(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976275
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】誘導コイルを備える化粧パネル
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20211125BHJP
B32B 27/04 20060101ALI20211125BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20211125BHJP
H02J 50/70 20160101ALI20211125BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20211125BHJP
E04C 2/02 20060101ALI20211125BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B27/04 A
H02J50/10
H02J50/70
H02J7/00 301D
E04C2/02
E04F13/08 A
E04F13/08 E
【請求項の数】22
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-560425(P2018-560425)
(86)(22)【出願日】2017年2月9日
(65)【公表番号】特表2019-507698(P2019-507698A)
(43)【公表日】2019年3月22日
(86)【国際出願番号】NL2017050079
(87)【国際公開番号】WO2017138812
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2019年12月9日
(31)【優先権主張番号】2016241
(32)【優先日】2016年2月9日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】508212602
【氏名又は名称】トレスパ・インターナショナル・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】Trespa International B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】キエランデル、ビルギッタ カタリーナ シャルロッテ
【審査官】
増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0099665(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第103208848(CN,A)
【文献】
特開2014−183740(JP,A)
【文献】
特開2011−030418(JP,A)
【文献】
特開2013−099939(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/163544(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
H02J 50/10
H02J 50/70
H02J 7/00
E04C 2/02
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾層が設けられたコア層を備える化粧パネルであって、前記装飾層は、少なくとも1つのコーティングが設けられた基材層を備え、前記化粧パネル内に少なくとも1つの誘導コイルが配置され、前記コア層は、樹脂含浸紙の熱プレスされた積層体を備え、
前記少なくとも1つの誘導コイルは、樹脂含浸紙の前記熱プレスされた積層体内に配置されている、ことを特徴とする化粧パネル。
【請求項2】
前記少なくとも1つの誘導コイルは前記コア層内に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の化粧パネル。
【請求項3】
前記化粧パネルは、前記少なくとも1つの誘導コイルによって生成される電磁場のための少なくとも1つのシールド層をさらに備え、前記少なくとも1つのシールド層は、前記化粧パネル内に位置する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の化粧パネル。
【請求項4】
前記少なくとも1つの誘導コイルは、前記少なくとも1つのシールド層によって囲まれている、ことを特徴とする請求項3に記載の化粧パネル。
【請求項5】
前記少なくとも1つの誘導コイルは、前記装飾層と前記少なくとも1つのシールド層との間に配置されている、ことを特徴とする請求項3または4に記載の化粧パネル。
【請求項6】
前記少なくとも1つのシールド層は少なくとも1つの凹部を備え、前記少なくとも1つの凹部に前記少なくとも1つの誘導コイルが配置されている、ことを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項7】
前記少なくとも1つのシールド層は、磁性材料と強磁性材料の少なくとも1つを備える、ことを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項8】
前記磁性材料および強磁性材料は、フェライト、ニッケルおよびコバルト、またはこれらの組み合わせの群から選択され、好ましくは前記磁性材料および強磁性材料は、純金属または複合材料のいずれかとして使用される、ことを特徴とする請求項7に記載の化粧パネル。
【請求項9】
前記少なくとも1つのシールド層は、磁性材料と強磁性材料の少なくとも1つの分散体を備えるマトリックス材料を備える、ことを特徴とする請求項3から8のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項10】
