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特許6976259バーコードデータベースおよびソフトウェア更新システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976259
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】バーコードデータベースおよびソフトウェア更新システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20211125BHJP
【FI】
   G16H20/10
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-542128(P2018-542128)
(86)(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公表番号】特表2018-533152(P2018-533152A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】US2016053904
(87)【国際公開番号】WO2017078864
(87)【国際公開日】20170511
【審査請求日】2019年7月24日
(31)【優先権主張番号】62/250,646
(32)【優先日】2015年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】バリー・スカーブル
(72)【発明者】
【氏名】クラウス−ペーター・ライジンガー
【審査官】 原 忠
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0161558(US,A1)
【文献】 特開2007−117572(JP,A)
【文献】 特開2008−086663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 − 80/00
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品インジェクタシステムを操作する方法であって、
医薬品インジェクタシステムに関連するデータベースに含まれる参照テーブルに、医薬品のレコードを作成するステップであって、前記レコードを作成するステップは、
医薬品情報が埋め込まれた新しいレコードバーコードを取得するステップであって、前記医薬品情報は、医薬品の識別子と、医薬品の濃度、医薬品の容量、医薬品の使用期限、ならびに医薬品のロットおよびバッチ番号のうちの少なくとも1つと、を含む、ステップと、
前記医薬品インジェクタシステムに関連するバーコードリーダを使用して前記新しいレコードバーコードをスキャンするステップであって、前記新しいレコードバーコードをスキャンすると、前記データベースに関連するプロセッサに、(i) 前記新しいレコードバーコードに埋め込まれた前記医薬品の識別子が、参照テーブルに既に存在するいずれかの医薬品識別子と一致するかどうかを判定し、(ii) 前記新しいレコードバーコードに埋め込まれた前記医薬品の識別子が、前記参照テーブルに既に存在するいずれかの医薬品識別子と一致しない場合には、前記参照テーブル内に新しい参照テーブルレコードを作成させ、(iii) 前記新しい参照テーブルレコードに、前記新しいレコードバーコード内に埋め込まれた前記医薬品情報を追加させる、ステップと、
注入処置を実行するステップであって、前記医薬品インジェクタシステムの医薬品インジェクタを用いて前記医薬品を投与することを含む、ステップと
前記注入処置のレポートを作成するステップであって、前記新しい参照テーブルレコードにアクセスすることと、前記新しい参照テーブルレコードから前記医薬品情報の少なくとも一部を抽出することと、前記医薬品情報の少なくとも一部をデータフォームに追加することとを含む、ステップと、
を含
方法。
【請求項2】
前記医薬品情報は、少なくとも前記医薬品の識別子、前記医薬品の濃度、前記医薬品の容量、前記医薬品の使用期限、ならびに前記医薬品のロットおよびバッチ番号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記新しいレコードバーコードは医薬品の容器上に設けられ、前記医薬品情報は前記医薬品の容器に含まれる医薬品に関する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医薬品は、造影剤および放射線医薬品のうちの1つである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記新しいレコードバーコードは、1枚の印刷紙上に設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記新しいレコードバーコードを取得するステップは、前記1枚の印刷紙を印刷するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記新しいレコードバーコードを取得するステップは、前記1枚の印刷紙に前記新しいレコードバーコードを含み印刷することができる電子ファイルを取得するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
製品バーコードをスキャンするステップをさらに含み、
前記製品バーコードは、医薬品の容器上に設けられ、
前記製品バーコードは、前記製品バーコードに埋め込まれた前記医薬品の識別子を含み、
前記製品バーコードをスキャンするステップは、前記プロセッサに、前記医薬品の識別子を使用して前記新しい参照テーブルレコードを特定させ、前記新しい参照テーブルレコードから前記医薬品情報の少なくとも一部を抽出させ、データフォームに前記医薬品情報の前記少なくとも一部を追加させる、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記データベースは、ネットワークを介してアクセス可能ではない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記新しいレコードバーコードは2次元バーコードである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記新しいレコードバーコードをスキャンするステップは、前記プロセッサに、前記新しいレコードバーコードを認証するための有効性検証機能をさらに実行させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
医薬品インジェクタシステムであって、
医薬品インジェクタと、
バーコードリーダと、
複数のレコードを含む参照テーブルを含むデータベースであって、各レコードが、医薬品固有識別子によって識別される医薬製品に関連する、データベースと、
前記バーコードリーダおよび前記データベースと通信するプロセッサと、
