(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の蓄電装置及び鉄道車両を、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
以下、鉄道車両の蓄電装置の第1の実施形態を
図1から
図7を参照しながら説明する。
図1から
図3に示すように、本実施形態の蓄電装置26は、第1箱体27と、複数(本実施形態では3つ)の電池モジュール28と、保護回路29と、制御回路30と、を備えている。なお、蓄電装置26が備える電池モジュール28の数に制限はなく、1つ、2つでもよいし、4つ以上でもよい。蓄電装置26は、例えば鉄道車両の車体の床下に搭載される。
以下では、複数の電池モジュール28を区別して言うときには、車体の前方から後方に向って順に電池モジュール28A、電池モジュール28B、電池モジュール28Cと言う。電池モジュール28A,28B,28Cを区別しないで言うときは、電池モジュール28と総称する。ただし、図面における電池モジュールに対する符号は、28は示さずに、28A等を示す。後述する開口42a、受け部材43等においても同様である。
【0010】
第1箱体27は、外形が直方体の箱状に形成されている。第1箱体27は、第1天板33と、第1底板34と、第1側板35〜38と、を有している。第1天板33、第1底板34、及び第1側板35〜38は、鋼板等で形成されている。
例えば、第1天板33及び第1底板34は、平面視において、車体の長手方向X(以下、単に長手方向Xと言う)に長い矩形状に形成されている。第1天板33及び第1底板34は、上下方向に対向するように配置されている。第1側板35,36は、第1底板34における長手方向Xに沿う外縁部に立設している。第1側板37,38は、第1底板34における車体の幅方向Y(以下、単に幅方向Yと言う)に沿う外縁部に立設している。
なお、第1側板35に対する第1側板36側を右側と言い、第1側板36に対する第1側板35側を左側と言う。第1側板38に対する第1側板37側を前方と言い、第1側板37に対する第1側板38側を後方と言う。
【0011】
図2に示すように、第1天板33の前方の部分には、複数の第1貫通孔33aが形成されている。複数の第1貫通孔33aは、碁盤目状に配置されている。
図1及び
図2に示すように、第1天板33の各隅部には、第1箱体27を車体に固定するための取付け部材39が固定されている。取付け部材39は、第1箱体27の第1天板33よりも上方に突出している。
図示はしないが、第1底板34には、第1天板33の複数の第1貫通孔33aに対向する位置に複数の第1貫通孔が形成されている。
図3に示すように、第1側板35の前方の部分には、開口35aが形成されている。第1側板35における開口35aの後方の縁部には、右側に延びる第1仕切板40が取付けられている。第1仕切板40は、第1側板35と第1側板36との中間部まで延びている。
なお、
図1に示すように、第1側板35の後方の部分には、点検カバー35bが設けられている。点検カバー35bは、保護回路29及び制御回路30の点検作業用に用いられる。
【0012】
図3に示すように、第1仕切板40の右端部には、前方に向かって延びる第1仕切板(仕切り板)41が取付けられている。第1仕切板40,41は、第1箱体27内に設けられている。第1仕切板41は、板本体42と、複数の受け部材43と、を有している。
板本体42は、第1仕切板40の右端部から前方に向かって第1側板37に達するまで延びている。板本体42は、第1側板37に溶接等により接合されている。
第1仕切板40及び板本体42は、第1天板33及び第1底板34までそれぞれ延び、第1天板33及び第1底板34に溶接等により接合されている。
【0013】
板本体42には、複数(本実施形態では3つ)の開口42aA,42aB,42aCが形成されている。各開口42aは、幅方向Yに見たときに矩形の額縁状に形成されている。複数の開口42aA,42aB,42aCは、長手方向Xに互いに間隔を空けて、前方から後方に向かってこの順で並べて配置されている。
【0014】
板本体42における開口42aAの縁部には、前述の受け部材43A(複数の受け部材43の一つ)が固定されている。受け部材43Aは、幅方向Yに見たときに矩形の額縁状に形成されている。受け部材43Aは、板本体42から左側に、開口42aAの縁部の全周にわたって突出する。
