(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態において、圃場(水田)で植付作業を行う作業車の一例である6条植え型式の乗用型田植機が示されている。
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。機体11の走行時における前進側の進行方向が「前」であり、後進側の進行方向が「後」である。前後方向での前向き姿勢を基準として右側に相当する方向が「右」であり、左側に相当する方向が「左」である。
【0024】
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び
図2に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1(走行装置に相当)、右及び左の後輪2(走行装置に相当)を備えた機体11の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられ、リンク機構3の後部に、作業装置である苗植付装置5が支持されている。
【0025】
苗植付装置5は、左右方向に所定間隔を置いて配置された植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の右部及び左部に回転自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた植付アーム8、フロート9、苗のせ台10等を備えている。
【0026】
機体11及び苗植付装置5に亘って、作業装置である施肥装置18が備えられており、施肥装置18は、ホッパー13、繰り出し部14、ブロア15、作溝器16及びホース17等を備えている。
【0027】
機体11において運転座席12の後側に、肥料を貯留するホッパー13及び繰り出し部14が備えられており、繰り出し部14の左の横外側にブロア15が備えられている。フロート9に作溝器16が連結されて、6個の作溝器16が備えられており、繰り出し部14と作溝器16とに亘って6本のホース17が接続されている。
【0028】
(前輪及び後輪への伝動系)
図1に示すように、機体11の前部に備えられたエンジン31の動力が、伝動ベルト32を介して静油圧式の無段変速装置(図示せず)に伝達され、ミッションケース33の内部のギヤ変速型式の副変速装置(図示せず)に伝達される。
【0029】
ミッションケース33の右部及び左部に、右及び左の前車軸ケース34が連結されて、右及び左の前輪1が、前車軸ケース34の右部及び左部に操向自在に支持されている。副変速装置の動力が、前輪デフ装置(図示せず)、前車軸ケース34の内部の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の前輪1に伝達される。
【0030】
機体11の後部の下部に左右方向に沿って後車軸ケース35が支持されており、後車軸ケース35の右部及び左部に右及び左の後輪2が支持されている。副変速装置の動力が、伝動軸36、後車軸ケース35の内部の伝動軸(図示せず)及びサイドクラッチ(図示せず)を介して、右及び左の後輪2に伝達される。
【0031】
図1,2,3に示すように、運転座席12の前側に、操縦ハンドル20が備えられており、操縦ハンドル20により前輪1が操向操作される。操縦ハンドル20の左の横側部に変速レバー37が備えられており、変速レバー37によって、無段変速装置を中立位置Nから前進側F及び後進側Rに無段階に操作することができる。
【0032】
(苗植付装置及び施肥装置への伝動系)
図1,2,3に示すように、ミッションケース33において、副変速装置の直前から分岐した動力が、植付クラッチ26及びPTO軸38を介して苗植付装置5に伝達されており、植付クラッチ26を伝動状態及び遮断状態に操作する電動モータ28が備えられている。
【0033】
植付クラッチ26が伝動状態に操作されると、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して圃場に植え付ける。植付クラッチ26が遮断状態に操作されると、苗のせ台10及び回転ケース7が停止する。
【0034】
図1,2,3に示すように、ミッションケース33において、副変速装置の動力が、施肥クラッチ27を介して、施肥装置18の繰り出し部14に伝達されており、電動モータ28により施肥クラッチ27が伝動状態及び遮断状態に操作される。
【0035】
施肥クラッチ27が伝動状態に操作されると、ホッパー13の肥料が繰り出し部14により繰り出されて、ブロア15の搬送風によりホース17を通って作溝器16に供給されるのであり、作溝器16により圃場に溝が形成されながら、作溝器16から圃場の溝に肥料が供給される。施肥クラッチ27が遮断状態に操作されると、繰り出し部14が停止する。
