(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、体の大きな体型の人が衣服1000を着用した場合、
図7(b)に示すように、脇の下の部分が大きく開いてしまい、チューブ1006が体に密着できない隙間1007が生じてしまう。
【0007】
しかしながら、前身頃1001と後身頃1002との境界であって、互いが分離されている脇の周辺には静脈が集中しているため、効果的に体温を下げるためには脇の下の部分1007を冷やすことが望ましいが、
図7に示した従来の衣服では、体型によっては脇の下の隙間1007を冷やすことができないという問題点がある。
【0008】
また、腕の脇に近い部分(二の腕の下部)にも静脈が集中していることから、この部分も冷却することが望ましいが、
図7に示した袖部のないベストタイプの衣服1000では、無論、腕の脇に近い部分を冷やすことができない。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、着用者の体温調節を行うサイズ調整自在な衣服において、大柄なユーザーが着用した場合であっても、サイズ拡大に対応するために分離した前身頃と後身頃との間に生じる隙間に存する要所を確実に冷却又は加温可能となした衣服を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して、本発明の要旨とするところは、前身頃と後
身頃とを有すると共に、これらの境界において、互いが繋がっている接続部と分離されている分離部とを有し、当該分離部における前記前身頃と前記後身頃同士が長さ調節自在な調節具を介して繋がっており、前記前身頃と前記後身頃の内面側に所定の温度の流体を流通させる流路が配された、着用者の体温調節を行う衣服であって、
着用時において前記分離部の前記前身頃と前記後身頃の間に生じる隙間の着用者の腕の脇に近い部分を覆うように前記後身頃又は前記前身頃から延出され
、長さを、前記調節具を最も長い状態に調節したときに、脇の下に生じる隙間を跨ぐことができるだけの長さとし、延出方向の先端に近づくほど幅が狭くなっている延出部を有し、前記延出部の内面側には前記流路が配され、
更に前記調節具を、前記延出部の上に被さる位置に設けてなることを特徴とする衣服にある。
【0011】
また、上記構成において、前記延出部に設けられた流路は、前記調節具の長さを最大に調節した場合においても前記隙間を跨ぐように配設されていることが望ましい。
【0012】
また、前記延出部は、延出方向の先端に近づくほど幅が狭くなるようになしてもよい。
【0013】
また、前記調節具は弾性体であって、該弾性体が前記延出部に設けられた流路の少なくとも一部を覆う位置に設けられているようになしてもよい。
【0014】
また、前記延出部は、一対設けられており、互いを連結する連結具が設けられているようになしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る衣服は上記の如き構成であり、
前身頃と後身頃とを有すると共に、これらの境界において、互いが繋がっている接続部と分離されている分離部とを有し、当該分離部における前記前身頃と前記後身頃同士が長さ調節自在な調節具を介して繋がっており、前記前身頃と前記後身頃の内面側に所定の温度の流体を流通させる流路が配された、着用者の体温調節を行う衣服であって、着用時において前記分離部の前記前身頃と前記後身頃の間に生じる隙間の着用者の腕の脇に近い部分を覆うように前記後身頃又は前記前身頃から延出され、長さを、前記調節具を最も長い状態に調節したときに、脇の下に生じる隙間を跨ぐことができるだけの長さとし、延出方向の先端に近づくほど幅が狭くなっている延出部を有し、前記延出部の内面側には前記流路が配され、更に前記調節具を、前記延出部の上に被さる位置に設けてなるものであるから、体型が大きな人が着用した場合に、脇とその周辺に隙間が生じても、延出部がこの隙間における狙い場所を覆い冷却又は加温することができるので、多様な体型の人が着用しても、静脈が集中する要所を確実に冷却又は加温することができ、効率的に体温を調整することができる。
【0016】
また、延出部に設けられた流路は、調節具の長さを最大に調節した場合においても隙間を跨ぐように配設されている場合には、本衣服が想定する最大サイズのユーザーであっても隙間内の狙いの場所を覆いきれずに冷却不足又は加温不足が生じることがなくなる。
【0017】
また、延出部が延出方向の先端に近づくほど幅が狭くなっている場合には、重力の作用により先端が下向きに垂下するのを抑制することができるものである。
【0018】
そして、調節具が弾性体であり、該弾性体が延出部に設けられた流路の少なくとも一部を覆う位置に設けられている場合には、流路をユーザーの肌に密着させることができ、効率よく体温調節を行うことができるものである。
【0019】