前記プロセッサと動作可能に通信する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数のプログラミング命令であって、実行されると、前記プロセッサに、
前記バーコードリーダを使用して新しいレコードバーコードから取得された医薬品に関する医薬品情報を受信させ、ここで、前記医薬品情報は、医薬品の識別子と、医薬品の濃度、医薬品の容量、医薬品の使用期限、ならびに医薬品のロットおよびバッチ番号のうちの少なくとも1つと、を含み、
前記新しいレコードバーコードから取得された前記医薬品の識別子が、前記参照テーブルに既に存在するいずれかの医薬品識別子と一致するかどうかを判定させ、
前記新しいレコードバーコードから得られた前記医薬品の識別子が、前記参照テーブルに既に存在するいずれかの医薬品識別子と一致しない場合には、前記データベースに新しい参照テーブルレコードを作成させ、
前記新しい参照テーブルレコードに、前記新しいレコードバーコード内に埋め込まれた前記医薬品情報を追加させ、
前記医薬品インジェクタを用いて前記医薬品を投与することにより注入処置を実行させ、
前記注入処置のレポートを作成させる、ここで、該レポートの作成は、前記新しい参照テーブルレコードにアクセスし、前記新しい参照テーブルレコードから前記医薬品情報の少なくとも一部を抽出し、前記医薬品情報の少なくとも一部をデータフォームに追加することを含む、
1つまたは複数のプログラミング命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、
を備えるシステム。
【請求項13】
前記新しいレコードバーコードを含む1片の印刷媒体をさらに含み、前記新しいレコードバーコードは、前記新しいレコードバーコードに埋め込まれた前記医薬品情報を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数のプログラミング命令であって、実行されると、前記プロセッサに、
少なくとも前記医薬品の識別子が埋め込まれた製品バーコードが前記バーコードリーダによって読み取られたという指示を前記バーコードリーダから受信させ、
前記医薬品の識別子を使用して前記参照テーブルレコードを特定させ、
前記参照テーブルレコードから前記医薬品情報の少なくとも一部を抽出させ、
データフォームに前記医薬品情報の前記少なくとも一部を追加させる、
1つまたは複数のプログラミング命令をさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データベースを更新するシステムおよび方法に関し、より詳細には、医療システムに関連するデータベースを新しい医療情報で更新するためのバーコード技術の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野では、情報を自由に移動できるようにすることと、そのような情報が安全で正確であることを確保することと、の間に競合する利益が存在する。一方では、例えばネットワーク化されたシステムを介する、情報の自由な移動によって、リアルタイムで情報を送受信することにより、ネットワーク上のすべてのノードが「最新の状態」を維持できる。他方、そのようなネットワークのアクセシビリティによって、データエラーをシステム全体に素早く伝播させ、ネットワーク全体にわたるデータの正確性を危うくさせるポータルが生じる可能性がある。このため、一部の機関では、特定のコンポーネントが情報を受け取る方法を制限し、更新された情報をローカルに入力することによってそれらのコンポーネントを「オフライン」に更新することを要求することさえある。
【0003】
そのような制限に直面し得るそのようなコンポーネントの1つは、医薬品データベースである。その名前が示すように、医薬品データベースは、ポイントオブケアユニットによって使用され得る様々な医薬品に関する情報を含むデータベースである。例として、病院にある放射線室は、検査の一部として患者に投与され得る様々な造影剤に関する情報(例えば、容量、濃度、製造業者、使用期限など)を含む医薬品データベースを含むことができる。使用時には、試験の一環として使用されている医薬品をより完全に理解するために、データベースに含まれる医薬品に関する情報にアクセスする。この情報は、後に、評価担当医または品質管理部門が検討することができる試験報告書に含めることができる。従来、このデータベースを更新すること、そして特に、新しい医薬品をデータベースに追加することは、ソフトウェアが通常更新されるのと同じ方法で実現されている。これには、ネットワークを介してデータベースへ更新を送信すること、技術者が手動で情報を入力すること、またはコンパクトディスクもしくはUSBドライブに格納された情報を転送することが含まれる。しかしながら、これらの技法のそれぞれは、各技法に関連する固有の問題を有する。1つには、上述のように、ネットワーク化されたデータベースは、壊れたまたは不正確な情報を受信するリスクが高くなる。2つには、手作業でデータを入力する場合、人的ミスが重大な問題となる。最後に、物理的媒体の使用は、費用がかかり、大規模な病院環境で迅速に広めることが困難な場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施態様では、本発明は、医療システムに関連するデータベースに含まれる参照テーブルにレコードを作成する方法である。本方法は、医薬品情報が埋め込まれた新しいレコードバーコードを取得するステップであって、医薬品情報は、医薬品の識別子と、医薬品の濃度、医薬品の容量、医薬品の使用期限、ならびに医薬品のロットおよびバッチ番号のうちの少なくとも1つと、を含む、ステップと、医療システムに関連するバーコードリーダを使用して新しいレコードバーコードをスキャンするステップと、を含み、新しいレコードバーコードをスキャンするステップは、データベースに関連するプロセッサに、参照テーブル内に参照テーブルレコードを作成させ、参照テーブルレコードに医薬品情報を追加させる。
【0005】
一部の非限定的な実施形態では、医薬品情報は、少なくとも医薬品の識別子、医薬品の濃度、医薬品の容量、医薬品の使用期限、ならびに医薬品のロットおよびバッチ番号を含む。
【0006】
特定の非限定的な実施形態では、新しいレコードバーコードは医薬品の容器上に設けられ、医薬品情報は医薬品の容器に含まれる医薬品に関する。医薬品は、例えば、造影剤または放射線医薬品であってもよい。
【0007】
特定の非限定的な実施形態では、新しいレコードバーコードは、1枚の印刷紙上に設けられる。新しいレコードバーコードを取得するステップは、1枚の印刷紙に印刷することができる電子ファイルを取得するステップと、1枚の印刷紙に印刷するステップと、を含み得る。新しいレコードバーコードは、2次元バーコードであってもよい。
【0008】
特定の非限定的な実施形態では、本方法は、医薬品の容器上に設けられ、医薬品の識別子が埋め込まれた製品バーコードをスキャンするステップをさらに含み得る。次いで、製品バーコードをスキャンするステップにより、プロセッサは、医薬品の識別子を使用して参照テーブルレコードを特定し、参照テーブルレコードから医薬品情報の少なくとも一部を抽出し、医薬品情報の少なくとも一部をデータフォームに追加することができる。
