特許第6976204号(P6976204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6976204ラインセンサ装置、読取装置および記録システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976204
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】ラインセンサ装置、読取装置および記録システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20211125BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   H04N1/028 Z
   H04N1/04 101
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-48313(P2018-48313)
(22)【出願日】2018年3月15日
(65)【公開番号】特開2018-174523(P2018-174523A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2021年3月15日
(31)【優先権主張番号】特願2017-72005(P2017-72005)
(32)【優先日】2017年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104629
【氏名又は名称】キヤノン・コンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】服部 好弘
(72)【発明者】
【氏名】村上 博之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 順一
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−358904(JP,A)
【文献】 特開2014−165588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/024− 1/207
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を検出するラインセンサと、
前記ラインセンサを実装したラインセンサ基板と、
トランスミッタが配置されている第1の実装基板と、
記第1の実装基板とは別の第2の実装基板と、
前記ラインセンサ基板を支持する内側支持部材と、
前記第1の実装基板と前記第2の実装基板とを支持する外側支持部材と、
を備え、
前記ラインセンサ基板と前記第1の実装基板とは対向して配置されており、
前記第1の実装基板と前記第2の実装基板とは対向して配置されており、
前記第2の実装基板には、フレームグランドと電気的に接続されており、アンテナとして機能する第1の金属配線が配置されている、ラインセンサ装置。
【請求項2】
導電性の筐体を有し、前記第1の実装基板及び前記第2の実装基板は、前記導電性の筐体に電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のラインセンサ装置。
【請求項3】
前記第1の実装基板は、前記トランスミッタと電気的に接続されている第の金属配線と、前記導電性の筐体と電気的に接続されている前記第の金属配線とは別の第の金属配線と、を有することを特徴とする、請求項2に記載のラインセンサ装置。
【請求項4】
複数のロッドレンズが第1方向に配列されたロッドレンズアレイと、
前記ロッドレンズアレイからの光を受光するラインセンサを有するラインセンサ基板と、
前記ラインセンサ基板を支持する一対の内側支持部材と、
前記ラインセンサにより検出された光に基づくデータを転送するトランスミッタを有するトランスミッタ基板と、
前記一対の内側支持部材と前記トランスミッタ基板とを支持する外側支持部材と、
コネクタを有し、前記トランスミッタ基板の下方において前記外側支持部材に固定されているコネクタ基板と、を備え、
前記一対の内側支持部材は、それぞれ、前記第1方向と直交する第2方向において前記ロッドレンズアレイの両側面に配置されており、
前記外側支持部材は、前記内側支持部材を介してのみ前記ラインセンサ基板を支持している
ことを特徴とするラインセンサ装置。
【請求項5】
前記一対の内側支持部材は、それらのうちの少なくとも一方の端部において、前記ロッドレンズアレイにより集光された光の光路上に前記ラインセンサ基板を固定している
ことを特徴とする請求項4に記載のラインセンサ装置。