前記化粧パネルは少なくとも1つの電源をさらに備え、前記少なくとも1つの電源は前記少なくとも1つの誘導コイルに接続されている、ことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項11】
前記少なくとも1つの誘導コイルは少なくとも1つの電線に接続され、前記少なくとも1つの電線は少なくとも1つの電源に接続可能であり、前記少なくとも1つの電源は前記化粧パネルに組み込まれていない、ことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項12】
樹脂含浸紙の前記積層体は1つ以上の凹部を備え、その1つ以上の凹部には、前記少なくとも1つの誘導コイルが配置される、ことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項13】
前記1つ以上の凹部は1つ以上のシールド層を備え、その1つ以上の凹部には、前記少なくとも1つの誘導コイルが配置される、ことを特徴とする請求項12に記載の化粧パネル。
【請求項14】
前記少なくとも1つの誘導コイルが設けられた前記1つ以上の凹部は、少なくとも1つの熱プレスされた樹脂含浸紙で覆われている、ことを特徴とする請求項12から13のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項15】
前記コア層と前記装飾層との間に1つ以上のサブ層が存在し、前記サブ層は、熱プレスされた樹脂含浸紙、熱成形可能なシートおよびプリプレグ、または、それらの組み合わせの群から選択される、ことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項16】
前記装飾層の前記基材層は、樹脂含浸紙、木材繊維、ガラス繊維、織物繊維、合成繊維、金属繊維、セラミック繊維および炭素繊維の任意の1つ以上の不織布および織布、ポリマー、金属およびセラミックの任意の1つ以上の箔、または、これらのいずれかの組み合わせの群から選択される、ことを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項17】
前記少なくとも1つの誘導コイルは、紙、プラスチック箔または繊維のような可撓性キャリア上に印刷された誘導コイル、硬性の誘導コイル、および、可撓性コイル、または、それらの組み合わせからなる群の1つ以上として設けられる、ことを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項18】
前記少なくとも1つの誘導コイルは、前記パネルを破壊することなく取り外されることができない、ことを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の化粧パネルを備える、屋内および/または屋外家具。
【請求項20】
前記家具は、テーブルトップ、実験室用テーブル、キッチンワークトップ、ディナーテーブル、ナイトスタンド、ピクニックテーブル、ホットプレートおよびカウンタートップの群から選択される、請求項19に記載の屋内および/または屋外家具。
【請求項21】
請求項1から18のいずれかに記載の化粧パネルを備える、内装および/または外装装飾。
【請求項22】
前記装飾は、内壁、外壁、天井およびファサードの群を備える、請求項21に記載の内装および/または外装装飾。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾層が設けられたコア層を備えた化粧パネルに関し、装飾層は、少なくとも1つのコーティングを備えた基材層を含む。さらに、本発明は、このようなパネルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人によって製造された装飾高圧コンパクトラミネート(積層体)は、屋外用途で知られている。このようなラミネートは、熱硬化性樹脂を含浸させた木質繊維(紙および/または木材)の層と、装飾的な色またはデザインを有する片面または両面の表面層とから構成される。透明なトップコートが表面層に加えられ、硬化され、天候および光の保護性能を強化する。これらの構成要素は、熱および高い面圧を同時に加えて結合され、密度が高く一体化した装飾表面を有する均質な非多孔質材料を得る。これらのパネルは、特に、本出願人の名義で米国特許第4,801,495号、米国特許第4,789,604号、米国特許出願第2013/0078437号に開示されている。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2013/0078437号は、1つ以上のトップレイヤを備えた樹脂含浸基材紙を含む装飾フィルムの製造方法に関し、この方法は、樹脂含浸基材紙を提供し、インクジェットを用いてインク組成物で基材紙を印刷し、インク組成物で印刷された基材紙に乾燥および/または硬化処理を施し、少なくとも1つの透明なトップレイヤを紙に適用し、紙を硬化して装飾フィルムを得る。この米国出願はまた、キャリア材料が装飾フィルムに永続的に結合される化粧パネルの製造方法を開示している。
【0004】
このようなパネルは、非インテリジェントなパネルである。これは、これらのパネルの機能が建物用であり、審美的な目的のみのためであることを意味する。しかし、インタラクティブ(対話型)パネルは、例えば、ワイヤレス充電付きのナイトスタンドのように、当該技術分野で知られている。
【0005】
