特許第6976152号(P6976152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976152
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】計量キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/04 20060101AFI20211125BHJP
   B65D 41/26 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   B65D41/04 400
   B65D41/26
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-231215(P2017-231215)
(22)【出願日】2017年11月30日
(65)【公開番号】特開2019-99211(P2019-99211A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−209250(JP,A)
【文献】 特開2012−206744(JP,A)
【文献】 特開平11−208691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/04
B65D 41/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成された中栓部材と、
前記中栓部材に螺着され、前記注出口を覆う有頂筒状の計量カップと、を備え、
前記中栓部材は、前記計量カップを径方向の外側から囲むと共に、キャップ軸方向に沿う前記容器本体の外側に向けて開口した囲繞筒部を有し、
前記計量カップには、前記計量カップと前記囲繞筒部との間に配設されると共に、その先端部が前記囲繞筒部よりも前記容器本体の外側に配設され、且つ径方向の内側に向けて弾性変形可能な操作片が組み合わされ、
前記囲繞筒部の内周面には、径方向の外側に向けて凹むと共に、前記操作片を離脱可能に係止させて、前記囲繞筒部に対する前記操作片の前記キャップ軸回りの相対移動を規制する係止凹部が形成され、
前記計量カップのうち、前記係止凹部に対して径方向に対向する部分には、径方向の内側に向けて窪むように形成された第1凹部が形成され、
前記操作片は、径方向の内側に向けて弾性変形することで、前記係止凹部内から離脱して、前記係止凹部に対する係止状態が解除される解除状態に切り換わると共に、前記第1凹部内に収容されることを特徴とする計量キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の計量キャップにおいて、
前記操作片及び前記係止凹部は、前記キャップ軸回りに間隔をあけて複数形成されている、計量キャップ。
【請求項3】
請求項2に記載の計量キャップにおいて、
前記操作片及び前記係止凹部は、それぞれ前記キャップ軸を挟んで径方向に向かい合うように配置されている、計量キャップ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の計量キャップにおいて、
前記計量カップは、ブロー成形で形成されている、計量キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
計量キャップとして、例えば下記特許文献1に示されるように、内容物が収容される容器体の口部に装着されると共に、内容物を注出する注出筒が底壁部から立設された有底筒状のキャップ本体と、キャップ本体に螺着された有頂筒状の計量カップと、を備える計量キャップが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−209248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の計量キャップでは、例えば商品流通時、保管時等において、計量カップに何らかの外力が加わったときに、計量カップが緩んで外れるおそれがあり、改善の余地があった。