特許第6976099号(P6976099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976099
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】停止位置検知システム
(51)【国際特許分類】
   B61L 3/02 20060101AFI20211125BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   B61L3/02 A
   B61L25/02 G
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-148671(P2017-148671)
(22)【出願日】2017年7月31日
(65)【公開番号】特開2019-26127(P2019-26127A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】河野 和史
【審査官】 佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−141213(JP,A)
【文献】 特開2006−327290(JP,A)
【文献】 特開平06−278599(JP,A)
【文献】 特開2013−203118(JP,A)
【文献】 特開2013−063693(JP,A)
【文献】 特開2011−213334(JP,A)
【文献】 特開2006−264475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 3/02
B61L 25/02
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道上の列車の定停止位置よりも進行方向前方又は後方に設置され、前記列車の位置と前記列車の状態とを検出する定位置停止判別手段と、
前記定停止位置において、前記列車の在否を検知する在否検知手段と、
前記定位置停止判別手段で検出された前記列車の位置が予め設定された範囲にあり且つ前記列車が停止状態にあり、かつ、前記在否検知手段が前記列車の存在を検知している場合に、前記列車が存在していることを示す情報を外部機器に出力する判別手段と、を備え、
前記列車には車両情報を保持する媒体が配置されており、
前記在否検知手段は、前記媒体から車両情報を取得する在否検知センサを備え、
前記判別手段は、取得した前記車両情報の示す列車が、入線予定の列車と一致するか否かを判定し、一致する場合に列車が存在していると判定し、
さらに、
前記外部機器は、前記軌道に隣接するプラットホームに設置された可動式ホーム柵であり、
前記可動式ホーム柵は、開閉自在の扉体と、前記扉体が収納される戸袋と、前記扉体を制御する制御部とを備え、
前記在否検知手段は、前記可動式ホーム柵の戸袋に取り付けられて、車両の在否を判定するための情報を収拾するセンサを備え、
前記可動式ホーム柵の制御部は、前記判別手段から出力された判定結果に基づいて、当該可動式ホーム柵の扉体を制御する、
停止位置検知システム。
【請求項2】
前記在否検知センサは平面センサを備える、請求項に記載の停止位置検知システム。
【請求項3】
軌道上の列車の定停止位置よりも進行方向前方又は後方に設置され、前記列車の位置と前記列車の状態とを検出する定位置停止判別手段と、
前記定停止位置において、前記列車の在否を検知する在否検知手段と、
前記定位置停止判別手段で検出された前記列車の位置が予め設定された範囲にあり且つ前記列車が停止状態にあり、かつ、前記在否検知手段が前記列車の存在を検知している場合に、前記列車が存在していることを示す情報を外部機器に出力する判別手段と、を備え、
前記外部機器は、前記軌道に隣接するプラットホームに設置された可動式ホーム柵であり、
前記可動式ホーム柵は、開閉自在の扉体と、前記扉体が収納される戸袋と、前記扉体を制御する制御部とを備え、
前記在否検知手段は、前記可動式ホーム柵の戸袋に取り付けられて、前記列車に配置された車両情報を保持する媒体から前記両情報を収拾するセンサを備え、
前記判別手段は、収拾した前記車両情報の示す列車が、入線予定の列車と一致するか否かを判定し、一致する場合に列車が存在していると判定し、
前記可動式ホーム柵の制御部は、前記判別手段から出力された判定結果に基づいて、当該可動式ホーム柵の扉体を制御する、
停止位置検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停止位置検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道駅のプラットホームへの可動式ホーム柵の設置が進んでいる。可動式ホーム柵が設置されると、列車は、その乗降扉と可動式ホーム柵によって開閉される乗降通路とが一致する定停止位置に停止する必要がある。
【0003】
列車が定停止位置に停止したか否かを判別するために、従来、自動列車運転装置、定位置停止装置などが使用されている。しかし、これらの装置は、大規模なシステムであり、大きなコストが必要となる。そこで、列車の停止位置を検出する簡易なシステムが求められている。
【0004】
