特許第6976118号(P6976118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976118
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   F24H1/00 602Z
   F24H1/00 602G
   F24H1/00 602Y
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-184342(P2017-184342)
(22)【出願日】2017年9月26日
(65)【公開番号】特開2019-60520(P2019-60520A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎一
(72)【発明者】
【氏名】豊島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 啓輔
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−063081(JP,A)
【文献】 特開平05−288401(JP,A)
【文献】 特開2007−024461(JP,A)
【文献】 特開平10−153343(JP,A)
【文献】 特開平08−233369(JP,A)
【文献】 特開2013−238374(JP,A)
【文献】 特開昭63−302250(JP,A)
【文献】 特開平04−222346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部が第1の接続部を介して浴槽に接続されている第1の配管と、
一方の端部が第2の接続部を介して前記浴槽に接続されている第2の配管と、
一方の端部が前記浴槽に湯水を供給する給湯ユニットに接続されている第3の配管と、
前記第1の配管及び前記第2の配管のいずれか一方に設けられている第1の詰り検知手段と、
前記第1の配管及び前記第2の配管のいずれか一方に設けられている加熱手段と、
前記第3の配管に設けられている第2の詰り検知手段と、
制御部とを備え、
前記第1の配管の他方の端部と前記第2の配管の他方の端部は接続され、
前記第3の配管の他方の端部は、前記第1の配管と前記第2の配管の接続部分に接続され、
前記第1の配管を浴槽往き配管とし、前記第2の配管を浴槽戻り配管とする、前記浴槽内の湯水を循環させる循環回路が形成され、
前記第1の配管と前記第2の配管と前記第3の配管により、前記浴槽へ湯水を供給する給湯回路が形成されており、
前記制御部は、
前記第1の詰り検知手段の検知結果と、前記第2の詰り検知手段の検知結果とに基づいて、前記第1の配管、前記第2の配管、及び前記第3の配管における詰りの発生を判定する判定手段を有し、
前記判定手段で前記第1の配管及び前記第2の配管の少なくとも一方において詰りが発生していると判定した場合、前記循環回路を使用する運転の代わりに前記給湯回路を使用する代替運転を決定し、前記判定手段で前記第3の配管に詰りが発生していると判定した場合、前記給湯回路を使用する運転の代わりに前記循環回路を使用する代替運転を決定する代替運転決定手段を有する給湯システム。
【請求項2】
前記第1の詰り検知手段は流量センサであり、
前記判定手段は、
前記循環回路において湯水の循環を実行する循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知流量が第1流量閾値よりも低下し、かつ前記給湯回路において湯水の給湯を実行する給湯運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知流量が前記第1流量閾値よりも低下しているとき、前記第1の配管のみで詰りが発生しているか又は前記第1の配管及び前記第2の配管の双方で詰りが発生していると判定し、
前記循環運転のとき前記第1の詰り検知手段の検知流量が前記第1流量閾値よりも低下し、かつ前記給湯運転のとき前記第1の詰り検知手段の検知流量が前記第1流量閾値よりも低下していないとき、前記第2の配管のみで詰りが発生していると判定する請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記第1の詰り検知手段は圧力センサであり、
前記判定手段は、
前記循環回路において湯水の循環を実行する循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知圧力が第1圧力閾値よりも低下し、かつ前記給湯回路において湯水の給湯を実行する給湯運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知圧力が前記第1圧力閾値よりも上昇しているとき、前記第1の配管のみで詰りが発生していると判定し、
前記循環運転のとき前記第1の詰り検知手段の検知圧力が前記第1圧力閾値よりも上昇し、かつ前記給湯回路において湯水の給湯を実行する給湯運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知圧力が前記第1圧力閾値よりも上昇もせず低下もしていないとき、前記第2の配管のみで詰りが発生していると判定し、
前記循環運転のとき前記第1の詰り検知手段の検知圧力が前記第1圧力閾値よりも上昇しておらず、かつ前記給湯回路において湯水の給湯を実行する給湯運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知圧力が前記第1圧力閾値より上昇しているとき、前記第1の配管及び前記第2の配管の双方で詰りが発生していると判定する請求項1に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記第1の詰り検知手段は温度センサであり、
前記判定手段は、
前記循環回路において湯水の循環を実行する循環運転のとき、及び前記給湯回路において湯水の給湯を実行する給湯運転のとき、前記第1の詰り検知手段の検知時間が第1経過時間閾値よりも長時間化している場合、前記第1の配管のみで詰りが発生しているか又は前記第1の配管及び前記第2の配管の双方で詰りが発生していると判定し、
前記第1の詰り検知手段の検知時間が、前記循環運転のときは前記第1経過時間閾値よりも長時間化するが、前記給湯運転のときは前記第1経過時間閾値よりも長時間化していない場合、前記第2の配管のみで詰りが発生していると判定する請求項1に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記第2の詰り検知手段は流量センサであり、
