特許第6976151号(P6976151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976151
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】注出キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/24 20060101AFI20211125BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20211125BHJP
   B65D 51/24 20060101ALI20211125BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   B65D47/24 200
   B65D47/08 100
   B65D51/24
   B65D1/02 111
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-231194(P2017-231194)
(22)【出願日】2017年11月30日
(65)【公開番号】特開2019-99208(P2019-99208A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−193745(JP,A)
【文献】 特開2010−149938(JP,A)
【文献】 特開2003−081296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00−55/16
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されるとともに前記内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器と、前記内容器が内装された弾性変形可能な外容器と、を有する容器本体の口部に装着される注出キャップであって、
前記容器本体の口部の開口を覆う天壁部および該天壁部から下方に延びる連通筒を有し、前記天壁部に前記内容物を注出する注出孔が形成されたキャップ本体と、
前記注出孔を開閉する蓋体と、
前記容器本体内と前記注出孔との前記連通筒を通じた連通および遮断を切り替える弁体と、を備え、
前記弁体は、
前記連通筒に形成された弁座部に着座するとともに、前記連通筒内に上下動可能に配設された弁本体と、
前記弁本体から下方に向けて延び、かつ少なくとも一部が前記容器本体内に位置する脚部と、
前記脚部から径方向外側に向けて突出し、かつ少なくとも一部が前記容器本体内に位置する板状の突部と、を有し
前記弁本体は球状であり、前記弁体の上端部に位置している、注出キャップ。
【請求項2】
前記突部は、前記脚部の下端部から径方向外側に突出している、請求項1に記載の注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器と、内容器が内装された弾性変形可能な外容器と、を有する容器本体の口部に装着される注出キャップとして、従来から、例えば下記特許文献1に示すような構成が知られている。
この注出キャップは、キャップ本体と、蓋体と、弁体と、を備えている。キャップ本体は、容器本体の口部を覆う天壁部および天壁部から下方に延びる連通筒を有し、天壁部には内容物を注出する注出孔が形成されている。蓋体は、注出孔を開閉する。弁体は、連通筒内に上下動可能に配設されて、容器本体内と注出孔との連通筒を通じた連通および遮断を切り替える。
【0003】
この種の注出キャップでは、弁体と弁座部とが固着することで、次回注出時に弁体が弁座部から離反しづらくなる場合がある。このように弁体が弁座部に固着すると、内容物を注出しにくくなってしまう。そこで特許文献1の注出キャップでは、蓋体に、弁体に当接する係合突起を形成することで、蓋体を閉じる動作に伴って弁体の一部を前座部から離間させて、弁体と弁座部とが固着することを抑止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−193746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成では、蓋体を閉める際に係合突起と弁体とが当接し、蓋体の操作力が大きくなる。従って、蓋体の操作性について、改善の余地があった。