さらに、使用後に計量カップをキャップ本体に取り付けるときに、計量カップを強く締め込んでしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、計量カップが不意に外れ難い計量キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る計量キャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成された中栓部材と、前記中栓部材に螺着され、前記注出口を覆う有頂筒状の計量カップと、を備え、前記中栓部材は、前記計量カップを径方向の外側から囲むと共に、キャップ軸方向に沿う前記容器本体の外側に向けて開口した囲繞筒部を有し、前記計量カップには、前記計量カップと前記囲繞筒部との間に配設されると共に、その先端部が前記囲繞筒部よりも前記容器本体の外側に配設され、且つ径方向の内側に向けて弾性変形可能な操作片が組み合わされ、前記囲繞筒部の内周面には、径方向の外側に向けて凹むと共に、前記操作片を離脱可能に係止させて、前記囲繞筒部に対する前記操作片の前記キャップ軸回りの相対移動を規制する係止凹部が形成され、前記計量カップのうち、前記係止凹部に対して径方向に対向する部分には、径方向の内側に向けて窪むように形成された第1凹部が形成され、前記操作片は、径方向の内側に向けて弾性変形することで、前記係止凹部内から離脱して、前記係止凹部に対する係止状態が解除される解除状態に切り換わると共に、前記第1凹部内に収容される
【0007】
本発明に係る計量キャップによれば、例えば商品流通時、保管時等において、計量カップに組み合わされた操作片が係止凹部内に係止されて、囲繞筒部に対する操作片のキャップ軸回りの相対移動が規制されているので、何らかの外力が計量カップに加わったとしても、計量カップが緩んで、不意に外れてしまうことを防止することができる。
【0008】
使用する場合には、例えば操作片の先端部を径方向の内側に向けて押し込む等して、操作片を径方向の内側に向けて弾性変形させる。これにより、操作片を係止凹部内から離脱させることができ、係止凹部に対して係止した係止状態から、係止状態が解除される解除状態に切り換えることができる。従って、操作片を径方向の内側に向けて弾性変形させながら、計量カップを中栓部材に対してキャップ軸回りに回転させることで、中栓部材から計量カップを取り外すことができる。
その後、注出口を通じて、容器本体内の内容物を計量カップ内に注出することで、計量カップを利用して内容物を計量することができる。その結果、計量した内容物を使用することができる。
【0009】
また、計量カップを取り外す場合には、計量カップを回転操作する前に、操作片を径方向の内側に向けて弾性変形させる予備操作を行う必要があるので、例えば乳幼児や子供等の非使用対象者が計量カップの回転操作だけを行ったとしても計量カップの取り外しに繋がり難い。従って、事前に操作片を弾性変形させる予備操作を行うことを認識している特定の使用対象者による計量カップの取り外しを許容しつつ、非使用対象者による意図しない計量カップの取り外しを防止することができる。
【0010】
内容物の使用後、中栓部材に対して計量カップを取り付ける場合には、中栓部材に対して計量カップをキャップ軸回りに回転させて、計量カップの締め付けを行う。このとき、計量カップに操作片が組み合わされているので、計量カップの締め込みを行う過程で、操作片を係止凹部内に係止させることができる。
これにより、係止凹部に対して操作片を係止状態にすることができ、計量カップがそれ以上締め付けられることを防止することができる。従って、計量カップを締め込み位置に位置決めすることができ、計量カップを強く締め込みすぎてしまうことを防止することができる。そのため、容易且つ確実に計量カップを適切な締め付け力で取り付けることができる。
このように、計量カップを強く締め込みすぎてしまうことを防止できるので、次回に計量カップを取り外す際に、大きな力を必要とせずに計量カップを弛めることができ、計量カップを容易に取り外し易い。また、計量カップ側のねじ山が潰れる等の不都合が生じ難く、中栓部材に対する計量カップの締め込みを確実に行うことができ、例えば計量カップが空回りする等といった不都合を招き難い。
【0011】
(2)前記操作片及び前記係止凹部は、前記キャップ軸回りに間隔をあけて複数形成されても良い。
【0012】
この場合には、複数の操作片を各係止凹部内に係止させることができるので、囲繞筒部に対する操作片のキャップ軸回りの相対移動を効果的に規制することができる。従って、計量カップをさらに緩み難くすることができ、計量カップが不意に外れてしまうことを効果的に防止し易い。
さらに、内容物の使用後、中栓部材に対して計量カップを取り付けるときに、複数の操作片を各係止凹部内に係止させることができるので、囲繞筒部に対して計量カップがキャップ軸回りに相対移動することを効果的に防止することができる。従って、計量カップを強く締め込みすぎてしまうことを効果的に防止することができる。
【0013】
(3)前記操作片及び前記係止凹部は、それぞれ前記キャップ軸を挟んで径方向に向かい合うように配置されても良い。
【0014】
