特許第6976190号(P6976190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976190
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11578 20170101AFI20211125BHJP
   H01L 27/11524 20170101ALI20211125BHJP
   H01L 27/11551 20170101ALI20211125BHJP
   H01L 27/1157 20170101ALI20211125BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20211125BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20211125BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20211125BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20211125BHJP
   H01L 27/11575 20170101ALI20211125BHJP
   H01L 27/11548 20170101ALI20211125BHJP
【FI】
   H01L27/11578
   H01L27/11524
   H01L27/11551
   H01L27/1157
   H01L29/78 371
   H01L29/78 613B
   H01L27/11575
   H01L27/11548
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-27594(P2018-27594)
(22)【出願日】2018年2月20日
(65)【公開番号】特開2019-145635(P2019-145635A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2020年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(72)【発明者】
【氏名】村越 篤
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 広器
【審査官】 西出 隆二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−163044(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0303215(US,A1)
【文献】 特開2014−187286(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0278859(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/11578
H01L 27/11524
H01L 27/11551
H01L 27/1157
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 27/11575
H01L 27/11548
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に積層され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第1電極膜と、
前記複数の第1電極膜に近接して設けられ、前記第1方向に延びる第1半導体膜と、
前記複数の第1電極膜のうちの1つの第1電極膜と前記第1半導体膜との間に設けられ、金属、金属化合物、または高誘電体材料のいずれか1つを含む第1電荷保持膜と、
前記第1半導体膜と前記第1電荷保持膜との間に位置し、前記複数の第1電極膜と前記第1半導体膜との間において、前記第1半導体膜に沿って前記第1方向に連続して延び、前記複数の第1電極膜、前記第1電荷保持膜および前記第1半導体膜から電気的に絶縁された第2半導体膜と、
を備えた記憶装置。
【請求項2】
前記複数の第1電極膜の間にそれぞれ設けられた複数の絶縁膜をさらに備え、
前記複数の絶縁膜は、前記複数の第1電極膜のうちの前記1つの第1電極膜を挟むように設けられた第1絶縁膜および第2絶縁膜を含み、
前記第1電荷保持膜は、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜の間に位置する請求項1記載の記憶装置。