前記判定手段は、
前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知流量が律速している場合、前記第1の配管のみで詰りが発生していると判定する請求項2〜4のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項6】
前記第2の詰り検知手段は流量センサであり、
前記判定手段は、
前記循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知流量が前記第1流量閾値よりも低下しており、かつ、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知流量が第2流量閾値よりも低下している場合、前記第1の配管及び前記第2の配管の双方で詰りが発生していると判定し、
前記循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知流量が前記第1流量閾値よりも低下しておらず、かつ、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知流量が第2流量閾値よりも低下している場合、前記第3の配管で詰りが発生していると判定する請求項2に記載の給湯システム。
【請求項7】
前記第2の詰り検知手段は圧力センサであり、
前記判定手段は、
前記循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知流量が前記第1流量閾値よりも低下しておらず、かつ、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知圧力が第2圧力閾値よりも上昇している場合、前記第3の配管に詰りが発生していると判定し、前記循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知流量が前記第1流量閾値よりも低下しており、かつ、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知圧力が前記第2圧力閾値よりも上昇している場合、前記第1の配管及び前記第2の配管の双方で詰りが発生していると判定する請求項2に記載の給湯システム。
【請求項8】
前記第2の詰り検知手段は温度センサであり、
前記判定手段は、
前記循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知流量が前記第1流量閾値よりも低下しておらず、かつ、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知時間が第2経過時間閾値よりも長時間化している場合、前記第3の配管に詰りが発生していると判定し、前記循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知流量が前記第1流量閾値よりも低下しており、かつ、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知時間が前記第2経過時間閾値よりも長時間化している場合、前記第1の配管及び前記第2の配管の双方で詰りが発生していると判定する請求項2に記載の給湯システム。
【請求項9】
前記第2の詰り検知手段は温度センサであり、
前記判定手段は、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知時間が第2経過時間閾値よりも長時間化していない場合、前記第1の配管のみで詰りが発生していると判定する請求項2〜4のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項10】
前記第2の詰り検知手段は流量センサであり、
前記判定手段は、
前記循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知時間が前記第1経過時間閾値よりも長時間化しておらず、かつ、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知流量が第2流量閾値よりも低下している場合、前記第3の配管の詰りが発生していると判定し、前記循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知時間が前記第1経過時間閾値よりも長時間化しており、かつ、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知流量が前記第2流量閾値よりも低下している場合、前記第1の配管及び前記第2の配管の双方で詰りが発生していると判定する請求項4に記載の給湯システム。
【請求項11】
前記第2の詰り検知手段は圧力センサであり、
前記判定手段は、
前記循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知時間が前記第1経過時間閾値よりも長時間化しておらず、かつ、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知圧力が第2圧力閾値よりも上昇している場合、前記第3の配管の詰りが発生していると判定し、前記循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知時間が前記第1経過時間閾値よりも長時間化しており、かつ、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知圧力が前記第2圧力閾値よりも上昇している場合、前記第1の配管及び前記第2の配管の双方で詰りが発生していると判定する請求項4に記載の給湯システム。
【請求項12】
前記第2の詰り検知手段は温度センサであり、
前記判定手段は、
前記循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知時間が前記第1経過時間閾値よりも長時間化しておらず、かつ、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知時間が第2経過時間閾値よりも長時間化している場合、前記第3の配管に詰りが発生していると判定し、
