(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976072
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】空気調和機の室内機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20211118BHJP
F24F 1/0022 20190101ALI20211118BHJP
【FI】
F24F1/0007 401D
F24F1/0022
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-78151(P2017-78151)
(22)【出願日】2017年4月11日
(65)【公開番号】特開2018-179384(P2018-179384A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】尾原 秀司
【審査官】
石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−038490(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/104796(WO,A1)
【文献】
特開2007−285638(JP,A)
【文献】
特開2005−249237(JP,A)
【文献】
特開2017−048954(JP,A)
【文献】
特開2000−205589(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0244403(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0022
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に埋め込まれる空気調和機の室内機であって、
該室内機の上面及び側面を構成する筐体と、
室内の空気を下方から吸い込み、側方に吐き出す遠心送風機と、
該遠心送風機の側方を囲む、直線部と曲げ部で構成された熱交換器と、
該熱交換器の下方に設けられ、結露水を受け止めるドレンパンと、
該ドレンパンの外側壁面と前記筐体の側面の間に設けられた吹出口と、
該吹出口の長手方向端部近傍に、該吹出口の略短手方向を向けて設けた仕切板と、
を具備しており、
該仕切板の上端と前記筐体の上面の間に所定の隙間を設けるとともに、
前記仕切板の下端は前記ドレンパンの外側壁面の上端よりも下方に位置しており、
前記ドレンパンの外側壁面は、前記吹出口の長手方向に凹部を有するものであり、
前記仕切板は、外側端辺が筐体の内面と接触していることを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機の室内機において、
前記仕切板の内側の端部は、前記ドレンパンの外側壁面に接触または更に内側に食い込んでいることを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項3】
請求項1に記載の空気調和機の室内機において、
前記仕切板の水平断面における、該仕切板と吹出口端部の距離が、筐体の外側で大きく、筐体の内側で小さくなっていることを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項4】
請求項1に記載の空気調和機の室内機において、
前記仕切板は前記ドレンパンと一体に形成されていることを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項5】
請求項1に記載の空気調和機の室内機において、
前記仕切板に前記吹出口の短手方向に伸びるスリットを設けたことを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項6】
請求項1に記載の空気調和機の室内機において、
前記仕切板の下端が前記ドレンパンの外側壁面の凹部内に位置するように突出することを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項7】
請求項6に記載の空気調和機の室内機において、
前記仕切板は化粧パネルの吹出口内まで延長されていることを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の空気調和機の室内機において、
前記仕切板の上端と前記筐体の上面の間の隙間の大きさは、
