(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブが3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結され、前記各リンク機構は、それぞれ前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された基端側および先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端がそれぞれ回転可能に連結された中央リンク部材とを有し、前記3組以上のリンク機構のうちの2組以上のリンク機構に設けられ、前記基端側のリンクハブに対する前記先端側のリンクハブの姿勢を任意に変更させる姿勢制御用駆動源が設けられたリンク作動装置と、
前記先端側のリンクハブの先端部材に搭載され、作業対象物に対して作業を行うエンドエフェクタと、
前記作業対象物に対して前記エンドエフェクタが作業する作用点を光軸上の視野内でかつ被写界深度内に位置するように前記先端側のリンクハブの前記先端部材に搭載され、前記作業対象物を撮影する撮像装置と、
前記撮像装置が撮影した画像を処理し、前記エンドエフェクタの前記作用点を一致させるべき目標位置を検出し、前記目標位置と前記画像上の前記作用点の位置とのずれを求める画像処理装置と、
与えられた位置決め指令に従って前記姿勢制御用駆動源に制御指令を出し、かつ前記姿勢制御用駆動源が動作を完了したときに、前記目標位置と前記作用点の位置が一致するように前記先端側リンクハブの位置補正を前記姿勢制御用駆動源に行わせる姿勢制御手段と、を備え、
前記エンドエフェクタは、前記先端部材の先端側の面に取り付けられており、
前記撮像装置は、前記先端部材の基端側の面に取り付けられており、かつ当該先端部材の中央部分に形成された貫通孔に挿通されて当該先端部材の先端側まで延出されている、
リンク作動式作業装置。
請求項1に記載のリンク作動式作業装置において、前記エンドエフェクタは、前記先端側のリンクハブの中心軸からオフセットした位置で前記先端側のリンクハブに固定されているリンク作動式作業装置。
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のリンク作動式作業装置において、前記基端側のリンクハブは姿勢制御用駆動源収納部材に固定され、この姿勢制御用駆動源収納部材の内部に前記姿勢制御用駆動源が収納されているリンク作動式作業装置。
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のリンク作動式作業装置において、前記撮像装置は映像ケーブルを介して前記画像処理装置と接続され、前記映像ケーブルは、前記中央リンク部材に固定され前記各リンク機構の内側に位置するケーブル案内部材に案内されると共に、前記基端側のリンクハブに設けられたコネクタに挿通されるリンク作動式作業装置。
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のリンク作動式作業装置において、前記リンク作動装置を搭載して、このリンク作動装置を位置決めする補助位置決め機構を備えたリンク作動式作業装置。
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のリンク作動式作業装置において、前記作業対象物を前記エンドエフェクタに対して移動させる補助位置決め機構を備えたリンク作動式作業装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、リンク作動装置を用いた作業装置には、以下の課題がある。
すなわち、リンク作動装置は、前述したように、基端側のリンクハブと先端側のリンクハブとが3組以上のリンク機構で連結されているが、各リンク機構は、それぞれ基端側の端部リンク部材、先端側の端部リンク部材、および中央リンク部材で構成され、各リンク部材がそれぞれ回転軸で連結されている。また、特許文献1,2の例の場合、各リンク機構に姿勢制御用駆動源の動力を伝えるために、歯車機構が用いられている。例えば、歯車機構の歯車は、姿勢制御用駆動源の回転軸と基端側の端部リンクにそれぞれ設けられている。
このようにリンク作動装置は、複数の部材で構成されているため、剛性を高めることが難しい。また、各部材の組立精度や歯車のバックラッシュの影響もある。このため、リンク作動装置を用いた作業装置には、エンドエフェクタを希望する位置に正確に位置決めできないという課題がある。
【0007】
この発明の目的は、リンク作動装置の構造上の原因による位置決め精度不良を補正することができて、エンドエフェクタを精度良く位置決めすることができるリンク作動式作業装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のリンク作動式作業装置は、基端側のリンクハブ32に対し先端側のリンクハブ33が3組以上のリンク機構34を介して姿勢を変更可能に連結され、前記各リンク機構34は、それぞれ前記基端側のリンクハブ32および前記先端側のリンクハブ33に一端が回転可能に連結された基端側および先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端がそれぞれ回転可能に連結された中央リンク部材とを有し、前記3組以上のリンク機構34のうちの2組以上のリンク機構34に設けられ、前記基端側のリンクハブ32に対する前記先端側のリンクハブ33の姿勢を任意に変更させる姿勢制御用駆動源90が設けられたリンク作動装置29と、
