(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1カフス形成布と前記第3カフス形成布の継ぎ目は、前記ボタンを前記ボタンホールで留めたときに、前記第1カフス形成布の前記ボタンホール側の端部と重なることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャツ。
前記伸縮部材は、前記ボタンを前記ボタンホールで留めたときに、前記ボタンホール内に位置する部分の幅方向が前記ボタンホールの延び方向と同一方向となることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシャツ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した袖まくりを行っても、袖の折り返しが不十分である場合には、作業等を行う際の振動などによって、袖の折り返しが解けてしまい、袖がもとに戻ってしまう場合がある。特に水仕事を行っている最中に袖の折り返しが解けると、袖が作業の邪魔になったり、水等が跳ねて袖に付いたりする場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、従来に比べて袖まくりした場合に、袖まくりが解けにくいシャツを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、カフス
と、剣ボロを備えたシャツであって、弾性を有した伸縮部材と、ボタンを有し、前記カフスは、第1カフス形成布と、第2カフス形成布と、第3カフス形成布を有し
たカフス本体部を備え、前記第1カフス形成布と前記第2カフス形成布と前記第3カフス形成布が縫製されており、
前記剣ボロは、布状の剣ボロ形成部が縫製されて形成されており、前記伸縮部材は、帯状であって、長手方向に伸縮可能であり、さらに長手方向の中間部に前記ボタンが取り付けられており、前記カフスは、前記ボタンと係合可能なボタンホールを備えており、
前記カフス本体部は、前記第1カフス形成布が前記カフス本体部の厚み方向の外側で前記第3カフス形成布と重なり、前記第3カフス形成布が前記カフス本体部の厚み方向の外側で前記第2カフス形成布と重なっており、前記カフス本体部は、前記ボタンを前記ボタンホールで留めたときに、周方向に延び、前記第3カフス形成布が前記第1カフス形成布よりも前記カフス本体部の前記周方向の外側に突出しており、前記伸縮部材は、
前記長手方向を前記周方向に沿わせつつ、その一方の端部が前記第
2カフス形成布と前記第
3カフス形成布に挟まれて縫製され、他方の端部が前記第1カフス形成布と前記第3カフス形成布によって挟まれて縫製されており、前記ボタンは、
前記カフス本体部の厚み方向において、前記第3カフス形成布の外側に位置していることを特徴とするシャツである。
本発明は、カフスと、剣ボロを備えたシャツであって、弾性を有した伸縮部材と、ボタンを有し、前記カフスは、少なくとも2枚の布状のカフス形成部が縫製されて形成されており、前記剣ボロは、布状の剣ボロ形成部が縫製されて形成されており、前記伸縮部材は、帯状であって、長手方向に伸縮可能であり、さらに長手方向の中間部に前記ボタンが取り付けられており、前記伸縮部材は、以下(1)〜(4)のいずれかの構成を満たしており、前記カフス又は前記剣ボロは、前記ボタンと係合可能なボタンホールを備えているシャツに関連する。
(1)前記伸縮部材は、長手方向の中間部で折り返され、両端部が前記2枚のカフス形成部によって挟まれて縫製されている。
(2)前記剣ボロ形成部は、中間部で折り返されて2つの覆部を備えており、前記伸縮部材は、長手方向の中間部で折り返され、両端部が前記2つの覆部によって挟まれて縫製されている。
(3)前記伸縮部材は、一方の端部が前記2枚のカフス形成部に挟まれており、他方の端部が前記2枚のカフス形成部の一方のカフス形成部と、前記2枚のカフス形成部とは異なるカフス形成部によって挟まれて縫製されている。
(4)前記剣ボロ形成部は、中間部で折り返されて2つの覆部を備えており、前記伸縮部材は、一方の端部が前記2枚のカフス形成部に挟まれており、他方の端部が前記2つの覆部に挟まれて縫製されている。
【0007】
ここでいう「剣ボロ」とは、上ボロと下ボロを合わせたものをいう。
ここでいう「中間部」とは、端部以外の部位をいい、両端部の間の部分をいう。
【0008】
上記の構成によれば、カフス又は剣ボロに伸縮部材を介してボタンが取り付けられているので、ボタンをボタンホールに取り付けた状態で袖口を拡げることが可能である。そのため、ボタンをボタンホールに取り付けた状態で袖まくりが可能となる。
上記の構成によれば、弾性を有した伸縮部材にボタンが取り付けられ、伸縮部材の両端部が2枚の形成部によって挟まれて縫製されているので、ボタンをボタンホールで留めた状態で袖まくりした場合に、復元力が働き、ぴったりと腕に袖が貼りつき袖が解けにくい。また、伸縮部材の中間部にボタンを取り付けているので、端部にボタンを取り付けた場合に比べて、伸縮力が強く働き、伸縮部材が伸びきりにくい。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記伸縮部材は、幅が厚みよりも長い帯状体であり、前記ボタンは、パラシュートボタンであって、前記伸縮部材の中間部を挿入可能な一対のスリット溝を備えており、前記伸縮部材は、前記スリット溝内に位置する部分の幅方向が当該スリット溝の延び方向