同様に、板本体42において、開口42aBの縁部に受け部材43Bが、開口42aCの縁部に受け部材43Cが、それぞれ固定されている。
板本体42の開口42aA、及び受け部材43Aの開口で、第1仕切板41の第1開口41aAを構成する。同様に、板本体42の開口42aB、及び受け部材43Bの開口で、第1仕切板41の第1開口41aBを構成する。板本体42の開口42aC、及び受け部材43Cの開口で、第1仕切板41の第1開口41aCを構成する。
【0015】
第1側板36の前方の部分には、開口36aが形成されている。第1側板36の開口36aは、作業カバー45で覆われている。作業カバー45は、ボルトやネジ等の締結部材46により第1側板36に着脱可能に取付けられている。
【0016】
複数の電池モジュール28は、電池モジュール28Aと、電池モジュール28Bと、電池モジュール28Cと、を有している。
電池モジュール28Aの構成と電池モジュール28B,28Cの構成とは、互いに同一である。このため、電池モジュール28Aの構成を、数字、又は数字及び英小文字に英大文字「A」を付加することで示す。電池モジュール28B,28Cのうち電池モジュール28Aに対応する構成を、電池モジュール28Aと同一の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「B」、「C」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。例えば、電池モジュール28Aの後述する第2箱体51Aと電池モジュール28B,28Cの後述する第2箱体51B,51Cとは、互いに同一の構成である。
【0017】
図4から
図7に示すように、電池モジュール28Aは、第2箱体51Aと、複数(本実施形態では3つ)の蓄電池52A,53A,54Aと、パッキン(封止部材)55Aと、を備えている。
第2箱体51Aは、外形が直方体の箱状に形成されている。第2箱体51Aには、第2箱体51Aの右側が開口することにより第2開口51aAが形成されている。第2箱体51Aは、第1箱体27内に収容されている。
第2箱体51Aは、第2天板59Aと、第2底板60Aと、第2側板61A〜63Aと、を有している。
【0018】
例えば、第2天板59A及び第2底板60Aは、幅方向Yに長い矩形状に形成されている。第2天板59A及び第2底板60Aは、上下方向に対向するように配置されている。
第2側板61A,62Aは、第2底板60Aにおける幅方向Yに沿う外縁部に立設している。第2側板61Aは第2底板60Aの前方に配置され、第2側板62Aは第2底板60Aの後方に配置されている。第2側板63Aは、第2底板60Aにおける長手方向Xに沿う左側の外縁部に立設している。
図5に示すように、第2側板61Aは、側板本体65Aと、基部(側板)66Aと、を有している。側板本体65Aのうち上方の部分には、開口65aAが形成されている。開口65aAは、側板本体65Aの幅方向Yの中央部に形成されている。
図7に示すように、側板本体65Aの右端部には、側板本体65Aが前方に段付けされることで受け部65bAが形成されている。
【0019】
図5に示すように、基部66Aは、側板本体65Aの開口65aAの前方に配置されている。基部66Aと側板本体65Aとは、図示しない締結部材により固定されている。なお、第2側板61A全体が基部で構成されてもよい。
第2天板59A、第2底板60A、及び第2側板62,63A、及び側板本体65Aは、鋼板等で形成されている。
【0020】
図4及び
図5に示すように、基部66Aには、複数のフィン部材(突部)68Aが設けられている。基部66A及び複数のフィン部材68Aで、放熱フィン69Aを構成する。なお、基部66Aに設けられるフィン部材68Aの数に制限はなく、1つでもよい。基部66Aにフィン部材68Aは設けられなくてもよい。
複数のフィン部材68Aは、厚さ方向が幅方向Yとなる板状に形成され、基部66Aから前方に向かって突出している。複数のフィン部材68Aは、上下方向に沿って延びている。複数のフィン部材68Aは、互いに幅方向Yに間隔を空けて並べて配置されている。
例えば、基部66A及び複数のフィン部材68Aは、アルミニウムを用いた押出し成形等で一体に形成されている。
【0021】
