(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続対象物の板厚方向において、前記第2端子の前記第1接触部と前記第1端子の前記第3接触部又は前記第4接触部との間の距離は、前記接続対象物の板厚よりも小さい、請求項2に記載のケーブル用コネクタ。
前記アクチュエータは、前記インシュレータに対して前記抜去方向に向かって回動する閉状態と、前記インシュレータに対して前記挿入方向に向かって回動する開状態との間で回転し、
前記アクチュエータが前記開状態にあるとき、前記第1腕部の前記端部は、前記アクチュエータよりも、前記接続対象物の抜去方向側に突出しない、請求項1乃至3の何れか一項に記載のケーブル用コネクタ。
前記接続対象物の板厚方向において、前記第1接触部と前記第2接触部との間の距離は、前記接続対象物の板厚よりも小さい、請求項1乃至4の何れか一項に記載のケーブル用コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本開示において、上下方向は、
図1に示すように、コネクタ20が回路基板CBに重ねられる方向を指す。又は、上下方向は、板状の接続対象物10に直交する方向を指す。すなわち、上下方向は、接続対象物10の厚み方向である板厚方向に対応する。また、前後方向は、
図1に示すように、接続対象物10がコネクタ20に対して挿抜される挿抜方向を指す。挿抜方向は、接続対象物10がコネクタ20に挿入される挿入方向と、接続対象物10がコネクタ20から抜去される抜去方向とを合わせた方向である。挿入方向は、前方向から後方向に向かう方向である。抜去方向は、後方向から前方向に向かう方向である。また、左右方向は、
図1に示すように、第1コンタクト第40等が配列される方向を指す。又は、左右方向は、前方向からコネクタ20を見る際の左右の方向を指す。
【0011】
図1は、一実施形態に係る接続対象物10及びコネクタ20の分離状態の斜視図である。
図2は、
図1に示す接続対象物10及びコネクタ20を他の方向から見た斜視図である。
【0012】
接続対象物10は、
図1及び
図2に示すように、板状形状である。以下、接続対象物10は、FPCであるものとして説明する。ただし、接続対象物10は、FPCに限定されない。接続対象物10は、コネクタ20に挿入可能な板状形状であれば、任意の構造物であってよい。例えば、接続対象物10は、FFCであってよい。接続対象物10は、コネクタ20を介して
図1に示す回路基板CBに電気的に接続される。回路基板CBは、リジッド基板であってよいし又はその他の任意の回路基板であってよい。
【0013】
接続対象物10は、複数の薄膜材を互いに接着することにより構成される。換言すると、接続対象物10は、積層構造を有する。接続対象物10は、
図1及び
図2に示すように、信号用の導電層11と、グランド用のグランド層12,13とを備える。ここで、
図1及び
図2に示す接続対象物10は、両方の表面に、グランド用のグランド層12,13のそれぞれを備える。ただし、本開示における接続対象物10は、片方の表面にのみ、グランド用のグランド層を備えてもよい。
【0014】
導電層11は、例えば任意の金属で、薄膜状に構成される。導電層11は、
図2に示すように、接続対象物10の後方向の先端付近において露出する。導電層11は、当該先端付近を除く箇所では、グランド層12によって覆われる。導電層11は、コネクタ20を介して
図1に示す回路基板CB上の信号パターンに電気的に接続される。
【0015】
グランド層12,13は、例えば任意の金属で、薄膜状に構成される。グランド層12,13は、
図1及び
図2に示すように、接続対象物10の後方向の先端付近において露出する。グランド層12,13は、当該先端付近を除く箇所では、カバーフィルムによって覆われてよい。グランド層13は、
図1に示すように、接続対象物10の上側の表面に形成される。グランド層12は、
図2に示すように、接続対象物10の下側の表面に形成される。グランド層12,13は、コネクタ20を介して
図1に示す回路基板CB上のグランドパターンに電気的に接続される。
【0016】
コネクタ20は、ケーブル用コネクタである。コネクタ20は、
