(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一体的に作動流体流路(37)を規定するタービン(12)に結合された燃焼器(13)であって、前記作動流体流路(37)が、前記燃焼器(13)の前方噴射器(21)により規定された前端から、前記燃焼器(13)が前記タービン(12)に遷移する接合部分を通った後、前記タービン(12)を通って、内部に規定された後端まで、長手軸に沿って後方に延び、前記燃焼器(13)が、前記作動流体流路(37)を規定する内側半径方向壁(24)および流れ環(26)が間に形成されるように前記内側半径方向壁(24)の周りに形成された外側半径方向壁(25)を具備した、燃焼器(13)と、
前記燃焼器(13)の周りに形成され、圧縮器(11)により供給された燃焼器給気を受容する圧縮器排出空洞(44)と、
前記前方噴射器(21)および軸方向後方に離隔した段階的噴射器(51)を具備する段階的噴射システム(50)であって、前記段階的噴射器(51)が、前記流れ環(26)と交差することによって、前記作動流体流路(37)内に噴射点を確保し、前記噴射点の軸方向位置に対して、前記噴射点の後方側に後方環部が規定されるとともに、前記噴射点の前方側に前方環部が規定された、段階的噴射システム(50)と、
前記前方噴射器(21)と前記段階的噴射器(51)との間で燃焼器燃料供給を分配する燃料配向構造と、
前記前方噴射器(21)と前記段階的噴射器(51)との間で前記燃焼器給気を分配する空気配向構造と、
を備え、
前記空気配向構造が、前記外側半径方向壁(25)を通して形成され、前記圧縮器排出空洞(44)を前記流れ環(26)の対応する軸方向規定部に流体接続する軸方向に規定の吸気部(103)を備え、前記吸気部(103)が、前記後方環部に対応する後方吸気部および前記前方環部に対応する前方吸気部を具備し、
前記空気配向構造が、
前記後方環部を通して前方に、前記後方吸気部を通って流れ込んだ空気を前記段階的噴射器(51)に配向し、
前記前方環部を通して後方に、前記前方吸気部を通って流れ込んだ空気を前記段階的噴射器(51)に配向する、
ように構成された、ガスタービン(10)。
一体的に作動流体流路(37)を規定するタービン(12)に結合された燃焼器(13)であって、前記作動流体流路(37)が、前記燃焼器(13)の前方噴射器(21)により規定された前端から、前記燃焼器(13)が前記タービン(12)に遷移する接合部分を通った後、前記タービン(12)を通って、内部に規定された後端まで、長手軸に沿って後方に延び、前記燃焼器(13)が、前記作動流体流路(37)を規定する内側半径方向壁(24)および流れ環(26)が間に形成されるように前記内側半径方向壁(24)の周りに形成された外側半径方向壁(25)を具備した、燃焼器(13)と、
前記燃焼器(13)の周りに形成され、圧縮器(11)により供給された燃焼器給気を受容する圧縮器排出空洞(44)と、
前記前方噴射器(21)および軸方向後方に離隔した段階的噴射器(51)を具備する段階的噴射システム(50)であって、前記段階的噴射器(51)が、前記流れ環(26)と交差することによって、前記作動流体流路(37)内に噴射点を確保し、前記噴射点の軸方向位置に対して、前記噴射点の後方側に後方環部が規定されるとともに、前記噴射点の前方側に前方環部が規定された、段階的噴射システム(50)と、
前記前方噴射器(21)と前記段階的噴射器(51)との間で燃焼器燃料供給を分配する燃料配向構造と、
前記前方噴射器(21)と前記段階的噴射器(51)との間で前記燃焼器給気を分配する空気配向構造と、
を備え、
前記空気配向構造が、前記外側半径方向壁(25)を通して形成され、前記圧縮器排出空洞(44)を前記流れ環(26)の対応する軸方向規定部に流体接続する軸方向に規定の吸気部(103)を備え、前記吸気部(103)が、前記後方環部に対応する後方吸気部および前記前方環部に対応する前方吸気部を具備し、
前記空気配向構造が、
前記後方環部を通して前方に、前記後方吸気部を通って流れ込んだ空気を前記段階的噴射器(51)に配向し、
前記前方環部を通して後方に、前記前方吸気部を通って流れ込んだ空気を前記段階的噴射器(51)に配向する、
ように構成され、
前記流れ環(26)が、前記前方環部を前記前方環部の軸方向前方のヘッドエンド環部に対して流体封止する軸方向隔壁(85)を具備し、
前記軸方向隔壁(85)が、前記外側半径方向壁(25)と前記内側半径方向壁(24)との間で前記流れ環(26)の周囲に延びた壁を備えることにより、前記ヘッドエンド環部と前記前方環部との間の流体連通に対して前記流れ環(26)を封止する、ガスタービン(10)。
前記燃焼器(13)が、前方基準面(67)、中間基準面(68)、後方基準面(69)、および噴射基準面(58)を含む基準面を備え、それぞれが、前記作動流体流路(37)の長手軸と実質的に垂直に位置合わせされた基準面を備え、
前記前方基準面(67)が、前記作動流体流路(37)の前端と一致し、
前記後方基準面(69)が、前記燃焼器(13)が前記タービン(12)に遷移する前記接合部分と一致し、
前記中間基準面(68)が、前記前方基準面(67)と前記後方基準面(69)との間の前記作動流体流路(37)の軸方向中間点と一致し、
前記噴射基準面(58)が、前記段階的噴射器(51)の前記噴射点と一致し、
前記後方吸気部が、前記噴射基準面(58)と前記後方基準面(69)との間に略規定された軸方向範囲を含み、
前記前方吸気部が、前記噴射基準面(58)と前記前方基準面(67)との間に略規定された軸方向範囲を含む、請求項1または2に記載のガスタービン(10)。
前記後方吸気部が、離隔した複数のインピンジメントポート(41)を備え、それぞれが、前記内側半径方向壁(24)の外面に対して制限された空気ジェットを適合させるため、前記外側半径方向壁(25)を通して形成され、
前記前方吸気部が、離隔した複数のインピンジメントポート(41)を備え、それぞれ
が、前記内側半径方向壁(24)の外面に対して制限された空気ジェットを適合させるため、前記外側半径方向壁(25)を通して形成された、請求項3に記載のガスタービン(10)。
前記後方吸気部の前記複数のインピンジメントポート(41)が、前記後方基準面(69)のすぐ前方に位置決めされた最後方インピンジメントポートと前記噴射基準面(58)のすぐ後方に位置決めされた最前方インピンジメントポートとの間で軸方向に離隔し、
前記前方吸気部の前記複数のインピンジメントポート(41)が、前記噴射基準面(58)のすぐ前方に位置決めされた最後方インピンジメントポートと前記前方基準面(67)のすぐ後方に位置決めされた最前方インピンジメントポートとの間で軸方向に離隔し、
前記後方吸気部および前記前方吸気部それぞれの前記複数のインピンジメントポート(41)が、前記外側半径方向壁(25)の実質的に全周で円周方向に離隔した、請求項4に記載のガスタービン(10)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の態様および利点については、以下の説明に示す。または、当該説明から明らかになり得るか、もしくは本発明の実施によって習得され得る。以下、本発明の実施形態を詳しく参照するが、そのうちの1つまたは複数の例を添付の図面に示す。詳細な説明においては、数字記号を用いて、図面中の特徴を表す。図面および説明においては、本発明の実施形態の同様または類似の部品を表すため、同様または類似の記号を使用している場合がある。当然のことながら、各例は、本発明の説明のために与えており、本発明を制限するものではない。実際、当業者には、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、改良および変形が可能であることが明らかであろう。たとえば、一実施形態の一部として図示または記載の特徴は、別の実施形態にも使用して、さらに別の実施形態を生成するようにしてもよい。したがって、本発明は、このような改良および変形が添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内となるように網羅するものである。本明細書に記載の範囲および境界には、別段の定めのない限り、所定境界内のすべての部分的範囲およびそれぞれの境界自体を含むことが了解されるものとする。また、本発明ならびにその構成要素のサブシステムおよび部品の説明のため、特定の用語を選択している。これらの用語は、可能な限り、当技術分野に共通の専門用語に基づいて選定している。さらに、当然のことながら、このような用語は、異なる解釈を受けることが多い。たとえば、本明細書で単一の構成要素として言及するものが、他所では、複数の構成要素から成るものとして言及される場合がある。あるいは、本明細書で複数の構成要素を具備するものとして言及するものが、他所では、単一の構成要素として言及される場合がある。このため、本発明の範囲を理解するに当たっては、使用する特定の専門用語のみならず、付随する説明および文脈のほか、複数の図面に対する用語の関連性を含めて、言及および説明している構成要素の構成、機能、および/もしくは使用、ならびに当然のことながら、添付の特許請求の範囲における専門用語の厳密な使用についても注意を払うものとする。さらに、以下の例は、特定種類のガスタービンまたはタービンエンジンに関して提示しているが、本発明の技術は、関連技術の当業者であれば理解し得る他の種類のタービンエンジンにも適用可能であってもよい。
【0011】
本願の全体を通しては、複数の記述用語を用いることによって、タービンエンジンならびに/またはそれが具備する複数のサブシステムもしくは構成要素の機能を説明している場合があり、これらの用語を本項の始めに定義するのが有益と考えられる。したがって、これらの用語およびそれぞれの定義は、別段の定めのない限り、以下の通りである。用語「前方」および「後方(aftまたはaftward)」は、別途指定のない場合、ガスタービンの配向に対する方向へと向かう方向を表す。したがって、「前方」がエンジンの圧縮器端を表す一方、「後方」がエンジンのタービン端へと向かう方向を表す。このため、これらの用語はそれぞれ、機械または内部の構成要素の長手方向中心軸に沿った移動または相対位置を示すのに利用可能である。用語「下流」および「上流」は、特定の導管において、内部を移動する流れの一般的方向に対する位置を示すのに用いられる。当然のことながら、これらの用語は、通常動作時に特定の導管を通ることが予想される流れの方向に対する方向を表しており、当業者には一目瞭然であるものとする。このため、用語「下流」は、流体が特定の導管を流れる方向を表す。一方、「上流」は、その反対を表す。このため、たとえば、ガスタービンを通る作動流体の主流は、圧縮器を通って移動する空気として始まり、燃焼器以降に燃焼ガスとなるが、圧縮器の上流または前端に向かう上流位置で始まり、タービンの下流または後端に向かう下流位置で終了となるものとして記載する場合がある。
【0012】
一般的な種類の燃焼器における流れの方向の記述に関しては、以下により詳しく論じる通り、当然のことながら、(燃焼器の長手方向中心軸および前後区別を規定する上述の圧縮器/タービン位置決めに対して)燃焼器の後端に向かって集中したインピンジメントポートを通って、圧縮器排出空気が通常は燃焼器に流れ込む。燃焼器においては、内部チャンバの周りに形成された流れ環により燃焼器の前端に向かって圧縮空気が案内されると、空気流が内部チャンバに流れ込み、その流れ方向の反対に、燃焼器の後端に向かって移動する。さらに別の背景においては、冷却チャネルまたは通路を通る冷媒の流れについても同様に取り扱われるようになっていてもよい。
【0013】
また、本明細書においては、共通中心軸周りの圧縮器およびタービンの構成のほか、多くの燃焼器型に典型的な中心軸周りの円筒状構成を前提として、このような軸に対する位置を記述する用語を本明細書において使用する場合がある。この点に関しては、当然のことながら、用語「半径方向」が軸に垂直な移動または位置を表す。これに関連して、中心軸からの相対距離を記述することが必要となる可能性がある。この場合、たとえば、第1の構成要素が第2の構成要素よりも中心軸の近くに存在する場合、第1の構成要素は、第2の構成要素の「半径方向内方」または「内部」であるものとして記述する。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも中心軸から遠くに存在する場合、本明細書において、第1の構成要素は、第2の構成要素の「半径方向外方」または「外部」であるものとして記述する。また、当然のことながら、用語「軸方向」は、軸に平行な移動または位置を表し、用語「円周方向」は、軸周りの移動または位置を表す。上述の通り、これらの用語は、エンジンの圧縮器およびタービン部を通って延びた共通中心軸に関して適用可能であるが、必要に応じて、エンジンの他の構成要素またはサブシステムに関しても使用可能である。最後に、用語「動翼」は、別途指定のない場合、圧縮器またはタービンの回転翼を表しており、圧縮器動翼およびタービン動翼の両方を含む。用語「静翼」は、別途指定のない場合、圧縮器またはタービンの固定翼を表しており、圧縮器静翼およびタービン静翼の両方を含む。本明細書において、用語「翼」は、いずれかの翼型を表すのに使用する。したがって、別途指定のない場合、用語「翼」は、圧縮器動翼、圧縮器静翼、タービン動翼、およびタービン静翼等、すべての種類のタービンエンジン翼を含む。
【0014】
以下、背景として図面を参照するに、
図1は、本願の実施形態を利用できる例示的なガスタービン10を示している。当業者には、この特定種類のタービンエンジンでの使用に本発明が限定され得ず、別段の定めのない限り、提供する例がこのような限定を意図したものではないことが了解される。一般的に、ガスタービンは、圧縮空気流中の燃料の燃焼により生成された高温ガスの加圧流からエネルギーを取り出すことによって動作する。図示のように、ガスタービン10は、燃焼器13が間に位置決めされた状態で、共通シャフトまたはロータを介して下流のタービン部またはタービン12に対して機械的に結合された軸方向圧縮器11を具備していてもよい。図示のように、ガスタービン10の共通シャフトは、圧縮器11およびタービン12を通って延びた中心軸18を構成している。
【0015】
圧縮器11は、複数の段階を含んでいてもよく、それぞれが、圧縮器動翼列14と、それに続く圧縮器静翼列15とを具備していてもよい。このように、第1の段階が、中心軸18周りに回転する圧縮器動翼列14と、それに続いて、動作時に静止したままの圧縮器静翼列15とを具備していてもよい。また、タービン12は、複数の段階を含んでいてもよい。図示の例示的なタービン12の場合は、第1の段階が、動作時に静止したままのノズルまたはタービン静
