特許第6976086号(P6976086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6976086分割された胴体アセンブリにおける輪郭保持
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976086
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】分割された胴体アセンブリにおける輪郭保持
(51)【国際特許分類】
   B64F 5/10 20170101AFI20211118BHJP
   B64C 1/12 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   B64F5/10
   B64C1/12
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-119239(P2017-119239)
(22)【出願日】2017年6月19日
(65)【公開番号】特開2018-24414(P2018-24414A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2020年6月12日
(31)【優先権主張番号】15/189,872
(32)【優先日】2016年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ペイン, ジェームズ スティーヴン
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/023284(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0077471(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0331473(US,A1)
【文献】 特開昭60−128097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 5/00
B64C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割されたリング細部を航空機外板細部に取り外し可能に取り付けること(1504)と、
外板アセンブリを作成するためにストリンガを前記外板細部に取り付けること(1506)と、
前記外板アセンブリを輪郭を画定する支持構造に位置付けること(1508)と、
パネルを作成するためにフレームを前記外板アセンブリに固定すること(1510)と、
前記パネルの除去前にブレースの組み立てを完成させるために、スプレッダ部分を前記パネルの上に取り外し可能に設置すること(1512)と、
前記ブレースが前記輪郭を強化する間に前記パネルを輸送すること(1514)と、
前記ブレースが前記輪郭を強化する間に、航空機の胴体のバレル部分を形成するために、前記ブレースを他のパネル用の他のブレースに取り付けること(1516)と、
前記バレル部分が形成された後に、前記ブレースを前記バレル部分から除去すること(1518)と
を含む方法であって、
前記ブレースを他のブレースに取り付けること(1516)が、
各外板細部の方に向かって前記輪郭を強化するために、前記ブレースの分割されたリングアセンブリを前記外板細部に取り付けること(1504)と、
前記ブレースのスプレッダバーを、前記パネル(410)によって画定された円弧(858)の終点(812)で前記分割されたリングアセンブリ(850)に取り付けることによって、前記パネルの前記外板細部(412、414、416)の結合体の方に向かって前記輪郭(450)を強化することと
を含む、方法
【請求項2】
前記輪郭(450)が、前記外板細部(412、414、416)を互いに対して所定位置に保持する支持構造(600)によって画定され、前記ブレース(700)は、前記支持構造が前記パネルを前記輪郭に対して保持するかどうかに関わらず、前記輪郭を強化する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブレースを取り付けることが、前記スプレッダバー(810)と前記分割されたリングアセンブリ(850)との間にストラット(820)を取り付けることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記パネルが前記分割されたリングアセンブリに取り付けられることになる場所で、前記パネルに穴(1410)を開けることを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記リングアセンブリが、複数のリング細部(852、854、856)を備え、前記方法が、前記輪郭を強化するために、前記リング細部の各々を前記パネルの異なる外板細部(412、414、416)に取り付けることを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記ストリンガ(320)及び前記フレーム(310)を前記パネル(410)に取り付けることが、前記ストリンガを前記フレームに垂直に配向することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記パネル(410)を前記他のパネル(420、430、440)に取り付けることが、パネルの間に外板の重ね継ぎ(500)を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記外板の重ね継ぎの形成前に、前記パネルの各々からのブレースをまとめて取り付けることを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記バレル部分を別のバレル部分に取り付けることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
胴体輪郭工具であって、
パネル(410)の端(411)に取り外し可能に装着され、前記パネルの方に向かって輪郭(450)を強化する、輪郭形成されたブレース(700)を備え、前記ブレース(700)が、
前記パネルの外板細部(412、414、416)の各々の方に向かって前記輪郭(450)を強化するために前記外板細部(412、414、416)に取り付けられた、分割されたリングアセンブリ(850)と、
前記分割されたリングアセンブリによって画定された円弧(858)の終点(812)で、前記分割されたリングアセンブリに取り付けられることにより、前記パネルの外板細部(412、414、416)の結合体の方に向かって前記輪郭(450)を強化するスプレッダバー(810)と
を備える胴体輪郭工具。
【請求項11】