図1に示す回路基板CBに配置される。コネクタ20は、接続対象物10と回路基板CBとを電気的に接続する。以下、
図3乃至
図10を参照して、コネクタ20の構成の詳細を説明する。
【0017】
図3は、
図1に示すコネクタ20の分解斜視図である。
図4は、
図1に示すコネクタ20を他の方向から見た分解斜視図である。
図5は、
図3に示す第1コンタクト40の側面図である。
図6は、
図3に示す第2コンタクト50の側面図である。
図7は、
図1に示すI−I線に沿った接続対象物10及びコネクタ20の断面図である。
図8は、
図1に示すII―II線に沿った接続対象物10及びコネクタ20の断面図である。
図9は、接続対象物10を挿入した状態でアクチュエータ70を閉状態まで回転させたときの
図7に対応する断面図である。
図10は、接続対象物10を挿入した状態でアクチュエータ70を閉状態まで回転させたときの
図8に対応する断面図である。
【0018】
ここで、本開示において、「アクチュエータ70の開状態」とは、
図7及び
図8に示すような、インシュレータ30に対してアクチュエータ70が開く状態を意味する。より具体的には、「アクチュエータ70の開状態」とは、アクチュエータ70が接続対象物10の挿入方向(前方向から後方向)に向かって回動した状態である。アクチュエータ70が開状態にあるとき、接続対象物10は、インシュレータ30に対して挿入及び抜去が可能な状態になる。また、本開示において、「アクチュエータ70の閉状態」とは、
図9及び
図10に示すような、インシュレータ30に対してアクチュエータ70が閉じる状態を意味する。より具体的には、「アクチュエータ70の閉状態」とは、アクチュエータ70が接続対象物10の抜去方向(後方向から前方向)に向かって回動した状態である。アクチュエータ70が閉状態にあるとき、インシュレータ30に挿入された接続対象物10は、インシュレータ30に対して固定された状態になる。
【0019】
コネクタ20は、
図3及び
図4に示すように、インシュレータ30と、第1端子としての第1コンタクト40と、第2端子としての第2コンタクト50と、固定金具60と、アクチュエータ70とを備える。ここで、
図3及び
図4に示すコネクタ20では、第2コンタクト50は、第1コンタクト40の配列の両端に配置される。ただし、第2コンタクト50の配置は、これに限定されない。例えば、第2コンタクト50は、第1コンタクト40の配列に沿って所定間隔(例えば、2つの第1コンタクト40毎に)で配置されてよい。より具体的には、コンタクト配列方向(左右方向)において、第2コンタクト50、第1コンタクト40、第1コンタクト40、第2コンタクト50といった配列でもよい。
【0020】
インシュレータ30は、
図3及び
図4に示すような左右対称の箱型部材である。インシュレータ30は、絶縁性且つ耐熱性の合成樹脂材料を射出成形することにより、箱型に形成されてよい。インシュレータ30は、第1コンタクト40及び第2コンタクト50を支持する。また、インシュレータ30は、上述の
図1に示す接続対象物10を挿入及び抜去が可能である。インシュレータ30は、
図3及び
図4に示すように、挿入溝31と、第1挿入口32と、第2挿入口33と、取付溝34と、底壁35とを有する。
【0021】
挿入溝31は、
図3に示すように、インシュレータ30の左右方向にわたって凹設される。挿入溝31は、前方向に向けて開放する。挿入溝31は、インシュレータ30の内部にまで及ぶ。挿入溝31に対して、上述の
図1に示す接続対象物10が挿抜される。つまり、挿入溝31は、接続対象物10を挿入及び抜去が可能である。
図3に示す挿入溝31の上側には、アクチュエータ70が位置する。
【0022】
第1挿入口32は、
図3に示すように、挿入溝31の内面に設けられる。例えば、第1挿入口32の下部は、
図7に示すように、挿入溝31の下側内面に設けられる。また、第1挿入口32の上部は、
図7に示すように、挿入溝31の上側内面に設けられる。第1挿入口32は、
図4に示すように、インシュレータ30の後面を貫通する。
図3に示すように、インシュレータ30の下面に沿った第1挿入口32の表面形状は、前後方向に長辺を有し且つ左右方向に短辺を有する矩形状である。第1挿入口32には、