図7に示すように、第2側板62Aの右端部には、第2側板62Aが後方に段付けされることで受け部62aAが形成されている。第2天板59A及び第2底板60Aには、側板本体65Aの受け部65bA及び第2側板62Aの受け部62aAと同様の受け部(符号省略)が形成されている。
第2側板63Aは、放熱フィン69Aの前端部まで前方に突出している。第2側板63Aは、第2側板62Aよりも後方に突出している。
図5に示すように、第2側板63Aには、上下方向に沿って延びる取っ手71Aが固定されている。
【0022】
蓄電池52A〜54Aの種類は、特に限定されない。例えば、蓄電池52A〜54Aはリチウムイオン二次電池である。
図7に示すように、蓄電池52A〜54Aは、幅方向Yに互いに間隔を空けて、左側から右側に向ってこの順で並べて配置されている。蓄電池52A〜54Aは、第2箱体51A内に、基部66Aに接続した状態で配置されている。なお、本明細書で言う接続するとは、他の部材を介さずに直接接触している状態だけでなく、他の部材を介して間接的に接触している状態を含む意味である。
なお、電池モジュール28Aが備える蓄電池の数に制限はなく、1つ、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0023】
蓄電池52A〜54Aには、それぞれ温度センサ及び電圧センサが取付けられていることが好ましい。温度センサは、蓄電池52A〜54Aの外面等の温度を測定する。電圧センサは、蓄電池52A〜54Aが出力する電圧値を測定する。
図6に示すように、蓄電池52Aと蓄電池53A、蓄電池53Aと蓄電池54Aは、電線73A,74Aによりそれぞれ接続されている。蓄電池52Aには、電線75Aが接続されている。蓄電池54Aには、電線76Aが接続されている。電線73A〜76Aにより3つの蓄電池52A〜54Aが直列に接続され、蓄電池52A〜54Aの電力が外部に取出される。
【0024】
図7に示すように、蓄電池52A〜54Aは、基部66Aの後面に図示しない締結部材等により固定されている。蓄電池52A〜54Aと基部66Aとの間には、熱伝導率が大きいコンパウンドが配置されていることが好ましい。
図6に示すように、蓄電池52A〜54Aは、電池モジュール28Aの上部に配置されている。電池モジュール28Aの下部では、前述の電線73A〜76Aが引き回されている。
【0025】
図6及び
図7に示すように、パッキン55Aは、幅方向Yに見たときに矩形の額縁状に形成されている。パッキン55Aは、中空のゴム等を用いて形成されている。パッキン56Aは、側板本体65Aの受け部65b、第2側板62Aの受け部62aA、及び第2天板59A、第2底板60Aの受け部に、右側が露出した状態で固定されている。パッキン56Aは、第2箱体51Aにおける第2開口51aAの縁部に固定されている。
なお、パッキン56Aは、第1仕切板41における第1開口41aAの縁部に固定されてもよい。
【0026】
図3に示すように、以上のように構成された電池モジュール28A〜28C全体としての長手方向Xの長さ、及び第1側板35の開口35aの長手方向Xの長さは、互いに同等である。電池モジュール28Aの第2箱体51Aは、第1側板35の開口35aを通して第1箱体27に着脱可能に取付けられている。第1仕切板41の第1開口41aAの縁部と電池モジュール28Aのパッキン55Aとが接触すると、第1仕切板41における第1開口41aAの縁部と第2箱体51Aにおける第2開口51aAの縁部とが、両縁部の全周にわたって気密に連結し、第1箱体27に第2箱体51Aが取付けられる。このときに、第1仕切板41の第1開口41aAが第2箱体51Aの第2開口51aAに連通する。
【0027】
電池モジュール28B,28Cの第2箱体51B,51Cについても、同様に第1箱体27に取付けられる。
このとき、第1箱体27の第1天板33の複数の第1貫通孔33a、第1底板34の複数の第1貫通孔、第1側板37、及び第1仕切板41、電池モジュール28Aのパッキン55A、第2側板63A、及び放熱フィン69Aの基部66Aにより、流路79Aが構成される。流路79Aは、第1箱体27及び電池モジュール28Aにより構成される。
流路79Aは、第1箱体27内かつ第2箱体51Aの外部に形成され、第1箱体27を上下方向に貫通する。放熱フィン69Aの基部66Aは、流路79Aの一部を構成する。
放熱フィン69Aの複数のフィン部材68Aは、基部66Aから流路79A内に向かって突出している。