前記ブレースは、前記パネルが前記パネルを製造するために使用される支持構造(600)から分離されているかどうかに関わらず、前記輪郭を強化する、請求項10に記載の工具。
【請求項12】
前記ブレースが、前記ブレースの他のパネル用のブレースへの取り付けを可能にする取り付け点(812)を前記分割されたリングアセンブリの上に含む、請求項10に記載の工具。
【請求項13】
前記分割されたリングアセンブリが、複数の部分(852、854、856)を備え、各部分が、前記パネルの異なる外板細部(412、414、416)に取り付けられている、請求項10に記載の工具。
【請求項14】
パネル(410−440)を成形するための輪郭(450)を画定する支持構造(600)と、
前記支持構造に装着されるパネル(410)であって、
前記輪郭に従う複数の外板細部(412、414、416)と、
前記外板細部をまとめて取り付けるストリンガ(320)及びフレーム(310)と
を備えるパネルと、
前記パネルの端(411)に装着され、前記支持構造とは異なり、前記パネルの輸送中に前記輪郭を強化するブレース(700)
を備えるシステムであって、前記ブレース(700)が、
前記外板細部(412、414、416)の各々の方に向かって前記輪郭(450)を強化するために前記外板細部に取り付けられた、分割されたリングアセンブリ(850)と、
前記分割されたリングアセンブリによって画定された円弧(858)の終点(812)で、前記分割されたリングアセンブリに取り付けられることにより、前記パネルの外板細部(412、414、416)の結合体の方に向かって前記輪郭(450)を強化するスプレッダバー(810)と
を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、航空機の分野に関し、特に航空機胴体の構成要素の組立に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機胴体は、航空機の内装を画定し、航空機が飛行の厳しさに耐えるのに十分な強度を確実に示すような構造的一体性を提供する。アルミニウム航空機については、胴体の断片がパネルアセンブリとして作成され、次に組み立てられてバレル部分になる。バレル部分は、長さ方向に互いに取り付けられ、長さ方向の管が形成される。
【0003】
各パネルアセンブリを形成するために、外板細部として知られている航空機外板の断片は、輪郭に従って対応する長さ方向のストリンガに固定されることがある。外板細部とストリンガとの結合体は、外板アセンブリとして知られている。これらの外板アセンブリはまた、輪郭を保持するのに役立つ、ストリンガに対してフープ方向に配置されたフレーム(フレーム部分/要素としても知られている)を含むことがある。複数の外板アセンブリは、長手方向の外板の重ね継ぎ及びフープ方向のフレームを介して取り付けられ、その結果、輪郭と一致するスーパーパネルが完成する。即ち、外板アセンブリ及びフレームの結合体は、スーパーパネルとして知られている。スーパーパネルは、複数の外板アセンブリから製造されることがあり、スーパーパネルは、他のスーパーパネルに接合され、バレル部分を形成する。要するに、個々のスーパーパネルがまとめて取り付けられ、複数のスーパーパネルから成るバレル部分(例えば、実質的に円形の断面を有する胴体の一部など)を形成する。例えば、各スーパーパネルは、バレル部分における90度のフープ方向の円弧を形成し、4つのスーパーパネルがまとめて取り付けられ、バレル部分を完成させる。これ以降、「スーパーパネル」は、単に「パネル」と称されることもある。方法及び/又はアセンブリ構造を使用して、所望の輪郭を有するパネルが形成される。
【0004】
しかしながら、パネルがそのアセンブリ構造から除去された後、及びパネルが他のパネルと結合されバレル部分となる前に、パネルの輪郭が不所望にも変わってしまうことは珍しくない。複数のパネルを単一の統合されたバレル部分に組み立てるプロセスを複雑にするので、パネル組み立て中に画定された所望の輪郭からのこのような形状変化は好ましくない。よって、この問題を回避するバレル部分に対する製造技術を強化することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載の実施形態は、(例えば、パネルが支持構造にまだ取り付けられているかどうかに関わらず、パネルの支持構造によって画定される輪郭にパネルを保持するために)パネル内で所望の輪郭を維持/保持/強化可能な強化ブレースを用いる。ブレースは、組立/固定中にパネルの輪郭を保持するために使用される支持構造よりも小さく軽量である。したがって、ブレースは、パネルが他のパネルと結合されバレル部分になる予定の場所に、パネルと共に移動可能である。更に、ブレースは、一時的にかつ取り外し可能に取り付けられ、これにより、ブレースが完成航空機の完成したバレル部分内の空間を占有しないことが保証される。
【0006】
1つの実施形態は、航空機部品の方に向かって輪郭を強化するための方法である。方法は、分割されたリング細部を航空機外板細部に取り外し可能に取り付けることと、外板アセンブリを作成するためにストリンガを外板細部に取り付けることと、外板アセンブリを輪郭を画定する支持構造に位置付けることと、パネルを作成するためにフレームを外板アセンブリに固定することとを含む。方法はまた、パネルの除去前にブレースの組み立てを完成させるために、スプレッダ部分をパネルの上に取り外し可能に設置することと、ブレースが輪郭を強化する間に、パネルを輸送することと、ブレースが輪郭を強化する間に、航空機の胴体のバレル部分を形成するために、ブレースを他のパネル用の他のブレースに取り付けることと、バレル部分が形成された後に、ブレースをバレル部分から除去することとを含む。
【0007】
別の実施形態は、航空機部品の方に向かって輪郭を強化するための方法である。装置は、航空機胴体のパネルの端に装着され、パネルの方に向かって輪郭を強化するブレースであって、パネルを伴った輸送中に輪郭を強化するブレースを含む。ブレースは、パネルの外板細部に取り付けられた、分割されたリングアセンブリと、分割されたリングアセンブリによって画定された円弧の終点で、分割されたリングアセンブリに取り付けられたスプレッダバーと、スプレッダバーを分割されたリングアセンブリに取り付けるストラットとを含む。
【0008】
別の実施形態は、更なる装置である。装置は、航空機の胴体のパネルを成形するための輪郭を画定する支持構造と、支持体に装着されるパネルとを含む。パネルは、輪郭に従う複数の外板細部と、外板細部をまとめて取り付けるストリンガ及びフレームとを含む。装置はまた、パネルの端に装着され、支持体とは異なり、パネルを伴った輸送中に輪郭を強化するブレースを含む。ブレースは、外板細部に取り付けられた、分割されたリングアセンブリと、分割されたリングアセンブリによって画定された円弧の終点で、分割されたリングアセンブリに取り付けられたスプレッダバーと、スプレッダバーを分割されたリングアセンブリに取り付けるストラットとを含む。