図7に示すように、第1コンタクト40が後方向から前方向に向かって圧入される。第1挿入口32に第1コンタクト40が圧入されることにより、インシュレータ30は、第1コンタクト40を支持する。
【0023】
なお、第1挿入口32の配列及び大きさは、第1コンタクト40の配列及び大きさに応じて、適宜調整されてよい。例えば、
図3に示すように、複数の第1コンタクト40が所定間隔で解離して左右方向に配列される場合、複数の第1挿入口32が、各第1コンタクト40に対応するように、所定間隔で解離して左右方向に設けられてよい。また、複数の第1挿入口32の下側内面は、それぞれの前後方向の位置が左右方向において略一致するように形成されてよい。また、第1挿入口32の上記長辺及び上記短辺の長さは、第1コンタクト40が第1挿入口32に挿入されて保持可能であれば、対応する第1コンタクト40の前後幅及び左右幅よりも僅か大きくてもよい。
【0024】
第2挿入口33は、
図3に示すように、挿入溝31の内面に設けられる。例えば、第2挿入口33の下部は、
図8に示すように、挿入溝31の下側内面に設けられる。また、第2挿入口33の上部は、
図8に示すように、挿入溝31の上側内面に設けられる。第2挿入口33は、
図4に示すように、インシュレータ30の後面を貫通する。
図3に示すように、インシュレータ30の下面に沿った第2挿入口33の表面形状は、前後方向に長辺を有し且つ左右方向に短辺を有する矩形状である。第2挿入口33には、
図8に示すように、第2コンタクト50が後方向から前方向に向かって圧入される。第2挿入口33に第2コンタクト50が圧入されることにより、インシュレータ30は、第2コンタクト50を支持する。
【0025】
なお、第2挿入口33の配列及び大きさは、第2コンタクト50の配列及び大きさに応じて、適宜調整されてよい。例えば、
図3に示すように、第2コンタクト50が第1コンタクト40の配列の両端に配置される場合、第2挿入口33は、第2コンタクト50に対応するように、挿入溝31の左右両端に設けられてよい。また、第2コンタクト50が第1コンタクト40の配列に沿って所定間隔で配置される場合、第2挿入口33は、当該第2コンタクト50に対応するように、所定間隔で設けられてよい。この場合、複数の第2挿入口33の下側内面は、それぞれの前後方向の位置が略一致するように形成されてよい。また、第2挿入口33の上記長辺及び上記短辺の長さは、第2コンタクト50が第2挿入口33に挿入されて保持可能であれば、対応する第2コンタクト50の前後幅及び左右幅よりも僅か大きくてもよい。
【0026】
取付溝34は、
図3に示すように、インシュレータ30の左右両端の近傍に設けられる。取付溝34は、前後方向に延在する。取付溝34は、前方向に向けて開放する。取付溝34には、固定金具60が前方向から後方向に向かって圧入される。
【0027】
底壁35は、
図4に示すように、インシュレータ30の外側下面に形成される。底壁35は、コネクタ20が回路基板CBに配置されたとき、第1挿入口32の下側内面及び第2挿入口33の下側内面と、回路基板CBとの間に位置する。
【0028】
図5及び
図7に示す第1コンタクト40は、側面視において略コ字状に形成される。第1コンタクト40は、ばね弾性を有する銅合金(例えば、リン青銅、ベリリウム銅、チタン銅)又はコルソン系銅合金の薄板に順送金型(スタンピング)を用いることにより、形成されてよい。第1コンタクト40は、薄板である材料の抜き加工のみで形成される。より具体的には、左右方向において、第1コンタクト40は同一平面によって形成される。第1コンタクト40は、薄板である材料を抜き加工した後に、折り曲げて形成させてもよい。
【0029】
第1コンタクト40は、その表面に下地となる下地めっきが形成される。下地めっきの上面の一部に表層めっきが積層される。下地めっきは、例えば、ニッケル、パラジウムニッケル合金又は銅等の材料により構成され、はんだ及びフラックスに対して低濡れ性を有する。一方で、表層めっきは、例えば、金、銀、錫又は錫銅合金等の材料により構成され、はんだ及びフラックスに対して高濡れ性を有する。第1コンタクト40の表面は、例えば、電気信号を伝達するために重要となる回路基板CBとの実装部及び接続対象物10との接触部等に対してのみ部分的に表層めっきが形成され、それ以外の部分では下地めっきにより形成されてもよい。また、第1コンタクト40の表面は、はんだ上がり及びフラックス上がりを防ぐために、最適な領域においてのみ下地めっきにより形成され、それ以外の部分では全て表層めっきにより形成されてもよい。はんだ上がり及びフラックス上がりを効果的に防ぐためには、第1コンタクト40の最適な領域において、当該領域に含まれる全方向の表面に対して下地めっきが露出している必要がある。
