特許第6976053号(P6976053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976053
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】積層電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/224 20060101AFI20211118BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   H01G4/224 100
   H01G4/30 511
   H01G4/30 514
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-242418(P2016-242418)
(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公開番号】特開2018-98385(P2018-98385A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年9月6日
【審判番号】不服2020-17011(P2020-17011/J1)
【審判請求日】2020年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】野田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】田中 博文
【合議体】
【審判長】 酒井 朋広
【審判官】 須原 宏光
【審判官】 山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−168406(JP,A)
【文献】 特開2009−16617(JP,A)
【文献】 特開2014−116570(JP,A)
【文献】 特開2012−227198(JP,A)
【文献】 特開2001−080957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/12
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内部電極層および誘電体層が交互に積層された素子本体を備える積層電子部品であって、
内部電極の端部が露出する前記素子本体の両側面に絶縁層が備えられており、
前記絶縁層はガラス成分およびセラミック成分を含み、前記セラミック成分の含有量が前記絶縁層全体を100wt%として11〜62wt%であり、
前記セラミック成分はAl,Zr,Ti,Ce,Fe,Mn,Cu,Co,Znからなる群のうちいずれか1種以上を含む酸化物を含み、
前記ガラス成分は前記ガラス成分全体を100wt%としてアルカリ金属を10〜35wt%含み、BaOを10〜50wt%含むことを特徴とする積層電子部品。
【請求項2】
前記ガラス成分は前記ガラス成分全体を100wt%としてSiOを35〜75wt%含む請求項1に記載の積層電子部品。
【請求項3】
前記ガラス成分は前記ガラス成分全体を100wt%としてAlを1〜10wt%含む請求項1または2に記載の積層電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などのデジタル電子機器に使用される電子回路の高密度化に伴う電子部品の小型化に対する要求は高く、当該回路を構成する積層電子部品の小型化、大容量化が急速に進んでいる。
【0003】
例えば、積層セラミックコンデンサなどの積層電子部品においては、セラミック焼結体内に複数の内部電極が配置されている。
【0004】
特許文献1では、電極材料の使用効率を高めたり、静電容量の増大や精度などを高めたりするために、サイドギャップをなくした構造の積層セラミックコンデンサが提案されている。
【0005】
しかし、内部電極がセラミック焼結体の側面に露出することになるため、耐電圧が低いという問題があった。
【0006】
特許文献2では、耐電圧を高め得る構造が提案されている。すなわち、内部電極が一対の側面に露出しているセラミック焼結体を得た後に、内部電極側端縁近傍部分を除去する。次に、除去された部分に絶縁性材料を注入して絶縁層を形成することにより、耐電圧の向上が図られている。
【0007】
特許文献3では、セラミック焼結体のセラミック成分が所定の重量比のガラス成分を含むことでセラミック焼結体の外表面にガラスを析出させ、これによりガラスを主成分とする絶縁層で被覆されたセラミック焼結体を得るセラミック焼結体の製造方法が提案されている。
【0008】
しかしながら、絶縁層にガラスを使用する場合、ガラスは外部衝撃により亀裂が入るとその特性ゆえクラックが伸びて、セラミック素地に達してしまうおそれがある。クラックがセラミック焼結体に達した場合、めっき工程中にめっき液の浸入や耐湿性の低下が生じやすくなるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公平2−30570号公報
【特許文献2】特開平3−82006号公報
【特許文献3】特開平11−340089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の実状に鑑みてなされたものであり、耐湿性に優れた積層電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の積層電子部品は、以下の通りである。