【0009】
他の例示的な実施形態(例えば、上述の実施形態に関連する方法及びコンピュータ可読媒体) が、後述される。上述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態において単独で実現することが可能であり、又は更に別の実施形態において組み合わせることが可能であるのだが、これらの実施形態は、以下の説明及び添付図面を参照することによって更に詳細に理解することができる。
【0010】
ここで本開示の幾つかの実施形態が、例示のためだけに、添付図面を参照して説明される。全ての図面において、同じ参照番号は同じ要素又は同じタイプの要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的な実施形態における航空機の図である。
図2】例示的な実施形態における航空機の内装の図である。
図3】例示的な実施形態における航空機のパネルの図である。
図4】例示的な実施形態における、パネルの所望の輪郭からの偏位を示す図である。
図5】例示的な実施形態における航空機胴体の2つのパネル間の外板の重なりを示す図である。
図6】例示的な実施形態における支持構造においてのパネルの組み立てを示す図である。
図7】例示的実施形態における支持構造に取り付けられているパネルに取り付けたブレースを示す図である。
図8】例示的な実施形態におけるブレースの図である。
図9】例示的な実施形態におけるパネルに取り付けられたブレースの図である。
図10】例示的な実施形態における2つのブレース間での取り付けを示す図である。
図11】例示的な実施形態における、2つのブレースをまとめて保持する固定要素の拡大図である。
図12】例示的な実施形態における更なるブレースを示す図である。
図13】例示的な実施形態における、複数のパネルをバレル部分内に保持するためにまとめて取り付けられた複数のブレースを示す図である。
図14】例示的な実施形態におけるブレース用の取り付け穴を示す図である。
図15】例示的な実施形態における、パネルの方に向かって輪郭を強化する間に、胴体のバレル部分を組み立てるための方法を示すフローチャートである。
図16】例示的な実施形態における、航空機胴体のパネルに対するブレースのブロック図である。
図17】例示的な実施形態における航空機製造及び保守方法のフロー図である。
図18】例示的な実施形態における航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面及び下記の記載により、本開示の特定の例示的実施形態が示される。従って、当業者は、本明細書に明示的に記載又は図示されていない様々な装置を考案して本開示の原理を具現化することができるが、それらは本開示の範囲に含まれることを理解されたい。更に、本明細書に記載のいかなる実施例も、本開示の原理の理解を助けるためのものであり、具体的に記載された実施例や諸条件を限定しないものとして理解されるべきである。結果として、本開示は、下記の具体的な実施形態又は実施例に限定されず、特許請求項の範囲及びその均等物によって限定される。
【0013】
図1から図3は、例示的な実施形態における個々のパネルから組み立てられた胴体のバレル部分を含む航空機100の構造を示している。航空機100は、ノーズ110、翼120、胴体130、及び尾部140を含む。図1はまた、航空機100の下方向(Z)を示している。本実施形態において、航空機100の胴体130は、強化されたブレース(以下で検討される)を用いて製造された。
【0014】
図2は、図1のビュー矢印2によって示された航空機100の断面図である。特に、図2は、図1の胴体130の「バレル」部分132を示している。バレル部分132は、床233、天井232、及び側壁231を保持し、これらがキャビン230を形成している。排水260同様に、座席280及び収納棚270もまた含まれる。キャビン230は、バレル部分132の外板細部210によって囲まれている。ここで使用されるように、外板細部は、航空機100の外板の単一の一体的部分を含み、航空機100に構造的強度を提供する。例えば、アクセスパネルは、外板細部ではない。図2は、機外方向が航空機100の外装面(例えば、外板細部210)に向かって進み、機内方向が航空機100の内装(例えば、キャビン230)に向かって進むことを更に示している。
【0015】
図3は、例示的な実施形態における図1の胴体130のパネル300を示す図である。図3は、図1の部分3の内装の図である。図3では、様々な構造的構成要素(310、320、330、210)が示されている。例えば、図3は、パネル300がストリンガ320及びフレーム要素310を含むことを示している。ストリンガ320が、外板細部210(例えば、アルミニウムシート)に対する長手方向の支持を提供するのに対して、フレーム310(例えば、航空機のリブ)は、フープ方向の外板支持を提供する。1つの実施形態では、フレーム310は、まとめて重ね継ぎされ、フープ方向に胴体に巻き付き、ストリンガ320は、まとめて重ね継ぎされ、ノーズから尾部まで長手方向に伸びている。したがって、ストリンガ320及びフレーム310は、互いに垂直に配向される。切り欠き330(例えば、窓用)が外板細部210を貫通している。航空機の幾何学的形状の理解を考慮しつつ、バレル部分132の所望の形状からの偏位が議論される。
【0016】
図4は、例示的な実施形態におけるパネルの所望の輪郭からの偏位を示す図である。図4は、図1のビュー矢印2によって示された図である。図4によると、パネル410、420、430、440は、完成したバレル部分132の90度の円弧を占めるように各々が設計されている。パネル410−440は、輪郭450(例えば、本実施形態では、所望のアウターモールドライン(Outer Mold Line:OML)輪郭、円形)に適合/一致するように最初に形成されるが、最初にそれらを形成した支持構造から除去されるときに、その輪郭を下回ったりその輪郭を上回ったりするようになることがある。これは、パネル410−440が組み立てのために円弧上に載置されるときに、互いに又はバレル部分132の所望の形状に正しく位置合わせされないことを意味する。これは、次に外板の重ね継ぎを介してパネル410−440をバレル部分に組み立てようとするときに、問題を引き起こす。
【0017】