【0009】
一部の非限定的な実施形態では、医療システムは、医薬品インジェクタシステムである。さらに、データベースは、ネットワークを介してアクセス可能でない場合がある。
【0010】
一部の非限定的な実施形態では、新しいレコードバーコードをスキャンするステップにより、プロセッサは、新しいレコードバーコードを認証するための有効性検証機能を実行する。
【0011】
別の実施態様では、本発明は、新しいレコードバーコードを含む1片の印刷媒体であって、新しいレコードバーコードは、新しいレコードバーコードに埋め込まれた医薬品情報を含み、医薬品情報は、医薬品の識別子と、医薬品の濃度、医薬品の容量、医薬品の使用期限、ならびに医薬品のロットおよびバッチ番号のうちの少なくとも1つと、を含む、1片の印刷媒体である。
【0012】
特定の非限定的な実施形態では、新しいレコードバーコードに埋め込まれた医薬品情報は、少なくとも医薬品の識別子、医薬品の濃度、医薬品の容量、医薬品の使用期限、ならびに医薬品のロットおよびバッチ番号を含む。
【0013】
一部の非限定的な実施形態では、1片の印刷媒体は医薬品の容器上に設けられ、医薬品情報は容器に含まれる医薬品に関する。
【0014】
特定の非限定的な実施形態では、新しいレコードバーコードは、2次元バーコードである。
【0015】
別の実施態様では、本発明は、バーコードリーダと、複数のレコードを含む参照テーブルを含むデータベースであって、各レコードが、医薬品固有識別子によって識別される医薬製品に関連する、データベースと、バーコードリーダおよびデータベースと通信するプロセッサと、プロセッサと動作可能に通信する非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を備えるシステムである。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数のプログラミング命令であって、実行されると、プロセッサに、バーコードリーダを使用して新しいレコードバーコードから取得された医薬品情報を受信させ、ここで、医薬品情報は、医薬品の識別子と、医薬品の濃度、医薬品の容量、医薬品の使用期限、ならびに医薬品のロットおよびバッチ番号のうちの少なくとも1つと、を含み、データベースに新しい参照テーブルレコードを作成させ、新しい参照テーブルレコードに医薬品情報を追加させる、1つまたは複数のプログラミング命令を含む。
【0016】
特定の非限定的な実施形態では、本システムは、新しいレコードバーコードを含む1片の印刷媒体をさらに含み、新しいレコードバーコードは、新しいレコードバーコードに埋め込まれた医薬品情報を含む。
【0017】
本システムの特定の非限定的な実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数のプログラミング命令であって、実行されると、プロセッサに、少なくとも医薬品の識別子が埋め込まれた製品バーコードがバーコードリーダによって読み取られたという指示をバーコードリーダから受信させ、医薬品の識別子を使用して参照テーブルレコードを特定させ、参照テーブルレコードから医薬品情報の少なくとも一部を抽出させ、データフォームに医薬品情報の少なくとも一部を追加させる、1つまたは複数のプログラミング命令をさらに含む。
【0018】
一部の非限定的な実施形態では、本システムは、医薬品インジェクタをさらに備える。
【0019】
本発明の上述および他の目的、特徴、ならびに利点は、添付の図面に示されるように、その例示的な実施形態の以下の詳細な説明に照らしてより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】1つの非限定的な実施形態による、データベースに含まれる参照テーブルにレコードを作成し、レコードの情報を使用するプロセスの流れ図である。
図2】1つの非限定的な実施形態によるシステムの概略図である。
図3】1つの非限定的な実施形態による一式のデータベースレコードを代表した図である。
図4】1つの非限定的な実施形態による製品バーコードをその上に有する医薬品の容器の斜視図である。
図5A】1つの非限定的な実施形態による、バーコード追跡技術を使用できるシステムの流れ図である。
図5B】1つの非限定的な実施形態による、バーコード追跡技術を使用できるシステムの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明の目的のために、空間における方向に関する用語は、使用された場合、参照された実施形態が添付の図面または他の方法で以下の詳細な説明に記載されている通りに、参照された実施形態に関連するものとする。しかしながら、以下に説明する実施形態は、多くの代替的な変形および構成を想定することができることを理解されたい。添付の図面に示され、本明細書で説明する特定の装置、特徴、およびコンポーネントは、単に例示的なものであり、限定するものとみなされるべきではないことも理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、内容が他に明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0022】
本明細書で使用する場合、「通信」および「通信する」という用語は、1つまたは複数の信号、メッセージ、コマンド、または他のタイプのデータの受信、送信、または転送を指す。1つのユニットまたは装置が別のユニットまたは装置と通信することは、その1つのユニットまたは装置が、その別のユニットまたは装置との間でデータを送受信できることを意味する。通信は、直接的または間接的な接続を使用してもよく、本質的に有線および/または無線であってもよい。加えて、第1のユニットまたは装置と第2のユニットまたは装置との間で、送信されるデータが変更、処理、ルーティングなどされても、2つのユニットまたは装置が互いに通信することができる。例えば、第1のユニットが受動的にデータを受信し、第2のユニットにデータを能動的に送信しないとしても、第1のユニットは第2のユニットと通信することができる。別の例として、第1のユニットは、中間ユニットが1つのユニットからのデータを処理し、処理されたデータを第2のユニットに送信する場合、第2のユニットと通信することができる。例えば、あるコンポーネントから別のコンポーネントに伝達されるデータは、「格納および転送」および他の低レベルのデータ収集、処理、ならびに通信機能などの、ネットワーク化されたシステムに共通する機能を実行するローカルデータ収集および通信モジュールとして機能し得る、1つまたは複数のノードを通過することができる。多数の他の構成が可能であることは理解されよう。この説明および図面を通して、あるコンポーネントから別のコンポーネントへの通信リンクが考察および図示される。明確にするために、矢印は通信の方向を示す。矢印は、別個の一方向通信リンクを示すものとして理解される場合もある。あるいは、矢印は、双方向通信を容易にする単一の通信リンクを示す場合もある。当業者には理解されるように、1つまたは複数の通信リンクは、とりわけ、電話線、無線通信リンク、またはインターネットであってもよい。
