特許第6976104号(P6976104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6976104流体圧アクチュエータ及び該流体圧アクチュエータを備えた軌道走行式機械の制動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976104
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】流体圧アクチュエータ及び該流体圧アクチュエータを備えた軌道走行式機械の制動装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20211125BHJP
   B66C 9/18 20060101ALI20211125BHJP
   B61H 7/12 20060101ALI20211125BHJP
   B60T 13/60 20060101ALI20211125BHJP
   F16D 63/00 20060101ALI20211125BHJP
   F16D 65/28 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   F15B15/14 380Z
   F15B15/14 305
   B66C9/18
   B61H7/12 B
   B60T13/60
   F16D63/00 L
   F16D65/28
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-155627(P2017-155627)
(22)【出願日】2017年8月10日
(65)【公開番号】特開2019-35436(P2019-35436A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2020年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 泰造
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特許第062573(JP,B2)
【文献】 特開2014−190449(JP,A)
【文献】 特開2014−152008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/14
F15B 21/044
B66C 9/18
B61H 7/12
B60T 13/60
F16D 63/00
F16D 65/28
F16D 121/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被作動部材を押し引きする流体圧アクチュエータにおいて、
流体圧シリンダ本体と、該流体圧シリンダ本体に突出・引込自在に嵌入され且つ前記被作動部材に連結される流体圧ピストンと、該流体圧ピストンの受圧面と前記流体圧シリンダ本体の内壁とによって画成される流体圧シリンダ室とを有する流体圧シリンダと、
該流体圧シリンダの流体圧シリンダ室へ作動流体を給排して該流体圧シリンダ室の内圧を正圧又は負圧とすることにより前記流体圧シリンダを伸縮作動させる正圧・負圧発生機構を有する流体圧ユニットと
を備え
前記正圧・負圧発生機構は、
駆動シリンダ本体と、該駆動シリンダ本体の内部に往復動自在に嵌挿される駆動ピストンと、前記駆動シリンダ本体の内部における駆動ピストンの一方の側に画成され且つ作動流体が供給・排出される駆動キャップ側室と、前記駆動シリンダ本体の内部における駆動ピストンの他方の側に画成され且つ作動流体が排出・供給される駆動ロッド側室と、前記駆動ピストンの他方の側から駆動ロッド側室を貫通して駆動シリンダ本体の外部へ延びる駆動ピストンロッドとを有する駆動シリンダと、
従動シリンダ本体と、該従動シリンダ本体の内部に往復動自在に嵌挿され且つ前記駆動ピストンロッドと連動する従動ピストンと、前記従動シリンダ本体の内部における従動ピストンの前記駆動ピストンロッドとは反対側に画成され且つ前記流体圧シリンダ室に連通する従動キャップ側室とを有する従動シリンダと
を備え、
前記駆動シリンダの駆動ピストンの駆動キャップ側室における受圧面積より前記従動シリンダの従動ピストンの従動キャップ側室における受圧面積を大きく設定した流体圧アクチュエータ。
【請求項2】
レール上を走行する支持脚の下部に、走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピンにより中間部が支持されて揺動自在に配設された上側イコライザビームと、該上側イコライザビームの走行方向両端部に走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピンにより中間部が支持されて揺動自在に配設された一対の下側イコライザビームとからなるイコライザ装置を少なくとも一段有し、最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームの走行方向両端部にレールに沿って転動自在な走行車輪が配設された走行装置を備え、