図5は、図4の部分5の図であり、外板の重ね継ぎ500を示している。外板の重ね継ぎ500は、パネル410及び420を重ね、次に複数の列512の固定要素510(例えば、リベット、ボルト、ピン)を重ねられたパネル内へと動かすことによって作られる。しかしながら、パネル410及び420は、円弧520で保持されても、輪郭450からの形状偏位をなおも示すことがある。これにより、作業台520における位置の差Δが生じ、次に外板の重ね継ぎ500を固定するために、複数の列512の固定要素510を正しく適用する難しさが増大する。偏位はまた、航空機100の完全なバレル部分132が正しく湾曲せず、よって隣接するバルク部分の隔壁上に一致せず、胴体130の組み立てを複雑にすることを意味する。更に、連続するバレル部分の外板とストリンガとを接合する際に、位置ずれした部分が如何なる不整合をも克服するために、シミング及び他の接合手段を必要とし得る点で、問題に遭遇する。類似の態様では、隣接するバレル部分のタイトな領域/衝突領域は、凹み得る/傾斜し得る。
【0018】
パネル輪郭支持に関するこの問題に対処するために、強化されたブレースが提供され、バレル部分のパネルの方に向かって輪郭が強化される。パネル用の支持構造(例えば、パネルを最初に組み立てる/製造するために使用される治具)に関するブレースの載置について、図6から図14を参照して説明される。バレル部分の接合を促進するために、ブレースが、所望の輪郭に対する許容誤差の範囲内でバレルの端を保持する。
【0019】
図6は、例示的な実施形態における支持構造600においてのパネル410の組み立てを示す図である。本実施形態では、支持構造600は、パネル(例えば、パネル410)が輪郭450に保持される治具である。しかしながら、更なる実施形態では、支持構造600は、部品基準組立プロセスを促進するために用いられる複数の支持体を含み得る。この時点で、パネル410は、外板アセンブリ412(支持構造600の向こう側に隠れているが、図9に示される)、外板アセンブリ414、及び外板アセンブリ416を含む、複数の外板アセンブリを含む。外板アセンブリ412−416が支持構造600に装着される前に、外板アセンブリ412−416は、ストリンガ320及びリング細部852−856を外板細部210に取り付けることによって、作成され得る。外板の重なりに使用される部品基準組立穴610は、パネルを互いに対して位置付けるために位置合わせされる。これにより、外板アセンブリ412−416は、輪郭450に従ってまとめてフレーム310(図3に示される)に取り付け可能となる。図6では、ストリンガ320及びフレーム310は、これらの要素がパネル410の下側に位置しているので、見えない。
【0020】
フレーム310が取り付けられた後であるが、パネル410が支持構造600から除去される前に、ブレース700は、図7に示されるように、パネル410の端411でパネル410に取り付けられ得る。図7は、図6のビュー矢印7によって示された図である。パネル410とブレース700との間の関係を示し、更にブレース700の設計における変形例を示す図8から図12には、ブレース700の更なる細部が示される。パネル410に取り付けられたブレース700が接合される。重ね継ぎがパネル410−440として所望の輪郭を維持する一部としてまとめて重ね継ぎされるときに、接合部が接合され得る際に重ね継ぎと一致するこれらの接合部(取り付け点として本明細書中に更に記載される)は接合されて、バレル部分を形成する。スーパーパネルのブレースは、更にまとめて重ね継ぎされ、1つの単一ブレースを形成し得る。ブレース700について本明細書に記載の接合部は、本明細書に記載の外板の重ね継ぎと更に一致し得る。
【0021】
図8は、図7のビュー矢印8によって示される図による、例示的実施形態のブレース700の図である。図8において、ブレース700は、スプレッダ部分800と、分割されたリングアセンブリ850とを含む。本実施形態では、リングアセンブリ850は、パネルに直接かつ取り外し可能に取り付け(例えば、パネル410−440、リングアセンブリ850、及び/又はボルトや他の固定要素自体を損傷させることなく、リングアセンブリ850から取り外しできるボルト又は他の固定要素を介して)、支持体600によってパネルの上で強化された輪郭と一致するように、寸法が決定される。その一方で、スプレッダ部分800は、支持構造(例えば、支持構造600)によって最初に画定された所望の輪郭(例えば、輪郭450)にリングアセンブリ850を保持する。スプレッダ部分800は、取り付け点812(先ほど「接合部」とも称された)を介して、リングアセンブリ850に回転可能に及び/又は取り外し可能に取り付けられる(例えば、ねじ込型クレビスとのピン結合を介して)、スプレッダバー810を含む。取り付け点812は、リングアセンブリ850によって画定された円弧858の終点を構成する。スプレッダ部分800はまた、ストラット820が取り付け点824を介して回転可能に取り付けられるベース814を含む。ストラット820は、更に、取り付け点822を介して、リングアセンブリ850に回転可能に取り付けられる。取り付け点822はまた、円弧858に沿って位置付けられる。リングアセンブリ850は、各々が、対応する外板アセンブリ(412、414、416、図9に示される)に取り外し可能に取り付けられ、図7の輪郭450と位置合わせされる、複数のリング部分852、854、856を含む。各リング部分(852、854、856)はまた、リングアセンブリ850を形成するために、リング部分をまとめて取り付け可能にする連結部855を含み得る。図8のゾーン1000は、ブレース700が別のパネル用の別のブレースに取り付けられ得る場所であり、以下でより詳しく検討されることになる。実際、リングアセンブリ850は、パネルの組み立て中に又はその前に取り付けられてもよいが、スプレッダ部分800は、組み立てられたパネルで輪郭を維持し得る。
【0022】
図9は、ブレース700とパネル410との間の機械的結合/連結を示す。特に、図9は、例示的な実施形態におけるパネル410の端411に取り付けられたブレース700の図である。図9によれば、パネル410は、外板アセンブリ412、414、416を含む。リング部分852、854、856は、外板アセンブリ412、414、416にそれぞれ取り外し可能に取り付けられる(例えば、ボルト、ねじ、又は他の取り外し可能な固定要素を介して)。スプレッダ部分800は、リングアセンブリ850を輪郭450に保持する。したがって、パネル410に取り付けられると、ブレース700は、支持構造600とは無関係な方法で、パネル410の方に向かって輪郭450を強化する。これにより、パネル410は、不所望な方法で輪郭を変えることなく、支持構造600から除去し、輸送することが可能になる。ブレース700によって保持された複数のパネル(例えば、410、420、430、440)は、次いで、図4のバレル部分を形成するために、まとめて配置され、持続的に取り付けられ得る(例えば、リベットボルト、ピンなどを介して)。