【請求項6】
前記一対の内側支持部材は、前記端部に前記ラインセンサ基板と接する接触面を有している
ことを特徴とする請求項5に記載のラインセンサ装置。
【請求項7】
前記ラインセンサ基板と前記トランスミッタ基板とを接続する可撓性の配線部を更に備える
ことを特徴とする請求項4から請求項6の何れか1項に記載のラインセンサ装置。
【請求項8】
前記外側支持部材は、
前記第1方向および前記第2方向のいずれとも直交する第3方向に延設された一対の延設部と、
前記一対の延設部を接続する接続部と、
を含む
ことを特徴とする請求項4から請求項7の何れか1項に記載のラインセンサ装置。
【請求項9】
前記一対の内側支持部材は、前記接続部の上方において前記外側支持部材に固定されている
ことを特徴とする請求項8に記載のラインセンサ装置。
【請求項10】
複数の発光素子が前記第1方向に配列された光源部を更に備える
ことを特徴とする請求項4から請求項9のいずれか1項に記載のラインセンサ装置。
【請求項11】
前記光源部は、前記ロッドレンズアレイよりも上方に位置する
ことを特徴とする請求項10に記載のラインセンサ装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のラインセンサ装置を収容する収容手段と、
前記収容手段に収容された前記ラインセンサ装置によって記録媒体から読み取られた画像データを出力する出力手段と、を備える
ことを特徴とする読取装置。
【請求項13】
請求項12に記載の読取装置と、
記録媒体に対して記録を行う記録手段と、
を具備する記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインセンサ装置、読取装置および記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロッドレンズアレイ(7)と、該ロッドレンズアレイを通過した光を検出するラインセンサ基板(9)と、それらを収納し保持する筐体(14)とを備える画像読取装置の構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−225164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多数のロッドレンズアレイを製造した場合、それらの特性(例えば焦点距離など)に、ばらつきが生じる可能性がある。よって、この特性ばらつきに対応させるため、ロッドレンズアレイとラインセンサ基板との相対的な位置(それらの間の距離)の調整が必要となる場合があった。
【0005】
本発明の目的は、ロッドレンズアレイとラインセンサ基板との相対的な位置を比較的簡素な構成で調整可能にすることにある。
また、ラインセンサ装置の内部又は外部からの静電気がラインセンサ基板上のコネクタ又はトランスミッタ等に影響を及ぼし、画像品位を劣化させる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面はラインセンサ装置にかかり、前記ラインセンサ装置は、光を検出するラインセンサと、前記ラインセンサを実装したラインセンサ基板と、トランスミッタが配置されている第1の実装基板と、記第1の実装基板とは別の第2の実装基板と、前記ラインセンサ基板を支持する内側支持部材と、前記第1の実装基板と前記第2の実装基板とを支持する外側支持部材と、を備え、前記ラインセンサ基板と前記第1の実装基板とは対向して配置されており、前記第1の実装基板と前記第2の実装基板とは対向して配置されており、前記第2の実装基板には、フレームグランドと電気的に接続されており、アンテナとして機能する第1の金属配線が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロッドレンズアレイとラインセンサ基板との相対的な位置を比較的簡素な構成で調整可能となり、ロッドレンズアレイの特性ばらつきがあったとしても所望の特性のラインセンサ装置を実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ラインセンサ装置の構造を説明するための斜視図である。
図2】ラインセンサ装置の断面構造を説明するための断面図である。
図3】単一の内側支持部材の形状を説明するための斜視図である。
