特許第6976090号(P6976090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6976090透明オレフィン系樹脂シート及びそれよりなるファイル
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  • 特許6976090-透明オレフィン系樹脂シート及びそれよりなるファイル 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976090
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】透明オレフィン系樹脂シート及びそれよりなるファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   B42F7/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-130714(P2017-130714)
(22)【出願日】2017年7月3日
(65)【公開番号】特開2019-14058(P2019-14058A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198802
【氏名又は名称】積水成型工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】仁田 好則
(72)【発明者】
【氏名】勝岡 一浩
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆充
(72)【発明者】
【氏名】田所 淳人
【審査官】 金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−001265(JP,A)
【文献】 特開昭51−009904(JP,A)
【文献】 特開2014−223783(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/020675(WO,A1)
【文献】 特開2016−068387(JP,A)
【文献】 特開平11−129326(JP,A)
【文献】 特開2002−052878(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0257200(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00−11/14
13/00−15/06
B29C 31/00−31/10
37/00−37/04
55/00−55/30
61/00−61/10
71/00−71/02
B42F 1/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートと裏面シートが積層され、その一側端部、一側端部と底部又は両側端部と底部が閉塞されて収納可能に形成されているファイルであって、表面シートと裏面シートは、一面が、高さ1.0μm未満の微細凹凸を有し、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満の平滑面であり、他面が、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm以上のマット面である透明オレフィン系樹脂シートであり、高さ1.0μm未満の微細凹凸を有し、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満の平滑面が外側になるように積層されていることを特徴とするファイル。
【請求項2】
透明オレフィン系樹脂シートの平滑面の表面粗さ(Ra)が0.01μmから0.1μm未満であることを特徴とする請求項1記載のファイル。
【請求項3】
透明オレフィン系樹脂シートのマット面の表面粗さ(Ra)が0.1〜5.0μmであることを特徴とする請求項1又は2記載のファイル。
【請求項4】
透明オレフィン系樹脂シートのヘイズ値が35%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のファイル。
【請求項5】
透明オレフィン系樹脂シートが、オレフィン系樹脂100重量部と帯電防止剤0.1重量部以下とからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明オレフィン系樹脂シート及びそれよりなる書類や写真等を簡便にファイリングすることのできるファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、書類や写真等を簡便にファイリングするためにファイルやバインダーが広く使用されている。これらファイルやバインダーは透明の合成樹脂シートを積層し、一側端部、一側端部と底部又は両側端部と底部を閉塞して書類等を収納可能に形成されており、収納された書類を取り出すことなく外部から容易に視認できる、所謂、クリアファイルやクリアバインダーである。
【0003】
上記合成樹脂シートは透明なので外表面を平滑にし、内表面には、書類等を収納し易く取り出しやすくしたり、宣伝や見栄えをよくする目的で印刷を施せるようにするために微細凹凸加工することが提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
【0004】
しかしながら、上記合成樹脂シートは、一般に、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂からなるシートであるから、保存時に帯電が発生する。又、使用や加工時にも剥離帯電や打ち抜き加工帯電が発生し、重ね合されたシ−トやその製品、特に、平滑面同士が重ね合わされたシ−トやその製品は剥離が困難になって流れにくくなったりブロッキング現象を引き起こしたりした。更に、印刷時には静電気により印刷インキがはじかれ印刷不良が発生することがあった。
【0005】