ワイヤレス充電器はすでに市販されており、例えばIKEAによって販売されている。IKEAのコンセプトは、広範囲のデザイン性に優れた機能的な家具製品を提供するためのIKEAのビジネスアイデアを含む。彼らの実際の製品の1つはSELJE、つまりワイヤレス充電付きのナイトスタンドである。この製品は、乱雑なケーブルなしでスマートフォンを充電することを可能にするワイヤレス充電器である。彼らは、JYSSENと呼ばれる家具に組み込むことができるワイヤレス充電器、すなわちデスクのケーブル引き出し口に完全に収まるワイヤレス充電器も提供している。組み込みのワイヤレス充電器を備えたこれらのすべてのIKEAの家具アプリケーションは、表面パネルに穴を開ける必要があり、誘導充電器が穴に置かれる。表面は、パネル自体とは異なる材料の蓋によって覆われる。このような組み込みのワイヤレス充電器は、テーブルがこれらの組み込みのワイヤレス充電器を備える待合室、読書室およびカフェなどの公共エリアにおいて、たとえば窃盗犯によって容易に取り外すことができる。
【0006】
デュポンは、アダプタとして機能するワイヤレス充電リング(Wireless Charging Ring)を提供する。リングは、デバイスの充電ポートに差し込まれ、DuPont
TM Corian(登録商標)ソリッドサーフェスまたはZodiaq(登録商標)クォーツサーフェスの下に配置されているワイヤレス充電ユニットのアクティブ誘導コイルによって生成される磁界の受信機として機能する。認可されたCorian(登録商標)またはZodiaq(登録商標)の製作者/設置者のみが、個々のワイヤレス充電ユニットを表面の下に設置し得る。これは、製造者/設置者が、表面の裏側の領域、または、DuPont
TM Corian(登録商標)ソリッドサーフェスまたはZodiaq(登録商標)クォーツサーフェスの下の支持材料を粉砕することを必要とする。
【0007】
米国特許出願公開第2008/099665号は、車両に配置され、車両の一部を形成するパネルの少なくとも一部を構成するプラスチック本体を含むセンサパネルに関し、この本体は、車両の内部に向けられた第1面と、プラスチック本体と一体であり、かつ、車両の内部から放射エネルギーを受け取るように構成された放射エネルギーセンサとを含む。この米国特許出願は、また、自動車パネルの少なくとも一部を形成するための成形ツールにフィルム基材を挿入するステップと、フィルム基材を通過する放射エネルギーを感知するように成形ツール内でフィルム基材に隣接して放射エネルギーセンサを配置するステップと、成形ツールの中に成形可能な材料を導入してセンサをフィルム基板と一体成形して車両パネルの一部を形成するステップと、を含み、配置するステップは、誘導コイルを放射エネルギーセンサに接続することと、それをセンサと一緒に配置することとを含む、センサパネルの製造方法に関する。
【0008】
CN103208848は、本体を含むワイヤレス充電電源に関し、本体の内部チャンバに入力モジュールおよび少なくとも1つのワイヤレス充電モジュールが設けられ、本体の上面には、充電エリア内の外部端子に充電を行うために用いられる充電エリアが設けられた少なくとも1つの平面が設けられている。ワイヤレス充電モジュールは、充電エリアに隣接する少なくとも1つの感知ユニットを備え、ワイヤレス充電モジュールに接続された入力モジュールは、外部電源を受け、かつ、ワイヤレス充電モジュールに電力を供給するために使用される。
【0009】
米国特許出願公開第2013/093386号は、制御モジュールおよび電流を誘導するためのその基部における給電コイルモジュールを内部に保持する電源基部と、その電気コネクタに接続された電磁機器を充電するための電源基部からの電磁誘導による誘導電流を受ける、基部部材内にセットされた誘導充電受信機と、を備えるスロット型充電器に関する。DE19811076は、複数の熱プレスされた樹脂含浸繊維ウェブ層を有する積層体を開示し、それの少なくともいくつかの紙の層および少なくとも上層が透明オーバーレイ層であり、オーバーレイ層の層面内で、複数の発光ダイオードが層内に埋め込まれている。
【0010】
WO2016/058003は、第1の樹脂含浸紙層および第2の樹脂含浸紙層と、第1の末端および第2の末端を有し、第1の末端から第2の末端へ電流を流すことができる第1の導電性材料と、を備え、第1の導電性材料は、第1の樹脂含浸紙層の第1の面上に配置され、第1の樹脂含浸紙層と第2の樹脂含浸紙層は、第1の樹脂含浸紙層と第2の樹脂含浸紙層との間に第1の導電性材料が封入されるように積層されて配置され、かつ、圧縮され、第1の樹脂含浸紙層、第2の樹脂含浸紙層または任意の追加の樹脂含浸紙層の少なくとも1つは装飾層である、装飾多層表面材料に関する。
【0011】
誘導性の電力結合は、電力を電源から電気負荷に、それらの間の有線接続なしで伝達することを可能にする。振動電位が一次インダクタに印加される。これは、一次インダクタの近傍に振動磁界を起こす。振動磁界は、一次インダクタに近接して配置された二次インダクタに二次振動電位を誘導し得る。このようにして、電気エネルギーは、一次インダクタから二次インダクタへ、インダクタ間の電線のような誘導接続なしに電磁誘導によって伝送され得る。一次インダクタから二次インダクタに電気エネルギーが伝送される場合、インダクタは誘導結合していると言われる。このような二次インダクタと直列に配線された電気負荷は、二次インダクタが一次インダクタに誘導結合されているとき、一次インダクタに配線された電力受信器からエネルギーを引き出すことができる。そのような誘導伝送システムの原理は、国際出願WO 2012-081028に開示されている。
【0012】