前記先端側のリンクハブ33に搭載され、作業対象物Wに対して作業を行うエンドエフェクタ120と、
前記作業対象物Wに対して前記エンドエフェクタ120が作用する作用点を光軸OA上の視野内でかつ被写界深度内に位置するように前記先端側のリンクハブ33に搭載され、前記作業対象物Wを撮影する撮像装置100と、
前記撮像装置100が撮影した画像を処理し、前記エンドエフェクタ120の前記作用点Pを一致させるべき目標位置Sを検出し、前記目標位置Sと前記画像上の前記作用点Pの位置とのずれを求める画像処理装置110と、
与えられた位置決め指令に従って前記姿勢制御用駆動源31に制御指令を出し、かつ前記姿勢制御用駆動源31が動作を完了したときに、前記目標位置Sと前記画像から定まる前記作用点Pの位置が一致するように前記先端側リンクハブの位置補正を前記姿勢制御用駆動源31に行わせる姿勢制御手段130と、
を備える。
【0009】
この構成のリンク作動式作業装置によると、前記姿勢制御手段130は、基本的には、与えられた位置決め指令に従って前記姿勢制御用駆動源31に制御指令を出し、姿勢制御用駆動源31により先端側のリンクハブ33の姿勢を変更させることで、エンドエフェクタ120の作用点Pの位置決めを行う。姿勢制御手段130への前記位置決め指令を与える手段は、例えばこの姿勢制御手段130や上位制御手段(図示せず)に記憶された動作プログラム、あるいはティーチングコンソール131等である。
エンドエフェクタ120を位置決めしたときに、リンク作動装置29の持つ各部の遊び等によって位置決め精度が出ていないことがあるが、これを次のように画像処理を用いて補正する。
画像処理装置110は、撮像装置100の撮像した画像を処理し、定められた規則により、前記エンドエフェクタ120の前記作用点Pを位置させる目標位置Sを検出し、前記目標位置Sと前記画像から定まる前記作用点Pとのずれを求める。前記「定められた規則」は、例えば、得られた画像上の前記作業対象物Wにおける所定の平面の中心、あるいは所定の角部や所定の特徴点を目標位置Sとする特徴抽出等の規則とされ、これにより画像から目標位置Sを検出することができる。
前記姿勢制御手段130は、前記位置決め制御指令に従って前記姿勢制御用駆動源31が動作を完了したときに、前記画像処理によって検出された前記目標位置Sと前記作用点Pとのずれを解消するように前記先端側リンクハブ33の位置決め補正を前記姿勢制御用駆動源31に行わせる。なお、前記「画像から定まる前記作用点P」は、例えば画像の中心等に設定することができる。
【0010】
目標位置Sの検出に画像処理を用いる場合、画像を撮影するための撮像装置100は、その光軸OAがリンク作動装置の先端側のリンクハブ33の中心軸に一致するように配置される方がよい。先端側のリンクハブ33の中心軸と撮像装置100の光軸OAとの距離をあらかじめ求めておき、この距離を考慮して目標位置Sを求める方法も考えられるが、熱的影響などで撮像装置100の取付位置が時間的に変化する可能性もある。このような場合、定期的に距離を補正する手順が必要となり効率的ではない。このため、先端側のリンクハブ33の中心軸と撮像装置100の光軸OAとの距離を最小にして、できれば一致させておくことが望ましい。このため、この発明は、先端側のリンクハブ33の中心軸と撮像装置100の光軸OAとを一致させたリンク作動式作業装置としている。
【0011】
この発明は、このように、エンドエフェクタ120の作用点Pが、光軸OA上における視野内でかつ被写界深度内に位置するように撮像装置100を先端側のリンクハブ33に搭載し、エンドエフェクタ120から見た現在の目標位置Sを計測して目標位置Sとのずれを算出し、位置ずれが小さくなるようにエンドエフェクタ120を位置決めする制御方法を採用するため、目標位置Sが撮像装置100の視野に入っていれば、目標位置Sを実際に計測して目標位置Sとのずれを算出し、ずれが小さくなるようにエンドエフェクタ120を位置決めすることができ、高精度な位置決めを実現できる。
【0012】
ここで、作用点Pおよび目標位置Sにつき、具体的に説明する。
作用点Pは、エンドエフェクタ120の位置を示す点であり、エンドエフェクタ120の形態に合わせて定められる。例えば、エンドエフェクタ120が把持装置である場合、把持装置が作業対象物Wと接触する点の近傍に定められる。また、エンドエフェクタ120がディスペンサや、レーザ光のようなエネルギービーム、ジェット等を発する装置である場合、作用点Pは、吐出される液体や、エネルギービーム、ジェット等の移動線上の一点とされる。
目標位置Sは、エンドエフェクタ120の作用点Pを位置させる目標となる位置、詳しくは、エンドエフェクタ120が作用するために、位置決めの目標となる作業対象物W上または周囲空間に固定された点である。
エンドエフェクタ120が目標位置Sに正しく位置決めされたとき、目標位置Sと作用点Pは一致する。エンドエフェクタ120がディスペンサである場合、前記移動線が目標位置Sと重なったときに、作用点Pと目標位置Sとが一致する。
【0013】
この発明において、前記エンドエフェクタ120は、前記先端側のリンクハブ33の中心軸からオフセットした位置で前記先端側のリンクハブ33に固定されていてもよい。
エンドエフェクタ120が先端側のリンクハブ33の中心軸からオフセットした位置にあると、撮像装置100を先端側のリンクハブ33の中心軸上に設けた場合に、撮像装置100の光軸OAをエンドエフェクタ120が遮らない。