【0030】
図5及び
図7に示す第1コンタクト40は、回路基板CB上の信号パターンと、
図9に示す接続対象物10の導電層11とを電気的に接続する。また、第1コンタクト40は、アクチュエータ70の回転軸74を支持することにより、アクチュエータ70を回転可能に支持する。第1コンタクト40は、
図7に示すように、先端に凹部42(係合部)を含む第1腕部41と、先端に接触部44を含む第2腕部43と、支持部45と、実装部47とを有する。
【0031】
第1腕部41は、
図5及び
図7に示すように、支持部45から前方向に向けて延在する。第1腕部41の先端には、凹部42が形成される。凹部42は、
図7に示すように、下方向に向けて開放する。凹部42は、アクチュエータ70の回転軸74に係合する。係合部としての凹部42がアクチュエータ70の被係合部としての回転軸74に係合することにより、第1コンタクト40は、アクチュエータ70を回転可能に支持する。
【0032】
第2腕部43は、接続対象物10の板厚方向すなわち上下方向において、第1腕部41の直下に位置し、第1腕部41に対向する。第2腕部43は、
図5及び
図7に示すように、支持部45から前方向に向けて延在する。第2腕部43の先端には、接触部44が形成される。接触部44は、上方向に突出する。接触部44は、
図9に示すように、接続対象物10の他方の表面すなわち接続対象物10の導電層11に接触する。第2腕部43の先端は、
図5及び
図7に示すように、第2腕部43の後方向側の末端よりも、上方向に位置してよい。このような構成により、
図9に示す接触部44から接続対象物10への押圧が増加する。
図9に示す接触部44から接続対象物10への押圧が増加することで、接触部44と接続対象物10の導電層11との間の接続の信頼性を高めることができる。
【0033】
接触部44は、
図5及び
図9に示すように、第3接触部44a及び第4接触部44bを含んでよい。
図9に示すように、第3接触部44a及び第4接触部44bは、それぞれ、接続対象物10の導電層11に接触する。このような構成により、第1コンタクト40は、第3接触部44a及び第4接触部44bによる2つの接触点で導電層11に接触することができる。2つの接触点で第1コンタクト40と導電層11とが接触することで、第1コンタクト40と導電層11との間の接触の信頼性を高めることができる。また、第3接触部44aは、第4接触部44bよりも、接続対象物10の抜去方向側すなわち前方向側に位置してよい。このような構成により、接続対象物10を挿入する際、導電層11に異物が付着していても、当該異物を第3接触部44aによるワイピングで除去した後、第4接触部44bが導電層11に接触することができる。これにより、第1コンタクト40と導電層11との間の接触の信頼性をさらに高めることができる。
【0034】
図5及び
図7に示す支持部45は、第1腕部41及び第2腕部43を支持する。例えば、支持部45の上部近傍は、第1腕部41の後方向の末端に接続される。また、支持部45の下部近傍は、第2腕部43の後方向の末端に接続される。
【0035】
支持部45の上部には、
図5及び
図7に示すように、突出部46が形成される。突出部46は、インシュレータ30の第1挿入口32の上側内面に食い込む。さらに、支持部45の下部は、インシュレータ30の第1挿入口32の下側内面に支持される。このような構成により、第1コンタクト40は、第1挿入口32に保持される。
【0036】
実装部47は、
図7に示すように、インシュレータ30の後面よりも、後方向に突出する。実装部47の下面は、インシュレータ30の下面よりも、下方向に位置する。実装部47は、上述の
図1に示す回路基板CB上の信号パターンに実装される。例えば、実装部47は、回路基板CB上に塗布したはんだペーストに載置されることにより、実装される。