EP 2 936 927は、セルユニットを有し、セルユニットの充電時に直接のエネルギー受容のために設けられ、かつ、誘導コイルにより構成された少なくとも1つの第1の統合充電インターフェースを有する二次充電ユニットを有する、誘導充電式の手持ち工具バッテリ装置に関する。このような誘導充電式のバッテリ装置は、電気エネルギーを一時的に蓄える二次電池装置、特に充電式リチウムイオン電池である。手持ち動力工具の例は、パワードリル、ドリルドライバおよび/またはインパクトドライバ、のこぎり、かんな、ねじ回し、フライスカッタ、グラインダ、アングルグラインダ、ガーデンツール、および/または、多機能ツールである。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、インタラクティブ機能を有する化粧パネルを提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、電子機器用の誘導充電器を備えた化粧パネルを提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、誘導充電器がパネルにシームレスに一体化され、かつ、外部から見えない、電子機器用の誘導充電器を備えた化粧パネルを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、化粧パネルが誘導充電器を組み込むために後処理される必要がない、電子機器用の誘導充電器を備えた化粧パネルを提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、誘導充電器をパネルから容易に取り外すことができない、電子機器用の誘導充電器を備えた化粧パネルを提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、化粧パネル内の浮遊磁界の伝搬が最小にされた、電子機器用の誘導充電器を備えた化粧パネルを提供することである。
【0019】
従って、本発明は、装飾層が設けられたコア層を備える化粧パネルであって、装飾層は、少なくとも1つのコーティングが設けられた基材層を備え、化粧パネル内に少なくとも1つの誘導コイルが配置されている、化粧パネルに関する。
【0020】
本発明者らは、このようなパネルを用いて、上記の目的の1つ以上が達成されることを見出した。特に、少なくとも1つの誘導コイルの位置は、パネルを破壊することなく誘導コイルを取り出すことができないパネルの提供を可能にする。さらに、本発明によれば、誘導コイルは、パネルの製造プロセス中にパネルにシームレスに一体化される。従って、穴または開口の穿孔のような後処理の処置は必要とされない。さらに、パネル内に誘導コイルを完全に一体化することにより、高い衛生基準が要求される環境で使用するのに適した継ぎ目のない表面を有するパネルが得られた。バクテリアは平らな表面よりも接合部および継ぎ目で容易に増殖するので、継ぎ目のない表面は衛生的な観点から有益である。さらに、本発明のパネルの表面は、いかなる上昇(increases)または溝も有さず、その結果、ワイヤレス充電に適した任意の電子機器がその表面の上に容易に置かれ、移動され得る。加えて、そのような誘導コイルを備えたパネルの元の美観は維持されるであろう。このような誘導コイルを備えた本パネルの機械的特性についても同様である。本明細書で使用される「化粧パネル内」という用語は、化粧パネルを破壊することなく、少なくとも1つの誘導コイルが化粧パネルの外側から見えたり、触れたりすることができないことを意味する。この用語は、少なくとも1つの誘導コイルが化粧パネルの最外面、すなわち目に見える位置に配置されるのではなく、化粧パネルの最外面の下の位置、すなわち目に見えない位置に配置されることも意味する。
【0021】
本発明によれば、誘導充電は誘導コイルを必要とし、この誘導コイルを通して電流が印加される。それは磁界を生成する。反対の巻き方向を有する他のコイルが誘導コイルに近接して配置されると、誘導コイルからの磁界が他のコイルと相互作用し、そのコイルで電流が生成される。そのコイルからの電流は、そのコイルが位置する装置を充電する。そして、上述の誘導コイルは、本化粧パネル内に配置される。
【0022】
ワイヤレス充電に適した電子機器の例は、通信デバイス、携帯電話、PDA、メディアプレーヤ、GPSデバイス、パーソナルエンターテイメントユニット、タブレットコンピュータ、(スマート)ウォッチ、フィットネストラッカーなどのウェアラブル、VR(バーチャルリアリティ)ヘッドセット、コントローラ、ドローン、家庭用衣服などであるが、これに限定されない。
【0023】
化粧パネルの好ましい実施形態では、少なくとも1つの誘導コイルは、装飾層とコア層との間に配置される。
【0024】
化粧パネルの別の実施形態によれば、少なくとも1つの誘導コイルは装飾層内に配置される。
【0025】
このような実施形態では、少なくとも1つの誘導コイルは、好ましくは、基材層と少なくとも1つのコーティングとの間に配置される。
【0026】
化粧パネルの別の実施形態によれば、少なくとも1つの誘導コイルは、少なくとも1つのコーティング内に配置される。
【0027】
化粧パネルの別の実施形態によれば、少なくとも1つの誘導コイルはコア層内に配置される。
【0028】
本発明は、本化粧パネルにおける少なくとも1つの誘導コイルの特定の1つの位置のみに限定されないことは明らかである。いくつかの誘導コイルが、パネル内の異なる水平位置および垂直位置であっても、本化粧パネル内に配置される実施形態を有することが可能である。これは、誘導コイルが、パネルの周りに、中心に、もしくは、特定の幾何学的パターンに、または、それらの任意の組み合わせに配置され得ることも意味する。
【0029】
本パネルに組み込まれた誘導コイルは、紙もしくは他のタイプのキャリア、例えばプラスチックもしくは織物で作製された可撓性の箔に印刷することができ、または、金属コイルなどの剛性もしくは可撓性コイル、もしくは、それらの組み合わせから構成することができる。本発明の特定の実施形態では、いくつかの誘導コイルがパネル内に存在する。本パネルでは、パネル内の任意のワイヤレス充電器の存在をパネルの外側から見ることができない。