なお、前記先端側のリンクハブ33の中心軸は、前記先端側のリンクハブ33と前記先端側の端部リンク部材の各回転対偶の中心軸、および前記先端側の端部リンク部材と前記中央リンク部材の各回転対偶の中心軸がそれぞれ交差する点を前記先端側のリンクハブ33の球面リンク中心と称する場合に、この球面リンク中心を通り前記先端側のリンクハブ33と前記先端側の端部リンク部材の回転対偶の中心軸と直角に交わる直線のことである。
【0014】
この発明において、前記撮像装置100の光軸OAが前記先端側のリンクハブ33の中心軸と一致していてもよい。
この場合、現在の目標位置Sと作用点Pとのずれ量を計算しやすいので、エンドエフェクタ120の位置決め制御が容易である。
なお、撮像装置100の光軸OAと先端側のリンクハブ33の中心軸とが一致していなくても、先端側のリンクハブ33の中心軸と撮像装置100の光軸OAとの距離を予め求めておけば、この距離を考慮して目標位置Sを求めることで、エンドエフェクタ120の位置決め制御は可能である。しかし、その場合、熱的影響等で撮像装置100の取付け位置が時間的に変化する可能性があるため、定期的に前記距離を補正することが必要となる。このため、先端側のリンクハブ33の中心軸と撮像装置100の光軸OAとの距離を最小にしておくことが望ましく、先端側のリンクハブ33の中心軸と撮像装置100の光軸OAとを一致させておくことがより望ましい。
【0015】
この発明において、前記基端側のリンクハブ32は姿勢制御用駆動源収納部材90に固定され、この姿勢制御用駆動源収納部材90の内部に前記姿勢制御用駆動源31が収納されていてもよい。
姿勢制御用駆動源収納部材90の内部に姿勢制御用駆動源31が収納されていると、リンク作動式作業装置の突出部分が減り、コンパクトな構成を実現できる。また、装置全体の安全性が向上するため、人と共存する作業現場で使用するのに適する。
【0016】
この発明において、前記撮像装置100は映像ケーブル101を介して前記画像処理装置110と接続され、前記映像ケーブル101は、前記中央リンク部材に固定され前記各リンク機構34の内側に位置するケーブル案内部材104に案内されると共に、前記基端側のリンクハブ32に設けられたコネクタ102に挿通されていてもよい。
この場合、映像ケーブル101が常に各リンク機構34の内側を通るように保持されるため、映像ケーブル101と他の部材、例えば中央リンク部材や端部リンク部材と干渉することを防止できる。
【0017】
この発明において、前記リンク作動装置29を搭載して、このリンク作動装置29を位置決めする補助位置決め機構3を備えていてもよい。
上記補助位置決め機構3を備えると、エンドエフェクタ120の可動範囲が広がり、作業対象物Wの様々な部位に対して作業を行うことができる。この場合、補助位置決め機構3の構造上の原因による作用点Pと目標位置Sのずれが生じる可能性があるが、作用点Pが目標位置Sと一致するように姿勢制御用駆動源31を駆動することで、エンドエフェクタ120を精度良く位置決めすることが可能である。
【0018】
この発明において、前記作業対象物Wを前記エンドエフェクタ120に対して移動させる補助位置決め機構150を備えていてもよい。
上記補助位置決め機構150を備えると、作業対象物Wを移動させることで、エンドエフェクタ120により作業対象物Wの様々な部位に対して作業を行うことができる。この場合も、補助位置決め機構150の構造上の原因による作用点Pと目標位置Sのずれが生じる可能性があるが、作用点Pが目標位置Sと一致するように姿勢制御用駆動源31を駆動することで、エンドエフェクタ120を精度良く位置決めすることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
この発明のリンク作動式作業装置は、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブが3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結され、前記各リンク機構は、それぞれ前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された基端側および先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端がそれぞれ回転可能に連結された中央リンク部材とを有し、前記3組以上のリンク機構のうちの2組以上のリンク機構に設けられ、前記基端側のリンクハブに対する前記先端側のリンクハブの姿勢を任意に変更させる姿勢制御用駆動源が設けられたリンク作動装置と、前記先端側のリンクハブに搭載され、作業対象物に対して作業を行うエンドエフェクタと、前記作業対象物に対して前記エンドエフェクタが作業する作用点を光軸上の視野内でかつ被写界深度内に位置するように前記先端側のリンクハブに搭載され、前記作業対象物を撮影する撮像装置と、前記撮像装置が撮影した画像を処理し、前記エンドエフェクタの前記作用点を一致させるべき目標位置を検出し、前記目標位置と前記画像上の前記作用点の位置とのずれを求める画像処理装置と、与えられた位置決め指令に従って前記姿勢制御用駆動源に制御指令を出し、かつ前記姿勢制御用駆動源が動作を完了したときに、前記目標位置と前記作用点の位置が一致するように前記先端側リンクハブの位置補正を前記姿勢制御用駆動源に行わせる姿勢制御手段、とを備えるため、リンク作動装置の構造上の原因による位置決め精度不良を生じさせることなく、エンドエフェクタを精度良く位置決めすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1の実施形態]
