(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部において前記時差付きの仮想3層とする駆動動作を行う場合に、同時制御される層の等価回路および実回路での負荷容量と、電荷転送方向との関係を元に、前記時差が定まることを特徴とする請求項1に記載のCCDカメラ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
上述の様に、PDからCCDへ4層を用いて電荷移動した後、垂直転送に4層を用いると8つの状態に遷移してラインシフト動作を行なう必要が生ずる。撮像素子のCCD駆動には水平転送のブランキング部分にて垂直転送でラインシフト動作を行なう。垂直1/2圧縮による高速動作時には水平転送のブランキング部分にて垂直転送でラインシフト動作を2回行なう必要が有り、垂直転送に4層を用いると8つの状態による遷移を2回、合計16の状態を遷移してラインシフト動作を行なう必要が生ずる。
【0013】
撮影速度を上げるために駆動パルスを高速化するとパルスの幅が狭くなり、少ないブランキング期間に標準で8状態の遷移も難しく、圧縮で16状態の遷移を行なうことは更に困難になってくる。
【0014】
<前提技術>
まず、
図1、2、4、7、8を参照して、撮像素子であるCCDに関して、本実施の形態の前提技術を説明する。
【0015】
図1に、撮像素子としてCCDの一例を示す。PD感光部(以下、単に「PD」という。)にて光電変換され映像の光を元に蓄積された電荷は、垂直転送パルス入力の電位変化によって垂直転送部へ引きこまれる。垂直転送部が4層の場合はV1、V2、V3、V4の4つの駆動パルスを用いて状態遷移を行なっており、例えば、V1同士やV2同士はそれぞれ同じパルスで駆動されている。そして、プログレッシブCCDの場合は、PDに対してV1からV4まで1セット存在し、電荷がV1から次のV1まで移動したとき1ライン分シフトしたことになる。最終的に電荷は水平転送部へ運ばれる。
【0016】
通常動作では1ラインシフトした後に水平転送動作が行われて垂直の全ラインが独立して出力される。圧縮動作では水平転送動作が止まっているブランキング期間に2ラインシフトするので垂直2ライン分の電荷が水平転送路に混合される。垂直の2ラインが加算されてライン総数は半分として出力される。本実施形態では、ラインシフト動作と駆動パルス波形が寄与するので、別図にてタイミングチャートと合わせて説明を行なう。
【0017】
図2にPDから4層垂直転送CCDへの電荷読出しのタイミングチャートの一例を示す。垂直転送のラインシフト動作ではCCD各層の電極に駆動パルスを与え、映像電荷を保持できる状態と電荷を遮蔽する壁の状態を各層に作り出している。
【0018】
図上部にV3、V2、V1、V4のタイミングチャートを左から右へ時間が経過する方向として記載している。それぞれに上下の破線を示し、上の破線が映像電荷を保持できる状態を作る電位を示し、下の破線が電荷を遮蔽する壁の状態を作る電位を示している。実線は各駆動パルスのその時間における電位を示しており、また、V1で上の破線より更に電位が高く記載されている時間はPDの電荷をV1へ引きこんでいる状態となる。なお、後述する
図3〜6における破線・実線・楕円の関係性は本図と同じ意図で記載し、説明省略する。
【0019】
図下部には、タイミングチャートが示す状態におけるPDとV1、V2、V3、V4での電荷が存在できる場所を模式的に示している。垂直転送部は楕円の部分が、電荷が存在できる状態になっている。V1とV2に電荷が存在できる状態(T11)から、V1と隣接するV4にも電荷が存在できる状態に遷移し(T12)、続いてPDから電荷をV1に引きこむことで(T13)、隣接のV4とV2を合わせて大きな範囲で電荷を引きこむことができている。
【0020】
このときV3は、電荷を遮蔽する壁の状態になっており、PD画素が上下混合されないよう切り分けに働いている。V4、V1、V2にPDの電荷を引きこみ終えた後(T14)、V3とともにV4を電荷を遮蔽する壁の状態にする(T15)。V1とV2に電荷が存在できる状態からV3も電荷が存在できる状態として(T16)、次いでV1を電荷を遮蔽する壁の状態とし(T17)、遮蔽する壁と電荷保持する場所を順次切り分けて電位を遷移することで保持した電荷を移動させていく。