また、例えば使用者が蓋体を閉め忘れたり、蓋体が充分に閉じられていなかったりした場合には、弁体と弁座部とが固着する場合がある。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、内容物をより確実に注出することが可能であり、かつ蓋体の操作性を改善した注出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る注出キャップは、内容物が収容されるとともに前記内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器と、前記内容器が内装された弾性変形可能な外容器と、を有する容器本体の口部に装着される注出キャップであって、前記容器本体の口部の開口を覆う天壁部および該天壁部から下方に延びる連通筒を有し、前記天壁部に前記内容物を注出する注出孔が形成されたキャップ本体と、前記注出孔を開閉する蓋体と、前記容器本体内と前記注出孔との前記連通筒を通じた連通および遮断を切り替える弁体と、を備え、前記弁体は、前記連通筒に形成された弁座部に着座するとともに、前記連通筒内に上下動可能に配設された弁本体と、前記弁本体から下方に向けて延び、かつ少なくとも一部が前記容器本体内に位置する脚部と、前記脚部から径方向外側に向けて突出し、かつ少なくとも一部が前記容器本体内に位置する板状の突部と、を有し、前記弁本体は球状であり、前記弁体の上端部に位置している
【0008】
上記第1の態様によれば、弁体が、弁本体から下方に向けて延びる脚部および脚部から径方向外側に向けて突出する突部を有している。また、脚部および突部の少なくとも一部が容器本体内に位置している。このため、注出孔から内容物を注出する際に、内容物の流れが脚部および突部に当たり、弁本体を中心として揺動させるような力が弁体に作用する。そして、突部が板状に形成されていることで、より広い面積で内容物の流れを受けることが可能となり、弁体を揺動させる力を大きくすることができる。これにより、仮に弁本体と弁座部とが固着したとしても、弁体を揺動させてこの固着を解除することができる。従って、より確実に内容物を注出させることが可能となる。
また、上述の通り内容物の流れを利用して固着を解除するため、例えば蓋体を弁体に当接させて固着を抑止する場合と比較して、蓋体の操作力が小さく抑えられる。従って、蓋体の操作性を改善することができる。
【0009】
ここで、前記突部は、前記脚部の下端部から径方向外側に突出していてもよい。
【0010】
この場合、内容物の流れが突部に当たった際に、弁体に作用する弁本体まわりのモーメントが大きくなる。従って、より確実に弁体を揺動させて、弁本体の弁座部への固着を解除することができる。さらに、突部の下端部に突部を形成することで、弁体の重心を下方に寄せることができる。これにより、弁体が傾けられたときに、弁体自身の自重によって、弁本体まわりのモーメントを発生させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、内容物をより確実に注出することが可能であり、かつ蓋体の操作性を改善した注出キャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る注出キャップおよび容器本体の縦断面図であり、蓋体が開かれた状態を示している。
図2】(a)は図1の弁体の下面図である。(b)および(c)は、第1実施形態の変形例に係る弁体の下面図である。
図3図1の注出キャップの使用状態を示す縦断面図である。
図4】第2実施形態に係る注出キャップおよび容器本体の縦断面図であり、蓋体が開かれた状態を示している。
図5図4の注出キャップの使用状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の注出キャップについて図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の注出キャップ1は、内容物(例えば液体)が収容されるとともに、内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器3と、内容器3が内装された弾性変形可能な外容器4と、を有する容器本体2の口部2aに装着される。
内容器3に収容される内容物としては、特に限定されないが、例えば醤油などの低粘度の液体が好適に用いられる。
【0015】
注出キャップ1は、キャップ本体10と、蓋体20と、弁体40と、を備えている。キャップ本体10は有頂筒状に形成され、口部2aの開口を覆う天壁部11および天壁部11から延びる連通筒31を有している。天壁部11には、内容物の注出孔11aが形成されている。蓋体20は、有頂筒状に形成され、注出孔11aを開閉する。弁体40は、球状の弁本体41を有しており、容器本体2内と注出孔11aとの連通筒31を通じた連通および遮断を切り替える。
【0016】
(方向定義)
キャップ本体10および蓋体20の各中心軸線は、共通軸上に配置されている。本実施形態ではこの共通軸をキャップ軸Oといい、キャップ軸Oに沿う方向を上下方向という。また、上下方向に沿ってキャップ本体10側を上方、その反対側である容器本体2側を下方という。
上下方向から見た平面視において、キャップ軸Oに交差する方向を径方向といい、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0017】