翼17と、それに続いて、動作時に中心軸18周りに回転するタービンバケットまたはタービン動翼16とを具備していてもよい。当然のことながら、ある
タービン静翼列内のタービン静翼17は一般的に、円周方向に互いに離隔して、回転軸周りに固定されている。タービン動翼16は、中心軸18周りに回転するように、ロータホイールまたはディスクに搭載されていてもよい。当然のことながら、タービン静翼17およびタービン動翼16は、タービン12の高温ガス経路中に存在しており、内部を移動する高温ガスと相互作用する。
【0016】
動作の一例においては、軸方向圧縮器11内の動翼14の回転によって、空気流が圧縮される。燃焼器13においては、圧縮空気流の燃料との混合および点火に際して、エネルギーが解放される。その後、燃焼器13からの結果としての高温燃焼ガス流(作動流体と称する場合がある)は、タービン動翼16上に配向されるが、その流れによって、動翼16をシャフト周りに回転させる。このように、作動流体の流れのエネルギーは、回転翼の機械的エネルギーに変換され、ロータディスクを介した動翼とシャフトとの間の接続を前提として、回転シャフトの機械的エネルギーに変換される。その後、シャフトの機械的エネルギーの使用によって、圧縮空気が必要なだけ生じるように圧縮器動翼の回転を駆動し、また、たとえば発電用途の場合のように、電気を発生する発電機の回転を駆動するようにしてもよい。
【0017】
図2は、従来の燃焼器13および周りの構造の簡易断面図を与える。一方、
図3は、燃焼器13の前部のより詳細な断面図である。当然のことながら、燃焼器13は、当該燃焼器13の前端に位置決めされたヘッドエンド19と当該燃焼器13の後端に位置決めされ、当該燃焼器13をタービン12に接続するように機能する後方フレーム20との間において軸方向に規定されていてもよい。燃焼器13の前端に向かっては、前方噴射器21が位置決めされていてもよい。本明細書において、前方噴射器21は、燃焼器13の最前方の燃料および空気噴射器を表し、通常、燃料および空気を混合して燃焼器13の燃焼帯内で燃焼させる主構成要素として機能する。前方噴射器21は、燃料経路22に連なり、ノズル23を具備していてもよい。前方噴射器21のノズル23としては、たとえばマイクロミキサーノズル、スワールもしくはスウォズル構成のノズル、または本明細書に記載の機能を満足する他の種類のノズル等、任意の種類の従来のノズルが挙げられる。より具体的に、以下により詳しく論じる通り、ノズル23は、米国特許第8,019,523号に記載されているような段階的噴射システムに適合するように構成されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。図示のように、ヘッドエンド19は、燃料を前方噴射器21に供給可能な種々マニホールド、装置、および/または燃料経路22を提供していてもよい。また、図示のように、ヘッドエンド19は、当然のことながら、燃焼器13内に規定された大きな内部空洞の軸方向前方境界を形成するエンドカバー27を具備していてもよい。
【0018】
図示のように、燃焼器13内に規定された内部空洞は、複数の小さな空間またはチャンバに細分化されていてもよい。これらのチャンバは、圧縮空気流および燃料/空気混合物を所望の流路に沿って配向するように構成された空気流または空気配向構造(壁、ポート等)を具備していてもよい。以下により詳しく論じる通り、燃焼器13の内部空洞は、内側半径方向壁24と、内側半径方向壁24の周りに形成された外側半径方向壁25とを具備していてもよい。図示のように、内側半径方向壁24および外側半径方向壁25は、両方の間に流れ環26が規定されるように構成されていてもよい。さらに、図示のように、内側半径方向壁24内に規定された領域の前端には、前方チャンバ28が規定されていてもよく、前方チャンバ28の後方には、後方チャンバ29が規定されていてもよい。当然のことながら、前方チャンバ28は、キャップアセンブリ30と称する構成要素の一部である内側半径方向壁24の部分によって規定されている。当然のことながら、後方チャンバ29は、前方噴射器21内に一体的に導入された燃料および空気混合物の点火および燃焼が行われる領域を規定していてもよく、このため、燃焼帯29と称する場合がある。当然のことながら、この構成を前提として、前方および後方チャンバ28、29は、それぞれの構成において軸方向に積み重なったものとして記載する場合がある。当然のことながら、別段の具体的な制限のない限り、本発明の燃焼器13は、環状燃焼器または管状燃焼器として構成されていてもよい。
【0019】
図示のように、キャップアセンブリ30は、エンドカバー27との接続部から後方に延び、外側半径方向壁25(本明細書においては、燃焼器ケーシング31と称する場合がある)の軸方向部により大略囲まれていてもよい。当然のことながら、燃焼器ケーシング31は、キャップアセンブリ30の外面の外部に離隔して形成されていてもよい。このように、キャップアセンブリ30および燃焼器ケーシング31は、両方の間に流れ環26の軸方向部を形成していてもよい。後述の通り、流れ環26のこの部分は、キャップアセンブリ部と称する場合がある。当然のことながら、キャップアセンブリ30は、前方噴射器21のノズル23をさらに収容して構造的に支持していてもよく、これは、キャップアセンブリ30の後端またはその近傍に位置決めされていてもよい。この構成を前提として、キャップアセンブリ30は、軸方向に積み重なった2つのより小さな領域に分割され、その第1の領域が、
図3に矢印で示すように、流れ環26からの圧縮空気流を受け入れるように構成された前方領域であるものとして記載する場合がある。キャップアセンブリ30の第2の領域は、ノズル23が規定された後方領域である。
【0020】
前方噴射器21のすぐ下流に生じる後方チャンバまたは燃焼帯29は、内側半径方向壁24(燃焼器の種類に応じて、ライナ32と称する場合がある)の軸方向部によって円周方向に規定されていてもよい。後方チャンバ29は、ライナ32から内側半径方向壁24の下流部(遷移要素34と称する場合がある)を通って後方に延びていてもよい。当然のことながら、この内側半径方向壁24の軸方向部は、燃焼器13のタービン12との接続部に向かって、高温燃焼ガス流を配向する。他の構成も可能ではあるが、遷移要素34において、後方チャンバ29(すなわち、燃焼帯29)の断面領域は、ライナ32の一般的な円形から遷移要素34出口のより環状の形状へと滑らかに遷移するように構成されていてもよく、これは、高温ガス流をタービン翼上に望ましく配向するのに必要である。当然のことながら、ライナ32および遷移要素34は、機械的連結等の何らかの従来の方法により接合された別個形成の構成要素として構成されていてもよい。ただし、他の設計によれば、ライナ32および遷移要素34は、一体的な構成要素またはユニボディとして形成されていてもよい。したがって、別段の定めのない限り、内側半径方向壁24に言及する場合は、いずれかの選択肢を包含することが了解されるものとする。
【0021】
上述の通り、外側半径方向壁25が内側半径方向壁24を囲むことによって、両方の間に流れ環26が形成されていてもよい。例示的な構成によれば、内側半径方向壁24のライナ32部の周りには、ライナスリーブ33と称し得る外側半径方向壁25の部分が位置決めされている。他の構成も可能ではあるが、ライナ32およびライナスリーブ33は、円筒形状で、同心円状に配置されていてもよい。図示のように、キャップアセンブリ30と燃焼器ケーシング31との間に形成された流れ環26の部分は、ライナ32とライナスリーブ33との間に規定された流れ環26の部分に連なっていてもよく、このようにして、流れ環26が後方(すなわち、タービン12との接続部に向かって)に延びている。同じく図示のように、内側半径方向壁24の遷移要素34部の周りには、遷移スリーブ35と称し得る外側半径方向壁25の部分が位置決めされている。図示のように、遷移スリーブ35は、流れ環26がさらに後方に延びるように、遷移要素34を囲むように構成されている。当然のことながら、ライナ32/ライナスリーブ33および遷移要素34/遷移スリーブ35アセンブリにより規定された流れ環26の部分は、燃焼帯29を囲んでいる。このため、流れ環のこれらの部分は、燃焼帯部と総称する場合がある。
【0022】
提供する例によれば、当然のことながら、流れ環26は、ヘッドエンド19のエンドカバー27に規定された前端から後方フレーム20近くの後端まで軸方向に延びている。より具体的に、当然のことながら、内側半径方向壁24および外側半径方向壁25(キャップアセンブリ30/燃焼器ケーシング31、ライナ32/ライナスリーブ33、および遷移要素34/遷移スリーブ35対それぞれによって規定可能)は、流れ環26が燃焼器13の軸方向長さの大半にわたって延びるように構成されていてもよい。当然のことながら、ライナ32および遷移要素34と同様に、ライナスリーブ33および遷移スリーブ35は、機械的連結等の何らかの従来の方法により接続された別個形成の構成要素を具備していてもよい。ただし、他の設計によれば、ライナスリーブ33および遷移スリーブ35は、一体的な構成要素またはユニボディとして形成されていてもよい。したがって、別段の定めのない限り、外側半径方向壁25に言及する場合は、いずれかの選択肢を包含することが了解されるものとする。
【0023】
ライナスリーブ33および/または遷移スリーブ35は、燃焼器13外部の圧縮空気の流れ環26への進入を可能とする複数のインピンジメントポート41を具備していてもよい。当然のことながら、
図2に示すように、圧縮器排出ケーシング43は、燃焼器13の周りに圧縮器排出空洞44を規定していてもよい。従来の設計によれば、圧縮器排出空洞44は、圧縮器11からの圧縮空気の供給を受容することにより、圧縮空気がインピンジメントポート41を通って流れ環26に流れ込むように構成されていてもよい。当然のことながら、インピンジメントポート41は、高速移動する空気ジェットが生成されるように、燃焼器13に流れ込む空気流と衝突するように構成されていてもよい。これらの空気ジェットは、上述のようにライナ32および遷移要素34または一体的なユニボディを具備し得る内側半径方向壁24の外面に対する適合によって、動作時に内側半径方向壁24を対流冷却するようになっていてもよい。従来の設計によれば、流れ環26において、圧縮空気が通常、キャップアセンブリ30に形成された1つまたは複数のキャップ入口45を介して燃焼器13の前端に向かって配向されると、空気流は、キャップアセンブリ30の前方領域に流れ込む。その後、キャップアセンブリ30において、圧縮空気は、上述の通り前方噴射器21のノズル23に配向されると、燃料と混合されて、燃焼帯内で燃焼する。
【0024】
図4は、燃焼帯29に対する燃料および/または空気の後方または下流噴射を可能とする段階的噴射システム50を有する燃焼器13を示した図である。当然のことながら、このような燃料および空気噴射システムは一般的に、補助噴射システム、遅延希薄噴射システム、軸方向段階的噴射システム等と称する。本明細書において、これらの種類の燃料および空気噴射器、噴射システム、ならびに/または関連する構成要素の態様は一般的に、「段階的噴射システム」と称するが、(本明細書に規定する場合を除いて)これに限定されない。さらに、当然のことながら、
図4の段階的噴射システム50は、例示的な従来の設計と一致しており、上記目的で提供しているに過ぎない。
【0025】
当然のことながら、段階的噴射システムは、排出削減等のいくつかの理由から、ガスタービンの燃焼器用に開発されている。ガスタービンの排出レベルは多くの基準によって決まるが、重要なものとしては、燃焼帯内の反応物質の温度に関連しており、NOx等の特定の排出レベルにとりわけ影響することが分かっている。当然のことながら、燃焼帯における反応物質の温度は、燃焼器の出口温度と比例の関係にあるが、これは、このようなブレイトンサイクル型エンジンにおける高い圧力比および改善された効率レベルに対応している。NOxの排出レベルが反応物質の温度と強くて直接的な関係にあることが分かっているため、現代のガスタービンは、先進的な燃料ノズル設計および予混合等の技術の進歩だけで着火温度を高くしつつ、許容範囲のNOx排出レベルを維持可能である。このような進歩の後、下流または段階的噴射の採用によって、着火温度をさらに高くすることが可能となっているが、これは、燃焼帯におけるより高温での反応物質の滞在時間をより短くすることにより、NOxレベルが低下することが分かったためである。
【0026】
動作時、当然のことながら、上記のような段階的噴射システムは通常、燃焼器の前端における主噴射点の下流となる燃焼器の総給気および供給燃料の部分を導入する。当然のことながら、噴射器のこのような下流の位置決めによって、燃焼反応物質が燃焼器内で火炎帯の高温に留まる時間が短くなる。すなわち、火炎帯を出る前に反応物質が移動する距離が短くなると、反応物質が燃焼器内の最も高い温度に滞在する時間が短くなり、これによって、NOxの形成が抑えられるとともに、エンジンの全体的なNOx排出レベルが低下する。これにより、たとえば許容範囲のNOx排出レベルを維持しつつ、下流噴射の反応物質滞在時間の短縮に対して燃料/空気混合または予混合技術を合わせることにより、燃焼器の着火温度をさらに高くすることと、重要なこととして、より効率的なエンジンとを実現する先進的な燃焼器設計が可能となっている。当然のことながら、下流噴射が可能となる方法および範囲を制限する他の検討事項も存在する。たとえば、下流噴射によって、COおよびUHCの排出レベルが上昇する可能性がある。すなわち、燃焼帯のはるか下流位置で燃料が大量に噴射された場合には、燃料の不完全燃焼またはCOの不十分な燃焼が生じる可能性がある。したがって、遅延噴射の概念およびその使用によりいかに特定の排出に影響を及ぼし得るかに関する基本原理が一般的に公知である可能性はあるものの、この方法を採用してより効率的なエンジンをいかに最善となるように実現するかについては、設計の障害が残っている。ただし、これらの障害が克服され、燃料および空気の大部分を下流または軸方向に段階的噴射器に迂回させるより大きな機会が実現された場合には、質量流全体を燃焼器に配向するより効率的な方法によって、燃焼器全体の圧力低下の抑制および冷却空気の効率および使用の向上に関する性能上の優位性が得られる可能性がある。
【0027】
例示的な一構成において、