【0036】
苗植付装置5において、3個の植付伝動ケース6の各々に少数条クラッチ(図示せず)が備えられており、2条の植付アーム8(回転ケース7)を独立に停止させてことができる。施肥装置18においても、繰り出し部14に少数条クラッチ(図示せず)が備えられて、植付アーム8(回転ケース7)の少数条クラッチと、繰り出し部14の少数条クラッチとが連係されている。
例えば右の2条の植付アーム8(回転ケース7)及び、右の2条に対応する繰り出し部14を停止させて、右の2条の苗の植え付け及び肥料の供給を停止させることができる。
【0037】
(苗植付装置の自動昇降制御)
図3に示すように、苗植付装置5の左右方向の軸芯P1周りに、中央のフロート9の後部が上下に揺動自在に支持されて、苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さを検出するポテンショメータ型式の高さセンサー22が備えられており、高さセンサー22の検出値が制御装置23に入力されている。機体11の進行に伴って中央のフロート9が圃場に接地追従するのであり、高さセンサー22の検出値により、圃場(中央のフロート9)から苗植付装置5までの高さを検出することができる。
【0038】
自動昇降制御部54がソフトウェアとして制御装置23に備えられて、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する制御弁24が備えられており、自動昇降制御部54により制御弁24が操作される。
【0039】
制御弁24が上昇位置に操作されると、油圧シリンダ4に作動油が供給されて、油圧シリンダ4が収縮作動して、苗植付装置5が上昇する。制御弁24が下降位置に操作されると、油圧シリンダ4から作動油が排出されて、油圧シリンダ4が伸長作動して、苗植付装置5が下降する。
【0040】
自動昇降制御部54の作動状態において圃場から苗植付装置5までの高さに基づいて、苗植付装置5が圃場から設定高さに維持されるように、自動昇降制御部54により制御弁24が操作されて、油圧シリンダ4が伸縮作動し、苗植付装置5が自動的に昇降する。これにより、苗の植付深さが設定深さに維持される。
【0041】
(操作レバーによる苗植付装置の昇降操作)
図2及び
図3に示すように、操縦ハンドル20の下側の右の横側部に操作レバー39が備えられて、操作レバー39が右の横外側に延出されている。
【0042】
操作レバー39は、中立位置Nから上側の第1上昇位置UU1、第2上昇位置UU2、下側の第1下降位置DD1、第2下降位置DD2に操作自在に支持されて、中立位置Nに付勢されており、操作レバー39の操作位置が制御装置23に入力されている。
【0043】
操作レバー39を第2上昇位置UU2に操作すると、電動モータ28により植付クラッチ26及び施肥クラッチ27が遮断状態に操作されて、自動昇降制御部54が停止状態となり、制御弁24が上昇位置に操作されて、苗植付装置5が上昇する。苗植付装置5が上限位置に達すると、制御弁24が中立位置に操作されて、油圧シリンダ4が自動的に停止する。
【0044】
操作レバー39を第2下降位置DD2に操作すると、電動モータ28により植付クラッチ26及び施肥クラッチ27が遮断状態に操作されて、自動昇降制御部54が停止状態となり、制御弁24が下降位置に操作されて、苗植付装置5が下降する。中央のフロート9が圃場に接地すると、自動昇降制御部54が作動状態となり、苗植付装置5が圃場に接地して停止した状態となる。
【0045】
操作レバー39を第2下降位置DD2に操作して中立位置Nに操作した後、操作レバー39を再び第2下降位置DD2に操作すると、自動昇降制御部54の作動状態で、電動モータ28により植付クラッチ26及び施肥クラッチ27が伝動状態に操作される。
【0046】
操作レバー39を第1上昇位置UU1に操作すると、電動モータ28により植付クラッチ26及び施肥クラッチ27が遮断状態に操作されて、自動昇降制御部54が停止状態となり、制御弁24が上昇位置に操作されて、苗植付装置5が上昇するのであり、操作レバー39が第1上昇位置UU1に操作されている間だけ苗植付装置5が上昇する。操作レバー39を中立位置Nに操作すると、制御弁24が中立位置に操作されて苗植付装置5の上昇が停止する。
【0047】
操作レバー39を第1下降位置DD1に操作すると、電動モータ28により植付クラッチ26及び施肥クラッチ27が遮断状態に操作されて、自動昇降制御部54が停止状態となり、制御弁24が下降位置に操作されて、苗植付装置5が下降するのであり、操作レバー39が第1下降位置DD1に操作されている間だけ苗植付装置5が下降する。操作レバー39を中立位置Nに操作すると、制御弁24が中立位置に操作されて苗植付装置5の下降が停止する。
【0048】