【0030】
一実施形態では、本化粧パネルは、少なくとも1つの誘導コイルによって生成される電磁場のための少なくとも1つのシールド層をさらに含み、少なくとも1つのシールド層は化粧パネル内に配置される。
【0031】
本化粧パネル内の誘導コイル(いわゆる「一次コイル」)は電磁場を生成する。いわゆる「二次コイル」(装置内、化粧パネルの外側)は電磁場と相互作用し、二次コイルを介してその装置に電流が生成される。一次コイルと二次コイルとの間の電流の漏れを最小にするために、コイルは近接して配置されるべきである。効率(電磁場の強さ)は、コイル間の距離が増加するにつれて急速に減少する。一次コイルからの電磁場は、二次コイルによって吸収されるべきであるが、例えば鉄およびニッケルのような高透磁率を有する他の材料によっても吸収され得る。このような磁性および/または強磁性材料が電磁場を吸収すると、得られたエネルギーは熱(渦電流)に変換される。誘導コイルを含む製品の場合、(電力伝達に必要な)磁場が存在する。理想的には、一次コイルからの十分な磁界が二次コイルによって吸収されるべきであるが、そうではない。磁界の一部は二次コイルで吸収されず、その量は二次コイルの垂直方向、横方向および角度のミスアライメントとしての効率要因に依存する(以下の図参照)。ここでは漂遊磁場と呼ばれる「非吸収」磁場のこの部分は、他の磁性および/または強磁性材料によって吸収されることができる。このエネルギーの吸収は、局所的なホットスポットを生じさせ、それは結果として剥離および割れを伴いパネル特性に悪影響を与え得る。
【0032】
本発明者は、このようにして発生した熱が化粧パネルに割れを生じさせ得、化粧パネルの物理的性能および寿命に悪影響を及ぼし得ることを見出した。これらの影響を防止するためには、(磁性および/または強誘電体材料を含む)周囲の電気部品、たとえば一次コイルへの電流コネクタ、たとえばテーブルの脚、ネジおよび化粧パネルの表面に置かれた物としての(例えば鉄の)実装細部をシールドすることが好ましい。
【0033】
したがって、化粧パネル内の局所的なホットスポットは、化粧パネル内に大きな温度プロファイルを生成し、それはパネル内に応力を誘発する。化粧パネル内の応力は、パネル性能に悪影響を及ぼし、減少した機械的性質、ひび割れおよび剥離を引き起こす。したがって、化粧パネルの寿命が低下し得る。
【0034】
一実施形態では、少なくとも1つの誘導コイルは、少なくとも1つのシールド層によって囲まれている。
【0035】
本発明者らは、(本パネルのコイル内の)電流によって生成される磁界は、コイルからの(中心線における)距離の3乗に反比例すると仮定する。磁場は、コイルから20cmの距離(コイルを通る中心線から見て)にて初期値の2%以下に減る。中心線から離れた磁場は計算することがより困難であるが、一般に中心線よりも低い。これは、コイルに複数のループが存在する場合(これは誘導充電器の場合)に特に当てはまる。好ましい実施形態では、本発明のシールド層のサイズは、誘導コイルの周りに20cmの最小値で広がる。
【0036】
別の実施形態では、少なくとも1つの誘導コイルは、装飾層と少なくとも1つのシールド層との間に配置される。
【0037】
別の実施形態では、少なくとも1つのシールド層に少なくとも1つの凹部が設けられ、少なくとも1つの誘導コイルが少なくとも1つの凹部に配置される。このような凹部は、例えば、穴またはシールド層の開口であることができる。このような凹部は、誘導コイルが凹部内に埋め込まれるようにすることができ、すなわちコイルの全側面は、上面を除いてシールド層によって覆われる。
【0038】
本発明は、単一のシールド層の適用に限定されず、いくつかのシールド層が本化粧パネルに適用されてもよい。
【0039】
シールド層は、好ましくはフェライト、ニッケルおよびコバルト、またはそれらの組み合わせの群から選択される磁性および強磁性材料の少なくとも1つを備える。シールド層では、これらの磁性および強磁性材料を純金属として使用することができる。シールド層の別の実施形態では、これらの磁性および強磁性材料は、例えばポリマーマトリックスに埋め込まれた複合材料として使用される。磁性/強磁性材料の例は、強磁性材料である鉄、ニッケル、コバルト(およびそれらの合金)および希土類(ガドリニウム、ジスプロシウム)の一部、常磁性物質である白金、アルミニウムおよび酸素、ならびに、反磁性材料である炭素、銅、水およびプラスチックを含む。
【0040】
一実施形態では、少なくとも1つのシールド層は、磁性材料および強磁性材料の少なくとも1つの分散体を備えたマトリックス材料を含む。
【0041】
シールド層の実施形態の例は、強磁性マイクロワイヤ埋め込みポリマー複合材料、ポリマーマトリックスに埋め込まれた強磁性の単分散球体、スパッタリングされた薄膜強磁性金属酸化物、多層シールド、たとえば絶縁体(非強磁性酸化物またはポリマー)の間に挟まれた強磁性材料の多層体を含む。
【0042】
本パネルに組み込まれた誘導コイルは、少なくとも1つの電源を必要とする。特定の実施形態では、誘導コイルは、外部電源、すなわちパネルに一体化されていない電源に接続される。このような実施形態では、誘導コイルは、別個の電線を介して外部電源に接続することができる。別の実施形態では、パネルはまた、電線を使用して直列および/または並列に接続された少なくとも2つの誘導コイルを含む。このような電線は、導電性メッシュとして設計され得る。少なくとも1つの電線または導電性メッシュは、パネル内に配置された誘導コイルを作動させるための外部電源に接続することができる。
【0043】