【請求項3】
前記第1電荷保持膜は、金属窒化物を含む請求項1または2に記載の記憶装置。
【請求項4】
前記第2半導体膜は、前記第1半導体膜を囲むように設けられる請求項1〜3のいずれか1つに記載の記憶装置。
【請求項5】
前記第2半導体膜は、P形不純物を含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の記憶装置。
【請求項6】
前記第1方向に積層され、前記第2方向に延びる複数の第2電極膜と、
前記複数の第2電極膜のうちの1つの第2電極膜と、前記第1半導体膜と、の間に設けられた第2電荷保持膜と、
をさらに備え、
前記第1半導体膜は、前記複数の第1電極膜と前記複数の第2電極膜との間に位置し、
前記第2半導体膜の一部は、前記第2電荷保持膜と前記第1半導体との間に位置する請求項1〜5のいずれか1つに記載の記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリセルを3次元配置することにより記憶容量を大きくした記憶装置の開発が進められている。例えば、NAND型記憶装置は、複数の電極膜を積層し、その積層方向に延びる半導体膜と各電極膜との間に電荷保持部を配置したメモリセル構造を有する。電荷保持部は、その記憶保持特性を向上させるために、例えば、ポリシリコンからなる浮遊ゲートと、金属もしくは高誘電率材料を含む電荷保持膜と、を有することが好ましい。しかしながら、電極膜と半導体膜との間に浮遊ゲートおよび電荷保持膜の両方を含む構造のメモリセルは、そのサイズの縮小に限界があり、微細化を妨げる要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-163044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、メモリセルの記憶保持特性を向上させた微細化可能な記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る記憶装置は、第1方向に積層され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第1電極膜と、前記複数の第1電極膜に近接して設けられ、前記第1方向に延びる第1半導体膜と、前記複数の第1電極膜のうちの1つの第1電極膜と前記第1半導体膜との間に設けられ、金属、金属化合物、または高誘電体材料のいずれか1つを含む第1電荷保持膜と、前記第1半導体膜と前記第1電荷保持膜との間に位置し、前記複数の第1電極膜と前記第1半導体膜との間において、前記第1半導体膜に沿って前記第1方向に連続して延びる第2半導体膜と、を備える。前記第2半導体膜は、前記複数の第1電極膜、前記第1電荷保持膜および前記第1半導体膜から電気的に絶縁される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る記憶装置を示す模式断面図である。
図2】実施形態に係る記憶装置のメモリセルを示す模式図である。
図3】実施形態に係る記憶装置の製造過程を示す模式図である。
図4図3に続く製造過程を示す模式図である。
図5図4に続く製造過程を示す模式図である。
図6図5に続く製造過程を示す模式図である。
図7図6に続く製造過程を示す模式図である。
図8図7に続く製造過程を示す模式図である。
図9図8に続く製造過程を示す模式図である。
図10図9に続く製造過程を示す模式図である。
図11図10に続く製造過程を示す模式図である。
図12図11に続く製造過程を示す模式図である。
図13図12に続く製造過程を示す模式図である。
図14図13に続く製造過程を示す模式図である。
図15図14に続く製造過程を示す模式図である。
図16図15に続く製造過程を示す模式図である。
図17図16に続く製造過程を示す模式図である。
図18図17に続く製造過程を示す模式図である。
図19図18に続く製造過程を示す模式図である。
図20図19に続く製造過程を示す模式図である。
図21図20に続く製造過程を示す模式図である。
図22図21に続く製造過程を示す模式図である。
図23図22に続く製造過程を示す模式図である。
図24図23に続く製造過程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る記憶装置1を示す模式断面図である。記憶装置1は、3次元配置されたメモリセルを含むNAND型記憶装置であり、メモリセル領域MCRと、引き出し領域HUPと、を含む。