【0037】
図6及び
図8に示す第2コンタクト50は、側面視において略コ字状である。第2コンタクト50は、第1コンタクト40と同様に、ばね弾性を有する銅合金(例えば、リン青銅、ベリリウム銅、チタン銅)又はコルソン系銅合金の薄板に順送金型(スタンピング)を用いることにより、形成されてよい。第2コンタクト50は、薄板である材料の抜き加工のみで形成される。より具体的には、左右方向において、第2コンタクト50は同一平面によって形成される。第2コンタクト50は、薄板である材料を抜き加工した後に、折り曲げて形成させてもよい。
【0038】
第2コンタクト50の表面には、第1コンタクト40と同様に、下地めっき及び表層めっきが形成されてよい。また、第2コンタクト50の表面は、第1コンタクト40と同様に、はんだ上がり及びフラックス上がりを防ぐために、最適な領域においてのみ下地めっきにより形成され、それ以外の部分では全て表層めっきにより形成されてもよい。はんだ上がり及びフラックス上がりを効果的に防ぐためには、第2コンタクト50の最適な領域において、当該領域に含まれる全方向の表面に対して下地めっきが露出している必要がある。
【0039】
図6及び
図8に示す第2コンタクト50は、回路基板CB上のグランドパターンと、
図10に示す接続対象物10のグランド層12及びグランド層13とを電気的に接続する。第2コンタクト50は、
図8に示すように、第1接触部52を含む第1腕部51と、先端に第2接触部55を含む第2腕部54と、支持部56と、実装部58とを有する。
【0040】
第1腕部51は、
図6及び
図8に示すように、支持部56から前方向に向けて延在する。第1腕部51の端部51aは、
図8に示すようにアクチュエータ70が開状態にあるとき、アクチュエータ70よりも、接続対象物10の抜去方向側すなわち前方向に突出しない。つまり、第1腕部51の端部51aは、
図8に示す線Lよりも、前方向に突出しない。このような構成により、接続対象物10を
図3に示すインシュレータ30の挿入溝31に挿入する際、接続対象物10が第1腕部51の端部51aに当接することを防ぐことができる。接続対象物10が第1腕部51の端部51aに当接することを防ぐことで、接続対象物10を
図3に示すインシュレータ30の挿入溝31にスムーズに挿入することができる。さらに、接続対象物10を挿入溝31に挿入する際に、接続対象物10が第1腕部51の端部51aに当接することを防ぐことができるため、第1腕部51が変形することを抑制することができる。
【0041】
第1腕部51には、第1接触部52が形成される。第1接触部52は、
図10に示すように、接続対象物10の一方の表面すなわち接続対象物10のグランド層13に接触する。第1接触部52は、接続対象物10の板厚方向すなわち上下方向において弾性変形する。例えば、第1接触部52は、弾性片53の一部であってよい。
図8に示すように、弾性片53は、第1腕部51の端部51aから延出し、端部51aで第1腕部51の後方向に向けて折り返えして形成されてよい。弾性片53の略中央部分は、第2腕部54に向けて突出するように、折り曲げられてよい。この場合、第1接触部52は、弾性片53の略中央部分であってよい。このように弾性片53が折り返した構造を有することにより、第1接触部52の弾性変形の変位量を大きくすることができる。また、第1接触部52は、
図8に示すように、アクチュエータ70の回転軸74よりも、接続対象物10の挿入方向側すなわち後方向側に位置してよい。このような構成によって、第2コンタクト50の端部がアクチュエータ70の回転軸74よりも抜去方向側すなわち前方向側に位置しなくても、第1接触部52の弾性変形の変位量を大きくすることができる。
【0042】
弾性片53の先端53aの一部は、
図8に示すようにアクチュエータ70が開状態にあるとき、インシュレータ30の第2挿入口33の上側部分に収容されてよい。弾性片53は、接続対象物10がインシュレータ30の挿入溝31に挿入されると、接続対象物10によって上方向に押される。弾性片53が上方向に押されるとき、弾性片53の先端53aの一部が予め第2挿入口33の上側部分に収容されていると、弾性片53は、