特許文献1には、超音波により列車までの距離を測定し、測定した距離の変動から、列車が停止したことを検知する技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、マイクロ波を用いて列車までの距離を測定し、測定した距離から、列車の停止状態および停止位置を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−284010号公報
【特許文献2】特開2014−061796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術は、先行する列車と後続の列車とを併結させるために先行する列車の停止などの状態を判定することを前提とする。そのため、特許文献1に記載の技術を、列車を定停止位置に停止させる場合には適応できない。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術は、マイクロ波は、ホーム上の反射物による外乱及び風、雨、雪などの環境による外乱の影響を受け、計測された距離に誤差が生じる。このため、特許文献2に記載された停止位置検出装置は、定位置停止判定の信頼性が低い。
【0009】
本発明は、このような背景の下でなされたものであり、簡易な構成で、信頼性の高い定位置停止判定を行う停止位置検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために、本発明に係る停止位置検知システムは、軌道上の列車の定停止位置よりも進行方向前方又は後方に設置され、列車の位置と列車の状態とを検出する定位置停止判別手段と、定停止位置において、列車の在否を検知する在否検知手段と、定位置停止判別手段で検出された列車の位置が予め設定された範囲にあり且つ列車が停止状態にあり、かつ、在否検知手段が列車の存在を検知している場合に、列車が存在していることを示す情報を外部機器に出力する判別手段と、を備える。列車には車両情報を保持する媒体が配置されており、在否検知手段は、媒体から車両情報を取得する在否検知センサを備え、判別手段は、取得した車両情報の示す列車が、入線予定の列車と一致するか否かを判定し、一致する場合に、列車が存在していると判定する。さらに、外部機器は、軌道に隣接するプラットホームに設置された可動式ホーム柵であり、可動式ホーム柵は、開閉自在の扉体と、扉体が収納される戸袋と、扉体を制御する制御部とを備え、在否検知手段は、可動式ホーム柵の戸袋に取り付けられて、車両の在否を判定するための情報を収拾するセンサを備え、可動式ホーム柵の制御部は、判別手段から出力された判定結果に基づいて、当該可動式ホーム柵の扉体を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、列車の位置と列車の状態とを検出する定位置停止判別手段と、軌道上の列車の在否を検知する在否検知手段の両方を用いて、列車が定停止位置に停止していることを判定するため、定位置停止判別手段だけで列車が定停止位置に停止していること判定する場合に比べて、信頼性の高い定位置停止判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る停止位置検知システムの全体構成を概略的に示す構成図
図2】実施の形態1に係る停止位置検知システムのブロック図
図3】実施の形態1に係る定位置停止センサによる距離計測の概要を示した概要図であり、(A)は平面図、(B)は説明図
図4】実施の形態1に係る停止位置判定プログラムによる処理を示したフローチャート
図5】実施の形態1に係る定位置停止センサ出力取得関数による処理を示したフローチャート
図6】本発明の実施の形態2に係る停止位置検知システムの構成を概略的に示す構成図であり、(A)は外形図、(B)は平面図
図7】実施の形態2に係る停止位置判定プログラムの処理を示したフローチャート
図8】本発明の実施の形態3に係る停止位置検知システムの外形図
図9】実施の形態3に係る列車在否検知の概要を示した概要図
図10】実施の形態3に係る停止位置判定プログラムの処理を示したフローチャート
図11】本発明の実施の形態4に係る停止位置判定プログラムによる処理を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る停止位置検知システムについて、図面を参照しつつ説明する。なお、同一または同等の部分に同一の符号を付す。
【0014】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る停止位置検知システムについて、図1から図5を参照して説明する。
【0015】
なお、以下の説明において、理解を容易にするため、図1に示すようにプラットホーム2の長手方向にX座標を、高さ方向にY座標を、X座標とY座標に直交する方向、つまりプラットホーム2の幅方向にZ座標を、設定し、適宜参照する。また、図1において左から右に向かう方向を+X方向、下から上に向かう方向を+Y方向、軌道からプラットホーム2に向かう方向を+Z方向とする。
【0016】
まず、前提として、本実施の形態の停止位置検知システムと共に使用される可動式ホーム柵1について説明する。
図1に示すように、可動式ホーム柵1は、プラットホーム2に固定された固定部4と、固定部4に取り付けられて、乗降通路5を開閉する扉体6a,6bとを備える。
【0017】
固定部4は、箱形に形成されており、一般には戸袋と呼ばれる。固定部4は、プラットホーム2の床面にX軸方向に複数台並んで設置されている。各固定部4には、扉体6a,6bがX軸方向に進退自在に収容され、また、扉体6a,6bを駆動する駆動機構と駆動機構を制御する制御部が配置されている。なお、両端の固定部4には、扉体6aと6bの一方のみが収容されている。
