キャビン内のジョイスティックレバー66の操作に基づいて、バルブ70を操作することができる状態が形成される。そのため、油圧ショベルを構成する油圧回路200に第1ポンプP1から作動油を供給し、ブーム、アーム及びバケット等の操作を行うことができる状態が形成される。一方、ロック状態では、パイロットライン202に流れている作動油が遮断され、キャビン内のジョイスティックレバー66を操作しても、バルブ70が動作しない状態が形成される。そのため、油圧ショベルを構成する油圧回路200に第1ポンプP1から作動油を供給することができず、ブーム等の操作をすることができない状態が形成される。
【0043】
操作部69としてのキャビンの内部には、
図3に示すように、オペレータが着座する座席60が設けられている。座席60は、座部61、バックレスト62及びヘッドレスト63を有しているまた、座部61の両側には、アームレスト65が設けられている。このアームレスト65の前部には、油圧ショベルのブーム、アーム及びバケットを操作するためのジョイスティックレバー66が取り付けられている。座席60の両側に設けられているアームレスト65のうち、オペレータがキャビンに出入りをする出入り口側のアームレスト65は、油圧ロック機構30と連動し、油圧ロック機構30の動作を設定する停止機構65として機能する。
【0044】
停止機構65として機能するアームレスト65は、後部の下側を中心として回転可能に構成されている。このアームレスト65は、前方に倒した通常の状態
図3Aと、上側に回転させて跳ね上げた状態
図3Bとの間で状態を変化させることができるように構成されている。なお、本実施形態の油圧ショベルでは、アームレスト65が停止機構65として機能するように構成されているが、停止機構65は、油圧駆動装置の機種に応じ、例えば、操作部69にレバーを設けることにより構成してもよい。
【0045】
図3に示すように構成されているアームレスト65には、ロック状態検出センサー40が設けられている。本実施形態では、リミットスイッチがロック状態検出センサー40として用いられている。このロック状態検出センサー40は、
図1に示すように、ノーマルオフタイプのリミットスイッチが用いられている。すなわち、ロック状態検出センサー40は、押しボタンを押しつた状態で通電し、押しボタンを解放した状態で電流が遮断される。
【0046】
アームレスト65が前方に倒されて水平に維持されている状態では、ロック状態検出センサー40の押しボタンは、座席60に設けられている押さえ板により押しつけられる。そのため、アームレスト65が水平に維持されている状態では、ロック状態検出センサー40は、通電された状態になる。これに対し、アームレスト65が回転されて前部が上方に跳ね上げられた状態では、押さえつけられていた押しボタンが解放される。そのため、アームレスト65が跳ね上げられた状態では、ロック状態検出センサー40は、遮断された状態になる。
【0047】
油圧ロック機構30は、
図3Aに示すように、アームレスト65が水平に維持されてロック状態検出センサー40が通電された状態では、作動油を油圧回路200に供給可能な状態に設定される。この状態では、油圧ショベルは走行及び旋回、並びに、ブーム、アーム及びバケットの操作等を行うことができるように構成されている。一方、
図3Bに示すように、アームレスト65の前部が上側に跳ね上げられてロック状態検出センサー40が遮断された状態では、油圧ロック機構30は、供給されていた作動油を油圧回路200に供給することを遮断する状態に設定される。この状態では、油圧ショベルは、走行及び旋回、並びに、ブーム、アーム及びバケットの操作等を行うことが不能となるように構成されている。
【0048】
〈第1コントローラ〉
第1コントローラ10は、上述したように第1判定部11と第2判定部12とを備えている。第1判定部11は、ロック状態検出センサー40からの信号がロック解除状態にあるか又はロック状態にあるかを判定している。第1判定部11は、例えば、ロック状態検出センサー40から信号が送られている場合には、油圧ロック機構30がロック解除状態にあると判定し、ロック状態検出センサー40から信号が送られていない場合には、油圧ロック機構30がロック状態にあると判定する。第1コントローラ10は、ロック状態検出センサー40からの信号に基づいて、油圧ロック機構30の動作を制御している。具体的に、ロック状態検出センサー40から信号が送られているときには、第1コントローラ10は、油圧ロック機構30をロック解除状態に維持する。この場合、作動油がパイロットライン202を流れ、バルブ70を動作させることにより、種々の操作をすることが可能な状態となる。これに対し、ロック状態検出センサー40から信号が送られていないときには、第1コントローラ10は、油圧ロック機構30をロック状態にする。この場合、パイロットライン202を流れていた作動油が遮断され、バルブ70を動作させることができなくなり、種々の操作をすることが不能な状態となる。
【0049】