と同一方向となることを特徴とする請求項1に記載のシャツである。
本発明は、前記伸縮部材は、幅が厚みよりも長い帯状体であり、前記ボタンは、パラシュートボタンであって、前記伸縮部材の中間部を挿入可能な一対のスリット溝を備えており、前記伸縮部材は、前記スリット溝内に位置する部分の幅方向が当該スリット溝の延び方向と実質的に同一方向となることに関連する。
【0010】
本発明の構成によれば、伸縮部材にボタンをしっかりと取り付けることができる。
請求項3に記載の発明は、前記第1カフス形成布と前記第3カフス形成布の継ぎ目は、前記ボタンを前記ボタンホールで留めたときに、前記第1カフス形成布の前記ボタンホール側の端部と重なることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャツである。
【0011】
上記の発明は、前記伸縮部材の中間部は、前記カフスの縁又は前記剣ボロの縁から外側に向かって張り出しており、前記ボタンは、前記伸縮部材の張出方向の端部に取り付けられてい
てもよい。
【0012】
この構成によれば、ボタンがカフス又は剣ボロの縁から離れた位置に設けられているため、着用時にボタンをボタンホールに留めやすい。
【0013】
上記の発明は、前記カフスは、前記カフス形成部に縫い付けられる第2ボタンと、前記第2ボタンと係合可能な第2ボタンホールを有し、前記伸縮部材の前記カフスの縁からの張出長さは、前記第2ボタンホールの前記カフスの縁からの距離の0.8倍以上1.2倍以下であ
ってもよい。
【0014】
この構成によれば、第2ボタンを第2ボタンホールに取り付けたときに、伸縮部材の大部分又は全部がカフスによって隠され、デザイン性が高い。
【0015】
上記の発明は、前記カフスは、前記カフス形成部に縫い付けられる第2ボタンと、前記第2ボタンと係合可能な第2ボタンホールを有し、前記伸縮部材は、前記第2ボタンを前記第2ボタンホールで留めたときに、前記カフスの一部又は前記剣ボロの一部に隠されており、前記ボタンを平面視したときに、実質的に視認不能となって
いてもよい。
【0016】
ここでいう「実質的に視認不能」とは、通常の使用状態では直接視界に入らないことをいう。
【0017】
この構成によれば、伸縮部材がカフス又は剣ボロによって隠されているので、伸縮部材に取り付けられたボタンを通常のボタンが付いているように見せることができ、デザイン性が高い。
【0018】
上記の発明は、前記カフスは、前記ボタンホールと、カフス形成部に縫い付けられる第2ボタンと、前記第2ボタンと係合可能な第2ボタンホールを有し、前記ボタンホールと前記第2ボタンホールは、いずれもスリット溝であり、前記ボタンホールは、袖丈方向において前記第2ボタンホールよりも前記剣ボロ側に位置し、かつ、前記第2ボタンホールとは異なる方向に延びてい
てもよい。
【0019】
この構成によれば、カフスにボタンホールと第2ボタンホールが存在し、ボタンホールが第2ボタンホールよりも剣ボロ側に位置するため、第2ボタンを締めたときに、伸縮部材がカフスの一部で隠れて見えにくくできる。
また、
この構成によれば、ボタンホールと第2ボタンホールが別方向に延びているため、第2ボタンを第2ボタンホールから外す際に、連動してボタンがボタンホールから外れることを防止できる。
【0020】
請求項
4に記載の発明は、前記伸縮部材は、前記ボタンを前記ボタンホールで留めたときに、前記ボタンホール内に位置する部分の幅方向が前記ボタンホールの延び方向と実質的に同一方向となることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれかに記載のシャツである。
本発明は、前記伸縮部材は、前記ボタンを前記ボタンホールで留めたときに、前記ボタンホール内に位置する部分の幅方向が前記ボタンホールの延び方向と実質的に同一方向となることに関連する。
【0021】
本発明の構成によれば、ボタンをボタンホールに留めやすく、外しやすい。
【0022】
本発明は、カフスと、剣ボロを備えたシャツであって、伸縮部材と、パラシュートボタンを有したボタンユニットを有し、前記伸縮部材は、幅が厚みよりも長い帯状体であって長手方向に伸縮可能であり、前記パラシュートボタンは、一対のスリット溝を有し、前記伸縮部材の中間部が前記一対のスリット溝を通過して前記伸縮部材に対して取り付けられており、前記スリット溝の延び方向は、前記伸縮部材の前記スリット溝内に位置する部分の幅方向と実質的に同一方向となっており、前記ボタンユニットは、前記カフス又は前記剣ボロに取り付けられ、前記カフス又は前記剣ボロは、前記パラシュートボタンと係合可能なボタンホールを備えてい
るシャツ
に関連する。
【0023】
この構成によれば、伸縮部材を介してパラシュートボタンが取り付けられているので、パラシュートボタンをボタンホールで留めた状態で袖口を拡げることが可能であり、パラシュートボタンをボタンホールで留めた状態で袖まくりが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のシャツによれば、従来に比べて、袖まくりを行ったときに、袖まくりが解けにくい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、上下前後左右については、着用者が通常姿勢で着用した状態を基準とする。
【0027】