【0018】
扉体6a,6bは、乗降通路5を開閉する開閉部材として機能し、固定部4に進退自在に取り付けられたスライドドアである。図1は、扉体6a,6bが固定部4の外に引き出されて、戸先が互いに当接し、乗降通路5を閉鎖した状態を示している。なお、乗降通路5が開放されている状態では、扉体6a,6bは固定部4の中に引き込まれている。
【0019】
各軌道には、列車の種別毎に、列車20の先頭部の停止目標位置P0が予め定められている。
【0020】
停止目標位置P0に隣接した固定部4には、データ処理装置7が取り付けられている。データ処理装置7の詳細は後述する。
【0021】
データ処理装置7が取り付けられた固定部4の+X方向に隣接した固定部4にはRFID(Radio Frequency IDentifier)リーダ8が取り付けられている。RFIDリーダ8には、RFIDタグ23を検出するアンテナ9が接続されている。RFIDタグ23には、システムID、そのRFIDタグ23が取り付けられている列車の車種、列車識別情報などの車両情報が事前に書き込まれている。RFIDタグ23は、列車20の先頭車両のプラットホーム2の下に隠れる部分に予め取り付けられている。アンテナ9は、列車20に取り付けられたRFIDタグ23と同じ高さになるように、プラットホーム2の下に配置されている。RFIDタグ23とアンテナ9との高さをそろえることにより、列車20がアンテナ9の前を通過又は停止した際に、アンテナ9がRFIDタグ23を容易に検出することができる。
【0022】
次に、実施の形態1に係る停止位置検知システム100について説明する。
【0023】
停止位置検知システム100は、図2に示すように、列車20の停止位置が定停止位置であるか否かを判別するための定位置停止センサ50と、軌道上に列車20が存在するか否かを検知する在否検知センサ51と、定位置停止センサ50の出力信号と在否検知センサ51の出力信号を処理し、列車20が定停止位置に停止しているか否かの判定を行うデータ処理装置7と、を備えている。
【0024】
定位置停止センサ50は、図1に示すように、列車20の進行方向の線路脇に配置されており、列車20が定位置に停車しているか否かと、列車20が停止状態であるか否かを検出するためのセンサである。本実施の形態では、定位置停止センサ50は、図2に示すように、列車20の先頭部までの距離値Lを示す信号を出力する。すなわち、定位置停止センサ50は一種の距離センサである。
【0025】
図2に示す在否検知センサ51は、プラットホーム2に接した軌道上に列車20が存在するか否かを判別し、在否検知信号を出力する。在否検知センサ51は、本実施の形態では、固定部4に設置されたRFIDリーダ8である。RFIDリーダ8は、アンテナ9から送信される近距離の電波により、列車20に取り付けられたRFIDタグ23と無線通信を行い、RFIDタグ23から車両情報を読み出す。また、在否検知信号は、RFIDリーダ8が列車20に取り付けられたRFIDタグ23から読み出した車両情報のうち、車種データが示す車種が相当する。
【0026】
データ処理装置7は、コンピュータであり、固定部4に配置され、定位置停止センサ50から送信された信号と在否検知センサ51から送信された信号とに基づいて、列車20が定停止位置に停止しているか否かを判定する。判定手法については、図5及び図6を参照して後述する。
【0027】
データ処理装置7は、列車20が定停止位置に停止していると判定すると、外部機器60に停止確認信号を出力する。外部機器60は、例えば、可動式ホーム柵1の制御部や、列車20の乗務員に列車20の状態を報知する報知装置などである。例えば、可動式ホーム柵1の制御部は、データ処理装置7からの停止確認信号に応答して、駆動機構を駆動し扉体6a,6bを開き、乗降通路5を開く。また、報知装置は、列車20の乗務員に、列車20が定停止位置に停車したことを報知する。乗務員は、例えば、この報知を確認した上で、列車20の乗降扉を開く。
【0028】
定位置停止センサ50は、列車20の先頭部に赤外線レーザなどのレーザ光30を照射し、その反射光を受光する第1距離センサ501および第2距離センサ502と、第1距離センサ501および第2距離センサ502を制御する制御部503を具備する。第1距離センサ501は主系の距離センサであり、第2距離センサ502は従系の距離センサである。
【0029】
図3(A)に平面図で示すように、第1距離センサ501と第2距離センサ502は、列車20の先頭部の正面に対して左右の位置にそれぞれ配置されている。第1距離センサ501と第2距離センサ502は、それぞれ、列車20の先頭部までの距離値Lを計測する。制御部503は、第1距離センサ501と第2距離センサ502によりそれぞれ測定された距離値Lの平均を求め、求めた距離を距離値Lとする。このように、センサ機能を二重化することで、距離の計測の精度を高めることができる。
【0030】
図3(B)に側面で示すように、第1距離センサ501と第2距離センサ502は、それぞれ、列車20の先頭部に向けて、半円状のフィールドを周期的に上下方向にスキャンする。例えば、スキャン周期は25msec、走査角度は190°、角度分解能は0.25°、1スキャン毎の計測点数は760ポイント、計測距離は最大100mである。
【0031】