【0010】
メモリセル領域MCRは、Z方向に積層された複数の電極膜(以下、ワード線WL、選択ゲートSGSおよびSGD)を含む。引き出し領域HUPは、ワード線WL、選択ゲートSGS、SGDおよび下層の電子回路を上層配線(図示しない)に電気的に接続するコンタクトプラグCT、CGおよびCDSを含む。
【0011】
図1には、メモリセル領域MCRの断面図MCR1、MCR2、および、引き出し領域の断面図HUP1、HUP2が示されている。断面図MCR1は、X−Z平面に沿ったメモリセル領域MCRの断面を表し、断面図MCR2は、Y−Z平面に沿ったメモリセル領域MCRの断面を表している。また、断面図HUP1は、Y−Z平面に沿った引き出し領域HUPの断面を表し、断面図HUP2は、Y−Z平面に沿った引き出し領域HUPの断面を表している。
【0012】
図1に示すように、記憶装置1は、選択ゲートSGSと、ワード線WLと、選択ゲートSGDと、半導体膜20と、を含む。選択ゲートSGS、ワード線WLおよび選択ゲートSGDは、それぞれY方向に延びる。半導体膜20は、選択ゲートSGS、ワード線WLおよび選択ゲートSGDの積層方向(Z方向)に延びる。半導体膜20と、選択ゲートSGS、ワード線WLおよび選択ゲートSGDと、の間には、それぞれ電荷保持膜30が設けられる。電荷保持膜30は、半導体膜20に沿ってZ方向に並び、Z方向において相互に離間するよう設けられる。
【0013】
記憶装置1は、半導体膜20と電荷保持膜30との間に浮遊電位膜40をさらに含む。浮遊電位膜40は、選択ゲートSGS、ワード線WL、選択ゲートSGDおよび半導体膜20から電気的に絶縁される。浮遊電位膜40は、半導体膜20に沿ってZ方向に延びるように設けられる。また、浮遊電位膜40は、例えば、Z方向に連続して延びる半導体膜である。浮遊電位膜40は、例えば、P形不純物をドープしたP形半導体膜である。
【0014】
半導体膜20は、X方向に半導体膜20aおよび半導体膜20bを積層した構造を有する。半導体膜20は、例えば、絶縁性コア21を覆うように設けられる。絶縁性コア21は、例えば、Z方向に延びる柱状の酸化シリコンである。半導体膜20bは、半導体膜20aと絶縁性コア21との間に位置する。半導体膜20は、キャップ膜23および接続プラグ25を介して上層のビット線(図示しない)に電気的に接続される。ビット線は、例えば、X方向に延伸するように設けられる。
【0015】
半導体膜20は、その下端において下層の配線INCに接続される。配線INCは、層間絶縁膜13を介して、例えば、基板10の上に設けられる。配線INCは、例えば、X方向に延在し、図示しない複数の半導体膜20に接続される。配線INCは、例えば、半導体膜15と、金属膜17と、半導体膜19と、をZ方向に順に積層した構造を有する。半導体膜20は、半導体膜19に接続される。
【0016】
図1中の引き出し領域HUP1に示すように、選択ゲートSGS、ワード線WLおよび選択ゲートSGDの端部は、階段状に設けられる。選択ゲートSGSのY方向の長さは、選択ゲートSGDのY方向の長さよりも長い。選択ゲートSGSに近い位置にあるワード線WLのY方向の長さは、選択ゲートSGDに近いワード線WLのY方向の長さよりも長い。
【0017】
コンタクトプラグCTは、Z方向に延在し、それぞれの端部に接続される。選択ゲートSGSに電気的に接続されるコンタクトプラグCTのZ方向の長さは、選択ゲートSGDに電気的に接続されるコンタクトプラグCTのZ方向の長さよりも長い。選択ゲートSGSに近い位置にあるワード線WLに電気的に接続されたコンタクトプラグCTのZ方向の長さは、選択ゲートSGDに近いワード線WLに電気的に接続されたコンタクトプラグCTのZ方向の長さよりも長い。
【0018】
引き出し領域HUP2は、コンタクトプラグCDSおよびCGをさらに含む。引き出し領域HUP2は、メモリセル領域MCRおよび引き出し領域HUP1よりも外側に設けられる。コンタクトプラグCDSは、基板10に設けられたトランジスタTrのソース領域およびドレイン領域にそれぞれ接続され、コンタクトプラグCGは、トランジスタTrのゲート電極に接続される。トランジスタTrのゲート電極は、例えば、メモリセル領域MCRに設けられた配線INCと同じ積層構造を有する。
【0019】
図2(a)および2(b)は、実施形態に係る記憶装置のメモリセルMCの構造を示す模式図である。図2(a)は、半導体膜20を含むX−Y平面に沿った断面図であり、図2(b)は、X−Z平面に沿った断面図である。