前記ドレンパンの外側壁面の上端と前記筐体の上面の間の距離に対し、略20〜80%であることを特徴とする空気調和機の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内機に関し、特に、筐体内に設けられた遠心送風機を介して、室内から空気を吸い込み、遠心送風機の吹き出し側に設けられた熱交換器を介して空気を冷却または加熱したのち、室内に向けて吹き出す、天井埋込カセットタイプの室内機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な空気調和機は、冷媒が封入された冷媒循環流路に、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒と室内空気を熱交換させる室内熱交換器と、冷媒を減圧する膨張弁と、冷媒と外気を熱交換させる室外熱交換器を順次配設してなる冷凍サイクルを備えている。このうち室外熱交換器は、室外熱交換器に空気を送る送風機と共に室外機の筐体内に格納され、室内熱交換器は、室内熱交換器に室内の空気を送る送風機と共に室内機の筐体内に格納される。
【0003】
室内機としては、据付場所に対応して様々な形態のものがあるが、近年、特に業務用の分野では、筐体を天井内に埋め込み、天井面に設置された化粧パネルを介して空気の吸い込み、吹き出しを行う、いわゆる天井埋込カセットタイプが主流となっている。
【0004】
図11から
図14を用いて、従来の天井埋込カセットタイプの室内機100の一例を説明する。
図10は、従来の室内機100の断面図であり、ここに示すように、室内機100は、化粧パネル1と、化粧パネル1に接続された筐体2を備えている。
【0005】
ここで、化粧パネル1は、中心に吸込みグリル3を備え、その周囲に風向板4を備えた吹出し口5が配設されている。吸込みグリル3は、フィルタ16とともに化粧パネル1から着脱可能であり、フィルタ16の清掃が容易な構造となっている。
【0006】
筐体2内には、モータ6と、そのシャフトに接続された遠心ファン7からなる遠心送風機19が設置され、モータ6を運転することにより遠心ファン7が回転し、矢印15に示す様に、吸込みグリル3、フィルタ16、ベルマウス10を通して、遠心ファン7の吸込口に室内空気が吸い込まれ、矢印18で示されるように遠心ファン7の吐出口より吐出される。また、遠心送風機19の周囲を取り囲むように室内熱交換器8が配置され、遠心ファン7から吐出された空気は室内熱交換器8で熱交換されたあと、矢印117に示すように、上部及び外側が筐体2の内面で形成される吹出流路20を通り、吹出口5より室内に吹出される。
【0007】
また、室内熱交換器8の下部には冷房時に室内熱交換器8に生じる結露水を受けるためのドレンパン9が設置されている。ベルマウス10の下面には室内機100の運転を制御するための図示しない制御基板を収納した電気品箱11が設置されており、吸込みグリル3を開けることにより、容易に電気品箱11のメンテナンスが可能な構造となっている。ベルマウス10はドレンパン9の内周部に下方から取付けられており、遠心ファン7やモータ6の交換などのメンテナンスも吸込みグリル3を開け、ベルマウス10を取り外すことで容易に行える構造となっている。
【0008】
次に、
図12を用いて、
図11の一点鎖線で示した遠心ファン7の回転軸に垂直な断面を説明する。この図は、遠心ファン7の吐出口を通る断面を、上方から見た断面図である。ここに示すように、熱交換器8は、遠心ファン7を取り囲むように直線部と曲げ部で構成されている。また、1つの角部(
図12では左上)には、ドレンパン9に溜まった結露水を室内機100の外に排出するドレンポンプ21が配置されており、熱交換器8はドレンポンプ21を避けるように内側に折り曲げられている。また、別の一つの角部(
図12では右上)には熱交換器8に接続される配管や補器を収納する機械室22が配置される。破線23は、吹出口5の投影であり、吹出口5が室内機100の四辺に配置され、角部には設けられていないことを示している。なお、本図では本発明の理解に説明を要しない、配管や補器等は記載を省略している。
【0009】
遠心ファン7が矢印30のように時計回りに回転すると、空気が矢印18に示すように、遠心ファン7の径方向から回転方向側に傾いた角度で吹出され、熱交換器8を通過したのち、吹出口5に向かうことになる。ここで、吹出口5の開口部に面した熱交換器8の直線部を通過した空気は、矢印117aのように吹出口5から直接吹き出されるが、熱交換器8の曲げ部周辺から吹き出される空気は、矢印117bのように吹出口5の端部側から回り込んで吹き出すことになる。
【0010】
次に、
図13を用いて、
図12の一点鎖線で示した吹出口5を通る断面を説明する。この図は、吹出口5の長手方向に平行な断面を、室内機100の外側方向から見た断面図である。ここに示すように、熱交換器8の曲げ部周辺から吹き出される矢印117bの空気のうち、熱交換器8の下部から吹き出される空気は矢印117cに示すように、ドレンパン9の壁面を一旦乗り越えてから吹出口5に流入する。このとき、ドレンパン9の壁面を乗り越える矢印117cの空気は壁面に沿って曲がりきることができず、結果として吹き出し口の端部に空気がほとんど流れない滞留域130が生じてしまう。