図4に示すように、段階的噴射システム50は、前方噴射器21のほか、1つまたは複数の段階的噴射器51を具備していてもよい。本明細書において、段階的噴射器51は、前方噴射器21から後方に向かって、軸方向に離隔した噴射器である。例示的な一構成によれば、段階的噴射器51はそれぞれ、ノズル53に連なる燃料通路52を具備していてもよい。ノズル53内では、燃料/空気混合物が生成され、燃焼帯の下流部に噴射される。図示のように、燃料通路52は、燃焼器13の外側半径方向壁25に含まれていてもよいが、他の燃料供給装置および方法も可能である。燃料通路52は、ヘッドエンド19の近くに生じる燃料源との接続部と段階的噴射器51のノズル53との接続部との間で大略後方に延びていてもよい。このようなシステム50の段階的噴射器51に関しては、他の構成も可能であるが、提供する例においては、段階的噴射器51のうちの複数が燃焼帯29の外縁周りに位置決めされていてもよい。図示のように、段階的噴射器51の軸方向の位置決めは、ライナ32/ライナスリーブ33アセンブリの略後端であってもよい。段階的噴射器51はそれぞれ、ノズル53を具備していてもよい。提供する例によれば、ノズル53は、流れ環26を横断または交差して延びたチューブとして構成されていてもよい。このチューブは、流れを内部へと配向して、燃焼帯29に噴射するように構成されていてもよい。より具体的に、ノズル53のチューブの外部端は、流れ環26と流体連通するように形成された圧縮器排出空洞および/またはポートに対して開かれていてもよいため、ノズル53のチューブが加圧空気流を受け入れるようにしてもよい。後述の通り、ノズル53は、チューブ構造の側面を通して形成され、内部を移動する加圧空気に燃料を噴射可能な燃料ポートをさらに具備していてもよい。このように、段階的噴射器51はそれぞれ、給気および供給燃料を一体的に導入して混合した後、得られた混合物を燃焼帯に噴射するように機能するようになっていてもよい。
【0028】
さらに、
図4の例に示すように、段階的噴射システム50は、燃焼器13の後方チャンバ29周りで円周方向に離隔した段階的噴射器51のうちの複数を具備していてもよい。これらの噴射器51は、ライナ32/ライナスリーブ33アセンブリ(または、より一般的に、内側半径方向壁24/外側半径方向壁25アセンブリ)に統合されていてもよい。段階的噴射器51は、燃焼帯周りの円周方向に離隔した複数の点で燃料/空気混合物が噴射されるように配列されていてもよい。図示のように、段階的噴射器51は、同一または共通の軸方向位置に位置決めされていてもよい。すなわち、燃焼器13の長手または中心軸57に沿って、複数の段階的噴射器51が略同じ軸方向位置周りに位置付けられていてもよい。この構成を有することにより、段階的噴射器51は、
図4に示すように、共通面または本明細書において称するところの噴射基準面58上に位置決めされるものとして記載する場合がある。当然のことながら、段階的噴射器51は、噴射基準面58が中心軸57と実質的に垂直となるように位置合わせされていてもよい。図示の例示的な構成において、噴射基準面58は、ライナ32/ライナスリーブ33アセンブリの後端に位置決めされている。
【0029】
本発明の別の態様によれば、以下により詳しく論じる通り、段階的噴射器51の特定の配置が提案される。一般的に、段階的噴射器51は、前方噴射器21に対して軸方向後方に離隔することにより、作動流体流路に沿って離散的な軸方向位置を有していてもよい。この段階的噴射器51の配置は、流路の中心軸57に沿った軸方向範囲内に規定されていてもよい。このような配置は、所望の性能特性に応じて選択されるようになっていてもよい。さらに、本明細書に示す通り、段階的噴射器51の軸方向の位置決めには、燃焼器13の後方チャンバ29に沿った位置のほか、タービン12の前方段階において規定された位置を含んでいてもよい。
【0030】
ここで、
図5には、燃焼器13およびタービン12の前方段階の断面図を示しており、図に描写した領域を参照して、この図は、段階的噴射器51および他の関連する構成要素を記述可能な位置決めの専門用語を定義するのに使用する。まず、燃焼器13における軸方向の位置決めを定義するため、当然のことながら、燃焼器13およびタービン12は、燃焼器13の前方噴射器21により規定された上流端からタービン12の下流端を通って長手方向中心軸57周りに延びた作動流体流路37を規定している。したがって、段階的噴射器51および他の構成要素の位置決めは、この作動流体流路37の中心軸57に沿った位置に関して規定されていてもよい。
【0031】
図示のように、
図5においては、作動流体流路37における軸方向の位置決めを明瞭化するため、特定の垂直基準面が規定されている。図示のように、これらのうちの第1の基準面は、燃焼器13のヘッドエンド19の近くに規定された前方基準面67である。具体的に、前方基準面は、燃焼帯29の前端すなわち内側
半径方向壁24内に規定された前方チャンバ28と後方チャンバ29との間の境界に配設されている。前方基準面67の位置決めを記述する別の方法として、当該面は、前方噴射器21のノズル23の下流端あるいは作動流体流路37の前端に略位置付けられている。第2の基準面は、中間基準面68である。中間基準面68は、燃焼器13の後方チャンバ29の軸方向の略中間点すなわち前方噴射器のノズル23と燃焼器13の下流端(後方フレーム20であってもよい)との間の概ね半分に位置決めされている。燃焼器13が上述のライナ32/遷移要素34アセンブリを具備する場合、当然のことながら、
中間基準面68は、これらのアセンブリが連なる位置の近くで生じるようになっていてもよい。これらの基準面のうちの最後の基準面は、図示のように燃焼器13の後端に規定可能な後方基準面69である。当然のことながら、後方基準面69は、燃焼器13のはるか下流端を示すため、提供する例のように、後方フレーム20にて規定されていてもよい。また、これらの基準面67、68、69に従って、燃焼器13およびタービン12の流路内に特定帯が指定されていてもよく、これらについても
図5に示す。したがって、図示のように、前方基準面67と中間基準面68との間には、上流燃焼帯70が生じていることが示されている。第2に、中間基準面68と後方基準面69との間には、下流燃焼帯71が生じている。最後に、タービン燃焼帯72が、後方基準面69からタービン12内の第1段階の翼16、17を通って生じる領域として指定されている。図から分かるように、これらの燃焼帯70、71、72はそれぞれ、固有のクロスハッチングパターンにより、
図5において別々に描写している。
【0032】
図5は、例示を目的として、上述の燃焼帯70、71、72それぞれにおけるある段階の段階的噴射器51の考え得る配置をさらに示している。当然のことながら、段階的噴射器51は、明瞭化のため、
図4に示す例示と比較して、簡素化して示している。これらの段階の段階的噴射器51はそれぞれ、単独での使用またはその他の段階の一方もしくは両方との併用が可能であることが了解されるものとする。図示のように、第1段階の段階的噴射器51は、上流燃焼帯70内に位置決めされた噴射基準面58の周りで円周方向に離隔している。第2段階の段階的噴射器51は、下流燃焼帯71内に位置付けられた第2の噴射基準面58の周りで円周方向に離隔して示されている。また、最後に、第3段階の段階的噴射器51は、タービン燃焼帯72内の第3の噴射基準面58の周りで円周方向に離隔して示されている。したがって、1つまたは複数の段階の段階的噴射器51が前方噴射器21の下流に設けられていてもよい。
【0033】
上記位置のいずれかにおける段階的噴射器51は従来、空気、燃料、または空気および燃料の両方の噴射用として設定されている可能性があり、噴射基準面58周りの噴射器のアレイが形成されるように、各軸方向位置に複数設けられている可能性がある。
図5においては簡素化して示しているが、本発明の段階的噴射器51は、別段の定めのない限り、関連技術の当業者であれば解釈し得る本明細書に記載の機能に適した任意の種類の従来の
噴射器を含むことが了解されるものとする。たとえば、後述する本発明の実施形態で利用可能な段階的噴射器51は、
図4に示す例示的な種類を含んでいてもよい。また、段階的噴射器は、米国特許第8,019,523号および第7,603,863号に記載または言及の任意の噴射器型であってもよく、両方のすべての内容を本明細書に援用する。本発明の段階的噴射器51としては、任意の従来手段および装置に係る、静翼列
のうちの1つに組み込み可能なものがさらに挙げられ、たとえば上掲の米国特許のほか、米国特許出願公開第2014/0260269号に記載のもの等があるが、これについても、そのすべての内容を本明細書に援用する。これらとしては、たとえば後方フレーム20に組み込まれるものとして米国特許出願公開第2014/0260269号に記載の燃料/空気噴射器が挙げられる。
【0034】
上流燃焼帯70または下流燃焼帯71内に位置決めされた段階的噴射器51の場合、それぞれは、内側半径方向壁24および/または外側半径方向壁25によって構造的に支持されていてもよく、場合によっては、燃焼帯70、71に突出していてもよいし、
図4の例のように、内側半径方向壁24に対して同一平面に端部が存在するノズル53を段階的噴射器51が具備していてもよい。当然のことながら、段階的噴射器51は、遷移帯を通る主流方向を大略横断する方向に空気および燃料を噴射するように構成されていてもよい。噴射基準面58の周りに位置付けられた段階的噴射器51は、複数であり、燃焼帯70、71の周りで等間隔に位置決めされることによって、噴射燃料/空気をより均一に分配するようにしてもよいが、他の構成も可能である。一例としては、段階的噴射器51のうちの3〜10個が噴射基準面58で採用されていてもよいが、これより多く、少なく使用されてもよい。上述の通り、段階的噴射システム50は、複数段階の段階的噴射器51すなわち軸方向に離隔した複数の噴射基準面58における複数の段階的噴射器51を具備していてもよい。このような場合、2つの分離した段階間の段階的噴射器51は、一列に配置されていてもよいし、互いにずらして配置されていてもよく、一方の配置が他方を補助するように構成されていてもよい。
【0035】
当然のことながら、本発明の特定の態様によれば、前方噴射器21および段階的噴射器51それぞれに燃料および空気が制御可能に供給されるようになっていてもよく、これは、上記援用の特許および特許出願に言及および記載の方法のほか、米国特許出願公開第2010/0170219号に記載の方法のいずれか等、任意の従来方法を介するが、そのすべての内容を本明細書に援用する。
燃焼帯70、71、72の各段階内の段階的噴射器51のうちの1つおよび前方噴射器21に関して
図5に模式的に示すように、段階的噴射システム50は、燃料および/または空気の各噴射器への供給を能動的または受動的に制御する制御装置および関連する構成要素を具備していてもよい。すなわち、本発明の態様には、段階的噴射器51および/または前方噴射器21の間で燃焼器13に供給される供給燃料および給気全体を分配または測定する制御装置、方法、システム、および構成を含んでいてもよい。前方噴射器21および段階的噴射システム50に含まれ得るさまざまな段階的噴射器51は、所望の動作ならびに好ましい空気および燃料分離が実現されるように、複数の方法で制御および構成されるようになっていてもよい。
図5に模式的に示すように、これには、制御可能なバルブ75を介して各噴射器に供給される給気および供給燃料の能動的な制御を含んでいてもよいが、関連する流れを測定するように機能する任意の機械的作動機器が用いられるようになっていてもよい。当然のことながら、能動制御は、制御装置が各バルブと電子的に連通することにより制御アルゴリズムに準じてバルブ設定を操作するコンピュータ化制御システムに制御可能なバルブ75を接続することによって実現されるようになっていてもよい。他の考え得る実施形態によれば、段階的噴射器51および前方噴射器21それぞれへの給気および供給燃料は、燃料および空気を各噴射器に供給する燃料および空気導管の相対的なオリフィスサイズ規定によって受動的に制御されるようになっていてもよい。
【0036】
段階的噴射システム50に関する制御法は、さまざまな段階的噴射器51間、さまざまな段階(存在する場合)の段階的噴射器51間、さまざまな段階的噴射器51と前方噴射器21との間、またはこれらのすべてにおける供給燃料および給気の測定を含んでいてもよい。このため、たとえば、
図5の例示的な構成および図示するさまざまな段階の段階的噴射器51を参照して、考え得る一構成によれば、第1の噴射基準面58周りに位置付けられた第1段階の段階的噴射器51は、第2の噴射基準面58周りに位置付けられた第2段階の噴射器より多くの燃料/空気を噴射するように構成されていてもよく、第2段階の噴射器は、第3の噴射基準面58周りに位置付けられた第3段階の噴射器より多くの燃料/空気を噴射するように構成されていてもよい。当然のことながら、これらの構成は、相対的割合を用いてより詳細に説明可能である。このため、たとえば、第1、第2、および第3段階の段階的噴射器51間の燃料の測定に関して考え得る別の構成によれば、制御構成は、第2段階の段階的噴射器51で噴射される燃料を第1段階の段階的噴射器51で噴射される燃料の50%未満に制限するとともに、第3段階の段階的噴射器51で噴射される燃料を第2段階の噴射器で噴射される燃料の50%未満に制限するようにしてもよい。より具体的に、たとえば別の例示的な構成によれば、第1、第2、および第3段階の段階的噴射器51は、第2段階の段階的噴射器51で噴射される燃料を第1段階の段階的噴射器51で噴射される燃料の10%〜50%に制限するとともに、第3段階の段階的噴射器51で噴射される燃料を第1段階の段階的噴射器51で噴射される燃料の10%〜50%に制限する制御構成を含んでいてもよい。また、このような制御法は、上述の通り、考え得るすべての噴射点間で供給燃料全体が測定されるように、前方噴射器21を含んでいてもよい。このような場合、たとえば、例示的な制御構成では、動作中に各噴射器に供給される燃焼器の総供給燃料の割合として、40%〜80%が前方噴射器21に供給され、20%〜40%が第1段階の段階的噴射器51に供給され、2%〜10%が第2段階の段階的噴射器51に供給され、2%〜10%が第3段階の段階的噴射器51に供給されるように、前方噴射器21ならびに段階的噴射システム50の第1、第2、および第3段階の段階的噴射器51が制御可能に構成されるように規定していてもよい。当然のことながら、給気についても同様に、各噴射器に対して操作されるようになっていてもよい。
【0037】
