特許第6976054号(P6976054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976054
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】内接型ギヤポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 15/00 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
   F04C15/00 K
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-242512(P2016-242512)
(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公開番号】特開2017-141810(P2017-141810A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2019年11月26日
(31)【優先権主張番号】10 2015 225 734.7
(32)【優先日】2015年12月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】エドガー,クルツ
(72)【発明者】
【氏名】マッシミリアノ,アンブロジ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル,アイゼンラウアー
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト,アラツェ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ,シュタール
【審査官】 嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−219375(JP,A)
【文献】 特開2015−203359(JP,A)
【文献】 特開2014−005794(JP,A)
【文献】 特開2003−286972(JP,A)
【文献】 特開平07−145785(JP,A)
【文献】 実開平05−006172(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/08−2/28
F04C 11/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内接型ギヤポンプであって、ポンプハウジング(3)と環状歯車(4)と、該環状歯車(4)内に配置されていてこの環状歯車(4)と噛み合う歯車(5)と、軸受リング(13)とを有しており、前記軸受リング(13)によって前記環状歯車(4)は前記ポンプハウジング(3)内で回転可能に滑り軸受けされている形式のものにおいて、
前記軸受リング(13)がこの軸受リング(13)の円周の一箇所(14)で開放しており、
前記軸受リング(13)の開放した円周箇所(14)が、前記歯車(5)と前記環状歯車(4)との間の中間室内で吸入室(8)を吐出室(9)から分離する分離部材(7)と前記歯車をはさんで向き合った位置に配置されることを特徴とする、内接型ギヤポンプ。
【請求項2】
前記円周箇所(14)が、前記吐出室(9)を有している円周領域の外側に位置していることを特徴とする、請求項1記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項3】
前記軸受リング(13)が、外方に突き出す回り止め部材(15)を有しており、該回り止め部材(15)が前記ポンプハウジング(3)の切欠(16)内に係合することを特徴とする、請求項1記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項4】
前記軸受リング(13)が前記ポンプハウジング(3)内にプリロードをかけて押し込まれていることを特徴とする、請求項1記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項5】
前記軸受リング(13)が、該軸受リング(13)の円周の前記開放した箇所(14)で拡開されていることを特徴とする、請求項1記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項6】
前記軸受リング(13)が金属薄板ストリップから曲げ成形されていることを特徴とする、請求項1記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項7】
前記軸受リング(13)が、内周面にコーティングを有していることを特徴とする、請求項1記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項8】
前記軸受リング(13)の内周面が点状の凹部(18)を有していることを特徴とする、請求項1記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項9】
前記軸受リング(13)の内周面が、前記軸受リング(13)の長手方向中央に延在する溝(19)を有していることを特徴とする、請求項1記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項10】
前記軸受リング(13)の内周面が、前記溝(19)から延在する分岐部(20)を有していることを特徴とする、請求項記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項11】