【0020】
図2(a)に示すように、半導体膜20は、X方向に隣接するワード線WLの間に設けられたメモリホールMHの内部に配置される。メモリホールMHは、Z方向に延在し、隣接するワード線WL間の溝MTに埋め込まれた絶縁膜50を分断する。半導体膜20は、半導体膜20aおよび20bを含み、絶縁性コア21を囲む。
【0021】
メモリホールMHの内部には、浮遊電位膜40が設けられる。浮遊電位膜40は、半導体膜20を囲むように設けられる。半導体膜20と浮遊電位膜40との間には、絶縁膜55が設けられる。絶縁膜55は、例えば、トンネル絶縁膜として機能する。
【0022】
電荷保持膜30は、ワード線WLと浮遊電位膜40との間に設けられる。電荷保持膜30は、X方向において隣接するワード線WLの一方と浮遊電位膜40との間、および、隣接するワード線WLの他方と浮遊電位膜40との間にそれぞれ設けられる。ワード線WLと電荷保持膜30との間には、絶縁膜31、絶縁膜33および絶縁膜41が設けられる。
【0023】
絶縁膜31は、例えば、シリコン酸化膜である。絶縁膜33は、電荷保持膜30と絶縁膜31との間に設けられる。絶縁膜33は、例えば、シリコン窒化膜である。絶縁膜41は、ワード線WLと絶縁膜31との間に設けられる。絶縁膜41は、例えば、酸化アルミニウム膜である。絶縁膜31、絶縁膜33および絶縁膜41は、積層構造のブロック絶縁膜として機能する。
【0024】
電荷保持膜30と浮遊電位膜40との間には、絶縁膜57が設けられる。絶縁膜57は、例えば、シリコン酸窒化膜である。絶縁膜57は、例えば、トンネル絶縁膜およびブロック絶縁膜よりも薄く設けられる。
【0025】
図2(b)に示すように、ワード線WLは、層間絶縁膜60aと層間絶縁膜60bとの間に位置する。絶縁膜41は、ワード線WLと層間絶縁膜60aの間に位置する部分、および、ワード線WLと層間絶縁膜60bとの間に位置する部分も含む。
【0026】
電荷保持膜30は、少なくとも一部が層間絶縁膜60aと層間絶縁膜60bとの間に位置するように設けられる。浮遊電位膜40は、半導体膜20と電荷保持膜30との間に位置し、半導体膜20に沿ってZ方向に延びる。浮遊電位膜40のX方向の厚さは、絶縁膜57との界面と絶縁膜55との界面との間において2.2nm〜6nm程度である。
【0027】
本実施形態では、半導体膜20に沿ってZ方向に並ぶメモリセルMCが、1つの浮遊電位膜40を共有する。すなわち、メモリセルMCは、ワード線WLの1つを制御ゲートとして含み、半導体膜20をチャネル膜として含む。さらに、メモリセルMCは、ワード線WLの1つと半導体膜20との間に位置する電荷保持膜30の1つと、ワード線WLの1つと半導体膜20との間に位置する浮遊電位膜40の一部と、を含む。本実施形態に係るメモリセルMCでは、薄膜の浮遊電位層40を共有することにより、ワード線WLと半導体膜20との間の距離を縮小し、X方向のサイズを小さくすることが可能となる。
【0028】
例えば、浮遊電位膜40を、電荷保持膜30と同じようにZ方向に離間して配置する場合、電荷保持膜30および浮遊電位膜40は、共に、層間絶縁膜60aと層間絶縁膜60bとの間に位置するように形成される。そのような構成では、ワード線WLと半導体膜20との間が図2(b)に示す例よりも広くなり、メモリセルMCのX方向のサイズが大きくなってしまう。すなわち、本実施形態に係る記憶装置1では、メモリセルMCのサイズを縮小し、記憶容量を大きくすることができる。
【0029】
次に、図3図24を参照して、記憶装置1の製造方法を説明する。図3図24は、実施形態に係る記憶装置1の製造過程を示す模式図である。
【0030】
図3は、記憶装置1の製造過程におけるウェーハの断面を示す模式図である。例えば、基板10は、シリコンウェーハであり、トランジスタTrを含む周辺回路、および、配線INCが、その上面に形成される。
【0031】
図3に示すように、トランジスタTrおよび配線INCを覆う層間絶縁膜63が形成され、その上に、例えば、ポリシリコン膜65が形成される。層間絶縁膜63は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0032】
続いて、ポリシリコン膜65の上に層間絶縁膜60および犠牲膜75が交互に積層される。犠牲膜75の積層数は、例えば、ワード線WL、選択ゲートSGSおよびSGDを含む電極膜の積層数と同じである。最上層の層間絶縁膜60の上には、絶縁膜77が形成される。層間絶縁膜60は、例えば、シリコン酸化膜である。犠牲膜75および絶縁膜77は、例えば、シリコン窒化膜である。