図6は、上記構成を所与として生じる典型的な空気流パターンを有する燃焼器13および段階的噴射システム50を簡易的に表している。明瞭化のため、段階的噴射システム50は、単一の段階的噴射器51を有するものとして示している。当然のことながら、燃焼帯の周囲には、このような他の段階的噴射器51が設けられていてもよい。たとえば、これら他の段階的噴射器51は、図示の段階的噴射器51を通して規定された噴射基準面58の周りに配置されていてもよい。図示のように、段階的噴射器51は、流れ環26を横切って延びたノズル53を具備していてもよい。ノズル53は、当然のことながら燃焼器の外側半径方向壁25を囲み得る圧縮器排出空洞44に対して当該ノズルを流体接続する外部ポート54を介して、空気流を受け入れるようにしてもよい。この代替(または、追加)として、段階的噴射器51のノズル53は、1つまたは複数の側方ポートまたは当該ノズルを流れ環26に流体接続するように構成されたポート55を介して、空気流を受け入れるようにしてもよい。ノズル53は、内部を移動する給気に対して、燃料通路52を介して供給された燃料を噴射する燃料ポート(
図11〜
図13に示す)をさらに具備していてもよい。
【0038】
例示的な一構成によれば、段階的噴射器51のノズル53は、流れ環26を横切ってノズル53内に一体的に導入された燃料/空気を搬送して燃焼帯29に噴射する円筒状のチューブを具備する。このように、ノズル53は、流れ環26を横切って燃料/空気混合物を配向する導管を提供しており、その後、この混合物は、内側半径方向壁24により規定された燃焼帯29を移動する高温ガス流に噴射されるようになっていてもよい。他の構成によれば、
図12に示すように、段階的噴射器51は、外部ポート54周りに位置決めされることにより、燃料および空気を一体的に導入して噴射前に適正に混合し得るより大きな囲繞量を提供しつつ、圧縮器排出空洞44からの空気の進入を制御または制限するカバーまたは空気シールドを具備していてもよい。当然のことながら、このような空気シールドは、段階的噴射器51をその周囲の圧縮器排出空洞44から実質的に隔離するように機能するものであってもよい。
【0039】
図6に含まれる流れの矢印で示すように、動作時は、外側半径方向壁25を通して形成されたインピンジメント
ポート41を介して、圧縮器排出空洞44からの空気が流れ環26に流れ込むようになっていてもよい。この制限された空気の流れは、内側半径方向壁24を冷却した後、燃焼器13のヘッドエンド19へと前方に配向され、この点で方向が反転して前方噴射器21の方へ導かれるようになっていてもよい。前方噴射器21の使用に関する特定の問題としては、流れ環26を通る空気流に対する悪影響がある。具体的に、前方噴射器21は通常、ノズル23等、必然的に流れ環26と交差する構造を含むため、内部の流れを妨害または部分的に遮断する。当然のことながら、この結果として圧力損失が起こり、遮断の下流に伴流が生じる。この伴流は、キャップアセンブリ30への空気流が不均一になるという有害な影響を及ぼす可能性があり、その結果として、前方噴射器21のノズル23内での空気/燃料混合が不十分となり、燃焼およびNOx排出に悪影響を及ぼす場合がある。また、段階的噴射器51により形成された伴流は、段階的噴射器51のすぐ下流での内側半径方向壁24の冷却に影響を及ぼす可能性がある。具体的に、この伴流は、伝熱係数に悪影響を及ぼす空気流の「デッドゾーン」または渦流を生じる可能性がある。また、流れ環26内の冷媒交差流は、ヘッドエンド19の近くに位置付けられたインピンジメントポート41を通って到着する未使用の冷媒の冷却効率に悪影響を及ぼす。具体的に、流れ環26で生じる使用済み冷媒(すなわち、内側半径方向壁24から吸熱済みの冷媒)の交差流は、流入する未使用の冷媒を暖めるように作用するため、その冷却の有効性が低下する。また、交差流は、流入する冷媒を偏向させるため、冷媒がより緩い角度で内側半径方向壁24に衝突して、その有効性がさらに低下する。2つの流れ(すなわち、使用済み冷媒の交差流およびこれと垂直に到着する未使用の冷媒の流れ)の混合は、空力的混合および運動量移行に伴う別のシステム損失を招来する。
【0040】
ここで、
図7〜
図10には、本発明の例示的な実施形態に係る、例示的な段階的噴射システム50を有する燃焼器13の模式断面図(
図6を参照して論じたものと類似)を示している。当然のことながら、これらの例は、本発明の態様に係る、燃焼器構成および当該構成に関する誘導空気流パターンを示している。提供する図面それぞれにおいては、明瞭化のため、段階的噴射器51を1つだけ示している。当然のことながら、燃焼帯29の周囲には、このような他の段階的噴射器51が設けられていてもよい。たとえば、これら他の段階的噴射器51は、各図示の段階的噴射器51を通して規定された噴射基準面58の周りに配置されていてもよい。当然のことながら、これら他の噴射器51が存在する場合は、流れ環26の対応する領域内に図示の同じ流れパターンをそれぞれが誘導するように、同様に構成されていてもよい。このように、各図に示す例示的な流れパターンは、流れ環26の全周に誘導される可能性がある。さらに、当然のことながら、段階的噴射器51は、それ自体が流れ環26の周囲に延びた環状の段階的噴射器として構成されていてもよい。これら選択肢のいずれかは、以下の
図11〜
図22の例示的な実施形態にも同様に適用可能であることが了解されるものとする。
【0041】
本明細書において、「空気流パターン」は、圧縮器排出空洞44に供給された給気が内部に配向されて循環する様態であることに留意するものとする。当然のことながら、例示的な空気流パターンは、1)前方噴射器21および段階的噴射器51の両方に空気を供給して、それぞれに供給されている供給燃料を望ましく燃焼させること、2)表面上もしくは表面中に十分な空気流を配向することによって、燃焼器構成要素、特に、燃焼帯に隣接する構成要素もしくは燃焼帯を規定する構成要素を冷却すること、ならびに/または3)燃焼器全体の圧力低下を最小限に抑えて、エンジン効率を高くすること等、特定の性能基準および目標を満足するものとして示している。当然のことながら、本明細書に示す空気流パターンは、チャネル、ポート、隔壁、壁、表面形体、流れ制御装置、バルブ、オリフィス、出口、および/または他の種類の流れ配向構造の構成のほか、このような形体および位置の相対的なサイズ規定等、公知のシステム、方法、および装置によりもたらされたものであってもよい。このような流れ配向構造は、本開示のすべての特徴のほか、関連技術の当業者であれば理解し得る他の従来型を含んでいてもよい。本明細書において、用語「隔壁」は、壁および封止構造の両方のほか、流体シールを網羅することを意図している。また、別段の定めのない限り、このような隔壁は、通路を完全または部分的に封止していてもよい。
【0042】
提供する図面に示すように、本発明に係る段階的噴射システム50は、前方噴射器21と、前方噴射器21から軸方向後方に離隔した段階的噴射器51とを具備していてもよい。
図6を参照して論じた通り、段階的噴射器51は、流れ環26と交差することによって、前方噴射器21の下流で内側半径方向壁24により規定された燃焼帯29内に噴射点を確保していてもよい。説明の目的上、段階的噴射器51の噴射点の軸方向位置に対して、噴射点の後方側には後方環部が規定され、噴射点の前方側には前方環部が規定されていてもよい。上述の通り、段階的噴射システム50は、燃料経路22、燃料通路52、および関連する構成要素等の燃料配向構造を含んでいてもよく、これらが一体となって、前方噴射器21と段階的噴射器51との間で燃焼器供給燃料を分配するように構成されていてもよい。本明細書において、燃焼器供給燃料は、動作時に燃焼器13に供給される総供給燃料として規定されていてもよい。段階的噴射システム50は、以下により詳しく論じる通り、本明細書にて説明済みの構造のいずれかのほか、その他任意の従来機器および構成要素を含み得る空気配向構造をさらに含んでいてもよい。空気配向構造は、前方噴射器21と段階的噴射システム50の段階的噴射器51との間で燃焼器給気を分配するように構成されていてもよい。本明細書において、燃焼器給気は、動作時に燃焼器13に供給される総給気として規定されていてもよい。
【0043】
空気配向構造は、外側半径方向壁25に沿い、これを通して形成された軸方向に規定の吸気部を具備していてもよい。図示のように、これらの吸気部は、外側半径方向壁25を通して形成された1つまたは複数のポートまたは開口を具備していてもよい。これらのポートおよび開口は、流れ環26の対応する部分に対して、周囲の圧縮器排出空洞44を流体接続していてもよい。当然のことながら、後方環部に対応する外側半径方向壁25を通して後方吸気部が規定されていてもよく、前方環部に対応する外側半径方向壁25を通して前方吸気部が規定されていてもよい。空気流の矢印で示すように、空気配向構造は、後方環部を通して前方に、後方吸気部を通って流れ込んだ空気を配向するように構成されていてもよい。このように、
図7〜
図10に示すように、段階的噴射器51の後方に位置決めされたポートを通って流れ環26に流れ込んだ空気は、前方に流れて、段階的噴射器51により取り込まれるようになっていてもよい。さらに図示するように、空気配向構造は、前方環部を通して後方に、前方吸気部を通って流れ込んだ空気を配向するように構成されていてもよい。このように、段階的噴射器51の前方に位置決めされたポートを通って流れ環26に流れ込んだ空気は、後方に流れて、段階的噴射器51により取り込まれるようになっていてもよい。
【0044】
図6に関して規定した通り、燃焼器13を通る作動流体流路37は、複数の基準面を具備していてもよい。これらには、前方基準面67、中間基準面68、および後方基準面69を含む。これらはそれぞれ、作動流体流路37と交差し、作動流体流路37の中心軸57と実質的に垂直に位置合わせされた平面を表す。前方基準面67は、燃焼帯29の前端と一致するように位置決めされていてもよい。中間基準面68は、燃焼帯29の軸方向中間点と一致するように位置決めされていてもよい。また、後方基準面69は、燃焼帯の後端と一致するように位置決めされていてもよい。さらに、噴射基準面58は、段階的噴射器51の位置で作動流体流路37と交差する面である。また、噴射基準面58は、作動流体流路37の中心軸57と実質的に垂直であるとともに、段階的噴射器51の噴射点と一致するように位置決めされていてもよい。噴射基準面58は、複数の段階的噴射器51がその上に位置決めされていてもよく、この場合は、共通の噴射基準面58となる。特定の好適な実施形態によれば、前方および後方吸気部は、基準面58、67、68、69に関して規定されていてもよい。
図7に示すように、例示的な実施形態によれば、後方吸気部は、噴射基準面58と後方基準面69との間に略規定された軸方向範囲を含んでいてもよい。一方、前方吸気部は、噴射基準面58と前方基準面67との間に略規定された軸方向範囲を含んでいてもよい。また、
図8〜
図10に示すように、他の構成も可能である。
【0045】
図7〜
図10に示すように、後方および前方吸気部はそれぞれ、離隔した複数のインピンジメントポート41を具備していてもよい。また、後方および前方吸気部は、特定の位置でより大量の空気を流れ環26に導入できるより大きなポートまたは開口42を具備していてもよい。インピンジメントポート41の場合、それぞれは、外側半径方向壁25を通して形成され、内側半径方向壁24の外面に対して、制限された空気ジェットを適合させるように構成されていてもよい。このように、段階的噴射器51に取り込まれる給気を介して、内側半径方向壁24の大きな部分が適切に冷却されるようになっていてもよい。特定の好適な実施形態によれば、たとえば後方吸気部の複数のインピンジメントポート41は、後方基準面69のすぐ前方に位置決めされた最後方インピンジメントポートと噴射基準面58のすぐ後方に位置決めされた最前方インピンジメントポートとの間で軸方向に離隔していてもよい。たとえば、前方吸気部の複数のインピンジメントポート41は、噴射基準面58のすぐ前方に位置決めされた最後方インピンジメントポートと前方基準面67のすぐ後方に位置決めされた最前方インピンジメントポートとの間で軸方向に離隔していてもよい。また、他の構成も可能である。また、後方および前方吸気部それぞれの複数のインピンジメントポート41は、100超等の多数であってもよい。これらのインピンジメントポート41は、円周方向および軸方向に離隔していてもよく、外側半径方向壁25の全周に延びていてもよい。また、図示のように、外側半径方向壁25を通して、より大きなポートまたは開口42が規定されていてもよい。これらを使用することにより、特定の位置でより大量の空気流を流れ環26に導入可能であってもよい。このような場合、当然のことながら、これらのより大きな流れは、段階的噴射器51から相当な距離で流れ環26に導入されるとともに、大きな流れは段階的噴射器51まで移動して最終的に取り込まれる際に、内側半径方向壁24の外面を対流冷却可能となっていてもよい。また、インピンジメントポート41およびより大きな開口42の両方を含む実施形態も可能である。
【0046】
本発明のこのような段階的噴射システム50の場合、段階的噴射器51は、外側半径方向壁25/内側半径方向壁24アセンブリの長さに沿ったさまざまな軸方向位置に配設されていてもよい。すなわち、前方噴射器21に対する段階的噴射器51の後方の間隔は、変化するものであってもよい。広範囲に捉えると、段階的噴射器51は、前方基準面67と後方基準面69との間の任意の位置に位置決めされていてもよい。
図7および
図8の例等の好適な実施形態によれば、段階的噴射器51は、前方基準面67と後方基準面69との間の中間基準面68にまたはその近傍に、すなわち略中間に位置決めされていてもよい。
図7、
図8、および
図9に示すように、他の好適な実施形態によれば、段階的噴射器51は、前方基準面67と中間基準面68との間に位置決めされていてもよい。これら特定の実施形態の変形によれば、段階的噴射器51は、前方基準面67または中間基準面68のより近くに位置決めされていてもよい。
図9に示すように、これら特定の構成のうちの1つによれば、段階的噴射器51は、前方基準面67のすぐ後方に位置決めされている。これらの構成のうちの別のものによれば、段階的噴射器51は、前方基準面67と中間基準面68との間の略中間に位置決めされていてもよい。また、
図10に示すように、段階的噴射器51は、中間基準面68と後方基準面69との間に位置決めされていてもよい。また、この位置決めには、段階的噴射器51が中間基準面68により近い例および後方基準面69にまたはそのより近くにある他の例等の変形例を含んでいてもよい。
図10の特定の実施形態によれば、段階的噴射器51は、中間基準面68と後方基準面69との間の略中間に位置決めされていてもよい。