前記環状歯車(4)が、前記軸受リング(13)内で回転可能に滑り軸受けされたタイヤ(12)内で回転不能であることを特徴とする、請求項1記載の内接型ギヤポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部の特徴を有する内接型ギヤポンプに関する。内接型ギヤポンプは、特に液圧式の補助動力式および/またはスリップ制御式の車両ブレーキ装置用の液圧ポンプとして設けられている。
【背景技術】
【0002】
内接型ギヤポンプは公知である。内接型ギヤポンプはポンプハウジングを有しており、このポンプハウジング内に環状歯車が回転可能に軸受けされていて、この環状歯車は、この環状歯車内に配置された歯車と噛み合い、この場合、典型的には、歯車はポンプ軸に回転不能に配置されていて、内接型ギヤポンプを運転するために回転駆動せしめられ、この歯車と噛み合う環状歯車を回転駆動する。
【0003】
特許文献1には、内接型ギヤポンプが開示されており、この内接型ギヤポンプの環状歯車が、円周方向で閉鎖された軸受リングと共に回転可能にポンプハウジング内で滑り軸受けされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第19710804号明細書
【発明の概要】
【0005】
請求項1の特徴を有する本発明による内接型ギヤポンプは、ポンプハウジング内で環状歯車を滑り軸受けするための軸受リングを有しており、この軸受リングは、その円周の一箇所で開放しており、以下では短縮して開放した軸受リングまたは単に軸受リングと称呼される。開放した箇所に基づいて、軸受リングを僅かに、好適には弾性的に変形させることによって、軸受リングの円周および直径は容易に変化し、軸受リングを簡単にポンプハウジング内に嵌め込むことができる。
【0006】
内接型ギヤポンプとは、環状歯車ポンプとも理解される。
【0007】
従属請求項は、請求項1に記載した本発明の好適な実施態様および変更実施例を対象としている。
【0008】
請求項2によれば、軸受リングの開放した円周箇所が、内接型ギヤポンプが吐出室を有している円周領域の外側に位置している。内接型ギヤポンプの吐出室は、環状歯車と歯車との間に位置しており、これらの歯車は、回転駆動されると流体を吐出室内に吐出し、それによって吐出室内に圧力を形成する。この圧力は環状歯車を吐出室の領域内で外方に押圧する。軸受リングの開放した円周箇所は、内接型ギヤポンプ内の圧力が環状歯車を外方に押圧する円周領域内に位置していない。吐出室はポンプ出口と連通している。
【0009】
本発明の1実施態様によれば、軸受リングの、外方に突き出す回り止め部材が設けられており、この回り止め部材は、ポンプハウジングの切欠内に係合し、それによって軸受リングをポンプハウジング内で回転不能に保持する。回り止め部材は、例えば軸受リングに取り付けられた、例えばねじ固定、リベット留めまたは溶接された部材であってよい。開放した軸受リングの一端部または両端部を回り止め部材として外方に折り曲げるか、または円周の任意の箇所で軸受リングをU字形に外方に突き出して変形することも可能である。
【0010】
本発明の1実施態様によれば、軸受リングはポンプハウジング内にプリロードかけて押し込まれている(請求項4)。つまり、軸受リングは、ポンプハウジング内に組み込む前に、組み込まれた状態におけるよりも大きい円周および直径を有しており、ポンプハウジング内に組み込むために、好適には弾性的に縮小される。これはその開放した円周箇所に基づいて容易に可能であるので、軸受リングは組み込み時にプリロードをかけて内側からポンプハウジング内に当て付けられる。
【0011】
請求項5によれば、軸受リングはその開放した円周箇所で拡開されている。このために、軸受リングの両端部は開放した円周箇所の両側で、例えばくさび等の拡開部材によって円周方向で互いに離れる方向に押圧され、それによって軸受リングはポンプハウジング内に堅固に緊締されている。
【0012】
軸受リングの使用は、簡単な形式で、内接型ギヤポンプの環状歯車のための滑り面を形成する軸受リングの内周面のコーティング(請求項7)および/または構造形成(請求項8)を可能にする。軸受リングの内周面は、耐摩耗性のおよび/または摩耗を低減するコーティングを有しているか、または潤滑剤の付着を改善するための複数の凹部および/または溝等を、潤滑剤貯蔵部としておよび/または軸受リングの内周面に潤滑剤を分配するために有していてよい。この場合、潤滑剤は典型的には、内接型ギヤポンプによって吐出される液体、つまり液圧式の車両ブレーキ装置ではブレーキ液である。軸受リングは開放しているので、軸受リングは平らなストリップからリングに曲げ成形され得る。コーティングまたは構造形成部は、リングの内周面の代わりに平らなストリップに施されるようにすれば、簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による内接型ギヤポンプの側面図である。
図2】本発明による、図1に矢印IIで示した詳細部分の変更実施例を示す図である。
図3図1に示した本発明による内接型ギヤポンプの軸受リングの構造形成された内周面を示す図である。
図4図1に示した本発明による内接型ギヤポンプの軸受リングの構造形成された内周面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を、図面に示した実施形態を用いて詳しく説明する。
【0015】
図面は、本発明を理解し、かつ説明するための、概略的に簡略して示した図である。
【0016】