図1〜
図9はこの発明の第1の実施形態を示す。
図1に示すように、このリンク作動式作業装置は、作業対象物Wに対してエンドエフェクタ120で作業を行う装置であり、エンドエフェクタ120を位置決めするリンク作動装置29を備える。リンク作動装置29には、エンドエフェクタ120の他に、撮像装置100が搭載される。また、リンク作動装置29を含む機構部とは別に、画像処理装置110、姿勢制御手段130等を備える。
【0022】
<リンク作動装置>
まず、リンク作動装置29について説明する。
図2に示すように、リンク作動装置29は、パラレルリンク機構30と、このパラレルリンク機構30を作動させる姿勢制御用駆動源31とで構成される。
図3および
図4は、パラレルリンク機構30だけを取り出して示す図であり、互いに異なる状態を示している。これら
図2〜
図4に示すように、パラレルリンク機構30は、基端側のリンクハブ32に対し先端側のリンクハブ33を3組のリンク機構34を介して姿勢変更可能に連結してなる。なお、
図2では、1組のリンク機構34のみが示されている。リンク機構34の数は、4組以上であってもよい。
【0023】
各リンク機構34は、基端側の端部リンク部材35、先端側の端部リンク部材36、および中央リンク部材37で構成され、4つの回転対偶からなる4節連鎖のリンク機構をなす。基端側および先端側の端部リンク部材35,36はL字状をなし、一端がそれぞれ基端側のリンクハブ32および先端側のリンクハブ33に回転自在に連結されている。中央リンク部材37は、両端に基端側および先端側の端部リンク部材35,36の他端がそれぞれ回転自在に連結されている。
【0024】
パラレルリンク機構30は、2つの球面リンク機構を組み合わせた構造であって、リンクハブ32,33と端部リンク部材35,36の各回転対偶、および端部リンク部材35,36と中央リンク部材37の各回転対偶の中心軸が、基端側と先端側においてそれぞれの球面リンク中心PA,PB(
図2)で交差している。また、基端側と先端側において、リンクハブ32,33と端部リンク部材35,36の各回転対偶とそれぞれの球面リンク中心PA,PBからの距離も同じであり、端部リンク部材35,36と中央リンク部材37の各回転対偶とそれぞれの球面リンク中心PA,PBからの距離も同じである。端部リンク部材35,36と中央リンク部材37との各回転対偶の中心軸は、ある交差角γ(
図2)を持っていてもよいし、平行であってもよい。
【0025】
図5は
図2のV−V断面図であって、同図に、基端側のリンクハブ32と基端側の端部リンク部材35の各回転対偶の中心軸O1と、中央リンク部材37と基端側の端部リンク部材35の各回転対偶の中心軸O2と、基端側の球面リンク中心PAとの関係が示されている。つまり、中心軸O1と中心軸O2とが交差する点が球面リンク中心PAである。先端側のリンクハブ33および先端側の端部リンク部材36の形状ならびに位置関係も
図5と同様である(図示せず)。図の例では、リンクハブ32(33)と端部リンク部材35(36)との各回転対偶の中心軸O1と、端部リンク部材35(36)と中央リンク部材37との各回転対偶の中心軸O2とが成す角度αが90°とされているが、前記角度αは90°以外であってもよい。
【0026】
3組のリンク機構34は、幾何学的に同一形状をなす。幾何学的に同一形状とは、
図6に示すように、各リンク部材35,36,37を直線で表現した幾何学モデル、すなわち各回転対偶と、これら回転対偶間を結ぶ直線とで表現したモデルが、中央リンク部材37の中央部に対する基端側部分と先端側部分が対称を成す形状であることを言う。
図6は、一組のリンク機構34を直線で表現した図である。この実施形態のパラレルリンク機構30は回転対称タイプで、基端側のリンクハブ32および基端側の端部リンク部材35と、先端側のリンクハブ33および先端側の端部リンク部材36との位置関係が、中央リンク部材37の中心線Cに対して回転対称となる位置構成になっている。各中央リンク部材37の中央部は、共通の軌道円上に位置している。
【0027】
基端側のリンクハブ32と先端側のリンクハブ33と3組のリンク機構34とで、基端側のリンクハブ32に対し先端側のリンクハブ33が直交2軸周りに回転自在な2自由度機構が構成される。言い換えると、基端側のリンクハブ32に対して先端側のリンクハブ33を、回転が2自由度で姿勢変更自在な機構である。この2自由度機構は、コンパクトでありながら、基端側のリンクハブ32に対する先端側のリンクハブ33の可動範囲を広くとれる。
【0028】
例えば、球面リンク中心PA,PBを通り、リンクハブ32,33と端部リンク部材35,36の各回転対偶の中心軸O1(
図5)と直角に交わる直線をリンクハブ32,33の中心軸QA,QBとした場合、基端側のリンクハブ32の中心軸QAと先端側のリンクハブ33の中心軸QBとの折れ角θ(
図6)の最大値を約±90°とすることができる。また、基端側のリンクハブ32に対する先端側のリンクハブ33の旋回角φ(
図6)を0°〜360°の範囲に設定できる。折れ角θは、基端側のリンクハブ32の中心軸QAと先端側のリンクハブ33の中心軸QBとが成す角度であり、旋回角φは、基端側のリンクハブ32の中心軸QAに垂直な平面に先端側のリンクハブ33の中心軸QBを投影した直線が前記平面と中心軸QAの交点を通る基準直線とが成す角度である。