これらの欠点を改良するために、オレフィン系樹脂には帯電防止剤が添加されているが、少量では帯電防止効果が小さく、多量になると帯電防止剤がシート表面にブリードして白化するという欠点があった。又、少量であっても、シートを長期間、特に高温高湿下で保存した場合は帯電防止剤がシート表面にブリードして白化する可能性があり、夏場の高温多湿下での在庫や貨物船等で長時間かかり高温になるコンテナ輸送することは困難であった。又、印刷等の二次加工が可能であっても、印刷及び二次加工した後、製品としての在庫も困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−9606号公報
【特許文献2】特開2009−262516号公報
【特許文献3】特開2002−52878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、少なくとも一面が平滑面である透明オレフィン系樹脂シートであって、帯電防止剤の含有量が少なくても保存時や加工時に帯電しにくく、重ね合わせても剥離しやすく流れ性が優れており、ブロッキング現象を引き起こさないので、加工性、印刷性等が優れており、且つ、高温高湿下で長期間保存可能であり、使用可能期間が長い透明オレフィン系樹脂シート及びそれよりなるファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、
[1]少なくとも一面が、高さ1.0μm未満の微細凹凸を有し、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満の平滑面であることを特徴とする透明オレフィン系樹脂シート、
[2]他面が、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm以上のマット面であることを特徴とする上記[1]記載の透明オレフィン系樹脂シート、
[3]マット面の表面粗さ(Ra)が0.1〜5.0μmであることを特徴とする上記[2]記載の透明オレフィン系樹脂シート、
[4]ヘイズ値が35%以下であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか1項記載の透明オレフィン系樹脂シート、
[5] オレフィン系樹脂100重量部と帯電防止剤0.1重量部以下とからなることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか1項記載の透明オレフィン系樹脂シート、及び、
[6]表面シートと裏面シートが積層され、その一側端部、一側端部と底部又は両側端部と底部が閉塞されて収納可能に形成されているファイルであって、表面シートと裏面シートの少なくとも一方が上記[1]〜[5]のいずれか1項記載の透明オレフィン系樹脂シートであり、高さ1.0μm未満の微細凹凸を有し、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満の平滑面が外側になるように積層されていることを特徴とするファイル
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の透明又は半透明オレフィン系樹脂シートの構成は上述の通りであり、帯電防止剤の含有量が少なくても保存時や加工時に帯電しにくく、重ね合わせても剥離しやすく流れ性が優れており、ブロッキング現象を引き起こさないので、加工性、印刷性等が優れており、且つ、高温高湿下で長期間保存しても帯電防止剤がブリードして白化したり印刷適性が低下することがないので、使用可能期間が長く、夏場の高温多湿下での在庫や貨物船等で長時間かかり高温になるコンテナ輸送することができる。又、印刷及び二次加工した後、製品として長期間在庫することもできる。
【0010】
又、本発明の透明オレフィン系樹脂シートよりなるファイルは、製造及び印刷が容易であり、且つ、書類の収納、取り出しが容易であると共に収納された書類を外部から視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のファイルの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
請求項1記載の透明オレフィン系樹脂シートは、少なくとも一面が、高さ1.0μm未満の微細凹凸を有し、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満の平滑面であることを特徴とする。
【0013】
上記オレフィン系樹脂としては、シート形成能を有し、そのシートが透明又は半透明である任意のオレフィン系樹脂が使用でき、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂が好ましく、又、これらのポリオレフィン系樹脂は単独であってもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
【0014】
上記オレフィン系樹脂シートの表面が全く平滑で凹凸がないと重ね合わせた場合、剥離しにくく流れ性が悪く、ブロッキング性が大きくなるので、少なくとも一面が、高さ1.0μm未満の微細凹凸を有しており、且つ、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満の鏡面光沢を有する平滑面である。表面粗さ(Ra)は、小さくなりすぎると重ね合わせた際に剥離しにくくなると共に流れにくくなり、ブロッキング現象を引き起こしやすくなるので0.01〜0.1μmが好ましい。この平滑面は高さ1.0μm未満の微細凹凸を有しているが、凹凸は微細であり、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満であって、目視ではほぼ鏡面である。
【0015】
尚、この平滑面はほぼ鏡面であるが、高さ1.0μm未満の微細凹凸を有し、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満であるから印刷も可能である。
【0016】