【0011】
次に、
図14を用いて、
図13の一点鎖線で示した吹出口5の端部付近の断面を説明する。この図は、吹出口5の端部付近を垂直方向に切った断面である。熱交換器8の上方を通過した空気は、その方向が水平から下向きに急に曲げられることになるため、その流れは筐体2の外側に偏る傾向がある。吹出口5の中央部では熱交換器8から吹き出す矢印117aの空気の量が十分多いため、吹出口5の幅全体を空気が流れるが、吹出口5の端部付近では、
図12に示したように滞留域130が生じる為、矢印117dに示すように、空気は流れやすい外側に集中し、風向板4の背面側に空気がほとんど流れない滞留域131を生じる。このように吹出口5の出口に滞留域130、131が生じると、室内機100外部の暖かく湿った室内空気を吹出口5に巻き込み、吹出口5付近の風向板4や化粧パネル1に結露を生じやすくなってしまう問題があった。
【0012】
このような問題を解決するため、特許文献1では、同文献の
図1、
図2中の符号31に示す位置に、熱交換器の外周側に吹出口短手方向に沿って流路を仕切る仕切板を設け、吹出口端部付近を流れる空気の流量を増やしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2015−158318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1のように、仕切板を空気調和気の吹出流路の上部から下部まで全てに設けると、熱交換器の角部を通過した空気が全て吹出口端部の狭い開口部を通らなければならず、圧力損失が大きくなり風量が低下するなど送風性能が悪化するという問題があった。
【0015】
本発明で解決しようとする課題は、筐体内に設けられた遠心送風機を介して、室内から空気を吸い込み、遠心送風機の吐出側に設けられた熱交換器を介して空気を冷却または加熱したのち、室内に向けて吹き出す空気調和機の室内機において、送風性能を悪化させることなく吹出口端部付近での滞留域の発生を防ぎ、吹出口付近の結露を抑制する空気調和気の室内機を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するため、本発明の空気調和機の室内機は、天井に埋め込まれる空気調和機の室内機であって、該室内機の上面及び側面を構成する筐体と、室内の空気を下方から吸い込み、側方に吐き出す遠心送風機と、該遠心送風機の側方を囲む、直線部と曲げ部で構成された熱交換器と、該熱交換器の下方に設けられ、結露水を受け止めるドレンパンと、該ドレンパンの外側壁面と前記筐体の側面の間に設けられた吹出口と、該吹出口の長手方向端部近傍に、該吹出口の略短手方向を向けて設けた仕切板と、を具備しており、該仕切板の上端と前記筐体の上面の間に所定の隙間を設けるとともに、前記仕切板の下端を前記ドレンパンの外側壁面の上端よりも下方に位置させ、前記ドレンパンの外側壁面は、前記吹出口の長手方向に凹部を有する
ものであり、前記仕切板は、外側端辺が筐体の内面と接触している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、送風性能を悪化させることなく吹出口端部付近での滞留域の発生を防ぎ、吹出口付近の結露を抑制する空気調和気の室内機を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例1の空気調和機の室内機を示す断面図。
【
図4】実施例1の室内機の吹出口端部付近の断面図。
【
図5】実施例1の天板と仕切板の隙間の大きさと送風機動力の関係を示すグラフ。
【
図6】実施例2の空気調和機の室内機の回転軸に垂直な断面図。
【
図7】実施例3の空気調和機の室内機の吹出口を通る断面図。
【
図8】実施例3の空気調和機の室内機の吹出口端部付近の断面図。
【
図9】実施例4の空気調和機の室内機の吹出口端部付近の断面図。
【
図10】実施例5の空気調和機の室内機の吹出口端部付近の断面図。
【
図11】従来の空気調和機の室内機の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0020】
実施例1の空気調和機の室内機100を
図1乃至
図5を用いて説明する。なお、
図11〜
図14と同等の構成については重複説明を省略する。
【0021】
図1は実施例1の空気調和機の室内機100を示す断面図である。本実施例では、
図11等とは異なり、吹出口5の長手方向端部近傍に、吹出口5の略短手方向を向けて、吹出流路20を仕切る略四角形の仕切板41が設けられている。この仕切板41は、外側端辺が筐体2の内面と接触しており、内側端辺の下部がドレンパン9の外側壁面に食い込む形状となっている。また、仕切板41の上端は筐体2の天板から所定距離だけ離れており、吹出流路20の上部に形成された天井と仕切板41の間の隙間を空気が通過できるように構成されている。一方、仕切板41の下端はドレンパン9の外側壁面の上端よりも下方に位置するよう構成されている。