(容器本体)
容器本体2は、例えば押出しブロー成形(EBM)により形成され、外容器4の内面に内容器3が剥離可能に積層されたデラミボトル(積層剥離型容器)とされている。容器本体2は、例えば押出し成形等によって二重に組み合わされた積層パリソンを形成し、この積層パリソンをブロー成形することで形成しても良い。また、射出成形等によって外容器4用のプリフォーム、および内容器3用のプリフォームを形成し、これらを二重に組み合わせた後、二軸延伸ブロー成形することで容器本体2を形成してもよい。また、内容器3を外容器4内に収容した二重容器の形態としてもよい。
【0018】
なお、内容器3および外容器4の材質は樹脂材料とされ、剥離可能な組み合わせであれば互いに同材質でも構わないし異材質でも構わない。例えば内容器3および外容器4は、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、又は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、エチレンビニルアルコール共重合成樹脂等を用い、外容器4と内容器3とが剥離可能(相溶性がない)となる組み合わせで形成される。
【0019】
容器本体2は、口部2aに、肩部、胴部、および底部(不図示)が上から順に連設された有底筒状に形成されている。外容器4のうち少なくとも胴部に位置する部分は、容器内側に向けて弾性変形可能(スクイズ変形可能)とされている。内容器3は、外容器4のスクイズ変形に伴って減容変形する。
外容器4の底部には、内容器3との間に外気を吸入する図示しない吸気スリット部が形成されている。この吸気スリット部は、例えば金型のピンチオフ部により形成されている。
【0020】
(キャップ本体)
キャップ本体10の周壁(装着筒部13)は、容器本体2の口部2aに装着されている。本実施形態では、装着筒部13の内周面に、口部2aに形成された雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されており、装着筒部13は口部2aに螺着されている。なお、装着筒部13は口部2aにアンダーカット嵌合などによって装着されていてもよい。
【0021】
注出孔11aは、天壁部11の径方向中央部を、上下方向に貫通している。キャップ本体10には、注出孔11aの上端開口縁から上方に延びる注出筒12と、注出孔11aの下端開口縁から下方に延びる嵌合筒14と、嵌合筒14の径方向外側に位置して天壁部11から下方に延びる内筒部15と、が形成されている。注出筒12の上端部には、上方に向かうに従って漸次拡径するリップ部が形成されている。
本実施形態では、有頂筒状に形成されたキャップ本体10の内側に、連通筒31を有する内部材30が取り付けられている。なお、連通筒31は、天壁部11と一体であってもよい。
【0022】
連通筒31は、天壁部11から下方に向けて延びる上筒部31aと、上筒部31aの下方に位置する弁座部31bと、弁座部31bの下方に位置する下筒部31cと、を有している。上筒部31aの内径および外径は、上下方向の全長にわたって略一定となっている。上筒部31aは、嵌合筒14に外嵌されている。弁座部31bの内径および外径は、上筒部31aの下端部から下方に向かうに従って漸次小さくなっている。すなわち、弁座部31bはテーパを有する筒状に形成されている。下筒部31cの内径および外径は、弁座部31bの下端部における内径および外径と同等であり、上下方向の全長にわたって略一定となっている。
【0023】
上筒部31aの内径は、弁本体41の直径よりも大きく、弁座部31bの下端部および下筒部31cの内径は弁本体41の直径よりも小さい。弁本体41は、上筒部31a内を上下動自在に配設されている。また、弁本体41は、弁座部31bの下端部に着座することで、連通筒31を通じた容器本体2内と注出孔11aとの連通を遮断する。
【0024】
連通筒31の内周面には、径方向内側に向けて突出する縦リブ32が形成されている。縦リブ32は、上筒部31aから弁座部31bにかけて、上下方向に延びている。縦リブ32は、連通筒31の内周面に、周方向に等間隔を空けて複数形成されている。これらの縦リブ32は、弁本体41を径方向外側から囲い、弁本体41の上下動をガイドするように配置されている。また、各縦リブ32の上端部には、径方向内側に向けて突出する規制部32aが形成されている。規制部32aは、弁本体41の所定量以上の上昇を規制し、弁本体41が連通筒31内から不意に脱落してしまうことを防止する。
【0025】
内部材30は、連通筒31の上筒部31aから径方向外側に延びる環状部33と、環状部33の外周縁から上方に延びる接続筒部34と、接続筒部34の上端部から径方向外側に延びる環状の嵌合部35と、嵌合部35の外周縁から上方に延びる取付筒部36と、嵌合部35から下方に向けて延びる嵌合筒部37と、を有している。嵌合部35および取付筒部36が、キャップ本体10の装着筒部13内に嵌合することで、内部材30がキャップ本体10に固定されている。嵌合筒部37は、容器本体2の口部2a内に嵌合している。