一般に、オレフィン系樹脂シートの帯電防止のために、帯電防止剤がオレフィン系樹脂100重量部に対し1〜3重量部添加されているが、上記オレフィン系樹脂シートは、少なくとも一面がJIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満の平滑面であるから、剥離が容易で流れ性が優れ、ブロッキング性も小さいので、オレフィン系樹脂100重量部に対し帯電防止剤は0.1重量部以下添加されるのが好ましく、より好ましくは0.01重量部以下であり、更に好ましくは0.003重量部以下である。
【0017】
上記帯電防止剤としては、オレフィン系樹脂シートに従来から使用されている帯電防止剤であれば特に限定されず、例えば、アルキルアミド、グリセリン脂肪酸エステル誘導体等の界面活性剤やスルホン酸誘導体、及びその混合物などが挙げられる。
【0018】
又、必要に応じて、フェノール系抗酸化剤、芳香族アミン系酸化防止剤等の酸化防止剤、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、カチオン系、非イオン系等の帯電防止剤、衝撃改良剤、防曇剤、難燃剤、着色剤等が添加されてもよい。
【0019】
上記オレフィン系樹脂シートの厚さは、特に限定されず、一般に0.1〜1.0mmであり、ファイルの場合は0.15〜0.5mmが好ましい。又、ファイルの場合は透明性が優れているのが好ましいので、オレフィン系樹脂シートのヘイズ値は35%以下が好ましい。
【0020】
上記透明オレフィン系樹脂シートの製造方法は特に限定されず、例えば、加熱軟化されているオレフィン系樹脂シートの一面に、高さ1.0μm未満の微細凹凸であって、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満の微細凹凸を有する微細加工ロールで加圧する賦形方法が挙げられる。
【0021】
上記オレフィン系樹脂シートの他面は、特に限定されず、鏡面であってもよいし、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満の平滑面であってもよい。
【0022】
又、滑り性や流れ性が優れ且つ印刷適性が優れているように、他面はJIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm以上の印刷が可能なマット面であるのが好ましい。
【0023】
上記透明オレフィン系樹脂シートの他面(マット面)のJIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)は大きくなりすぎると印刷適性が低下するので0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは0.1〜3.0μmである。
【0024】
印刷可能なマット面の製造方法は特に限定されず、例えば、エンボス加工、マット加工、梨地加工、ゴムロール加工、エアーナイフ加工等の賦形方法が挙げられる。
【0025】
請求項6記載のファイルは、表面シートと裏面シートが積層され、その一側端部、一側端部と底部又は両側端部と底部が閉塞されて収納可能に形成されているファイルであって、表面シートと裏面シートの少なくとも一方が請求項1〜5のいずれか1項記載の透明オレフィン系樹脂シートであり、高さ1.0μm未満の微細凹凸を有し、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満の平滑面が外側になるように積層されていることを特徴とする。
【0026】
上記ファイルにおいては、表面シートと裏面シートはその一側端部と底部が閉塞され、上方及び他側端部が開放されて収納可能に形成されているが好ましいが、その一側端部のみが閉塞されて(一枚のシートが折畳まれて)書籍状になされて収納可能に形成されていてもよいし、両側端部と底部が閉塞されて袋状になされて収納可能に形成されていてもよい。
【0027】
上記ファイルにおいては、表面シートと裏面シートの少なくとも一方が請求項1〜5のいずれか1項記載の透明オレフィン系樹脂シートであり、表面シートと裏面シートの両シート共に請求項1〜5のいずれか1項記載の透明オレフィン系樹脂シートであってもよい。又、表面シートと裏面シートは共に高さ1.0μm未満の微細凹凸を有し、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満の平滑面が外側になるように積層されている
【0028】
次に、図面を参照して本発明のファイルを説明する。図1は、本発明のファイルの一例を示す断面図である。図中1は表面シートであり、2は裏面シートである。表面シート1と裏面シート2は透明オレフィン系樹脂よりなる略矩形のシートが折り目3により折畳まれて形成されている。
【0029】
表面シート1の外側面11と裏面シート2の外側面21は高さ1.0μm未満の微細凹凸を有し、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm未満の鏡面光沢を有する平滑面であり、表面シート1の内側面12と裏面シート2の内側面22はJIS B 0601に準拠して表面粗さ計で測定した表面粗さ(Ra)が0.1μm以上のマット面である。
【0030】
又、表面シート1と裏面シート2の底部は熱融着され、熱融着部(図示せず)が形成されており、折り目3及び熱融着部により表面シート1と裏面シート2はその一側端部と底部が閉塞され、上方及び他側端部が開放されて収納可能に形成されている。
【実施例】
【0031】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
MFR=1.9g/10min、融点約160℃のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製)100重量部、線状低密度ポリエチレン(住友化学社製)3重量部及び帯電防止剤0.0015重量部よりなるポリプロピレン系樹脂組成物を、スクリュー径70mmの一軸混練押出機に供給して樹脂温度210℃で溶融混練した後、溶融混練物を押出して厚さ0.2mmのポリプロピレン系樹脂シートを得た。得られたポリプロピレン系樹脂シートを微細凹凸ロールと75℃のエアーナイフの間に約6.0m/minの速度で供給しプレス成形した後、80℃でアニールして本発明の透明オレフィン系樹脂シートを得た。