【0029】
基端側のリンクハブ32に対する先端側のリンクハブ33の姿勢変更は、基端側のリンクハブ32の中心軸QAと先端側のリンクハブ33の中心軸QBとの交点Oを回転中心として行われる。
図3は、基端側のリンクハブ32の中心軸QAと先端側のリンクハブ33の中心軸QBが同一線上にある状態を示し、
図4は、基端側のリンクハブ32の中心軸QAに対して先端側のリンクハブ33の中心軸QBが或る作動角をとった状態を示す。姿勢が変化しても、基端側と先端側の球面リンク中心PA,PB間の距離L(
図6)は変化しない。
【0030】
各リンク機構34が次の各条件を満たす場合、幾何学的対称性から基端側のリンクハブ32および基端側の端部リンク部材35と、先端側のリンクハブ33および先端側の端部リンク部材36とは同じに動く。よって、パラレルリンク機構30は、基端側から先端側へ回転伝達を行う場合、基端側と先端側は同じ回転角になって等速で回転する等速自在継手として機能する。
条件1:各リンク機構34におけるリンクハブ32,33と端部リンク部材35,36との回転対偶の中心軸O1の角度および長さが互いに等しい。
条件2:リンクハブ32,33と端部リンク部材35,36との回転対偶の中心軸O1および端部リンク部材35,36と中央リンク部材37との回転対偶の中心軸O2が、基端側および先端側において球面リンク中心PA,PBで交差する。
条件3:基端側の端部リンク部材35と先端側の端部リンク部材36の幾何学的形状が等しい。
条件4:中央リンク部材37における基端側部分と先端側部分の幾何学的形状が等しい。
条件5:中央リンク部材37の対称面に対して、中央リンク部材37と端部リンク部材35,36との角度位置関係が基端側と先端側とで同じである。
【0031】
図2〜
図4に示すように、基端側のリンクハブ32は、基端部材40と、この基端部材40と一体に設けられた3個の回転軸連結部材41とで構成される。基端部材40は中央部に円形の貫通孔40aを有し、この貫通孔40aの周囲に3個の回転軸連結部材41が円周方向に等間隔で配置されている。貫通孔40aの中心は、基端側のリンクハブ32の中心軸QA上に位置する。各回転軸連結部材41には、軸心が基端側のリンクハブ32の中心軸QAと交差する回転軸42(
図3、
図4)が回転自在に連結されている。この回転軸42に、基端側の端部リンク部材35の一端が連結される。
【0032】
図5に示すように、前記回転軸42は、2個の軸受43を介して回転軸連結部材41に回転自在に支持されている。軸受43は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受である。これらの軸受43は、回転軸連結部材41に設けられた内径孔44に嵌合状態で設置され、圧入、接着、加締め等の方法で固定してある。他の回転対偶部に設けられる軸受の種類および設置方法も同様である。
【0033】
回転軸42には、この回転軸42と一体に回転するように、基端側の端部リンク部材35の一端と、後記軸直交型減速機77の一構成要素である扇形のかさ歯車45とが結合されている。詳しくは、基端側の端部リンク部材35の一端に切欠き部46が形成されており、この切欠き部46の両側部分である内外の回転軸支持部47,48間に回転軸連結部材41が配置される。かさ歯車45は、内側の回転軸支持部47の内側面に当接して配置される。そして、回転軸42を内側から、かさ歯車45に形成された貫通孔、内側の回転軸支持部47に形成された貫通孔、軸受43の内輪、外側の回転軸支持部48に形成された貫通孔の順に挿通し、回転軸42の頭部42aと回転軸42のねじ部42bに螺着したナット50とで、かさ歯車45、内外の回転軸支持部47,48、および軸受43の内輪をそれぞれ挟み込んでこれらを互いに結合する。内外の回転軸支持部47,48と軸受43との間にスペーサ51,52が介在させてあり、ナット50の螺着時に軸受43に予圧を付与する構成である。
【0034】
基端側の端部リンク部材35の他端には、回転軸55が結合される。回転軸55は、2個の軸受53を介して中央リンク部材37の一端に回転自在に連結されている。詳しくは、基端側の端部リンク部材35の他端に切欠き部56が形成されており、この切欠き部56の両側部分である内外の回転軸支持部57,58間に中央リンク部材37の一端が配置される。そして、回転軸55を外側から、外側の回転軸支持部58に形成された貫通孔、軸受53の内輪、内側の回転軸支持部57に形成された貫通孔の順に挿通し、回転軸55の頭部55aと回転軸55のねじ部55bに螺着したナット60とで、内外の回転軸支持部57,58、および軸受53の内輪をそれぞれ挟み込んでこれらを互いに結合する。内外の回転軸支持部57,58と軸受53との間にスペーサ61,62が介在させてあり、ナット60の螺着時に軸受53に予圧を付与する構成である。
【0035】
図3、
図4に示すように、先端側のリンクハブ33は、先端部材70と、この先端部材70の内面に円周方向等配で設けられた3個の回転軸連結部材71とで構成される。先端部材70は中央部に長方形の貫通孔70a(
図4)を有する。各回転軸連結部材71が配置される円周の中心は、先端側のリンクハブ33の中心軸QB上に位置する。各回転軸連結部材71には、軸心が先端側のリンクハブ33の中心軸QBと交差する回転軸73が回転自在に連結されている。この先端側のリンクハブ33の回転軸73に、先端側の端部リンク部材36の一端が連結される。先端側の端部リンク部材36の他端には、中央リンク部材37の他端に回転自在に連結された回転軸75が連結される。先端側のリンクハブ33の回転軸73および中央リンク部材37の回転軸75は、それぞれ前記回転軸42,55と同様に、2個の軸受(図示せず)を介して回転軸連結部材71および中央リンク部材37の他端にそれぞれ回転自在に連結されている。