【0028】
第1箱体27の第1天板33の複数の第1貫通孔33a、第1底板34の複数の第1貫通孔、及び第1仕切板41、電池モジュール28Aのパッキン55A、第2側板62A、及び第2側板63A、電池モジュール28Bのパッキン55B、第2側板63B、及び放熱フィン69Bの基部66Bにより、流路79Bが構成される。流路79Bは、第1箱体27及び電池モジュール28A,28Bにより構成される。
同様に、第1箱体27、電池モジュール28B、及び電池モジュール28Cにより、流路79Cが構成される。
なお、電池モジュール28Aの第2側板63Aと第1箱体27とは、締結部材72Aにより固定されている(
図1参照)。流路79A,79B,79Cは、それぞれ放熱フィン69A,69B,69Cの基部66A,66B,66Cのみで構成されてもよい。
【0029】
電池モジュール28Aの電線75Aと電池モジュール28Bの電線76Bとは、電線82により接続されている。電池モジュール28Bの電線75Bと電池モジュール28Cの電線76Cとは、電線83により接続されている。電池モジュール28Aの電線76Aには、電線84が接続されている。電池モジュール28Cの電線75Cには、電線85が接続されている。電線84,85は、保護回路29に接続されている。
電線82〜85により3つの電池モジュール28A〜28Cにおける9つの蓄電池52A〜54A,52B〜54B,52C〜54C(以下、蓄電池52A〜54A等と略して言う)が直列に接続され、蓄電池52A〜54A等の電力が外部に取出される。
【0030】
電池モジュール28A〜28Cから、温度センサで検出された温度、及び電圧センサで検出された電圧が送信される。これらの温度及び電圧は、電池モジュール28A〜28Cを直列に接続する電線87a,87b,87cにより、制御回路30に送信される。
なお、電線87aは、電池モジュール28Aと電池モジュール28Bとを接続している。電線87bは、電池モジュール28Bと電池モジュール28Cとを接続している。電線87cは、電池モジュール28Cと制御回路30とを接続している。
【0031】
保護回路29は、接触器等を有している。制御回路30は、プリント基板等を有している。保護回路29及び制御回路30は、上位制御部(不図示)にそれぞれ接続されている。
制御回路30は、電池モジュール28A〜28Cから送信された温度及び電圧を集計する。そして、例えば、送信された温度の少なくとも1つが予め定められた温度閾値よりも高い場合には、上位制御部に警告を送る。
保護回路29は、上位制御部からの指示に基づいて、接触器を開放する。
【0032】
次に、以上のように構成された蓄電装置26において、第1箱体27に電池モジュール28A〜28Cが取付けられていない状態から、第1箱体27に電池モジュール28A〜28Cを取付ける手順について説明する。
作業者は、電池モジュール28Aの取っ手71Aを握り、第1箱体27の開口35aを通して第1箱体27内に電池モジュール28Aを挿入する。第1仕切板41の第1開口41aAの縁部と電池モジュール28Aのパッキン55Aとを接触させ、第1箱体27に電池モジュール28Aを取付ける。締結部材72Aにより、第1箱体27に電池モジュール28Aを固定する。同様に、第1箱体27に電池モジュール28B,28Cを取付ける。
第1箱体27から締結部材46及び作業カバー45を取外す。作業者は、第1側板36の開口36aを通して第1箱体27内に手等を挿入する。電線82〜85,87a〜87cを用いて、電池モジュール28A〜28C、保護回路29、及び制御回路30を互いに接続する。
接続が終わったら、第1側板36の開口36aを締結部材46及び作業カバー45で塞ぐ。
【0033】
次に、以上のように構成された蓄電装置26の冷却について説明する。
蓄電装置26の蓄電池52A〜54A等は、電力を供給するときや、電力を蓄えるとき等に熱を発する。
【0034】
蓄電池52A〜54Aが発した熱は、放熱フィン69Aの基部66Aを介して複数のフィン部材68Aに伝達される。放熱フィン69Aに熱が伝達されることにより、蓄電池52A〜54Aが冷却される。
流路79A内であって放熱フィン69Aの近くの空気は、蓄電池52A〜54Aから伝達された熱により温度が高くなり、膨張して密度が低くなる。密度が低くなった空気は、幅方向Yに隣り合うフィン部材68Aの間等を通って上方に移動する。上方に移動した空気は、電池モジュール28Aの複数の第1貫通孔33aを通して、蓄電装置26の外部に流れ出る。