【0012】
[1]複数の内部電極層および誘電体層が交互に積層された素子本体を備える積層電子部品であって、
前記素子本体の少なくとも一つの側面に絶縁層が備えられており、
前記絶縁層はガラス成分およびセラミック成分を含むことを特徴とする積層電子部品。
【0013】
本発明によれば、耐湿性に優れた積層電子部品を提供できる。
【0014】
上記[1]の具体的態様として、下記の態様が例示される。
【0015】
[2]前記セラミック成分の含有量が前記絶縁層全体を100wt%として10〜70wt%である前記[1]に記載の積層電子部品。
【0016】
[3]前記セラミック成分はAl,Zr,Ti,Ce,Fe,Mn,Cu,Co,Znからなる群のうちいずれか1種以上を含む酸化物を含む前記[1]または[2]に記載の積層電子部品。
【0017】
[4]前記ガラス成分は前記ガラス成分全体を100wt%としてSiOを35〜75wt%含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層電子部品。
【0018】
[5]前記ガラス成分は前記ガラス成分全体を100wt%としてアルカリ金属を10〜35wt%含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層電子部品。
【0019】
[6]前記ガラス成分は前記ガラス成分全体を100wt%としてBaOを10〜50wt%含む前記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層電子部品。
【0020】
[7]前記ガラス成分は前記ガラス成分全体を100wt%としてAlを1〜10wt%含む前記[1]〜[6]のいずれかに記載の積層電子部品。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。
図2図2は、図1に示すII‐II線に沿う断面図である。
図3図3は、本実施例のたわみ試験の方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施形態に基づき、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態のみに限定されない。
【0023】
また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0024】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0025】
積層セラミックコンデンサの全体構成
本実施形態に係る積層電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、セラミック焼結体4と、第1外部電極6と、第2外部電極8とを有する。また、図2に示すように、セラミック焼結体4は、素子本体3と絶縁層16とを有する。
【0027】
素子本体3は、X軸およびY軸を含む平面に実質的に平行な内側誘電体層10と、内部電極層12とを有し、内側誘電体層10の間に、内部電極層12がZ軸の方向に沿って交互に積層してある。ここで、「実質的に平行」とは、ほとんどの部分が平行であるが、多少平行でない部分を有していてもよいことを意味し、内部電極層12と内側誘電体層10は、多少、凹凸があったり、傾いていたりしてもよいという趣旨である。
【0028】
内側誘電体層10と、内部電極層12とが交互に積層される部分が内装領域13である。
【0029】
また、素子本体3は、その積層方向Z(Z軸)の両端面に、外装領域11を有する。外装領域11は、内装領域13を構成する内側誘電体層10よりも厚い外側誘電体層を複数積層して形成してある。
【0030】
なお、以下では、「内側誘電体層10」および「外側誘電体層」をまとめて、「誘電体層」と記載する場合がある。
【0031】
内側誘電体層10および外装領域11を構成する誘電体層の材質は、同じでも異なっていても良く、特に限定されず、たとえば、ABOなどの化学式で表されるペロブスカイト構造の誘電体材料を主成分として構成される。
【0032】
前記ABOにおいて、Aは、特に制限はないが、たとえばCa、Ba、Srからなる群から選択される少なくとも一種、Bは、特に制限はないが、たとえばTi、Zrからなる群から選択される少なくとも一種である。A/Bのモル比は、特に限定されないが、例えば0.980〜1.020である。このほか、誘電体材料に含まれる副成分として、例えば希土類の酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化マグネシウム、遷移金属の酸化物が挙げられる。前記した各酸化物を含む混合物が挙げられる。前記した各元素のうちいずれかを含む複合酸化物が挙げられる。さらに、ガラスとしてSiOを含んだ焼結助剤等が挙げられる。希土類とは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種である。遷移金属としては、例えばV、W、MnおよびMoが挙げられるがその他の遷移金属でもよい。
【0033】