制御部503は、1スキャン毎に、水平に対する各走査角度θにおいて、列車20の先頭部までの距離値であるセンサ検出距離値aを算出する。制御部503は、1ポイントごとに走査角度θとセンサ検出距離値aとを基に、列車20の先頭部までの水平距離値bを、b=a×Cosθから算出する。制御部503は、1スキャンで得られたNポイントの水平距離値bの中央値Mを中心に、特定の±Xmm以上の差がある値、即ち、(M+X)以上の値と(M−X)以下の値を無効値として除外し、残りの値を有効値とする。制御部503は、有効値のみの平均値をとって、1スキャンで得られる有効水平距離値cとする。制御部503は、第1距離センサ501により求められた有効水平距離値cと第2距離センサ502により求められた有効水平距離値cとの平均値を、定位置停止センサ50と列車20の先頭部の間の距離値Lとする。
【0032】
制御部503は、第1距離センサ501と第2距離センサ502とが計測した距離値Lの平均値をデータ処理装置7に出力する。
【0033】
在否検知センサ51は、前述のように、RFIDリーダ8を備える。在否検知センサ51は、RFIDリーダ8が、列車20に設置されたRFIDタグ23から読み取った車両情報に含まれる車種を示す情報をデータ処理装置7に出力する。
【0034】
データ処理装置7は、列車20の先頭部が定停止位置範囲内に位置し、列車20が停止状態で、かつ、プラットホーム2に接した軌道上に列車20が存在すると判定した場合に、外部機器60に停止確認信号を出力する。外部機器60は、前述のように、可動式ホーム柵1、報知装置などである。
【0035】
例えば、可動式ホーム柵1の制御部は、データ処理装置7からの停止確認信号に応答し、扉体6a,6bを開き、乗降通路5を開く。また、報知装置は、データ処理装置7からの停止確認信号に応答し、列車20が定停止位置に停止したことを列車20の乗務員に報知する。乗務員は、この報知を確認した上で、列車の乗降扉を開く。
【0036】
次に、データ処理装置7が行う停止位置判定の処理について説明する。
データ処理装置7には、図4に示す停止位置判定処理を実行するための停止位置判定プログラムがインストールされている。
データ処理装置7は、例えば、図示せぬ入線センサが、プラットホーム2に接した軌道に列車20が進入したことを検出したときに、図4に示す停止位置判定プログラムを起動する。なお、停止位置判定プログラムを周期的に起動してもよい。
【0037】
データ処理装置7は、停止位置判定プログラムを起動すると、まず、図示せぬ列車情報装置から、入線予定の列車の車種データを取得する。データ処理装置7は、取得した車種データが特定する車種に予め定められている停止目標位置P0を求め、さらに停止目標位置P0を中心として前後に車種別に定められた距離だけ離れた停止誤差位置P1,P2を設定し、停止誤差位置P1とP2の間の範囲を定位置停止範囲P1〜P2とする。
【0038】
次に、データ処理装置7は、定位置停止センサ出力取得関数を呼び出す(ステップS11)。
【0039】
データ処理装置7は、定位置停止センサ出力取得関数を呼び出すと、図5に示す処理を開始し、まず、定位置停止センサ50が測定した列車20の先頭部までの距離値Lを取得する(ステップS21)。この距離値Lは、前述のように、第1距離センサ501と第2距離センサ502とがそれぞれ計測した距離値Lの平均値である。
データ処理装置7は、取得した距離値Lから列車20の先頭部分の実停止位置Psを求めて記憶する。また、このとき、前回の実停止位置Psが記憶されていれば、前回実停止位置Peとして保持する(ステップS22)。
【0040】
次に、データ処理装置7は、実停止位置Psが定位置停止範囲P1〜P2内にあるか否かを判定する(ステップS23)。制御部503は、実停止位置Psが定停止位置範囲内にあると判定すれば(ステップS23:YES)、定位置判定信号オンする(ステップS24)。一方、実停止位置Psが定停止位置範囲内でないと判定すれば(ステップS23:NO)、ステップS21に戻り、列車20までの距離値Lを取得し直す。
【0041】
一方、データ処理装置7は、ステップS24の実行後、列車20が停止しているか否かの判定を行う。列車20の速度により、単位時間あたりの実停止位置Psの変位量は異なり、高速になれば単位時間当たりの実停止位置Psの変位は大きくなり、低速になれば単位時間あたりの実停止位置Psの変位は小さくなる。また、停止状態であれば、一定時間経過しても実停止位置Psは同一となる。そこで、一定時間と実停止位置Psとを基準にして、列車20が停止しているか否かの判定を行うことができる。停止判定は、単位時間当たりの実停止位置の変位(=Ps−Pe)をチェックして、予め定められた停止判定基準を満たしたら、列車20が停止としていると判定する。なお、ここでは、スキャン周期である25msec間で進む距離を距離変位とする。また、停止判定基準としては、例えば、20mm/secを設定する。
【0042】
データ処理装置7は、前回実停止位置Peから今回の実停止位置Psを引いた値(差分=Ps−Pe)が20mm未満である状態が、一定時間、例えば、0.5秒継続したか否かを判定する。なお、この一定時間は、列車20の運行を妨げない範囲で任意に定められた時間である。
【0043】
データ処理装置7は、差分が20mm未満である状態が一定時間継続している場合には、列車20は停止状態であると判定し(ステップS25:YES)、停止判定信号をオンする(ステップS26)。データ処理装置7は、定位置停止センサ出力取得関数を終了し、図4に示された停止位置判定プログラムのステップS12へ戻る。