一実施形態によれば、本化粧パネルは、少なくとも2つの誘導コイルを備え、少なくとも2つの誘導コイルは、電線によって直列または並列に接続される。これらの電線は、少なくとも1つの電源に接続することができる。そのような電源は、外部電源、すなわち本化粧パネルに組み込まれていない電源であってもよい。本パネルの特定の実施形態では、いくつかのコイルがパネル内に配置され、各コイルは、分岐線を介して中央のテーブルタップの主電源ケーブルまたは複数のソケットに接続される。いわゆるパワーバンクは、外部電源として機能することができる。
【0044】
別の実施形態によれば、バッテリは誘導コイルの電源として使用され、バッテリと誘導コイルの両方が本パネルに、すなわち本パネル内に組み込まれる。そのような実施形態では、電源は内部電源として識別することができる。バッテリは、誘導コイルに直接接触させて配置されるか、または、誘導コイルから離れて電線で接続することができる。バッテリは、少なくとも1つの集積コイルを充電できる。このようなバッテリは、ワイヤレス充電式バッテリであってもよい。充電式バッテリを使用することにより、例えば駐車場、キャンプ場、ビーチなど、遠隔地またはレクリエーションエリアのような電力が利用できない地域に本パネルを適用することが可能になる。ここで使用されるバッテリという用語は、個々のバッテリの組み合わせも包含する。
【0045】
本化粧パネルにおいて、コア層は、好ましくは、樹脂含浸紙、例えばフェノール樹脂含浸紙の熱プレスされた積層体を含む。別の実施形態によれば、熱成形可能シート、木材繊維、ガラス繊維、織物繊維、合成繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素繊維、またはそれらの混合物の不織布および織布を使用して、樹脂含浸積層体中の紙を部分的または完全に置き換えることができる。さらに別の実施形態では、コア層は、1つ以上のいわゆるプリプレグを含んでもよい。このようなプリプレグは、熱硬化性合成樹脂で被覆された木材またはセルロース繊維からなる繊維含有材料の固化したコアと考えることができる。プリプレグの厚さは、典型的な紙よりもかなり大きくてもよく、1cmより厚いか、またはそれ以上であってもよい。
【0046】
プリプレグの製造方法は、本出願人の名義で米国特許第4,503,115号および米国特許第6,387,489号に開示されている。例えば、米国特許第6,387,489号によれば、乾燥後、繊維は、貯蔵されるか、または、スプレッダ装置に直接的に送られる。樹脂処理された繊維は、顔料なしでまたは顔料と共にさらに加工されてもよい。樹脂処理された繊維および顔料から製造された混合物は、繊維および顔料をランダムな配向で連続的かつ均一に堆積させるスプレッダ装置に導入され、水平コンベアベルトの全幅にわたって分布したウェブ様マットを生成し、それは個別にまたはこの種の他のウェブ様マットと共にプレス成形され、コア層を形成する。スクレーパー、ブラシ、ベルトまたはローラーを使用してコンベアベルト上のマットを連続的に成形した後、プリプレグはカレンダ装置内で予備プレス成形され、厚さが減少して圧縮される。米国特許第4,503,115号によれば、木材またはセルロース繊維を熱硬化性合成樹脂の水溶液に加えて、木材またはセルロース繊維を未硬化状態の熱硬化性合成樹脂で被覆し、被覆された繊維を不規則に堆積された不織布ウェブ様マットに形成し、ウェブ様マットを予め高密度化し、予め高密度化したマットを、樹脂を硬化させるのに十分な条件下で加熱してプレスし、加熱およびプレスステップは、約130から180℃の温度および約30から100バールの圧力で少なくとも1つの装飾箔と共にマットをプレスすることを含む。このような方法は、加熱およびプレスステップの後に、成形品の表面に少なくとも1つの装飾層を適用するステップをさらに含む。
【0047】
別の実施形態では、樹脂含浸紙の熱プレスされた積層体内に少なくとも1つの誘導コイルを配置することも可能である。
【0048】
本パネルの不均一な外面の形成を防止するために、本発明者らは、樹脂含浸紙の積層体に1つ以上の凹部を設けることが可能であることを見出した。それらの凹部は、少なくとも1つの誘導コイルをそれぞれの凹部に配置するために使用することができる。このような実施形態では、誘導コイルを備えた凹部は、少なくとも1つの熱プレスされた樹脂含浸紙で覆われることが好ましい。1つ以上の凹部の形成は、上述したようにコア層の各タイプに対して有効である。凹部は、電源の配置のためにも使用することができる。本化粧パネルの実施形態では、1つ以上の凹部に1つ以上のシールド層が設けられ、1つ以上の凹部に少なくとも1つの誘導コイルが配置される。
【0049】
パネルおよび誘導コイルの本構造は、パネルを破壊することなく誘導コイルを除去することができないようなものである。個々の構成要素、すなわちコア層、誘導コイルおよび装飾層を一緒に結合するステップの間に、例えば120℃以上の熱および高い面圧(>7MPa)を同時に加えて、密度が高く一体化した装飾表面を有する均質な非多孔質パネルが得られる。したがって誘導コイルは、任意に電源も同様に、本パネルに完全に埋め込まれ、これらの装置は外部から見えない。
【0050】
本発明は、CPL(連続プレスラミネート)およびLPL(低圧ラミネート)の製造にも適している。低圧ラミネートは、可塑剤が添加されたメラミン熱硬化性樹脂が含浸された2枚または3枚の紙で形成された、表面をコートするために使用される材料を含む。紙は、低圧で熱プレスすることによって強く一緒に結合される。これらの材料の物理的および技術的特性は、高圧ラミネートの物理的および技術的特性に劣るが、ストレスをほとんど受けない家具部品をコーティングするのに適しており、特にエッジを製造するのに適している。高圧/高温ラミネートプロセスを介してHPL(高圧ラミネート)が製造され、低圧下でCPL(連続圧ラミネート)がラミネートされる。その結果、特に強度と取り付けの容易さの点で性能が変化する。本発明はまた、連続プレスラミネート(CPL)の製造のためのダブルベルトプレス(DBP)もカバーする。CPLは、樹脂を含浸させた化粧紙であり、熱と高圧下で樹脂を含浸させたバッカーに融着される。ラミネート特性は標準HPLと類似しており、典型的な厚さの範囲は0.4mmから1mmである。可撓性CPLは、可撓性熱硬化性樹脂を含浸させた化粧紙であり、熱と高圧下で樹脂を含浸させたバッカーに融着される。