【0023】
図1は、医療システムに関連するデータベースに含まれる参照テーブルにレコードを作成し、レコードに含まれる情報を使用してデータフォームにデータを追加する、例示的なプロセスの様々なステップ、段階、またはフェーズを示す流れ図である。本流れ図は、少なくとも医薬品の識別子を含む医薬品情報を含む新しいレコードバーコードを取得するステップと、新しいレコードバーコードを医療システムに関連するバーコードリーダでスキャンするステップと、バーコードが新しいレコードコードであるか否かを判定するステップ(例えば、新しいレコードバーコードが確かに新しいレコードバーコードであることを確認するステップ)と、を含む。システムがバーコードを新しいレコードバーコードとして認識すると、医薬品データベースの参照テーブルに新しいレコードの作成を開始し、新しいレコードバーコードに符号化された医薬品情報を新しいレコードに追加することによって、プロセスが続行する。あるいは、スキャンされたバーコードが新しいレコードバーコードではなく、符号化された少なくとも医薬品の識別子を含む製品バーコードである場合、プロセスは、符号化された医薬品の識別子によって識別される医薬品に関するエントリが医薬品データベースに存在するか否かを判定するステップを含む。そのようなレコードが存在する場合、プロセスは、レコードから医薬品情報を呼び出し、そのような情報をデータフォームに追加することによって続行する。流れ図は、ここで開示される本発明の様々な実施形態の理解を容易にするために提示される。以下に説明される様々なシステムおよび方法は、一般に、図1に概要を示した一般的なプロセスに適用可能である。
【0024】
図2は、1つの実施形態によるシステム10を示す。システム10は、様々なタイプのバーコードから情報を読み取るためのバーコードリーダ20を備え得る。システム10はまた、参照テーブルを含む医薬品データベース40を備え得る。システム10はまた、バーコードリーダ20およびデータベース40の両方と通信するプロセッサ50(または一連のプロセッサ)を備え得る。システム10はまた、プロセッサ50が記憶媒体60に格納された命令を実行できるように、プロセッサ50と動作可能に通信する非一時的コンピュータ可読記憶媒体60を備え得る。
【0025】
一部の非限定的な実施形態では、システム10は、単一のコンピュータ、サーバコンピュータ、コンピュータの組み合わせ、またはハードウェアおよび/もしくはソフトウェアコンポーネントの任意の他の組み合わせを含むことができる。システム10の個々のユニットまたはコンポーネントは、局在化されてもよいし、一部の実施形態では、好ましくは互いに通信する、ローカルまたはリモートの任意の数のハードウェア装置の間で分散されてもよい。さらに、各ユニット自体が、一連のサーバおよび/またはコンピュータなどの分散システムから構成されてもよい。1つの非限定的な例では、システム10の特定のコンポーネントが、またはシステム10全体でさえも、Bayer HealthCare LLCが提供するCertegra(登録商標)ワークステーション製品などの医用撮像装置(例えば、スキャナおよびインジェクタなど)に関連するソフトウェアおよびハードウェアに組み込まれてもよい。例えば、インジェクタ装置に関連するハードウェアおよびソフトウェアはまた、バーコードリーダ20、医薬品データベース40、プロセッサ50、およびコンピュータ可読記憶媒体60、またはそれらの実施態様を含むこともできる。別の例では、システム10の特定のコンポーネントが、またはシステム10全体でさえも、Bayer HealthCare LLCが提供するRadimetrics(商標)Enterprise Platformなどの他の機能も果たすエンタープライズプラットフォームの一部として提供されてもよい。様々な他の構成が可能であることが理解されよう。
【0026】
本明細書で説明するシステムおよび方法により、医薬品データベース40のオフライン更新ができる。以下で明らかになるように、医薬品データベース40に新しいレコードを作成するために使用される情報は新しいレコードバーコードから直接得られるため、医薬品データベースはネットワークを介してそのような情報を受信するように構成する必要はない。実際には、本明細書で説明するような新しいレコードバーコードを使用して更新がローカルに入力されるため、医薬品データベース40は、「オンライン」であったり他の方法でネットワークを介してアクセス可能であったりする必要はない。この利点は、ポリシーの問題として、特定のソフトウェアおよびハードウェアコンポーネントがローカルイントラネットやワールドワイドウェブなどの組織内ネットワークまたは組織内のネットワークをまたいで更新プログラムにリモートアクセスすることを許可していない組織にとって重要である。
【0027】
図1を参照して、まず、データベースレコードを作成するためにバーコードを使用するプロセスの一実施形態を説明する。第1のステップでは、オペレータ(医薬品データベース40を最新の状態に保つ、または医薬品を使用して注射を行う技術者など)が新しいレコードバーコードを取得する。本開示の目的のために、用語「バーコード」は、あらゆる光学的に機械可読なデータ表現を包含するように意図されている。新しいレコードバーコードは、スーパーマーケットで広く使用されているUPC/EANコードなどの1次元バーコードの形をとることができる。このような1次元バーコードは、バーおよびスペースの幅で単一の軸に沿って符号化されたデータによって特徴付けられており、そのため、バーコードがその軸に沿って十分に高い分解能で撮像されれば、その軸に沿った単一のスキャンによりそのようなシンボルを読み取ることができる。新しいレコードバーコードはまた、米国特許第4794239号明細書(参照により組み込まれる)で説明されているようなCode49、および米国特許第5340786号明細書(参照により組み込まれる)で説明されているようなPDF417などの、いくつかの1次元スタック型バーコードの形態であってもよい。このようなスタック型バーコードは、符号化されたデータを複数の行に分割し、それぞれがそれぞれの1次元パターンを含み、そのすべてまたはほとんどがスキャンされ、復号され、次いでリンクされて完全なメッセージが形成される。スキャンは依然として1次元のみで比較的高い分解能を必要とするが、シンボル全体を読み取るには複数の直線状スキャンが必要である。しかしながら、新しいレコードバーコードは、2次元マトリクスバーコードの形態であることが好ましく、2次元マトリクスバーコードは、スキャンの方向を問わず、1次元バーコードよりも高データ密度かつ大容量である。2次元マトリクスコードは、図形の位置検出、方向、および参照構造を伴って、正多角形マトリクスにおいて暗または明のデータ要素としてデータを符号化する。2次元マトリクスコードをスキャンする場合、データ要素の水平および垂直の関係は、ほぼ等しい解像度で記録される。3次元バーコードを含む、バーコードの他の形態は、既存のバーコードおよび将来開発されるバーコードの両方とも、本明細書に開示されるシステムおよび方法と共に使用され得る。バーコードはまた、例えば、米国特許第7546954号にも記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