本発明の第1実施形態のシャツ1は、長袖のワイシャツであり、
図1,
図2から読み取れるように、主要構成部位として、身頃2と、肩ヨーク3と、衿5と、袖6を備え、これらの各部分が裁断した布状の生地を縫製することで形成されている。
本実施形態の袖6は、
図3のように、ガントレットボタン33、パラシュートボタン55、及びボタン51(又はボタン52)と、それぞれに対応するボタンホール27,61,60を備えている。
そして、本実施形態の袖6は、ボタン33,55,51とボタンホール27,61,60の係合により、少なくとも、
図7に示される非係合状態と、袖まくり可能状態と、係合状態とに変更することが可能となっており、本実施形態のシャツ1は、この袖まくり可能状態の構造に主な特徴を有している。
そこで、以下の説明においては、袖6の構造を重点的に説明し、その他の構造については簡単に説明する。
【0028】
身頃2は、主に着用者の胴体を覆うものであり、
図1に示される一対の前身頃10,11と、
図2に示される後身頃12から構成されている。
【0029】
肩ヨーク3は、肩から背中にかけての切り替え部であり、前身頃10,11と後身頃12を接続する部分である。
衿5は、肩ヨーク3及び前身頃10,11に取り付けられ、着用者の首の周囲を囲む部位である。
【0030】
袖6は、着用者の腕を覆う部位であり、筒状に延びた部位である。
上記したように袖6は、シャツ1の主な特徴をもつ部位であり、少なくとも非係合状態と、袖まくり可能状態と、係合状態とに変更することが可能となっている。
非係合状態は、
図7(a)に示されるように、ガントレットボタン33、パラシュートボタン55、及びボタン51,52をボタンホール27,61,60から外した状態である。
袖まくり状態は、
図7(b)に示されるように、ガントレットボタン33及びパラシュートボタン55をボタンホール27,61に係合させて袖6を締めた状態であり、着用者が袖まくりを好適に実施できる状態である。
係合状態は、
図7(c)に示されるように、ガントレットボタン33、パラシュートボタン55、及びボタン51(又はボタン52)をボタンホール27,61,60で留めた状態である。
【0031】
袖6は、
図3に示されるように、主要構成部位として、袖本体15と、剣ボロ16と、カフス17を備えている。
袖本体15は、
図1,
図2に示されるように、袖6の大部分を構成する部位であり、基端部(一方の端部)が身頃2及び肩ヨーク3で構成されるアームホール13に接続されており、先端部(他方の端部)側に剣ボロ16及びカフス17が取り付けられている。
袖本体15は、
図3,
図5から読み取れるように、先端部(カフス7側端部)から基端部側(アームホール13側)に向かって袖丈方向Sに直線状に延びた切り込み18が形成されている。
【0032】
剣ボロ16は、
図5のように、袖本体15の切り込み18の縁部40,41を覆うように取り付けられる部位であり、上ボロ20と、下ボロ21から構成されている。
上ボロ20は、下ボロ21とともに剣ボロ16を形成する剣ボロ形成部であって、カフス17のボタン51を締めたときに、下ボロ21の外側を覆う部位である。
上ボロ20は、
図4,
図5のように、切り込み18の一方の縁部40に沿って延びた布体であり、縁部40を覆うように幅方向中央部が折り返され、当該折り返し部分22を境界として表面側覆部25と裏面側覆部26が形成されている。
表面側覆部25は、袖本体15の表側を覆う部位であり、剣先がアームホール13側を向いて延びた剣状の部位である。
裏面側覆部26は、袖本体15の裏側を覆う部位であり、長辺方向が表面側覆部25の延び方向と同一方向を向いた長方形状の部位である。
【0033】
上ボロ20は、長手方向の中間部にボタンホール27を備えている。
ボタンホール27は、下ボロ21のガントレットボタン33と係合可能な係合孔であり、上ボロ20の長手方向にスリット状に延びたスリット溝である。
ボタンホール27は、表面側覆部25及び裏面側覆部26に跨って設けられ、上ボロ20を厚み方向(表面側覆部25と裏面側覆部26の重なり方向)に貫通した貫通孔である。
ボタンホール27は、上ボロ20の長手方向の中央部から4cmの範囲に設けられることが好ましい。
この範囲であれば、ガントレットボタン33を留めた状態で上ボロ20と下ボロ21の間隔が広がりすぎることを防止できる。
【0034】
下ボロ21は、
図4,
図5のように、上ボロ20と対をなし、切り込み18の他方の縁部41に沿って延びた布体である。
下ボロ21は、縁部41を覆うように幅方向中央部が折り返され、折り返し部分30を境界として表面側覆部31と裏面側覆部32が形成されている。
表面側覆部31及び裏面側覆部32は、いずれも長方形状の部位であって、長辺方向が同一方向となっており、上ボロ20の表面側覆部25及び裏面側覆部26のいずれの幅(短辺の長さ)よりも幅(短辺の長さ)が狭くなっている。
【0035】
下ボロ21は、長手方向の中間部にガントレットボタン33を備えている。
ガントレットボタン33は、上ボロ20のボタンホール27と対をなす円板状のボタンであり、その中央部分が表面側覆部31、袖本体15、及び裏面側覆部32に天然繊維製又は合成繊維製の糸で取り付けられている。ガントレットボタン33は、係合状態において上ボロ20のボタンホール27と対応する位置に設けられている。
なお、特に断りのない限り、以下の説明において、単に「糸」と記載した場合は、天然繊維製又は合成繊維製の糸をいう。