【0044】
一方、データ処理装置7は、差分が20mm未満ではない場合、または、差分が20mm未満であるが、継続時間が一定時間に達していない場合、列車20は停止状態ではないと判定し(ステップS25:NO)、処理をステップS21に戻す。
【0045】
なお、列車20の先頭部までの距離値Lを求める定位置停止センサ50とステップS24とS26を実行するデータ処理装置7とは、協働して、本願発明における定位置停止判別手段として機能する。
【0046】
データ処理装置7は、図4のステップS12において、RFIDタグ23から読み込んだ車両情報をRFIDリーダ8から取得する(ステップS12)。
【0047】
次に、データ処理装置7は、ステップS24で設定した定位置判定信号とステップS26で設定した停止判定信号とが共にオンで、且つ、軌道上に列車20が存在しているか、否かを判定する(ステップS13)。なお、データ処理装置7は、列車情報装置から読み込んだ入線予定の列車の車種とステップS12で読み込んだ車両情報中の車種データが示す車種とを比較して、一致していれば、RFIDリーダ8が配置された固定部4が設置されたプラットホーム2に接した軌道に列車20が在線していると判定する。
【0048】
列車20に配置されたRFIDタグ23に記憶されている車両情報を読み取るRFIDリーダ8と、列車情報装置から読み込んだ入線予定の列車の車種データとRFIDリーダ8から提供された車両情報中の車種データが示す車種との一致・不一致を検出することにより、車両の在否を検知するデータ処理装置7とは、協働して、請求項における在否検知手段として機能する。また、データ処理装置7は、このステップS13を実行することにより、請求項における判別手段として機能する。
【0049】
データ処理装置7は、定位置停止センサ50から取得した定位置判定信号と停止判定信号とがオンであり、且つ、RFIDリーダ8から取得した車両情報により軌道上に列車20が存在しているものと判定すると(ステップS13:YES)、停止確認信号を外部機器60に出力する(ステップS14)。
【0050】
停止確認信号に応答して、例えば、可動式ホーム柵1は、駆動機構を駆動し扉体6a,6bを開いて、乗降通路5を通行可能にする。また、報知装置は、その旨を列車20の乗務員に報知する。乗務員は、報知装置の報知に従って、列車の乗降扉の開閉を行う。
【0051】
一方、ステップS13で、定位置判定信号または停止判定信号がオンでなく、また、列車情報装置から取得した車種とRFIDタグ23から読み込んだ車種データが示す車種とが一致していないと判別した場合(ステップS13:NO)、ステップS11に戻り、前述の動作を繰り返す。
【0052】
このように、本実施の形態に係る停止位置検知システムは、定位置停止センサ50とRFIDリーダ8の両方を用いて列車20が定停止位置に停止していることを判定する。このため、定位置停止センサ50だけで列車20が定停止位置に停止していることを判定する場合に比べて、信頼性の高い定位置停止判定を行うことができる。
【0053】
また、定位置停止センサ50はレーザ光を使用し、RFIDリーダ8は電波を使用するものである。そのため、定位置停止センサ50が、雪、風雨、雨などの設置環境の影響で誤作動をしても、RFIDリーダ8には外乱の影響がほとんど出ず誤作動しない。したがって、定位置停止センサ50の誤作動を容易に判断することができる。
また、RFIDリーダ8が使用する電波は近距離の電波であるため、列車20と距離の近い可動式ホーム柵1に配置するには好適である。
【0054】
また、定位置停止センサ50が既設の場合に、RFIDリーダ8を可動式ホーム柵1に取り付け、各列車にRFIDタグ23を取り付けるだけで本実施の形態に係る停止位置検知システムを用いることができる。そのため、信頼性の高い定位置停止判定を行う停止位置検知システムを、簡易に導入することができる。
【0055】
(変形例)
前記実施の形態においては、定位置停止センサ50を列車20の停止位置の前方に配置する例を示したが、後方でもよい。この場合は、列車の最終車両の後面を基準とすればよい。
【0056】
上記実施の形態においては、列車20の車種を識別するために、車種を含む車両情報を有する媒体を列車20に配置し、これを読み取る構成を採用した。車両情報を保持する媒体としては、RFIDタグ23に限定されず、バーコード等の任意の媒体でよい。在否検知センサ51としては、媒体の種類に応じた、リーダを用いればよい。例えば、媒体がバーコードの場合には、バーコードリーダを用いればよい。
【0057】
上記説明では、定位置停止センサ50は距離値Lを求めて出力するだけであったが、制御部503が図5のステップS21〜26の処理を実行し、定位置判定信号と停止判定信号をデータ処理装置7に提供するようにしてもよい。この場合、データ処理装置7は、図4の処理を行うだけでよい。また、この場合、データ処理装置7は、車種に応じた停止目標位置P0と停止誤差位置P1,P2を、定位置停止センサ50の制御部503に提供することが望ましい。なお、停止目標位置P0と停止誤差位置P1,P2を固定停止位置としてもよい。
【0058】
さらに、定位置停止センサ50は、定位置判定信号と停止判定信号との両方がオンであるか否かを判別し、両信号がオンのときに、データ処理装置7にオン信号を出力するように構成してもよい。この場合は、図4におけるステップS13の処理が簡略化される。