【0051】
本発明者らは、熱硬化性樹脂とともに紙の間に誘導コイルをプレスする代わりに、少なくとも1つの誘導コイルは、熱成形可能なシート材料で作られた凹部内に配置できることを見出した。凹部の寸法は、シートの凹部内に誘導コイルを配置した後、シートの表面が完全に平坦になるようにすることが好ましい。誘導コイルを備えたシートは、装飾の直下で、熱硬化性樹脂を有する装飾および紙の積層体内に配置されるか、または、少なくとも1枚の紙と、シートと装飾の間の熱硬化性樹脂とともに配置される。特定の実施形態では、誘導コイルが配置されるシートの側は、装飾に最も近い。別の実施形態によれば、装飾は、誘導コイルとともにシート上にラミネートされ、シートはコア材料として作用する。さらに別の実施形態では、熱成形可能なシートは装飾の基材層を置き換えるか、または、基材層の上または下に組み込まれる。そのような実施形態の1つでは、装飾層の基材層は、少なくとも1つの熱成形可能なシートを含む。接着は、積層の前に、シート、装飾またはその両方の上に接着剤を塗布することによって活性化できる。
【0052】
一実施形態では、装飾層の基材層は、樹脂含浸紙、木材繊維、ガラス繊維、織物繊維、合成繊維、金属繊維、セラミック繊維および炭素繊維、または、これらの繊維の組み合わせから作製された不織布および織布の群から選択される。特定の実施形態では、樹脂含浸紙を不織布および/または織布と組み合わせることができる。別の実施形態では、装飾層の基材層は、高分子箔、金属箔およびセラミック箔、またはこれらの箔のいずれかの組み合わせの群から選択することもできる。特定の実施形態では、樹脂含浸紙は、ここで述べたように、不織布および/または織布および/または箔と組み合わせることができる。
【0053】
熱成形可能シートは、1以上の熱可塑性ポリマーを含んでもよく、熱可塑性ポリマーは熱圧力を加えると塑性変形する。熱可塑性シートは、フィラーと、無機物として例えばガラス、合成、炭素、または他のタイプの強化繊維とを含んでもよい。フィラーの目的は、熱成形可能なシートの物理的性質を改質すること、たとえばそれを強化することである。
【0054】
本発明はまた、コアが少なくとも1つの熱成形可能なシートを含む化粧パネルに関する。このような実施形態では、コアは、樹脂含浸紙の積層体をさらに備えてもよく、少なくとも1つの熱成形可能なシートは、装飾層と樹脂含浸紙の積層体との間に配置される。別の実施形態では、熱硬化性層は、装飾と熱成形可能なシートとの間に配置されることが好ましく、熱硬化性層は好ましくは樹脂含浸紙である。
【0055】
少なくとも1つの熱成形可能なシートは、好ましくは1つ以上の凹部を備え、1つ以上の凹部に少なくとも1つの誘導コイルが配置される。このような凹部は、電源を含むこともできる。
【0056】
集積された誘導コイルは、デバイスを環境に対して保護するパネルによって封止される。このような環境の保護は、風、天候、日光、化学薬品、傷、温度、水分および湿気を含むことができるが、これらに限定されない。封止はまた、誘導コイル、および、同様にパネルに組み込まれたときの電源の意図しない取り外し(盗難)を防止する。
【0057】
本発明はさらに、屋内および/または屋外の家具における本化粧パネルの使用に関する。家具の例は、テーブルトップ、ラボラトリーテーブル、キッチンワークトップ、ナイトスタンド、ホットプレート、カウンタートップ、ベンチ、椅子、またはスツール、および、コーヒーテーブル、ダイニングテーブル、カクテルテーブル、会議テーブル、サイドテーブル、ピクニックテーブル、または屋外テーブルなどのテーブルである。
【0058】
特定の実施形態では、本化粧パネルは、外壁、天井およびファサードに使用することができる。
【0059】
本発明はまた、内装および/または外装装飾における本化粧パネルの使用に関する。
【0060】
本パネルの用途の例は、教育目的のハンドヘルド電子機器を生徒が使用する学校、図書館、教育段階のテーブル、ベンチまたは他の家具、客が他のサービスを楽しんでいる間に客のハンドヘルド電子機器を充電できるレストラン、バー、カフェのテーブル、ベンチまたは他の家具、シームレスに一体化された充電器が清掃の容易な抗菌性の表面を提供する病院、医療センター、看護センターのテーブル、ベンチまたはその他の家具、清掃が容易な(時間効率のよい)表面を有する取り外し不可能な(盗難防止)充電器が公共のビジターに彼らのハンドヘルド装置を充電する可能性を提供する空港、駅、バスステーション、フェリーターミナル、もしくは、他の公共交通手段、または、他の公共の待ち合わせ場所のテーブル、ベンチまたは他の家具を含むが、これらに限定されない。本パネルは、同様に建物またはモニュメントの外装または内装パネルとして使用できる。別の用途は、公共および民間交通機関用の待合所もしくはターミナルの家具もしくは壁装飾における本パネルの一体化、または、航空機、車、電車のワゴン、バスの内装もしくはフェリーの内装の家具または壁装飾における一体化である。そして、ナイトスタンド、ベッドサイドキャビネットおよび家庭用キッチンのワークトップにおける本パネルの使用。
【0061】
従って、本パネルの利点は、不可視、シームレスな一体化、封止すなわち環境に対する保護として特定でき、パネルの物理的特性は、本誘導コイルを備えないパネルに比べて変化しないままである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本発明は、以下の図面において説明される。