【0047】
当然のことながら、位置決めに関わらず、吸気部から段階的噴射器51に向かう空気流の相対方向は、
図7〜
図10の各例において一貫している。また、これらの実施形態それぞれに関して、段階的噴射システム50は、このような複数の段階的噴射器51を具備していてもよい。このような場合は、上記説明の通り、噴射基準面58がそれぞれに共通となるように、段階的噴射器51が円周方向に離隔していてもよい。したがって、これら付加的な段階的噴射器51はそれぞれ、それに対応する後方および前方吸気部からの流れを受け入れるようにしてもよい。また、段階的噴射器51は、環状の噴射器として構成されていてもよい。
【0048】
さらに、
図7〜
図10それぞれに示すように、燃焼器13の空気配向構造は、前方噴射器21に対応するヘッドエンド吸気部を含むものとして、より具体的に記載する場合がある。図示のように、ヘッドエンド吸気部は、前方吸気部の前方に位置決めされていてもよい。このような場合、ヘッドエンド吸気部は、外側半径方向壁25を通して形成されたより大きなポートまたは開口42のうちの1つを具備していてもよく、これは、圧縮器排出空洞44からの適切な吸気によって、前方噴射器21に給気可能なように構成されていてもよい。図示のように、この空気は、流れ環26に流れ込んだ後、前方噴射器21に向かって前方に配向されるようになっていてもよい。すなわち、ヘッドエンド吸気部は、内部を通って流れ込む空気を前方噴射器21に配向して、同じく供給された燃料とともに燃焼させるように構成されていてもよい。
【0049】
説明を目的として、上述の通り、内側半径方向壁24は、軸方向に積み重なったチャンバを具備しており、前方チャンバ28が前方噴射器21を収容し、後方チャンバ29が燃焼帯を規定するものとして記載する場合がある。さらに、段階的噴射器51は、外側半径方向壁25と内側半径方向壁24との間に延びて、流れ環26の一部を遮断する構造を含んでいてもよい。具体的に、この構造は、たとえば管状のノズル53であってもよいが、流れ環26の円周方向に規定された部位を遮断するものとされ得る。本発明の実施形態によれば、ノズル53は、流れ環26と流体連通したポート55を具備していてもよい。これらのポート55は、たとえばノズル53のチューブを通って側方に形成されていてもよく、流れ環26を通って段階的噴射器51に配向された空気流を受け入れるように構成されていてもよい。
図7および
図10の実施形態に関しては、第1のポート55がノズル53の後面に配設され、後方環部を介して段階的噴射器まで流れる空気を受容するように構成されていてもよい。また、第2のポート55がノズル53の前面に配設され、前方環部を介して段階的噴射器まで流れる空気を受容するように構成されていてもよい。また、上述するとともに
図11〜
図13に示す通り、燃料配向構造は、ノズル53内に形成された1つまたは複数の燃料ポート56を具備していてもよい。燃料ポート56は、内側半径方向壁24の外部に形成された燃料通路52に連なっていてもよい。好適な実施形態によれば、燃料ポート56は、ノズル53の外部端と内部端との間で横方向に位置決めされていてもよい。燃料配向構造は、
図11〜
図13に示すように、外側半径方向壁25の内部を通って軸方向に燃料通路52が延びた実施形態をさらに含んでいてもよい。
【0050】
説明を目的として、上述の通り、流れ環26は、キャップアセンブリ部および燃焼帯部を含むものとして記載する場合がある。具体的に、流れ環26のキャップアセンブリ部は、内側半径方向壁24の前方チャンバ28(すなわち、キャップアセンブリ)周りに生じる軸方向部を含む。一方、流れ環26の燃焼帯部は、内側半径方向壁24の後方チャンバ29(すなわち、燃焼帯)周りに生じる軸方向部を含む。特定の好適な実施形態によれば、ヘッドエンド吸気部の開口42は、流れ環26のキャップアセンブリ部に対応する外側半径方向壁25を通して形成されている。開口42は、流れ環26の燃焼帯部に対応する外側半径方向壁25を通して形成されたインピンジメントポート41よりも流路面積がはるかに大きなポートを具備していてもよい。
図7〜
図10に示すように、開口42は、圧縮器排出空洞44を流れ環26のキャップアセンブリ部に流体接続するように構成されていてもよい。上述の通り、キャップアセンブリ30と関連付けられた内側半径方向壁24は、流れ環26のキャップアセンブリ部をキャップアセンブリ30の内部領域に流体接続するキャップ入口45を具備していてもよく、これは、キャップ入口45を通って流れ込む空気を前方噴射器21のノズル23へと配向するように構成されていてもよい。当然のことながら、このような場合、燃料配向構造は、前方噴射器21のノズル23を燃料源に接続する燃料経路22を具備していてもよい。
【0051】
当然のことながら、
図7〜
図10の実施形態の空気配向構造は、後方吸気部、前方吸気部、およびヘッドエンド吸気部に対応するポートと開口との間での相対的なオリフィスまたは流路面積サイズ規定を含んでいてもよい。好適な実施形態によれば、相対的なオリフィスサイズ規定は、前方噴射器21と段階的噴射器51との間の燃焼器給気を測定するように構成されていてもよい。特定の実施形態によれば、この燃焼器給気の測定では、給気の少なくとも30%を段階的噴射器51に配向する。他の好適な実施形態によれば、燃焼器給気の少なくとも50%が段階的噴射器51に配向される。
【0052】
ここで
図11〜
図13を参照して、別の実施形態によれば、後方環部および/または前方環部は、環部を移動する空気流と内側半径方向壁24の外面との間で生じる伝熱の速度を高くする伝熱構造を含んでいてもよい。伝熱構造としては、乱流を促進することにより、通路の移動に際して冷媒中に生じる温度層を壊すことにより伝熱を向上させる任意の種類の構造が挙げられる。このように、未使用の冷媒すなわち内側半径方向壁24から吸熱を行っていない空気流が壁と接触することにより、より大きな温度差分によって伝熱速度が高くなるようになっていてもよい。また、伝熱構造は、内側半径方向壁24の表面積を大きくすることによって、
流れ環26を移動する空気流との間のエネルギー交換の速度を高くする構成を含んでいてもよい。なお、
図11〜
図13は、好適な実施形態によれば、複数種類の段階的噴射器をさらに示している。
図11に示すように、第1の種類の段階的噴射器51は、噴射ポート61が内側半径方向壁24の高温面と実質的に同一平面に存在するノズル53を具備する。
図12に示すように、第2の種類の段階的噴射器51は、流れ環の外部すなわち外側半径方向壁25の外部に存在する燃料および空気混合チャンバ62を具備する。混合チャンバ62は、外側半径方向壁25の外面から膨出した円形のシールド壁63によって形成されていてもよい。当然のことながら、混合チャンバ62は、段階的噴射器51に対して、より大きな内部を与えることにより、作動流体流路中への噴射前の燃料および空気の混合を改善するようにしてもよい。第3の種類の段階的噴射器51は、内側半径方向壁24の内面から延びて作動流体流路37を貫通する突出ノズル53を具備する。この種のノズル53は、噴射ポートを具備しており、たとえば作動流体流路37内で、噴射燃料/空気混合物をより一様に分散させるのに使用可能であることから、埋没噴射器と称することが多い。
【0053】
図11に示すように、好適な一実施形態によれば、伝熱構造は、内側半径方向壁24の外面上に形成された複数のタービュレータ81を具備する。当然のことながら、タービュレータ81は、内側半径方向壁から流れ環26中に突出した突起として構成されていてもよい。図示のように、好適な一実施形態において、このようなタービュレータ81は、円周方向に延びたリッジの形態であってもよい。他の実施形態によれば、タービュレータ81は、離散的な隆起、窪み等として構成されていてもよい。タービュレータ81は、流れ環26において、段階的噴射器51の両側すなわち後方環部、前方環部、または両方の中で位置決めされていてもよい。別の実施形態によれば、
図12に示すように、伝熱構造は、流れ環26を通る流れの大まかな方向と垂直に形成された一連の溝82を具備していてもよい。溝82は、内側半径方向壁24の外面上に形成されていてもよく、段階的噴射器51の両側に含まれていてもよい。また、他の構成も可能である。
【0054】
図13は、本発明の別の実施形態に係る、別の種類の伝熱構造を示している。図示のように、内側半径方向壁24の外面を通して、マイクロチャネル83が形成されていてもよい。マイクロチャネル83は、浅い溝を具備していてもよい。一実施形態によれば、溝は、図示のように囲まれていてもよい。あるいは、溝は、流れ環26に対して開かれたままであってもよい。図示のように、マイクロチャネル83はそれぞれ、たとえば流れ環26に対して開かれた入口ポートおよび出口ポートを具備し、両方の間に囲繞部が延び、軸方向に位置合わせされた浅いチャネルとして構成されていてもよい。マイクロチャネル83としては、2015年11月18日に出願された係属中の米国特許出願第14/944341号(整理番号第282958号)に記載または言及のものがさらに挙げられるが、そのすべての内容を本明細書に援用する。当然のことながら、動作時、インピンジメントポート41により外側半径方向壁に対して制限された空気流は、マイクロチャネル83の入口ポートに押し込まれて、内部に空気流が形成されるようになっていてもよい。内側半径方向壁24の露出表面積が大きくなるとともに、マイクロチャネル83によって冷媒が内側半径方向壁24の外面を貫通できるようになると、この空気流によって伝熱速度が向上する。このように、冷却効果は、内側半径方向壁24の表面のみに限定されない。当然のことながら、この方法の利点として、他の方法であれば生じるであろう急峻な温度勾配が抑えられる。特定の実施形態によれば、流れ環26自体は、内側半径方向壁24内に形成された一群のマイクロチャネル83によって、内側半径方向壁24内に形成されるとともに全体が含まれていてもよい。本明細書において、用語「流れ環」は、このような意味を含むことが了解されるものとする。
【0055】
ここで、
図14を参照すると、流れ環26内の封止構造または軸方向隔壁85によって、段階的噴射器51を通る空気の移動が防止または制限された別の実施形態が示されている。これを用いることにより、図示のように、燃焼器を通る異なる種類の循環流および新たな冷却法が導かれていてもよい。以下に説明する通り、これによって、流れ環26の後方環部から段階的噴射器51までの空気流が形成される一方、流れ環26の前方環部内の流れは、前方噴射器21へと配向される。本明細書において、軸方向隔壁には、壁および他の封止構造の両方のほか、流体シールを含む。さらに、別段の定めのない限り、このような軸方向隔壁は、通路を完全または部分的に封止していてもよい。
【0056】
本明細書に記載のその他の例と同様に、
図14の実施形態は、前方噴射器21と、前方噴射器21から軸方向後方に離隔し、燃焼帯29内に噴射点を有する段階的噴射器51とを有する段階的噴射システム50を含む。このため、噴射点は、前方噴射器21の後方かつ前方噴射器21から下流である。この噴射点に対して、噴射点の後方側には後方環部が規定され、前方側には前方環部が規定されていてもよい。また、他の実施形態に関して上述した通り、
図14の例の空気配向構造は、外側半径方向壁25に沿って形成された軸方向に規定の吸気部を具備していてもよい。図示のように、これらの吸気部は、外側半径方向壁25を通して形成され、流れ環26の対応する部分に対して周囲の圧縮器排出空洞44を流体接続する1つまたは複数のポートまたは開口を具備していてもよい。したがって、後方環部に対応する外側半径方向壁25を通して後方吸気部が規定されていてもよく、前方環部に対応する外側半径方向壁25を通して前方吸気部が規定されていてもよい。吸気部はそれぞれ、複数のインピンジメントポート41および/または開口42を具備していてもよい。
【0057】
図14の矢印で示すように、本実施形態の空気配向構造は、後方吸気部を通って後方環部に流れ込んだ空気を段階的噴射器51へと前方に配向するように構成されている。このように、段階的噴射器51の後方に位置決めされたポートを通って流れ環26に流れ込んだ空気は、段階的噴射器51に配向されて取り込まれる。ただし、
図7〜
図13の実施形態と異なり、
図14に関する空気配向構造は、前方環部を通して前方に、前方吸気部(すなわち、段階的噴射器およびその噴射点の前方)を通して流れ込んだ空気を配向するように構成されている。このように、段階的噴射器51の前方に位置決めされたポートを通って流れ環26に流れ込んだ空気は、図示のように、前方噴射器21に配向されて取り込まれる。当然のことながら、不要な繰り返しを避けるため、段階的噴射器51の位置決めには、他の実施形態に関して上述した位置のいずれかを含んでいてもよい。さらに、
図14に示す実施形態には、特に添付の特許請求の範囲で可能な場合、噴射器および伝熱構造の種類等、本明細書に記載のその他の選択肢および特徴のいずれかを同様に適用可能であることが了解される。
【0058】
したがって、
図14の実施形態は、段階的噴射器51に対する後方位置で流れ環26に流れ込む空気が段階的噴射器51に配向されて利用される一方、段階的噴射器51の前方で流れ環26に流れ込む空気が前方噴射器21に配向される構成を含む。これは、図示のように、壁、シール等として構成可能な軸方向隔壁85によって実現されていてもよい。図示の例に示すように、軸方向隔壁85は、外部端で外側半径方向壁25に連なり、内部端で内側半径方向壁24に連なる壁として形成されていてもよい。隔壁85は、流れ環26の周囲に延びていてもよい。当然のことながら、隔壁85は、流れ環26内に位置決めされることにより、段階的噴射器51の略軸方向位置を通って後方環部内の空気流が流れることを完全に阻止、制限、または防止するようにしてもよい。すなわち、軸方向隔壁85は、流れ環26の当該部内の空気流すべてを段階的噴射器51に配向または案内するようにしてもよい。段階的噴射器51のノズル53は、流れ環26から空気が流れるポート55を具備していてもよい。
【0059】
別の実施形態によれば、
図15に示すように、空気配向構造は、外側半径方向壁25の周りかつ外部に形成されて両方の間に外側流れ環87を形成した第3の半径方向壁86を具備していてもよい。図示のように、圧縮器排出空洞44に由来する空気流を最終的に段階的噴射器51へと供給するスイッチバック冷媒流路88が配置されていてもよい。図示のように、スイッチバック冷媒流路88は、外側流れ環87内に形成された下流部92が続く流れ環26の部分内に形成された上流部91を含んでいてもよい。このように、スイッチバック冷媒流路88は、外側流れ環87を移動する後方流に対して、流れ環26を通って前方に移動する流れを再配向するようにしてもよい。