前記循環運転のときの前記第1の詰り検知手段の検知時間が前記第1経過時間閾値よりも長時間化しており、かつ、前記給湯運転のときの前記第2の詰り検知手段の検知時間が前記第2経過時間閾値よりも長時間化している場合、前記第1の配管及び前記第2の配管の双方で詰りが発生していると判定する請求項4に記載の給湯システム。
【請求項13】
前記判定手段は、前記第1の詰り検知手段の検知結果が前記第1の配管及び前記第2の配管において詰りが発生していないことを示し、前記第2の詰り検知手段の検知結果が前記第3の配管において詰りが発生していることを示している場合、前記給湯回路における詰りが発生していると判定する請求項1に記載の給湯システム。
【請求項14】
さらに、前記判定手段で判定された詰りの発生の位置を表示する表示手段を備えている請求項1〜13のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項15】
前記表示手段により、前記代替運転決定手段で決定された代替運転の内容が表示される請求項14に記載の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に湯水を供給する給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅用の浴槽に湯水を供給する給湯システムテムは高機能化が進んでおり、浴槽に適切な量の湯水を張る湯張りの自動化、及びユーザが設定した温度まで浴槽内の湯水の温度を上げる追い焚きが可能となっている。
【0003】
一方、浴槽回りの配管は複雑化しており、湯量の調整弁及び配管には詰りが発生する可能性が高くなっている。このような詰りを検知するため、配管内を流れる流体の圧力から流量を検知するフロースイッチと呼ばれるセンサが用いられている。また、原価低減を目的として、フロースイッチを他のセンサで代替する方法も提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3145900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、閉回路における配管の詰りは検知できるが、浴槽のように解放された回路に接続されている場合、送水ポンプの上流及び下流における配管の詰りを検知することはできない。すなわち、特許文献1のシステムでは、流量の低下が起きても配管の詰りを検知できない場合が生じることが懸念される。
【0006】
本発明は、上述のような課題を背景としてなされたものであり、流量低下の原因となっている詰りが発生している配管を特定可能な給湯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る給湯システムは、一方の端部が第1の接続部を介して浴槽に接続されている第1の配管と、一方の端部が第2の接続部を介して前記浴槽に接続されている第2の配管と、一方の端部が前記浴槽に湯水を供給する給湯ユニットに接続されている第3の配管と、前記第1の配管及び前記第2の配管のいずれか一方に設けられている第1の詰り検知手段と、前記第1の配管及び前記第2の配管のいずれか一方に設けられている加熱手段と、前記第3の配管に設けられている第2の詰り検知手段と、制御部とを備え、前記第1の配管の他方の端部と前記第2の配管の他方の端部は接続され、前記第3の配管の他方の端部は、前記第1の配管と前記第2の配管の接続部分に接続され、前記第1の配管を浴槽往き配管とし、前記第2の配管を浴槽戻り配管とする、前記浴槽内の湯水を循環させる循環回路が形成され、前記第1の配管と前記第2の配管と前記第3の配管により、前記浴槽へ湯水を供給する給湯回路が形成されており、前記制御部は、前記第1の詰り検知手段の検知結果と、前記第2の詰り検知手段の検知結果とに基づいて、前記第1の配管、前記第2の配管、及び前記第3の配管における詰りの発生を判定する判定手段を有し、前記判定手段で前記第1の配管及び前記第2の配管の少なくとも一方において詰りが発生していると判定した場合、前記循環回路を使用する運転の代わりに前記給湯回路を使用する代替運転を決定し、前記判定手段で前記第3の配管に詰りが発生していると判定した場合、前記給湯回路を使用する運転の代わりに前記循環回路を使用する代替運転を決定する代替運転決定手段を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、循環回路若しくは給湯回路において湯水の流量の低下が発生した場合、第1の配管、第2の配管、及び第3の配管のどの配管で詰りが発生しているか判定することができ、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る給湯システムの回路構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る給湯システムの循環運転時の流体循環図である。
図3】本発明の実施の形態に係る給湯システムの給湯運転時の流体循環図である。
図4】流量センサを使用した場合の詰りの度合いと流量センサにより検知される値との関係を示すグラフである。
図5】圧力センサを使用した場合の詰りの度合いと圧力センサにより検知される値との関係を示すグラフである。
図6】温度センサを使用した場合の詰りの度合いと温度センサが通過流体の温度を検知するまでの時間変動との関係を示すグラフである。
図7】本発明の実施の形態に係る給湯システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の給湯システムの好適な実施の形態について図面を用いて説明する。尚、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面における各構成部材の大きさ及び形状は、説明のためにわかりやすく表しており、実際の大きさ及び形状と異なる場合がある。
【0011】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る給湯システムの回路構成図である。給湯システム1000は、制御部300と、リモートコントローラ310とを有している。また、給湯システム1000は、第1の配管21と、第2の配管22と、第3の配管23とを有している。浴槽10は、第1の接続部11と第2の接続部12とを有している。第1の配管21の一方の端部は、第1の接続部11を介して浴槽10に接続されている。第2の配管22の一方の端部は、第2の接続部12を介して浴槽10に接続されている。第3の配管23の一方の端部は、給湯ユニット400に接続されている。第1の配管21の他方の端部と第2の配管22の他方の端部は接続されている。第3の配管23の他方の端部は、第1の配管21と第2の配管22の接続部分に接続されている。すなわち、第3の配管23の他方の端部は、第1の配管21と第2の配管22に分岐している。