【0035】
一方で、流路79A内の圧力が下がるため、第1底板34の複数の第1貫通孔から流路79A内に、蓄電装置26の外部の比較的温度が低い空気が吸い込まれる。この空気は、車体の下方の軌道の影響等により埃等を含んでいる場合がある。しかし、パッキン55Aにより第1仕切板41における第1開口41aAの縁部と第2箱体51Aにおける第2開口51aAの縁部とが気密に連結しているため、流路79A内を流れる空気が、第1箱体27内の蓄電池52A〜54Aが配置されている領域に流れ込むことが抑制される。
同様に流路79B,79C内を流れる空気により蓄電池52B〜54B,52C〜54Cがそれぞれ冷却される。
このように、ファンを用いなくても、いわゆる煙突効果により流路79A〜79C内に空気が吸い込まれる。このため、蓄電装置26は、蓄電池52A〜54A等を自然冷却方式により効率的に冷却することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の蓄電装置26によれば、蓄電池52B〜54Bが接続されている基部66Aを含んで構成される流路79A内を、空気が外部に流れ出る。そして、流路79A内の圧力が下がって外部から流路79A内に比較的温度が低い空気が吸い込まれる。従って、ファンを用いずに蓄電池52A〜54Aを効率的に冷却できる。ファンを用いないため、蓄電装置26のメンテナンスが容易になる。
蓄電装置26が複数のフィン部材68Aを備えるため、蓄電池52A〜54Aから基部66Aに伝達された熱を、流路79A内の空気に効率的に伝達することができる。
【0037】
第1箱体27に電池モジュール28Aの第2箱体51Aが取付けられたときに、第1仕切板41の第1開口41aAが第2箱体51Aの第2開口51aAに連通する。これにより、流路79A内の空気が第2箱体51A内に流れ込むのを抑えることができる。
第2箱体51Aにおける第2開口51aAの縁部には、パッキン55Aが固定されている。このため、第1仕切板41における第1開口41aAの縁部と第2箱体51Aにおける第2開口51aAの縁部との間を、より確実に気密に連結することができる。
【0038】
また、本実施形態の鉄道車両によれば、ファンを用いずに蓄電池52A〜54Aを効率的に冷却することができる蓄電装置26を用いて鉄道車両を構成することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、鉄道車両の蓄電装置の第2の実施形態について
図8から
図11を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図8に示すように、本実施形態の蓄電装置96は、蓄電装置26の電池モジュール28A〜28Cに代えて、接続回路97A,97B,97C、及び電池モジュール98A,98B,98Cを備えている。
【0040】
接続回路97Aは、基板101Aと、第1コネクタ102A,103A,104Aと、を有している。基板101Aは、第1箱体27内の板本体42の開口42aAに配置されている。基板101Aは、厚さ方向が幅方向Yとなるように、第1箱体27の第1底板34等に固定されている。
第1コネクタ102A〜104Aは、基板101Aの左側の面に固定されている。第1コネクタ103A、第1コネクタ102A、及び第1コネクタ104Aは、前方から後方に向ってこの順に並べて配置されている。第1コネクタ102Aは、電線82の端部に接続されている。第1コネクタ103Aは、電線84の端部に接続されている。第1コネクタ104Aは、電線87aの端部に接続されている。
【0041】
接続回路97Bにおいて、第1コネクタ102Bは、電線83の端部に接続されている。第1コネクタ103Bは、電線82の端部に接続されている。第1コネクタ104Bは、電線87a,87bの端部にそれぞれ接続されている。
接続回路97Cにおいて、第1コネクタ102Cは、電線85の端部に接続されている。第1コネクタ103Cは、電線87b,83の端部にそれぞれ接続されている。第1コネクタ104Cは、電線87cの端部に接続されている。
なお、本実施形態では、第1箱体27の第1側板36に開口36aは形成されていない。蓄電装置96は、作業カバー45及び締結部材46を備えていない。