【0060】
スイッチバック冷媒流路88は、外側半径方向壁25を通して形成された前方ポート93および後方ポート94を具備していてもよい。図示のように、前方ポート93は、上流部91をスイッチバック冷媒流路88の下流部92に流体接続していていもよい。後方ポート94は、スイッチバック冷媒流路88の下流部92を段階的噴射器51のノズル53に流体接続していてもよい。さらに図示するように、第3の半径方向壁86は、前方および後方ポート93、94の両方を囲むとともに、外側流れ環87を通る流れを周囲の圧縮器排出空洞44中の流れから流体隔離する中実連続構造として形成されていてもよい。
【0061】
当然のことながら、好適な実施形態によれば、流れ環26には、軸方向隔壁85が形成されて、スイッチバック冷媒流路88への所望の流れが形成されていてもよい。軸方向隔壁85は、スイッチバック冷媒流路88の上流部91の前方終端点を形成していてもよい。当然のことながら、軸方向隔壁85は、段階的噴射器51から前方に離隔していてもよい。段階的噴射器51は、スイッチバック冷媒流路88の上流部91を通して、流れ環と交差していてもよい。軸方向隔壁85は、部分的または完全な隔壁として構成されていてもよく、外側半径方向壁25と内側半径方向壁24との間かつ流れ環26の周囲に延びた壁または流体シールを具備することにより、流れ環26内の軸方向の流れを防止していてもよい。
【0062】
軸方向隔壁85の軸方向位置に対して、流れ環26は、軸方向隔壁85の後方側に規定された後方環部および軸方向隔壁85の前方側に規定された前方環部に分割されたものとして説明する場合がある。空気配向構造は、外側半径方向壁25を通して形成され、圧縮器排出空洞44を流れ環26の対応する軸方向規定部に流体接続する軸方向に規定の吸気部を具備していてもよい。好適な実施形態によれば、これらの吸気部は、後方環部に対応する後方吸気部および前方環部に対応する前方吸気部を具備していてもよい。他の好適な実施形態によれば、軸方向隔壁85は、前方環部に流れ込む燃焼器給気の空気の実質的にすべてが前方噴射器21に配向され、後方環部に流れ込む燃焼器給気の空気の実質的にすべてがスイッチバック冷媒流路を通して配向され、段階的噴射器51に供給されるように、前方環部を後方環部に対して流体封止するように構成されていてもよい。
【0063】
図示のように、スイッチバック冷媒流路88の例示的な実施形態に準じて、流れ環26を通って軸方向隔壁85の位置の後方に流れ込む空気流は、前方に配向されるようになっていてもよい。この空気流は、段階的噴射器51の位置を通り、前方ポート93へと進み続けられるようになっていてもよい。言い換えると、この空気流は、段階的噴射器51間に存在し得る円周方向の間隙を介して、後方環部から前方環部まで移動する。そして、この流れは、スイッチバック冷媒流路88が流れを約180°反転させるように構成された点に到達するまで、燃焼器13の前端に向かって流れ続けるようになっていてもよい。具体的には、図示のように、段階的噴射器51へと配向され、後方ポート94を介して最終的に供給されるように、スイッチバック冷媒流路88を介して流れが「折り返す」ように構成されていてもよい。
【0064】
例示的な実施形態によれば、スイッチバック冷媒流路88は、流れ環26を通る空気流が、外側半径方向壁25周りに形成された外側流れ環87に配向されるように構成されていてもよい。具体的に、第3の半径方向壁86は、外側半径方向壁25の外部に形成されて外側半径方向壁25からオフセットすることにより、第2の流れ環すなわち外側流れ環87がそれらの間に形成されていてもよい。外側流れ環87内の空気流は、後方ポート94に配向されて段階的噴射器51により取り込まれるようになっていてもよい。本明細書に記載の通り、段階的噴射器51内では、空気流が燃料と混合され、作動流体流路37に噴射されるようになっていてもよい。当然のことながら、段階的噴射器51の種類および配置は、他の実施形態に関して上述した選択肢と一致していてもよい。
【0065】
当然のことながら、
図7〜
図15の例示的な実施形態は、燃焼器ヘッドエンドの前方噴射器を介してではなく段階的噴射器を通して最終的に噴射される空気流によって、燃焼器の本体の大部分が主として冷却される新規の構成および誘導空気流パターンを提供する。軸方向に段階的な噴射器に配向される燃焼器空気のレベルが高くなることを前提として、本明細書に記載の構成は、圧力損失の抑制および冷却空気のより効率的な使用等、より高いシステム効率を提供する。軸方向に段階的な初期の噴射システムでは、段階的噴射器に配向される空気全体の割合が相対的に低かった(すなわち、約5%〜20%)が、現下のより新たなシステムでは、はるかに多くを段階的噴射器に配向する。その結果、段階的噴射器が噴射することになる空気を用いて、燃焼帯を規定するユニボディまたは内側半径方向壁の大部分またはすべてを冷却することが可能となっており、システムの全体的な空気力学を効率化可能である。より多くの空気を燃焼器に通したいという要求が高くなるにつれ、本明細書に記載するようなシステムの利点が重要となることが分かっている。当然のことながら、従来のシステムにおいては、内側半径方向壁を規定する燃焼帯の冷却構成が連続してつながっており、それと関連付けられた空気流のほとんどが燃焼器ヘッドエンドおよびそこに位置決めされた前方噴射器に配向される。これにより、システムの総圧力損失は、順次接続された構成要素の損失から成っており、その結果として、段階的噴射器がその全体でシステムの総圧力損失を引き受けていた。燃焼器本体の冷却が(本明細書に提案するように)構成要素の一連の圧力損失から実質的に除外されると、並列に作用する構成要素の圧力損失が増えるため、システムの全体的な圧力損失は大幅に低下する可能性がある。オペレータの好みに応じて、本明細書に開示の構成は、システムの圧力損失をこのように再配分可能であってもよい。すなわち、燃料および空気の混合を改善するため、前方噴射器内での圧力損失が大きくなってもよい。
【0066】
また、本発明の態様を用いることにより、環内のインピンジメント冷却に伴う問題を減らすようにしてもよい。従来のシステムでは、当然のことながら、最終的に前方噴射器に流れ込む空気の大半が流れ環に後端またはその近傍から進入する。そして、この空気は、流れ環の長さまたは少なくともその大部分を通って流れる必要があり、その結果、その流れが、たとえばユニボディの長さに沿って位置決めされたインピンジメントポートを通って流れ環にまさに流れ込もうとしている未使用の冷媒と衝突する。結果として、空力的混合および運動量の損失が生じ、システムの全体的な圧力損失が増える。さらに、流れ環内で生じる使用済み冷媒の交差流によって、到着したばかりの未使用の冷媒の有効性が低下する。インピンジメントポートの制限された空気流は、冷却する表面に対して直接適合された場合すなわち90°前後の急峻な角度において最も効果的となるためである。交差流は、内側半径方向壁の外面により浅い角度でぶつかるように移動している方向での偏向により、制限された冷媒のジェットと干渉する。本願の設計に準じて、冷媒の大半が噴射点に到達する前に流れ環を移動する範囲を抑えることにより、これらの問題を最小化または実質的に除去することができる。また、特定の好適な実施形態に準じて、ノズルおよび段階的噴射器と関連する他の構成要素により部分的に遮断された流れ環の部分を通って冷媒が流れる必要性を最小化または実質的に除去することができる。これは、流れ環の後部に流れ込む冷媒がもはや、段階的噴射器の交差する構成要素により狭隘となった流れ環の部分を通って移動する必要がないことを意味する。これは、狭隘部に伴う圧力損失を排除できるのみならず、交差構造の下流に生じる伴流に起因する問題を除去できて都合が良い。これらの問題としては、伴流による表面冷却の途絶のほか、前方噴射器における流れの途絶および不均一な下流空気流に伴うものが挙げられる。当然のことながら、本発明の実施形態によれば、段階的噴射器に必要な流れ環内の障害物を通って流れる空気の所要量を制限しつつ、より多くの空気を段階的噴射器に供給可能となる。
【0067】
ここで、
図16〜
図22には、まずタービン12内の静翼17を通る冷媒として、燃焼器給気の一部が循環された後、段階的噴射器51に配向されて作動流体に噴射される本発明の付加的な実施形態を大まかに示している。当然のことながら、本実施形態のシステムおよび構成要素は、上述したものと複数の点が類似していてもよい。たとえば、ガスタービン10の燃焼器13およびタービン12部を通して、作動流体流路37が規定されていてもよい。
図5に示す構成と同様に、作動流体流路37は、燃焼器13の前方噴射器21により規定された前端から、燃焼器13がタービン12に遷移する接合部分を通った後、タービン12を通って、内部に規定された後端まで、長手方向中心軸57に沿って後方に延びていてもよい(なお、「接合部分」という専門用語は、エンジンの燃焼器13とタービン12部とがシームレスに遷移する構成すなわち燃焼器13およびタービン12が一体的なユニボディを横切って接合された構成を含むことを意図している)。また、作動流体流路37の周りには、圧縮器11により供給された燃焼器給気を受容する圧縮器排出空洞44が形成されていてもよい。ガスタービンは、前方噴射器21および軸方向後方に離隔した段階的噴射器51を具備した段階的噴射システム50を備えていてもよい。以下により詳しく論じる通り、システムは、前方噴射器21と段階的噴射器51との間で燃焼器供給燃料を分配する燃料配向構造と、前方噴射器21と段階的噴射器51との間で燃焼器給気を分配する空気配向構造とをさらに備えていてもよい。
【0068】
さらに、
図16〜
図22を参照して、空気配向構造は、1つまたは複数の冷媒流路101を具備しており、それぞれが、圧縮器排出空洞44に由来する冷媒が案内されて最終的に段階的噴射器51に供給される単方向の連続する流体通路を提供していてもよい。具体的に、冷媒流路101は、冷媒を静翼17の内部に配向する部分を具備していてもよい。そして、静翼17の通過後、冷媒流路101は、冷媒を段階的噴射器51に配向するようにしてもよく、ここで冷媒は、燃料と混合され、作動流体流路37に噴射される。好適な実施形態によれば、冷媒流路101は一般的に、吸気部103、冷却回路104、および排気部105を具備していてもよい。以下により詳しく論じる通り、吸気部103は、圧縮器排出空洞44に流体結合された上流ポートと、静翼17のうちの1つの内部側壁または外部側壁を通して形成可能な下流ポートとを具備していてもよい。排気部105は、段階的噴射器51に流体結合された下流ポートと、同じく静翼17のうちの1つの内部側壁または外部側壁を通して形成可能な上流ポートとを具備していてもよい。冷却回路104は、静翼17のうちの1つの内部を通って延びた冷却チャネルであってもよい。冷却回路104は、吸気部103の下流ポートに連なる上流端と、排気部105の上流ポートに連なる下流端とを具備していてもよい。
【0069】
上述の通り、タービン12は、複数段階の翼を具備していてもよく、各段階が、静翼列
と、後続の動翼列とを具備していてもよい。静翼列
は、タービンのロータディスク周りで円周方向に離隔した複数の静翼17を含んでいてもよい。図示のように、静翼17はそれぞれ、作動流体流路37を横切って延びたエーロフォイル113を具備していてもよい。エーロフォイル113は、タービン12を通る作動流体の流れと相互作用するように構成された静翼17の部分である。静翼17は、エーロフォイル113の側面に位置してタービン13内の固定構造に固定する側壁を具備していてもよい。具体的に、エーロフォイル113は、設置に際して作動流体流路37の内部境界を規定するように構成可能な内部側壁および設置に際して作動流体流路37の外部境界を規定するように構成可能な外部側壁と連なっていてもよい。当然のことながら、エーロフォイル113、内部側壁、および外部側壁は、静翼17の一体的に形成された構成要素であってもよい。説明を目的として、静翼17の軸方向の幅は、エーロフォイル113の前縁114と後縁115との間の軸方向距離として規定されている。さらに、本明細書において、最前列の静翼17とは、タービン12の前端すなわち燃焼器13とタービン12との接合部分に最も近く位置決めされた静翼列
を示す。
【0070】
上述の通り、引き続き
図16〜
図22を参照して、作動流体流路37の周りには、燃焼器13およびタービン12の両方の部分を通して、流れ環26が形成されていてもよい。燃焼器13内では、上述したように流れ環26が構成されていてもよい。図示のように、タービン12内に形成された流れ環26の部分は、図面に示す断面図の性質上、類似構成に見える可能性がある。ただし、当然のことながら、燃焼器13およびタービン12における作動流体流路37の構成が異なることから、タービン12内の流れ環26は、燃焼器1
3内の部分に見られない特定の特性を有していてもよい。これらの特性については、以下に規定する。
【0071】
やはり、最初の問題として、「流れ環」に対する一般的な言及は、燃焼器13もしくはタービン12、または両方の作動流体流路37周りに形成された流れ環を表す場合があることが了解されるものとする。このように一般的に言及する場合、流れ環26は、複数の図面で示すように、流路壁108と環壁109との間に規定されたものとして説明する。このため、燃焼器13および/またはタービン12を通る作動流体流路37は一般的に、流路壁108により規定されたものとして言及する場合がある。一方、流れ環26は一般的に、流路壁108と環壁109との間に規定されたものとして説明する場合がある。さらに、本明細書において、流路壁108は、対向する高温面および低温面を有し、高温面が作動流体流路37(および、これに含まれる高温燃焼ガス)に対向する面であり、低温面が流れ環26(および、これに含まれる比較的低温の空気流)に対向する面であるものとして説明する場合がある。したがって、一般的に、環壁109は、流路壁108の低温面を囲むとともにオフセットすることにより、両方の間に流れ環26が形成されるようにしたものとして説明する場合がある。
【0072】