図4】ラインセンサ装置を具備するプリンタの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図は、構造ないし構成を説明する目的で記載されたものに過ぎず、図示された各部材の寸法は必ずしも現実のものを反映するものではない。また、各図において、同一の部材または同一の要素には同一の参照番号を付しており、以下、重複する内容については説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係るラインセンサ装置1の構造を説明するための斜視図である。構造の理解を容易にするため、図中には、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示す(他の図においても同様とする。)。X−Y平面は、ラインセンサ装置1の検出面と平行な平面に対応し、詳細については後述とするが、ラインセンサ装置1はY方向に延設された構造を有する。また、Z方向は、検出面と垂直な方向に対応する。
【0011】
なお、本明細書において、方向を示す表現は相対的な位置関係を示すのに用いられる。例えば、「右」、「右側」等の表現は+X方向に対応し、「左」、「左側」等の表現は−X方向に対応する。例えば、「上」、「上方」等の表現は+Z方向に対応し、「下」、「下方」等の表現は−Z方向に対応する。
【0012】
本実施形態では、ラインセンサ装置1は、ロッドレンズアレイ11、一対の内側支持部材12L及び12R、ラインセンサ基板13、外側支持部材14、光源部15、並びに、実装基板16及び17を備える。これらは、いずれもY方向に延在している。ロッドレンズアレイ11は、Y方向に配列された複数のロッドレンズを含む。各ロッドレンズは上方からの入射光を集光する。
【0013】
ロッドレンズアレイ11の左側および右側には内側支持部材12L及び12Rがそれぞれ配置され、即ち、内側支持部材12L及び12RはX方向において互いに離間し且つ互いに対向するように配される。内側支持部材12L及び12Rは、Y方向の長さが、ロッドレンズアレイ11の長さと同一又はそれより長くなるように、構成される。そして、内側支持部材12L及び12Rは、ロッドレンズアレイ11の両側面に配置され、これを挟持している。
【0014】
他の実施形態として、ロッドレンズアレイ11と内側支持部材12Lとの間、及び/又は、ロッドレンズアレイ11と内側支持部材12Rとの間には、接着剤(不図示)が設けられてもよい。即ち、上記内側支持部材12L及び12Rによるロッドレンズアレイ11の挟持とは、ロッドレンズアレイ11が内側支持部材12L及び12Rの間の直線上に位置することで固定されていることをいい、接着剤の使用または不使用を問わない。また、代替的に/付随的に、内側支持部材12L(又は12R)におけるロッドレンズアレイ11を挟持する面には、滑り止め用の表面加工が施されてもよい。
【0015】
内側支持部材12L及び12Rは、本実施形態ではアルミニウムで構成されるものとするが、他の実施形態として、他の金属で構成されてもよいし、樹脂等の有機材料で構成されてもよい。
【0016】
ラインセンサ基板13は、内側支持部材12L及び12Rにより支持され、ロッドレンズアレイ11により集光された光の光路上に固定される。ラインセンサ基板13は、本実施形態では、内側支持部材12L及び12Rのそれぞれの下端に固定される。ラインセンサ基板13は、CCD/CMOSイメージセンサで構成されたラインセンサを備え、基板上に複数の光電変換素子(ここではフォトダイオード)がY方向に配列されて成る。このような構成により、ラインセンサ基板13では、ロッドレンズアレイ11により集光された光が検出される。
【0017】
外側支持部材14は、ラインセンサ装置1における筐体に相当し、本明細書で説明される各部材ないし各要素は、外側支持部材14に対して直接的または間接的に支持され、固定される。この観点で、外側支持部材14は固定部材等と表現されてもよい。本実施形態では、外側支持部材14は、ロッドレンズアレイ11を挟持する一対の内側支持部材12L及び12Rを、それらの側方側および下方側において取り囲むように、X−Z平面での断面においてU字状(上方側が開放された形状)に成形されている。
【0018】
外側支持部材14は、内側支持部材12L及び12R同様、本実施形態ではアルミニウムで構成されるものとするが、他の実施形態として、他の金属で構成されてもよいし、樹脂等の有機材料で構成されてもよい。
【0019】
外側支持部材14の上端部は、内側支持部材12L及び12Rから離れる方向に延出している。詳細については後述とするが、図中において、左側の上方側端部を「141Le」とし、右側の上方側端部を「141Re」とする。
【0020】