【0036】
カフス17は、袖6の袖口を構成する部位であり、
図4のように、カフス本体部50と、ボタン51,52と、ボタンユニット54を備えている。
【0037】
カフス本体部50は、
図4に示されるように、少なくとも2枚のカフス形成布56,57が重ねられ縫い付けられて形成されており、ボタンホール60,61を備えている。
カフス形成布56,57は、帯状に延びた略長方形状の布体であり、カフス本体部50を形成するカフス形成部である。
【0038】
ボタンホール60(第2ボタンホール)は、ボタン51,52のそれぞれと係合可能な係合孔であり、カフス本体部50の延び方向(周方向C)にスリット状に延びたスリット溝である。ボタンホール60は、カフス形成布56,57に跨って設けられ、カフス本体部50の厚み方向(カフス形成布56,57の重なり方向)に貫通した貫通孔でもある。
ボタンホール60は、カフス本体部50の周方向Cの端部を構成する縁部82から0.5cm〜1.5cmの間に設けられることが好ましい。
【0039】
ボタンホール61は、パラシュートボタン55と係合可能な係合孔であり、カフス本体部50の延び方向に対する交差方向(本実施形態では直交方向)にスリット状に延びたスリット溝である。すなわち、ボタンホール60とボタンホール61は、異なる方向に延びており、その延び方向同士が交差する関係となっている。
ボタンホール61は、カフス形成布56,57に跨って設けられ、カフス本体部50の厚み方向(カフス形成布56,57の重なり方向)に貫通した貫通孔でもある。
ボタンホール61は、カフス本体部50の周方向Cの端部を構成する縁部82から0.5cm〜1.5cmの間に設けられることが好ましい。
【0040】
ボタン51,52は、袖口の開口面積を調整するためのボタンであり、いずれもボタンホール60と係合可能なボタンである。ボタン51,52は、カフス形成布56に糸で取り付けられており、カフス形成布56の延び方向(周方向C)に間隔を空けて並んでいる。
【0041】
ボタンユニット54は、伸縮部材53と、パラシュートボタン55から構成されており、伸縮部材53をパラシュートボタン55の溝部65,66に通したものである。
伸縮部材53は、幅をもち、帯状に延びた帯状体であり、自己の延び方向に伸縮可能な弾性体である。
伸縮部材53は、弾性をもち、自己の延び方向に伸縮可能なものであれば、特に限定されない。伸縮部材53としては、例えば、平ゴムが採用できる。
【0042】
パラシュートボタン55は、
図6に示されるように、伸縮部材53の中間部に取り付け可能なボタンであり、一対の溝部65,66を備えている。
一対の溝部65,66は、ともに伸縮部材53の中間部を挿入可能なスリット溝であり、厚み方向に貫通した貫通溝である。
一対の溝部65,66は、所定の間隔を空けて配されており、ともに延び方向が同一方向を向いており、平行となっている。すなわち、パラシュートボタン55は、一対の溝部65,66に挟まれた係合部67が形成されている。
係合部67は、伸縮部材53の折り返し部70と係合可能な部位であり、パラシュートボタン55の縁よりも中央側にあって両端が支持された棒状部位である。
【0043】
続いて、本実施形態のシャツ1において各状態における袖6の各部位の位置関係について説明する。まず、ボタン33,55,51,52をボタンホール27,60,61から外した非係合状態について説明する。
【0044】
袖本体15は、
図1,
図2に示されるように、基端部がアームホール13に対して縫製されており、先端部がカフス17と縫製されている。
袖本体15の先端部側に形成された切り込み18の一方の縁部40には、
図4,
図5から読み取れるように、折り返し部分22が被さるように上ボロ20が糸で縫製されており、切り込み18近傍は、上ボロ20の表面側覆部25及び裏面側覆部26に挟まれている。すなわち、切り込み18の一方の縁部40は、上ボロ20で保護されている。
一方、切り込み18の他方の縁部41には、折り返し部分30が被さるように下ボロ21が糸で縫製されており、切り込み18近傍は、下ボロ21の表面側覆部31及び裏面側覆部32に挟まれている。すなわち、切り込み18の他方の縁部41は、下ボロ21で保護されている。
上ボロ20の基端部と下ボロ21の基端部は、切り込み18の基端部近傍で袖本体15を挟むように重なり部をもって縫製されている。
【0045】
カフス形成布56,57は、各縁に沿って内側に折り返されており、折り返し部分同士が対向するように重ねられている。そして、カフス形成布56,57は、
図3,
図4から読み取れるように、袖本体15の先端部(袖口側端部)と上ボロ20の先端部、及び袖本体15の先端部と下ボロ21の先端部のそれぞれを挟むように糸で縫製されている。
【0046】
ボタンユニット54は、伸縮部材53が
図6のように中間部で折り返され、両端部がカフス形成布56,57に挟まれて縫い付けられている。すなわち、伸縮部材53は、折り返し部70で同一方向に折り返され、折り返し部70を基準として一方側を構成する第1本体部71と、他方側を構成する第2本体部72が形成されている。
【0047】
ボタンユニット54は、
図6に示されるように、伸縮部材53の第1本体部71の端部と第2本体部72の端部が厚み方向に重なっており、当該重なり部分がカフス形成布56,57に挟まれている。