【0059】
同様に、在否検知センサ51が、列車情報装置から読み込んだ入線予定の列車の車種とRFIDリーダ8から読み込んだ車種データが示す車種とを比較して、一致していれば、軌道に列車20が在線していることを示す在否検知信号をオンするようにしてもよい。
【0060】
また、制御部503とデータ処理装置7とを共用化し、1つのプロセッサで実行させてもよい。
【0061】
また、停止目標位置P0と停止誤差位置P1,P2に代えて、定位置停止センサ50からの距離値L0,L1,L2を使用してもよい。
【0062】
以上の説明では、列車情報装置から読み込んだ入線予定の列車の車種データとRFIDリーダ8から車種データとが一致しているときに在否検知信号をオンしたが、RFIDリーダ8から読み込んだ車種データが、入線する可能性のある車種のリストに登録されているか否かを判別し、登録されているときに、在否検知信号をオンしてもよい。
【0063】
データ処理装置7,RFIDリーダ8の配置位置、定位置停止センサ50の配置位置等は任意であり、適宜変更可能である。
【0064】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る停止位置検知システムについて、図6および図7を参照して説明する。
【0065】
図6(A)に示すように、停止目標位置P0に隣接した固定部4には、データ処理装置7が取り付けられている。このデータ処理装置7が取り付けられた固定部4から、扉体6a,6bを挟んで+X方向に配置された固定部4には光電センサ11が取り付けられている。この光電センサ11が本実施の形態における在否検知センサ51として機能する。
【0066】
図6(B)に示すように、光電センサ11は投光部から可視光、赤外線などの光のセンサビーム40を軌道側に照射している。列車20が軌道上に進入すると、センサビーム40が列車20によって反射される。光電センサ11は、受光部で反射光の光量の変化を検出し、列車20が軌道上に進入したこと、すなわち、列車20の在線を検知すると、オンレベルの在否検知信号を出力する。
【0067】
実施の形態2における停止位置検知システムの動作は、在否検知センサ51として光電センサ11を用いる以外、上述の実施の形態1の動作と同様である。
【0068】
データ処理装置7が行う停止位置判定の処理について説明する。本実施の形態では、データ処理装置7には、図7に示す停止位置判定プログラムがインストールされている。
【0069】
データ処理装置7は、停止位置判定プログラムを、例えば、センサが軌道上に列車20が進入したことを検知したタイミングで起動する。
【0070】
データ処理装置7は、停止位置判定プログラムを起動すると、列車情報装置から列車の車種データを取得する。データ処理装置7は、車種データから車種ごとに定められたプラットホーム2での停止目標位置P0と、停止誤差位置P1,P2を読み出し、定位置停止範囲P1〜P2を設定する。
【0071】
続いて、データ処理装置7は、定位置停止センサ出力取得関数を呼び出し、列車20が定停止位置に位置し且つ列車20が停止しているか否かを判別する(ステップS31)。この処理は図5に示す処理と同一である。
【0072】
次に、データ処理装置7は、在否検知センサ51を構成する光電センサ11から在否検知信号を取得する(ステップS32)。在否検知センサ51を構成する光電センサ11は、出射光の反射光を検出したときに、オンレベルの在否検知信号を出力する。
【0073】
データ処理装置7は、定位置判定信号と停止判定信号と在否検知信号が全てオンか否かを判別する(ステップS33)。
データ処理装置7は、定位置判定信号と停止判定信号と在否検知信号が全てオンであれば(ステップS33:YES)、外部機器60に停止確認信号を出力する(ステップS34)。
【0074】
一方、データ処理装置7は、定位置判定信号、停止判定信号、在否検知信号の少なくとも1つがオフレベルであれば、列車20が定停止位置に停止していないものと判定して(ステップS33:NO)、処理をステップS31に戻す。
【0075】
このように、本発明の実施の形態2に係る停止位置検知システムは、定位置停止センサ50と光電センサ11の両方を用いて列車20が定停止位置に停止していることを判定する。このため、定位置停止センサ50だけで列車20が定停止位置に停止していることを判定する場合に比べて判定条件が厳しくなり、信頼性の高い定位置停止判定を行うことができる。
【0076】
また、定位置停止センサ50が既設の場合には、光電センサ11を可動式ホーム柵1に取り付けるだけで本発明の実施の形態2に係る停止位置検知システムを用いることができる。そのため、信頼性の高い定位置停止判定を行う停止位置検知システムを、簡易に導入することができる。
【0077】
(変形例)
上記実施の形態においては、光電センサ11は、光を出射し、反射光を受光し、反射光を受光しているときに、列車が隣接する軌道上に存在していると検知した。この発明はこれに限定されない。例えば、固定部4に発光装置と受光装置の一方を配置し、軌道を挟んで対向する位置に発光装置と受光装置の他方を配置するように構成してもよい。この場合は、発光装置から出射した光が受光装置により検出されると、車両が位置しておらず、発光装置から出射した光が受光装置により検出されないと、車両が位置していると判別される。
【0078】