また、延出部が一対設けられており、互いを連結する連結具が設けられている場合には、延出部が重力の作用により先端が下向きに垂下するのを抑制することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係る衣服100と、これに冷水を供給する付随機器であるチラー200及び連絡ホース302、303を説明する図である。
【0023】
チラー200は、例えば、蒸気圧縮冷凍サイクルにより、取り込んだ水を冷却して再度外部に送出するものである。連絡ホース302はチラー200から衣服100に冷水を送るホースであり、また、連絡ホース303は衣服100からチラー200に冷水を送るホースである。また、連絡ホース302の衣服100側先端には、ワッタッチで接続解除可能なカプラ301が装着されている。尚、連絡ホース303は、連絡ホース302と同構造であるため説明は省略する。
【0024】
以下、本発明の第1実施形態に係る衣服100について、詳細に説明する。
【0025】
図2は、本発明の第1実施形態に係る衣服(
図1の範囲A)の一構成例を示す展開図である。
【0026】
該衣服100は、袖部のないベストタイプの衣服であり、主に表地101、中間地102、裏地103と、チューブ104、105、106、107と、ゴムバンド111、112、113、114、115、116と、アジャスタ121、122、123、124、125、126とからなるものである。
【0027】
表地101、中間地102及び裏地103は布地からなり、基本的には形状が同一であって、各縁部同士が縫製されることにより互いが重なる状態で固定されている。
【0028】
また、チューブ104、105、106、107は可撓性を有する樹脂チューブである。
【0029】
また、表地101、中間地102及び裏地103の積層状態は、
図2中のA-B断面に示す通りである。尚、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10はミシンによる縫製箇所を示している。
【0030】
また、これらの縫製箇所の内H1及びH10は、前述したように表地101、中間地102及び裏地103の縁部同士を縫い合わせて固定するためのものである。
【0031】
一方、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8H、H9は、チューブを通す経路を形成するための縫製箇所であり、
図2中A-B断面に示すように、これらの縫製箇所に挟まれた部分に形成された筒状部分の夫々にチューブ104、105、106、107が挿入されている。即ち、縫製箇所H2乃至H9は、
図2の展開図中に示されている各チューブに両脇に沿って伸びている。
【0032】
尚、厳密にはチューブを上記筒状部分に挿入する作業性を向上させるため、チューブを曲げている部分及びチューブを直線的に挿入している箇所の一部に縫製していない部分も存在するが、本発明とは無関係であるため図示を省略する。
【0033】
以下、裏地103及び中間地102がチューブ104乃至107を挟んでいる中間体106′について述べる。
【0034】
中間体106′は、後身頃部133、左前身頃部131、右前身頃部132、襟部118、左脇延出部135、右脇延出部136とからなり、
図2に示すように、後身頃部133には、チューブ104、105、106及び107が左前身頃部131にはチューブ106及び107が、右前身頃部132には、チューブ104及び105が、襟部118には、チューブ104及び106が、左脇延出部135にはチューブ106が、右脇延出部136にはチューブ104が設けられている。
【0035】
図2に示す如く、後身頃部133、左前身頃部131及び右前身頃部132とからなる胴部117は、両脇部分において、後身頃部133と、左前身頃部131及び右前身頃部132とが分離された構造となっている。
【0036】
後身頃部133と、左前身頃部131及び右前身頃部132とは、着用者の肩に当たる部分で繋がっている(接続部)が、
図2は展開図のため不連続になっている。
【0037】
実際には、裏地103及び中間地102のパーティングライン(以下「PL」という。)PL1とPL2同士、PL3とPL4とがチューブを通す以前に縫製されることにより繋がっている。
【0038】
同様に、襟部118と左前身頃部131及び右前身頃部132との間も、PL5とPL7同士、PL6とPL8同士が縫製されることにより繋がっている。
【0039】
左脇延出部135及び右脇延出部136は、後身頃部133の両側から延出されている部分であり、ユーザー着用時において静脈が集中する脇の下に当たるように設定されている。
【0040】
左脇延出部135及び右脇延出部136は左右対称であるため、ここでは両者を代表して右脇延出部136について説明する。
【0041】
右脇延出部136は、後身頃部133の右側から外側に向かって延出されている。
【0042】