【0012】
制御部300は、給湯システム1000を全体的に制御するマイクロコンピュータである。リモートコントローラ310は、ユーザーの指示を制御部300に伝えるものであり、制御部300と無線通信若しくは有線通信を介して接続されている。リモートコントローラ310には、表示パネル311と操作部312が設けられている。リモートコントローラ310は、本発明の表示手段である。ユーザーは操作部312を介して各種操作を行う。各種操作には、後述する各種運転の指示及び湯水の温度設定が含まれる。表示パネル311には、制御部300の制御に基づいて諸情報が表示される。表示パネル311に表示される情報については後述する。給湯ユニット400は、図示省略の貯湯タンク、給湯用加熱手段、及び公営水道から水を供給する給水装置を有している。
【0013】
第1の配管21には、循環用送水手段31と、第1の詰り検知手段1と、加熱手段40が設けられている。第1の配管21と第2の配管22とで循環回路100が形成されている。循環回路100において、循環用送水手段31の上流側は第1の配管21により第1の接続部11に接続され、下流側は第1の配管21により第1の詰り検知手段1が接続されている。また、第1の詰り検知手段1の下流には第1の配管21により加熱手段40が接続され、加熱手段40の下流側は第1の配管21及び第2の配管22により第2の接続部12に接続されている。
【0014】
第3の配管23には、弁50と、第2の詰り検知手段2と、給湯用送水手段32が設けられている。給湯ユニット400、第1の配管21、第2の配管22、及び第3の配管23で給湯回路200が形成されている。給湯回路200において、給湯ユニット400の下流に給湯用送水手段32が接続され、給湯用送水手段32の下流に第2の詰り検知手段2が接続され、第2の詰り検知手段2の下流に弁50が接続されている。給湯ユニット400、給湯用送水手段32、第2の詰り検知手段2、及び弁50は第3の配管23を介して接続されている。弁50の下流において、第3の配管23は第1の配管21と第2の配管22の接続部分に接続されている。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態に係る給湯システムの循環運転時の流体循環図である。図2を用いて、循環回路100による運転動作を説明する。循環用送水手段31が駆動されると、浴槽10内の湯水は、第1の接続部11を介して第1の配管21へ流れ出し、循環用送水手段31、第1の詰り検知手段1、及び加熱手段40を経て第2の配管22へ流れる。第2の配管22へ流れた湯水は、第2の接続部12を介して浴槽10へ戻る。すなわち、循環回路100において、第1の接続部11は循環入口であり、第1の配管21は浴槽往き配管であり、第2の配管22は浴槽戻り配管であり、第2の接続部12は循環出口である。
【0016】
循環回路100を使った循環運転には、配管洗浄と追い焚きがある。配管洗浄及び追い焚きの動作中、循環用送水手段31は運転し、給湯用送水手段32は停止し、弁50は閉じている。配管洗浄の場合は、循環用送水手段31の回転数を制御して循環回路100を循環する湯水の流速を調整し、循環回路100を構成する上述の各要素を接続している配管内の付着物を剥離させる。追い焚きの場合は、加熱手段40を作動させ、循環回路100を循環する湯水を加熱し、第2の接続部12の出水温度を上昇させて浴槽10内の湯水の温度を上昇させる。
【0017】
本実施の形態において、加熱手段40は循環回路100を流れる湯水を加熱できるものであればよい。加熱手段40として、給湯ユニット400の貯湯タンクの高温部と熱交換する熱交換器若しくはヒーターを設置してもよい。
【0018】
図3は、実施の形態に係る給湯システムの給湯運転時の流体循環図である。図3を用いて、給湯回路200による運転動作を説明する。ユーザーの指示に従って、若しくはユーザーにより設定されたスケジュールに従って、給湯用送水手段32が駆動されると、給湯ユニット400から供給される湯水は、第3の配管23へ流れ出す。第3の配管23へ流れ出た湯水は、第2の詰り検知手段2と弁50を経て、第1の配管21及び第2の配管22へ導かれる。第1の配管21へ導かれた湯水は第1の接続部11を介して浴槽10へ供給される。第2の配管22へ導かれた湯水は第2の接続部12を介して浴槽10へ供給される。すなわち、給湯ユニット400から供給される湯水が浴槽10に供給される経路として、第1の配管21を介する第1の給湯経路201と、第2の配管22を介する第2の給湯経路202が形成されている。これにより、設定温度に調整された湯水が給湯ユニット400から浴槽10に供給される。
【0019】
給湯回路200を使った運転動作には、湯張り運転と差し湯運転がある。湯張り運転とは、空の状態の浴槽10に湯水を供給し、入浴に必要な量の湯で浴槽10を満たす運転である。差し湯運転とは、既に湯水が貯留されている浴槽10に温水をさらに供給する運転である。湯張り運転及び差し湯運転の動作中、循環用送水手段31は停止し、給湯用送水手段32は運転し、弁50は開いている。
【0020】
給湯用送水手段32は浴槽10に目的の温度の湯水を供給できるものであればよい。給湯用送水手段32はポンプでもよく、また、公営水道から供給される水の水道圧を利用して送水するものでもよい。
【0021】
本明細書では、循環用送水手段31の上流で発生する第1の配管21の詰りを一次詰りといい、循環用送水手段31の下流で発生する第2の配管22の詰りを二次詰りという。また、第1の接続部11及び第2の接続部12の双方において湯水の流量の低下を招く配管の詰りを両詰りという。両詰りの態様は2つある。第1の態様は、循環用送水手段31の上流及び下流の両方で発生する、第1の配管21及び第2の配管22の双方で発生する詰りである。第2の態様は、第1の給湯経路201と第2の給湯経路202の分岐点の上流、すなわち第1の配管21と第2の配管22の接続部分の上流で発生する、第3の配管23の詰りである。例えば、図1〜3において、符号Aで示す位置のみで詰りが発生した場合は一次詰りであり、符号Bで示す位置のみで詰りが発生した場合は二次次詰りである。符号Aで示す位置及び符号Bで示す位置の双方で詰りが発生した場合は、上述の第1の態様の両詰りである。符号Cで示す位置で詰りが発生した場合は、上述の第2の態様の両詰りである。尚、図1図3において符号A、符号B、及び符号Cで示す位置は一例である。