図1に示した本発明による内接型ギヤポンプ1は、詳しく示されていない液圧式の車両ブレーキ装置のスリップ制御システムの液圧ブロック2内に配置されており、この液圧ブロック2は、内接型ギヤポンプ1のポンプハウジング3を形成している。ポンプハウジング3内に、環状歯車4つまり内歯を有する歯車が配置されていて、この環状歯車内に、この環状歯車4と噛み合う外歯を有する歯車5が配置されている。環状歯車4および歯車5は、複数の歯車として、または内接型ギヤポンプ1のギヤセットとして理解されてもよい。歯車5は、ポンプ軸6に回転不能に配置されていて、このポンプ軸6は、内接型ギヤポンプ1を運転するために回転駆動せしめられ、これによって、一緒に回転する歯車5が環状歯車4を回転駆動し、内接型ギヤポンプ1は公知の形式で流体を吐出する。
【0017】
歯車5と環状歯車4との間のクレセント形の中間室内に、アーチ形の分離部材7が配置されており、この分離部材7に歯車5および環状歯車4の複数の歯の歯先が当接して、内接型ギヤポンプ1の運転時に滑動する。クレセントとも称呼される分離部材7は、内接型ギヤポンプ1の歯車5と環状歯車4との間の中間室内で吸入室8を吐出室9から分離する。分離部材7の吸入室側の端部は、吸入室8内の歯車5と環状歯車4との間のクレセント形の中間室を横方向に貫通する、支持部10としてのピンに支えられている。入口および出口は、ポンプハウジング3のカバー内に位置しており、このカバーは、図1では取り外されているので、見えていない。カバーが取り外されているために、ポンプハウジング3が見えている。
【0018】
ポンプハウジング3は円筒形の中空室11を有しており、この中空室11内に、環状歯車4と歯車5と分離部材7とが配置されている。環状歯車4はタイヤ12内に押し込まれていて、このタイヤ12は、環状歯車4よりも幅の広い金属製のリングであって、これによって、環状歯車4を回転軸受けするための滑り軸受面は環状歯車4よりも幅広である。タイヤ12は軸受リング13内に回転可能に滑り軸受けされており、この軸受リング13は、タイヤ12と同程度に幅広であって、ポンプハウジング3の中空室11内に回転不能に配置されている。軸受リング13は、最初は平らな金属薄板ストリップからリングに曲げ成形されていて、その円周の一箇所14が開放している。開放した円周箇所14によって、軸受リング13は円周方向および半径方向でばね弾性的であり、また軸受リング13は、ポンプハウジング3の外側で緊張解除された状態でポンプハウジング3の中空室11よりも大きい曲率半径および直径を有している。ポンプハウジング3内に組み込むために、軸受リング13は弾性的に、より小さい円周および直径に圧縮され、ポンプハウジング3の中空室11内でばね弾性的に拡がり、それによって軸受リング13はポンプハウジング3内にプリロード下で当接する。
【0019】
軸受リング13の開放した円周箇所14の一端部は、回り止め部材15として外方に折り曲げられていて、ポンプハウジング3の円筒形の中空室11の円周部の切欠16内に係合し、それによって軸受リング13は、外方でそのプリロードによってポンプハウジング3内に当接し、またその回り止め部材15が切欠16内に係合することによっても、ポンプハウジング3内で回転不能に保持されている。
【0020】
図2に示した変更実施例では、軸受リング13の両端部が外方に折り曲げられていて、軸受リング13の両端部間に拡開部材17が取り付けられており、この拡開部材17は、軸受リング13の両端部を互いに離れる方向に押圧し、それによって軸受リング13を外方に向かって、ひいてはポンプハウジング3内に緊締する。
【0021】
軸受リング13の開放した円周箇所14は、分離部材7に向き合って、つまり吸入室8と吐出室9との間に位置している。一般的に、軸受リング13の開放した円周箇所14は、吐出室9が位置する円周領域の外側に位置している。内接型ギヤポンプ1の運転時に、歯車5が回転駆動され、この歯車5に噛み合う環状歯車4を回転駆動させると、歯車5および環状歯車4は、ブレーキ液を吸入室8から分離部材7の内側および外側に沿って吐出室9内に吐出し、吐出室9内に、吐出室9の領域内で環状歯車4を外方に付勢する圧力を生ぜしめる。軸受リング13の開放した円周箇所14は、環状歯車4が内接型ギヤポンプ1内の圧力によって外方に付勢される円周領域内に位置していない。
【0022】
軸受リング13は、焼入れまたは表面焼入れされていてよいか、または耐摩耗性のおよび/または摩擦を低減するコーティングを少なくとも軸受リング13の内周面に有していてよい。例えば摩擦を低減するコーティングとしてプラスチック例えばPTFEより成るコーティングも可能である。
【0023】
図3および図4は、表面構造形成部を有する、本発明による2つの軸受リング13の内周面を示す。図3では、軸受リング13の内周面は複数の点状の凹部18を有している(ゴルフボールパターン)。これらの凹部18は、軸受リング13における潤滑剤の付着を改善し、潤滑剤貯蔵部を形成しており、この場合、液圧式の車両ブレーキ装置内では潤滑剤はブレーキ液である。
【0024】
図4では、軸受リング13の内周面は、表面構造形成部として、長手方向中央に延在する溝19を有しており、この溝19から短い分岐部20が斜め外方に延在しており、それによって魚骨形模様が得られる。これらの表面構造形成部19,20は、潤滑剤を軸受リング13の内周面に亘って長手方向および横方向に分配する。
【0025】
環状歯車4をタイヤ12なしで軸受リング13に直に回転可能に滑り軸受けすることも可能である(図示せず)。
【符号の説明】
【0026】
1 内接型ギヤポンプ
2 液圧ブロック
3 ポンプハウジング
4 環状歯車
5 外歯を有する歯車
6 ポンプ軸
7 分離部材
8 吸入室
9 吐出室
10 支持部
11 中空室
12 タイヤ
13 軸受リング
14 円周箇所、円周の一箇所
15 回り止め部材
16 切欠
17 拡開部材
18 凹部
19 溝
20 分岐部
図1
図2
図3
図4