交互に積層される一方の内部電極層12は、セラミック焼結体4のY軸方向第1端部の外側に形成してある第1外部電極6の内側に対して電気的に接続してある引出部12Aを有する。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、セラミック焼結体4のY軸方向第2端部の外側に形成してある第2外部電極8の内側に対して電気的に接続してある引出部12Bを有する。
【0034】
内装領域13は、容量領域14と引出領域15A,15Bとを有する。容量領域14は、積層方向に沿って内部電極層12が内側誘電体層10を挟んで積層する領域である。引出領域15Aは、外部電極6に接続する内部電極層12の引出部12Aの間に位置する領域である。引出領域15Bは、外部電極8に接続する内部電極層12の引出部12Bの間に位置する領域である。
【0035】
内部電極層12に含有される導電材は特に限定されず、Ni、Cu、Ag、Pd、Al、Ptなどの金属、またはそれらの合金を用いることができる。特にNiまたはNi合金を用いることが好ましい。Ni合金を用いる場合には、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。
【0036】
図2に示すように、セラミック焼結体4のX軸方向の両端面、すなわち、内部電極12の端部が露出する側面には、素子本体3の内部電極層12の端部を覆う絶縁層16が備えられている。絶縁層16が備えられる側面はX軸方向の一方の端面のみでもよい。また、絶縁層16は、セラミック焼結体4のZ軸方向(積層方向)の上部および/または下部にも形成してもよい。
【0037】
絶縁層16はガラス成分およびセラミック成分を含む。
【0038】
絶縁層16はガラス成分とともにセラミック成分を含むことにより、耐湿性の低下を防ぐことができる。耐湿性が向上する理由は、絶縁層16がセラミック成分を含むことで、絶縁層16内部にクラックが生じてもクラックが素子本体3に達するのを防ぐことができるためであると本発明者らは考えている。また、セラミック成分は、例えばセラミックフィラーの形で含まれる。
【0039】
絶縁層16を構成するセラミック成分の含有量には特に制限はないが、絶縁層全体を100wt%として10〜70wt%であることが好ましい。10wt%以上であることにより、クラックの伸長を防止する効果が大きくなる。70wt%以下であることにより、絶縁層16の焼結性、特に後述するギャップ部の焼結性を向上させ、耐湿性をより向上させることができる。さらに、10〜70wt%であることにより、圧縮応力が高まるため、たわみ応力およびたわみ強度も向上させることができる。また、セラミック成分の含有量は、30〜60wt%であることがより好ましく、40〜56wt%であることが最も好ましい。
【0040】
絶縁層16を構成するセラミック成分は特に限定されないが、Al,Zr,Ti,Ce,Fe,Mn,Cu,CoおよびZnから選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物を含むことが好ましい。Al,Zr,Ti,Ce,Fe,Mn,Cu,CoおよびZnから選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物には、各元素のうち少なくとも1種の元素を含む複合酸化物が含まれる。また、Cu,Co,Ce,Mn,Al,ZrおよびTiから選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物を含むことがより好ましく、CuおよびCoから選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物を含むことがさらに好ましい。CuおよびCoから選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物を含む場合には、他の元素の酸化物のみを用いる場合と比較して、素地まで達するクラックの防止率をさらに向上させることができる。
【0041】
Al,Zr,Ti,Ce,Fe,Mn,Cu,CoおよびZnから選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物を含むことで、絶縁層16の後述するギャップ部内部からのクラック発生を抑制することができる。クラックの発生を抑制できる理由は不明であるが、Al,Zr,Ti,Ce,Fe,Mn,Cu,CoおよびZnから選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物とガラスとの反応性が比較的ゆるやかであるためであると本発明者らは考えている。さらに、Al,Zr,Ti,Ce,Fe,Mn,Cu,CoおよびZnから選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物を含むことで、たわみ応力およびたわみ強度も向上させることができる。
【0042】
また、絶縁層16を構成するセラミック成分におけるBaの含有量に上限はないが、セラミック成分全体を100wt%としてBaO換算で50wt%以下とすることが好ましい。同様に、Caの含有量はCaO換算で50wt%以下とすることが好ましく、Srの含有量はSrO換算で50wt%以下とすることが好ましい。そして、Baの含有量,Caの含有量およびSrの含有量をそれぞれBaO換算,CaO換算,SrO換算とする場合に、Baの含有量,Caの含有量およびSrの含有量の合計を50wt%以下とすることが好ましい。
