【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された構成では、例えば、車両の制動時に第1電動発電機と第2電動発電機とによって回生電力を発生させるところ、車両が異常な挙動を起こさず姿勢を安定させるために前後の回生ブレーキによる制動量を調整するので、制動中にそれぞれの回生電力が変動し、このような変動する回生電力を共通のバッテリーに蓄えるためには、制御が非常に複雑になってしまうという問題がある。
そこで、特許文献2では、従動輪との間でのみ動力を伝達可能に設けられた電動発電機にのみ駆動電力を供給し、かつ、電動発電機からの回生電力のみ蓄える電源装置を備えることによって、上記問題の解決を提案している。
【0006】
しかし、特許文献2の構成によると、補助動力システムはバッテリーと電動発電機とが接続されており、前記電動発電機がクラッチ、動力配分機構、ドライブシャフトを介して従動輪(タイヤ)と動力伝達する機構となっている。そのため、補助動力システムを搭載することによって、上記の通り、4輪駆動車と同等な部品構成となり、構造が複雑化するとともに、車両重量も増加する。
【0007】
また、電動発電機の不要時にはクラッチを切ることで従動輪と非結合になるが、動力配分機構やドライブシャフトと従動輪とが連結されているため、走行抵抗が増加してしまう。さらに、電動発電機専用のバッテリーを搭載するため、その分の重量が増加するとともに、バッテリーの充電状態によっては、燃費が悪化することが考えられる。
【0008】
この発明の目的は、従動輪での駆動アシスト、回生制動、発電が行えて、走行性能、制動性能、燃料消費量等の車両性能を向上させることができ、かつ補助駆動力を得るための構造が簡易で済み、車両重量の増大も抑えることができる車両動力補助システムを提供することである。
この発明の他の目的は、さらに、配線面および信頼性確保の面で優れるものとすることである。
この発明のさらに他の目的は、従動輪での回生制動、発電が行えて、制動性能、燃料消費量等の車両性能を向上させることができ、かつ部品点数の低減を図って構造を簡易化し、車両重量の増大も抑えることができる車両従動輪回生システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の車両動力補助システムは、駆動輪の走行駆動を行う主駆動源と機械的に非連結である従動輪を持つ車両において、前記従動輪が、この従動輪の回転で発電を行いかつ給電されることによって前記従動輪を回転駆動可能な走行補助用の電動発電機が搭載された車輪用軸受で支持され、前記電動発電機は、ロータが前記車輪用軸受の回転側輪に増減速手段を介することなく固定され、前記電動発電機が発電した回生電力を蓄電しその蓄電した電力を前記電動発電機に給電する蓄電手段を備える。
なお、前記従動輪は前記電動発電機によって駆動されるが、補助的な駆動だけであり、また主駆動源と機械的に非連結である、従動輪と称した。
前記主駆動源は内燃機関のみ、または内燃機関と電動モータとの併用であっても良く、電動モータのみであっても良い。
【0010】
この構成によると、従動輪の回転で発電を行う電動発電機を備えるため、今まで機械式ブレーキで熱変換していたエネルギーを、電動発電機を発電機として、前記バッテリーに回生電力を蓄えることにより、制動力を発生させることができる。機械式ブレーキと併用や使い分けで、制動性能も向上させることができる。
また、車両の車速や走行抵抗等の走行状態に併せて電動発電機を駆動させることで、主駆動源を効率が良くなる回転数・トルクとなるように駆動でき、走行性能を向上させることができる。例えば、加速時に電動発電機の駆動力補助を行い、また定速走行やクルージング状態で電動発電機の駆動力の付加もしくは発電作用させることで、主駆動源を効率良く駆動でき、また適切な回生電力が得られる。特に、前記主駆動源が内燃機関(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン)の場合、回転数やトルクによる効率の違いが大きく、前記電動発電機の駆動力補助を行うことによる主駆動源の効率向上の効果が大きい。