図10に示すように第2挿入口33の上側部分にスムーズに収容され得る。接続対象物10がインシュレータ30の挿入溝31に挿入されるときに弾性片53が第2挿入口33の上側部分にスムーズに収容されることで、第2コンタクト50が左右にずれること及び弾性片53が変形することを防ぐことができる。
【0043】
第2腕部54は、
図8に示すように、接続対象物10の板厚方向すなわち上下方向において、第1腕部51の直下に位置し、第1腕部51に対向する。第2腕部54は、支持部56から前方向に向けて延在する。第2腕部54の先端には、第2接触部55が形成される。第2接触部55は、上方向に突出する。第2接触部55は、
図10に示すように、接続対象物10の他方の表面すなわち接続対象物10のグランド層12に接触する。第2腕部54は、
図8に示すように、接続対象物10が挿抜される挿抜方向すなわち前後方向において、第1腕部51よりも長い。このような構成により、第2接触部55は、
図10に示すように、信号用の導電層11とは接触せずに、グランド層12と接触することができる。また、第2腕部54の先端は、
図8に示すように、第2腕部54の後方向の末端よりも、上方向に位置してよい。このような構成により、
図10に示す第2接触部55から接続対象物10への押圧が増加する。
図10に示す第2接触部55から接続対象物10への押圧が増加することで、第2接触部55と接続対象物10のグランド層12との間の接触の信頼性を高めることができる。
【0044】
ここで、
図8に示すように、コネクタ20が回路基板CBに配置される方向すなわち上下方向において、第1接触部52と第2接触部55との間の距離D1は、
図8に示す接続対象物10の厚さTよりも小さくてよい。このような構成により、第1接触部52及び第2接触部55は、
図10に示す接続対象物10を、上下方向において互いに押圧することができる。これにより、第1接触部52と接続対象物10のグランド層13との間の接触の信頼性、及び、第2接触部55と接続対象物10のグランド層12との間の接触の信頼性を高めることができる。
【0045】
また、
図7に示すように、コネクタ20が回路基板CBに配置される方向すなわち上下方向において、第1接触部52と第1コンタクト40の接触部44(第3接触部44a又は第4接触部44b)との間の距離D2は、接続対象物10の厚さTよりも小さくてよい。このような構成により、第1接触部52と第1コンタクト40の接触部44は、
図10に示す接続対象物10を、上下方向において互いに押圧することができる。これにより、第1接触部52と接続対象物10のグランド層13との間の接触の信頼性、及び、第1コンタクト40の接触部44と接続対象物10の導電層11との間の接触の信頼性を高めることができる。
【0046】
図8に示す支持部56は、第1腕部51及び第2腕部54を支持する。例えば、支持部56の上部近傍は、第1腕部51の後方向側の末端に接続される。また、支持部56の下部近傍は、第2腕部54の後方向側の末端に接続される。
【0047】
支持部56の上部には、
図8に示すように、突出部57が形成される。突出部57は、インシュレータ30の第2挿入口33の上側内面に食い込む。さらに、支持部56の下部は、インシュレータ30の第2挿入口33の下側内面に支持される。このような構成により、第2コンタクト50は、第2挿入口33に保持される。
【0048】
実装部58は、
図8に示すように、インシュレータ30の後面よりも、後方向に突出する。実装部58の下面は、インシュレータ30の下面よりも、下方向に位置する。実装部58は、上述の
図1に示す回路基板CB上のグランドパターンに実装される。例えば、実装部58は、回路基板CB上に塗布したはんだペーストに載置されることにより、実装される。
【0049】
図3及び
図4に示す固定金具60は、任意の金属板のプレス成形品である。2つの固定金具60が、インシュレータ30の左右両側に位置する。固定金具60は、インシュレータ30の取付溝34に前方向から後方向に向かって圧入されることにより、インシュレータ30に固定される。固定金具60は、
図3及び
図4に示すように、支持部61と、実装部62とを有する。
【0050】
支持部61は、
図3及び
図4に示すように、実装部62から後方向に向けて延出する。支持部61は、アクチュエータ70を支持する。