【0043】
絶縁層16を構成するガラス成分には特に制限はないが、ガラス成分全体を100wt%としてSiOを35〜75wt%含むことが好ましい。
【0044】
絶縁層16を構成するガラス成分におけるSiOの含有量を35wt%以上とすることにより、耐めっき性が向上する。また、SiOの含有量を75wt%以下とすることにより、絶縁層16内部におけるクラックの発生を抑制しやすくなる。SiOの含有量を75wt%以下とすることでクラックの発生を抑制しやすくなる理由は不明であるが、SiOの含有量を75%超とすると絶縁層16の脆性が高くなる傾向にあるためであると本発明者らは考えている。
【0045】
絶縁層16はガラス成分全体を100wt%としてアルカリ金属を10〜35wt%含むことが好ましい。
【0046】
絶縁層16を構成するガラス成分におけるアルカリ金属の含有量を10wt%以上とすることにより、チップのたわみ強度が向上する。チップのたわみ強度が向上する理由は不明であるが、ガラス成分の軟化点が低下し、セラミック成分と適度に反応しやすくなることで絶縁層16に圧縮応力がかかりやすくなるためであると本発明者らは考えている。また、アルカリ金属の含有量を35wt%以下とすることにより、ガラス成分の電気抵抗率が向上し、耐圧値を向上させることができる。
【0047】
絶縁層16を構成するガラス成分全体を100wt%としてBaOを10〜50wt%含むことが好ましい
【0048】
絶縁層16を構成するガラス成分におけるBaOの含有量を10wt%以上とすることにより、耐めっき性が向上する傾向がある。また、BaOの含有量を50wt%以下とすることにより、耐めっき性が向上する傾向がある。
【0049】
絶縁層16を構成するガラス成分全体を100wt%としてAlを1〜10wt%含むことが好ましい。
【0050】
絶縁層16を構成するガラス成分におけるAlの含有量を1wt%以上10wt%以下とすることにより、耐めっき性が向上する。
【0051】
絶縁層16を構成するガラス成分としてその他の化合物を含んでもよい。例えばCaO、SrO、Bが挙げられる。その他の化合物の含有量には特に制限はない。
【0052】
外部電極6,8の材質は特に限定されないが、Ni、Pd、Ag、Au、Cu、Pt、Rh、Ru、Ir等の少なくとも1種、またはそれらの合金を用いることができる。通常は、Cu、Cu合金、NiまたはNi合金等や、Ag、Ag−Pd合金、In−Ga合金等が使用される。
【0053】
なお、図1において、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に垂直であり、Z軸が、内側誘電体層10および内部電極層12の積層方向に一致し、Y軸が、引出領域15A,15B(引出部12A,12B)が形成される方向に一致する。
【0054】
素子本体3の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよいが、X軸方向の幅W0は0.1mm〜1.6mm、Y軸方向の長さL0は0.2mm〜3.2mm、Z軸方向の高さH0は0.1mm〜1.6mmであることが好ましい。
【0055】
本実施形態では、図2に示すように、絶縁層16のうち、セラミック焼結体4の幅方向(X軸方向)に沿って、素子本体3のX軸方向の端面から絶縁層16の外面までの区間をギャップ部としている。
【0056】
本実施形態では、ギャップ部のX軸方向の幅Wgapは、セラミック焼結体4の幅方向(X軸方向)に沿って、素子本体3のX軸方向の端面から絶縁層16のX軸方向の端面までの寸法に一致するが、幅Wgapは、Z軸方向に沿って均一である必要はなく、多少変動していても良い。幅Wgapは、好ましくは、0.5〜30μmであり、素子本体3の幅W0に比較すれば、きわめて小さい。
【0057】
Wgapを上記の範囲内とすることで、クラックが発生しにくくなると共に、セラミック焼結体4がより小型化されても、静電容量の低下が少ない。
【0058】
本実施形態では、図2に示すように、絶縁層16のZ軸方向の両端部では、素子本体3のZ軸方向の両端面のX軸方向端部を覆う被覆部16aが絶縁層16に一体的に形成してある。素子本体3のX軸方向の両端面からの被覆部16のX軸方向のそれぞれの幅W1は、0以上であり、最大で、幅W0の1/2である。また、幅W1/W0は、好ましくは1/100〜1/10である。W1/W0を上記の範囲にすることで、高いシール性を保ちつつ、耐熱衝撃性を高めることができる。
【0059】
なお、セラミック焼結体4のX軸方向の両側の幅Wgapは相互に同じでも異なっていてもよい。また、セラミック焼結体4のX軸方向の両側の幅W1も相互に同じでも異なっていてもよい。また、絶縁層16は、図1に示す素子本体3のY軸方向の両端面は覆っていないことが好ましい。素子本体3のY軸方向の両端面には、外部電極6,8が形成されて内部電極12と接続される必要があるからである。外部電極6,8は、図2に示す被覆部16aのY軸方向の端部を一部覆っても良く、また、絶縁層16のY軸方向の端部を一部覆っても良い。
【0060】