この場合には、操作片がキャップ軸を挟んで径方向に向かい合うように配置されているので、例えば複数の操作片を指先で径方向の内側に向けて押し込むように、複数の操作片を同時に弾性変形させ易い。従って、複数の操作片を具備していたとしても、計量カップを効率良く取り外すことができ、操作性を向上することができる。
【0015】
(4)前記計量カップは、ブロー成形で形成されても良い。
【0016】
この場合には、計量カップがブロー成形(例えば押出しブロー成形等)によって形成されているので、計量カップを所望の形状に精度良く形成することができ、計量に適した形状の計量カップとすることができる。また、計量カップを多層成形することも可能であるので、例えば特定の機能(バリア性、耐薬品性等)を具備する計量カップとすることが可能であり、付加価値を高めることができる。
さらに、ブロー成形によって計量カップにねじ部を形成した場合には、例えば射出成形で形成した場合よりも、ねじ部の剛性が低下し易い。しかしながら、この場合であっても、計量カップに組み合わせた操作片を利用して計量カップを強く締め付けてしまうことを防止できるので、ねじ部に過度な応力が作用することを防止することができる。そのため、ブロー成形によってねじ部を形成したとしても、ねじ部のねじ山が例えば潰れる等といった不都合が生じ難い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、計量カップが不意に外れ難い計量キャップとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る計量キャップの実施形態を示す図であって、容器本体の口部に装着された状態の縦断面図である。
図2図1に示すA−A線に沿った計量キャップの縦断面図である。
図3図1に示すB−B線に沿った計量キャップの横断面図である。
図4図1に示す状態から操作レバーを径方向内側に弾性変形させた状態を示す計量キャップの縦断面図である。
図5図1に示す状態から計量カップを取り外した後、容器本体内の内容物を計量カップ内に注出している状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る計量キャップの実施形態について図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の計量キャップ1は、内容物W(図5参照)が収容される容器本体10の口部11に離脱可能に装着され、内容物Wを注出する注出口3が形成された有底筒状の中栓部材2と、中栓部材2に対して螺着された有頂筒状の計量カップ4と、計量カップ4に対して一体に組み合わされた筒状の操作部材5と、を備えている。
【0020】
図1及び図2において、容器本体10の口部11、中栓部材2、計量カップ4及び操作部材5は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。以下、この共通軸をキャップ軸Oといい、キャップ軸O方向に沿う容器本体10の外側、すなわち計量カップ4側を上方、その反対側である容器本体10側を下方という。また、キャップ軸O方向から見た平面視でキャップ軸Oに交差する方向を径方向といい、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0021】
なお、内容物Wとしては特に限定されるものではないが、例えば柔軟剤液、化粧液、保湿液、美容液、洗剤液、薬液(傷薬、消炎剤や鎮痛剤等)、消臭液や揮散剤を含む芳香液等の各種液体が挙げられる。
【0022】
容器本体10の口部11の外周面には、第1ねじ部(例えば雄ねじ部)12が形成されている。容器本体10の口部11の下端部には、径方向外側へ向けて突出すると共に上下方向に沿って延びる第1回り止めリブ13が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0023】
中栓部材2は、容器本体10の口部11を径方向外側から囲む外筒部20と、外筒部20の上端部から径方向内側に向けて延び、口部11の上端開口縁上に配置された環状のフランジ部21と、外筒部20の上端部からさらに上方に向けて延びた囲繞筒部22と、フランジ部21の内周縁部から下方に向けて延びると共に、口部11の内側に密に嵌合するシール筒部23と、シール筒部23の下端部から径方向内側に向けて延びた環状の中間壁部24と、中間壁部24の内周縁部から下方に向けて延びた内筒部25と、内筒部25の下端部に一体に接続され、内筒部25の下端開口部を閉塞する底壁部26と、を備えている。
【0024】
外筒部20の内周面には、容器本体10の口部11に形成された第1ねじ部12に螺合する第2ねじ部(例えば雌ねじ部)27が形成されている。中栓部材2は、口部11に対する外筒部20の螺着によって、容器本体10の口部11に装着されている。