第2判定部12は、エンジン50の回転数があらかじめ設定された基準回転数よりも低い状態にあるか否かを判定する。この第2判定部12は、エンジン50に取り付けられた回転数検出センサー55からの信号に基づいてエンジン50回転数を算出している。回転数検出センサー55としては、例えば、ロータリエンコーダやポテンショメータを例として挙げることができる。回転数検出センサー55として、ロータリエンコーダを用いた場合、回転数検出センサー55は、エンジン50の回転に伴って、ON状態、すなわち、回転数検出センサー55が電圧を発する状態と、OFF状態の信号、すなわち、回転数検出センサー55が電圧を発していない状態とを繰り返す。第2判定部12は、回転数検出センサー55のON状態とOFF状態の単位時間あたりの変化の回数に基づいて、エンジン回転数を算出する。そして、第2判定部12は、算出されたエンジン回転数と基準回転数とを比較する。これに対し、回転数検出センサー55として、ポテンショメータを用いた場合、第2判定部12は、ポテンショメータにより測定された抵抗値を検出し、回転角度と抵抗値の関係に基づいて回転数を算出している。すなわち、ポテンショメータは可変抵抗器なので、回転軸の位置で抵抗値が定まる。第2判定部12は、この抵抗値に基づいて、エンジン回転数を算出する。
【0050】
〈第2コントローラ〉
第2コントローラ20は、エンジンコントロールユニット(ECU)であり、エンジン50の回転数を制御するエンジン回転数制御部21を備えている。具体的に、第2コントローラ20のエンジン回転数制御部21は、エンジン50への燃料供給系統を構成する燃料噴射ポンプの動作を制御している。エンジン回転数制御部21は、エンジン50の回転数を上げたい場合には、燃料噴射ポンプに供給する燃料の流量を増加させる。一方、エンジン50の回転数を下げたい場合には、燃料噴射ポンプに供給する燃料の流量を減少させる。第2コントローラ20のエンジン回転数制御部21は、燃料噴射ポンプへの燃料供給量を制御することにより、エンジン50の回転数を制御している。
【0051】
〈第1コントローラと第2コントローラとの関係〉
第1コントローラ10は、エンジンコントロールユニット(ECU)である第2コントローラ20と接続されており、第2コントローラ20に対し、エンジン50の回転数を下げること、及びエンジン50を停止させることを制御するための指令を出している。
【0052】
具体的に、第1コントローラ10の第1判定部11がロック状態検出センサー40から信号に基づいて油圧ロック機構30がロック状態にあると判定したときに、第1コントローラ10は、第2コントローラ20に対し、エンジン回転数を基準回転数よりも低下させるための制御を実行するように指令を出す。第2コントローラ20は、第1コントローラ10からの指令に基づいて、燃料噴射ポンプへの燃料供給量を減少し、エンジン回転数を基準回転数よりも低い回転数まで低下させる。基準回転数は、例えば、1200回転/分に設定される。
【0053】
また、第1コントローラ10の第2判定部12は、回転数検出センサー55からの信号に基づいて、エンジン50回転数が基準回転数よりも低いと判定したとき、第1コントローラ10は、第2コントローラ20に対し、エンジン50を停止する制御を実行するように指令を出す。第2コントローラ20は、第1コントローラ10からの指令に基づいて、燃料噴射ポンプへの燃料供給を遮断し、エンジン50を停止させる。
【0054】
以上に説明した構成及び作用を有する制御システムは、次の工程を実行する。すなわち、制御システムは、油圧ロック工程、ロック状態検出工程、回転数検出工程、エンジン50の動作を制御する制御工程を実行する。
【0055】
油圧ロック工程は、操作部69に設けられた停止機構65(アームレスト65)の操作に基づいて、作動油を油圧回路200に送り出すことを許可するか又は送り出しを遮断する工程である。油圧ショベルの場合には、キャビン内のアームレスト65を回転させる操作に基づいて、作動油を油圧回路200に送り出すことを許可するか又は送り出しを遮断する。ロック状態検出工程は、油圧ロック機構30が作動油の供給を許可するロック解除状態にあるか、又は遮断するロック状態にあるかを検出する工程である。回転数検出工程は、エンジン50の回転数を検出する工程である。エンジン50の動作を制御する制御工程は、ロック状態検出センサー40からの信号と回転数検出センサー55からの信号とに基づいて、エンジン50の動作を制御する工程である。
【0056】
エンジン50の動作を制御する制御工程は、第1判定工程と、第2判定工程とを含んでいる。第1判定工程は、ロック状態検出工程で検出した信号がロック解除状態にあるか又はロック状態にあるかを判定する工程であり、第2判定工程は、回転数検出工程で検出した信号が、あらかじめ設定された基準回転数よりも高いか低いかを判定する工程である。そして、この制御工程は、第1判定工程でロック状態にあると判定し、且つ、第2判定工程でエンジン回転数が基準回転数よりも低いと判定した場合に、エンジン50を停止させる。また、エンジン50の動作を制御する制御工程は、第1判定工程でロック状態にあると判定したときに、エンジン50の回転数を所定の回転数よりも低い回転数まで下げるエンジン回転数制御工程を含んでいる。
【0057】
[エンジン停止制御の流れ]
この制御システムにより実行される上記の工程の手順を、
図4に示すフローチャートを参照し、詳細に説明する。
【0058】