【0022】
循環回路100の第1の詰り検知手段1は、一次詰り及び二次詰りをセンサによって検知する。本実施の形態において第1の詰り検知手段1のセンサは、流量センサ、圧力センサ、若しくは温度センサである。以降の説明においては、第1の詰り検知手段1のセンサを流量センサ1A、圧力センサ1B、及び温度センサ1Cとして説明する。給湯回路200の第2の詰り検知手段2は、両詰りをセンサによって検知する。本実施の形態において第2の詰り検知手段2のセンサは、流量センサ、圧力センサ、若しくは温度センサである。以降の説明においては、第2の詰り検知手段2のセンサを流量センサ2A、圧力センサ2B、及び温度センサ2Cとして説明する。第2の詰り検知手段2は、上述の第1の給湯経路201と第2の給湯経路202の分岐点よりも上流に設置されている。
【0023】
尚、図1図3において、第1の詰り検知手段1は循環用送水手段31の下流に配置されているがこれに限るものではない。第1の詰り検知手段1を循環用送水手段31の上流に配置してもよい。また、第1の詰り検知手段1は第1の配管21に設けられているがこれに限るものではない。第1の詰り検知手段1を第2の配管22に設けてもよい。また、加熱手段40は第1の配管21に設けられているがこれに限るものではない。加熱手段40を第2の配管22に設けてもよい。
【0024】
ここで、第1の詰り検知手段1及び第2の詰り検知手段2に上述の各センサを用いた場合の詰りの検知方法について説明する。以降の説明においては、第1の詰り検知手段1は循環用送水手段31の下流、かつ加熱手段40の上流に設置されているものとする。図4は、流量センサを使用した場合の詰りの度合いと流量センサにより検知される値との関係を示すグラフである。図4(a)〜図4(f)は、詰りが発生した場合の流量センサ1Aの検知流量の値の変動を示すグラフであり、縦軸に流量センサ1Aの検知流量をとり、横軸に詰りの度合いをとっている。図4(a)〜図4(c)は、循環回路100を使った循環運転時の詰りの度合いと検知流量との関係を示している。図4(d)〜図4(f)は、給湯回路200を使った湯張り運転時の詰りの度合いと検知流量との関係を示している。
【0025】
循環運転時、一次詰りが、図2の符号Aで示す位置で発生すると、循環回路100において循環する湯水の流量は低下する。従って、図4(a)に示すように、詰り度合いが進み、圧力損失が増加するにつれて、流量センサ1Aにより検知される流量は低下する。詰り度合いが進んで配管が完全閉塞すると、流量センサ1Aの検知流量はゼロとなる。同様に、循環運転時、二次詰りが、図2の符号Bで示す位置で発生する場合も、図4(b)に示すように、詰り度合いが進み、圧力損失が増加するにつれて流量センサ1Aにより検知される流量は低下する。そして、詰り度合いが進んで配管が完全閉塞すると、流量センサ1Aの検知流量はゼロとなる。循環運転時、図2の符号A及び符号Bの位置で一次詰りと二次詰りが発生し、上述の第1の態様の両詰りが発生する場合も、図4(c)に示すように、詰り度合いが進み、圧力損失が増加するにつれて流量センサ1Aにより検知される流量は低下する。そして、詰り度合いが進んで配管が完全閉塞すると、流量センサ1Aの検知流量はゼロとなる。
【0026】
湯張り運転時、一次詰りが、第1の給湯経路201において図3の符号Aで示す位置で発生すると、図4(d)に示すように、詰り度合いが進み、圧力損失が増加するにつれて、流量センサ1Aにより検知される流量は低下する。そして、詰り度合いが進んで配管が完全閉塞すると、流量センサ1Aの検知流量はゼロとなる。図4(f)は、湯張り運転時、図3の符号Aの位置で一次詰りが発生し、図3の符号Bの位置で二次詰りが発生し、第1の態様の両詰りが発生した場合の、詰り度合いと流量センサ1Aの検知流量の関係を示している。両詰りの場合も、図4(f)に示すように、詰り度合いが進み、圧力損失が増加するにつれて、流量センサ1Aにより検知される流量は低下する。そして、詰り度合いが進んで配管が完全閉塞すると、流量センサ1Aの検知流量はゼロとなる。これに対し、湯張り運転時、二次詰りが、図3の符号Bで示す位置で発生すると、図4(e)に示すように、詰り度合いが進んでも、流量センサ1Aにより検知される流量は変化しないか、若しくは増加する。これは、二次詰りによって第2の給湯経路202を通って第2の接続部12から供給される湯の流量は低下するが、第1の給湯経路201では詰りが発生していないため、第1の接続部11の圧力損失は変化しないからである。
【0027】
図5は、圧力センサを使用した場合の詰りの度合いと圧力センサにより検知される圧力値との関係を示すグラフである。図5(a)〜図5(f)は、縦軸に圧力センサ1Bが検知する圧力をとり、横軸に詰りの度合いをとっている。図5(a)〜図5(c)は、循環回路100を使った循環運転時の詰りの度合いと検知圧力との関係を示している。図5(d)〜図5(f)は、給湯回路200を使った湯張り運転時の詰りの度合いと検知圧力との関係を示している。
【0028】
循環運転時、一次詰りが図2の符号Aで示す位置で発生すると、循環用送水手段31へ流入する前の圧力損失は大きくなる。従って、図5(a)に示すように、詰り度合いが進み、圧力損失が増加するにつれて、圧力センサ1Bにより検知される圧力は低下する。循環運転時、二次詰りが図2の符号Bで示す位置で発生すると、湯水が圧力センサ1Bが配置された領域を通過した後に、大きな圧力損失が発生する。従って、図5(b)に示すように、詰り度合いが進むにつれ、圧力センサ1Bにより検知される圧力は大きくなる。循環運転時、図2の符号A及び符号Bの位置でそれぞれ一次詰りと二次詰りが発生し、第1の態様の両詰りが発生する場合、一次詰りと二次詰りの圧力損失の影響が相殺される。従って、図5(c)に示すように、詰り度合いが進んでも、圧力センサ1Bにより検知される圧力は大きく変化することはない。
【0029】