ただし、中栓部材2の装着方法は、螺着に限定されるものではなく、例えば口部11に対して外筒部20をアンダーカット嵌合させることによって装着しても構わない。
【0025】
外筒部20の下端部には、容器本体10の口部11に形成された第1回り止めリブ13よりも周方向の一方側(中栓部材2の締め付け方向側)に位置する部分に、径方向内側に向けて突出した第2回り止めリブ28が形成されている。
第2回り止めリブ28は、容器本体10に対して中栓部材2を周方向の他方側(中栓部材2の緩み方向側)に向けて回転させたときに、第1回り止めリブ13に対して周方向に係合する。これにより、中栓部材2は、緩み方向への回転が抑制された状態で容器本体10の口部11に装着されている。従って、計量キャップ1は、中栓部材2を利用した容器本体10の口部11からの取り外しが防止されている。つまり、計量キャップ1は、中栓部材2を弛めることによる開封が防止されている。
【0026】
なお、第2回り止めリブ28は、中栓部材2を容器本体10の口部11に装着するときに、第1回り止めリブ13を周方向の一方側から周方向に乗り越え可能とされている。これにより、容器本体10の口部11に対して中栓部材2を適切に締め付けながら取り付けることが可能とされている。
【0027】
囲繞筒部22は、計量カップ4を径方向外側から囲むと共に、上方に向けて開口するように形成されている。囲繞筒部22の内周面には、径方向外側に向けて凹むと共に、後述する操作レバー64を離脱可能に係止させて、囲繞筒部22に対する操作レバー64の周方向への相対移動を規制する係止凹部30が形成されている。
【0028】
図1及び図3に示すように、係止凹部30は、上方に向けて開口していると共に、囲繞筒部22の全長に亘って形成され、且つキャップ軸O方向から見た平面視で周方向に延びる円弧状に形成されている。本実施形態では、係止凹部30は周方向に間隔をあけて複数形成されている。具体的には、係止凹部30は、キャップ軸Oを挟んで径方向に向かい合うように2つ(一対)形成されている。
【0029】
ただし、係止凹部30の数は、2つに限定されるものではなく、1つでも構わないし、3つ以上形成しても構わない。さらに、係止凹部30を複数形成する場合には、係止凹部30を周方向に一定の間隔をあけて配置しても構わないし、不等間隔で配置しても構わない。
なお、本実施形態では、径方向のうち一対の係止凹部30同士が向かい合う方向を左右方向L1といい、左右方向L1に交差する方向を前後方向L2という。
【0030】
図2及び図3に示すように、囲繞筒部22の内周面のうち係止凹部30を除いた部分には、第3ねじ部(例えば雌ねじ部)31が形成されている。本実施形態では、第3ねじ部31は多条ねじ、具体的には二条ねじとされている。
【0031】
図1及び図2に示すように、底壁部26は、キャップ軸Oに垂直な面に対して傾斜するように形成されている。図示の例では、底壁部26は前後方向L2に傾斜するように形成されている。なお、本実施形態では、前後方向L2のうち、キャップ軸Oから底壁部26の最下端部分26aに向かう方向を後方といい、その反対側を前方という。
底壁部26には、注出口3がキャップ軸Oと同軸に形成されていると共に、注出口3を通過した内容物Wを注出するための注出ノズル35が一体に形成されている。
【0032】
注出口3は、底壁部26から上方に向けて延びるように形成され、その内側は注出口3を通じて容器本体10の内側に連通している。図示の例では、注出ノズル35は、その中心軸がキャップ軸Oとほぼ一致するように形成されている。また、注出ノズル35は、後方に向けて開口する横断面視U字状に形成されていると共に、その上端部側が上方に向かうにしたがって前方にむけて先細るように形成されている。
これにより、容器本体10を前方に向けて傾けながら注出ノズル35の上端部側を下向きにすることで、注出口3及び注出ノズル35を通じて容器本体10内の内容物Wを注出することが可能とされている。
【0033】
なお、注出ノズル35は、後述する操作レバー64よりも上方に突出するように形成されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、注出ノズル35は少なくとも囲繞筒部22よりも上方に突出するように形成されていれば良い。
また、注出ノズル35の形状は、横断面視U字状に限定されるものではなく、例えば円筒状或いは楕円筒状に形成されていても構わない。この場合、例えば注出ノズル35の下端部に貫通孔を形成、或いはその全長に亘って縦長のスリットを形成すれば良い。これにより、底壁部26上から容器本体10内に内容物Wを戻すことができ、底壁部26上に内容物Wが残留することを防止することが可能となる。