内側誘電体層10の厚みtdと内部電極層12の厚みteの比は、特に限定されないが、td/teが2〜0.5であることが好ましい。また、外装領域11の厚みtoと素子本体3の高さH0の比は、特に限定されないが、to/H0が0.01〜0.05であることが好ましい。
【0061】
積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、本発明の一実施形態としての積層セラミックコンデンサ2の製造方法について具体的に説明する。
【0062】
まず、焼成後に図1に示す内側誘電体層10を構成することになる内側グリーンシートおよび外側誘電体層を構成することとなる外側グリーンシートを製造するために、内側グリーンシート用ペーストおよび外側グリーンシート用ペーストを準備する。
【0063】
内側グリーンシート用ペーストおよび外側グリーンシート用ペーストは、通常、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
【0064】
セラミック粉末の原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。セラミック粉末の原料は、本実施形態では、平均粒子径が0.45μm以下、好ましくは0.1〜0.3μm程度の粉体として用いられる。なお、内側グリーンシートをきわめて薄いものとするためには、グリーンシート厚みよりも細かい粉体を使用することが望ましい。
【0065】
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。用いる有機溶剤も特に限定されず、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
【0066】
また、グリーンシート用ペースト中には、必要に応じて、各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されていてもよい。
【0067】
可塑剤としては、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
【0068】
なお、内側グリーンシート用ペーストと外側グリーンシート用ペーストとでは同一のグリーンシート用ペーストを用いても良く、異なるグリーンシート用ペーストを用いてもよい。
【0069】
次に、焼成後に図1に示す内部電極層12を構成することになる内部電極パターン層を製造するために、内部電極層用ペーストを準備する。内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
【0070】
焼成後に図1に示す外部電極6,8を構成することになる外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
【0071】
上記にて調製した内側グリーンシート用ペーストおよび内部電極層用ペーストを使用して、内側グリーンシートと、内部電極パターン層と、を交互に積層し、内部積層体を製造する。そして、内部積層体を製造した後に、外側グリーンシート用ペーストを使用して、外側グリーンシートを形成し、積層方向に加圧してグリーン積層体を得る。
【0072】
内部電極パターン層の形成方法は、特に限定されない。上記のように内部電極層用ペーストを使用して、印刷法または転写法で形成してもよく、内部電極層用ペーストを用いず、蒸着またはスパッタリングなどの薄膜形成方法により形成されていてもよい。
【0073】
なお、グリーン積層体の製造方法としては、上記の他、外側グリーンシートに直接内側グリーンシートと内部電極パターン層とを交互に所定数積層して、積層方向に加圧してグリーン積層体を得てもよい。
【0074】
次に、グリーン積層体を切断してグリーンチップを得る。
【0075】
グリーンチップは、固化乾燥により可塑剤が除去され固化される。固化乾燥後のグリーンチップは、メディアおよび研磨液とともに、バレル容器内に投入され、水平遠心バレル機などにより、バレル研磨される。バレル研磨後のグリーンチップは、水で洗浄され、乾燥される。乾燥後のグリーンチップに対して、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を行うことにより、素子本体3が得られる。
【0076】
脱バインダ工程、焼成工程およびアニール工程は、連続して行なっても、独立して行なってもよい。
【0077】
上記のようにして得られた素子本体3のY軸方向の両端面とZ軸方向の両端面に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施してもよい。
【0078】
次に、上記素子本体3のX軸方向の両端面に、絶縁層用ペーストを塗布し、焼付けることにより、絶縁層16を形成し、図1および図2に示すセラミック焼結体4を得る。この絶縁層用ペーストは、例えば上記したガラス原料と、セラミックフィラーと、エチルセルロースを主成分とするバインダと分散媒であるターピネオールおよびアセトンとをミキサーで混練して得られる。
【0079】
素子本体3への絶縁層用ペーストの塗布方法は特に限定されず、例えば、ディップ、印刷、塗布、蒸着、噴霧等の方法が挙げられる。
【0080】
絶縁層用ペーストが塗布された素子本体3の焼き付け条件は特に限定されず、例えば、加湿Nまたは乾燥Nの雰囲気において、700℃〜1300℃、0.1時間〜3時間保持し、焼き付けられる。