光源部15は、ロッドレンズアレイ11の上方に配されうる被写体(不図示)に対して光を照射する。本実施形態では、光源部15は、基板151上に複数のLED(発光ダイオード)152がY方向に配列されたLEDアレイである。光源部15は、上方側端部141Le及び141Reのそれぞれに形成された傾斜面に、固定される(図中では、上方側端部141Leに固定された光源部15が示されるが、上方側端部141Reにも同様に光源部15が固定される。)。このような構成により、光源部15は上記被写体に対して光を照射する。なお、上記被写体とラインセンサ装置1との間にはガラス板等の光透過性の板材(不図示)が配置される。
【0021】
実装基板16及び17は、半導体IC、コネクタ等の要素を実装可能なプリント回路基板である。本実施形態では、実装基板16及び17上には、光の検出(ラインセンサ基板13の機能)以外の機能を実現するための要素、即ち、ラインセンサ基板13による検出結果に基づく信号読出を行うための要素が実装される。なお、この要素の概念には、読出対象の信号を処理する処理部、所定の規格のデータに変換する変換部、信号通信用のコネクタの他、信号読出を実現するのに必要な電力を供給する電力供給部、電力供給用のコネクタ等も含まれる。
【0022】
詳細については後述とするが、実装基板16及び17は外側支持部材14に対して固定され、本実施形態では、実装基板16は外側支持部材14の下方に固定され、実装基板17は更にその下方に固定される。なお、ここでは2つの実装基板16及び17を例示するが、実装基板の数は、本例に限られるものではなく、1つでもよいし3以上でもよい。
【0023】
ここでは不図示とするが、ラインセンサ装置1は、Y方向における両端部において板材を更に備える。該板材は、外側支持部材14と共に、例えばラインセンサ基板13上方の空間等、装置1内への異物(埃等)の侵入を防止する。
【0024】
以上のような構成により、ラインセンサ装置1は、被写体の一例として記録媒体(例えば紙)に記録された画像を読み取ることができる。具体的には、ラインセンサ装置1に対して記録媒体を相対的に走査させている間、光源部15は記録媒体に光を照射する。そして、記録媒体からの反射光はロッドレンズアレイ11により集光され、該集光された光はラインセンサ基板13において検出される。その後、ラインセンサ装置1は、ラインセンサ基板13での検出結果に基づく信号を実装基板16及び17を介して読み出すことで、記録媒体上の画像を示す画像データを取得する。なお、画像の概念には、例えば、文字、記号、模様、図形、絵、写真等の視覚的に認識可能な情報の他、空白(紙面の地色と実質的に同一の領域)も含まれる。
【0025】
ラインセンサ装置1は、以上に例示された構成に限られるものではなく、必要に応じて他の構成が採用されてもよい。例えば、他の実施形態として、ラインセンサ基板13に代替して、複数の光電変換素子が行列状または千鳥状に配列されたエリアセンサ基板が用いられてもよい(この観点で、ラインセンサの概念にはエリアセンサも含まれうる。)。或いは、光電変換素子には、フォトダイオードの代わりに、PINセンサ、MISセンサ等の他の光検出素子ないし受光素子が用いられてもよい。また、例えば、本実施形態では、光源部15はLEDアレイであるが、他の実施形態として、LED152の代わりに他の発光素子が用いられてもよい。或いは、Y方向に延設され且つ上方の被写体を照射するように構成された導光体が光源部15として用いられてもよい。
【0026】
図2は、切断線A−Aを通る断面構造(X−Z平面での断面構造)を示す。内側支持部材12L及び12Rは、左右対称に構成されており、前述のとおり、ロッドレンズアレイ11を挟持する。本実施形態では、各ロッドレンズは、いわゆるクラッドコア構造を有し、即ち、中央部(白塗りで図示された部分。コア。)が光の伝搬路を形成し、かつ、周辺部(ドットで図示された部分。クラッド。)が中央部から光が漏れないように構成された構造を有する。これにより、ロッドレンズアレイ11の内側支持部材12L及び12Rのそれぞれとの間において生じうる光の乱反射が抑制され(光の損失が低減され)、ロッドレンズアレイ11による集光性が向上することができる。
【0027】
外側支持部材14は、左右対称に構成されており、一対の延設部141L及び141R、並びに、接続部142を含む。延設部141LはZ方向に延設され、前述の上方側端部141Le(支持部材12Lから離れる方向に延出した部分)は延設部141Lの一部である。同様に、延設部141RはZ方向に延設され、前述の上方側端部141Re(支持部材12Rから離れる方向に延出した部分)は延設部141Rの一部である。なお、上方側端部141Le及び141Reの傾斜面に配された2つの光源部15は、それぞれ、光源部15L及び15Rとして図示される。
【0028】