本明細書で説明するシステムおよび方法は、バーコードの代わりにRFIDタグまたは他のデータ記憶手段を使用して実施することができると想定されるが、バーコードは、この環境においてRFIDタグに対していくつかの利点をもたらす。1つには、バーコードはRFIDタグよりもはるかにコスト効率が良いことである。バーコードは、1枚の紙に印刷することやコンピュータ画面に表示するなど、なんらかの方法で視覚的に表示するだけでよい。RFIDタグは、情報を記憶し、RF信号を変調し、電力を収集するための集積回路と、RFIDリーダと通信するためのアンテナとを含むタグのプログラミングを必要とする。加えて、バーコードは、一般に、物理的な占有領域が少ないため、バイアルまたはシリンジなどの小さな医薬品の容器の表面への配置がより容易である。またさらに、バーコードはRF通信を利用しない。医療環境では、多くの場合、RF範囲で通信する装置が多いため、この範囲で動作する通信に干渉が発生する可能性が高くなる。加えて、バーコードは、RFIDタグのようにたやすく再構成または再プログラムすることはできない。従って、バーコードが間違った情報を配信するようにバーコードが改ざんまたは変更されるリスクは、RFIDタグよりも少なくなる。
【0029】
新しいレコードバーコード内には、医薬品データベース40に作成される新しいレコードに関連する様々な情報が符号化される。新しいレコードバーコードに符号化される情報の非限定的な例としては、医薬品の識別子、医薬品の濃度、医薬品の容量、医薬品の使用期限、ならびに医薬品のロットおよびバッチ番号が挙げられる。この情報の一部またはすべてを新しいレコードバーコードに符号化することができる。追加の情報も新しいレコードバーコードに符号化することができる。この情報の一部を新しいレコードバーコードに符号化させ、その他の情報を手動で入力させることも可能である。少なくとも医薬品の識別子ならびに医薬品のロットおよびバッチ番号は、新しいレコードバーコードに符号化されることが好ましい。
【0030】
医薬品の識別子は、作成されるレコードが関係する医薬品を識別するのに役立つ。医薬品の識別子は、例えば、統一商品コード(universal product code)(「UPC」)またはグローバル商品識別コード(global trade item number)(「GTIN」)などの製品番号であり得る。一般に、製薬業界では、市販されている各医薬品には、製造、購入、出荷、および/または投与中にその特定の医薬品を参照する際に普遍的に使用されるUPCまたはGTINが割り当てられている。医薬品の濃度および医薬品の容量は、その名前が示唆するように、それぞれ特定の医薬品に関連する濃度および容量を構成する。同様に、特定のGTINを有する医薬品は、定められた濃度および容量を有するのが一般的である。濃度または容量のいずれかを変更した場合には、医薬品の化学的構成が変更されていなくても、新しいGTINの割り当てを必要とする。医薬品の使用期限ならびにロットおよびバッチ番号は、やはり、医薬品に固有のものであり、一般的に特定のGTINに固有のものである。
【0031】
新しいレコードバーコードはまた、バーコードを新しいレコードバーコードとして識別する符号化された情報を含むこともできる。本明細書で説明するように、新しいレコードバーコードは、医薬品データベース40における新しいレコードの作成を開始するようにシステムによって理解されるバーコードである。従って、バーコードを新しいレコードバーコードとして識別する一部の符号化された情報をバーコード自体に含めることにより、システムは、バーコードをそのように認識し、新しいデータベースレコードを作成するプロセスを開始することができる。あるいは、ユーザは、バーコードが現れている媒体上にあるなんらかの他の指標に起因してバーコードを新しいレコードバーコードとして認識し、バーコードが新しいレコードバーコードであることをシステムに知らせることができる。例えば、ユーザは、読み取られる次のバーコードが新しいレコードバーコードであり、従って、システムはバーコードリーダ20から受信した情報を使用して新しいレコードを作成すべきであることを知らせるコマンドを入力することができる。別の代替策として、バーコードが、システムが認識した医薬品(例えば、医薬品データベースにまだ存在しない医薬品)を識別しない場合、システムは、バーコードを新しいレコードバーコードとして扱うことができる。例えば、バーコード内に符号化された医薬品の識別子が医薬品データベース40に既に存在するいかなる医薬品の識別子とも一致しない場合、システムは、バーコードを新しいレコードバーコードとして扱い、バーコードに符号化された情報に基づいて新しいデータベースレコードを作成するプロセスを開始することができる。
【0032】
新しいレコードバーコードは様々な方法で取得できる。一例では、新しいレコードバーコードは、1枚の紙などハードコピー出力としてオペレータに提供することができる。別の非限定的な実施形態では、新しいレコードバーコードは、PDAの表示画面またはバーコードを表示することが可能な同様のタイプの装置などの上に、電子フォーマットで提示することができる。さらに別の非限定的な実施形態では、新しいレコードバーコードは、そのラベルなどの医薬品の容器上に設けることができる。最終的に新しいレコードバーコードがどのような形式で提供されるかにかかわらず、新しいレコードバーコードは、電子メールなどにより、インターネットまたは他の電子ネットワークを介して電子ファイルとして配布することができる。コンピュータにダウンロードされたファイルを開いて、新しいレコードバーコードをPDA画面などの画面上に視覚的に表示することもできるし、電子ファイルを受信したコンピュータと通信しているプリンタなどによって印刷することもできる。新しいレコードバーコードはまた、印刷して、物理的な郵便および/または社内の郵便で送付することもできるし、製品パッケージに含めることもできる。
【0033】
再び図1を参照すると、新しいレコードバーコードが取得されると、新しいレコードバーコードは、システム10に関連するバーコードリーダ20によってスキャンされる。バーコードリーダ20は、光学バーコードを読み取ることができる当技術分野で知られている任意のバーコードリーダ20とすることができる。そのようなバーコードリーダは、一般的に知られており、例えば、米国特許第6223988号明細書、同第7137555号明細書、同第7320431号明細書、および同第8602309号明細書に記載されており、これらのそれぞれの全内容は参照により組み込まれる。好ましくは、バーコードリーダ20は、1次元バーコードと2次元バーコードとの両方を読み取ることができる。しかしながら、それぞれが異なる能力を有する複数のバーコードリーダ20を使用することも可能である。バーコードをスキャンした後、バーコードリーダ20は、バーコード内の符号化された情報をプロセッサ50に伝達する。バーコードリーダ20とプロセッサ50との間の通信は、有線および無線の両方の手段を含む任意の利用可能な通信媒体を介するものであってもよく、Bluetooth(登録商標)またはWi−Fiなどの任意の利用可能な通信プロトコルを使用してもよい。