【0051】
実装部62は、
図3及び
図4に示すような略L字状に形成される。実装部62は、
図1に示す回路基板CBに実装される。例えば、実装部62は、回路基板CB上に塗布したはんだペーストに載置されることにより、回路基板CBに実装される。実装部62には、
図3及び
図4に示すように、貫通孔が形成されてよい。実装部62に貫通孔を形成することにより、実装部62を回路基板CBに実装させる際、当該貫通孔にはんだが溜まりやすくなる。当該貫通孔にはんだが溜まりやすくなることで、回路基板CBに対する実装部62の固着力を向上させることができる。また、当該貫通孔にはんだが溜まりやすくなることで、余剰はんだが這い上がることを防ぐことができる。
【0052】
アクチュエータ70は、
図3及び
図4に示すような左右対称の板状部材である。アクチュエータ70は、絶縁性且つ耐熱性の合成樹脂材料を射出成形することにより、板状に形成されてよい。アクチュエータ70は、インシュレータ30に対して回転可能である。アクチュエータ70は、
図3及び
図4に示すように、側部71と、貫通孔72と、挿入溝73と、回転軸74(被係合部)と、平面部75と、平面部76とを有する。
【0053】
側部71は、
図3及び
図4に示すように、アクチュエータ70の左右両端に設けられる。左右の側部71の回転軸74側に位置する基端部71aは、それぞれ、左右の固定金具60の支持部61に載置される。
【0054】
貫通孔72は、アクチュエータ70の下方向の端部近傍に形成される。貫通孔72は、アクチュエータ70の左右方向に並べて形成される。貫通孔72は、
図4に示すように、前後方向にアクチュエータ70を貫通する。貫通孔72には、
図7に示すように、第1コンタクト40の凹部42が挿入される。
【0055】
図3に示す挿入溝73は、アクチュエータ70の下方向の端部近傍に形成される。挿入溝73は、アクチュエータ70の左右両端に設けられる。挿入溝73は、
図4に示すように、前後方向にアクチュエータ70を貫通する。挿入溝73には、
図8に示すように、第2コンタクト50の第1腕部51の一部が挿入される。
【0056】
図3に示す回転軸74は、貫通孔72の一部を塞ぐように形成される。回転軸74は、
図7に示すように、第1コンタクト40の凹部42に係合する。上述のように側部71の基端部71aが固定金具60の支持部61によって支持されることにより、回転軸74と、各回転軸74に対応する第1コンタクト40の凹部42との係合関係が維持される。より具体的には、固定金具60の支持部61によって側部71の基端部71aが支持されることで、回転軸74が第1コンタクト40の凹部42から脱落することを抑制することができる。このような構成により、アクチュエータ70は、回転軸74を中心に、インシュレータ30に対して回転可能になる。
【0057】
平面部75は、
図4に示すように、アクチュエータ70の左右の側部71の間に連続して設けられる。より具体的には、平面部75は、左右方向に連続しており、
図4に示すアクチュエータ70の後方向側の下側端部に平面として形成される。平面部75は、アクチュエータ70が開状態にあるとき、インシュレータ30の挿入溝31の上側内面よりも上側に位置する。このような構成により、接続対象物10を挿入溝31に挿入する際に、接続対象物10がアクチュエータ70の下方向の端部に接触することを抑制することができる。これにより、アクチュエータ70が開状態にあるとき、接続対象物10を挿入溝31に容易に挿入することができる。
【0058】
平面部76は、
図3に示すように、アクチュエータ70の左右の側部71の間に設けられる。平面部76は、
図3に示すアクチュエータ70の前方向側の下側に平面として形成される。平面部76は、アクチュエータ70が閉状態にあるとき、接続対象物10の表面と接触し、
図9に示すように接続対象物10を下方向に押圧する。このような構成により、第1コンタクト40の接触部44等と接続対象物10との間の接触の信頼性を高めることができる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係るコネクタ20では、グランド端子としての第2コンタクト50が、