前記電動発電機は、車輪用軸受に搭載され、そのロータが車輪用軸受の回転側輪に増減速手段を介することなく固定されたダイレクトドライブ形式であるため、クラッチ、動力配分機構、ドライブシャフト等が不要であり、補助動力を与えるための構成が簡易で済み、車両重量の増加も抑えられる。
このように、走行性能、制動性能、燃料消費量等の車両性能を向上させることができるうえ、補助動力を与えるための構造が簡易で済む。
【0011】
この発明において、前記車両が複数の従動輪に対して前記電動発電機を有し、各従動輪で個々に前記電動発電機を制御する複数の個別制御手段9を備えていても良い。
この構成の場合、走行レーンチェンジ等のための加速時や旋回時において、電動発電機を個々に制御することにより、より安定した走行が可能となる。
【0012】
この構成の場合に、前記車両の統合制御を行う上位ECU10に、前記各電動発電機の前記各個別制御手段9に駆動および回生の制御を行わせる指令を出力する個別電動発電機指令手段15を有していても良い。
上位ECU10に前記個別電動発電機指令手段15を有することで、各電動発電機を個別に用いて上記走行レーンチェンジや旋回の支援をする制御が行い易い。
【0013】
この発明において、前記車両が、この車両の統合制御を行う上位ECU10の電源となる低電圧バッテリー20と、この低電圧バッテリー20よりも蓄電電圧が高くてアクセサリー部品の電源として用いられる中電圧バッテリー19とを備え、前記電動発電機8と接続された前記蓄電手段が前記中電圧バッテリー19であっても良い。
車両のアクセサリー部品を駆動する場合、電圧が高い方が電流が小さくて済み、配線の太さや被覆等の面で配線上好ましい。しかし、上位ECU10等の基幹電気部品は、長年使用されている12Vバッテリーを用いることが、信頼性の面から好ましい。また、バッテリーの電圧が高過ぎると、保守を行うときの感電の問題がある。このため、上位ECU10の電源となる12Vの低電圧バッテリー20とは別の中電圧バッテリー19を備え、基幹電気部品以外の電装補機類の電源として用いることが、配線面、信頼性確保の両面から望ましい。このような中電圧バッテリー19を備える場合、前記走行補助用の電動発電機8で回生発電や駆動に用いる電源は、前記中電圧バッテリー19を用いることが、配線等の面で優れる。なお、この明細書で「アクセサリー部品」とは、車両の電装部品のうち、走行に必須となる部品である基幹部品を除く部品を言う。
【0014】
この発明において、前記電動発電機が、前記車輪用軸受の前記回転輪に取付けられたブレーキロータの外周部に接するブレーキキャリパと前記車輪用軸受の外輪との間の径方向範囲に収まるようにしても良い。
走行補助用の電動発電機がブレーキキャリパと車輪用軸受間に収まる容積であると、ナックル部の改造のみで、従来形式の車両の従動輪に簡単に取付けることができ、また車種を問わず取付けることができる。
【0015】
この発明の他の車両動力補助システムは、車両の動力を補助する車両動力補助システムであって、
低電圧負荷22に給電を行う低電圧バッテリー20と、
前記低電圧バッテリー20よりも蓄電電圧が高く、前記低電圧負荷22よりも高電圧の負荷である中電圧負荷23に給電を行う中電圧バッテリー19と、
前記低電圧バッテリー22と前記中電圧バッテリー19とを接続するコンバータ21と、
前記車両の従動輪の車輪用軸受に設けられ、前記中電圧バッテリー19と電気的に接続する電動発電機8とを備え、
前記電動発電機8は、前記従動輪の回転により回生を行い、前記中電圧バッテリー19に給電を行うとともに、前記中電圧バッテリー19からの給電により、前記従動輪を回転駆動することを特徴とする。
【0016】
この構成によっても、前記と同様に、従動輪での駆動アシスト、回生制動、発電が行えて、走行性能、制動性能、燃料消費量等の車両性能を向上させることができ、かつ補助駆動力を得るための構造が簡易で済み、車両重量の増大も抑えることができる。
また、この構成の場合、低電圧バッテリー20とは別に中電圧バッテリー19を備え、低電圧負荷22は低電圧バッテリー20より、中電圧負荷23は中電圧バッテリー19より給電するため、車両に搭載される部品に応じて低電圧の部品とするか中電圧部品とするかを使い分けることができ、前記と同様に、配線面、および信頼性確保の面で優れる。