前記流体圧シリンダを前記最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームに取り付け、
前記流体圧シリンダの流体圧ピストンに前記被作動部材としてのブレーキパッドを、前記レールの走行車輪転動面に対し該レールと直交する方向へ押付・離反自在となるよう連結した請求項記載の流体圧アクチュエータを備えた軌道走行式機械の制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧アクチュエータ及び該流体圧アクチュエータを備えた軌道走行式機械の制動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は一般的な軌道走行式機械としてのコンテナクレーンの一例を示すものであって、1はコンテナクレーン、2はコンテナクレーン1が配備される港湾、3は港湾2における岸壁、4は岸壁3に図3の紙面と直交する方向へ延びるよう敷設されたレールであり、コンテナクレーン1のクレーン本体5の支持脚6には、レール4に沿って転動自在な走行車輪7を有する走行装置8が取り付けられている。
【0003】
前記コンテナクレーン1は、荷役作業中に強風に煽られると、運転者の意に反して走行が止まらず、逸走してしまい、隣接する機械や近接構造物への衝突や倒壊に至る虞がある。
【0004】
このため、前述の如き軌道走行式機械の逸走を防止する装置として、従来、例えば、特許文献1に開示されているようなクランプ装置がある。該クランプ装置は、先端部に挟み部が形成された一対の接触子をその略中間部が軸を中心として回動自在となるよう連結した挟み機構と、該挟み機構における前記接触子の基端部に設けられ且つ該接触子の基端部間を狭めて前記挟み部が常時レールを挟む閉方向へ前記接触子を回動させるようにしたばね機構と、前記一対の接触子の基端部に形成されたカム受部をその内側から押し開く方向へ駆動して前記挟み部によるレールの挟み付けを解放するための回転カムとを備えている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたクランプ装置では、レールを両側から挟み付ける方式を採用しているため、レール面との摩擦係数を高めるためにクランプ装置側の接触面にギザギザの歯を付けたり、或いは接触面を硬化させてヤスリのようにしたりしている場合、レールの側面に傷を付けてしまう可能性があった。又、レールの側面の精度が低く、その幅方向における中心線から側面までの寸法に左右でばらつきが生じているような場合、若しくはレールの腐食等が生じている場合、前記挟み部による挟み付けが均一に行われずに締付力が大きく低下してしまい、充分な保持力が得られなくなる可能性もあった。
【0006】
こうした不具合を解消するため、レールの走行車輪転動面に対し直交する方向へブレーキパッドを押付・離反自在な油圧シリンダ等の流体圧シリンダを備えた制動装置が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−72690号公報
【特許文献2】特開2015−58805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年、前記コンテナクレーン1等の軌道走行式機械においては、前記走行装置8の下部に制動装置を設けることができるように、該制動装置を薄型にする要求が高まっている。
【0009】
しかしながら、特許文献2に開示された制動装置では、二つの油室を有したシリンダが採用されているため、薄型化は困難となっており、クレーン本体の下部フレームの中間部に制動装置を設けざるを得なかった。
【0010】
又、二つの油室を有したシリンダの場合、油圧配管も二系統接続しなければならず、こうした点も前記走行装置8の下部に制動装置を設けることに対する阻害要因の一つとなっていた。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、薄型化を図り且つ接続配管系統の削減を図って設置の自由度を高めることができる流体圧アクチュエータ及び該流体圧アクチュエータを備えた軌道走行式機械の制動装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の流体圧アクチュエータは、被作動部材を押し引きする流体圧アクチュエータにおいて、
流体圧シリンダ本体と、該流体圧シリンダ本体に突出・引込自在に嵌入され且つ前記被作動部材に連結される流体圧ピストンと、該流体圧ピストンの受圧面と前記流体圧シリンダ本体の内壁とによって画成される流体圧シリンダ室とを有する流体圧シリンダと、
該流体圧シリンダの流体圧シリンダ室へ作動流体を給排して該流体圧シリンダ室の内圧を正圧又は負圧とすることにより前記流体圧シリンダを伸縮作動させる正圧・負圧発生機構を有する流体圧ユニットと