本実施形態では、光源部15L及び15Rは、ロッドレンズアレイ11よりも上方に位置する。これにより、光源部15L及び15Rが被写体(記録媒体)に対して光を照射する際に影が生じないようにする。
【0029】
接続部142は、X方向に延設され、延設部141L及び141Rをそれらの下方側の部分において接続する。延設部141L及び141R、並びに、接続部142は、説明のために各部分に分けて示すが、本実施形態では一体成形される。他の実施形態として、これらは、個別に作成され、ビス等で互いに連結されてもよい。
【0030】
内側支持部材12L及び12Rは、外側支持部材14に固定され、本実施形態では、接続部142の上方において延設部141L及び141Rの間で固定される。これにより、ラインセンサ基板13は、上方では内側支持部材12L及び12Rにより保護され、側方では延設部141L及び141Rにより保護され、下方では接続部142により保護される。
【0031】
延設部141Lと内側支持部材12LとはビスSC1を用いて固定され、また、延設部141Rと内側支持部材12RとはビスSC1を用いて固定される。延設部141L(又は141R)と内側支持部材12L(又は12R)との固定態様はこの例に限られるものではない。例えば、他の実施形態として、延設部141L(又は141R)と内側支持部材12L(又は12R)とは、それらの間にスペーサを配置し且つビスSC1が該スペーサを貫通することで固定されてもよいし、或いは、接着剤で固定されてもよい。
【0032】
ラインセンサ基板13は、基板131およびラインセンサを形成する複数の光電変換素子132を含む。基板131は、内側支持部材12L及び12Rのそれぞれの下端部に対してビスSC2を用いて固定される。ここで、内側支持部材12L及び12Rのそれぞれの下端部には、X−Y平面に平行な平坦面が形成されているとよい。これにより、この平坦面が基板131の上面との接触面として作用し、基板131の固定を安定化させることができる。
【0033】
基板131と内側支持部材12L(又は12R)との固定態様は、この例に限られるものではない。例えば、他の実施形態として、内側支持部材12L及び12Rのそれぞれの下端部は、基板131を下面側から保持するように、例えばフック状に形成されていてもよい。この場合、この下端部には基板131の下面との接触面が形成されるとよい。
【0034】
実装基板16及び17は、延設部141L及び141Rの下端部に対してビスSC3を用いて固定される。具体的には、実装基板16と実装基板17との間には、空間が形成されるようにスペーサSP1が配され、ビスSC3は、スペーサSP1を貫通しながら実装基板16及び17を延設部141L及び141Rの下端部に対して固定する。
【0035】
実装基板16の上面には、ラインセンサ基板13での検出結果に基づいて信号処理を行うための処理部161や、該信号処理されたデータの転送ないし通信を行うためのトランスミッタが実装される。処理部161が、このトランスミッタの機能を実現してもよく、処理部161をトランスミッタと呼ぶこともできる。ここで、トランスミッタは、ラインセンサ基板13からの出力を示すデジタル信号に対してデジタル信号処理を行ってもよい。また、トランスミッタは、ラインセンサ基板13からの出力を示す信号を所定の規格に従う形式に変換する変換処理を行ってもよい。一例として、トランスミッタは、ラインセンサ基板13からの出力を、画像データのデータ伝送方式を定めるCameraLink規格やCoaXPress規格に従うデータ形式に変換することができる。また、トランスミッタは、ラインセンサ基板13からの出力を示す信号に対して補正処理を行ってもよい。処理部161は、本実施形態ではASIC(特定用途向け集積回路)であるが、他の実施形態として、PLD(プログラマブルロジックデバイス)等の他の集積回路が用いられてもよいし、信号処理を実現可能な他の構成が採用されてもよい。本実施形態において、トランスミッタは、上記データを所定の転送方式で転送可能であり、本実施形態では、カメラリンク(Camera Link(登録商標))規格に準拠したデータ転送が可能に構成されている。実装基板16はトランスミッタ基板とも表現される。
【0036】
実装基板17の下面には、外部接続用のコネクタCN1が実装される。実装基板17の上面と実装基板16の下面とはコネクタCN2で接続される。実装基板16の上面にはコネクタCN3が実装される。また、基板131の下面にはコネクタCN4が実装される。コネクタCN3及びCN4は、接続部142に設けられた開口(不図示)を通る可撓性の配線部WR1により互いに接続され、通信可能となっている。本実施形態では、配線部WR1としてフレキシブルプリント配線板(FPC)を用いるが、COF(チップオンフィルム)等の他の可撓性の配線部が用いられてもよい。実装基板17はコネクタ基板とも表現される。