図10に示すように、第1接触部52を含む第1腕部51と、第2接触部55を含む第2腕部54とを有する。本実施形態に係るコネクタ20は、第1接触部52及び第2接触部55によって、接続対象物10の両方の表面に形成される導電層すなわちグランド層12及びグランド層13と電気的に接続することができる。さらに、接続対象物10がグランド層12,13の何れか一方のみを備える場合でも、本実施形態に係るコネクタ20は、第1接触部52又は第2接触部55によって、接続対象物10が備えるグランド層12又はグランド層13と電気的に接続することができる。換言すると、本実施形態に係るコネクタ20は、接続対象物10の片方の表面のみに導電層が形成される場合でも、第1接触部52又は第2接触部55によって、当該導電層と電気的に接続することができる。従って、本実施形態によれば、グランド層が板状の接続対象物の片方の表面に形成されているのか又は両方の表面に形成されているのかに影響されることなく、電気的な接続ができるケーブル用のコネクタ20が提供される。
【0060】
ここで、近年、コネクタの小型化が進んでいる。コネクタの小型化に伴い、コネクタ内のコンタクトの配列間隔(
図3の例では、左右方向における第1コンタクト40及び第2コンタクト50の配列間隔)も狭くなってきている。このような場合でも、本実施形態では、第1コンタクト40及び第2コンタクト50は、上述のように薄板である材料の抜き加工のみで形成されため、狭い配列間隔に対応することができる。さらに、抜き加工のみで第1コンタクト40及び第2コンタクト50を形成することにより、複雑な形状であっても、第1コンタクト40及び第2コンタクト50を容易に製造することができる。
【0061】
以上のようなコネクタ20は、電子機器に搭載される。電子機器は、例えば、カメラ、レーダ、ドライブレコーダ及びエンジンコントロールユニット等の任意の車載機器を含む。電子機器は、例えば、カーナビゲーションシステム、先進運転支援システム及びセキュリティシステム等の車載システムにおいて使用される任意の車載機器を含む。電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、コピー機、プリンタ、携帯端末、ファクシミリ及び複合機等の任意の情報機器を含む。その他、電子機器は、任意の産業機器を含む。
【0062】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能である。複数の機能部等は、1つに組み合わせられたり、分割されたりしてよい。上述した本開示に係る各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施され得る。
【0063】
例えば、
図6に示す第2コンタクト50において、第2接触部55は、第1接触部52と同様に、弾性片の一部であってよい。このような構成により、第2接触部55の弾性変形の変位量を大きくすることができる。第2接触部55の弾性変形の変位量を大きくすることで、
図10に示す第2接触部55とグランド層12との間の接触の信頼性を高めることができる。
【0064】
例えば、
図3に示す第1コンタクト40及び第2コンタクト50は、左右方向に沿って一列に配置されなくてよい。例えば、第1コンタクト40及び第2コンタクト50は、
図11に示すように左右方向に沿って二列に配置されてよい。
図11は、変形例に係るコネクタ20Aの下面図である。
図11に示す一部の第1コンタクト40及び第2コンタクト50は、インシュレータ30の後方向の端部の左右方向に沿って配置される。
図11に示す他の第1コンタクト40は、インシュレータ30の前方向の端部の左右方向に沿って配置される。このような構成とすることで、第1コンタクト40と第2コンタクト50との間の間隔、並びに、隣接する第1コンタクト40間の間隔を狭くすることができる。
【0065】
例えば、上記実施形態では、第1コンタクト40及び第2コンタクト50は、所定間隔で配列されると説明したが、これに限定されない。例えば、第1コンタクト40の配列間隔と、第2コンタクト50の配列間隔とが異なってもよい。この場合、第1コンタクト40を第1間隔で配列させ、第2コンタクトを第1間隔よりも大きい第2間隔で配列させてもよい。