を備え
前記正圧・負圧発生機構は、
駆動シリンダ本体と、該駆動シリンダ本体の内部に往復動自在に嵌挿される駆動ピストンと、前記駆動シリンダ本体の内部における駆動ピストンの一方の側に画成され且つ作動流体が供給・排出される駆動キャップ側室と、前記駆動シリンダ本体の内部における駆動ピストンの他方の側に画成され且つ作動流体が排出・供給される駆動ロッド側室と、前記駆動ピストンの他方の側から駆動ロッド側室を貫通して駆動シリンダ本体の外部へ延びる駆動ピストンロッドとを有する駆動シリンダと、
従動シリンダ本体と、該従動シリンダ本体の内部に往復動自在に嵌挿され且つ前記駆動ピストンロッドと連動する従動ピストンと、前記従動シリンダ本体の内部における従動ピストンの前記駆動ピストンロッドとは反対側に画成され且つ前記流体圧シリンダ室に連通する従動キャップ側室とを有する従動シリンダと
を備え、
前記駆動シリンダの駆動ピストンの駆動キャップ側室における受圧面積より前記従動シリンダの従動ピストンの従動キャップ側室における受圧面積を大きく設定することができる。
【0015】
又、本発明は、前記流体圧アクチュエータを備えた軌道走行式機械の制動装置として、レール上を走行する支持脚の下部に、走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピンにより中間部が支持されて揺動自在に配設された上側イコライザビームと、該上側イコライザビームの走行方向両端部に走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピンにより中間部が支持されて揺動自在に配設された一対の下側イコライザビームとからなるイコライザ装置を少なくとも一段有し、最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームの走行方向両端部にレールに沿って転動自在な走行車輪が配設された走行装置を備え、
前記流体圧シリンダを前記最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームに取り付け、
前記流体圧シリンダの流体圧ピストンに前記被作動部材としてのブレーキパッドを、前記レールの走行車輪転動面に対し該レールと直交する方向へ押付・離反自在となるよう連結することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の流体圧アクチュエータ及び該流体圧アクチュエータを備えた軌道走行式機械の制動装置によれば、薄型化を図り且つ接続配管系統の削減を図って設置の自由度を高めることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の流体圧アクチュエータ及び該流体圧アクチュエータを備えた軌道走行式機械の制動装置の実施例を示す正面図である。
図2】本発明の流体圧アクチュエータ及び該流体圧アクチュエータを備えた軌道走行式機械の制動装置の実施例における制動機構を示す概要構成図である。
図3】軌道走行式機械としてのコンテナクレーンの一例を示す全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1及び図2は本発明の流体圧アクチュエータ及び該流体圧アクチュエータを備えた軌道走行式機械の制動装置の実施例であって、図中、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0020】
図1に示す軌道走行式機械としてのコンテナクレーン1では、クレーン本体5の支持脚6間に、該支持脚6をつなぐようレール4に沿って延びる下部フレーム6aが設けられ、該下部フレーム6aの底面側に、複数(図1の例では二基)の走行装置8が設けられている。
【0021】
前記走行装置8は、上部イコライザビーム9aと、中間部イコライザビーム9bと、下部イコライザビーム9cと、走行車輪7とを備えている。
【0022】
前記上部イコライザビーム9aは、前記下部フレーム6aの底面側に、走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピン10aにより中間部が支持されて揺動自在に配設されている。前記中間部イコライザビーム9bは、前記上部イコライザビーム9aの走行方向両端部に走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピン10bにより中間部が支持されて揺動自在に配設されている。前記下部イコライザビーム9cは、前記中間部イコライザビーム9bの走行方向両端部に走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピン10cにより中間部が支持されて揺動自在に配設されている。
【0023】