【0037】
このような構成により、ラインセンサ基板13での検出結果は、コネクタCN4からコネクタCN3に出力され、処理部161による信号処理が行われた後、所定の転送方式で、コネクタCN2およびコネクタCN1を介して、画像データとして外部装置に出力される。
【0038】
本実施形態では、ラインセンサ基板13は内側支持部12L及び12Rのそれぞれに対してビスSC2を用いて固定され、内側支持部12L及び12Rのそれぞれは、外側支持部材14に対してビスSC1を用いて固定される。また、実装基板16及び17は、外側支持部材14に対してビスSC3を用いて固定される。そして、ラインセンサ基板13と、実装基板16及び17とは、内側支持部材12L及び12R並びに外側支持部材14を介して固定され、即ち、間接的に固定された形となっている。
【0039】
よって、本実施形態によれば、実装基板16及び17を外側支持部材14に対して固定した際に生じうる外側支持部材14の歪み(変形)に起因するラインセンサ基板13への影響は抑制されうる。例えば、この影響は、ラインセンサ基板13並びに実装基板16及び17をいずれも内側支持部12L及び12Rに対して固定した場合、或いは、これらをいずれも外側支持部材14に対して固定した場合、に比べて抑制される。よって、本実施形態の構造は、ラインセンサ装置1の検出精度(画像の読取精度)の向上に有利であると言える。なお、前述のとおり、ラインセンサ基板13と実装基板16との間は、コネクタCN3及びCN4を互いに接続する配線部WR1で接続されているが、配線部WR1は可撓性であるため、配線部WR1による接続に伴う影響は実質的に生じない。
【0040】
実装基板16及び17は、ラインセンサ基板13の下方において延設部141R及び141Lに対して固定される。これにより、実装基板16及び17の中央領域に処理部161やコネクタCN1〜CN3を実装し、それらの周辺領域で外側支持部材14との固定を実現することができる。
【0041】
また、実装基板16及び17は、接続部142の下方において、延設部141R及び141Lのそれぞれの下端部で固定される。これにより、外部接続用のコネクタCN1を、本実施形態ではU字状に成形された外側支持部材14の外側に配置可能となり、画像データを外部装置に出力可能となる。このような構成を実現するため、実装基板16及び17のX方向における幅は、ラインセンサ基板13のX方向における幅よりも広く設定されている。
【0042】
一実施形態において、実装基板16とは別の実装基板17が、実装基板16に対向して設けられている。ここで、対向して設けられているとは、実装基板16への平面視において、実装基板17が少なくとも一部において実装基板16と重なっていることを意味する。一実施形態において、実装基板17は、実装基板16と平行に設けられている。例えば、実装基板16及び実装基板17は、表面が所定方向(例えばZ方向)を向くように所定方向(例えばZ方向)に間隔を開けて並んでいる。図2の例では、実装基板16の外側に実装基板17が配置されている。
【0043】
本実施形態のようにトランスミッタを備える実装基板16と外部接続用のコネクタCN1を備える実装基板17とを対向して設ける構成によれば、実装基板の面積を小さくすることができる。このような構成は、トランスミッタ及びコネクタの双方を備える実装基板を設ける場合と比較して、ラインセンサ装置1を小型化するために有利である。図2に示す一実施形態において、実装基板16は、実装基板17とは反対側の面でラインセンサ基板13と対向している。また、ラインセンサを形成する光電変換素子132は、ラインセンサ基板13の実装基板16とは反対側の面に設けられている。このような構成は、ラインセンサ装置1を小型化するためにさらに有利である。
【0044】
実装基板17は、表面の外側若しくは裏面の外側の少なくとも一部、又は外周の少なくとも一部に、フレームグランドと接続されている第1の金属配線を有していてもよい。また、実装基板17に配置されているコネクタは、第1の金属配線とは別の第2の金属配線によってシグナルグランドへ接続されていてもよい。つまり、第1の金属配線は、コネクタと接続されている第2の金属配線とは別の金属配線である。この第1の金属配線は、アンテナとして機能してもよい。このような第の金属配線を設けることにより、ラインセンサ装置1の内部又は外部からの静電気が第の金属配線を介してコネクタ又はトランスミッタ等に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0045】