【0021】
図3に4層駆動垂直転送CCDの通常のラインシフト駆動タイミングチャートの一例を示す。図上部にはV1、V2、V3、V4のタイミングチャートを示し、図下部にはタイミングチャートが示す状態におけるV1、V2、V3、V4での電荷が存在できる場所を模式的に示している。なお、以下の説明で「V1V2」のように表記する部分は、図中の楕円で「V1及びV2」を囲んだ状態をいい、すなわち、V1とV2に電荷が存在できる状態を示している。
【0022】
V1V2に存在する電荷を1ラインシフトして次のV1V2へ移動するのに、V1V2、V1V2V3、V2V3、V2V3V4、V3V4、V3V4V1、V4V1、V4V1V2の8状態を必要とすることが判る。駆動パルス波形は負荷容量によって時定数を持った波形になるが別図にて示す。
【0023】
図4に4層駆動垂直転送CCDの圧縮2ラインシフト駆動タイミングチャートの一例を示す。図上部にはV1、V2、V3、V4のタイミングチャートを示し、図下部にはタイミングチャートが示す状態におけるV1、V2、V3、V4での電荷が存在できる場所を模式的に示している。
【0024】
V1V2に存在する電荷を2ラインシフトして次のさらに次のV1V2へ移動するのに、V1V2、V1V2V3、V2V3、V2V3V4、V3V4、V3V4V1、V4V1、V4V1V2の8状態を1サイクルとして2回必要とすることが判る。このため通常のラインシフト駆動タイミングチャートの倍の速度で状態遷移を必要としており、駆動パルスの幅が狭くなっている。駆動パルス波形は負荷容量によって時定数を持った波形になるが別図にて示す。
【0025】
図7に4層駆動垂直転送CCDの通常のラインシフト駆動パルス波形の簡易図の一例を示す。なお、実際の駆動パルス波形はお互いのパルスの影響でもう少し複雑な形状をしているが、ここでは撮像素子の等価回路容量によってパルス波形の立上り・立下りが大きく歪むことを表わした簡易図で説明する。
【0026】
横軸は時間を表わし、縦軸はV1、V2、V3、V4のパルス毎にパルス電位の高低を示している。各パルスにて弧を描いている部分は電位の変化に対してパルス波形の立上り・立下りが等価回路容量によって遅れる部分を表わしている。上下の太い水平線は必要な電位に達して安定した状態である。なお、横軸・縦軸の関係や、パルスの弧で示した部分や太い水平線で示した部分と特徴は、後述する
図8〜10でも同様であり、それらでは説明を省略する。
【0027】
図7に示すように、充分な転送幅を持った通常のラインシフトでは全ての駆動パルスで上下の電位を安定して作れており電荷転送の電位差を確保できていることが判る。
【0028】
図8に4層駆動垂直転送CCDの圧縮2ラインシフト駆動パルス波形の簡易図の一例を示す。ここでは前出同様に撮像素子の等価回路容量によってパルス波形の立上り・立下りが大きく歪むことを表わした簡易図で説明する。
【0029】
図示のように、充分な転送幅を持てない圧縮2ラインシフトでは全ての駆動パルスで上下の電位を安定して作れずに電位が変化する部分が有り電荷転送の電位差の確保が困難になっていることが判る。
【0030】
<電荷転送の電位差を確保する具体的な技術>
高速動作のための限られた転送パルス生成時間内に、CCDのライン転送を行なう場合において、転送パルスの電位上下に安定部分を確保し、電荷転送の電位差を確保する技術について具体的に説明する。
【0031】
まず、本技術の特徴の概要は次の通りである。
PDからCCDへ4層を用いて電荷移動した後、垂直転送には電荷が混合しない壁となる層と、各画素の電荷を保持する層と、電位の遷移中となる層の3層が有れば確立できる。垂直転送に4層中の2層を同時制御とし同一の層に見立てて電荷を移動させることで各制御パルス幅を確保して高速転送を行なう。
【0032】
垂直転送に4層を用いると、通常は8つの状態に遷移してラインシフト動作を行なう必要が生ずる。2層を同時制御とし同一の層に見立てた仮想3層の場合は6つの状態に遷移してラインシフト動作ができ、各状態での転送幅の確保に余裕を取れる。
【0033】