以上のように操作レバー39を第1上昇位置UU1及び第1下降位置DD1に操作している間だけ、苗植付装置5を上昇及び下降させることができるのであり、苗植付装置5を任意の高さに上昇及び下降させて停止させることができる。
【0049】
(機体の位置及び機体の方位の検出の構成)
図1及び
図2に示すように、機体11の前部の右部及び左部に、右及び左の支持フレーム19が備えられており、支持フレーム19に予備苗のせ台21が支持されている。右及び左の支持フレーム19の上部に亘って、支持フレーム25が連結されている。
【0050】
支持フレーム25において、平面視で機体11の左右中央CLに位置する部分に、計測装置29(測位部に相当)が取り付けられている。計測装置29には、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(図示せず)、機体11の傾き(ピッチ角、ロール角)を検出する慣性計測装置(図示せず)が備えられており、計測装置29は機体11の位置を示す測位データを出力する。
【0051】
後車軸ケース35において平面視で機体11の左右中央CLに位置する部分に、慣性情報を計測する慣性計測装置30が取り付けられている。慣性計測装置30及び計測装置29の慣性計測は、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
【0052】
前述の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)には、代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)が挙げられる。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(機体11)が備える受信装置を使用して、計測装置29の受信装置の位置を計測するものである。
【0053】
慣性計測装置30は、機体11のヨー角度(機体11の旋回角度)の角速度を検出可能なジャイロセンサー(図示せず)、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度センサー(図示せず)を備えている。慣性計測装置30により計測される慣性情報には、ジャイロセンサーにより検出される方位変化情報と、加速度センサーにより検出される位置変化情報とが含まれている。
これにより、計測装置29及び慣性計測装置30によって、機体11の位置及び機体11の方位が検出される。
【0054】
(機体の自動走行に関する構成)
図3に示すように、操縦ハンドル20を操作する操向モータ40が備えられており、操縦ハンドル20の前側に、液晶ディスプレイ等を有する表示装置42が備えられている。
【0055】
図2及び
図3に示すように、変速レバー37の操作位置が制御装置23に入力されており、変速レバー37を操作する変速モータ41が備えられている。自動走行の開始及び停止を行う押しボタン型式の自動操作部43が、変速レバー37の握り部に備えられて、自動操作部43の信号が制御装置23に入力される。
【0056】
前項の(苗植付装置の自動昇降制御)に記載の自動昇降制御部54に加えて、過去経路取得部51、走行経路取得部52、走行経路設定部53、自動走行制御部55、畦際取得部56が、ソフトウェアとして制御装置23に備えられている。
【0057】
(畦際の位置データの取得)
図5に示すように、例えば畦B1,B2,B3,B4を備えた圃場において、畦B1〜B4の畦際B11,B21,B31,B41の位置データを、例えば以下の(1)〜(5)に示す方法のうちのいずれか一つ(又は複数)によって事前に得て、畦際取得部56に取得させて記憶させておく。
【0058】
(1)
図1及び
図2に示す計測装置29を機体11から取り外して、計測装置29を持った作業者が畦際B11〜B41に沿って歩行することにより、計測装置29による作業者の位置を示す測位データを、畦際B11〜B41の位置データとして得る。
【0059】
(2)
図1及び
図2に示す乗用型田植機(計測装置29が取り付けられた状態)を、畦際B11〜B41に沿って走行させることにより、計測装置29による機体11の位置を示す測位データを、畦際B11〜B41の位置データとして得る。
【0060】
この場合、機体11の左右中央CLに位置する部分に計測装置29が取り付けられており、機体11(苗植付装置5)の外端部が、畦際B11〜B41に位置するので、計測装置29による機体11の位置を示す測位データから、機体11(苗植付装置5)の横幅の1/2だけ外側の位置が、畦際B11〜B41の位置データとなるように、補正が行われる。
【0061】