燃焼器13およびタービン12における作動流体流路37と流れ環26との差異に戻って、共通のタービンエンジン構成に係る、それぞれに特有の特徴を区別するには、以下の専門用語を使用する。当然のことながら、この共通構成には、タービン12を通して形成された環状の作動流体流路37の環状部位にそれぞれ連なる複数の円筒状燃焼器13を含む。燃焼器13において、これは、一般化された「流路壁」および「環壁」という専門用語が、本明細書においてそれぞれ「内側半径方向壁」および「外側半径方向壁」と称してきたものを表すものとして了解され得ることを意味する。ただし、タービン12においては、特に環状流路に固有の領域が識別可能となるように、これらの一般化用語すなわち「流路壁」および「環壁」がさらに洗練される場合がある。したがって、説明の目的上、タービン12内の「流路壁108」は、複数の図面に示すように、内部流路壁108aおよび外部流路壁108bを有するものとして説明する場合がある。このため、当然のことながら、内部流路壁108aが作動流体流路37の内部境界を規定する一方、外部流路壁108bが作動流体流路37の外部境界を規定する。同様に、タービン12を通る流れ環26は、内部流路壁108aおよび外部流路壁108bの両方の低温面周りに形成された流れ環を含んでいてもよい。したがって、
図16〜
図22に示すように、タービン12内の流れ環26は、内部流れ環26aおよび外部流れ環26bを含むものとして、より詳細に説明する場合がある。内部および外部流れ環26a、26bを形成するため、タービン12内の環壁109は、内部環壁109aおよび外部環壁109bを有するものとして、より詳細に説明する場合がある。これらの指定を前提として、当然のことながら、内部環壁109aは、内部流路壁108aの低温面からオフセットすることにより、両方の間に内部流れ環26aが規定されるようになっていてもよい。また、作動流体流路37の他方の面では、外部環壁109bが外部流路壁108bの低温面からオフセットすることにより、両方の間に外部流れ環26bが規定されるようになっていてもよい。
【0073】
さらに、タービン12内に流れ環26を形成して本明細書に記載の機能を実現可能な多くの考え得る構成が存在することが了解されるものとする。別段の制限のない限り、このような代替構成は、添付の特許請求の範囲に含まれるものと考えるべきである。すなわち、本明細書において使用する非限定的な表現は、圧縮空気が圧縮器排出空洞44から導出された後、タービン12の作動流体流路37の外部に沿った特定の位置に供給され、本明細書に記載の機能を満足するこのような任意の構成を網羅することが了解されるものとする。さらに、当然のことながら、静翼17は、エーロフォイル113に取り付けられ、これらを作動流体流路37内に固定する内部および外部側壁を具備していてもよい。内部および外部側壁は、作動流体流路37の内部および外部境界の軸方向部をそれぞれ規定するように構成されていてもよい。このため、内部および外部側壁はそれぞれ、内部流路壁108aおよび外部流路壁108bの構成要素と考えられる。
【0074】
さらに、別の実施形態によれば、燃焼器13は、環状の燃焼器として構成されていてもよい。このような場合、燃焼器13は、タービン12の環状流路に連なる連続した環状流路を具備していてもよい。そこで、当然のことながら、燃焼器13は、タービン12に関して
図6および
図7に示したのと同様に、内部流路壁108aおよび外部流路壁108bを具備することになる。本明細書に示す特定の例では、管状の構成を論じているが、提供する図面および添付の特許請求の範囲には、別段の具体的な定めのない限り、考え得る燃焼器構成の両方(すなわち、環状または缶状)を包含することが了解されるものとする。
【0075】
この議論の実施形態は一般的に、上述のいずれかと一致する段階的噴射システム50を含んでいてもよい。すなわち、
図16〜
図22の段階的噴射システム50には、先行する図面に関して上述した実施形態のいずれかを含んでいてもよい。したがって、たとえば、段階的噴射システム50は、前方噴射器21および軸方向後方に離隔した1つまたは複数の段階的噴射器51を具備していてもよい。また、段階的噴射器51は、流れ環26と交差することにより、作動流体流路37内に噴射点を確保するように構成されていてもよい。説明の目的上、噴射点の軸方向位置に対して、噴射点の前方側には前方環部が規定される一方、噴射点の後方側には後方環部が規定されていてもよい。段階的噴射器51は、流れ環26を軸方向に分割するように構成可能な軸方向隔壁111を具備していてもよい。特定の実施形態によれば、上述の通り、軸方向隔壁111は、流れ環26に位置決めされることにより、段階的噴射器51と軸方向に一致または近接していてもよい。軸方向隔壁111は、前方環部を後方環部に対して流体封止するように構成されていてもよい。この封止構成は、前方環部に流れ込む燃焼器給気のすべてまたは実質的にすべてが前方噴射器21に配向され、後方環部に流れ込む燃焼器給気のすべてまたは実質的にすべてが段階的噴射器51に配向されるようになされていてもよい。以下により詳しく論じる通り、段階的噴射器51は、燃焼器13またはタービン12内に位置決めされていてもよい。
【0076】
ここで
図16および
図18に対して特に注意すべきこととして、静翼17のエーロフォイル113内にループ状構成を有する冷却回路104を含む本発明の実施形態を示している。図示のように、これらの例示的な実施形態における空気配向構造は、
図16および
図17に示す代替構成ごとに構成可能な吸気部103、冷却回路104、および排気部105を有する冷媒流路101を具備する。
【0077】
一選択肢によれば、
図16に示すように、冷却回路104は、内部流れ環26aとの接続部から延びてループ状に戻っている。当然のことながら、これらの接続部間において、冷却回路104は、静翼17のエーロフォイル113内に冷却チャネルを形成していてもよい。より具体的には、図示のように、圧縮器排出空洞44に流体結合された上流ポートと、エーロフォイル113の内部側壁か、またはより一般的には内部流路壁108aを通して形成された下流ポートとを吸気部103が具備していてもよい。さらに図示するように、排気部105は、段階的噴射器51に流体結合された下流ポートと、エーロフォイル113の内部側壁、より一般的には内部流路壁108aを通して形成された上流ポートとを具備していてもよい。冷却回路104は、吸気部103を排気部105に流体接続しつつ、冷却要件に準じて選定された所望の経路に沿って、エーロフォイル113の内部を通って延びるように構成されていてもよい。したがって、冷却回路104は、吸気部103の下流ポートに連なる上流端と、排気部105の上流ポートに連なる下流端とを具備していてもよい。好適な実施形態によれば、冷却回路104は、蛇行構成を有することにより、エーロフォイル113内の冷却効率を増強している。
【0078】
別の選択肢によれば、
図17に示すように、冷却回路104は、外部流れ環26bとの接続部から延びてループ状に戻っている。当然のことながら、これらの接続部間において、冷却回路104は、静翼17のエーロフォイル113内に冷却チャネルを形成していてもよい。より具体的には、図示のように、圧縮器排出空洞44に流体結合された上流ポートと、エーロフォイル113の外部側壁、より一般的には外部流路壁108bを通して形成された下流ポートとを吸気部103が具備していてもよい。さらに図示するように、排気部105は、段階的噴射器51に流体結合された下流ポートと、エーロフォイル113の外部側壁、より一般的には外部流路壁108bを通して形成された上流ポートとを具備していてもよい。冷却回路104は、吸気部103を排気部105に流体接続しつつ、冷却要件に準じて選定された所望の経路に沿って、エーロフォイル113の内部を通って延びるように構成されていてもよい。したがって、冷却回路104は、吸気部103の下流ポートに連なる上流端と、排気部105の上流ポートに連なる下流端とを具備していてもよい。冷却回路104は、蛇行構成を含むことにより、エーロフォイル113内の冷却効率を増強していてもよい。
【0079】
図示のように、
図16および
図17の実施形態は、流れ環26内に位置決めされた軸方向隔壁111を具備していてもよい。当然のことながら、冷媒流路101の吸気部103および排気部105は、軸方向隔壁111の両側に存在する流れ環26の隣接する軸方向部を具備していてもよい。好適な実施形態によれば、軸方向隔壁111は、隣接する軸方向部それぞれを他方に対して流体封止するように構成されていてもよい。この構成を前提として、冷媒流路101の吸気部103は、軸方向隔壁111の後方側に存在するものとして説明する場合がある。一方、冷媒流路101の排気部105は、軸方向隔壁111の前方側に存在するものとして説明する場合がある。他の構成も可能であるが、軸方向隔壁111は、静翼17の前縁114と後縁115との間に規定された軸方向範囲内に位置決めされていてもよい。
【0080】
さらに、
図16および
図17に示すように、冷媒流路101の吸気部103の上流ポートは、環壁109の対応する部分を通して形成されることにより、燃焼器給気の一部の吸気部103への進入を可能とする開口を具備していてもよい。これらの開口は、環壁109を通して形成されたインピンジメントポート41として構成されていてもよい。このため、好適な実施形態によれば、冷媒流路101の吸気部103の上流ポートは、環壁109を通して形成された複数のインピンジメントポート41を具備していてもよい。以下に詳しく論じる通り、開口またはインピンジメントポート41の使用によって、段階的噴射器51への空気流を測定するとともに、システムの構成要素を冷却するようにしてもよい。また、以下に示すように、表面ポートおよび接続チャネルが備えられていてもよい。また、図示のように、このようなインピンジメントポート41は、冷媒流路101の排気部105から除外されている。最後に、当然のことながら、
図16および
図17の例の段階的噴射システムは、段階的噴射器51の数、種類、構成、位置等のほか、燃料および空気配向構造の種類に関するもの等、本明細書に記載の別の実施形態および構成要素のいずれかを含んでいてもよい。
【0081】
図18においては、静翼17の側壁117を図中でより詳細に強調することによって、冷却回路104が主に静翼17の側壁117を通して形成された別の実施形態を説明する。この選択肢によれば、図示のように、冷却回路104は、外部流れ環26bとの接続部から延びてループ状に戻っているが、この両方の間においては、静翼17の側壁117内に冷却回路104が形成されている。当然のことながら、冷却回路104は、外部側壁117の中に示しているが、内部側壁117中にも同様に形成可能である。
図16および
図17の実施形態と同様に、吸気部103は、圧縮器排出空洞44に流体結合された上流ポートと、エーロフォイル113の側壁117に形成された下流ポートとを具備していてもよい。排気部105は、段階的噴射器51に流体結合された下流ポートと、エーロフォイル113の側壁117に形成された上流ポートとを具備していてもよい。冷却回路104は、吸気部103を排気部105に流体接続しつつ、冷却要件に準じて選定された所望の経路に沿って、側壁117の内部を通って延びるように構成されていてもよい。したがって、冷却回路104は、吸気部103の下流ポートに連なる上流端と、排気部105の上流ポートに連なる下流端とを具備していてもよい。図示していないが、冷却回路104は、蛇行構成を含むことにより、エーロフォイル113内の冷却効率を増強していてもよい。図示のように、
図18の実施形態は、流れ環26内に位置決めされた軸方向隔壁111を具備することにより、冷却回路104を通して、所望の冷媒流を配向するようにしてもよい。
【0082】
ここで
図19および
図20に対して特に注意すべきこととして、静翼17のエーロフォイル113を横切って半径方向に延びた冷却回路104を含む本発明の実施形態を示している。また、図示のように、これらの実施形態における空気配向構造は、
図18および
図19に示す代替構成ごとに構成可能な吸気部103、冷却回路104、および排気部105を有する冷媒流路101を具備していてもよい。
【0083】
一選択肢によれば、
図19に示すように、冷却回路104は、内部流れ環26aとの上流接続部から外部流れ環26bとの下流接続部まで延びている。当然のことながら、これらの接続部間において、冷却回路104は、静翼17のエーロフォイル113内に冷却チャネルを形成していてもよい。より具体的には、図示のように、圧縮器排出空洞44に流体結合された上流ポートと、エーロフォイル113の内部側壁、より一般的には内部流路壁108aを通して形成された下流ポートとを吸気部103が具備していてもよい。さらに図示するように、排気部105は、段階的噴射器51に流体結合された下流ポートと、エーロフォイル113の外部側壁、より一般的には外部流路壁108bを通して形成された上流ポートとを具備していてもよい。冷却回路104は、吸気部103を排気部105に流体接続しつつ、冷却要件に準じて選定された所望の経路に沿って、エーロフォイル113の内部を通って延びるように構成されていてもよい。したがって、冷却回路104は、吸気部103の下流ポートに連なる上流端と、排気部105の上流ポートに連なる下流端とを具備していてもよい。冷却回路104は、蛇行構成を含むことにより、エーロフォイル113内の冷却効率を増強していてもよい。
【0084】
別の選択肢によれば、
図20に示すように、冷却回路104は、外部流れ環26bとの上流接続部から内部流れ環26aとの下流接続部まで延びている。当然のことながら、これらの接続部間において、冷却回路104は、静翼17のエーロフォイル113内に冷却チャネルを形成していてもよい。より具体的には、図示のように、圧縮器排出空洞44に流体結合された上流ポートと、エーロフォイル113の外部側壁、より一般的には外部流路壁108bを通して形成された下流ポートとを吸気部103が具備していてもよい。さらに図示するように、排気部105は、段階的噴射器51に流体結合された下流ポートと、エーロフォイル113の内部側壁、より一般的には内部流路壁108aを通して形成された上流ポートとを具備していてもよい。冷却回路104は、吸気部103を排気部105に流体接続しつつ、冷却要件に準じて選定された所望の経路に沿って、エーロフォイル113の内部を通って延びるように構成されていてもよい。したがって、冷却回路104は、吸気部103の下流ポートに連なる上流端と、排気部105の上流ポートに連なる下流端とを具備していてもよい。冷却回路104は、蛇行構成を含むことにより、エーロフォイル113内の冷却効率を増強していてもよい。
【0085】
好適な実施形態によれば、
図19および
図20に示すように、冷媒流路101の吸気部103および排気部105は、静翼17のエーロフォイル113の前縁114と後縁115との間に規定された軸方向範囲とそれぞれが軸方向に重なるように位置決めされていてもよい。他の好適な選択肢によれば、吸気部103および排気部105は、互いに軸方向に重なるように位置決めされていてもよい。冷媒流路101の吸気部103および排気部105はともに、エーロフォイル113の前縁114と後縁115との間に規定された軸方向範囲を完全に含む軸方向範囲を規定するように構成されていてもよい。