【0034】
図2に示すように、計量カップ4は、中栓部材2よりも容器本体10の外側である上方に配置されると共に中栓部材2に対して螺着され、注出口3及び注出ノズル35を覆っている。
なお、計量カップ4の材質は、特に限定されるものではないが、例えばポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂で形成されている。この場合、透明或いは半透明な合成樹脂で計量カップ4を形成することが好ましい。
【0035】
計量カップ4は、シール筒部23の内側に、シール筒部23との間に間隔をあけた状態で配設された第1連結筒部40と、第1連結筒部40の上端部から径方向外側に向けて延びると共に、フランジ部21に対して上方から接触した環状の連結壁部41と、連結壁部41の外周縁部から上方に向けて延びると共に、囲繞筒部22の内側に配設されたねじ筒部42と、ねじ筒部42の上端部から径方向外側に向けて延びた後、上方に向けて延びた計量筒部43と、計量筒部43の上端部に一体に接続され、計量筒部43の上端開口部を閉塞する頂壁部44と、を備えている。
【0036】
ねじ筒部42は、囲繞筒部22よりも上方に突出するように形成されていると共に、その外周面には、囲繞筒部22に形成された第3ねじ部31に螺合する第4ねじ部(例えば雄ねじ部)45が形成されている。なお、第4ねじ部45は、第3ねじ部32に対応して二条ねじとされている。
計量カップ4は、囲繞筒部22に対するねじ筒部42の螺着によって、中栓部材2の内側に螺着されている。従って、中栓部材2に対して計量カップ4をキャップ軸O回りに相対回転させることで、中栓部材2からの計量カップ4の取り外し、及び中栓部材2に対する計量カップ4の取り付けを行うことができる。
【0037】
計量筒部43は、下方から上方に向かうにしたがって僅かに縮径するように形成されていると共に、その下端部側の外径は囲繞筒部22の外径と略同径とされている。さらに、計量筒部43は、注出ノズル35よりも上方に突出するように形成されている。そのため、計量カップ4は、注出ノズル35と頂壁部44との間にキャップ軸O方向に一定の間隔をあけた状態で、注出ノズル35を上方から覆っている。
【0038】
計量カップ4のうち、計量筒部43及び頂壁部44で画成される内部空間が、内容物Wを計量する計量室46とされている。計量筒部43には、内容物Wを計量するための計量用目盛47が形成されている。
【0039】
計量用目盛47は、計量筒部43のうち主に後側部分に周方向に延びるように円弧状に形成されている。図示の例では、計量用目盛47は、上下に間隔をあけて3つ形成されている。これにより、3つの計量用目盛47を指標にして計量室46内に内容物Wを注出することができ、各計量用目盛47で規定されたそれぞれの注出量となるように内容物Wを計量することが可能となる。
なお、計量用目盛47は、後述する操作部材5のリップ部63aとはキャップ軸Oを挟んで径方向の反対側に位置するように形成されている。
【0040】
図1及び図3に示すように、ねじ筒部42のうち、中栓部材2の囲繞筒部22に形成された係止凹部30に対して径方向に対向する部分には、径方向内側に向けて窪んだ第1凹部50が形成されている。そのため、第1凹部50は、係止凹部30に対応して周方向に間隔をあけて2つ形成され、キャップ軸Oを挟んで左右方向L1に向かい合うように形成されている。
第1凹部50は、囲繞筒部22よりも上方に向けて延びるように計量筒部43に亘って縦長に形成されていると共に、下方に向けて開口している。さらに第1凹部50は、後述する操作レバー64よりも上方に向けて延びていると共に、係止凹部30に対応して周方向に延びるように横断面視円弧状に形成されている。
【0041】
連結壁部41には、上方に向けて窪む第2凹部51が第1凹部50に連設されるように、連結壁部41に沿って左右方向L1に延びるように形成されている。第2凹部51は、第1連結筒部40側及び囲繞筒部22側の両方に向けて開口するように形成されている。
【0042】
上述のように構成された計量カップ4は、図示しない成形用金型を利用したブロー成形で形成されている。
具体的には、計量カップ4は、パリソンを利用した押出しブロー成形によって形成されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えばインジェクション成形や、その他の成形方法で形成しても構わない。
【0043】