【0017】
この発明の車両従動輪回生システムは、駆動輪の走行駆動を行う主駆動源と機械的に非連結である従動輪を持つ車両従動輪回生システムにおいて、
前記従動輪が車輪用軸受で支持され、前記従動輪の回転で発電を行う発電機が前記車輪用軸受に搭載され、前記発電機は、ロータが前記車輪用軸受の回転側輪に増減速手段を介することなく固定され、前記発電機が発電した回生電力を蓄電する蓄電手段を備える。
前記主駆動源は内燃機関のみ、または内燃機関と電動モータとの併用であってもよく、電動モータのみであってもよい。
【0018】
この構成によると、従動輪の回転で発電を行う発電機を備えるため、今まで捨てられていたエネルギーを回収することができる。すなわち発電機が発電した回生電力を蓄電手段に蓄えることにより、制動力を発生させることができる。機械式ブレーキと併用や使い分けで、制動性能も向上させることができる。
従動輪用の車輪用軸受に発電機が搭載されるため、発電機を搭載するスペースを確保し易く、既存の車輪用軸受を大きく設計変形することなく発電機を設けることができる。これにより、車両従動輪回生システムの汎用性を高めることができる。
前記発電機は、車輪用軸受に搭載され、そのロータが車輪用軸受の回転側輪に増減速手段を介することなく固定されたダイレクトドライブ形式であるため、クラッチ、動力配分機構、ドライブシャフト等が不要である。このため、部品点数の低減を図って構造を簡易化し、車両重量の増大も抑えることができる。構造を簡易化できるため、コスト低減を図れる。また車両重量の増大を抑えることができるため、燃料消費量を抑制し得る。
【発明の効果】
【0019】
この発明の車両動力補助システムは、駆動輪の走行駆動を行う主駆動源と機械的に非連結である従動輪を持つ車両において、前記従動輪が、この従動輪の回転で発電を行いかつ給電されることによって前記従動輪を回転駆動可能な走行補助用の電動発電機が搭載された車輪用軸受で支持され、前記電動発電機は、ロータが前記車輪用軸受の回転側輪に増減速手段を介することなく固定され、前記電動発電機が発電した回生電力を蓄電しその蓄電した電力を前記電動発電機に給電する蓄電手段を備えるため、従動輪での駆動アシスト、回生制動、発電が行えて、走行性能、制動性能、燃料消費量等の車両性能を向上させることができ、かつ補助駆動力を得るための構造が簡易で済み、車両重量の増大も抑えることができる。
【0020】
この発明の他の車両動力補助システムは、車両の動力を補助する車両動力補助システムであって、低電圧負荷に給電を行う低電圧バッテリーと、前記低電圧バッテリーよりも蓄電電圧が高く、前記低電圧負荷よりも高電圧の負荷である中電圧負荷に給電を行う中電圧バッテリーと、前記低電圧バッテリーと前記中電圧バッテリーとを接続するコンバータと、前記車両の従動輪の車輪用軸受に設けられ、前記中電圧バッテリーと電気的に接続する電動発電機とを備え、前記電動発電機は、前記従動輪の回転により回生を行い、前記中電圧バッテリーに給電を行うとともに、前記中電圧バッテリーからの給電により、前記従動輪を回転駆動するため、従動輪での駆動アシスト、回生制動、発電が行えて、走行性能、制動性能、燃料消費量等の車両性能を向上させることができ、かつ補助駆動力を得るための構造が簡易で済み、車両重量の増大も抑えることができ、さらに、配線面、および信頼性確保の面で優れる。
【0021】
この発明の車両従動輪回生システムは、駆動輪の走行駆動を行う主駆動源と機械的に非連結である従動輪を持つ車両従動輪回生システムにおいて、前記従動輪が車輪用軸受で支持され、前記従動輪の回転で発電を行う発電機が前記車輪用軸受に搭載され、前記発電機は、ロータが前記車輪用軸受の回転側輪に増減速手段を介することなく固定され、前記発電機が発電した回生電力を蓄電する蓄電手段を備えるため、従動輪での回生制動、発電が行えて、制動性能、燃料消費量等の車両性能を向上させることができ、かつ部品点数の低減を図って構造を簡易化し、車両重量の増大も抑えることができる。