カフス形成布56、第1本体部71、第2本体部72、及びカフス形成布57の重なり部分には、縫い目75,76が形成されている。
縫い目75,76は、伸縮部材53の幅方向(剣ボロ16の延び方向)に延びた縫い目であり、少なくともカフス形成布56、第1本体部71、第2本体部72、及びカフス形成布57に跨って糸で縫われた縫い目である。
また、カフス形成布56、第1本体部71、第2本体部72、及び袖本体15の重なり部分には、縫い目77が形成されている。
縫い目77は、伸縮部材53の長さ方向(剣ボロ16の延び方向とは直交方向)に延びた縫い目であり、少なくともカフス形成布56、第1本体部71、第2本体部72、及び袖本体15に跨って糸で縫われた縫い目である。
なお、縫い目76は、必要に応じて袖本体15にも跨って縫われて設けられてもよいし、縫い目77は、必要に応じて袖カフス形成布57にも跨って縫われて設けられてもよい。
【0048】
ボタンユニット54は、カフス本体部50によって片持ち状に支持されている。すなわち、伸縮部材53の折り返し部70は、カフス本体部50の縁部81から外側に向かって張り出して自由端を構成しており、パラシュートボタン55が取り付けられている。
折り返し部70の縁部81からの張出長さは、反対側の縁部82に最も近接するボタンホール61の縁部82からの距離の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下であることがより好ましい。
この範囲であれば、ボタン51をボタンホール60で留めたときに、概ね伸縮部材53がカフス本体部50で隠れ、デザイン性が高い。
【0049】
続いて、ボタン33,55をボタンホール27,61に係合させて留めた袖まくり可能状態に変更した場合について説明する。
【0050】
伸縮部材53は、
図8(a)に示されるように、周方向Cにおけるカフス17の一方の端部をなす縁部81から他方の端部をなす縁部82側に跨って延びている。カフス本体部50の縁部81は、平面視したときに縁部82と厚み方向に概ね揃っている。すなわち、伸縮部材53は、カフス本体部50の縁部82側の部分に隠されている。
【0051】
この袖まくり状態では、袖口側のカフス17の開きが伸縮部材53で制限された状態となっており、伸縮部材53の弾性変形の範囲内において、カフス17の縁部81,82間の距離が変動可能となっている。
そして、着用者が袖まくりすることで伸縮部材53は弾性変形して延び、その復元力によって着用者の腕を締める方向に力が働く。そのため、着用者が袖まくりをした場合に着用者の腕にぴったりと袖6がはりつき、袖まくりが解けにくい。
【0052】
続いて、ボタン33,55,51をボタンホール27,61,60に係合させて留めた係合状態について説明する。
【0053】
カフス17の一方の端部側(縁部81側)は、パラシュートボタン55がボタンホール61に留められた状態で、他方の端部側(縁部82側)と厚み方向に重なっており、ボタン51は、ボタンホール60と係合して留められている。
伸縮部材53は、
図8(b)に示されるように、張出方向の基端部が折り返されており、先端部側でさらに折り曲げられている。すなわち、伸縮部材53は、平面視したときに、カフス17の一方の端部側(縁部81側)の部分とカフス17の他方の端部側(縁部82側)の部分に重なり部分が存在し、伸縮部材53は、当該部分に配されている。
【0054】
伸縮部材53のカフス本体部50の縁部81からの露出部分は、
図8(b)から読み取れるように、その大部分がカフス本体部50で覆われて隠されており、パラシュートボタン55を平面視したときに実質的に視認不能となっている。そのため、外面上、カフス17上に伸縮部材53が現れず、パラシュートボタン55のみが外面に現れるので、デザイン性が高い。
【0055】
本実施形態のシャツ1によれば、伸縮部材53を介してパラシュートボタン55が取り付けられているので、
図9(a)のように、ボタン51を外し、袖まくり可能状態とすることで、
図9(b)のようにパラシュートボタン55を留めた状態で袖口の開口面積を大きくすることができ、袖まくりを行いやすい。
また、伸縮部材53の復元力の範囲でカフス本体部50の縁部81,82間が近接する方向、すなわち、袖口の開口が狭まる方向に力が働くため、腕に袖本体15がぴったりとはりつき、袖まくりが解けにくい。
【0056】
本実施形態のシャツ1によれば、ボタン51,52とは別にパラシュートボタン55を設けている。そのため、仮に長年の使用等により、パラシュートボタン55を支持する伸縮部材53が劣化し、伸びきって塑性変形してしまった場合でも、ハサミ等でパラシュートボタン55ごと伸縮部材53の基端部から切り取ることで通常のシャツとして使用することができる。
【0057】
続いて、本発明の第2実施形態のシャツについて説明する。なお、第1実施形態のシャツ1と同様の構成については、同一の付番を付して説明を省略する。以下、各実施形態も同様とする。
【0058】
第2実施形態のシャツは、第1実施形態のシャツ1とカフスの形状が異なる。
第2実施形態のカフス101は、
図10に示されるように、カフス本体部150と、ボタンユニット154を備えている。
【0059】
カフス本体部150は、
図12に示されるように、3枚のカフス形成布156,157,158が重なって構成されており、ボタンホール160を備えている。
カフス形成布156,157は、帯状に延びた略長方形状の布体であり、カフス形成布158は、略長方形状の布体である。