前記走行車輪7は、前記下部イコライザビーム9cの走行方向両端部にレール4に沿って転動自在となるよう配設されている。
【0024】
尚、図1に示す例では、上部イコライザビーム9aと中間部イコライザビーム9bとからなるイコライザ装置9Aと、中間部イコライザビーム9bと下部イコライザビーム9cとからなるイコライザ装置9Bとが上下二段に形成されている。因みに、上段の前記イコライザ装置9Aにおける上部イコライザビーム9aは上側イコライザビームとなり、中間部イコライザビーム9bは下側イコライザビームとなる。又、下段の前記イコライザ装置9Bにおける中間部イコライザビーム9bは相対的に上側イコライザビームとなり、下部イコライザビーム9cは下側イコライザビームとなる。但し、前記軌道走行式機械としてのコンテナクレーン1の規模に応じて、前記イコライザ装置9Aを一段だけ形成して、下側イコライザビーム(この場合は中間部イコライザビーム9b)に走行車輪7を配設しても良い。又、前記イコライザ装置を上下三段以上形成して、最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームの走行方向両端部にレール4に沿って転動自在な走行車輪7を配設しても良い。
【0025】
そして、本実施例の場合、前記走行装置8の各々に制動機構40を配置してある。但し、必ずしも前記走行装置8の各々に制動機構40を配置する必要はなく、充分な制動力が得られるのであれば、制動機構40は一つであっても良い。
【0026】
前記制動機構40は、前記走行車輪7が配設された下部イコライザビーム9c(下側イコライザビーム)に取り付けられ、図2に示す如く、流体圧アクチュエータを構成する流体圧シリンダ13と、流体圧ユニット14とを備えている。
【0027】
前記流体圧アクチュエータの流体圧シリンダ13は、流体圧シリンダ本体13aと、該流体圧シリンダ本体13aに突出・引込自在に嵌入される流体圧ピストン13bと、該流体圧ピストン13bの受圧面と前記流体圧シリンダ本体13aの内壁とによって画成される流体圧シリンダ室13cとを有し、前記下部イコライザビーム9cの底面側に取り付けられた平板状のベースプレート11の下面に前記流体圧シリンダ本体13aが取り付けられている。前記流体圧シリンダ13の流体圧ピストン13bには、被作動部材としてのブレーキパッド12を、前記レール4の走行車輪転動面4aに対し該レール4と直交する方向へ押付・離反自在となるよう連結してある。
【0028】
前記流体圧ユニット14は、前記流体圧シリンダ13の流体圧シリンダ室13cへ油等の作動流体を給排して該流体圧シリンダ室13cの内圧を正圧又は負圧とすることにより前記流体圧シリンダ13を伸縮作動させる正圧・負圧発生機構50を有している。
【0029】
前記正圧・負圧発生機構50は、駆動シリンダ51と、従動シリンダ52とを備えている。前記駆動シリンダ51は、駆動シリンダ本体51aと、該駆動シリンダ本体51aの内部に往復動自在に嵌挿される駆動ピストン51bと、前記駆動シリンダ本体51aの内部における駆動ピストン51bの一方の側に画成され且つ作動流体が供給・排出される駆動キャップ側室51cと、前記駆動シリンダ本体51aの内部における駆動ピストン51bの他方の側に画成され且つ作動流体が排出・供給される駆動ロッド側室51dと、前記駆動ピストン51bの他方の側から駆動ロッド側室51dを貫通して駆動シリンダ本体51aの外部へ延びる駆動ピストンロッド51eとを有している。前記従動シリンダ52は、従動シリンダ本体52aと、該従動シリンダ本体52aの内部に往復動自在に嵌挿され且つ前記駆動ピストンロッド51eと連動する従動ピストン52bと、前記従動シリンダ本体52aの内部における従動ピストン52bの前記駆動ピストンロッド51eとは反対側に画成され且つ前記流体圧シリンダ室13cに押引ライン60を介して連通する従動キャップ側室52cとを有している。前記従動シリンダ52の従動ピストン52bの従動キャップ側室52cにおける受圧面積Aは、前記駆動シリンダ51の駆動ピストン51bの駆動キャップ側室51cにおける受圧面積Aより大きく設定してある。尚、前記駆動ピストンロッド51eは、図2の例では、前記駆動ピストン51bと従動ピストン52bとの間に掛け渡すように設けてあるが、前記従動ピストン52bから延びる従動ピストンロッドを別個に設けて、該従動ピストンロッドと前記駆動ピストンロッド51eとを連結するようにしても良い。
【0030】
更に、前記流体圧ユニット14は、前記作動流体が貯留されたタンク15から延びる圧送ライン16と、前記駆動シリンダ51の駆動キャップ側室51cに接続される駆動キャップ側ライン17と、前記駆動シリンダ51の駆動ロッド側室51dに接続される駆動ロッド側ライン18と、前記タンク15へ通じる戻しライン19とを備えている。前記圧送ライン16途中には、モータ20にて駆動されるポンプ21と、該ポンプ21にて圧送される作動流体の逆流を阻止する逆止弁22とが設けられている。前記圧送ライン16及び戻しライン19と、前記駆動キャップ側ライン17及び駆動ロッド側ライン18とは、ソレノイドバルブ23を介して接続され、前記逆止弁22とソレノイドバルブ23との間における圧送ライン16途中から分岐させた蓄圧ライン24には、アキュムレータ25が接続されている。