【0081】
上記のようにして得られたセラミック焼結体4のY軸方向の両端面とZ軸方向の両端面に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施してもよい。
【0082】
次に、絶縁層16が焼き付けられたセラミック焼結体のY軸方向の両端面に、外部電極用ペーストを塗布して焼成し、外部電極6,8を形成する。外部電極6,8の形成については、絶縁層16の形成に先立ち行っても良く、絶縁層16の形成後に行っても良く、絶縁層16の形成と同時に行ってもよい。
【0083】
また、外部電極6,8の形成方法についても特に限定されず、外部電極用ペーストの塗布・焼付け、めっき、蒸着、スパッタリングなどの適宜の方法を用いることができる。
【0084】
そして、必要に応じ、外部電極6,8表面に、めっき等により被覆層を形成する。
【0085】
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサ2は、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
【0086】
本実施形態では、焼成後の素子本体3に絶縁層用ペーストを焼き付けることにより、素子本体3に絶縁層16を形成する。この方法を採ることにより、耐湿性を良好にし、熱衝撃や物理的な衝撃などの外部環境変化に対する耐久性を向上させることができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
【0088】
また、本発明の積層電子部品は、積層セラミックコンデンサに限らず、その他の積層電子部品に適用することが可能である。その他の積層電子部品としては、誘電体層が内部電極を介して積層される全ての電子部品であり、たとえばバンドパスフィルタ、インダクタ、積層三端子フィルタ、圧電素子、PTCサーミスタ、NTCサーミスタ、バリスタなどが例示される。
【実施例】
【0089】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0090】
まず、誘電体材料の主成分としてBaTiO粉末:100質量部と、副成分としてSiO:0.5質量部、Y:0.8質量部、MgO:0.5質量部、MnO:1.0質量部をそれぞれ準備した。
【0091】
次に、上記で準備したBaTiO粉末100質量部と副成分の原料とをボールミルで15時間湿式粉砕し、乾燥して誘電体材料の原料(誘電体原料)を得た。
【0092】
次いで、得られた誘電体原料:100質量部と、ポリビニルブチラール樹脂:10質量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP):5質量部と、溶媒としてのアルコール:100質量部とをボールミルで混合してペースト化し、グリーンシート用ペーストを得た。
【0093】
また、Ni粒子44.6質量部と、テルピネオール:52質量部と、エチルセルロース:3質量部と、ベンゾトリアゾール:0.4質量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極層用ペーストを作製した。
【0094】
上記にて作製したグリーンシート用ペーストを用いて、PETフィルム上に、内側グリーンシートを形成した。次いで、この上に内部電極層用ペーストを用いて、内部電極パターン層を形成し、内部電極パターン層を有する内側グリーンシートを得た。
【0095】
内部電極パターン層を有する内側グリーンシートを積層して、内部積層体を製造した後に、内部積層体の上下にグリーンシート用ペーストを使用して、適宜の枚数の外側グリーンシートを形成し、積層方向に加圧してグリーン積層体を得た。
【0096】
次に、グリーン積層体を切断してグリーンチップを得た。
【0097】
次に、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、素子本体3を得た。
【0098】
脱バインダ処理条件は、昇温速度:25℃/時間、保持温度:235℃、保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
【0099】
焼成条件は、昇温速度:600〜1000℃/時間、保持温度:1100〜1150℃とし、保持時間を1時間とした。降温速度は200℃/時間とした。なお、雰囲気ガスは、加湿したN+H混合ガスとし、酸素分圧が10−12MPaとなるようにした。
【0100】
アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1050℃、保持時間:3時間、降温速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガス(酸素分圧:10−7MPa)とした。
【0101】
なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを使用した。
【0102】
次に、表1に示される組成のガラス成分を有するガラス粉末と、セラミックフィラー成分を有するセラミックフィラーと、エチルセルロースを主成分とするバインダと、分散媒であるターピネオールおよびアセトンと、をミキサーで混練し、絶縁層用ペーストを調製した。なお、表1に示す数値は重量%である。
【0103】