【0034】
プロセッサ50は、バーコードリーダ20からデータを受信すると、まず、バーコードが新しいレコードバーコードであるか否かを判定することができる。これは、バーコード内に符号化された新しいレコードコードの存在(または不在)を判定することによって行うことができる。あるいは、上述したように、プロセッサ50は、オペレータが提供した入力を介して、バーコードが新しいレコードバーコードであることを既に認識している場合もある。バーコードが新しいレコードバーコードであると判定された場合、プロセッサ50は、医薬品データベース40に新しいレコードを作成するプロセスを開始する。
【0035】
プロセッサ50はまた、新しいレコードバーコードを認証するために1つまたは複数の有効性検証機能を実行してもよい。これは、新しいレコードバーコードが認証済みであるか否かを判定するために、システム10上に既に存在する予めプログラムされたデータと、新しいレコードバーコード内に符号化された特定のデータを比較することを含むことができる。このプロセスは、システム10に存在する鍵により、バーコードに符号化された暗号化された数字を復号し、復号化された数字を予測値と比較することを含むことができ、予測値はまた、新しいレコードバーコードに符号化できる。有効性検証機能を実行することにより、正確な情報のみが医薬品データベース40にロードされるように、新しいレコードバーコードが信頼できるソースから生じ、また正確な情報を含むことの確保を助けることができる。有効性検証機能はまた、新しいレコードバーコードが生成されてから改ざんされていないこと、または(データの破損を含み)他の方法で再構成されていないことを確保することもできる。
【0036】
医薬品データベース40は、医薬品データを格納するように構成された1つまたは複数のデータ構造を構成する。一部の非限定的な実施形態では、医薬品データベース40は、1つまたは複数のテーブル、ツリー、アレイ、オブジェクト、および/または他の同様のデータ構造として構成されたデータを含むことができる。データは、医薬品、細胞タイプ、医薬品の識別子、治療用途、プロトコル名などによって配置されてもよい。構造化データの一部の形態では、データの問い合わせ方法に応じて任意の数の方法でデータを配置できることが理解されよう。オブジェクト指向データベースを利用する非限定的な実施形態では、医薬品自体は、様々な属性およびパラメータを有する個々のオブジェクトであってもよい。任意の他のデータ記憶方法および/またはデータ構造が使用されてもよいことが理解されよう。図3は、医薬品データベース40に格納することができる代表的な一式のレコードを示す。新しいレコードエントリの作成は、市販のソフトウェアで利用可能な通常のデータベースレコード作成手順に従って進められる。レコードのヘッダは、医薬品の識別子に基づくことができ、GTINまたはUPCなどの医薬品の識別子自体であってもよい。
【0037】
レコードが作成されると、そのレコードには、そのレコードの対象である特定の医薬品についての新しいレコードバーコードに符号化された情報も追加される。これは、医薬品の濃度および/または容量、使用期限、製造日、バッチおよびロット番号、製造業者名などの情報を含むことができる。その結果、新しいレコードの作成および追加に続いて、ここで医薬品データベース40には新しい医薬品の新しいレコードが含まれ、この新しいレコードには、GTIN、容量、濃度、バッチおよびロット番号、製造業者、使用期限、ならびに製造業者名などの医薬品に関する情報が含まれる。この情報は、医薬品データベース40で維持することができ、その一部またはすべてを要求に応じて呼び出すことができる。
【0038】
再び図1を参照して、ここで、医薬品データベースに作成された新しいレコードを利用するプロセスについて説明する。このプロセスでは、製品バーコードがオペレータによって受信される。製品バーコードは、新しいレコードバーコードと同様に、1次元バーコード、スタック型1次元バーコード、または2次元マトリクススタイルのバーコードであり得る。新しいレコードバーコードと同様に、製品バーコードには少なくとも医薬品の識別子が含まれている。しかしながら、新しいレコードバーコードとは異なり、製品バーコードは、以下に明らかになる理由により、新しいレコードコードまたは新しいレコードバーコードと同じ量の医薬品情報を含む必要はない。従って、製品バーコードは、新しいレコードバーコードほど多くの情報を含む必要がないため、1次元バーコードで十分であり得る。製品バーコードは、食料品店のUPCとほぼ同じ方法で使用される。特に、製品バーコードは、システムが、製品バーコードに符号化された医薬品の識別子に基づいて、医薬品の容器に含まれる医薬品を認識し、医薬品の識別子を使用してデータベース内のレコードを特定して、医薬品データベース40からその医薬品に関する情報を呼び出すことができるように使用される。
【0039】
製品バーコードは、一般に、医療処置の一部として患者に送達される医薬品を含む医薬品の容器上に、または容器に関連して提供される。そのような医薬品の容器の非限定的な例としては、バイアルおよびシリンジが挙げられる。医薬品の非限定的な例としては、造影剤および放射線医薬品が挙げられる。1つの非限定的な実施形態では、製品バーコードは、医薬品の容器の外側に貼り付けされたラベルに印刷され、その例を図4に示す。別の非限定的な実施形態では、製品バーコードは、医薬品の容器が配置されるパッケージ上に印刷される。さらに別の非限定的な実施形態では、製品バーコードは、医薬品の容器と共に提供される文書に印刷される。
【0040】
再び図1を参照すると、一度取得された製品バーコードは、バーコードリーダ20によってスキャンされる。製品バーコードをスキャンした後、バーコードリーダ20は、製品バーコードから読み取られた情報をプロセッサ50に伝達する。バーコードリーダ20とプロセッサ50との間の通信は、有線および無線の両方の手段を含む任意の利用可能な通信媒体を介するものであってもよく、Bluetooth(登録商標)またはWi−Fiなどの任意の利用可能な通信プロトコルを使用してもよい。この情報には、少なくとも医薬品の識別子が含まれているはずである。
【0041】