(3)同じ乗用型田植機(又は計測装置29を備えた別の乗用型田植機や乗用型播種機)が、過去に圃場を走行して、圃場を走行した機体11の位置を示す測位データを得ていた場合、この測位データを、畦際B11〜B41の位置データとして利用する。この場合、前項(2)に記載の補正を行っておく。
【0062】
(4)計測装置29を備えたコンバインやトラクタ等の各種の作業車が、過去(又は現在)に圃場を走行して、圃場を走行した作業車の位置を示す測位データを得ていた場合、この測位データを、畦際B11〜B41の位置データとして利用する。
【0063】
(5)畦際B11〜B41の位置データを記録した市販の記憶媒体が存在すれば、この記憶媒体を利用する。
【0064】
(過去走行経路の取得)
圃場では、乗用型田植機による苗の植え付けの前に、トラクタ(図示せず)により代掻き作業を行うことが多い。この場合、同じ圃場において、
図4に示すように、計測装置29を装備したトラクタが、過去走行経路L11〜L19を走行して代掻き作業を行っていたとする。
【0065】
トラクタの計測装置29による過去走行経路L11〜L19の測位データを、過去走行経路L11〜L19として、過去経路取得部51に取得させて記憶させておく。同様に、トラクタのトレッドのデータも、過去経路取得部51に取得させて記憶させておく。
【0066】
(走行経路の設定)
図5に示すように、乗用型田植機が圃場の近傍に到着すると、畦際B11〜B41の位置データ、及び過去走行経路L11〜L19の位置データに基づいて、走行経路設定部53により、以下に記載のように、走行経路L01〜L07の設定が行われる。
【0067】
畦際B11,B21から苗植付装置5の横幅の1倍又は2倍の所定間隔W2だけ圃場の中央側の位置に、畦際B11,B21に沿って枕地ラインLA1,LA2が設定される。
畦際B31,B41から、前述と同じ所定間隔W2だけ圃場の中央側の位置に、畦際B31,B41に沿って枕地ラインLA3,LA4が設定される。
【0068】
図4に示すように、過去走行経路L11〜L19が畦B1,B2に亘っているので、過去走行経路L11〜L19と同様に
図5に示すように、走行経路L01,L02,L03,L04,L05,L06,L07が、枕地ラインLA3,LA4と平行で、且つ、所定間隔W1(苗植付装置5の横幅)を置いて互いに平行となるように、枕地ラインLA1,LA2に亘って設定され、走行経路L01〜L07の向き(
図5に示す走行経路L01〜L07の矢印参照)が設定される。
【0069】
図5に示すように、走行経路L01〜L07の始端部が、開始位置C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7となる。走行経路L01〜L07の終端部が、終了位置D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7となる。これにより、開始位置C1〜C7と終了位置D1〜D7とを結んだものが、走行経路L01〜L07となる。
【0070】
(走行経路の修正及び取得)
前項の(走行経路の設定)に記載のように、走行経路L01〜L07が設定されると、走行経路設定部53により、以下に記載のように、走行経路L01〜L07の修正が行われる。
【0071】
図5に示す走行経路L01〜L07において、乗用型田植機のトレッドに基づいて、計測装置29が走行経路L01〜L07に位置した状態での前輪1及び後輪2の通過位置が検出される。
【0072】
図5に示す過去走行経路L11〜L19において、トラクタのトレッドに基づいて、トラクタの計測装置29が過去走行経路L11〜L19に位置した状態でのトラクタの前輪及び後輪の轍の位置が検出される。
【0073】
乗用型田植機では、前輪1のトレッドと後輪2のトレッドとは略同じなので、前輪1及び後輪2の通過位置(轍)は同じ位置である。トラクタでも同様に、前輪のトレッドと後輪のトレッドとは略同じなので、前輪及び後輪の通過位置(轍)は同じ位置である。
【0074】
乗用型田植機の前輪1及び後輪2の通過位置と、トラクタの前輪及び後輪の轍の位置とが比較されて、重複するものがあるか否かが、走行経路L01〜L07において検出される。
【0075】
図5に示すように、例えば走行経路L03において重複する場合、走行経路L03の位置が少し走行経路L02側(又は走行経路L04側)に変更されて、乗用型田植機の前輪1及び後輪2の通過位置と、トラクタの前輪及び後輪の轍の位置とが重複しないように設定される。
【0076】
走行経路L03の位置が少し走行経路L02側に変更されると、走行経路L02,L03が接近することになる。
この場合、例えば走行経路L02において、圃場に植え付けられた苗に対して、機体11が走行経路L03を走行する際に左のフロート9が接触しない位置(又は、左のフロート9から横に流れる圃場の泥が影響を与えない位置)が、変更限度となる。
【0077】