軌道上の列車20の在否を検知する在否検知センサ51は、光電センサ11に限定されない。光電センサ11の代わりに、平面センサ12を用いてもよい。平面センサ12は、投光部から赤外線レーザなどのセンサビームを複数本、平面状に照射し、それらの反射光又は通過光を1又は複数の受光素子で受光する。このため、光電センサ11に比べてセンサビームの照射範囲が広い。従って、軌道上に進入した列車20を、広いセンサビームの照射範囲で検知することができるため、検知精度が向上し在否検知情報の信頼性が高くなる。
【0079】
また、平面センサ12を用いる場合には、平面センサ12を固定部4に取り付けるだけではなく、平面センサ12をプラットホーム2の屋根に天吊りにすることも可能である。
【0080】
(実施の形態3)
この発明の実施の形態3における停止位置検知システムについて、図8から図10を用いて説明する。
【0081】
図8に示すように、停止目標位置P0に隣接した固定部4には、データ処理装置7が取り付けられている。このデータ処理装置7が取り付けられた固定部4から、扉体6a,6bを挟んでX軸方向に配置された固定部4には、第N光電センサ13nが取り付けられている。また、第N光電センサ13nが取り付けられた固定部4から、扉体6a,6bを挟んで+X方向に配置された複数の固定部4にはそれぞれ、第N−1光電センサ13n-1から第1光電センサ13aまでのn−1個の光電センサが1つずつ取り付けられている。第1光電センサ13aから第N光電センサ13nまでのN個の光電センサ11のことを、光電センサ群14と称する。
【0082】
実施の形態3における停止位置検知システムの動作については、在否検知センサ51としての光電センサ群14の動作以外、上述の実施の形態1の動作と同様である。
【0083】
光電センサ群14の動作について、図9を用いて説明する。プラットホーム2に接した軌道上へ列車20が進入すると、光電センサ群14の各光電センサ11は順番に列車20を検知し、オンレベルの在否検知信号を出力する。図9(A)に示すように、列車20が停止目標位置P0に向かってプラットホーム2に接した軌道上に進入すると、第1光電センサ13aが列車20を検知し、オンレベルの在否検知信号を出力する。第2光電センサ13b、第3光電センサ13c、・・・、第N光電センサ13nは、列車20を検知していないので、オフレベルの在否検知信号を出力する。
【0084】
さらに、列車20が進行すると、図9(B)に示すように、第2光電センサ13bが列車20を検知し、オンレベルの検知信号を出力する。第3光電センサ13c、・・・、第N光電センサ13nは、列車20を検知していないので、オフレベルの在否検知信号を出力する。列車20が停止目標位置P0に向かって進行することに伴い、光電センサ群14の各光電センサは順番に、列車20を検知しオンレベルの在否検知信号を出力する。最終的には、図9(C)に示すように、第1光電センサ13aから第N光電センサ13nまでの全ての光電センサが列車20を検知しオンレベルの在否検知信号を出力する。
【0085】
データ処理装置7には、図10に示すような停止位置判定プログラムがインストールされている。
データ処理装置7は、複数光電センサ停止位置判定プログラムを、例えば、図示せぬ入線センサが列車20の進入を検知したときに起動する。
データ処理装置7は、停止位置判定プログラムを起動すると、列車情報装置から列車の車種データを取得する。データ処理装置7は、車種データから車種ごとに定められたプラットホーム2での停止目標位置P0と、停止誤差位置P1,P2を読み出し、定位置停止範囲P1〜P2を設定する。
【0086】
次に、データ処理装置7は、定位置停止センサ出力取得関数を呼び出し、図5に示す処理により、定位置判定信号と停止判定信号とを取得する(ステップS41)。次に、データ処理装置7は、光電センサ群14から検知情報を含む在否検知信号をタイムスタンプと共に取得する(ステップS42)。
【0087】
データ処理装置7は、定位置判定信号と停止判定信号とが共にオンであるか否かを判定する(ステップS43)。共にオンであれば、ステップS44に進み、少なくとも1つがオフであれば、ステップS41に戻る。
【0088】
ステップS44において、データ処理装置7は、第1光電センサ13aから第N光電センサ13nが順番にオンレベルの検知信号を出力したか否かを判定する(ステップS44)。なお、第1光電センサ13aから第N光電センサ13nが順番にオンレベルの検知信号を出力したか否かについては、一定の誤検出を認める基準を設定しておくことが望ましい。
【0089】
データ処理装置7は、第1光電センサ13aから第N光電センサ13nが順番にオンレベルの検知信号を出力したと判定すると(ステップS44:YES)、停止確認信号を外部機器60に出力する(ステップS45)。
【0090】
一方、データ処理装置7は、第1光電センサ13aから第N光電センサ13nが順番にオンレベルの検知信号を出力していない、例えば、第N光電センサ13nが未だオフである、或いは、第N光電センサ13nだけがオンであるといった場合(ステップS44:NO)、処理をステップS41に戻す。
【0091】
このように、本発明の実施の形態3に係る停止位置検知システムは、定位置停止センサ50と光電センサ群14の両方を用いて列車20が定停止位置に停止していることを判定する。このため、定位置停止センサ50だけで列車20が定停止位置に停止していることを判定する場合に比べて判定条件が厳しくなるので、信頼性の高い定位置停止判定を行うことができる。
【0092】