従って、第4ねじ部45及び計量用目盛47は、ブロー成形によってねじ筒部42及び計量筒部43にそれぞれ形成される。そのため、図2に示すように、第4ねじ部45は、ねじ筒部42の一部が径方向外側に向けて局所的に突出するように形成される。同様に、計量用目盛47は、計量筒部43の一部が径方向内側に向けて局所的に突出(図示の例では折れ曲がるように突出)するように形成される。従って、ねじ筒部42の内周面には、第4ねじ部45に対応して径方向外側に向けて僅かに窪む凹み52が形成され、計量筒部43の外周面には計量用目盛47に対応して径方向内側に向けて僅かに窪む凹み53が形成されている。
よって、これらの凹み52、53によって、計量カップ4がブロー成形によって形成されたか否かを判別することが可能である。
【0044】
図1及び図2に示すように、操作部材5は、第1連結筒部40に対して下方から組み合わされることで、計量カップ4に対して一体に組み合わされている。
操作部材5は、第1連結筒部40を径方向外側から囲む第2連結筒部60と、第2連結筒部60の下端部から径方向内側に向けて延びると共に、第1連結筒部40の下端開口縁に対して下方から接触する環状のフランジ部61と、フランジ部61の内周縁部から上方に向けて延びると共に、第1連結筒部40の内側に密に嵌合するシール筒部62と、フランジ部61の内周縁部から下方に向けて延びると共に中栓部材2の内筒部25の内側に密に接触する注出筒部63と、第2連結筒部60の上端部に接続された操作レバー(操作片)64と、を備えている。
なお、操作部材5は、例えば図示しない成形用金型を利用した射出成形により形成されている。
【0045】
第2連結筒部60は、第1連結筒部40と中栓部材2におけるシール筒部23との間に配設され、第1連結筒部40に対してキャップ軸O回りの相対回転が規制された状態で強固に嵌合されている。操作部材5は、第1連結筒部40及び第2連結筒部60同士の嵌合によって、計量カップ4に対して相対移動不能に組み合わされている。
なお、第2連結筒部60の一部は、図1に示すように、計量カップ4の第2凹部51内に下方から入り込むように、フランジ部21よりも上方に向けて延びている。
【0046】
図1及び図2に示すように、フランジ部61は、第2連結筒部60の下端部と中栓部材2における中間壁部24との間に配設されている。上述したように、シール筒部62が第1連結筒部40の内側に密に嵌合し、注出筒部63が中栓部材2の内筒部25の内側に密に接触することで、計量カップ4の装着時、シール筒部62と第1連結筒部40との間、及び注出筒部63と内筒部25との間のシール性を確保することができ、容器本体10内の内容物Wの漏出を防止している。
【0047】
なお、計量カップ4の取り外し後、計量カップ4内で計量された内容物Wを、注出筒部63を利用して外部に注出することが可能とされている。本実施形態では、注出筒部63の下端部における前側部分には、下方に向かうにしたがって前方側に延びたリップ部63aが形成されている。そのため、計量カップ4内で計量された内容物Wを、リップ部63aを利用して外部に注出することが可能とされている。
【0048】
図1及び図3に示すように、操作レバー64は、計量カップ4と囲繞筒部22との間に配設されると共に、径方向内側に向けて弾性変形可能とされている。操作レバー64は、囲繞筒部22に形成された係止凹部30内に離脱可能に係止されていると共に、図4に示すように、径方向内側に向けて弾性変形することで、係止凹部30内から離脱して、係止凹部30に対する係止状態が解除される解除状態に切り換わる。
【0049】
図1に示すように、操作レバー64は、連結片65を介して第2連結筒部60の上端部に接続されている。連結片65は、第2連結筒部60の上端部のうち第2凹部51内に下方から入り込んだ部分から径方向外側に向けて延びると共に第2凹部51内に収容されている。
【0050】
操作レバー64は、連結片65の外端部65aから上方に向けて延びている。具体的には、操作レバー64は、連結片65との接続部分(外端部65a)から上方に向かうにしたがって径方向外側に向かうように斜めに延びて囲繞筒部22の上方に達した後、上方に向けてさらに延びるように形成されている。
これにより、操作レバー64の上端部(先端部)64aは、囲繞筒部22の上端部よりも上方に位置している。そのため、操作レバー64の上端部64aを外部から例えば押込み操作することができ、操作レバー64を径方向内側に弾性変形させることが可能とされている。
【0051】
図1及び図3に示すように、操作レバー64は、係止凹部30の形状に対応して周方向に延びるように横断面視円弧状に形成され、その一部が係止凹部30内に入り込んで、係止凹部30に対して周方向に係止されている。
なお、操作レバー64は、図4に示すように、径方向内側に向けた弾性変形によって係止凹部30内から離脱したときに、計量カップ4の第1凹部50内に収容される。これにより、計量カップ4に影響されることなく、操作レバー64を弾性変形させることが可能とされている。