【0022】
次に、
図2を用いて、
図1の一点鎖線で示した、遠心ファン7の回転軸に垂直な断面を説明する。この図は、遠心ファン7の吐出口を通る断面を、筐体2の天板側から見た図である。遠心ファン7が矢印30のように時計回りに回転すると、空気が矢印18に示すように、遠心ファン7の径方向から回転方向側に傾いた角度で吹出され、熱交換器8を通過したのち、吹出口5に向かうことになる。ここで、吹出口5の開口部に面した熱交換器8の直線部を通過した空気は、矢印17aのように、仕切板41に衝突することなく、吹出口5から直接吹き出される。一方、熱交換器8の曲げ部周辺から吹き出した空気は、矢印17b1の経路で、吹出口5の端部側に向かう。そして、仕切板41に衝突し、矢印17eのように筐体2の内側に向かう流れと外側に向かう流れに分離される。
【0023】
次に、
図3を用いて、
図2の一点鎖線で示した吹出口5を通る断面を説明する。この図は、吹出口5の長手方向に平行な断面を、室内機100の外側方向から見た断面図である。熱交換器8の曲げ部周辺の下部から吹き出される空気は、矢印17cに示すように、ドレンパン9の外側壁面を一旦乗り越えた後、仕切板41に衝突して流れが下向きに変えられてから吹出口5に流入する。このため、ドレンパン9の外側壁面に沿った空気の流れを作ることができ、
図13に示した滞留域130の発生を抑制することができる。
【0024】
一方、熱交換器8の上部から吹き出した空気は、矢印17b2に示すように、天井と仕切板41の間の隙間を通ることで、仕切板41がない
図13と同様に吹出口に直接向かうことができる。従って、熱交換器8の上部から吹き出した空気に関しては、仕切板41を配置した場合であっても、吹出口5での抵抗の悪化はなく、室内機100としての送風性能を悪化させることがない。
【0025】
次に、
図4を用いて、
図3の一点鎖線で示した吹出口5の端部付近の断面を説明する。この図は、吹出口5の端部付近を垂直方向に切った断面であり、図中のH
1は、筐体2の天井からドレンパン9の外周部上端までの距離であり、H
2は、筐体2の天井から仕切板41の上端までの距離である。熱交換器8の上方を通過した空気は、その方向が水平から下向きに急に曲げられることになるため、その流れは筐体2の外側に偏る傾向があるが、本実施例では、
図2の矢印17eのように仕切板に衝突した空気の一部は筐体2の内側に向かう矢印17fの流れとなり、これが吹出口5の筐体2の内側方向から吹き出すことになるため、吹出口5の端部付近においても、風向板4の背面側においても、
図14のような滞留域131を生じることがない。従って、
図11〜
図14に示した、従来の空気調和機と比べて、暖かく湿った室内空気を吹出口5に巻き込むことを抑制でき、風向板4や化粧パネル1に結露が生じにくい空気調和機を得ることができる。
【0026】
次に、
図5のグラフを用いて、本実施例における、筐体2と仕切板41の隙間の大きさと、遠心送風機19の駆動力の大きさの関係を説明する。このグラフにおいて、横軸は
図4に示すH
2とH
1の比であり、縦軸は所定風量の吐出に要する送風機動力の大きさを相対的に示したものである。このグラフから明らかなように、所定風量を得るために必要な送風機の動力は、隙間(H
2)が20%未満のときに大きく、隙間(H
2)が20%強〜約80%のときに100%未満となっており、特に、隙間(H
2)が約50%のときに最小となることが分かる。従って、吹出口5の端部に設ける仕切板41の高さを、H
1に対して20〜80%とすることで、遠心送風機19の駆動力を抑制しつつ、滞留域の発生を抑制し、風向板4や化粧パネル1の結露を回避することができる。
【0027】
なお、空気を風向板の背面側に流す十分な効果を得るには内側の端部がドレンパンにほぼ接触する位置までは設けた方が望ましい。更に内側の端部が熱交換器に近づく程流れを風向板の背面側に流す効果は高くなり、熱交換器に接触する位置まで設けてもよい。
【0028】
また、仕切板はドレンパンと同一の材料で一体整形とすれば、部品点数が増えることはなく、別部品を取り付ける手間も省け、製造コストが低減できる。
【実施例2】
【0029】
次に
図6を用いて実施例2を説明する。なお、実施例1と構成が等しい部分には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0030】
図6は本実施例の空気調和機の遠心ファン7の回転軸に垂直な断面を示し、実施例1の