湯張り運転時、一次詰りが、図3の符号Aで示す位置で発生すると、図5(d)に示すように、詰り度合いが進み、圧力損失が増加するにつれて、圧力センサ1Bにより検知される圧力は増加する。図5(f)は、湯張り運転時、図3の符号Aの位置で一次詰りが発生し、図3の符号Bの位置で二次次詰りが発生し、第1の態様の両詰りが発生した場合の、詰り度合いと圧力センサ1Bの検知圧力の関係を示している。第1の態様の両詰りの場合も、図5(f)に示すように、詰り度合いが進み、圧力損失が増加するにつれて、圧力センサ1Bにより検知される圧力は増加する。これに対し、湯張り運転時、二次詰りが、図3の符号Bで示す位置で発生すると、図5(e)に示すように、詰り度合いが進んでも、圧力センサ1Bにより検知される圧力は変化しないか、若しくは増加する。これは、二次詰りによって第2の給湯経路202を通って第2の接続部12から供給される湯の流量は低下するが、第1の給湯経路201では詰りが発生していないため、第1の接続部11の圧力損失は変化しないからである。
【0030】
図6は、温度センサを使用した場合の詰りの度合いと温度センサが通過流体の温度を検知するまでの時間変動との関係を示すグラフである。温度センサが通過流体の温度を検知するまでの時間とは、すなわち、温度センサのセンサ素子の周辺温度が、通過流体と同等温度になるまでの時間である。図6(a)〜図6(f)は、縦軸に温度センサ1Cによる上述の検知時間をとり、横軸に詰りの度合いをとっている。図6(a)〜図6(c)は、循環回路100を使った循環運転時の詰りの度合いと検知時間との関係を示している。図6(d)〜図6(f)は、給湯回路200を使った湯張り運転時の詰りの度合いと検知時間との関係を示している。
【0031】
温度センサ1Cは、配管を介して湯水の温度を検知する。従って、配管を流れる湯水の温度を検知するまでの時間は、湯水の通過速度が高速の場合は短時間となり、湯水の通過速度が低速の場合は長時間となる。
【0032】
循環運転時、一次詰りが、図2の符号Aで示す位置で発生すると、循環回路100において循環する湯水の流量は低下する。従って、図6(a)に示すように、詰り度合いが進み、湯水の流量は低下するにつれて、温度センサ1Cにより温度が検知されるまでの時間は長時間化する。同様に、循環運転時、二次詰りが、図2の符号Bで示す位置で発生する場合も、図6(b)に示すように、詰り度合いが進み、湯水の流量は低下するにつれて、温度センサ1Cにより温度が検知されるまでの時間は長時間化する。循環運転時、図2において符号A及び符号Bの位置で一次詰りと二次詰りが発生し、第1の態様の両詰りが発生する場合も、図6(c)に示すように、湯水の流量は低下するにつれて、温度センサ1Cにより温度が検知されるまでの時間は長時間化する。
【0033】
湯張り運転時、一次詰りが、図3の符号Aで示す位置で発生すると、図6(d)に示すように、詰り度合いが進み、湯水の流量は低下するにつれて、温度センサ1Cにより温度が検知されるまでの時間は長時間化する。図6(f)は、湯張り運転時、図3の符号Aの位置で一次詰りが発生し、図3の符号Bの位置で二次次詰りが発生し、第1の態様の両詰りが発生した場合の、詰り度合いと温度センサ1Cの検知時間の関係を示している。第1の態様の両詰りの場合も、図6(f)に示すように、詰り度合いが進み、湯水の流量が低下するにつれて、温度センサ1Cにより温度が検知されるまでの時間は長時間化する。これに対し、湯張り運転時、二次詰りが、図3の符号Bで示す位置で発生すると、図6(e)に示すように、詰り度合いが進んでも、温度センサ1Cによる検知時間は変化しないか、若しくは増加する。これは、二次詰りによって第2の給湯経路202を通って供給される湯の流量は低下するが、第1の給湯経路201では詰りが発生していないため、湯の流量は低下しないからである。
【0034】
次に、一次詰り、二次詰り、及び第1の態様の両詰りが発生したときの、給湯回路200に設けられている第2の詰り検知手段2の検知値について説明する。循環運転時、第2の詰り検知手段2には湯水の流れが発生しない。従って、第2の詰り検知手段2に、流量センサ2A、圧力センサ2B、及び温度センサ2Cのいずれを使用しても、検知される値は変動しない。
【0035】
湯張り運転時、配管に一次詰り、二次詰り、及び第1の態様の両詰りのいずれが発生しても、詰り度合いが進行するにつれ、給湯回路200における湯水の流量は低下する。しかしながら、一次詰り発生時と、二次詰り発生時と、第1の態様の両詰り発生時とでは、流量の低下量が異なる。一次詰りが図3の符号Aで示す位置で発生した場合、詰りが発生していない第2の給湯経路202が接続されている第2の接続部12からの給湯量は低下しない。同様に、二次詰りが図3の符号Bで示す位置で発生した場合、詰りが発生していない第1の給湯経路201が接続されている第1の接続部11からの給湯量は低下しない。従って、一次詰り若しくは二次詰りが発生している場合、給湯の低下量は律速する。すなわち、詰り度合いが進行しても、給湯の低下量はある一定量に保持される。一方、湯張り運転時、図3の符号Aの位置で一次詰りが発生し、かつ図3の符号Bの位置で二次次詰りが発生し、第1の態様の両詰りが発生した場合、第1の給湯経路201及び第2の給湯経路202の圧力損失は増加する。従って、第1の態様の両詰り発生時においては、一次詰り発生時及び二次詰り発生時と比較して大きな流量低下が発生する。その結果、両詰り発生時、流量センサ2Aによれば大きな流量低下が検知され、圧力センサ2Bによれば圧力上昇が検知され、温度センサ2Cによれば検知時間が長時間化する。
【0036】
図7は、本発明の実施の形態に係る給湯システムのブロック図である。制御部300は、判定手段301と、代替運転決定手段302と、運転指示手段303とを有している。第1の詰り検知手段1の検知結果及び第2の詰り検知手段2の検知結果は、制御部300に入力される。制御部300では、第1の詰り検知手段1の検知結果及び第2の詰り検知手段2の検知結果に基づいて、判定手段301は給湯システム1000における配管の詰り位置を判定する。配管の詰り位置のデータは判定手段301から代替運転決定手段302へ入力される。代替運転決定手段302では、ユーザーが所望している運転を実行する回路、すなわち循環回路100若しくは給湯回路200を形成している配管において詰りが発生している場合、詰りが発生していない配管を形成している回路を使用する運転を決定する。すなわち、判定手段301で第1の配管21及び第2の配管22の少なくとも一方において詰りが発生していると判定した場合、代替運転決定手段302は、循環回路100を使用する運転の代わりに給湯回路200を使用する代替運転を決定する。また、判定手段301で第3の配管23に詰りが発生していると判定した場合、代替運転決定手段302は、給湯回路200を使用する運転の代わりに循環回路100を使用する代替運転を決定する。配管の詰り位置が判定され、代替運転が決定されたら、制御部300からリモートコントローラ310に、詰り位置を示すデータが送信される。リモートコントローラ310では、制御部300からのデータに基づいて、表示パネル311に配管の詰り位置及び代替運転の内容が示される。