【0052】
(計量キャップの使用)
次に、上述のように構成された計量キャップ1を使用する場合について説明する。
はじめに、計量キャップ1が装着されている場合には、図1図3に示すように、計量カップ4に一体に組み合わされた操作部材5の操作レバー64が係止凹部30内に係止されて、囲繞筒部22に対する操作レバー64のキャップ軸O回りの相対移動が規制されている。
従って、例えば商品流通時、保管時等において、何らかの外力が計量カップ4に加わったとしても、計量カップ4が緩んで不意に外れてしまうことを防止することができる。
【0053】
次に使用する場合には、図4に示すように、操作レバー64の上端部64aを径方向内側に向けて押し込む等して、操作レバー64を径方向内側に向けて弾性変形させる。これにより、操作レバー64を係止凹部30内から離脱させることができ、係止凹部30に対して係止した状態から、係止状態が解除された解除状態に切り換えることができる。従って、操作レバー64を径方向内側に向けて弾性変形させながら、計量カップ4を中栓部材2に対してキャップ軸O回りに回転させることで、中栓部材2から計量カップ4を取り外すことができる。
【0054】
計量カップ4を取り外した後、容器本体10を前方側に向けて傾けて注出ノズル35を下向きにすることで、図5に示すように、容器本体10内の内容物Wを注出口3及び注出ノズル35を利用して計量カップ4内に注出することができ、計量カップ4の計量室46を利用して内容物Wを計量することができる。すなわち、計量用目盛47を指標にしながら、計量カップ4の計量室46内に内容物Wを注出することで内容物Wの計量を行える。
【0055】
そして、内容物Wの計量後、計量カップ4を傾けることで、注出筒部63を利用して計量室46内に溜まった内容物Wをスムーズに外部に注出することができる。これにより、計量された量の内容物Wを使用することができる。このとき、注出筒部63のリップ部63aを利用して内容物Wを注出することができるので、例えば内容物Wをスムーズに注出することができるうえ、液切れを良くすることができる。
さらに、リップ部63aと計量用目盛47とはキャップ軸Oを挟んで径方向の反対側に配置された位置関係になっているので、リップ部63aを利用して内容物Wを注出する際に、内容物Wは計量用目盛47が形成されている側の計量カップ4の壁面を伝わることがない。そのため、キャップ軸O方向に隣り合う計量用目盛47同士の間に内容物Wが残ってしまうことを防止することができ、計量した内容物Wを残すことなく確実に注出することができる。
【0056】
また、計量カップ4を取り外す場合には、図4に示すように、計量カップ4を回転操作する前に、操作レバー64を径方向内側に向けて弾性変形させる予備操作を行う必要があるので、例えば乳幼児や子供等の非使用対象者が計量カップ4の回転操作だけを行ったとしても計量カップ4の取り外しに繋がり難い。
従って、事前に操作レバー64を弾性変形させる予備操作を行うことを認識している特定の使用対象者による計量カップ4の取り外しを許容しつつ、非使用対象者による意図しない計量カップ4の取り外しを防止することができる。
【0057】
次に内容物Wの使用後、中栓部材2に対して計量カップ4を取り付ける場合には、中栓部材2に対して計量カップ4をキャップ軸O回りに回転させて、計量カップ4の締め付けを行う。このとき、計量カップ4に操作レバー64を有する操作部材5が一体に組み合わされているので、計量カップ4の締め込みを行う過程で、操作レバー64を係止凹部30内に係止させることができる。
これにより、係止凹部30に対して操作レバー64を係止状態にすることができ、計量カップ4がそれ以上強く締め付けられることを防止することができる。従って、計量カップ4を締め込み位置に位置決めすることができ、計量カップ4を強く締め込みすぎてしまうことを防止することができる。そのため、容易且つ確実に計量カップ4を適切な締め付け力で取り付けることができる。
【0058】
このように、計量カップ4を強く締め込みすぎてしまうことを防止できるので、次回に計量カップ4を取り外す際に、大きな力を必要とせずに計量カップ4を弛めることができ、計量カップ4を容易に取り外し易い。また、計量カップ4における第4ねじ部45のねじ山が潰れる等の不都合が生じ難く、中栓部材2に対する計量カップ4の締め込みを確実に行うことができ、例えば計量カップ4が空回りする等といった不都合を招き難い。
【0059】