【0023】
パネル(例えば、パネル410−440)に取り付けられているブレース700の間の結合は、パネルが正しく組み立てられ、バレル部分132を形成することを確実にするために、パネルをまとめて位置合わせする際に有利であろう。ブレース700は、1つのバレル部分が最小のシミング及び位置合わせの労力で対応するバレル部分に接合できるように、バレル部分に周方向の許容誤差を維持させるために用いられ得る。図10は、例示的な実施形態における、パネル410、420を固定するために2つのブレース700の間での取り付けを示す図である。特に、図10は、図9のゾーン1000の拡大図である。図10に示されるように、第1のブレース700の第1のスプレッダバー810が、第1のブレース700のリング部分856に取り付けられる一方で、第2のブレース700の第2のスプレッダバー810は、第2のブレース700のリング部分852に取り付けられる。連結部1050は、第1のブレース700を第2のブレース700に接合するために用いられ、ブレースはゾーン1100でまとめて結合される。更に、連結部1050は、外板の重なりを固定する製造プロセスを促進するために、ストリンガ320がそこを通って延びる空間1020を画定する。図11は、図10のゾーン1100の拡大図である。図11は、例示的実施形態において2つのブレースをまとめて保持する固定要素1120を示している。図11に示されるように、第2のブレース700のリング部分852は、第1のブレース700のリング部分856の連結部1040の後で可視状態を維持している。更に、図11に示されるように、固定要素1120は、各パネルに関連する許容誤差を考慮する要求通りに側方にスライドし得る。ブレースの所望のパネル輪郭維持を補助するために調節されてもよい。本実施形態では、固定要素1120は、ブレース700の間での許容誤差の調節を可能にするためにスライド可能に装着される偏心ブシュである。
【0024】
図12は、例示的な実施形態における更なるブレース700を示す図である。本実施形態では、ブレース700は、非線形であり(即ち、真っ直ぐでない)、陥凹領域1260を含む。航空機胴体130の最上部パネル及び底部パネルで使用されるとき、陥凹領域1260は、専門技術者が、ブレース700につまずいたりぶつかったりせずに胴体130内で操作するための追加のヘッドスペース及び/又はフットスペースを提供する。即ち、陥凹領域1260は、ブレース700がバレル部分132内に配置されるとき、整備士のヘッドの高さのより良いアクセスを可能にする。本実施例ではて、ブレース700は、スプレッダ部分1200と、分割されたリングアセンブリ1250とを含む。リングアセンブリ1250が、直接(かつ取り外し可能に)パネル(例えば、パネル410)に取り付けられる一方で、スプレッダセクション1200は、支持構造600によって最初に画定された所望の輪郭にリングアセンブリ1250を保持する。本実施形態では、スプレッダ部分1200は、取り付け点1212を介してリングアセンブリ1250に回転可能に取り付けられるスプレッダバー1210を含む。スプレッダ部分1200はまた、ストラット1220が取り付け点1224を介して回転可能に取り付けられるベース1214を含む。ストラット1220はまた、取り付け点1222を介して、リングアセンブリ1250に回転可能に取り付けられる。リングアセンブリ1250は、各々が、対応する外板アセンブリ(412、414、416、図9に示される)に取り外し可能に取り付けられる、複数のリング部分1252、1254、1256を含む。各リング部分はまた、リング部分をまとめて単一の剛性分割リングアセンブリ1250内に取り付け可能にする連結部1255を含み得る。
【0025】
上記の図に示された両種類のブレース700は、航空機のバレル部分用の輪郭を強化するために用いられ得る。図13は、例示的な実施形態における、複数のパネルをバレル部分内に保持するためにまとめて取り付けられた複数のブレースを示す図である。図13に示されたように、パネル410−440は、複数の外板の重ね継ぎ1000が、バレル部分132を形成するためにまとめて完成し得るように配置される。本実施形態では、パネル毎に使用されるブレース700の選択は、パネルがバレル部分132の最上部/底部(例えばパネル410及び430)を占めることになるか、バレル部分132の側面を占めることになるかによって決定される。
【0026】
本明細書に示されるようにブレースのパネルへの取り付けは、新しいハードウェア、個々のパネルへの変更又は他の物理的代替物を必要とすることはない。よって、本明細書で検討されるブレースは、個々のパネルを完成させることに関する製造時間を増加させる必要はない。図14は、例示的な実施形態におけるブレース用の取り付け穴を示す図である。特に、図14では、ブレースは、バレル部分1430、1440から既に除去されており、これらのバルク部分は、現在、バルクヘッド1420を介して(例えば、バルクヘッド1420上でバレル部分をスライドさせることにより)接合されている。
【0027】
図14には、既にパネル410及び420の設計の一部である本体統合穴1410が図示されている。特に、本体統合穴1410は、航空機100の機体の一部を受容することを目的とする場所で、パネル410及び420内に既に置かれている。本実施形態では、機体の一部は、胴体の完成したバレル部分を胴体の別のバレル部分に取り付けるバルクヘッド1420である。バルクヘッド1420(又は機体の任意の他の適した部分)を対象にしたこれらの本体統合穴1410は、パネルがバレル部分132内で組み立てられてしまう前に、ブレース700の分割されたリングアセンブリをパネル(例えば、パネル410又はパネル420)の端に取り付けるために利用されてもよい。よって、バルクヘッド1420用に設計された穴1410は、有利には、パネル間での外板の重ね継ぎの形成を促進するために、ブレース700によって用いられてもよいが、その一方で穴1410はまた、許容誤差の輪郭が最小であり、シミングも最小である状態で、バレル部分接合を促進するために使用されてもよい。ブレース700は、穴1410がバルクヘッド1420の設置に必要とされる前に除去されてもよい。
【0028】
図15に関して、ブレース700の設置及び/又は動作の例示的な詳細が検討されることになる。本実施形態について、一組の外板細部210が、胴体のフープ方向のバレル部分132に組み立てられると想定する。
【0029】
図15は、例示的な実施形態におけるブレース700を用いるための方法1500を示すフロー図である。方法1500のステップは、図に示されたブレース700を参照して説明されるが、当業者は、方法1500が所望の通り他のブレースに対して実行され得ることを理解するだろう。本明細書に記載のフローチャートのステップは、網羅的というわけではなく、図示されない他のステップを含んでもよい。本明細書に記載のステップはまた、他の順序で実行されてもよい。