プロセッサ50は、バーコードリーダ20からデータを受信すると、まず、バーコードが製品バーコードであるか新しいレコードバーコードであるかを判定することができる。これは、バーコード内に符号化された新しいレコードコードの存在(または不在)を判定することによって行うことができる。あるいは、プロセッサ50は、オペレータが提供した入力を介して、バーコードが製品バーコードであることを既に認識している場合もある。さらに別の代替策では、プロセッサ50は、医薬品の識別子を含むバーコードから受信したデータを使用し、医薬品データベースが、受信した医薬品の識別子に対応するレコードを含むか否かを判定する。一致した場合、プロセッサ50は、バーコードが製品バーコードであり、例えば新しいレコードバーコードではないことを認識する。
【0042】
バーコードが製品バーコードであると判定された場合、プロセッサ50は、製品バーコードに符号化された医薬品の識別子に対応する医薬品データベース40内のレコードを特定し、医薬品データベース40のレコードから医薬品についての医薬品情報を抽出するプロセスを開始する。伝統的なデータベース検索および呼び出し技術を使用して、プロセスのこれらの段階を実現することができる。
【0043】
抽出された情報は、データフォーム内のエントリを埋めるために使用できる。1つの非限定的な実施形態では、レコードからの情報を使用して、医療処置の一部として使用される医薬品に関する詳細なレポートを作成することができる。一例として、患者に対して造影剤注入処置を実施する技術者が、造影剤を含むバイアルを受け取る場合がある。容器には、製品バーコードを含む印刷されたラベルがある。製品バーコードには医薬品の識別子が符号化されている。医薬品データベース40は、製品バーコードに符号化された特定の医薬品の識別子に対応するレコードを既に含む。医薬品データベース40は、新しいレコードが、上述のプロセスに従ってこの医薬品の識別子について以前に作成されていることから、このレコードを含むことができる。注入処置の前または後のいずれかに、技術者は製品バーコードをスキャンする。製品バーコードをスキャンすると、システムは、製品バーコードに符号化された医薬品の識別子を識別し、医薬品の識別子に対応する、医薬品(この場合、造影剤)に関する情報を医薬品データベース40から抽出する。一旦抽出されると、情報は注入処置に関するレポートに含まれる。従って、レポートは、造影剤の容量、濃度、使用期限、製造業者、ならびに医薬品のロットおよびバッチ番号に関する情報を含むことができ、これらのすべては医薬品データベースから抽出されたものである。この情報はレポートに自動的に追加され、技術者がレポートに手動で情報を入力する必要がなくなり、それにより、レポート作成の作業が大幅に簡素化され、データ入力ミスや漏れのリスクが抑制され得る。
【0044】
ここで、本発明を利用する例を簡単に説明する。まず、顧客は、2つの新製品の医薬製品情報シートを、製品ボックス、電子メール、またはインターネットを介して入手する。新製品は、Gadovist(登録商標)1.0 MMO/ML注射剤とGadovist(登録商標)2.0 MMO/ML注射剤である。シートは、その上に表示される各新製品に関連する少なくとも1つのバーコードを有する。顧客は、上述の設けられたバーコードリーダでバーコードをスキャンする。システムは、バーコードを受け入れると、データベース内の医薬品参照テーブルに新しいレコードを追加するか、データベース内の既存レコードをこれらの製品に関する情報により更新する。顧客は、データを最初に手入力する必要なしに、このデータを選択して利用できるようになる。これにより、顧客の時間が節約されるだけでなく、システムに追加されるデータの正確性が保証される。別の例では、この方法をカテーテルゲージの更新に使用することができる。顧客がシステムにデータを手入力する代わりに、顧客は、特定の注入システムによってサポートされているすべてのカテーテルゲージに関する情報とともに顧客に送信されるデータシート上に存在するバーコードを容易にスキャンすることができる。
【0045】
特定の非限定的な実施形態では、システム10は、注入システムまたは流体送達システムと対にすることができ、またはその一部とすることができる。本明細書で使用する「注入システム」という用語は、流体を患者、動物、または試験容器に送達するために使用される1つまたは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネント、システム、モジュールなどを指す。注入システムの様々なコンポーネントおよび/またはモジュールは、単一のハウジングに含まれてもよく、分離されてもよく、および/または他の任意の動作可能な方法で配置されてもよいことを理解されたい。本明細書で使用される「流体送達システム」という用語は、流体を患者、動物、または試験容器、および/または制御流体送達口に送達する、注入システムの一部、または注入システムと通信する別個のコンポーネントもしくは装置を指す。一部の非限定的な実施形態では、流体送達システムは、シリンジモータ、アクチュエータ、インターフェース、1つまたは複数のポンプ、1つまたは複数のポンプカートリッジ、ポンプカートリッジ、チューブもしくは他の流体経路を受け入れるための1つまたは複数のポートなどを含み得る。システム10と共に使用することができる注入および流体送達システムの例としては、限定するものではないが、米国特許出願公開第2012/0123257号明細書、同第2008/0086087号明細書、および国際公開大2012/155035号パンフレットが挙げられ、これらのすべては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。流体送達システムは、限定するものではないが、米国特許第8337456号明細書および同第8147464号明細書で考察されているような様々なコンポーネントを含むことができ、これらも参照によりその全体が組み込まれる。
【0046】
システム10は、医薬品に関する情報により医薬品データベース40を更新することに関連して本明細書で説明されているが、一般的な原理および技法は他の設定にも適用することができる。1つの非限定的な例では、本明細書で説明されるシステムおよびプロセスは、注入プロトコルのデータベースを更新するために使用され得る。この例では、オペレータは、新しいレコードバーコードに関して上述した方法のうちの1つでプロトコルバーコードを取得する。例えば、電子ファイルをダウンロードして開いて、プロトコルバーコードを表示することができ、これをその後、ハードコピー形式で印刷するか、またはPDAまたは同様の装置に表示することができる。プロトコルバーコードは、流量、注入時間、濃度、圧力、および他のパラメータを含む注入プロトコルに関する詳細を含むことができる。プロトコルバーコードはまた、プロトコル識別子を含むこともできる。一旦取得されると、プロトコルバーコードをスキャンすることができ、医薬品データベースに新しいレコードを作成するための上述のプロセスに従って、プロトコルデータベースに新しいレコードを作成することができる。次いで、技術者は、プロトコルデータベース内のプロトコル識別子を検索することによって、プロトコルの詳細を呼び出すことができる。プロトコルに関連するパラメータは、特定されると、プロトコルに従って注入処置を進めることができるように注入コントローラに自動的に追加される。特定のプロトコルを特定するプロセスはまた、プロトコル識別子を符号化した別のバーコードをスキャンすることによって自動的に発生し、これにより、システムがトリガされて、そのプロトコル識別子に関連するプロトコルレコードを特定し、インジェクタコントローラにプロトコルの詳細を追加する。そのようなバーコードは、例えば、注入処置のための処方箋、患者のカルテ、または注入に使用される医薬品を保持する容器に表示され得る。従って、1つの非限定的な実施形態では、技術者は、注入処置に先立って患者のカルテを見直し、バーコードスキャナ20を使用して、カルテに印刷されたバーコードをスキャンすることができ、それにより、システムは、プロトコルデータベースにおいて、バーコードのスキャンから識別されたプロトコルを特定し、そのプロトコルのパラメータを注入コントローラに伝達して、プロトコルを使用して注入処置を実行できるようにする。