また、右脇延出部136は、本実施形態においては、延出方向の先端に近づくほど幅が狭くなっている。即ち、右脇延出部136は、根本部分の幅W1より先端近傍の幅W2の方が小さくなるように設定されている。
【0043】
これはつまり、右脇延出部136の先端部部分を軽くすると共に、根本部分の強度や剛性を向上させることにより自重で下方に垂下せず、正規の形状を保てるようにするためのものである。
【0044】
これにより、
図3(a)に示すように、ユーザーが本実施形態に係る衣服100を羽織れば、右脇延出部136の先端部が垂下することなく、自然に脇下に来るようにすることができる。
【0045】
図2に戻って、表地101は、中間体106′の外面を外傷から守ると共に、外気との熱交換を抑制するための、言わばカバーの役割を果たすものであり、その性格上、表地101の形状は中間体106′の形状と略同一である。
【0046】
このため、表地101にも、中間体106′の後身頃部133、左前身頃部131、右前身頃部132、襟部118、左脇延出部135及び右脇延出部136に対して形状的に略一致する部分が存在する。
【0047】
説明の都合上、表地101の上記相当部分は、上記符号の最後に小文字のsを付加して説明することとする。
【0048】
表地101の左前身頃部131s及び右前身頃部132sの側方縁部に、夫々ゴムバンド114、115、116及びゴムバンド111、112、113が縫い付けられている。
【0049】
本実施形態に係る衣服100は、左前身頃部131s及び右前身頃部132sと、後身頃部133sとが分離された部分(分離部)を有する構成となっている。
【0050】
これは、着用者の体格が変化したとき、両肩の位置を基準として前後に胴部117の厚みを拡張するためである。
【0051】
このサイズ調整は、左前身頃部131s及び右前身頃部132sと、後身頃部133sとの間を分離してこそ上手くサイズ調整が可能となっている。
【0052】
仮に、左前身頃部131s及び右前身頃部132sと後身頃部133sとを分離せずに、左前身頃部131sと右前身頃部132sとの間をゴムバンド等で繋いでサイズ調整しようとしても、両肩から背中にかけての衣服サイズは全く変化しないため、大柄な人が着用した場合、腕を通している部分が後方に引っ張られ、場合によっては着用することすらできなくなるからである。
【0053】
また、後身頃部133sには、その右側面にアジャスタ121、122、123が設けられていると共に、左側面にアジャスタ124、125、126が設けられている。
【0054】
これにより、ゴムバンド111、112、113とゴムバンド114、115、116を、夫々アジャスタ121、122、123とアジャスタ124、125、126に通して、ゴムバンドを任意の長さに調節して固定することができる。
【0055】
これにより、ユーザーは、
図3(b)及び
図3(c)に示すように、着用時において後身頃部133sと、左前身頃部131s若しくは右前身頃部132sとの間にある隙間の間隔を自由に調節し、自分に合ったサイズの衣服とすることができる。
【0056】
この調節時において、ゴムバンド113及びゴムバンド116は、丁度左脇延出部135及び右脇延出部136上に被さる位置に設けられている。
【0057】
これにより、
図3(c)に示すように、大柄なユーザーが着用して脇の下に大きな隙間が生じた場合であっても、左脇延出部135及び右脇延出部136に設けられているチューブ104及びチューブ105をしっかりとユーザー側に押し当てることができる。
【0058】
また、左脇延出部135及び右脇延出部136の長さLは、ゴムバンド113及びゴムバンド116を最も長い状態に調節した際、即ち、衣服100が想定する最も大きな体格のユーザー用に調節した際に、脇の下に生じる隙間を跨ぐことができる長さに設定されている。
【0059】
これにより、左脇延出部135及び右脇延出部136が脇の下の部分を覆い被せなくなるケースが生じることがなくなる。
【0060】
本実施形態の衣服100は、上述したように、チラー200によって、チューブ104、105とチューブ106、107内を冷水が循環するようになっている。
【0061】
したがって、これらのチューブ104乃至107の近傍の温度を積極的に下げることになるが、これらのチューブ104乃至107が着用者の肌側に密着していないと熱抵抗が大きくなり、着用者の体温を効率的に冷やすことができなくなる。
【0062】
本実施形態に係る衣服100は、静脈の集中する脇の下の周辺部に当たるように設けられた左脇延出部135及び右脇延出部136を有しており、左脇延出部135及び右脇延出部136に設けられたチューブ106及びチューブ104をゴムバンド113及びゴムバンド116で肌側に押さえ付けることができるため、効率よく体温を低下させることができる。
【0063】
また、上記の実施形態では、チューブ104、105、106、107がチラー200に接続されており、これらのチューブの中を冷水が循環するようになしたが、これに限らず、例えば、水を加熱し循環させる装置に接続し、低温環境下において着用者の体温を上昇させる衣服として使用するようにしても構わない。