【0030】
例えば、ベンダーから外板細部210を受け取ることによって、組み立て用の外板細部210が得られる(ステップ1502)。分割されたリング細部852−856は、外板細部210の輪郭を維持するために、外板細部210に取り外し可能に取り付けられる(ステップ1504)。本明細書で使用されるように、取り外し可能な取り付けとは、除去するために破壊的作業を必要としない取り付けの形態を指す。更に、本明細書で使用されるように、取り外し可能な取り付けは、取り付けられている部品の持続的変更/変形を含む必要がない。例えば、1つの実施形態では、取り外し可能な取り付け技術は、外板細部210に追加の穴を開けること、又は別の方法で外板細部210を損傷させることを含まない。胴体のパネルを構築するために、胴体130用の外板細部210が成形され、次にフレーム310及びストリンガ320に取り付けられるべきである。よって、ストリンガ320は、外板アセンブリ(例えば、412、414、416)を形成する外板細部210に取り付けられる(ステップ1506)。外板アセンブリは、次に支持構造600の上に位置付けられ/載置され(ステップ1508)、外板の重なり及びフレームが固定されてパネル410を作成し、輪郭450で(例えば、支持体、治具などによって)保持される(ステップ1510)。パネル410は、支持構造600によって輪郭450に保持された状態であるが、パネル410は、その内部応力(又はパネルの除去時の保持のされ方)により輪郭を上回る又は下回るように製造されてもよい。したがって、パネル410の支持構造600からの除去により、パネルは、不所望にも輪郭が変わってしまう。
【0031】
パネル410は、バレル部分132に組み立てられる場所への輸送前に、支持構造600から除去されることになるので、パネル410が支持構造600とは無関係に装置によって形状が保持されなくても、輪郭が変わることになるだろう。このために、ブレース700は、パネル410上にスプレッダ部分800(スプレッダバー810を含む)を設置する(ステップ1512)ことによって完成し、よってスプレッダバー810は、パネル410上のリング細部に取り付けられる。要するに、ブレース700は、パネル410の方に向かって輪郭を強化する(ステップ1506)。更なる実施形態では、ブレース700の構成要素は、例えば、分割されたリングアセンブリ850の各細部852−856をパネル410の異なる外板アセンブリ(412、414、416)に取り外し可能に取り付けることと、スプレッダバー810をリングアセンブリ850によって画定された円弧の終点に取り付けることと、ストラット820をスプレッダバー810と分割されたリングアセンブリ850との間に取り付けることとによって、取り付けられ得る。1つの実施形態では、ブレース700は、輪郭450がパネル410の両端で確実に強化されるように、パネル410の各端に取り付けられる。更なる実施形態では、パネル410が分割されたリングアセンブリ850に取り付けられることになる場所で、パネル410に穴が開けられる。例えば、これらの穴は、図14の本体統合穴1410であり得る。パネル410のために画定された既存の穴にブレース700を取り付けることによって、ブレース700は、支持構造600に直接取り付けずに、外板アセンブリ412−416の各々に取り付けられるようになる。
【0032】
ブレース700が取り付けられた状態で、パネル410がその支持構造に取り付けられた状態であるかどうかに関わらず、輪郭が強化される(例えば、支持構造600が所望の輪郭でパネル410を保持するかどうかに関わらず、ブレース700は輪郭を強化する)。したがって、パネル410(任意の取り付けられたブレース700を含む)は、ブレース700が輪郭を強化する間に輸送される(ステップ1514)。所望の目的地に到着すると、パネル410は、他のパネル(例えば、420、430、440)に取り付けられ、航空機用の胴体のバレル部分132を形成し、その一方で、ブレース700は、それらの対応するパネル用の輪郭を強化する(ステップ1516)。例えば、異なるパネルのブレース700は、互いに取り付けられることになり、次いでパネル410−440は、外板の重ね継ぎ500及びフレームの重ね継ぎを介して取り付けられる。バレル部分が完成した後に、外板の重なり及びフレームの重ね継ぎを固定することによってパネルが所定位置でロックされた状態で、ブレース700は、バレル部分132から除去される(ステップ1518)。これは、例えば、バレル部分132が完成した直後に、又はバレル部分132がブレース700と共に新しい場所に輸送され、別のバレル部分132と位置合わせされ、他のバレル部分132と接合されようとしている後に起こり得る。
【0033】
方法1500を使用して、パネルを製造するために使用される支持構造によってパネル(例えば、410)用に画定される輪郭は、有利には、パネルが他のパネルと確実に正しく統合されるように、ブレース700によって一時的に強化され得る。したがって、この輪郭/形状の一時的な強化は、パネルがそれらの対応する支持体から除去され、バレル部分132内のアセンブリに輸送されるときにさえ、継続し得る。ブレース700は、次いで、その一時的な役割を果たした後に除去され得る。これは、外板の重ね継ぎを容易に完成させ得ることを確実にすることによって、バレル部分132に対する組み立て時間を短縮する。
【実施例】
【0034】
以下の実施例において、追加の処理、システム及び方法が、航空機胴体のパネル用の輪郭を強化するブレースに照らして説明される。
【0035】
図16は、例示的な実施形態におけるバレル部分1660の一部のブロック図である。図16に示されるように、バレル部分1660は、パネル1610及びブレース1620を含む。他のパネル及びブレースは、明確さを高める目的で本図面から省略されており、よって、バレル部分1660は、完全なフープ方向の/円形の形状を形成するために、複数のパネル1610及び対応するブレース1620を含み得る。この実施例では、パネル1610は、フレーム1604及びストリンガ1606を介してまとめて保持される外板細部1602を含む。ブレース1620は、部分1632及びリング部分をまとめて取り付ける連結部1634を含む、分割されたリングアセンブリ1630を介してパネル1610に(例えば、外板細部1602に)取り付けられる。ブレース1620は、スプレッダバー1642、及びストラット16476が取り付け点1647で取り付けられるベース1644を含むスプレッダ部分1640を更に含む。ストラット1646は、取り付け点1645でリング部分1632に取り付けられ、スプレッダバー1642は、取り付け点1643でリング部分1632に取り付けられる。本実施形態では、部分1632の外板細部1602への直接的な取り付けは、部分1632とフレーム1604とが重なるだろうから、図示されていない。