素子本体3のX軸方向の端面に絶縁層用ペーストを塗布し、乾燥Nの雰囲気において、1000℃、2時間保持し、焼き付けることにより、素子本体3に絶縁層16を形成してセラミック焼結体4を得た。絶縁層16のギャップ部の厚さが10〜30μmとなるようにした。
【0104】
次に、セラミック焼結体4に外部電極6,8を形成してコンデンサ試料(積層セラミックコンデンサ2)を得た。得られたコンデンサ試料等を下記の方法で評価した。
【0105】
<セラミック成分の含有率>
セラミック成分の含有率は、絶縁層16に対してSEM−EDX装置を用いて分析することにより算出した。分析方法は、具体的には、まずコンデンサ試料に対し、図1のII‐II線に沿う断面(素子本体3の端部からY軸方向に長さ(L0/2)の地点)まで研磨する。次に、Z軸方向には(H0/2)の位置が中心となるようにして15μm×5μmの測定領域を絶縁層16内部に設定する。さらに、前記測定領域を中心としてZ軸方向の前後それぞれに前記測定領域と接しないように2つの15μm×5μmの測定領域を絶縁層16内部に設定する。このときX軸方向の位置は特に指定しないが誘電体層の成分を検出してしまい精確な面分析ができるように図2の絶縁層16と内側誘電体層10との境界に接していないことが望ましい。合計3つの測定領域について、SEM−EDX装置を用いて面分析を行い、その結果のうち各測定領域におけるセラミック成分の含有率を測定し、平均値を算出する。なお、ガラス成分とセラミック成分が重複する場合は、ガラス成分の中で最も検出精度の高い元素(例えば、SiO成分)をガラス成分の基準としてガラス成分含有率を算出することでセラミック成分の組成含有率を得た。なお、絶縁層16の厚みが5μm未満である場合には、各測定領域のX軸方向の長さを絶縁層16の厚みと同一とする。Z軸方向の長さは15μmのままとする。結果を表に示す。
【0106】
<ギャップ部におけるクラックの発生率>
コンデンサ試料の絶縁層16を形成した側面にサンドブラストで傷をつけた。サンドブラストの条件は0.4MPaで5秒である。次に、コンデンサ試料の断面を樹脂埋め研磨した。樹脂埋め研磨は図1のII‐II線に沿う断面(素子本体3の端部からY軸方向に長さ(L0/2)の地点)まで行った。当該断面を観察し、ギャップ部におけるクラック発生の有無および素子本体3まで達するクラックの有無を観察した。100個のコンデンサ試料について行い、クラックのあるコンデンサ試料2の割合をクラック発生率とした。さらに、素子本体3まで達するクラック(以下、素地クラックと呼ぶ場合がある)のあるコンデンサ試料2の割合を素子本体まで達するクラック発生率とした。そして、クラックのあるコンデンサ試料2の割合に対する素子本体3まで達するクラックのないコンデンサ試料2の割合を、素子本体まで達するクラックの防止率(以下、素地到達防止率という場合がある)とした。結果を表に示す。
【0107】
素地クラック発生率については、25%未満を良好とし、15%以下を更に良好とし、5%以下を最も良好とした。表では、5%以下を◎、5%超15%以下を○、15%超30%未満を△、25%以上を×とした。
【0108】
クラック発生率については、35%未満を良好とし、25%以下をさらに良好とし、10%未満を最も良好とした。表では、10%未満を◎、10%以上25%以下を○、25%超35%未満を△、35%以上を×とした。
【0109】
素地到達防止率については、20%以上を良好とし、40%以上をさらに良好とし、80%超またはクラック発生率0%の場合を最も良好とした。表では、80%超またはクラック発生率0%を◎、40%以上80%以下を○、20%以上40%未満を△、20%未満を×とした。
【0110】
<耐湿試験>
10個のサンドブラスト前のコンデンサ試料2および10個のサンドブラスト後のコンデンサ試料2に対して耐湿試験を行った。耐湿試験後の各コンデンサ試料に対して耐電圧試験を行い、サンドブラスト前の耐電圧の平均に対するサンドブラスト後の耐電圧の平均の減少割合を評価した。減少割合(%)は、サンドブラスト前の耐電圧の平均をVa、サンドブラスト後の耐電圧の平均をVbとして、{(Vb/Va)−1}×100で算出した。
【0111】
上記の耐湿試験は80%加湿雰囲気に100時間曝す条件で行った。上記の耐電圧は、昇圧速度を10V/sとする条件で測定した。結果を表に示す。
【0112】
耐電圧の減少割合の絶対値が30%以下の場合を良好とし、20%以下の場合をさらに良好とし、5%以下の場合を最も良好とした。なお、耐電圧の減少割合が正の場合(Va<Vbの場合)は常に最も良好とした。表では、5%以下を◎、5%超20%以下を○、20%超30%以下を△、30%超を×とした。
【0113】
<たわみ試験>
図3に示すように、コンデンサ試料102の外部電極を、試験用基板104のパッド部にはんだ付けにより実装した。試験用基板104の材質は、ガラス布基材エポキシ樹脂製であった。試験用基板104のサイズは、X軸方向の幅40mm、Y軸方向の長さ100mm、厚み0.8mmであった。
【0114】