【0026】
(蓋体)
蓋体20は、ヒンジHによってキャップ本体10に連結されている。蓋体20は、ヒンジH回りに、キャップ本体10に対して上方に回動可能となっている。本実施形態では、蓋体20とキャップ本体10とが一体に形成されているが、これらは互いに別体に形成されていてもよい。この場合、蓋体20はキャップ本体10に螺着やアンダーカット嵌合等がされていればよい。
【0027】
蓋体20には、頂壁21から下方に向けて延びる閉塞筒22および芯体23と、周壁24から径方向外側に向けて延びる操作部25と、が形成されている。
閉塞筒22は、蓋体20が閉じられた状態において、注出孔11a内若しくは注出筒12内に嵌合する。これにより、注出孔11aが閉塞される。芯体23は、中実の円柱状に形成されている。芯体23の上下方向における長さは、閉塞筒22の上下方向における長さよりも大きい。芯体23は、例えば内容物を注出した後、弁本体41が弁座部31bから上方に離間した位置に留まっている場合に、この弁本体41を弁座部31bに向けて押し戻す役割を有している。なお、蓋体20が閉じられ、かつ弁本体41が弁座部31bに着座した状態において、芯体23の下端部は弁本体41から上方に離間した位置となる。これにより、蓋体20が閉じられた際、芯体23によって弁本体41が弁座部31bに強く押し付けられることが抑止される。
【0028】
(弁体)
弁体40は、球状に形成された弁本体41を有している。弁本体41は、連通筒31内に上下動可能に配設されている。弁本体41は、弁座部31bに、上方に向けて離反自在に着座している。弁本体41は、弁座部31bから上方に離反することで連通筒31内と注出孔11aとを連通させる。弁本体41の所定量以上の上昇は、規制部32aによって規制される。尚、弁体40は球状に限らず、弁座部31bに着座し、連通および遮断を切り替えることが可能であればどのような形状でもよい。
【0029】
そして本実施形態の弁体40は、弁本体41から下方に向けて延びる脚部42および板状の突部43を有している。脚部42の少なくとも一部は、連通筒31から下方に突出しており、容器本体2内に位置している。突部43は、脚部42から径方向外側に向けて突出している。突部43の少なくとも一部は、容器本体内2内に位置している。
【0030】
図2(a)は、図1の弁体40を下方から見た下面図である。図2(a)に示すように、脚部42は、上下方向に延びる円柱状に形成されている。突部43は、表裏面が口部2aの内周面を向く板状に形成されている。本実施形態では、一対の突部43が、脚部42の外周面に、周方向に等間隔を空けて配置されている。
なお、弁体40には、脚部42が形成されていなくてもよい。この場合、一枚の板状の突部43が、弁本体41から下方に向けて延びていてもよい。
【0031】
次に、以上のように構成された注出キャップ1の作用について説明する。
【0032】
容器本体2の内容物を注出させる場合、まず、操作部25を摘む等によって蓋体20をヒンジH回りに上方に回動させる。
次に、図3に示すように、容器本体2を傾ける。このとき、内容物などの自重、若しくは外容器4を握って変形させることによる内容器3の内圧の上昇によって、弁体40に、注出孔11a側に向けた力が作用する。これにより、弁本体41が弁座部31bから注出孔11a側に離反し、注出孔11aと容器本体2内とが、連通筒31を通して連通する。従って、容器本体2の内容物を、連通筒31および注出孔11aを通じて注出させることができる。
【0033】
内容物の注出が完了した後は、容器本体2を再び正立姿勢(図1)に戻し、蓋体20を閉じる。このとき、弁本体41が規制部32aの近傍に留まっている場合は、芯体23によって弁本体41が下方に向けて押圧される。これにより、弁本体41が弁座部31bに再び着座し、容器本体2内を密封して、内容物の乾燥などを防ぐことができる。
【0034】
ところで、例えば使用者が蓋体20を閉め忘れた場合や、蓋体20による注出孔11aの閉塞が不充分だった場合には、弁本体41付近に付着した内容物が乾燥する場合がある。さらに、乾燥した内容物が、弁本体41と弁座部31bとを固着させてしまう場合がある。
【0035】
ここで本実施形態では、弁体40に、脚部42および板状の突部43が設けられている。そして、脚部42および突部43の一部は、連通筒31から下方に突出し、容器本体2内に位置している。このため、図3に示すように、容器本体2内から連通筒31へと向かう内容物の流れが、脚部42および板状の突部43に当たる。これにより、弁体40には、弁本体41を中心として揺動させるような力が作用するため、仮に弁本体41が弁座部31bに固着していたとしても、弁体40を揺動させてこの固着を解除することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の注出キャップ1によれば、弁本体41と弁座部31bとの固着を解除して、より確実に内容物を注出させることができる。