【0036】
本開示の実施形態は、図面を更に具体的に参照しながら、図17に示す航空機の製造及び保守方法1700、及び図18に示す航空機1702に照らして説明され得る。製造前段階では、例示的な方法1700は、航空機1702の仕様及び設計1704と、材料の調達1706とを含み得る。製造段階では、航空機1702の構成要素及びサブアセンブリの製造1708とシステムインテグレーション1710とが行われる。その後、航空機1702は、認可及び納品1712を経て、運航1714に供され得る。顧客による運航中、航空機1702には、改造、再構成、改修なども含み得る、定期的な整備及び保守1716が予定されている。
【0037】
方法1700の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実行され、又は実施され得る。本明細書の目的のために、システムインテグレータとは、限定しないが、任意の数の航空機製造者及び主要システムの下請業者を含んでもよく、第三者とは、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでもよく、オペレータとは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってもよい。
【0038】
図18に示すように、例示的な方法1700によって製造された航空機1702は、複数のシステム1720及び内装1722を備えた機体1718を含み得る。高レベルのシステム1720の例には、推進システム1724、電気システム1726、油圧システム1728、及び環境システム1730のうちの一又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてよい。航空宇宙産業の例を示しているが、本発明の原理は、自動車産業などの他の産業にも適用されうる。
【0039】
本明細書中で具現化される装置及び方法は、製造及び整備方法1700の任意の一又は複数の段階において用いられうる。例えば、製造段階1708に対応する構成要素又はサブアセンブリは、航空機1702の運航期間中に製造される構成要素又はサブアセンブリと類似の方法で作製又は製造されうる。また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせは、例えば、航空機1702の組立てを実質的に効率化するか、又は航空機902のコストを削減することにより、製造段階1708及び1710で利用されうる。同様に、装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせのうちの一又は複数を、航空機1702の運航中に、例えば限定しないが、整備及び保守1716に利用することができる。例えば、本明細書に記載される技術及びシステムは、ステップ1706、1708、1710、1714、及び/又は1716で使用され、及び/又は機体1718及び/又は内装1722において使用されうる。これらの技術及びシステムは、例えば、推進1724、電気1726、油圧1728、及び/又は環境1730を含むシステム1720に対してさえも用いることが可能である。
【0040】
1つの実施形態では、ブレース700は、機体118のバレル部分の組み立て中にパネル400の方に向かって輪郭を強化し、構成要素及びサブアセンブリの製造1708中に製造される。ブレース700は、次いで、バレル部分がサブアセンブリ製造1708で完成した後に、除去されてもよい。
【0041】
図示され、又は本明細書に記載される様々な制御要素(例えば、電気部品又は電子部品)のうちの任意のものが、ハードウェア、プロセッサが実装するソフトウェア、プロセッサが実装するファームウェア、又はこれらの何らかの組み合わせとして実装され得る。例えば、ある要素は専用ハードウェアとして実装され得る。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ」、 「コントローラ」、又は同様の何らかの専門用語で称されうる。プロセッサによって提供される場合、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又はそのうちの幾つかが共有となりうる複数の個別のプロセッサによって機能が提供されうる。更に、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアの実行が可能なハードウェアのみを表わすと解釈されるべきでなく、限定するものではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、もしくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェア記憶用のリードオンリメモリ (ROM)、ランダムアクセスメモリ (RAM)、不揮発性ストレージ、ロジックもしくは何らかの他の物理的ハードウェアコンポーネントもしくはモジュールなどを黙示的に含みうる。また、ある要素は、その要素の機能を実施するためにプロセッサ又はコンピュータによって実行可能な命令として実装されうる。命令の幾つかの例は、ソフトウェア、プログラムコード、及びファームウェアである。命令は、その要素の機能を実施するようにプロセッサに指示するためにプロセッサによって実行されるときに動作可能である。命令は、プロセッサが読むことができる記憶装置に記憶されうる。記憶装置の幾つかの例は、デジタルもしくはソリッドステートメモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は光学式可読デジタルデータ記憶媒体である。
【0042】
したがって、要約すると、本発明の第1態様により、下記が提示される。
A1. 分割されたリング細部を航空機外板細部に取り外し可能に取り付けること(1504)と、
外板アセンブリを作成するためにストリンガを外板細部に取り付けること(1506)と、
外板アセンブリを輪郭を画定する支持構造に位置付けること(1508)と、
パネルを作成するためにフレームを外板アセンブリに固定すること(1510)と、
パネルの除去前にブレースの組み立てを完成させるために、スプレッダ部分をパネルの上に取り外し可能に設置すること(1512)と、
ブレースが輪郭を強化する間に、パネルを輸送すること(1514)と、
ブレースが輪郭を強化する間に、航空機の胴体のバレル部分を形成するために、ブレースを他のパネル用の他のブレースに取り付けること(1516)と、