上記の試験用基板104を、図3に示す装置124に配置し、加圧部120で試験用基板104をたわみ量が10mmとなるように加圧し、5秒保持した、図3に示す試験端子118Aおよび118B(コンデンサ試料102の外部電極にそれぞれ配線を通して接続してある)にLCRメーターを接続して静電容量を測定した。静電容量の測定は周波数1kHz、0.5Vrmで測定した。加圧前の静電容量をCとして、加圧後の静電容量との差をΔCとして、ΔC/Cが±10%以下となったとき合格と判断した。20個のコンデンサ試料に対して上記の作業を行い、不合格数が3個以下の場合に良好、不合格数が0の場合にさらに良好と判断した。結果を表に示す。表では、たわみ試験不合格数0の場合は◎、たわみ試験不合格数3個以下の場合は○、たわみ試験不合格数5個超の場合は△を記している。なお、本実施例に係るコンデンサ試料102の内部構造は、図1に示す積層セラミックコンデンサ2と同様である。
【0115】
<耐めっき性試験後のガラスの重量変化>
各コンデンサ試料2を構成するセラミック基板に前記絶縁層用ペーストを塗布して焼き付けた。セラミック基板上のガラス表面積は1cmであった。このガラス基板をpHが3の水溶液に60時間、室温にて浸漬した。そして、ガラスを焼き付けたセラミック基板における浸漬前後の重量変化を算出した。その結果を表3および表4に示した。本実施形態では、耐めっき性試験後のガラスの重量減少量の好ましい範囲を3mg未満とし、より好ましい範囲を1mg未満とした。結果を表に示す。表では、耐めっき性試験後のガラスの重量減少率が1mg未満の場合に耐めっき性を◎、1mg以上3mg未満の場合に耐めっき性を○、3mg以上の場合に耐メッキ性を×と記している。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】
表1および表2の試料番号1〜57は、試料番号56以外は絶縁層16を構成するガラス成分を同一としてセラミック成分の種類および含有量を変化させた試料である。なお、試料番号54(比較例)はセラミックフィラーの代わりに金属粒子(Fe粒子)を用いた。試料番号55(比較例)はセラミックフィラーの代わりに耐熱樹脂粒子を用いた。耐熱樹脂としてはポリイミド樹脂を用いた。試料番号56(比較例)は、絶縁層16をチタン酸バリウム(非ガラス)のみで構成した。試料番号57(比較例)はセラミックフィラーを用いなかった。
【0119】
表1および表2より、絶縁層16がガラス成分およびセラミック成分で構成されている試料番号1〜53は絶縁層16にセラミック成分が含まれない試料番号54〜57と比較して素地まで達するクラックが少なく、25%未満であった。
【0120】
絶縁層16に含まれるセラミック成分の含有量が10〜70wt%の範囲内である試料は、10〜70wt%の範囲外である試料よりも素地まで達するクラック発生率、クラック発生率、クラック防止率および耐湿試験の結果が優れている傾向にあった。
【0121】
セラミック成分の含有量が30〜60wt%の範囲内である試料は、素地まで達するクラック発生率、クラック発生率、クラック防止率および耐湿試験の結果がより優れている傾向にあった。さらに、セラミック成分の含有量が40〜60wt%の範囲内である試料は、素地まで達するクラック発生率および耐湿試験の結果がさらに優れている傾向にあった。
【0122】
絶縁層16に含まれるセラミックフィラーとしてAl,Zr,Ti,Ce,Fe,Mn,Cu,CoおよびZnから選択される元素の酸化物を含む場合には、上記の各元素の酸化物を含まない場合と比較して素地まで達するクラック発生率、クラック発生率、クラック防止率および耐湿試験の結果が優れている傾向にあった。さらに、Al,Zr,Ti,Ce,Mn,CuおよびCoから選択される元素の酸化物を含む場合には、Al,Zr,Ti,Ce,Mn,CuおよびCoから選択される元素の酸化物を含まない場合と比較してクラック防止率が優れている傾向にあった。
【0123】
【表3】
【0124】
表3の試料番号58〜88は、セラミックフィラーとして、Al,Zr,Ti,Ce,Mn,CuおよびCoから選択される元素の酸化物を用い、さらに、ガラス成分を変更した試料である。
【0125】
ガラス成分としてSiOを35〜75wt%、アルカリ金属を10〜35wt%、BaOを10〜50wt%,Alを1〜10wt%含む試料番号1〜53は、ガラス成分としてのSiO,アルカリ金属,BaOおよび/またはAlの含有量が上記の範囲外である試料番号58〜88と比較してクラック発生率、たわみ試験および/または耐めっき性の結果が優れている。
【0126】
【表4】
【0127】
表4の試料番号91〜97は、絶縁層16を構成するガラス成分を同一としてセラミック成分の種類および含有量を変化させた試料である。表1〜表3に記載した試料とは異なり、セラミックフィラーとしてCuOとNiOの2種類のセラミックフィラーを混合し、それぞれ表4に記載した量を含有させている。
【0128】
表1〜表4より、2種類のセラミックフィラーを用いた場合であっても、1種類のセラミックフィラーを用いた場合と同様の傾向となった。
【符号の説明】
【0129】
2,102… 積層セラミックコンデンサ
3… 素子本体
4… セラミック焼結体
6… 第1外部電極
8… 第2外部電極
10… 内側誘電体層
11… 外装領域
12… 内部電極層
12A,12B… 引出部
13… 内装領域
14… 容量領域
15A,15B…引出領域
16… 絶縁層
16a… 被覆部
104… 基板
106… 加圧治具
114… パッド部
118A,118B… 試験端子
120… 加圧部
図1
図2
図3