【0033】
得られた透明オレフィン系樹脂シートの微細凹凸ロールで賦形された面(鏡面)は鏡面光沢を有する平滑面であり、凹凸の高さは0.5μmであり、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計(東京精密社製、サーフコム130A)で表面粗さ(Ra)を測定したところ0.062μmであった。
【0034】
又、透明オレフィン系樹脂シートのエアーナイフで賦形された面(マット面)をJIS B 0601に準拠して表面粗さ計(東京精密社製、サーフコム130A)で表面粗さ(Ra)を測定したところ0.18μmであった。又、マット面にオフセット用インキ(TOKA社製)を用いてオフセット印刷したところ美麗に印刷することができた。
【0035】
得られた透明オレフィン系樹脂シートのヘイズ値は32%であり、表面固有抵抗値は1.0×1013Ωであった。又、ヒートサイクル試験後のヘイズ値は33%であり、表面固有抵抗値は1.0×1014Ωであった。又、ヒートサイクル試験後にオレフィン系樹脂シートの表面が白化することはなかった。
【0036】
尚、ヒートサイクル試験は、それぞれ湿度50%で20℃、40℃及び60℃の恒温槽を準備し、20℃で6時間、40℃で4時間、60℃で4時間、40℃で4時間及び20℃で6時間の合計24時間の加熱を1サイクルとし、100サイクル加熱した。
【0037】
得られた透明オレフィン系樹脂シートを打ち抜いて幅310mm、長さ440mmの長方形のシートを得た。得られたシートの平滑面が表面になるように折畳んで、図1に示したように、折り目3を介して表面シート1と裏面シート2を形成し、底部を熱融着して本発明のファイルを得た。
【0038】
(比較例1)
MFR=1.9g/10min、融点約160℃のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製)100重量部、線状低密度ポリエチレン(住友化学社製、F−200)3重量部及び帯電防止剤0.0045重量部よりなるポリプロピレン系樹脂組成物を、スクリュー径70mmの一軸混練押出機に供給して樹脂温度210℃で溶融混練した後、溶融混練物を押出して厚さ0.2mmのポリプロピレン系樹脂シートを得た。得られたポリプロピレン系樹脂シートを鏡面ロールと75℃のエアーナイフの間に約6.0m/minの速度で供給しエアーにより圧着し、成形した後、80℃でアニールして透明オレフィン系樹脂シートを得た。
【0039】
得られた透明オレフィン系樹脂シートの鏡面ロールで賦形された面(鏡面)は鏡面光沢を有する平滑面であり、凹凸はなく、JIS B 0601に準拠して表面粗さ計(東京精密社製、サーフコム130A)で表面粗さ(Ra)を測定したところ0.06μmであった。
【0040】
又、透明オレフィン系樹脂シートのエアーナイフで賦形された面(マット面)をJIS B 0601に準拠して表面粗さ計(東京精密社製、サーフコム130A)で表面粗さ(Ra)を測定したところ0.16μmであった。又、マット面にオフセット用インキ(TOKA社製)を用いてオフセット印刷したところ美麗に印刷することができた。
【0041】
得られた透明オレフィン系樹脂シートのヘイズ値は33%であり、表面固有抵抗値は1.0×1013Ωであった。又、実施例1で行ったと同様にしてヒートサイクル試験を行ったところ、試験後のヘイズ値は45%であり、表面固有抵抗値は1.0×1014Ωであった。又、ヒートサイクル試験後にオレフィン系樹脂シートの表面が白化することはなかった。
【0042】
実施例1及び比較例1で得られた透明オレフィン系樹脂シートを用いて、鏡面同士及び鏡面とマット面を重ね合わせて静摩擦係数を測定した。静摩擦係数は新東科(株)製「HEIDON−10」を用い、重ね合わせた透明オレフィン系樹脂シートに徐々に角度を持たせ、滑り始めた角度を測定した。得られた静摩擦係数を表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
上記結果から、実施例1で得られた透明オレフィン系樹脂シートは比較例1で得られた透明オレフィン系樹脂シートに比べ小さい角度で滑り出し、重ね合わされた透明オレフィン系樹脂シート同士の滑り性が向上していることがわかった。
【0045】
又、実施例1で得られた透明オレフィン系樹脂シートは、室温下で30日間保存した後においても、オフセット印刷等の二次加工性は優れていた。又、実施例1で得られた透明オレフィン系樹脂シートは帯電防止剤の添加量は少量であったが、室温下で30日間保存した後の表面固有抵抗値は4.4×1013Ωであり、比較例1で得られた透明オレフィン系樹脂シートは室温下で30日間保存した後の表面固有抵抗値は1.0×1013Ωであった。
【0046】
又、実施例1で得られた透明オレフィン系樹脂シートは、1年間、常温で保存しても帯電防止剤のブリードアウトは見られず、そのヘイズ値は34%であり、印刷性は良好であった。又、室温下で30日間保存した後印刷し、印刷後に1年間、常温で保存しても帯電防止剤のブリードアウトは見られなかった。これに対し、比較例1で得られた透明オレフィン系樹脂シートは、1年間、常温で保存したところ帯電防止剤が表面にブリードアウトして白化し、そのヘイズ値は45%であった。又、室温下で30日間保存した後印刷し、印刷後に1年間、常温で保存したところ帯電防止剤が表面にブリードアウトして白化した。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の透明オレフィン系樹脂シートはファイルの材料として好適に使用でき、ファイルは透明性、印刷適性が優れており、収納及び取り出しが容易なので、文具業界においてクリアファイルとして好適に使用される。
【符号の説明】
【0048】
1 表面シート
2 裏面シート
3 折り目
11、21 外側面
12、22 内側面
図1