また、定位置停止センサ50を既設している場合には、光電センサ群14を可動式ホーム柵1に取り付けるだけで本実施の形態に係る停止位置検知システムを用いることができる。そのため、信頼性の高い定位置停止判定を行う停止位置検知システムを、簡易に導入することができる。
【0093】
(変形例)
この実施の形態3において用いられる光電センサは、実施の形態2で示した光電センサ11と同様のものであるが、これに限らず、平面センサ12を用いて構成してもよい。
【0094】
(実施の形態4)
この発明の実施の形態4における停止位置検知システムについて、図6および図11を用いて説明する。図6(A)において、固定部4に取り付けられた光電センサ11の代わりに、カメラ15を備える。それ以外の構成については、実施の形態2で説明した通りである。カメラ15は、軌道側の画像を周期的に採取し、データ処理装置7へ画像データを出力する。
【0095】
実施の形態4における停止位置検知システムの動作については、在否検知センサ51として光電センサ11を用いる以外、上述の実施の形態1の動作と同様である。
【0096】
データ処理装置7には、図10に示す停止位置判定プログラムがインストールされている。
データ処理装置7は、この停止位置判定プログラムを、例えば、図示しないセンサが軌道上へ列車20が進入したことを検知したことに応答して、起動する。
データ処理装置7は、停止位置判定プログラムを起動すると、列車情報装置から列車の車種データを取得する。データ処理装置7は、車種データから車種ごとに定められたプラットホーム2での停止目標位置P0と、停止誤差位置P1,P2を読み出し、定位置停止範囲P1〜P2を設定する。
【0097】
続いて、データ処理装置7は、図5に示す定位置停止センサ出力取得関数を呼び出し、定位置停止センサ50から定位置判定信号と停止判定信号とを取得する(ステップS51)。
続いて、データ処理装置7は、カメラ15から軌道側の画像データを取得する(ステップS52)。
データ処理装置7は、カメラ15から取得した画像データが、入線予定の列車20の車体の画像に一致するか否かを判別する(ステップS53)。例えば、データ処理装置7は、画像データ中の列車20に対応する画素の数を求める。例えば、車体に反応した色及び明るさの画素の数を求める。例えば、黒色または黒色に類似した暗色の画素の画素数を取得する。画像データから取得した車体の画素数が、予め定められた車体を識別するための基準となる基準画素数以上であれば、軌道上に列車20が存在するものと判定し(ステップS53:YES)、ステップS54にすすむ。画像データから取得した車体の画素数が基準画素数以下であれば、軌道上に列車20が存在しないものと判定し(ステップS53:NO)ステップS51へ戻る。
【0098】
データ処理装置7は、ステップS54において、定位置判定信号と停止判定信号とが共にオンレベルであれば、列車20が定停止位置に停止しているものと判定し(ステップS54:YES)、停止確認信号を外部機器60に出力する(ステップS55)。
一方、データ処理装置7は、定位置判定信号と停止判定信号の一方又は両方がオンレベルでなければ、列車20が定停止位置に停止していないものと判定して(ステップS54:NO)、処理をステップS51に戻す。
【0099】
このように、本実施の形態に係る停止位置検知システムは、定位置停止センサ50とカメラ15の両方を用いて列車20の先頭部が定停止位置に停止していることを判定する。このため、定位置停止センサ50だけで列車20の先頭部が定停止位置に停止していることを判定する場合に比べて判定条件が厳しくなり、信頼性の高い定位置停止判定を行うことができる。
【0100】
また、定位置停止センサ50を既設している場合には、カメラ15を可動式ホーム柵1に取り付けるだけで本実施の形態に係る停止位置検知システムを用いることができる。そのため、信頼性の高い定位置停止判定を行う停止位置検知システムを、簡易に導入することができる。
【0101】
(変形例)
軌道上の列車20の在否を検知するためにカメラ15を用いる場合には、可動式ホーム柵1の固定部4に取り付ける(または内蔵する)だけではなく、ホームの屋根に天吊りにすることも可能である。
また、上記実施の形態においては、データ処理装置7は、画像データ中の列車20に対応する画素の数を求めていたが、パターンマッチングの手法を用いてもよい。
【0102】
なお、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態と変形例によっては限定されない。本発明は特許請求の範囲に記載された技術的思想の限りにおいて、自由に応用、変形あるいは改良して、実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、可動式ホーム柵に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 可動式ホーム柵、2 プラットホーム、4 固定部、5 乗降通路、6a,6b 扉体、7 データ処理装置、8 RFIDリーダ、9 アンテナ、11 光電センサ、12 平面センサ、14 光電センサ群、15 カメラ、20 列車、23 RFIDタグ、50 定位置停止センサ、501 第1距離センサ、502 第2距離センサ、503 制御部、51 在否検知センサ、60 外部機器
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