撮像素子のCCD駆動には水平転送のブランキング部分にて垂直転送でラインシフト動作を行なう。垂直1/2圧縮による高速動作時には水平転送のブランキング部分にて垂直転送でラインシフト動作を2回行なう必要が有り、垂直転送に仮想3層を用いれば6つの状態による遷移を2回、合計12状態を遷移してラインシフト動作を行なうことができる。すなわち、4層を独立にした16状態遷移より少なくラインシフトを行なえるため、各状態での転送幅の確保に余裕を取れる。
【0034】
撮影速度を上げるために駆動パルスを高速化するとパルスの幅が狭くなるが、少ないブランキング期間に標準は6状態の遷移を行なえれば良く、圧縮でも12状態の遷移を行なえれば良いため、16状態遷移が必要な従来方式より転送幅の確保に余裕ができ、高速化の限界を引き上げることができる。
【0035】
<実施例1>
図5に、本実施形態の特徴の1つとして、仮想3層駆動垂直転送CCDの圧縮2ラインシフト駆動タイミングチャートの一例を示す。図上部にはV1、V2、V3、V4のタイミングチャートを示し、図下部にはタイミングチャートが示す状態におけるV1、V2、V3、V4での電荷が存在できる場所を模式的に示している。
【0036】
V1V2に存在する電荷を1ラインシフトして次のV1V2へ移動するのに、V1V2、V2、V2V3V4、V3V4、V3V4V1、V1の6状態を1サイクルとし、2ラインシフトには12状態となることが判る。駆動パルス波形は負荷容量によって時定数を持った波形になるが別図にて示す。
【0037】
図9に仮想3層駆動垂直転送CCDの圧縮2ラインシフト駆動パルス波形の簡易図の一例を示す。ここでは前出同様に撮像素子の等価回路容量によってパルス波形の立上り・立下りが大きく歪むことを表わした簡易図で説明する。また、V3とV4については共通としてパルス電位の高低を示している。
【0038】
図示のように、充分な転送幅を持てない圧縮2ラインシフトではあるが、全ての駆動パルスで上下の電位を安定して作る部分が有り、駆動パルスの振幅を従来通り4層駆動を行なうよりも確保しやすくなることが判る。
【0039】
<実施例2>
図6に仮想3層駆動垂直転送CCDの圧縮2ラインシフト駆動タイミングチャートの別の一例を示す。図上部にはV1、V2、V3、V4のタイミングチャートを示し、図下部にはタイミングチャートが示す状態におけるV1、V2、V3、V4での電荷が存在できる場所を模式的に示している。
【0040】
V1V2に存在する電荷を1ラインシフトして次のV1V2へ移動するのに、V1V2、V2、V2V3V4、V3V4、V3V4V1、V1の6状態を1サイクルとし、2ラインシフトには12状態となることは
図5の場合と同様である。ただし、他にパルス幅を殆ど取らずに電荷の進行方向の順序に合わせてV3とV4の動作を若干ずらしてV2V3(図中の領域A1参照)とV4V1(図中の領域A2参照)という状態を用意していることが判る。
【0041】
V3とV4を同時に共通層として駆動する考え方は同一であるが、各駆動パルス波形が負荷容量によって時定数を持った波形になることに対し、負荷容量などの差異が影響して電荷の移動が逆転しないよう進行方向に対して遮断と保持の関係が逆転しないようパルスタイミングを若干ずらした例となる。
【0042】
図10に仮想3層駆動垂直転送CCDの圧縮2ラインシフト駆動パルス波形の簡易図の別の一例を示す。
図5に対する
図9の駆動パルス波形の説明と同様に、
図6に対して駆動パルス波形の説明を、前出同様にCCD撮像素子101の等価回路容量によってパルス波形の立上り・立下りが大きく歪むことを表わした簡易図で説明する。ここでは、V3とV4を実線と点線で重ねた状態も併せて示している。
【0043】
図示のように、充分な転送幅を持てない圧縮2ラインシフトではあるが、全ての駆動パルスで上下の電位を安定して作る部分が有り駆動パルスの振幅を従来通り4層駆動を行なうよりも確保しやすくなることは
図9と同様である。
【0044】
また、V1とV2に対する電荷の遮断と保持の関係でV3とV4の役割が等しいことも
図9と同様である。しかしV3(V4)として実線のV3に破線のV4を重ねて示すと、電荷の保持や遮断の状態が必ずV3が先になるようCCD垂直転送の進行方向が逆転しないよう考慮されていることが判る。V3とV4の波形の変化開始点の差異が
図6にて領域A1と領域A2で示した部分に相当する。
【0045】