【0033】
図4は、図3と同じ断面を示す模式図である。図4に示すように、引き出し領域HUPにおいて、トランジスタTrを含む周辺回路の上方に溝CBが設けられ、その内部に絶縁材81が埋め込まれる。
【0034】
溝CBは、絶縁膜77、層間絶縁膜60および犠牲膜75を選択的に除去することにより形成される。この際、ポリシリコン膜65は、エッチングストッパとして機能する。すなわち、溝CBは、その底面にポリシリコン膜65が露出されるように形成される。
【0035】
続いて、溝CBを埋め込むように、絶縁材81を形成する。絶縁材81は、例えば、酸化シリコンであり、TEOS-CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて形成される。絶縁材81は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いて、その上面が絶縁膜77の上面と同じレベルになるように平坦化される。絶縁膜77は、CMPにおけるストッパ膜として機能するように設けられる。
【0036】
図5は、図4と同じ断面を示す模式図である。図5に示すように、引き出し領域HUPにおいて、層間絶縁膜60および犠牲膜75の端部を階段状に形成する。さらに、層間絶縁膜60および犠牲膜75の端部を覆う絶縁材83を形成する。
【0037】
層間絶縁膜60および犠牲膜75の端部は、開口幅を変えた選択マスクを用いて、上層から順にエッチングすることにより階段状に形成される。絶縁材83は、例えば、酸化シリコンであり、TEOS-CVDを用いて形成される。絶縁材83は、例えば、CMPを用いて、その上面が絶縁膜77および絶縁材81の上面と同じレベルになるように平坦化される。
【0038】
図6は、図5と同じ断面を示す模式図である。図6に示すように、絶縁膜77を絶縁膜85にリプレースする。すなわち、絶縁膜77を選択的に除去した後、絶縁膜85を形成する。絶縁膜85は、例えば、シリコン酸化膜であり、TEOS-CVDを用いて形成される。
【0039】
図7(a)は、図6と同じ断面を示す模式図である。図7(a)に示すように、メモリセル領域MCRにおいて、絶縁膜85の上面からポリシリコン膜65に至る深さの溝MTを形成する。溝MTは、例えば、異方性RIE(Reactive Ion Etching)を用いて、絶縁膜85、層間絶縁膜60および犠牲膜75を選択的に除去することにより形成される。この場合にも、ポリシリコン膜65は、エッチングストッパとして機能する。
【0040】
図7(b)は、メモリセル領域MCRにおける絶縁膜85の上面を示す模式図である。図7(b)に示すように、溝MTは、例えば、Y方向に延在するように形成される。また、メモリセル領域MCRにおいて、複数の溝MTが設けられる。
【0041】
図8は、図7(a)と同じ断面を示す模式図である。図8に示すように、溝MTの内部に絶縁材87を埋め込む。絶縁材87は、例えば、スピンコート法を用いて形成され、PSZ(polysilazane)を含む。絶縁材87は、その上面が絶縁膜85の上面と同じレベルになるように平坦化される。
【0042】
図9は、メモリセル領域MCRにおける絶縁膜85の上面を示す模式図である。図9に示すように、溝MTの内部にメモリホールMHを形成する。メモリホールMHは、例えば、絶縁材87を分断するように形成される。メモリホールMHは、絶縁材87を選択的にエッチングすることにより形成され、絶縁材87の上面からポリシリコン膜65に至る深さを有する。
【0043】
図10(a)は、X−Y平面に沿ったメモリホールMHおよび犠牲膜75を含む断面を示す模式図である。また、図10(b)は、X−Z平面に沿ったメモリホールの断面を示す模式図である。
【0044】
図10(a)および10(b)に示すように、犠牲膜75の一部を選択的にエッチングすることにより、積層された犠牲膜75のそれぞれのレベルにおいて、メモリホールMHをX方向に拡張する。
【0045】
さらに、犠牲膜75の表面を改質した絶縁膜89を形成する。絶縁膜89は、例えば、酸素を含む雰囲気中で熱処理することにより形成される。絶縁膜89は、例えば、酸窒化シリコン(SiNO)を含む。また、PSZを含む絶縁材87は、この熱処理において、酸化シリコンに改質される。
【0046】
図11(a)および11(b)は、図10(a)および10(b)と同じ断面を示す模式図である。図11(a)および11(b)に示すように、メモリホールMHの内部に絶縁膜31、33および電荷保持膜30を形成する。