まず、ロック状態検出センサー40が、油圧ロック機構30の状態を検出する(ステップS101)。ロック状態検出センサー40は、油圧ロック機構30が油圧回路200に作動油を供給することができる状態であるロック解除状態であるか、又は油圧ロック機構30が油圧回路200に供給されている作動油を遮断させる状態であるロック状態であるかを検出する。油圧ロック機構30は、キャビン内に設けられたアームレスト65の状態により、ロック解除状態か、ロック状態かが設定される。具体的に、アームレスト65が前方に倒されて、油圧ショベルを操作することができる状態である場合、油圧ロック機構30はロック解除状態に設定される。一方、アームレスト65が、その後部を中心に回転され、前部が上側に跳ね上げられた状態である場合、油圧ロック機構30はロック状態に設定される。
【0059】
次いで、第1コントローラ10に設けられた第1判定部11が、油圧ロック機構30がロック解除状態にあるか、ロック状態にあるかを判定する(ステップS102)。第1判定部11が行う判定は、ロック状態検出センサー40からの信号に基づいて行われる。例えば、ロック状態検出センサー40が作動しておらず、ロック状態検出センサー40が信号を送っていない場合には、第1判定部11は、油圧ロック機構30がロック状態であると判定する。一方、ロック状態検出センサー40が作動しており、ロック状態検出センサー40が信号を送っている場合には、第1判定部11は、油圧ロック機構30がロック解除状態であると判定する。第1判定部11は、ロック状態検出センサー40からの信号を受け取るまで待機状態を維持し、ロック状態検出センサー40からの信号を受け取った時点で、次のステップに進むように制御を行っている。
【0060】
次いで、第1コントローラ10は、第2コントローラ20に対し、エンジン50の回転数をあらかじめ設定されている回転数以下に制御するための指令を送る(ステップS103)。第2コントローラ20は、上述したように、エンジンコントロールユニット(ECU)である。第2コントローラ20は、第1コントローラ10からの指令を受けてエンジン50の回転数等を制御するためのコントローラ100として機能している。
【0061】
次いで、第2コントローラ20は、エンジン50の回転数をあらかじめ設定された基準回転数よりも低くなるように制御する(ステップS104)。第2コントローラ20はエンジン回転数制御部21を備えており、このエンジン回転数制御部21がエンジン50の回転数を基準回転数よりも低いエンジン回転数となるように制御している。具体的に、エンジン回転数制御部21は、エンジン50に燃料を供給する燃料供給系統の動作を制御しており、エンジン50に供給される燃料を減少させることにより、エンジン回転数を低下させている。
【0062】
次いで、回転数検出センサー55が検出したエンジン50の回転数に関する信号を第1コントローラ10に送る(ステップS105)。ただし、回転検出センサー55は、常にエンジン50の回転数を検出しており、おり、
図4にステップS104を設けたのは、説明の便宜上のためである。回転数検出センサー55としては、例えば、ポテンショメータやロータリエンコーダが用いられる。とりわけ、ロータリエンコーダが多くの場合に用いられる。回転検出センサー55としてロータリエンコーダを用いた場合、ロータリエンコーダは、回転軸の回転に伴って電圧が発生した状態(ON状態)と電圧が発生しない状態(OFF状態)とが繰り返される。第1コントローラ10は、ON状態とOFF状態とが繰り返される回数をカウントすることによりエンジン回転数を算出する。一方、回転検出センサー55としてポテンショメータを用いた場合、ポテンショメータは、可変抵抗器であり回転軸の位置で抵抗値が定まる。第1コントローラ10は、ポテンショメータにより測定された抵抗値を検出し、回転角度と抵抗値の関係に基づいて回転数を算出している。
【0063】
次いで、第1コントローラ10が備える第1判定部11は油圧ロック機構30がロック状態にあることを判定すると共に第2判定部12が、回転数検出センサー55からの信号に基づいて、そのときのエンジン50回転数があらかじめ設定された基準回転数以下であるか否かを判定する(ステップS106)。回転数検出センサー55が、例えば、ポテンショメータやロータリエンコーダ等である場合、第2判定部12は、単位時間あたりの抵抗値の変化やON状態とOFF状態の回数に基づいて、エンジン回転数を算出する。そして、第2判定手段は、算出されたエンジン回転数と基準回転数とを比較し、算出された回転数の値が基準回転数の値よりも小さい場合に、エンジン50は、第2コントローラ20からの指令に基づいて正常にエンジン回転数が下げられていると判定する。
次いで、第1コントローラ10は、第2コントローラ20に対し、エンジン50を停止する制御を実行するための指令を送る(ステップS107)。
【0064】
次いで、第2コントローラ20は、エンジン50を停止させる制御を実行する(ステップS108)。具体的に、第2コントローラ20は、エンジン50の燃料供給系統を構成している燃料噴射ポンプの作動を停止させることにより、エンジン50に燃料が供給されなくなりエンジン50を停止させる。
【0065】
以上のように、本実施形態の制御システムでは、コントローラ100が、(1)ロック状態検出センサー40がロック状態であること、(2)エンジン回転数が基準回転数よりも低いこと、の双方を検出した場合に、エンジン50を停止させている。そのため、本実施形態の制御システムでは、高い信頼性のもとにエンジン50を停止させることができる。