【0037】
流量センサ1A及び流量センサ2Aを用いて詰り位置を判定する場合について説明する。流量センサ1Aの検知流量が、循環運転時においても湯張り運転時においても第1流量閾値よりも低下しているとき、制御部300の判定手段301は、一次詰り若しくは第1の態様の両詰りのいずれかが発生していると判定する。この状態で、湯張り運転時の流量センサ2Aの検知流量の低下量が律速しているとき、判定手段301は一次詰りが発生していると判定する。反対に、湯張り運転時の流量センサ2Aの検知流量が第2流量閾値よりも大きく低下しているとき、判定手段301は第1の態様の両詰りが発生していると判定する。流量センサ1Aの検知流量が、循環運転時において第1流量閾値よりも低下し、かつ湯張り運転時において、第1流量閾値よりも低下していない場合、判定手段301は、二次詰り発生していると判定する。循環運転時における流量センサ1Aの検知流量が第1流量閾値よりも低下しておらず、かつ、湯張り運転時における流量センサ2Aの検知流量が第2流量閾値よりも低下している場合、判定手段301は、第2の態様の両詰りが発生していると判定する。
【0038】
圧力センサ1B及び圧力センサ2Bを用いて詰り位置を判定する場合について説明する。圧力センサ1Bの検知圧力が、循環運転時において第1圧力閾値よりも低下し、かつ湯張り運転時において第1圧力閾値よりも上昇している場合、判定手段301は、一次詰りが発生していると判定する。圧力センサ1Bの検知圧力が、循環運転時においては第1圧力閾値よりも上昇し、かつ湯張り運転時において第1圧力閾値よりも上昇もせず低下もしていない場合、判定手段301は、二次詰りが発生していると判定する。
【0039】
温度センサ1C及び温度センサ2Cを用いて詰り位置を判定する場合について説明する。循環運転時においても湯張り運転時においても、温度センサ1Cの検知時間が第1経過時間閾値よりも長時間化している場合、判定手段301は、一次詰り若しくは第1の態様の両詰りのいずれかが発生していると判定する。この状態で、判定手段301は、湯張り運転時の温度センサ2Cの検知時間が第2経過時間閾値よりも長時間化していない場合、一次詰りが発生していると判定する。反対に、湯張り運転時の温度センサ2Cの検知時間が第2経過時間閾値よりも長時間化している場合、判定手段301は、第1の態様の両詰りが発生していると判定する。また、温度センサ1Cの検知時間が、循環運転時においては第1経過時間閾値よりも長時間化するが、湯張り運転時においては第1経過時間閾値よりも長時間化していない場合、判定手段301は二次詰りが発生していると判定する。循環運転時における温度センサ1Cの検知時間が第1経過時間閾値よりも長時間化しておらず、かつ湯張り運転時における温度センサ2Cの検知時間が第2経過時間閾値よりも長時間化している場合、判定手段301は第2の態様の両詰りが発生していると判定する。
【0040】
尚、上述の説明では、流量センサ1Aと流量センサ2Aの組み合わせ、圧力センサ1Bと圧力センサ2Bの組み合わせ、及び温度センサ1Cと温度センサ2Cの組み合わせを例にとって説明したが、これに限るものではない。第1の詰り検知手段1のセンサ種別と第2の詰り検知手段2のセンサ種別の組み合わせは、適宜自由に設定してよい。
【0041】
例えば、第1の詰り検知手段1に流量センサ1Aを用い、第2の詰り検知手段2に圧力センサ2Bを用いた場合、第1の態様の両詰り及び第2の態様の両詰りの判定は、以下のように行われる。循環運転時における流量センサ1Aの検知流量が第1流量閾値よりも低下しておらず、かつ、湯張り運転時における圧力センサ2Bの検知圧力が第2圧力閾値よりも上昇している場合、判定手段301は、第2の態様の両詰りが発生していると判定する。循環運転時における流量センサ1Aの検知流量が第1流量閾値よりも低下しており、かつ、湯張り運転時における圧力センサ2Bの検知圧力が第2圧力閾値よりも上昇している場合、判定手段301は、第1の態様の両詰りが発生していると判定する。
【0042】
また、第1の詰り検知手段1に流量センサ1Aを用い、第2の詰り検知手段2に温度センサ2Cを用いた場合、第1の態様の両詰り及び第2の態様の両詰りの判定は、以下のように行われる。循環運転時における流量センサ1Aの検知流量が第1流量閾値よりも低下しておらず、かつ、湯張り運転時における温度センサ2Cの検知時間が第2経過時間閾値よりも長時間化している場合、判定手段301は、第2の態様の両詰りが発生していると判定する。循環運転時における流量センサ1Aの検知流量が第1流量閾値よりも低下しており、かつ、湯張り運転時における温度センサ2Cの検知時間が第2経過時間閾値よりも長時間化している場合、判定手段301は、第1の態様の両詰りが発生していると判定する。
【0043】
また、第1の詰り検知手段1に温度センサ1Cを用い、第2の詰り検知手段2に流量センサ2Aを用いた場合、第1の態様の両詰り及び第2の態様の両詰りの判定は、以下のように行われる。循環運転時における温度センサ1Cの検知時間が第1経過時間閾値よりも長時間化しておらず、かつ、湯張り運転時における流量センサ2Aの検知流量が第2流量閾値よりも低下している場合、判定手段301は、第2の態様の両詰りが発生していると判定する。循環運転時における温度センサ1Cの検知時間が第1経過時間閾値よりも長時間化しており、かつ、湯張り運転時における流量センサ2Aの検知流量が第2流量閾値よりも低下している場合、判定手段301は、第1の態様の両詰りが発生していると判定する。
【0044】
また、第1の詰り検知手段1に温度センサ1Cを用い、第2の詰り検知手段2に圧力センサ2Bを用いた場合、第1の態様の両詰り及び第2の態様の両詰りの判定は、以下のように行われる。循環運転時における温度センサ1Cの検知時間が第1経過時間閾値よりも長時間化しておらず、かつ、湯張り運転時における圧力センサ2Bの検知圧力が第2圧力閾値よりも上昇している場合、判定手段301は、第2の態様の両詰りが発生していると判定する。循環運転時における温度センサ1Cの検知時間が第1経過時間閾値よりも長時間化しており、かつ、湯張り運転時における圧力センサ2Bの検知圧力が第2圧力閾値よりも上昇している場合、判定手段301は、第1の態様の両詰りが発生していると判定する。