ボタンホール160は、パラシュートボタン55と係合可能な係合孔であり、カフス本体部150の延び方向に対して交差方向(本実施形態では、直交方向)にスリット状に延びたスリット溝である。ボタンホール160は、カフス形成布156,157に跨って設けられ、カフス本体部150の厚み方向(カフス形成布156,157の重なり方向)に貫通した貫通孔である。
【0060】
ボタンユニット154は、第1実施形態のボタンユニット54と同様、伸縮部材53と、パラシュートボタン55から構成されている。
ボタンユニット154は、伸縮部材53の両端部がパラシュートボタン55から離反する方向に延びている。すなわち、伸縮部材53の第1本体部71と第2本体部72は基端側(カフス本体部150側)に向かうにつれて広がっている。
【0061】
続いて、本実施形態のシャツにおいて、各状態における袖の各部位の位置関係について説明する。まず、ボタン33,55をボタンホール27,160から外した非係合状態について説明する。
【0062】
カフス形成布156,157,158は、
図11に示されるようにそれぞれ縁に沿って内側に折り返されており、折り返し部分同士が対向するように重ねられている。
ボタンユニット154は、
図10,
図11から読み取れるように、伸縮部材53の中間部がパラシュートボタン55の各溝部65,66を通過し、一方の端部がカフス形成布15
8,157に挟まれて糸で縫製されて縫い目175が形成されており、他方の端部がカフス形成布156,158に挟まれて糸で縫製されて縫い目176,177が形成されている。
縫い目175,176,177は、いずれも伸縮部材53の伸縮方向に対して交差する方向(本実施形態では直交方向)に延びている。
伸縮部材53及びパラシュートボタン55は、厚み方向のカフス形成布158の外側で各カフス形成布156〜158で支持されている。
【0063】
続いて、ボタン33,55をボタンホール27,160に係合させて留めた係合状態(袖まくり可能状態)について説明する。
【0064】
カフス形成布156,157で形成される周方向Cの一方の縁部181は、
図10に示されるように、カフス形成布158とカフス形成布156の継ぎ目180と厚み方向に揃っている。すなわち、カフス形成布158は、周方向Cにおける大部分又は全部が、カフス本体部150の一方の端部側の部位に覆われている。そのため、伸縮部材53が縮んだ状態では、カフス形成布158は実質的に視認不能となっている。
【0065】
第2実施形態のシャツによれば、ボタンユニット154の両端がカフス形成布156,157及びカフス形成布157,158に挟まれて支持されているので、パラシュートボタン55を留めた状態で袖まくりすると、伸縮部材53がカフス形成布158と重なる位置にあってカフス形成布158とは離反する方向に伸びる。すなわち、カフス101の重なり方向に伸びて袖口の開口面積が広がる。そのため、パラシュートボタン55を外さずとも袖まくりできる。
【0066】
第2実施形態のシャツによれば、ボタンユニット154の両端がカフス形成布156,157及びカフス形成布157,158に挟まれており、さらにカフス101に重なるように配されるので、パラシュートボタン55がカフス101の縁部81から張り出さず、カフス本体部150上にあって近い位置に配されることになり、邪魔になりにくい。
【0067】
第2実施形態のシャツによれば、係合状態において、カフス形成布158とカフス形成布156の継ぎ目180がカフス形成布156のボタンホール160側の端部と重なるため、継ぎ目180が見えにくく、通常のシャツのカフスと実質的に同様の外観とすることができる。
【0068】
続いて、第3実施形態のシャツについて説明する。
【0069】
第3実施形態のシャツは、第1実施形態のシャツ1と袖の形状が異なり、
図13に示されるように、剣ボロ16に複数のボタンユニット154,154が設けられている。
ボタンユニット154は、伸縮部材53の中間部がパラシュートボタン55の各溝部65,66を通過し、下ボロ21の幅方向の両端部を回りこむように取り付けられている。具体的には、伸縮部材53の一方の端部側は、下ボロ21の表面側から幅方向の一方側端部を経て裏面側に回り込んでおり、下ボロ21と袖本体15に挟まれた状態で糸によって縫製されて縫い目275が形成されている。伸縮部材53の他方の端部側は、下ボロ21の表面側から幅方向の反対側端部を経て裏面側に回り込んでおり、下ボロ21と袖本体15に挟まれた状態で糸によって縫製されて縫い目276が形成されている。
縫い目275,276は、いずれも伸縮部材53の伸縮方向に対して交差する方向(本実施形態では直交方向)に延びている。
【0070】
ボタンホール227,227は、パラシュートボタン55,55を留めたときに、長手方向が伸縮部材53,53の幅方向と一致している。具体的には、ボタンホール227,227は、ともに袖丈方向に延びている。
【0071】
第3実施形態のシャツによれば、ボタンユニット154の両端が下ボロ21を回りこむように、下ボロ21と袖本体15に挟まれているので、パラシュートボタン55を留めた状態で袖まくりしたときに、伸縮部材53が下ボロ21と重なる位置にあって下ボロ21とは離反する方向に伸びて上ボロ20と下ボロ21との間隔が広がる。そのため、パラシュートボタン55を外さずとも袖まくりできる。
【0072】