【0047】
本明細書で説明されるシステムおよび方法はまた、新しいレコードを作成するのではなく、医薬品データベース40内の既存のレコードを更新するためにも使用することができる。そのような実施形態では、新しいレコードバーコードは代わりに、更新レコードバーコードであってもよい。システム10は、このバーコードを更新レコードバーコードとして認識し、更新されるレコードを特定し、更新レコードバーコードに提供された情報および命令に基づいてレコードに必要な変更を加えることができる。更新レコードバーコードはまた、バーコードが、医薬品データベース40内の既存のレコードを更新するために使用されることを意図されていると示すコードを含むこともできる。例えば、更新レコードバーコードは、「医薬品の容量」エントリの置換値だけでなく、医薬品の識別子も含むことができる。更新レコードバーコードをスキャンすると、システムは、バーコードを更新レコードバーコードとして認識し、更新されるレコードを特定し、そのレコードの「医薬品の容量」エントリを更新レコードに符号化された新しい値に置き換える。
【0048】
図5Aおよび図5Bを参照すると、1つの非限定的な実施形態による、バーコード追跡技術を使用できるシステムの流れ図が示されている。図5Aおよび図5Bに開示されたシステムは、本明細書で説明するバーコード技術から利益を得ることができる様々なコンポーネント、場所、および事業体を含む。例えば、流れ図は、医薬品の箱が製造、包装、および/または供給される異なるサプライセンター(「ベルリンサプライセンター」および「ピッツバーグサプライセンター」)を識別する。これらの箱およびその中の個々のユニットは、その中に含まれる医薬品を識別するために上述したような製品バーコードをその外側に表示することができる。これらのボックスおよびその中の個々のユニットは、ボックスに収容された医薬品がまだ医薬品データベース40にないものであれば、新しいレコードバーコードを表示することもできる。この流れ図はまた、サプライセンターから医薬品の供給を受けることができる「薬局」を識別する。本明細書で説明されるバーコード技術に関連する様々な機能は、薬局で実施することができる。1つには、新しい医薬品のための薬局レベルで新しいレコードを作成するために、新しいレコードバーコードが最初にスキャンされる場所である場合がある。薬局はまた、サプライセンターまたはそのユニットから供給される箱にバーコードを物理的に印刷して貼り付けるなどにより、新しいレコードバーコードが作成される場所を表すこともできる。この目的のために、薬局は、GTINなどの新しいレコードバーコードに符号化することができる医薬品情報を格納するデータベースと通信することができる。GTINの割り当ては、特定の医薬品のGTINを設定する地元の規制機関によって規制される場合がある。図5Aおよび図5Bに示すように、薬局はこの機関と通信することができる。薬局はまた、例えば、ポイントオブケアで行われるバーコードスキャンから引き出された情報に基づいて、医薬品の使用状況を追跡することができる1つまたは複数の在庫管理システムと通信することができる。在庫管理システムを使用して、入手可能な数量、既存の注文、および/または過去の使用率に基づいて、いつ補給品を補充すべきかを判定できる。図5Aおよび図5Bに示すように、在庫管理システムは、卸売業者および/または上述のサプライセンターと通信することができる自動補充システムと通信することができる。
【0049】
図5Aおよび図5Bはまた、ポイントオブケアユニット(この場合は放射線室)、薬局、およびより大きな病院ネットワークの間の情報の流れを示している。図5Aおよび図5Bでは、薬局は、上述の医薬品データベース40の一実施形態であるGTIN参照テーブルと通信することができる。GTIN参照テーブルのレコードは、薬局で受信または入力した情報に基づき得る。GTIN参照テーブルは、バーコードリーダを備えたコンピュータが存在する放射線室の制御室と通信することができる。コンピュータは、Bayer HealthCare LLCが提供するCertegra(登録商標)ワークステーション製品とすることができる。Certegra(登録商標)ワークステーション製品は、放射線科情報システム(RIS)、病院情報システム(HIS)、ならびに画像保管および情報システム(PACS)とともに、Bayer HealthCare LLCが提供するRadimetrics(商標)Enterprise Platformを含む、病院内の様々な情報システムと通信することができる。放射線室でスキャンを実行する場合、造影剤の容器に含まれる製品バーコードのスキャンは、GTINデータベースからの情報を呼び出す上述のプロセスを開始することができ、その後、上記情報は、スキャンから生成されたレポートに含めることができる。その後、レポートは、保管、検索、およびさらなる処理のために、病院内の他のシステムと通信することができる。
【0050】
現在最も実用的かつ好適と考えられている実施形態に基づいて、説明の目的のために本発明を詳細に説明してきたが、こうした詳細は単にその目的のためのものであり、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、それどころか、反対に、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にある修正および均等な構成を包含するように意図されていることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な範囲で、任意の実施形態の1つまたは複数の特徴を、任意の他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせることができることが企図されていることを理解されたい。
【符号の説明】
【0051】
10 システム
20 バーコードリーダ
40 医薬品データベース
50 プロセッサ
60 コンピュータ可読記憶媒体
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B