また、上述の通り、内容物の流れを利用して固着を解除するため、例えば蓋体20の一部を弁体40に当接させて固着を抑止する場合と比較して、蓋体20の操作力が小さく抑えられる。従って、蓋体20の操作性を改善することができる。
【0037】
また、突部43が板状に形成されることで、内容物の流れをより広い面積で受けて、弁体40を揺動させる力を大きくすることができる。従って、弁本体41と弁座部31bとが強固に固着していたとしても、この固着を解除することができる。
【0038】
なお、弁体40の形状は図2(a)の例に限られず、適宜変更してもよい。例えば図2(b)に示すように、下方から見たときに、複数の突部43がY字状に配置されていてもよい。より詳しくは、3つの板状の突部43が、周方向に等間隔を空けて、キャップ軸O(脚部42)から放射状に延びていてもよい。
あるいは図2(c)に示すように、下方から見たときに、複数の突部43が十字状に配置されていてもよい。より詳しくは、4つの板状の突部43が、周方向に等間隔を空けて、キャップ軸O(脚部42)から放射状に延びていてもよい。
【0039】
図2(b)、(c)の形状によれば、例えばある1つの突部43の表面に沿って内容物が流動したとしても、その他の突部43によってこの流れを受けることができる。つまり、突部43が容器本体2内で内容物の流れを受けやすくなるため、弁体40を揺動させる力をより確実に発生させて、弁本体41の弁座部31bへの固着を解除することができる。
【0040】
また、注出キャップ1を組み立てる際の効率を考慮して、弁本体41から上方に延びる脚部42および突部43を弁体40に形成し、弁体40を上下対称な形状としてもよい。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態では、弁体の形状が第1実施形態と異なる。
【0042】
図4に示すように、本実施形態の弁体50は、略球状の弁本体51を有する弁部材50aと、板状の突部53aを有する脚部材50bと、を有している。すなわち、弁体50は、複数の部材50a、50bを互いに組み合わせることで形成されている。
【0043】
弁部材50aには、弁本体51から上方に突出する上側突部52が形成されている。弁部材50aには、脚部53を挿入するための取付孔51aが形成されている。取付孔51aは、弁本体51の下面から上側突部52の内部にかけて、上下方向に延びている。
【0044】
脚部材50bは、上下方向に延びる脚部53と、脚部53の下端部から径方向外側に向けて突出する板状の突部53aと、により、全体としてT字状に形成されている。脚部53の上端部は、取付孔51a内に挿入されている。
【0045】
図5に示すように、本実施形態でも、容器本体2内から連通筒31へと向かう内容物の流れが脚部53および突部53aに当たることで、弁本体51を中心として揺動する力を、弁体50に作用させることができる。従って、仮に弁本体51が弁座部31bに固着していたとしても、弁体50を揺動させてこの固着を解除することができる。
【0046】
さらに本実施形態では、脚部53の下端部に突部53aが形成されているため、内容物の流れがこの突部53aに当たった際、弁体50に作用する弁本体51まわりのモーメントが大きくなる。従って、より確実に弁体50を揺動させて、弁座部31bとの固着を解除することができる。さらに、突部53aによって、弁体50の重心を下方に寄せることができる。これにより、図5に示すように弁体50が傾けられたときに、弁体50自身の自重によって、弁本体51まわりのモーメントを発生させることができる。
【0047】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0048】
例えば、キャップ本体10には注出筒12が形成されていなくてもよい。
また、前記第2実施形態において、弁体50における弁部材50aおよび脚部材50bが一体に形成されていてもよい。
【0049】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0050】
例えば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、図1または図2(a)〜(c)に示す弁体40に、脚部42の下端部から径方向外側に突出する突部53aを形成してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…注出キャップ 2…容器本体 2a…口部 3…内容器 4…外容器 10…キャップ本体 11…天壁部 11a…注出孔 20…蓋体 31…連通筒 40、50…弁体 41、51…弁本体 42、53…脚部 43、53a…突部
図1
図2
図3
図4
図5