このように、PD電荷読出しに4層以上の垂直転送CCDを用いたCCD撮像素子において、垂直転送時に仮想3層として垂直転送CCDを駆動することで、PDからの電荷の読出し性能は同等のまま、垂直転送を高速化することが出来、撮影画像のフレームレートを上げることができる。
【0046】
特に垂直ライン圧縮を行なう場合、水平駆動周期を変えずに垂直転送を倍速とする必要が有り、仮想3層による高速転送が効果を顕著に発揮する。
【0047】
<CCDカメラ100の機能ブロック図>
図11は、本実施形態に係る仮想З層駆動垂直転送機能(圧縮2ラインシフト仮想3層駆動機能)を有するCCDカメラ100の機能ブロックである。本実施形態の特徴と関連する部分について説明し、関連が無い部分については説明を省略している。
【0048】
CCDカメラ100は、CCD撮像素子101と、映像処理回路102と、水平カウンタ回路201と、垂直カウンタ回路202と、PD読出し駆動パルス生成回路301と、垂直転送駆動パルス生成回路302と、駆動選択回路303と、コントロール処理回路401とを備える。
【0049】
CCD撮像素子101は、CCD映像出力101aを、映像処理回路102を与える。CCD映像出力101aは、映像処理回路102にて必要とされる処理を施された上で、カメラ映像出力102aとして出力される。カメラ映像出力102aの形式は特に問わない。
【0050】
水平カウンタ回路201は、CCDカメラ100の動作クロックを元に映像水平サンプルの座標を表わす水平カウンタ値201aを出力し、映像処理回路102と垂直カウンタ回路202とPD読出し駆動パルス生成回路301と垂直転送駆動パルス生成回路302などへクロック単位の同期タイミングとして提示する。
【0051】
垂直カウンタ回路202は、水平カウンタ値201aが定められた値になった時に、カウントを進め映像の垂直ラインの座標を表わす垂直カウンタ値202aを出力し、映像処理回路102と駆動選択回路303などへライン単位の同期タイミングとして提示する。
【0052】
PD読出し駆動パルス生成回路301は、水平カウンタ値201aとタイミングチャートによるPD電荷読出し動作のためのPD電荷読出しパルスやシャッタパルス、垂直転送パルスなど、総称して駆動パルスのパルス変化点との比較を行ない、各パルス極性動作を生成し、これらをPD読出し駆動パルス出力301aとして出力する。
【0053】
駆動パルス出力は、上述の様なV1、V2、V3、V4に加えて、電荷読出しのタイミングを伝えるSGや電荷掃き捨てのタイミングを伝えるSUBなど複数のパルスを示していることを記載しておく。
【0054】
垂直転送駆動パルス生成回路302は、一般的な4層駆動垂直転送機能と本実施形態に特徴的な仮想З層駆動垂直転送機能とを実行する。これら機能はユーザニーズに応じて選択される。また、それら機能とともに、圧縮2ラインシフト4層駆動機能も選択可能に設けられてもよい。
【0055】
まず、4層駆動垂直転送機能について、垂直転送駆動パルス生成回路302及びそれに伴う各種出力等を説明する。4層駆動垂直転送機能として、垂直転送駆動パルス生成回路302は、水平カウンタ値201aとタイミングチャートによる垂直転送動作のための駆動パルスのパルス変化点との比較を行ない、各パルス極性動作を生成し、これらを垂直転送駆動パルス出力302aとして出力する。
【0056】
水平カウンタ値201aと比較されるパルス変化点の値は後述するコントロール信号401aにて変更され、通常1ラインシフト4層駆動用のタイミングと、圧縮2ラインシフト4層駆動用のタイミングを、必要な動作側に切り替えて比較値として準備される。
【0057】
駆動選択回路303は垂直カウンタ値202aとタイミングチャートによるライン単位の駆動制御との比較を行ない、PD読出し駆動パルス出力301aや、垂直転送駆動パルス出力302aなどのパルス出力の内でライン単位の駆動制御に必要とされる動作を選択して、垂直駆動パルス出力303aをCCD撮像素子101へ出力する。
【0058】
尚、詳しくはCCD撮像素子101への出力の接続に垂直駆動パルスの合成とドライブ電圧の変換などが必要であるが、ここでは、本実施形態の特徴とは関連しないため説明を省略している。また、水平駆動パルスなどの存在についても、本実施形態の特徴を明確にするために省略している。
【0059】