【0042】
図9から
図11に示すように、電池モジュール98Aは、電池モジュール28Aの第2箱体51A及び放熱フィン69Aに代えて、第2箱体107A及び接続回路108Aを備えている。
第2箱体107Aは、第2箱体51Aの第2側板61Aに代えて、第2側板(側板)111Aを有している。第2側板111Aは、第2底板60Aにおける幅方向Yに沿う外縁部に立設している。第2側板111Aは、鋼板等で形成されている。
第2側板111Aにおける上方の部分には、複数(本実施形態では3つ)の開放開口111aA,111bA,111cAが形成されている。開放開口111aA〜111cAは、長手方向Xに見たときに上下方向に長い矩形状に形成されている。開放開口111aA〜111cAは、幅方向Yに互いに間隔を空けて、左側から右側に向ってこの順で並べて配置されている。
【0043】
蓄電池52Aは、第2側板111Aの開放開口111aAを塞ぐように、第2側板111Aに図示しない締結部材により固定されている。同様に、蓄電池53A,54Aが、開放開口111bA,111cAを塞ぐように固定されている。
図11に示すように、第2箱体107Aには、第2箱体51Aの第2開口51aAに代えて第2開口107aAが形成されている。
【0044】
接続回路108Aは、基板114Aと、第2コネクタ115A,116A,117Aと、を有している。
基板114Aは、第2箱体107Aの第2開口107aAに配置されている。基板114Aは、厚さ方向が幅方向Yとなるように、第2箱体107Aに固定されている。
第2コネクタ115A〜117Aは、蓄電池52A〜54Aと電気的に接続されて第2箱体107Aに設けられている。第2コネクタ115A〜117Aは、基板114Aの右側の面に固定されている。第2コネクタ116A、第2コネクタ115A、及び第2コネクタ117Aは、前方から後方に向ってこの順に並べて配置されている。第2コネクタ115Aは、電線75Aの端部に接続されている。第2コネクタ116Aは、電線76Aの端部に接続されている。第2コネクタ117Aは、温度センサ及び電圧センサにそれぞれ接続されている。
図8に示すように、第2コネクタ115Aは、第1コネクタ102Aに対して幅方向Yに着脱可能に取付けられている。同様に、第2コネクタ116A,117Aは、第1コネクタ103A,104Aに対して幅方向Yに着脱可能に取付けられている。
【0045】
第1箱体27に電池モジュール98Aの第2箱体107Aを取付けると、接続回路97Aの第1コネクタ102A〜104Aに接続回路108Aの第2コネクタ115A〜117Aがそれぞれ装着される。一方で、第1箱体27から電池モジュール98Aの第2箱体107Aを取外すと、接続回路97Aの第1コネクタ102A〜104Aから接続回路108Aの第2コネクタ115A〜117Aがそれぞれ取外される。
【0046】
第1箱体27の第1天板33の複数の第1貫通孔33a、第1底板34の複数の第1貫通孔、第1側板37及び第1仕切板41、電池モジュール98Aのパッキン55A、第2側板63A、第2側板111A、及び、蓄電池52A〜54Aにより、流路119Aが構成される。蓄電池52A〜54Aは、開放開口111aA〜111cAを通して流路119A内に露出する。
第1箱体27の第1天板33の複数の第1貫通孔33a、第1底板34の複数の第1貫通孔、及び第1仕切板41、電池モジュール98Aのパッキン55A、第2側板62A、及び第2側板63A、電池モジュール98Bのパッキン55B、第2側板63B、第2側板111B、及び、蓄電池52B〜54Bにより、流路119Bが構成される。
同様に、第1箱体27、電池モジュール98B、及び電池モジュール98Cにより、流路119Cが構成される。
【0047】
次に、以上のように構成された蓄電装置96において、第1箱体27に電池モジュール98A〜98Cが取付けられていない状態から、第1箱体27に電池モジュール98A〜98Cを取付ける手順について説明する。
作業者は、電池モジュール98Aの取っ手71Aを握り、第1箱体27の開口35aを通して第1箱体27内に電池モジュール98Aを挿入する。第1仕切板41の第1開口41aAの縁部と電池モジュール98Aのパッキン55Aとを接触させ、第1箱体27に電池モジュール98Aを取付ける。このとき、接続回路97Aの第1コネクタ102A〜104Aに接続回路108Aの第2コネクタ115A〜117Aがそれぞれ装着する。