第3実施形態のシャツによれば、複数のパラシュートボタン55,55で留めるため、着用者の腕の太さにかかわらず、パラシュートボタン55,55をガントレットボタンとして機能させることができる。
【0073】
続いて、第4実施形態のシャツについて説明する。
【0074】
第4実施形態のシャツは、第3実施形態のカフス17側のボタンユニット154の代わりにボタンユニット54が取り付けられている。
具体的には、第4実施形態のシャツは、
図14のように、カフス17と剣ボロ16の境界部分にボタンユニット54が取り付けられている。
ボタンユニット54は、カフス17から下ボロ21の延び方向(袖丈方向)に張り出している。
ボタンユニット54は、伸縮部材53の両端部がカフス17と剣ボロ16に挟まれた状態で、糸で縫製されて縫い目300が形成されている。
縫い目300は、伸縮部材53の伸縮方向に対して交差する方向(本実施形態では直交方向)に延びている。
【0075】
ボタンホール327,227は、対応するボタンユニット54,154のパラシュートボタン55,55を留めたときに、長手方向が伸縮部材53,53の幅方向と一致している。すなわち、ボタンホール327は、ボタンホール227と交差する方向(本実施形態では直交方向)に延びている。
【0076】
第4本実施形態のシャツによれば、ボタンホール327,227の延び方向が異なるため、ボタンユニット54のパラシュートボタン55を外す際に、連動してボタンユニット154のパラシュートボタン55が外れることを防止できる。
【0077】
続いて、第5実施形態のシャツについて説明する。
【0078】
第5実施形態のシャツは、
図15に示されるように、下ボロ21にボタンユニット354が設けられている。
ボタンユニット354は、一つの伸縮部材53に複数のパラシュートボタン55,55が取り付けられたものである。ボタンユニット354は、伸縮部材53がカフス17から下ボロ21の延び方向に延びており、その中間部がそれぞれのパラシュートボタン55の各溝部65,66を通過している。
伸縮部材53の一方の端部は、カフス17と下ボロ21に挟まれた状態で糸によって縫製されて縫い目350が形成されており、他方の端部は、上ボロ20と下ボロ21に挟まれた状態で糸によって縫製されて縫い目351が形成されている。
各パラシュートボタン55,55は、伸縮部材53の延び方向に所定の間隔を空けて配されている。
伸縮部材53の延び方向において、パラシュートボタン55,55の間及びパラシュートボタン55の外側では、糸により伸縮部材53が袖本体15に対して縫い付けられており、縫い目353,353,353が形成されている。すなわち、各パラシュートボタン55は、隣接する縫い目353,353に挟まれている。
【0079】
ボタンホール327,327は、パラシュートボタン55,55を留めたときに各パラシュートボタン55,55に対応するように設けられており、長手方向が伸縮部材53の幅方向と一致している。具体的には、ボタンホール327,327は、ともに同一方向に延びている。
【0080】
第5実施形態のシャツによれば、伸縮部材53が縫い目353によって下ボロ21に固定されており、縫い目353は各パラシュートボタン55,55を挟むように間隔を空けて設けられているので、パラシュートボタン55,55を留めた状態で袖まくりしたときに、伸縮部材53は、縫い目353,353を起点としてパラシュートボタン55が離れる方向に伸びて上ボロ20と下ボロ21との間隔が広がる。そのため、パラシュートボタン55を外さずとも袖まくりできる。
【0081】
続いて、第6実施形態のシャツについて説明する。
【0082】
第6実施形態のシャツのカフス本体部400は、
図16,
図17から読み取れるように、3枚のカフス形成布456,457,458が重なって構成されており、ボタンホール60と、ボタンユニット54と、挿通孔460を備えている。
カフス形成布456,457は、
図17に示されるように、帯状に延びた略長方形状の布体であり、カフス形成布458は、略長方形状の布体である。
挿通孔460は、ボタンユニット54を挿通可能であって、カフス形成布456,458に跨って設けられた連通孔である。
挿通孔460は、カフス本体部400を厚み方向に貫通した貫通孔であり、袖丈方向にスリット状に延びたスリット溝である。
挿通孔460は、パラシュートボタン55をボタンホール60に留めたときにボタンホール60と交差する方向(本実施形態では直交方向)に延びている。
ボタンユニット54は、
図16に示されるように、伸縮部材53がカフス形成布456,458の挿通孔460を通過し、両端部がカフス形成布457,458に挟まれた状態で、糸によって縫製されて縫い目461が形成されている。
【0083】
第6実施形態のシャツによれば、伸縮部材53がカフス本体部400の裏側で縫い目461によって固定されており、縫い目461は挿通孔460から離れた位置に設けられているので、パラシュートボタン55を留めた状態で袖まくりしたときに、伸縮部材53は、縫い目461を起点としてパラシュートボタン55が挿通孔460から離れる方向に伸びて縁部81,82の間隔が広がる。そのため、パラシュートボタン55を外さずとも袖まくりできる。
【0084】
第6実施形態のシャツによれば、縫い目461がカフス形成布456で隠されており、さらに挿通孔460から伸縮部材53が張り出した形状となるため、伸縮部材53の端部が見えにくく、デザイン性が高い。