図2に相当する断面図である。実施例1と異なる点は、吹出口5の端部近傍に設ける仕切板42が水平断面において、仕切板42と吹出口5の端部との距離が、筐体2の外側よりも内側で小さくなっていることである。本実施例では実施例1の効果に加えて、滞留域が生じやすい領域である吹出口端部近傍の筐体内側の流路を狭くすることで風速を上げ、滞留を起こりにくくすることで、更に風向板や吹出口に結露が生じにくくすることができる。
【実施例3】
【0031】
次に
図7及び
図8を用いて実施例3を説明する。なお、前述の実施例と構成が等しい部分には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0032】
図7は本実施例の空気調和機の吹出口5を通る断面、
図8は本実施例における空気調和機の吹出口5の端部付近の断面であり、それぞれ実施例1における
図3及び
図4に相当する断面図である。
【0033】
本実施例が上記の実施例と異なるのは、仕切板43に吹出口5の略短手方向に伸びる略水平なスリット43aを設けた点である。熱交換器8の曲げ部の上部から吹き出した空気は
図7の矢印17b2のように仕切板がない場合と同様に吹出口に直接向かうが、このとき実施例1の仕切板41では吹出口5の中央側の面において流れが剥離し、滞留域が生じる恐れがある。そこで本実施例の仕切板43では、熱交換器8の角部から吹出口5に向かう空気の一部を、矢印17hのように、スリット43aを通して仕切板43の中央側の面に流すことで空気の剥離を防ぎ、滞留域が生じるのを防止できる。なお、スリット43aは仕切板43の幅全域に設け、仕切板43を上下に分離した構成としても良いが、
図8のように一端部がつながった形状とすることで、仕切板43を一つの部品とし、組み立て性を悪化させることなく構成することができる。
【実施例4】
【0034】
次に
図9を用いて実施例4を説明する。なお、前述の実施例と構成が等しい部分には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0035】
図9は本実施例における空気調和機の吹出口5の端部付近の断面であり、実施例1における
図4に相当する断面図である。前記の実施例と異なるのは、ドレンパン29の外側壁面下部から吹出口5の出口にかけて、吹出口5の内壁(つまり、ドレンパン29の外側壁面)が内側に凹んだ凹部が形成され、更に仕切板44の下端が内壁の凹部内に位置するように突出していることである。ドレンパンの外側壁面の上端では熱交換器8の下部を通った空気が剥離しやすいが、ドレンパン29の外側壁面を肉厚とし、剥離した空気の再付着を促すことで風向板4の背面側を通る空気を増やすことができる。特に、本実施例では、仕切板44をドレンパン29の外側壁面の肉厚が減る凹部にまで仕切板44を延長しており、凹部で空気が中央に流れるのを防止し、更に効果的に結露を防止することができる。
【実施例5】
【0036】
次に
図10を用いて実施例5を説明する。なお、前述の実施例と構成が等しい部分には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0037】
図10は本実施例における空気調和機の吹出口5の端部付近の断面であり、実施例1における
図4に相当する断面図である。前記の実施例4と異なるのは、仕切板45は化粧パネルの吹出口内まで延長されており、更に風向板4が移動する範囲に溝を設けて風向板4と干渉しないように構成している点である。このように風向板4にまで仕切板45を延長することで、更に風向板4に結露が生じにくい構成とすることでできる。ここで、仕切板45は一体でもよいし、化粧パネル内に延長された部分を分割して化粧パネルに取り付けてもよい。
【0038】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【0039】
例えば、熱交換器の角部に隣接する吹出口の端部近傍の全てに仕切板を設けるのでなく、本発明の効果を特に得たい一部のみに本発明の構成を適用してもよいし、各端部に設ける仕切板ごとに効果に応じて高さ方向や幅方向の寸法を変えてもよい。また各端部に設ける仕切板ごとに前記の実施例のいずれかを適用して構成することもできる。
【符号の説明】
【0040】
100 室内機、
1 化粧パネル、
2 筐体、
3 吸込みグリル、
4 風向板、
5 吹出口、
6 モータ、
7 遠心ファン、
8 熱交換器、
9、29 ドレンパン、
10 ベルマウス、
11 電気品箱、
15 室内から吸い込む空気を示す矢印、
16 フィルタ、
17、17a〜17j、117、117a〜117d 熱交換器から室内へ吹き出す空気を示す矢印、
18 遠心ファンから吐出する空気を示す矢印、
19 遠心送風機、
20 吹出流路、
21 ドレンポンプ、
22 機械室、
23 吹出口5の投影位置を示す破線、
41、42、43、44、45 仕切板、
43a スリット、
130、131 滞留域