実装基板16は、表面の外側若しくは裏面の外側の少なくとも一部、又は外周の少なくとも一部に、フレームグランドと接続されている第3の金属配線を有していてもよい。また、実装基板16に配置されているトランスミッタは、第3の金属配線とは別の第4の金属配線によってシグナルグランドへ接続されていてもよい。つまり、第3の金属配線は、トランスミッタと接続されている第4の金属配線とは別の金属配線である。この第3の金属配線は、アンテナとして機能してもよい。このような第3の金属配線を設けることにより、ラインセンサ装置1の内部又は外部からの静電気が第4の金属配線を介してコネクタ又はトランスミッタ等に影響を及ぼすことを抑制することができる。実装基板16の平面視において、実装基板16に配置されているコネクタ又はトランスミッタは実装基板17で覆われて見えるように配置することが好ましい。
【0046】
ここで、第2の金属配線及び第4の金属配線は、データ信号又は制御信号のような信号を伝達する信号回路を形成する。信号回路に提供する接地電圧のことはシグナルグランドと呼ばれており、またこのような信号回路のことはシグナルグランドパターンと呼ばれている。また、第1の金属配線及び第3の金属配線は、信号回路とは別個に実装基板上に設けられフレームグランドに接続される導電路であり、このような導電路のことはフレームグランドパターンと呼ばれている。フレームグランドは、フレームとも呼ばれる導電性の筐体(例えば金属筐体)に接続されているグランドである。第1〜第4の金属配線の接地方法は特に制限されず、これらは筐体のような安定した電位を有する部材に接続されてもよいし、大地に接続されてもよい。
【0047】
一実施形態において、実装基板16及び実装基板17は、それぞれ第3の金属配線及び第1の金属配線を介して、導電性の筐体に電気的に接続されている。例えば、実装基板16と実装基板17とは外側支持部材14によって支持されている。このため、外側支持部材14が導電性を有する導電部材(例えばアルミニウム等の金属部材)である場合には、実装基板16が有する第3の金属配線及び実装基板17が有する第1の金属配線を、筐体である外側支持部材14に接続することができる。一例として、上述のビスSC3のような導電性の接続部材を用いて、実装基板16及び実装基板17を筐体に接続するとともに、第3の金属配線及び第1の金属配線を筐体に電気的に接続することができる。また、第1の金属配線及び第3の金属配線を、外側支持部材14を介して大地に接地することもできる。
【0048】
実装基板において、どの部分がシグナルグランドパターンに相当し、どの部分がフレームグランドパターンに相当するのかは、当業者には容易に理解可能である。一実施形態において、第1の金属配線が形成するフレームグランドパターンは、第2の金属配線が形成するシグナルグランドパターンを取り囲んでいる。また、第3の金属配線が形成するフレームグランドパターンは、第4の金属配線が形成するシグナルグランドパターンを取り囲んでいる。また、一実施形態において、フレームグランドパターンとシグナルグランドパターンとの間の実装基板表面には溝が設けられている。このように、一実施形態において、フレームグランドパターンとシグナルグランドパターンとの間には、実装基板表面において、又は実装基板の内層において、電気的な接続が存在しない。もっとも、フレームグランドパターンとシグナルグランドパターンとの間に電気的な接続がないとは限らず、実装基板において抵抗又はコンデンサ等の電気素子を介して接続されていてもよい。また、第1の金属配線は第2の金属配線とは異なる接地部位に接続されてもよいし、同じ接地部位にそれぞれ異なる導電路を介して接続されていてもよい。さらに、第3の金属配線は第4の金属配線とは異なる接地部位に接続されてもよいし、同じ接地部位にそれぞれ異なる導電路を介して接続されていてもよい。
【0049】
図3は、内側支持部材12Rの形状を説明するための斜視図である。ここでは内側支持部材12Rについて述べるが、内側支持部材12L及び12Rは左右対称であり、以下の内容は内側支持部材12Lについても同様である。
【0050】
内側支持部材12Rは、上方側においてX方向における厚さが比較的厚い部分12R1を含み、下方側においてX方向における厚さが比較的薄い部分12R2を含む。このような形状は、例えば、アルミニウムで構成された長尺状の直方体を切削加工することで得られる。内側支持部材12Rは、内側支持部材12Lと共に、厚い部分12R1でロッドレンズアレイ11を挟持し、かつ、薄い部分12R2でラインセンサ基板13を固定する。よって、薄い部分12R2は、厚い部分12R1のロッドレンズアレイ11の挟持位置の側から陥凹するように設けられた形となっている。