【0045】
浴槽10の容量は180L(リットル)を基準とされており、湯張り運転では、通常、20〜30分で湯張りする場合が一般的である。すなわち、通常の湯張り流量は、6〜10L/min(分)となる。従って、流量センサ2Aを用いた第3の配管23における詰りの判定においては、6L/minを流量の基準とする場合が多い。追い焚き運転については、例えば、浴槽10に40℃の湯が張られており、10分間で2℃上昇させる場合、浴槽10内の湯は以下の条件で循環動作が行われる。浴槽10内から流出する湯は、給湯ユニット400の貯湯タンクに貯留されている50℃以上の高温水と熱交換器で熱交換される。そして、熱交換された湯は50℃以下の状態で浴槽10に戻される。すなわち、通常の追い焚き運転における流量は、6〜8L/minとなる。従って、流量センサ1Aを用いた第1の配管21及び第2の配管22における詰りの判定においても、6L/minを基準とする場合が多い。上述の第1流量閾値及び第2流量閾値は、これらの基準値に基づいて設定される。また、上述の第1圧力閾値及び第2圧力閾値、並びに第1検知時間閾値及び第2検知時間閾値も、これらの湯張り運転及追い焚き運転の条件に基づいて設定される。
【0046】
次に、代替運転について説明する。上述のように、代替運転決定手段302では、配管の詰りが発生している場合に、実行しても本来の機能が得られない運転、若しくは実行ができない運転の代替運転を決定する。ここで、循環運転は例えば追い焚き運転とし、給湯運転は例えば差し湯運転とする。ユーザーが追い焚きを要望している場合に、一次詰り若しくは二次詰りが発生すると、追い焚きを実行しても、循環回路100において湯水の循環流量は低下するため、追い焚きの機能が低下するか、若しくは追い焚き運転自体が実行できなくなる。しかしながら、第1の態様の両詰りが発生しておらず、第3の配管23において詰りが発生していなければ給湯運転は実行可能であるため、差し湯運転を実行することにより、浴槽10内の湯水を加熱することができる。
【0047】
また、ユーザーが差し湯運転を要望している場合に、第2の態様の両詰りが発生すると、浴槽10への給湯量が低下するため、差し湯の機能が低下するか、若しくは差し湯運転自体が実行できなくなる。給湯量の低下を招く詰りが上述の第2の態様の両詰りである場合、循環回路100では配管の詰りが発生していなければ、加熱手段40を用いた浴槽10内の湯水の追い焚き運転は可能である。
【0048】
代替運転決定手段302では、配管の詰りが発生している場合に、実行しても本来の機能が得られない運転、若しくは実行ができない運転の代替運転を判定する。
【0049】
判定手段301で配管の詰り位置が判定され、代替運転決定手段302で代替運転が決定されたら、制御部300からリモートコントローラ310に、詰り位置を示すデータ、及び代替運転を示すデータが送信される。リモートコントローラ310では、制御部300からのデータに基づいて、表示パネル311に配管の詰り位置が示されると共に代替運転が示される。上述の例であれば、ユーザーが追い焚きを要望しているとき、一次詰り若しくは二次詰りが発生している場合、第1の配管21若しくは第2の配管22で詰りが発生していることを示すデータと、代替運転として差し湯運転を示すデータが送信される。また、ユーザーが差し湯運転を要望しているときに、第2の態様の両詰りが発生している場合、第3の配管23で詰りが発生していることを示すデータと、代替運転として追い焚き運転を示すデータが送信される。
【0050】
ユーザーは、リモートコントローラ310の表示パネル311に表示された詰り位置を確認し、修繕すべき配管を特定する。また、ユーザーは、表示パネル311に表示された代替運転に基づいて操作部312を操作し、加熱手段40若しくは給湯ユニット400の運転動作を指定する。ユーザーによる指定を示すデータは、リモートコントローラ310から制御部300へ送信される。リモートコントローラ310からのデータに基づいて、制御部300の運転指示手段303から加熱手段40若しくは給湯ユニット400に制御信号が出力される。
【0051】
以上のように、本実施の形態によれば、循環回路100若しくは給湯回路200において湯水の流量の低下が発生した場合、制御部300により、第1の配管21、第2の配管22、及び第3の配管23のどの配管で詰りが発生しているか判定することができる。
【0052】
本実施の形態によれば、リモートコントローラ310の表示パネル311に、詰りが発生している配管が示される。従って、ユーザーは、修繕すべき配管を把握することができ、利便性が向上する。
【0053】
本実施の形態によれば、ユーザーが所望する運転が実行される回路を形成している配管において詰りが発生している場合、詰りが発生していない配管が形成している回路を使用する代替運転が表示パネル311に表示される。従って、ユーザーは、代替運転を実行することにより所望していた運転の機能を補完し維持することができる。さらに、代替運転を実行中に、詰りが発生している配管の修繕を行うことができる。
【0054】
本実施の形態によれば、表示パネル311に表示された代替運転の内容を確認したユーザーが操作部312を操作することにより代替運転が実行される。従って、誤動作を抑制することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 第1の詰り検知手段、1A 流量センサ、1B 圧力センサ、1C 温度センサ、2 第2の詰り検知手段、2A 流量センサ、2B 圧力センサ、2C 温度センサ、10 浴槽、11 第1の接続部、12 第2の接続部、21 第1の配管、22 第2の配管、23 第3の配管、31 循環用送水手段、32 給湯用送水手段、40 加熱手段、50 弁、100 循環回路、200 給湯回路、201 第1の給湯経路、202 第2の給湯経路、300 制御部、301 判定手段、302 代替運転決定手段、303 運転指示手段、310 リモートコントローラ、311 表示パネル、312 操作部、400 給湯ユニット、1000 給湯システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7