【0047】
絶縁膜31は、例えば、シリコン酸化膜であり、メモリホールMHの内面を覆うように形成される。絶縁膜33は、例えば、シリコン窒化膜であり、絶縁膜31の上に形成される。電荷保持膜30は、絶縁膜33の上に形成される。電荷保持膜30は、例えば、窒化チタニウム(TiN)などの金属窒化物を含む。また、電荷保持膜30は、高誘電体膜、高誘電率の金属化合物、所謂、High−k膜やHfSiO膜であっても良い。ここで、高誘電体膜は、一例として誘電率(ε)が13以上の膜である。電荷保持膜30には、仕事関数が4.4eV以上の材料を用いることが好ましい。
【0048】
電荷保持膜30は、その一部が隣接する層間絶縁膜60の間に位置するように形成される。また、絶縁膜31、33および電荷保持膜30は、例えば、CVDを用いて、メモリホールMHの内部にスペースを残すように形成される。
【0049】
図12(a)および12(b)は、図11(a)および11(b)と同じ断面を示す模式図である。図12(a)および12(b)に示すように、犠牲膜75に対向する部分を残して、電荷保持膜30および絶縁膜33を除去する。
【0050】
電荷保持膜30および絶縁膜33は、メモリホールMHの内部のスペースを介して、例えば、CDE(Chemical Dry Etching)を用いて除去する。これにより、電荷保持膜30は、Z方向において相互に離間した複数の部分を残して除去される。以下、犠牲膜75に対抗する複数の部分を、それぞれ電荷保持膜30として説明する。
【0051】
図13(a)は、図8と同じ断面を示す模式図である。図13(b)および13(c)は、それぞれ図12(a)および13(b)に該当する断面を示す模式図である。図13(a)〜13(c)に示すように、メモリホールMHの内面を覆うように、絶縁膜57および浮遊電位膜40を形成する。
【0052】
絶縁膜57は、例えば、シリコン酸窒化膜(SiON膜)であり、電荷保持膜30を覆うように形成される。浮遊電位膜40は、例えば、P形不純物をドープしたポリシリコン膜であり、絶縁膜57の上に形成される。浮遊電位膜40は、例えば、4ナノメートル(nm)以下の膜厚を有するように形成される。これにより、X方向におけるメモリセルMCのサイズを縮小することができる。また、絶縁膜57および浮遊電位膜40は、メモリホールMHの内部にスペースを残すように形成される。
【0053】
図14は、図13(a)と同じ断面を示す模式図である。図14に示すように、浮遊電位膜40の上端が、複数の犠牲膜75のうちの最上層である犠牲膜75の近傍、且つ、犠牲膜75よりも高いレベルに位置するように、浮遊電位膜40を選択的に除去する。
【0054】
例えば、浮遊電位膜40の形成後に、メモリホールMHを埋め込むように絶縁膜91を形成する。続いて、絶縁膜91の上面が、犠牲膜75の近傍、且つ、犠牲膜75よりも高いレベルに位置するようにエッチバックし、浮遊電位膜40の一部を露出させる。その後、浮遊電位膜40の上端が、絶縁膜91の上端と同じレベルに位置するように、例えば、等方性エッチングを用いて浮遊電位膜40の上部を除去する。
【0055】
図15は、図14と同じ断面を示す模式図である。図15に示すように、絶縁膜91を選択的に除去した後、メモリホールMHの底面上に形成された浮遊電位膜40の一部および絶縁膜57の一部を選択的に除去する。さらに、ポリシリコン膜65および層間絶縁膜63をそれぞれ選択的に除去し、メモリホールMHの底面に配線INCを露出させる。これらのエッチングには、例えば、異方性RIEを用いる。
【0056】
図16(a)は、図15と同じ断面を示す模式図である。図16(b)および16(c)は、図13(b)および13(c)と同じ断面を示す模式図である。図16(a)〜16(c)に示すように、絶縁膜55および半導体膜20aを形成する。
【0057】
図16(a)に示すように、絶縁膜55は、例えば、CVDを用いてメモリホールMHの内面を覆うように形成される。絶縁膜55は、例えば、シリコン酸化膜である。半導体膜20aは、例えば、CVDを用いて絶縁膜55の上に形成される。半導体膜20aは、例えば、アモルファスシリコン膜である。絶縁膜55および半導体膜20aは、メモリホールMHの内部にスペースを残すように形成される。
【0058】
図17は、図16(a)と同じ断面を示す模式図である。図17に示すように、メモリホールMHの底面上に形成された絶縁膜55の一部および半導体膜20aの一部を選択的に除去する。この場合も、例えば、異方性RIEを用いることにより、メモリホールMHの内壁上に形成された部分を残して、絶縁膜55の一部および半導体膜20aの一部を選択的に除去することができる。