【0036】
図2に示すように、パラレルリンク機構30を作動させる姿勢制御用駆動源31は、前記基端部材40に設置されて、姿勢制御用駆動源収納部材90の内部に配置されている。姿勢制御用駆動源収納部材90は、基端と先端とにそれぞれ配置された基端エンド部材91と先端エンド部材92とを複数本のシャフト93で連結したシャフト連結型のアーム部である。先端エンド部材92は、前記基端部材40と同一部材である。
図5に示すように、シャフト93の本数は姿勢制御用駆動源31と同数(この実施形態では3)であり、隣合う姿勢制御用駆動源31の間にシャフト93が1つずつ配置されている。姿勢制御用駆動源31およびシャフト93は、共に円周方向に等配に配置されている。
【0037】
姿勢制御用駆動源31の出力軸31aは、基端側のリンクハブ32の中心軸QAと平行である。姿勢制御用駆動源31の数は、リンク機構34と同数の3個である。姿勢制御用駆動源31はロータリアクチュエータからなり、その出力軸31aに取り付けられたかさ歯車76と基端側のリンクハブ32の前記回転軸42に取り付けられた前記扇形のかさ歯車45とが噛み合っている。これら一対のかさ歯車76,45からなる歯車機構は、入力側軸と出力側軸とが互いに直交した軸直交型減速機77を構成する。
図5に示すように、姿勢制御用駆動源31および軸直交型減速機77は、基端側のリンクハブ32と基端側の端部リンク部材35との回転対偶部よりも内径側に配置されている。
【0038】
なお、この例では、リンク機構34と同数の姿勢制御用駆動源31が設けられているが、3組のリンク機構34のうち少なくとも2組に姿勢制御用駆動源31が設けられていれば、基端側のリンクハブ32に対する先端側のリンクハブ33の姿勢を確定することができる。
【0039】
また、この実施形態では、姿勢制御用駆動源31の出力軸31aを基端側のリンクハブ32の中心軸QAと平行に配置し、軸垂直型減速機77と組み合わせたことで、姿勢制御用駆動源31が設けられている部分の半径方向の寸法が小さくなっている。出力軸31aの方向および姿勢制御用駆動源31の配置は、リンク作動式作業装置の使用条件により最適のものを選択することができる。
【0040】
リンク作動装置29は、各姿勢制御用駆動源31を回転駆動することで、パラレルリンク機構30を作動させる。詳しくは、姿勢制御用駆動源31を回転駆動すると、その回転が一対のかさ歯車76,45からなる軸直交型減速機77を介して回転軸42に伝達されて、基端側のリンクハブ32に対する基端側の端部リンク部材35の角度が変更する。それにより、基端側のリンクハブ32に対する先端側のリンクハブ33の位置および姿勢が決まる。ここでは、軸直交型減速機77が一対のかさ歯車76,45からなるが、その他に、ウォームギヤとピニオンギヤを用いた機構、ハイポイドギヤ(商標名)を用いた機構等であってもよい。
【0041】
<撮像装置、エンドエフェクタのリンク作動装置への取り付け>
撮像装置100およびエンドエフェクタ120は、例えば
図7のようにリンク作動装置29(
図2)の先端側のリンクハブ33に取り付けられる。
【0042】
すなわち、撮像装置100は、光軸OAが先端側のリンクハブ33の中心軸QBと一致するように、先端側のリンクハブ33の先端部材70に取り付けられる。具体的には、撮像装置100は、先端部材70の貫通孔70aに挿通した状態で、
図9に示すようにフランジ部100aで先端部材70の基端側を向く面に取り付けられる。撮像装置100は、例えばデジタルカメラである。
【0043】
エンドエフェクタ120は、撮像装置100の光軸OAを遮らないように、先端側のリンクハブ33の中心軸QBから径方向にオフセットした位置で先端部材70に取り付けられる。その場合、エンドエフェクタ120の作用点Pが、撮像装置100の光軸OA上に位置し、かつ撮像装置100の被写界深度内に位置するようにしてある。
前記作用点Pとは、エンドエフェクタ120の位置の基準となる点であり、エンドエフェクタ120の形態に合わせて定められる。例えば、エンドエフェクタ120が把持装置である場合、作業対象物Wを把持する点の近傍に定められる。
【0044】
<撮像装置と画像処理装置の接続>
図1に示すように、画像処理装置110は、リンク作動装置29と離れた位置に設置されており、撮像装置100が撮影した画像を表示するモニタ111を備える。撮像装置100と画像処理装置110とは、映像ケーブル101を介して接続される。映像ケーブル101は、撮像装置100の画像信号を画像処理装置110に送る役割と、画像処理装置110を経由して撮像装置100に電力を送る役割とを有している。
【0045】
映像ケーブル101は、第1の映像ケーブル101aと第2の映像ケーブル101bとからなる。第1の映像ケーブル101aと第2の映像ケーブル101bは、基端部材40の貫通孔40aの中心部に設けられたコネクタ102によって互いに接続されている。また、第1の映像ケーブル101aは、その中央部がケーブル案内部材104によって、各リンク機構34の内側を通るように案内される。
【0046】
ケーブル案内部材104は、