【0085】
続いて、第7実施形態のシャツについて説明する。
【0086】
第7実施形態のシャツのカフス本体部500は、
図18に示されるように、4枚のカフス形成布556,557,558,559が重なって構成されており、ボタン51と、ボタンホール60と、ボタンユニット154を備えている。
ボタンユニット154は、カフス形成布558上に設けられ、その一方の端部がカフス形成布558の一方の端部とともにカフス形成布557,559に挟まれて糸で縫製されて縫い目575が形成されており、他方の端部がカフス形成布558の他方の端部とともにカフス形成布557,556に挟まれて糸で縫製されて縫い目576が形成されている。
【0087】
続いて、第8実施形態のシャツについて説明する。
【0088】
第8実施形態のシャツの袖600は、
図19に示されるように、ボタンユニット154の伸縮部材53が下ボロ601の表面側覆部31に隠されるように取り付けられるものである。袖600は、下ボロ601の表面側覆部31に挿通孔605が形成されている。
挿通孔605は、ボタンユニット154を挿通可能な穴であって、表面側覆部31を厚み方向に貫通した貫通孔である。挿通孔605は、スリット溝であって、パラシュートボタン55をボタンホール327に留めたときにボタンホール327と同一方向に延びている。
ボタンユニット154は、
図19のように、伸縮部材53が表面側覆部31の表面側(パラシュートボタン55側)から挿通孔605を通過して裏面側(袖本体15側)に至っており、表面側覆部31と袖本体15の間を這っている。
そして、伸縮部材53の一方の端部は、袖本体15とともに表面側覆部31と裏面側覆部32に挟まれており、さらに表面側覆部31と裏面側覆部32の外側をカフス形成布56,57に挟まれている。そして、これらが糸で縫製されて縫い目350が形成されている。伸縮部材53の他方の端部は、袖本体15とともに表面側覆部31と裏面側覆部32に挟まれており、糸で縫製されて縫い目351が形成されている。
【0089】
第8実施形態の袖600によれば、伸縮部材53の大部分が表面側覆部31で覆われており、実質的にパラシュートボタン55及びその近傍のみしか露出しない。そのため、通常のガントレットボタン33と変わらない外観にできる。
【0090】
上記した第1実施形態では、ボタンユニット54をカフス形成布56,57に挟んで固定したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図20(a),
図20(b)に示されるように、下ボロ21と袖本体15とで挟んで固定してもよい。この場合、伸縮部材53の下ボロ21からの張出方向は特に限定されない。例えば、ボタンユニット54は、
図20(a)のように切り込み18と反対側から張り出すように伸縮部材53の両端部を袖本体15と下ボロ21に挟んで固定しても良いし、
図20(b)のように切り込み18側から張り出すように伸縮部材53の両端部を袖本体15と下ボロ21に挟んで固定しても良い。
【0091】
上記した第1実施形態では、袖口を締めるためのボタンホール60と係合可能なボタンとして2つのボタン51,52を使用していたが、本発明はこれに限定されるものではない。ボタンホール60と係合可能なボタンは1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0092】
上記した第2実施形態では、カフス形成布158を横切るようにボタンユニット154が取り付けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、
図21のように、伸縮部材53の両端部がカフス形成布156,157に挟まれ、カフス形成布158に被さるようにボタンユニット54を取り付けてもよい。
【0093】
上記した第3実施形態では、剣ボロ16に2つのボタン55,55を設けていたが、本発明はこれに限定されるものではない。一つのパラシュートボタン55が設けられていてもよいし、3以上のパラシュートボタン55が設けられていてもよい。
【0094】
上記した実施形態では、伸縮部材53の中間部に取り付けるボタンとしてパラシュートボタン55を使用したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、
図22のように、パラシュートボタン55の代わりに、糸等の取付部材701によって、2つ穴ボタンや3つ穴ボタン、4つ穴ボタン等の複数穴ボタン、その他一般に使用されている通常のボタン700(
図22では一例として4つ穴ボタンを図示している)を伸縮部材53の中間部に取り付けてもよい。また、タックボタンとリベット(取付部材)の組み合わせにより、タックボタンを伸縮部材53の中間部に取り付けてもよい。
また、ボタンの種類や取り付け方に応じて適宜ボタンホール60の延び方向の設定が可能である。例えば、第2実施形態の構造において、
図23のように通常のボタン700を使用する場合には、ボタンホール160は、周方向C(カフス本体部150の延び方向)に延びていてもよい。
【0095】
上記した実施形態では、カフスがシングルカフスの場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
カフスは、コンバーチブルカフスであってもよいし、ダブルカフスであってもよいし、ターンナップカフスであってもよいし、テニスカフスであってもよい。