バレル部分が形成された後に、ブレースをバレル部分から除去すること(1518)と
を含む方法。
A2. 輪郭(450)が、外板細部(412、414、416)を互いに対して所定位置に保持する支持構造(600)によって画定され、ブレース(700)は、支持構造がパネルを輪郭に対して保持するかどうかに関わらず、輪郭を強化する、段落A1に記載の方法がまた提示される。
A3. ブレースを取り付けることが、
各外板細部の方に向かって輪郭を強化するために、ブレースの分割されたリングアセンブリを外板細部に取り付けること(1504)と、
ブレースのスプレッダバーをパネル(410)によって画定された円弧(858)の終点(812)で分割されたリングアセンブリ(850)に取り付け、これによってパネルの外板細部の結合体の方に向かって輪郭(450)を強化することと
を含む、段落A1に記載の方法がまた提示される。
A4. ブレースを取り付けることが、スプレッダバー(810)と前記分割されたリングアセンブリ(850)との間にストラット(820)を取り付けることを含む、段落A3に記載の方法がまた提示される。
A5. パネルが分割されたリングアセンブリに取り付けられることになる場所で、パネルに穴1410を開けることを更に含む、段落A3に記載の方法がまた提示される。
A6. リングアセンブリが、複数のリング細部(852、854、856)を備え、方法が、輪郭を強化するために、リング細部の各々をパネルの異なる外板細部(412、414、416)に取り付けることを更に含む、段落A3に記載の方法がまた提示される。
A7. ストリンガ(320)及びフレーム(310)をパネル(410)に取り付けることが、ストリンガをフレームに垂直に配向することを含む、段落A1に記載の方法がまた提示される。
A8. パネル(410)を他のパネル(420、430、440)に取り付けることが、パネルの間に外板の重ね継ぎ(500)を形成することを含む、段落A1に記載の方法がまた提示される。
A9. 外板の重ね継ぎを形成することが、パネルを重ねることと、複数の列(512)のリベット(510)を重ねられたパネル内へと動かすこととを含む、段落A8に記載の方法がまた提示される。
A10. 外板の重ね継ぎの形成前に、パネルの各々からのブレースをまとめて取り付けること
を更に含む、段落A8に記載の方法がまた提示される。
A11. バレル部分内のパネルの場所に基づき、複数の種類のブレース(1200)からブレース(700)を選択すること
を更に含む、段落A1に記載の方法がまた提示される。
A12. バレル部分を別のバレル部分に取り付けること
を更に含む、段落A1に記載の方法がまた提示される。
A13. ブレースを取り付けることが、外板細部を輪郭内に配置する支持構造にブレースを直接取り付けずに、ブレースを外板細部の各々に取り付けること(1512)を含む、段落A1に記載の方法がまた提示される。
【0043】
本発明のさらなる態様によれば、下記が提示される。
B1. パネル(410)の端(411)に取り外し可能に装着され、パネルの方に向かって輪郭(450)を用化する、輪郭形成されたブレース(700)であって、
パネルの外板細部(412、414、416)に取り付けられた、分割されたリングアセンブリ(850)と、
分割されたリングアセンブリによって画定された円弧(858)の終点(812)で、分割されたリングアセンブリに取り付けられたスプレッダバー(810)と
を備えるブレースと
を備える胴体輪郭工具。
B2. ブレースは、パネルがパネルを製造するために使用される支持構造(600)から分離されているかどうかに関わらず、輪郭を強化する、段落B1に記載の工具がまた提示される。
B3. ブレースが、ブレースの他のパネル用のブレースへの取り付けを可能にする取り付け点(812)を分割されたリングアセンブリの上に含む、段落B1に記載の工具がまた提示される。
B4. 分割されたリングアセンブリが、複数の部分(852、854、856)を備え、各部分が、パネルの異なる外板細部(412、414、416)に取り付けられている、段落B1に記載の工具がまた提示される。
B5. スプレッダバー(1210)が非線形の形状を形成する、段落B1に記載の工具がまた提示される。
B6. スプレッダバーが、分割されたリングアセンブリに回転可能に取り付けられる、段落B1に記載の工具がまた提示される。
B7. パネルが航空機胴体(130)の一部であり、ブレースが、パネルの輸送中にパネルの方に向かって輪郭(450)を強化する、段落B1に記載の工具がまた提示される。
B8. スプレッダバーを分割されたリングアセンブリに取り付けるストラット(820)
を更に備える、段落B1に記載の工具がまた提示される。
【0044】
本発明のさらなる態様によれば、下記が提示される。
C1. パネル(410−440)を成形するための輪郭(450)を画定する支持構造(600)と、
支持構造に装着されるパネル(410)であって、
輪郭に従う複数の外板細部(412、414、416)と、
外板細部をまとめて取り付けるストリンガ(320)及びフレーム(310)と
を備えるパネルと、
パネルの端(411)に装着され、支持構造とは異なり、パネルの輸送中に輪郭を強化するブレース(700)であって、
外板細部に取り付けられた、分割されたリングアセンブリ(850)と、
分割されたリングアセンブリによって画定された円弧(858)の終点(812)で、分割されたリングアセンブリに取り付けられたスプレッダバー(810)と
を備えるブレースと
を備えるシステム。
C2. ブレースは、パネルが支持構造から分離されているかどうかに関わらず、輪郭を強化する、段落C1に記載のシステムがまた提示される。
C3. 各外板細部がアルミニウムシートを備える、段落C1に記載のシステムがまた提示される。
C4. 分割されたリングアセンブリが、パネルの各外板細部に取り付けられた1つのリング要素(852、854、856)を備える、段落C1に記載のシステムがまた提示される。
C5. スプレッダバーが、分割されたリングアセンブリに回転可能に取り付けられる、段落C1に記載のシステムがまた提示される。
C6. スプレッダバーに回転可能に取り付けられ、かつ分割されたリングアセンブリに回転可能に取り付けられているストラット(820)
を更に備える、段落C1に記載のシステムがまた提示される。
【0045】
特定の実施形態が本明細書に記載されたが、本開示の範囲はそれら特定の実施形態に限定されるものではない。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲及びその全ての均等物によって規定されるものである。
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