図8に示すように、1つのリンク機構34の中央リンク部材37に固定された支持部104aと、この支持部104aの先端に一体に設けられたC字状の案内部104bとでなる。案内部104bの切れ目104baは第1の映像ケーブル101aが通らない寸法であり、中央に第1の映像ケーブル101aを通す開口104cが形成されている。この開口104cの中心は、中央リンク部材37の軌道円105の中心106と合致する位置とされる。このように、第1の映像ケーブル101aをケーブル案内部材104によって案内することにより、第1の映像ケーブル101aが常に各リンク機構34の内側を通るように保持され、他の部材、例えば中央リンク部材37や端部リンク部材35,36と干渉することを防止できる。
【0047】
<姿勢制御手段>
図1に示すように、姿勢制御手段130は、姿勢制御用駆動源31と制御ケーブル107で接続され、制御プログラム(図示せず)の位置決め指令に基づいて姿勢制御用駆動源31に駆動電流を供給する。前記制御プログラムは、姿勢制御手段130が有する記憶手段に記憶されていても、このリンク作動式作業装置に対する上位制御手段(図示せず)等に記憶されていても良い。
姿勢制御手段130は、画像処理装置110にケーブル108で接続されていて、停止位置の位置決めの補正が可能とされ、またティーチングコンソール131に接続されていて、前記制御プログラム等で制御するときの停止位置の教示が可能である。この教示は、例えば画面操作等による数値入力の操作とされる。この他に、ティーチングコンソール131からの手動入力により直接に姿勢制御用駆動源31の操作が可能とされている。
姿勢制御手段130は、基本制御部130aと画像対応補正部130bとを有し、画像処理を用いた補正は前記画像対応補正部130bにより、その他の制御、例えば前記制御プログラムによる制御等は基本制御部130aが行う。
【0048】
<エンドエフェクタの位置決め制御および画像処理による補正>
エンドエフェクタ120の位置決め制御は、基本的には前述のように制御プログラムに従って姿勢制御手段130により姿勢制御用駆動源31を制御することにより行う。この制御は、フィードフォアード制御であっても、フィードバック制御であっても良い。
このように位置決めしたときに、リンク作動装置29の持つ各部の遊び等によって位置決め精度が出ていないことがあるが、これを次のように画像処理を用いて補正する。
撮像装置100により作業対象物Wを撮影し、その画像を画像処理装置110に送る。画像処理装置110は、撮像装置100から取得した画像を処理して目標位置を求めると共に、その目標位置と画像から定まるエンドエフェクタ120の作用点とのずれを求める。前記「画像から定まる前記作用点」は、例えぱ画像の中心等に設定することができる。 前記画像処理は、例えば撮影した画像を2値画像等の演算し易いデータに変換し、その画像から定められた規則により前記目標位置を求める。前記「定められた規則」は、例えば、特徴抽出により目標位置を求めることであり、具体的には、得られた画像上の前記作業対象物における所定の平面の中心、あるいは所定の角部や所定の特徴点を目標位置とする等の規則とされる。これにより画像から目標位置を検出することができる。この画像処理によって求められた目標位置と作用点とのずれ量を画像処理装置110により求め、姿勢制御手段130は、画像処理装置110から得たずれ量に基づいて制御指令を姿勢制御用駆動源31に出力する。これにより、リンク作動装置29が動作して、エンドエフェクタ120の位置決めの補正を行う。
【0049】
画像処理による補正の具体例を図で説明する。
図10は、撮像装置100(
図9参照)で撮像した画像の一例を示す。この画像Rは、作用点Pと目標位置Sが一致している状態を示している。縦の点線112と横の点線113の交点は画像中心に対応し、ハッチングで示す領域はエンドエフェクタ120が作業する作業対象物Wを示す。ここでは、作業対象物Wの形状は立方体とする。
図10は、この作業対象物Wにおけるある1つの平面A(dMx×dMy)を法線方向から観察した図であり、撮像装置100の光軸と観察面Aの法線方向が一致している。エンドエフェクタ120(
図9参照)は、観察面Aの中心に対して作業する。撮像装置100の光軸OA上に作用点Pが位置する場合、
図10のように画像中心に作用点Pが来る。
【0050】
図11は、リンク作動装置29(
図1参照)の位置決め誤差等により、作用点Pに対して目標位置Sがずれている場合を示す。このような場合、撮像装置100で撮影した画像Gを処理して目標位置Sを求める。この目標位置Sは、エンドエフェクタ120から見た現在の目標位置である。画像処理装置110は、この現在の目標位置Sと作用点Pとのずれ量を算出し、算出結果を姿勢制御手段130に送信する。
姿勢制御手段130は、その画像補正対応補正部130bにより、受信した前記ずれ量に基づき、目標位置Sと作用点Pとを一致させる補正動作を実行する。これにより、二点鎖線で示すように、作用点Pと目標位置Sを一致させる。この方法によれば、現在の目標位置Sが撮像装置100の視野に入っていれば、高精度の位置決めを実現できる。
【0051】
<エンドエフェクタの例>
エンドエフェクタ120としては、例えばディスペンサ等の塗布装置やレーザ装置等の光源装置を搭載することができる。その場合、エンドエフェクタ120の作用点Pは、ディスペンサであれば吐出する液体の付着位置に対応し、レーザ装置であればレーザ光の照射位置に対応する。このように、エンドエフェクタ120の作用点Pを求めることができるため、高精度な位置決めが可能である。これにより、加工位置のずれ等の不良を防止することができ、作業効率を向上させることができる。