【0059】
図18(a)は、図17(a)と同じ断面を示す模式図である。図18(b)および18(c)は、図16(b)および16(c)と同じ断面を示す模式図である。図18(a)〜18(c)に示すように、半導体膜20bおよび絶縁材21fを形成する。半導体膜20bは、メモリホールMHの内面を覆うように形成される。絶縁材21fは、メモリホールMHの内部を埋め込むように形成される。
【0060】
半導体膜20bは、例えば、CVDを用いて形成されるアモルファスシリコン膜である。絶縁材21fは、例えば、CVDを用いて形成される酸化シリコンである。半導体膜20bは、メモリホールMHの底面に露出された配線INCに接するように形成させる。
【0061】
図19は、図18(a)と同じ断面を示す模式図である。図19に示すように、絶縁材21fおよび半導体膜20bをエッチバックすることにより、絶縁膜85の上面に形成された部分を除去する。この際、半導体膜20aの上端もエッチバックされる。また、メモリホールMHの内部には、絶縁性コア21が形成される。
【0062】
図20は、図19と同じ断面を示す模式図である。図20に示すように、メモリホールMHの上端にキャップ膜23を形成する。キャップ膜23は、例えば、CVDを用いて形成されるアモルファスシリコン膜である。キャップ膜23は、半導体膜20aおよび20bの上端に接し、絶縁性コア21の上端を覆う。続いて、熱処理を施すことにより、アモルファスシリコンをポリシリコンに変換し、半導体膜20a、20bおよびキャップ膜23を一体化させる。
【0063】
図21は、図20と同じ断面を示す模式図である。図21に示すように、層間絶縁膜60および犠牲膜75を分断するスリットSTを形成する。スリットSTは、例えば、異方性RIEを用いて、絶縁膜93、83、層間絶縁膜60および犠牲膜75を選択的に除去することにより形成される。スリットSTは、絶縁膜93の上面からポリシリコン膜65に達する深さを有し、Y方向に延びる。
【0064】
図22は、図21と同じ断面を示す模式図である。図22に示すように、犠牲膜75を選択的に除去することにより、層間絶縁膜60の間にスペース75Sを形成する。犠牲膜75は、例えば、スリットSTを介してエッチング液を供給することにより選択的に除去される。
【0065】
図23は、図22と同じ断面を示す模式図である。図23に示すように、スペース75Sの内部に絶縁膜41を形成した後、スペース75Sを埋め込む金属膜を形成する。これにより、選択ゲートSGS、ワード線WLおよび選択ゲートSGDを形成することができる。絶縁膜41は、例えば、酸化アルミニウム膜であり、金属膜は、例えば、タングステン膜である。
【0066】
図24は、図23と同じ断面を示す模式図である。図24に示すように、スリットSTの内部を埋め込んだ絶縁膜51を形成した後、コンタクトプラグCT、CDS、CGおよび接続プラグ25を形成する。
【0067】
引き出し領域HUPにおいて、コンタクトプラグCTは、Z方向に延在し、選択ゲートSGS、ワード線WLおよび選択ゲートSGDにそれぞれ接続される。コンタクトプラグCDSおよびCGは、トランジスタTrのソース領域、ドレイン領域およびゲート電極に接続される。メモリセル領域MCRでは、接続プラグ25がキャップ膜23に接続するように形成される。続いて、絶縁膜93の上方に、上層配線を形成し、記憶装置1を完成させる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1…記憶装置、 10…基板、 13、60、60a、60b、63…層間絶縁膜、 15、19、20、20a、20b…半導体膜、 17…金属膜、 21…絶縁性コア、 21f、81、83、87…絶縁材、 23…キャップ膜、 25…接続プラグ、 30…電荷保持膜、 31、33、41、50、51、55、57、77、85、89、91、93…絶縁膜、 40…浮遊電位膜、 65…ポリシリコン膜、 75、75…犠牲膜、 75S…スペース、 CB、MT…溝、 CDS、CG、CT…コンタクトプラグ、 HUP…引き出し領域、 MCR…メモリセル領域、 INC…配線、 MC…メモリセル、 MH…メモリホール、 WL…ワード線、 SGD、SGS…選択ゲート、 ST…スリット、 Tr…トランジスタ
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