同様に、第1箱体27に電池モジュール98B,98Cを取付ける。
本実施形態では、第1箱体27に電池モジュール98A〜98Cを取付けた後で、作業カバー45を取外して電線82〜85,87a〜87cの接続作業を行う必要がない。
【0048】
次に、以上のように構成された蓄電装置96の冷却について説明する。
蓄電池52A〜54Aが発した熱は、流路119A内の開放開口111aA〜111cAの近くの空気に伝達される。この際に、流路119A内の空気に蓄電池52A〜54Aが直接接触するため、熱の伝達が効率的に行われる。
空気に熱が伝達されることにより、蓄電池52A〜54Aが冷却される。熱を伝達された空気は、温度が高くなり、膨張して密度が低くなる。密度が低くなった空気は、上方に移動する。上方に移動した空気は、電池モジュール98Aの複数の第1貫通孔33a等を通して、蓄電装置96の外部に流れ出る。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の蓄電装置96によれば、蓄電池52A〜54Aが開放開口111aA〜111cAを通して流路119A内の空気に直接接触する。このため、蓄電池52A〜54Aと流路119A内の空気との熱交換が効率的に行われ、ファンを用いずに蓄電池52A〜54Aを効率的に冷却することができる。
蓄電装置96が、第1コネクタ102A〜104A及び第2コネクタ115A〜117Aを備える。第1箱体27に電池モジュール98Aの第2箱体107Aを取付けるだけで、第1コネクタ102A〜104Aに第2コネクタ115A〜117Aを取付けるとともに、第1箱体27から電池モジュール98Aの第2箱体107Aを取外すだけで、第1コネクタ102A〜104Aから第2コネクタ115A〜117Aを取外すことができる。
【0050】
なお、蓄電装置96は、接続回路97A〜97C,108A〜108Cを備えなくてもよい。
【0051】
前記第1の実施形態では、
図12及び
図13に示す蓄電装置121のように、電池モジュール122Aの第2箱体51Aにおいて、第2側板63Aに貫通孔63aAが形成されてもよい。そして、蓄電装置121は、貫通孔63aAを第2側板63Aに対して着脱可能に覆うカバー123Aを備えてもよい。カバー123Aは、ボルトやネジ等の締結部材124Aにより第2側板63Aに着脱可能に取付けられている。
定期的に作業者が第2箱体51A内の蓄電池52A〜54Aを目視により点検することが必要な場合がある。変形例の蓄電装置121のように構成すると、締結部材124A及びカバー123Aを第2箱体51Aの第2側板63Aから外して、貫通孔63aAを通して蓄電池52A〜54Aの状態を目視により点検することができる。
なお、点検が終わったら、第2側板63Aに締結部材124A及びカバー123Aを取付ける。
【0052】
図14に示す蓄電装置126のように、電池モジュール127Aの第2側板63Aにベンチレータ(換気部)128Aを備えてもよい。例えば、ベンチレータ128Aは、気体は透過させるが液体は透過させない機能膜を有している。ベンチレータ128Aは、第2箱体51Aの内外の気体を互いに流通可能にし、液体を流通不能にする。
例えば、蓄電池52A〜54Aが故障したときに、蓄電池52A〜54Aからガスが放出される場合がある。このように蓄電装置126を構成すると、蓄電池52A〜54Aから放出されたガスが一定の圧力以上に高くなった場合、ベンチレータ128Aを通して第2箱体51Aの外部にガスを排出することができる。これにより、第2箱体51A内の圧力が高くなり過ぎるのを抑制することができる。
これら変形例の蓄電装置121,126は、第2の実施形態にも適用することができる。
【0053】
電池モジュール28A〜28C,98A〜98Cが第1箱体27に着脱可能でなく、第1箱体27に固定されてもよい。
電池モジュール28A〜28C,98A〜98Cは、パッキン55A〜55Cを備えなくてもよい。
【0054】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、流路79A〜79Cを持つことにより、ファンを用いずに蓄電池52A〜54A等を効率的に冷却することができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。