【0052】
エンドエフェクタとして、ディスペンサやレーザ装置以外に、
図12、
図13に示す把持装置140を搭載してもよい。
図12(A)は把持装置140の正面図、
図12(B)は左側面図である。この把持装置140は、第1の把持部141および第2の把持部142を有し、両把持部141,142を互いに接近させて作業対象物をつかむ構成である。
図13は、両両把持部141,142が互いに離れた開放状態を示す左側面図である。
把持装置140の作用点Pは、第1の把持部141および第2の把持部142の略先端部に対応する。撮像装置100は、把持装置140が
図12の状態にあるときの作業対象物Wを撮影する。この状態では、第1の把持部141および第2の把持部142が撮影の妨げにならない。
【0053】
[第2の実施形態]
図14は、リンク作動装置29を搭載して、このリンク作動装置29を位置決めする補助位置決め機構を備えるリンク作動式作業装置を示す。この例では、補助位置決め機構が多関節アーム3であり、この多関節アーム3の先端に、第1の実施形態のリンク作動式作業装置と同じ構成のリンク作動装置式アーム部15が搭載されている。
【0054】
多関節アーム3は、基端側から先端側へ複数(図の例では4つ)のアーム部11〜14が直列に並んでおり、ベースユニット2と最も基端側のアーム部11、および隣合うアーム部11〜14同士が、それぞれ関節部21〜24を介して互いに相対変位可能に連結されている。以下の説明では、各アーム部11〜14を、基端側のものから順に「第1のアーム部11」、「第2のアーム部12」、…と称し、各関節部21〜24を、基端側のものから順に「第1の関節部21」、「第2の関節部22」、…とする。
【0055】
ベースユニット2と第1のアーム部11とを連結する第1の関節部21は、ベースユニット2の設置面5に対して直交する回転軸7周りにベースユニット2に対して第1のアーム部11を相対回転させる回転機構からなる。第1のアーム部11の回転駆動は、ベースユニット2に設けられたモータ等の駆動源21aにより行う。
【0056】
第1のアーム部11と第2のアーム部12とを連結する第2の関節部22は、前記設置面5と平行な回転軸8周りに第1のアーム部11に対して第2のアーム部12を相対回転させる回転機構からなる。第2のアーム部12の回転駆動は、第1のアーム部11に設けられたモータ等の駆動源22aにより行う。
【0057】
第2のアーム部12と第3のアーム部13とを連結する第3の関節部23は、前記第2の関節部22の回転軸8と平行な回転軸9周りに第2のアーム部12に対して第3のアーム部13を相対回転させる回転機構からなる。第3のアーム部13の回転駆動は、第2のアーム部12に設けられたモータ等の駆動源23aにより行う。
【0058】
第3のアーム部13と第4のアーム部14とを連結する第4の関節部24は、第3のアーム部13に対して第4のアーム部14を回転軸10周りに相対回転させる回転機構からなる。第4のアーム部14の回転駆動は、第3のアーム部13に設けられたモータ等の駆動源24aにより行う。第4のアーム部14は、リンク作動装置式アーム部15の姿勢制御用駆動源用収納部材90からなる。
【0059】
このリンク作動式作業装置は、回転機構からなる第1の関節部21の1自由度、回転機構からなる第2の関節部22の1自由度、回転機構からなる第3の関節部23の1自由度、直動機構からなる第4の関節部24の1自由度、およびリンク作動装置29の2自由度の、計6自由度の構成である。6自由度の構成であると、人間の手の動作に近い動作が可能である。
【0060】
このように、リンク作動装置29を位置決めする多関節アーム3からなる補助位置決め機構を備えていると、エンドエフェクタ120の可動範囲が広がり、作業対象物Wの様々な部位に対して作業を行うことができる。この場合、多関節アーム3の構造上の原因による作用点Pと目標位置のずれが生じる可能性があるが、作用点Pが目標位置Sと一致するように姿勢制御用駆動源31を駆動することで、エンドエフェクタ120を精度良く位置決めすることが可能である。
【0061】
[第3の実施形態]
図15は、作業対象物Wをエンドエフェクタ120に対して移動させる補助位置決め機構を備えるリンク作動式作業装置を示す。この例では、補助位置決め機構が、エンドエフェクタ120を上下方向に移動させる1軸の直動機構150である。補助位置決め機構は、エンドエフェクタ120を水平面に沿って1軸または2軸方向に移動させる直動機構(図示せず)であってもよく、またこれに上下方向の直動機構を組み合わせたものであってもよい。さらに、補助位置決め機構は、回転機構を含んでいてもよい。補助位置決め機構以外のリンク作動装置式機構部151は、第1の実施形態のリンク作動式作業装置と同じ構成である。
【0062】
このように、作業対象物Wをエンドエフェクタ120に対して移動させる補助位置決め機構を備えていると、作業対象物Wを移動させることで、エンドエフェクタ120により作業対象物Wの様々な部位に対して作業を行うことができる。この場合も、補助位置決め機構の構造上の原因による作用点Pと目標位置のずれが生じる可能性があるが、作用点Pが目標位置と一致するように姿勢制御用駆動源31を駆動することで、エンドエフェクタ120を精度良く位置決めすることが可能である。
【0063】
以上、実施例に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。