【0064】
また、上記の実施形態では、衣服100のサイズ調整にゴムバンド111乃至116とアジャスタ121乃至126を用いたが、ゴムバンド111乃至116に代えてばねを用いてもよく、更に、他の種類の弾性体に置き換えても構わない。
【0065】
また、上記の実施形態では、衣服100は、表地101を有していたが、これに限らず、表地101を省略しても構わない。
【0066】
この場合、ゴムバンド111乃至116とアジャスタ121乃至126は、中間体106′に設けることになる。
【0067】
このようにしても、中間体106′の上に作業着を着れば、表地101に近い機能を発揮することができる。
【0068】
また、上記の実施形態では、中間地102及び裏地103は布地であり、両者を縫製により固定するようになしたが、これに限らず、例えば、両者をビニールシート製とし、縫製部分を熱溶着に代替しても構わない。
【0069】
その場合、2本の熱溶着部分に挟まれる部分は密閉空間となり、水路として活用できるので、チューブを省略することができる。
【0070】
また、上記の実施形態では、衣服100のチューブに冷水を循環させていたが、これに限らず、水の代わりに不凍液を用いても構わず、更に、熱を搬送可能な流体であればどのようなものであっても構わない。
【0071】
また、上記の実施形態では、前身頃が、左前身頃部131と右前身頃部132とに分かれているが、これに限らず、左前身頃部131と右前身頃部132とが一体になったものであっても構わない。
【0072】
また、上記の第1実施形態に係る衣服100では、左脇延出部135及び右脇延出部136を、いずれも後身頃部133に設けていたが、
図4に示した第2実施形態のように、左前身頃部131及び右前身頃部132に、夫々左脇延出部415及び右脇延出部416を設ける構成の衣服400としてもよい。尚、その他の構成並びに作用は、前記第1実施形態と同様であるから、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0073】
また、上記の第1実施形態に係る衣服100では、左脇延出部135及び右脇延出部136は、付け根部分の幅W1を太くして先端部の自重による垂下を防止していたが、
図5に示した第3実施形態のように、左脇延出部135及び右脇延出部136との間を紐130で結ぶ構成としてもよい。また、この紐をゴムバンドとアジャスタとの組に置き換えても構わない。
【0074】
また、上記の第1実施形態に係る衣服100では、左脇延出部135及び右脇延出部136を胴部117の隙間の一部を覆うような形状となしているが、これに限らず、胴部117の隙間の全体若しくは大半を覆うような形状にしてもよい。
【0075】
また、上記の第1実施形態に係る衣服100は、袖部のないベストタイプであるが、
図6に示す第4実施形態の如く、袖部があるタイプの衣服500としてもよい。即ち、
図6(a)に示すように、内面側にチューブ502が設けられた袖部501があるタイプの衣服500としてもよい。
【0076】
そして、その場合は、袖部の下部先端から脇、脇の下を通り裾に至るまで、連続的に前身頃と後身頃とが分離されているものである。
【0077】
何故ならば、脇の下部分の前身頃と後身頃が分離している構造にもかかわらず、袖部の下部が分離されていない通常の袖部が付いている場合、
図6(b)に示すように、サイズの大きな人が着るほど前身頃と後身頃の間隔Cが大きくなるが、袖部が前身頃と後身頃とを脇の下で繋ぎとめているため、前身頃と後身頃との間隔が開くのを邪魔するからである。
【0078】
そして、
図6(a)に示すように、下部が分離された袖部を用いる場合、
図6(a)に示すように、帯状の面ファスナ503、504等により、袖部の分離された部分の間隔を所望の長さに調整して繋ぎとめる構成をとることが一般的である。
【0079】
ところで、このような袖部の下部が前後で分離されている場合、大柄な人では袖部の下に隙間Dが生じ、脇の周辺部が効率よく冷やされず、又は加温されないという問題点が生じる。
【0080】
この問題点も前記第1実施形態に係る衣服100に設けられた左脇延出部135及び右脇延出部136と同様の構造を用いて解決することができる。
【0081】
即ち、
図6(b)に示すように、下部が分離された袖部501の分離された部分における脇の下に近い側に、一方の縁部から隙間Dを跨ぐように延出された延出部510を設けると共に、該延出部510の内面側にチューブ502を配することで、静脈が集中している脇の周辺部(二の腕の下部)を効率よく冷却若しくは加温することができるものである。尚、
図6(b)では、見易さの観点から面ファスナ503、504の図示を省略している。
【0082】
また、本実施形態は、図示はしないが、上記の第1実施形態の延出部135、136と併用するようになしてもよい。