【0051】
再び図2を参照すると、ラインセンサ装置1内には、ロッドレンズアレイ11、内側支持部材12L及び12R、並びに、ラインセンサ基板13で取り囲まれた空間が形成される。この空間での光の乱反射を防ぐため、本実施形態においてアルミニウムで構成された内側支持部材12L及び12Rの表面は、例えばアルマイト処理によって黒色に着色されてもよい。また、ラインセンサ装置1の筐体に相当する外側支持部材14は、本実施形態では、内側支持部材12L及び12R同様、アルミニウムで構成される。外側支持部材14の表面は、意匠性向上のため、例えばアルマイト処理によって白色に着色されてもよい。
【0052】
なお、内側支持部材12L及び12Rは、ロッドレンズアレイ11及びラインセンサ基板13を直接的に固定するために所定の精度が求められ、前述のとおり、本実施形態では切削加工により作成される。一方、外側支持部材14については、内側支持部材12L及び12Rを介して間接的に固定するロッドレンズアレイ11及びラインセンサ基板13に対する歪み等の影響が抑制されればよく、一般に押出成形により作成されうる。
【0053】
ラインセンサ装置1の製造工程において、ロッドレンズアレイ11が個体差を有することによって、ロッドレンズアレイ11とラインセンサ基板13との相対的な位置、特に、それらの固定位置の調整が必要となる場合がある。本実施形態によれば、ロッドレンズアレイ11は、内側支持部材12L及び12Rにより挟持される形で固定されるため、比較的簡素な構成で、内側支持部材12L及び12Rによるロッドレンズアレイ11の挟持位置を容易に調整可能である。例えば、内側支持部材12L(又は12R)において、ロッドレンズアレイ11の挟持位置と、ラインセンサ基板13を固定する下端との間の距離は、ロッドレンズアレイ11の特性に対応する距離で設定されればよい。本実施形態では、ラインセンサ基板13の固定位置は内側支持部材12Lの下端であるので、ロッドレンズアレイ11の挟持位置は、そのロッドレンズアレイ11の特性に応じた該下端からの距離に基づいて決められればよい。よって、本実施形態によれば、仮にロッドレンズアレイ11に特性ばらつきがあったとしても、上記挟持位置の調整を行うことで、所望の特性のラインセンサ装置1を実現可能となる。
【0054】
図4は、ラインセンサ装置1が適用された記録システムの一例としてプリンタ(記録装置、印刷装置、画像形成装置等とも称されてもよい。)のシステムSYの構成を示す。プリンタには、インクジェット方式、電子写真方式等の公知の記録方式が採用されうる。
【0055】
システムSYは、ラインセンサ装置1の他、記録ヘッド2と、プロセッサ3と、複数の搬送ローラ4とを具備する。記録ヘッド2は、印刷用データに基づく電気信号により駆動され、記録媒体Pに上にインク等の液体を吐出することで記録媒体Pに画像を記録する。プロセッサ3は、印刷用データに基づく電気信号を記録ヘッド2に出力し、記録ヘッド2を駆動する。搬送ローラ4は、プロセッサ3からの駆動信号に基づいて記録媒体Pを搬送する。本実施形態では、搬送ローラ4は、記録ヘッド2により画像が記録された記録媒体Pを、図中において一点鎖線で示された方向に、ラインセンサ装置1に向かって搬送する。
【0056】
ラインセンサ装置1は、プリンタ内において、着脱可能に収容され、上記記録ヘッド2により記録された記録媒体P上の画像を読み取る。プロセッサ3は、ラインセンサ装置1による読取結果を受け取り、その読取結果に基づいて、例えば、記録ヘッド2の駆動力(例えば液体吐出量)を補正することが可能であるし、記録のやり直しが必要であることをユーザに通知することも可能である。
【0057】
本発明は、以上に例示された態様に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。また、本明細書に記載された個々の用語は、本発明を説明する目的で用いられたものに過ぎず、本発明は、その用語の厳密な意味に限定されるものでないことは言うまでもなく、その均等物をも含みうる。例えば、ラインセンサ装置1は、前述のとおり(図4参照)、プリンタ内において記録確認用の要素として用いられうることから、装置という文言に替わってアセンブリ/ユニット/モジュール/デバイス等と表現されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1:ラインセンサ装置、11:ロッドレンズアレイ、12L及び12R:一対の内側支持部材、13:ラインセンサ基板。
図1
図2
図3
図4