【0031】
前記ソレノイドバルブ23は、ブレーキ作動ポジション23Aとブレーキ解除ポジション23Bとを有している。前記ブレーキ作動ポジション23Aは、前記圧送ライン16と駆動キャップ側ライン17とを連通させることにより、前記ポンプ21によって圧送される作動流体を駆動シリンダ51の駆動キャップ側室51cへ導入しつつ、前記駆動ロッド側ライン18と戻しライン19とを連通させることにより、前記駆動シリンダ51の駆動ロッド側室51dの作動流体をタンク15へ排出するポジションである。前記ブレーキ解除ポジション23Bは、前記圧送ライン16と駆動ロッド側ライン18とを連通させることにより、前記ポンプ21によって圧送される作動流体を前記駆動シリンダ51の駆動ロッド側室51dへ導入しつつ、前記駆動キャップ側ライン17と戻しライン19とを連通させることにより、前記駆動シリンダ51の駆動キャップ側室51cの作動流体をタンク15へ排出するポジションである。尚、前記ソレノイドバルブ23は、非常停止時(緊急を要する意図的な電源遮断時)及び停電時にはソレノイドへの通電が停止されてバネ力により機械的に前記ブレーキ作動ポジション23Aに切り換わるようになっている。
【0032】
前記ポンプ21と逆止弁22との間における圧送ライン16途中には、前記タンク15へ通じるリリーフライン26が分岐接続され、該リリーフライン26途中には、前記圧送ライン16における作動流体の圧力が設定圧以上となった際に開いて作動流体をタンク15へ戻すリリーフ弁27が設けられている。
【0033】
前記蓄圧ライン24途中には、該蓄圧ライン24における作動流体の圧力が高位設定圧に達した際に作動する高位圧力スイッチ28Hと、前記蓄圧ライン24における作動流体の圧力が低位設定圧に達した際に作動する低位圧力スイッチ28Lと、常時開(ノーマルオープン)で且つ前記高位圧力スイッチ28Hの作動時に閉となるシャットオフ弁28Vとが設けられている。これにより、前記蓄圧ライン24における作動流体の圧力が前記アキュムレータ25の設定圧に達した際には高位圧力スイッチ28Hが作動して前記ポンプ21のモータ20に対し、図示していない制御装置から停止指令が出力されると共に前記シャットオフ弁28Vが閉じる一方、前記圧力が前記アキュムレータ25の設定圧以下に低下した際には低位圧力スイッチ28Lが作動して前記ポンプ21のモータ20に対し、前記制御装置から駆動指令が出力されると共に前記シャットオフ弁28Vが開くようになっている。
【0034】
尚、前記蓄圧ライン24途中には、メンテナンス時等に前記アキュムレータ25の作動流体をタンク15に抜くためのドレンライン29が接続され、該ドレンライン29には、作業者によって開閉される手動開閉弁30が設けられている。
【0035】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0036】
図2に示す如く、流体圧ユニット14のソレノイドバルブ23をブレーキ作動ポジション23Aに切り換えた状態にすると、圧送ライン16と駆動キャップ側ライン17とが連通することにより、ポンプ21によって圧送される作動流体が駆動シリンダ51の駆動キャップ側室51cへ導入されつつ、駆動ロッド側ライン18と戻しライン19とが連通することにより、前記駆動シリンダ51の駆動ロッド側室51dの作動流体がタンク15へ排出される。これにより、駆動シリンダ51の駆動ピストン51bが突出する方向へ移動し、駆動ピストンロッド51eを介して従動シリンダ52の従動ピストン52bが図2の右方向へ押し込まれ、従動キャップ側室52cの作動流体が押引ライン60を介して制動機構40の流体圧シリンダ13の流体圧シリンダ室13cへ圧入される。前記作動流体が流体圧シリンダ室13cへ圧入されると、流体圧ピストン13bが流体圧シリンダ13から突出する方向へ移動し、ブレーキパッド12がレール4の走行車輪転動面4aに押し付けられて制動が行われる。
【0037】
一方、図2に示す状態から、前記流体圧ユニット14のソレノイドバルブ23をブレーキ解除ポジション23Bに切り換えると、前記圧送ライン16と駆動ロッド側ライン18とが連通することにより、ポンプ21によって圧送される作動流体が駆動シリンダ51の駆動ロッド側室51dへ導入されつつ、前記駆動キャップ側ライン17と戻しライン19とが連通することにより、駆動シリンダ51の駆動キャップ側室51cの作動流体がタンク15へ排出される。これにより、駆動シリンダ51の駆動ピストン51bが引き込まれる方向へ移動し、駆動ピストンロッド51eを介して従動シリンダ52の従動ピストン52bが図2の左方向へスライドし、従動キャップ側室52cの内部が負圧となり、作動流体が押引ライン60を介して制動機構40の流体圧シリンダ13の流体圧シリンダ室13cから従動キャップ側室52cへ吸引される。前記作動流体が流体圧シリンダ室13cから従動キャップ側室52cへ吸引されると、流体圧ピストン13bが流体圧シリンダ13の内部に収縮する方向へ移動し、ブレーキパッド12がレール4の走行車輪転動面4aから離反して制動が解除され、コンテナクレーン1を走行させることが可能となる。