走行経路L03の位置が少し走行経路L02側に変更されると、走行経路L03,L04が離間することになる。この場合、隣接する植付アーム8の左右方向の間隔(条間)(一般に300mm)が、変更限度となる。
【0078】
前述のようにして、走行経路L01〜L07の位置が変更された場合、位置の変更の積算により、機体11が走行経路L07を走行した際に圃場に植え付けられる苗と、畦際B41との間隔が、所定間隔W2よりも狭くなったり、広くなったりすることがある。
【0079】
この場合、機体11が走行経路L07を走行した際に圃場に植え付けられる苗と、畦際B41との間隔が所定間隔W2よりも狭くなると、走行経路07において、右の少数条クラッチを遮断状態に操作して、機体11が走行経路L07を走行した際に圃場に植え付けられる苗と、畦際B41との間隔が、所定間隔W2となるようにする必要がある。
【0080】
機体11が走行経路L07を走行した際に圃場に植え付けられる苗と、畦際B41との間隔が所定間隔W2よりも広くなると、機体11を畦際B41に沿って走行させて、苗の植え付け(回り植え)及び肥料の供給を行う際に、少数条クラッチの操作が必要になる。
【0081】
以上のような処理が行われた後、開始位置C1〜C7及び終了位置D1〜D7、走行経路L01〜L07、少数条クラッチの操作が必要の有無が、表示装置42(
図3参照)に表示されるので、運転者が問題は無いと判断すると、運転者は承認ボタン(図示せず)を押し操作する。
これにより、走行経路L01〜L07、開始位置C1〜C7及び終了位置D1〜D7の位置データが、走行経路取得部52(
図3参照)に取得されて記憶される。
【0082】
(機体の自動走行)
前項の(走行経路の修正及び取得)に記載のように、走行経路L01〜L07が設定された状態において、
図5に示すように、運転者は、操縦ハンドル20及び変速レバー37を操作して機体11を走行させ、機体11(苗植付装置5)を開始位置C1に位置させた状態で、運転者は自動操作部43を操作して走行を開始する。
【0083】
これと同時に運転者は、操作レバー39を操作して、苗植付装置5を圃場に下降させ、植付クラッチ26及び施肥クラッチ27を伝動状態に操作して、苗の植え付け及び肥料の供給を開始する。
【0084】
自動操作部43が操作されることにより、自動走行制御部55が作動状態となる。自動走行制御部55の作動状態において、計測装置29及び慣性計測装置30の検出に基づいて、操向モータ40が作動して前輪1の自動的な操向操作が行われ、変速モータ41が作動して変速レバー37が自動的に操作されて、機体11は走行経路L01に沿って一定の速度で自動的に走行する。
機体11の位置、機体11が走行する走行経路L01、次に機体11を走行させるべき次の走行経路L02が、表示装置42に表示される。
【0085】
機体11(苗植付装置5)が終了位置D1に達すると、運転者は、操作レバー39を操作して苗植付装置5を圃場から上昇させて、苗の植え付け及び肥料の供給を停止するのであり、操作レバー39による苗植付装置5の上昇に伴って、自動走行制御部55が停止状態となる。
【0086】
運転者は、操縦ハンドル20及び変速レバー37を操作して、機体11を旋回させて、機体11(苗植付装置5)を開始位置C2位置させる。表示装置42において、走行経路L01が消えて、機体11が走行する走行経路L02が表示され、次に機体11を走行させるべき次の走行経路L03が表示される。
【0087】
機体11(苗植付装置5)を開始位置C2に位置させた状態で、運転者は自動操作部43を操作して走行を開始する。これと同時に運転者は、操作レバー39を操作して、苗植付装置5を圃場に下降させ、植付クラッチ26及び施肥クラッチ27を伝動状態に操作して、苗の植え付け及び肥料の供給を開始する。
これにより、自動走行制御部55が作動状態となり、前述と同様な操作が行われて、機体11は走行経路L02に沿って一定の速度で自動的に走行する。
【0088】
機体11(苗植付装置5)が終了位置D2に達すると、前述と同様に運転者は、機体11を旋回させて、機体11(苗植付装置5)を開始位置C3に位置させ、自動操作部43を操作し、操作レバー39を操作して、苗植付装置5を圃場に下降させ、植付クラッチ26及び施肥クラッチ27を伝動状態に操作する。
【0089】
以後、運転者は前述と同様な操作を繰り返すことによって、機体を走行経路L04〜L07に沿って走行させるのであり、最後に機体11を畦際B11〜B41に沿って走行させ、苗の植え付け(回り走行)及び肥料の供給を行って、一つの圃場での苗の植え付け及び肥料の供給を終了する。
【0090】
(発明の実施の第1別形態)
前述の(発明を実施するための形態)の(走行経路の設定)において、畦際B11〜B41の位置データ及び過去走行経路L11〜L19の位置データに基づいて、走行経路設定部53により、