さらに、第3ねじ部31及び第4ねじ部45が二条ねじであるので、計量カップ4を大きく回転操作することなく取り付けることができる。例えば、計量カップ4を半周程度回転(キャップ軸O回りに略180度回転)させることで、適切な締め付けを行うことができる。そのため、計量カップ4を取り付けるにあたって、操作レバー64を径方向内側に向けて弾性変形させた状態を維持しておく必要がなく、操作レバー64を囲繞筒部22の内周面に接触させながら計量カップ4を回転操作することができる。この場合、操作レバー64は計量カップ4の回転操作に伴って係止凹部30に達すると、自身の弾性復元力により係止凹部30内に自ら入り込んで、係止凹部30に対して係止した状態となる。
従って、計量カップ4を速やかに取り付けることができると共に、操作レバー64を容易且つ確実に係止凹部30内に係止させることができる。
【0060】
上述したように、本実施形態の計量キャップ1によれば、計量カップ4を締め込み位置に位置決めした状態で適切に取り付けることができると共に、計量カップ4が不意に外れてしまうことを防止することができる。
【0061】
さらに、本実施形態の計量カップ4では、図1及び図3に示すように、2つの操作レバー64を各係止凹部30内に係止させることができるので、囲繞筒部22に対する操作レバー64のキャップ軸O回りの相対移動を効果的に規制することができる。従って、計量カップ4を緩み難くすることができ、計量カップ4が不意に外れてしまうことを効果的に防止し易い。
さらに、内容物Wの使用後、中栓部材2に対して計量カップ4を取り付けるときに、2つの操作レバー64を各係止凹部30内に係止させることができるので、囲繞筒部22に対して計量カップ4がキャップ軸O回りに相対移動することを効果的に防止することができる。従って、計量カップ4を強く締め込みすぎてしまうことを効果的に防止することができる。
【0062】
さらに、2つの操作レバー64は、キャップ軸Oを挟んで左右方向L1に向かい合う(径方向に向かい合う)ように配置されているので、例えば2つの操作レバー64の上端部64aを指先で径方向内側に向けて押し込むことができ、2つの操作レバー64を同時に弾性変形させることができる。従って、2つの操作レバー64を具備していたとしても、計量カップ4を効率良く取り外すことができ、操作性を向上することができる。
【0063】
さらに、計量カップ4が押出しブロー成形等のブロー成形によって形成されているので、計量カップ4を所望の形状に精度良く形成することができ、計量に適した形状の計量カップ4とすることができる。また、計量カップ4を多層成形することも可能であるので、例えば特定の機能(バリア性、耐薬品性等)を具備する計量カップ4とすることが可能であり、付加価値を高めることができる。
【0064】
さらに、ブロー成形によって計量カップ4に第4ねじ部45を形成した場合には、図2に示すように、ねじ筒部42の内周面に第4ねじ部45に対応して凹み52が形成されてしまうので、例えば射出成形で第4ねじ部45を形成する場合よりも第4ねじ部45の剛性が低下し易い。
しかしながら、この場合であっても、計量カップ4に一体に組み合わせた操作部材5の操作レバー64を利用して計量カップ4を強く締め付けてしまうことを防止できるので、第4ねじ部45に過度な応力が作用することを防止することができる。そのため、ブロー成形によって第4ねじ部45を形成したとしても、第4ねじ部45のねじ山が例えば潰れる等といった不都合が生じ難い。
【0065】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。各実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが可能である。さらに、これら実施形態には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0066】
例えば、上記実施形態では、中栓部材2に注出ノズル35を形成したが、注出ノズル35は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
また、上記実施形態では、操作レバー64を、連結片65との接続部分(外端部65a)を中心に回動するように径方向内側に向けて弾性変形可能に構成したが、この場合に限定されるものではなく、例えば径方向内側に向けてスライド移動するように弾性変形可能に構成しても構わない。
さらに、第3ねじ部31及び第4ねじ部45を、二条ねじとしたが、二条ねじを含む多条ねじに限定されるものではなく、一条ねじであっても構わない。
【符号の説明】
【0067】
O…キャップ軸
1…計量キャップ
2…中栓部材
3…注出口
4…計量カップ
10…容器本体
11…容器本体の口部
22…囲繞筒部
30…係止凹部
64…操作レバー(操作片)
64a…操作レバーの上端部(先端部)
図1
図2
図3
図4
図5