【0038】
ここで、前記従動シリンダ52の従動ピストン52bの従動キャップ側室52cにおける受圧面積Aは、前記駆動シリンダ51の駆動ピストン51bの駆動キャップ側室51cにおける受圧面積Aより大きく設定してある。このように構成すると、駆動キャップ側室51cの圧力をP、駆動ピストンロッド51eに作用する荷重をF、従動キャップ側室52cの圧力をPとした場合、
F=P×A
=P×A
となって、
=P×A/A
となる。このため、
<P
となり、特に従動キャップ側室52cを負圧にする際、圧力の急激な低下が抑えられ、キャビテーションの発生を防止することが可能となる。
【0039】
又、前記蓄圧ライン24における作動流体の圧力が前記アキュムレータ25の高位設定圧に達した際には高位圧力スイッチ28Hが作動して、前記ポンプ21のモータ20に対し、図示していない制御装置から停止指令が出力されると共にシャットオフ弁28Vが閉じる。一方、前記圧力が前記アキュムレータ25の低位設定圧以下に低下した際には低位圧力スイッチ28Lが作動して、前記ポンプ21のモータ20に対し、前記制御装置から駆動指令が出力されると共に前記シャットオフ弁28Vが開く。これにより、前記アキュムレータ25は常時、高位設定圧と低位設定圧との間の圧力に蓄圧される。しかも、前記ソレノイドバルブ23は、非常停止時及び停電時にはソレノイドへの通電が停止されてバネ力により機械的に前記ブレーキ作動ポジション23Aに切り換わるようになっている。又、前記シャットオフ弁28Vは、常時開(ノーマルオープン)であって非常停止時及び停電時には開いている。このため、非常停止時及び停電時には、前記アキュムレータ25に蓄圧された作動流体が蓄圧ライン24から駆動キャップ側ライン17を介し前記駆動シリンダ51の駆動キャップ側室51cへ導かれて駆動ピストン51bが突出する方向へ移動し、駆動ピストンロッド51eを介して従動シリンダ52の従動ピストン52bが図2の右方向へ押し込まれ、従動キャップ側室52cの作動流体が押引ライン60を介して制動機構40の流体圧シリンダ13の流体圧シリンダ室13cへ圧入される。前記作動流体が流体圧シリンダ室13cへ圧入されると、流体圧ピストン13bが流体圧シリンダ13から突出する方向へ移動し、前記ブレーキパッド12がレール4の走行車輪転動面4aに押し付けられる。この結果、非常停止時及び停電時にたとえポンプ21が停止したとしても、ブレーキを作動させることが可能となる。
【0040】
これにより、本実施例の場合、特許文献2に開示された制動装置とは異なり、一つの油室として流体圧シリンダ室13cを有した流体圧シリンダ13を採用できるため、薄型化が可能となって、下側イコライザビームとしての下部イコライザビーム9cの下部に制動機構40の流体圧シリンダ13を設けることができる。
【0041】
又、前記流体圧シリンダ室13cを有した流体圧シリンダ13の場合、油圧配管も一系統の押引ライン60を接続するだけで済む。
【0042】
こうして、薄型化を図り且つ接続配管系統の削減を図って設置の自由度を高めることができる。
【0043】
尚、本発明の流体圧アクチュエータ及び該流体圧アクチュエータを備えた軌道走行式機械の制動装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、被作動部材はブレーキパッドに限らず、押し引きによって開閉されるゲートであっても良いこと等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 コンテナクレーン(軌道走行式機械)
4 レール
4a 走行車輪転動面
6 支持脚
7 走行車輪
8 走行装置
9A イコライザ装置
9B イコライザ装置
9a 上部イコライザビーム(上側イコライザビーム)
9b 中間部イコライザビーム(下側イコライザビーム(上側イコライザビーム))
9c 下部イコライザビーム(下側イコライザビーム)
10a ロッカーピン
10b ロッカーピン
10c ロッカーピン
12 ブレーキパッド(被作動部材)
13 流体圧シリンダ
13a 流体圧シリンダ本体
13b 流体圧ピストン
13c 流体圧シリンダ室
14 流体圧ユニット
50 正圧・負圧発生機構
51 駆動シリンダ
51a 駆動シリンダ本体
51b 駆動ピストン
51c 駆動キャップ側室
51d 駆動ロッド側室
51e 駆動ピストンロッド
52 従動シリンダ
52a 従動シリンダ本体
52b 従動ピストン
52c 従動キャップ側室
図1
図2
図3