図6に示すように、走行経路L01〜L07の設定が行われてもよい。
【0091】
畦際B11,B21から苗植付装置5の横幅の1倍又は2倍の所定間隔W2だけ圃場の中央側の位置に、畦際B11,B21に沿って枕地ラインLA1,LA2が設定される。
畦際B31,B41から、前述と同じ所定間隔W2だけ圃場の中央側の位置に、畦際B31,B41に沿って枕地ラインLA3,LA4が設定される。
【0092】
図4に示すように、過去走行経路L11〜L19が畦B1,B2に亘っているので、
図6に示すように、過去走行経路L11〜L19と交差するように、走行経路L01,L02,L03,L04,L05が、枕地ラインLA1,LA2と平行で、且つ、所定間隔W1(苗植付装置5の横幅)を置いて互いに平行となるように、枕地ラインLA3,LA4に亘って設定され、走行経路L01〜L05の向き(
図6に示す走行経路L01〜L05の矢印参照)が設定される。
【0093】
図6に示すように、走行経路L01〜L05の始端部が、開始位置C1,C2,C3,C4,C5となる。走行経路L01〜L05の終端部が、終了位置D1,D2,D3,D4,D5となる。これにより、開始位置C1〜C5と終了位置D1〜D5とを結んだものが、走行経路L01〜L05となる。
【0094】
この場合、前項(走行経路の修正及び取得)に記載のような、走行経路L01〜L05の位置の変更は行われずに、走行経路L01〜L05が走行経路取得部52に取得されて記憶される。
【0095】
走行経路L01〜L05が、過去走行経路L11〜L19と交差するように設定されると、乗用型田植機の前輪1及び後輪2が、トラクタの前輪及び後輪の轍に交差した状態で入り込んだり出て行ったりする状態となるので、機体11の上下動(ピッチング)が激しいものになることが予想される。
【0096】
この場合、自動昇降制御部54の制御感度が自動的に敏感状態に設定されるように構成して、機体11の上下動(ピッチング)が激しくても、苗植付装置5による苗の植付深さが設定深さに維持されるようにすればよい。
【0097】
(発明の実施の第2別形態)
前述の(発明を実施するための形態)及び(発明の実施の第1別形態)の乗用型田植機から、過去経路取得部51及び走行経路設定部53を取り出し、乗用型田植機とは別の外部の一つ又は複数のコンピュータ(図示せず)等に備えて、過去経路取得部51及び走行経路設定部53を備えた走行経路設定システムとしてもよい。
【0098】
前述の(発明を実施するための形態)及び(発明の実施の第1別形態)の乗用型田植機において、過去経路取得部51及び走行経路設定部53を、乗用型田植機に搭載される走行経路設定システムとしてもよい。
【0099】
前述の(発明を実施するための形態)及び(発明の実施の第1別形態)の乗用型田植機において、過去経路取得部51及び走行経路設定部53を備えずに、前述の走行経路設定システム等により走行経路L01〜L07の設定が行われ、設定された走行経路L01〜L07が、乗用型田植機の制御装置23に送信され、乗用型田植機の走行経路取得部52に取得されて記憶されるように構成してもよい。
【0100】
(発明の実施の第3別形態)
走行経路L01〜L07から次の走行経路L01〜L07への旋回、畦際B11〜B41に沿った回り走行も、自動走行制御部55により機体11が自動的に走行するように構成してもよい。
【0101】
(発明の実施の第4別形態)
自動走行制御部55を廃止してもよい。この構成によると、運転者は、表示装置42に表示される機体11の位置及び走行経路L01〜L07を目視しながら、操縦ハンドル20及び変速レバー37を操作して、機体11を走行経路L01〜L07に沿って走行させる。
【0102】
(発明の実施の第5別形態)
同じ圃場において、前年度にコンバインが収穫した穀粒の収量マップ及び食味マップ、トラクタやコンバインが走行した際の作業負荷、作業速度、ロータリ耕耘装置の耕耘深さ等のマップに基づいて、以下の項目を制御するようにしてもよい。
【0103】
乗用型田植機の苗のせ台10に載置される苗において、育苗時の種籾の量、床土の種類及び厚み、覆土の種類及び厚み等。
乗用型田植機の苗植付装置5において、苗の植付深さ、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の取り出し量、機体11の進行方向での苗の植付間隔(株間)、苗のせ台10の横送り速度、苗のせ台10の苗の縦送り量等。
【0104】
乗用型直播機において、種籾の供給量等。
乗用型田植機及び乗用型直播機において、整地装置を備えた場合の整地深さ、薬剤散布装置を備えた場合の薬剤の種類及び散布量、施肥装置18を備えた場合の肥料の種類及び供給量等。
中間作業機において、薬剤の種類及び散布量、追肥の種類及び供給量等。
トラクタにおいて、ロータリ耕耘装置による耕耘深さ等。