コントロール処理回路401は、コントロール信号401aを出力し、他の処理回路のレジスタ値を変更して必要な動作へ切り替える。当然ながらコントロール処理回路401は外部からコントロール入力401bを受けて各処理回路へのコントロール信号401aを生成する。コントロール入力401bは、利用者による筐体スイッチでの切り替えによるものでも、PC等の外部接続機器からの電気信号によるものでもよく、その形式は特に問わない。
【0060】
つづいて、仮想З層駆動垂直転送機能について説明する。
この機能は、垂直転送駆動パルス生成回路302の処理動作及び(2)垂直転送駆動パルス出力302aが仮想3層対応したパルス出力とすることで実現される。これらの点が、相違点となり、他は同一である。
【0061】
垂直転送駆動パルス生成回路302は、水平カウンタ値201aとタイミングチャートによる垂直転送動作のための駆動パルスのパルス変化点との比較を行ない、各パルス極性動作を生成し、これらを仮想3層対応した垂直転送駆動パルス出力302’aとして出力する。
【0062】
水平カウンタ値201aと比較されるパルス変化点の値は、前述したコントロール信号401aにて変更され、通常1ラインシフト4層駆動用のタイミングと、圧縮2ラインシフト仮想3層駆動用のタイミングを、必要な動作側に切り替えて比較値として準備される。すなわち、垂直転送駆動パルス生成回路302は、
図5及び
図9で示した実施例1や
図6及び
図10で示した実施例2のタイミングチャート及び駆動パルスが適用されるように動作する。
【0063】
このように、CCDカメラ100は、仮想З層駆動垂直転送機能を有さない回路構成と実質的に同じ構成で実現することが可能であり、処理動作、すなわち上記比較値として用いられるタイミングに仮想3層駆動の技術を適用することで、一般的な4層駆動垂直転送機能とともに、複数のCCD層に対する電荷の遮断や保持の状態を共通層の如く扱う仮想З層駆動垂直転送機能を実現できる。また、仮想З層駆動垂直転送機能においても、実施例2のように、共通層とした2層(上記例ではV3とV4に対応)に対する駆動パルスを前後に僅かにずらし、CCD垂直転送の進行方向が逆転しないように動作させることもできる。
【0064】
以上の特徴を簡単に纏めると次の通りである。
(1)4層以上のCCD垂直転送の電位制御層を持つCCD撮像素子101を搭載したCCDカメラ100であって、複数の層の電位制御を同時に行ない、仮想の3層駆動(または、実際の層数より小さな仮想の層数の駆動)とみなす駆動動作を行う制御部(垂直転送駆動パルス生成回路302)を備える。これによって、高速動作のための限られた転送パルス(駆動波形)の生成時間内に、CCD撮像素子101のライン転送を行なう場合において、転送パルスの電位上下に安定部分を確保し、電荷転送の電位差を確保できる技術を実現できる
【0065】
(2)前記制御部(垂直転送駆動パルス生成回路302)は、前記仮想の3層駆動(または、実際の層数より小さな仮想の層数の駆動)において、駆動波形の電位関係が電荷転送方向と逆転しないよう電荷転送方向の前後に合わせて必要な時間差を持たせて時差付きの仮想3層(または、実際の層数より小さな仮想の層数)とする駆動動作を行ってもよい。これによって、駆動動作の順を適正に保つことができる。
【0066】
(3)前記制御部(垂直転送駆動パルス生成回路302)において前記時差付きの仮想3層とする駆動動作を行う場合に、同時制御される層の等価回路および実回路での負荷容量と、電荷転送方向との関係を元に、前記時差が定まってもよい。例えば、CCD撮像素子101の等価回路容量によってパルス波形の立上り・立下りが大きく歪む場合でも、その歪み等を考慮した時間差を付けることで、歪みの影響により駆動順が狂ってしまうことを防止できる。
【0067】
(4)前記制御部は、前記仮想の3層駆動とみなす駆動動作と、仮想の3層駆動としない駆動動作とからいずれかを選択する機能を備えてもよい。前記制御部(垂直転送駆動パルス生成回路302)は、複数の層の電位制御を同時に行なう駆動形態と行わない駆動形態で、実質的に同一の構成で実現でき、出力するパルス波形をどのようなものとするかを選択することで、所望の駆動形態を選択できる。
【0068】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。