【0086】
さらに、
図19および
図20に示すように、冷媒流路101の吸気部103の上流ポートは、環壁109の対応する部分を通して形成されることにより、燃焼器給気の一部の吸気部103への進入を可能とする開口を具備していてもよい。これらの開口は、環壁109を通して形成されたインピンジメントポート41として構成されていてもよい。このため、好適な実施形態によれば、冷媒流路101の吸気部103の上流ポートは、環壁109を通して形成された複数のインピンジメントポート41を具備していてもよい。以下に詳しく論じる通り、開口またはインピンジメントポート41の使用によって、段階的噴射器51への空気流を測定するとともに、システムの構成要素を冷却するようにしてもよい。また、以下に示すように、表面ポートおよび接続チャネルが備えられていてもよい。また、図示のように、このようなインピンジメントポート41は、冷媒流路101の排気部105から除外されている。最後に、当然のことながら、
図18および
図19の例の段階的噴射システムは、段階的噴射器51の数、種類、構成、位置等のほか、燃料および空気配向構造の種類に関するもの等、本明細書に記載の別の実施形態および構成要素のいずれかを含んでいてもよい。
【0087】
ここで
図21および
図22に対して特に注意すべきこととして、静翼17のエーロフォイル113内に十字形構成を生成するように複数の冷媒流路101が形成された本発明の実施形態を示している。これらの例においては、当然のことながら、空気配向構造が冷媒流路101のうちの少なくとも2つを含んでいてもよく、それぞれが、吸気部103、冷却回路104、および排気部105を有する。説明を目的として、以下に詳しく論じる通り、冷媒流路101は、内部環と外部環との間で半径方向かつ反対方向に延びることによりエーロフォイル113内で十字に交差するように構成された冷却回路104を具備していてもよい。
【0088】
好適な一実施形態によれば、空気配向構造は、第1の冷媒流路101aおよび第2の冷媒流路101bを含んでいてもよい。第1の冷媒流路101aは、圧縮器排出空洞44に流体結合された上流ポートと、エーロフォイル113の内部側壁、より一般的には内部流路壁108aを通して形成された下流ポートとを有する吸気部103と、段階的噴射器51に流体結合された下流ポートと、外部側壁、より一般的には外部流路壁108bを通して形成された上流ポートとを備えた排気部105と、静翼17のエーロフォイル113の内部を通って延び、吸気部103を排気部105に接続する冷却回路104とを具備していてもよい。冷却回路104は、吸気部103を排気部105に流体接続しつつ、冷却要件に準じて選定された所望の経路に沿って、エーロフォイル113の内部を通って延びるように構成されていてもよい。したがって、冷却回路104は、吸気部103の下流ポートに連なる上流端と、排気部105の上流ポートに連なる下流端とを具備していてもよい。
【0089】
図示のように、第2の冷媒流路101bは、エーロフォイル113を反対方向に横切って冷媒を搬送するように構成されていてもよい。このため、第2の冷媒流路101bは、圧縮器排出空洞44に流体結合された上流ポートと、エーロフォイル113の外部側壁、より一般的には外部流路壁108bを通して形成された下流ポートとを有する吸気部103と、段階的噴射器51に流体結合された下流ポートと、内部側壁、より一般的には内部流路壁108aを通して形成された上流ポートとを備えた排気部105と、静翼17のエーロフォイル113の内部を通って延び、吸気部103を排気部105に接続する冷却回路104とを具備していてもよい。冷却回路104は、吸気部103を排気部105に流体接続しつつ、冷却要件に準じて選定された所望の経路に沿って、エーロフォイル113の内部を通って延びるように構成されていてもよい。したがって、冷却回路104は、吸気部103の下流ポートに連なる上流端と、排気部105の上流ポートに連なる下流端とを具備していてもよい。
【0090】
図示のように、第1および第2の流れ環26a、26bにはそれぞれ、軸方向隔壁111が備えられていてもよい。当然のことながら、第1の冷媒流路101aの吸気部103および第2の冷媒流路101bの排気部105は、内部に位置決めされた軸方向隔壁111の両側に存在する流れ環26の隣接する軸方向部として構成されていてもよい。好適な実施形態によれば、軸方向隔壁111は、隣接する軸方向部それぞれを他方に対して流体封止するように構成されている。同様に、第2の冷媒流路101bの吸気部103および第1の冷媒流路101aの排気部105は、内部に位置決めされた軸方向隔壁111の両側に存在する流れ環26の隣接する軸方向部として形成されていてもよい。また、軸方向隔壁111は、隣接する軸方向部それぞれを他方に対して流体封止するように構成されていてもよい。この構成を前提として、第1および第2の冷媒流路101a、101bの吸気部103は、軸方向隔壁111の後方側に存在するものとして説明する場合がある。一方、第1および第2の冷媒流路101a、101bの排気部105は、軸方向隔壁111の前方側に存在するものとして説明する場合がある。他の構成も可能であるが、軸方向隔壁111は、静翼17の前縁114と後縁115との間に規定された軸方向範囲内に位置決めされていてもよい。当然のことながら、上記構成の結果として、第1の冷媒流路101aの吸気部103の下流ポートおよび第2の冷媒流路101bの排気部105の上流ポートはそれぞれ、内部側壁(より一般的には、内部流路壁108a)を通して形成される。一方、第2の冷媒流路101bの吸気部103の下流ポートおよび第1の冷媒流路101aの排気部105の上流ポートはそれぞれ、外部側壁(より一般的には、外部流路壁108b)を通して形成される。
【0091】
第1の冷媒流路101aおよび第2の冷媒流路101bの吸気部103の上流ポートは、環壁109の対応する部分を通して形成されることにより、燃焼器給気の一部の吸気部103への進入を可能とする開口を具備していてもよい。図示のように、これらの開口は、環壁109を通して形成されたインピンジメントポート41として構成されていてもよい。このため、好適な実施形態によれば、第1および第2の冷媒流路101a、101bの吸気部103の上流ポートは、それぞれ内部および外部環壁109a、109bを通して形成された複数のインピンジメントポート41を具備していてもよい。当然のことながら、このようなインピンジメントポート41は、圧縮器排出空洞44からの空気流を制限するとともに、得られる空気ジェットを内部および外部流路壁108a、108bの低温面に対して適合させることにより、動作時に能動的に冷却するように構成されていてもよい。当然のことながら、上流ポートの開口は、1つまたは複数の段階的噴射器51へと配向された燃焼器給気の部分を測定するように構成されていてもよい。この分配は、前方噴射器21へと別途配向された燃焼器給気の残りの部分に対してなされるようになっていてもよい。特定の実施形態によれば、この燃焼器給気の測定では、給気の少なくとも20%を段階的噴射器51に配向する。他の好適な実施形態によれば、燃焼器給気の少なくとも40%が段階的噴射器51に配向される。
【0092】
別の実施形態によれば、
図21に示すように、静翼17のエーロフォイル113の外面を通して、1つまたは複数の表面ポート118が形成されていてもよい。このような場合は、冷却回路104から分岐し、表面ポートをそれらの1つに流体結合する接続チャネル119が設けられていてもよい。当然のことながら、これにより、エーロフォイル113を表面冷却(すなわち、フィルム冷却)するとともに、接続チャネル119を介して対流冷却するようにしてもよく、これは、冷却回路104が網羅していないエーロフォイル113の内部領域を通って延びるように構成されていてもよい。
【0093】
好適な実施形態によれば、インピンジメントポート41は、冷媒流路101の排気部105に含まれていない。具体的に、環壁109は、冷媒流路101の排気部105をその外部の任意の流れ(たとえば、圧縮器排出空洞44内の圧縮空気の流れ)から流体的に遮断または隔離するように構成されていてもよい。当然のことながら、これにより、排気部105への給気はまず、冷媒流路101a、101bの吸気部103および冷却回路104を通るように強制されてもよい。したがって、第1の冷媒流路101aの排気部105に対応する外部環壁109bは、内部を移動する流れを圧縮器排出空洞44の流れから流体隔離する分離構造(すなわち、中実壁として構成)を具備していてもよい。同様に、第2の冷媒流路101bの排気部105に対応する内部環壁109aは、内部を移動する流れを圧縮器排出空洞44の流れから流体隔離する分離構造を具備していてもよい。
【0094】
図22に示すように、段階的噴射システム50は、2つ以上の段階的噴射器51を具備していてもよい。これら複数の段階的噴射器51は、燃焼器13中に位置付けられていてもよいし、図示のように、タービン12中に存在する第1および第2の段階的噴射器51を含んでいてもよい。後者の場合、第1の段階的噴射器51は、外部流路壁108bを通して形成され、第1の冷媒流路101aを介して給気される。一方、第2の段階的噴射器51は、内部流路壁108aを通して形成され、第2の冷媒流路101bを介して給気される。例示的な実施形態によれば、段階的噴射器51は、流れ環26を通過または横断する延伸すなわち流れ環壁109と流路壁108との間での延伸によるノズル53を具備していてもよい。このような場合、第1の冷媒流路101aの排気部105の下流ポートは、第1の段階的噴射器51のノズル53に開口を具備していてもよい。一方、第2の冷媒流路101bの排気部105の下流ポートは、第2の段階的噴射器51のノズル53に開口を具備していてもよい。
【0095】
再度、
図16〜
図22を大まかに参照して、段階的噴射器51は、本明細書に記載の機能に適した任意の種類の従来の燃料/空気噴射器を含んでいてもよい。特定の好適な実施形態によれば、段階的噴射器51は、流れ環26の外部に存在する混合チャンバ62を具備したものであってもよい。この種の噴射器の一例を
図12に示している。あるいは、段階的噴射器51は、
図13に示すように、埋没型の噴射器であってもよい。この場合、ノズル53は、流路壁108から作動流体流路37中に突出している。他の実施形態によれば、段階的噴射器51は、流路壁108の高温面と同一平面に存在する噴射ポート61を有するノズル53を具備していてもよい。この種の噴射器の一例を
図11に示している。より一般的に、段階的噴射器51は、複数の燃料ポート56を含むノズル53を具備していてもよい。また、燃焼器13の前端近くに位置決めされた燃料源に対して燃料ポート56を接続する燃料通路52が備えられていてもよい。上述の通り、燃料通路52は、流路壁108の内部を通って軸方向に延びていてもよい。また、
図20に示すように、燃料通路52は、流路壁108の外側に形成されていてもよい。
【0096】
本実施形態の段階的噴射器51は、作動流体流路37内のある範囲の位置に沿って位置決めされていてもよい。これらの位置には、
図2〜
図15に関するもの等、本明細書に記載の位置のいずれかを含んでいてもよい。特定の好適な実施形態によれば、段階的噴射器51は、静翼17に対して所定の距離だけ軸方向前方に離隔していてもよい。段階的噴射器51が静翼17に対して前方に離隔した所定の距離は、段階的噴射器51により噴射された燃料が予想動作条件において静翼17に到達するまでに作動流体流路37に存在するのが好ましい最小時間に関する存在基準に基づいていてもよい。段階的噴射器51は、タービン12内に存在する場合、静翼17の内部側壁および外部側壁の一方または両方を通して形成されていてもよい。当然のことながら、このような場合、内部側壁および外部側壁は、エーロフォイル113と一体的に形成された構成要素であってもよい。静翼17に対して段階的噴射器51の必要な前方間隔を確保するため、噴射器が形成される側壁は、前方に伸長していてもよい。特定の実施形態によれば、静翼17の伸長側壁は、燃焼器13とタービン12との接合部分まで延びていてもよい。また、
図20に示すように、段階的噴射器51は、後方フレーム20に組み込まれていてもよい。段階的噴射器51が燃焼器13内に位置決めされている場合、特定の好適な実施形態では、中間基準面と後方基準面との略中間にこれを位置付ける。
【0097】
当然のことながら、本実施形態の有利な一態様において、最前列の静翼17を冷却するのに必要な空気流の大部分はもはや、燃焼を迂回しない。この空気流は、通常は相当な量であるが、通例、静翼17を通って循環した後、作動流体流路37を通る高温ガス流中に放出されることによって、これを希釈する。これは、エンジンの性能に悪影響を及ぼす。当然のことながら、段階的噴射器51への入力として使用することにより、この空気流を削減または置換できれば、ガスタービン10は、NOxの生成がより少ない低温で燃焼器13を動作可能としつつ、出力および効率を維持することができる。さらに、同じ負荷レベルで、エンジンをより低温で大略動作させることができるため、安価な材料を用いてエンジンを構成可能である。また、当然のことながら、
図16〜
図22と関連付けられたシステムでは、システムの全体的な圧力損失の低減について、
図7〜
図15の実施形態に関して上述したのと同じ利点が得られる。
【0098】
当業者には当然のことながら、複数の例示的な実施形態に関して上述した多くのさまざまな特徴および構成をさらに選択的に適用することによって、本発明のその他の考え得る実施形態を構成可能である。簡素化とともに当業者の能力を考慮して、考え得る繰り返しについては、一切提供も詳述もしないが、以下の複数の請求項に、またはその他の様式で含まれるすべての組み合わせおよび考え得る実施形態は、本願の一部をなすものである。また、本発明の複数の例示的な実施形態に関する上記説明から、当業者であれば、改善、変更、および改良が認識されよう。また、このような当業範囲内での改善、変更、および改良は、添付の特許請求の範囲に含まれるものである。さらに、以上は、本願の上記実施形態のみに関しており、本明細書においては、以下の特許請求の範囲およびその均等物により規定された本願の趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの変更および改良が可能であることが明らかなものとする。