【
図1A】誘導コイルが配置される穴をシールド層が備える化粧パネルの実施形態を示す。
【
図1B】誘導コイルが配置される凹部をシールド層が備える化粧パネルの実施形態を示す。
【
図1C】誘導コイルがシールド層上に配置される化粧パネルの実施形態を示す。
【
図1E】本化粧パネルの別の実施形態の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1Aから
図1Eにおいて、10=化粧パネル、1=装飾層、2=樹脂含浸紙/プリプレグ、3=コア層、4=誘導コイル、5=シールド層、6=電線、および、7=凹部の参照符号が用いられる。これらの
図1Aから1Cは、プレス工程前のパネルの概略図である。
【0064】
図1Aによれば、化粧パネル10はシールド層5を含み、誘導コイル4が配置される穴がシールド層5に設けられている。コア層3と装飾層1との間に、1つ以上のサブ層2、たとえば樹脂含浸紙層またはプリプレグが示される。電線6はシールド層5の下に位置する。装飾層1はここでは単一の層として示されているが、装飾層1はいくつかの層を含んでもよい。コア層3についても同様である。
【0065】
図1Bによれば、化粧パネル10において、シールド層5には、誘導コイル4が配置される凹部7が設けられている。電線6は、シールド層5を通ってコア層3内に続き、シールド層5の下に位置する。コア層3と装飾層1との間に、1つ以上のサブ層2、たとえば樹脂含浸紙層またはプリプレグが存在する。装飾層1はここでは単一の層として示されているが、装飾層1はいくつかの層を含んでもよい。コア層3についても同様である。
【0066】
図1Cによれば、化粧パネル10において、誘導コイル4はシールド層5上に配置されている。電線6は、シールド層5を通ってコア層3内に続き、シールド層5の下に位置する。コア層3と装飾層1との間に、1つ以上のサブ層2、たとえば樹脂含浸紙層またはプリプレグが示される。装飾層1はここでは単一の層として示されているが、装飾層1はいくつかの層を含んでもよい。コア層3についても同様である。
【0067】
図1D(正面図)によれば、化粧パネル10には、シールド層5で囲まれた誘導コイル4が設けられている。シールド層5のサイズは、誘導コイル4の周囲に20cmの最小値で広がる。
【0068】
図1Eによれば、化粧パネル20には、シールド層5によって囲まれた4つの誘導コイル4が設けられている。シールド層5のサイズは、誘導コイル4の周りに20cmの最小値で広がる。誘導コイルの数は限定されない。
図1Aから
図1Eに示される誘導コイル4のサイズまたは形状は、ここに示されるサイズおよび形状に限定されない。
【0069】
本発明のさらなる利点は、好ましい実施形態の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0071】
この実施例によれば、タイプZENSシングルワイヤレス充電器(#ZESC05B/00)の市販の誘導充電器が化粧パネル内に熱プレスされた。誘導充電器はプリプレグに形成された凹部内に配置され、誘導充電器を有する凹部は1枚の樹脂含浸紙の層で完全に覆われた。その樹脂含浸層の上に最外面層として装飾層が適用された。このようにして得られた複合材料は、熱硬化性樹脂の硬化が達成されるまで、160℃および20バールでプレスされた。最終のパネルにある誘導充電器は、誘導充電器を標準の家庭用電源コンセントに接続するケーブルを介して電力を受ける。携帯電話がパネルの最外面に置かれ、パネルの誘導充電器は外部電源によって作動され、携帯電話は無線で充電された。
【0073】
ZENS 20 シングルワイヤレス充電器に見られるのと同様のタイプの単一の有線誘導コイルが、プリプレグに形成された凹部に配置され、コイルの上に5枚の樹脂含浸紙が置かれ、これによりプリプレグと、樹脂含浸紙で完全に覆われた誘導コイルとを備える複合材料を得る。したがって、誘導コイルは複合材料にシームレスに一体化される。このように配置された樹脂含浸紙の上に装飾層が置かれ、この組立体が、熱硬化性樹脂の硬化が達成されるまで160℃および70バールでプレスされた。こうして得られたパネルからの集積コイルからのケーブルが、外部電源に接続された。携帯電話がパネルの最外面に置かれ、パネルの誘導充電器は作動され、携帯電話は無線で充電された。
【0075】
ZENS 20 シングルワイヤレス充電器に見られるのと同様のタイプの単一の有線誘導コイルが、樹脂含浸紙の積層体内に形成された凹部に配置され、このように配置されたコイルの上に凹部のない5枚の樹脂含浸紙を加え、これにより樹脂含浸紙と、完全に一体化された誘導コイルとを含む複合材料を得る。このように配置された樹脂含浸紙の上に装飾層が置かれた。このようにして得られた組立体が、熱硬化性樹脂の硬化が達成されるまで160℃および70バールでプレスされた。こうして得られたパネルからの集積コイルからのケーブルが、外部電源に接続された。携帯電話がパネルの最外面に置かれ、パネルの誘導充電器は作動され、携帯電話は無線で充電された。
【0077】
この実施例4によれば、タイプZENSシングルワイヤレス充電器(#ZESC05B/00)の市販の誘導充電器が化粧パネル20内に熱プレスされた。誘導充電器23は、
図2に続いてプリプレグ22に形成された凹部26に配置された。プリプレグ24上に、シールド層25(FINEMETR超軽量、PET熱可塑性キャリア内のフレキシブル磁気シールド)が配置された。シールド層25の上に、誘導充電器23が配置された。誘導充電器23上の中心に位置した凹部26を備えるプリプレグ22が用いられた。凹部26を備えるプリプレグ22の上に、最外面層として装飾層21が適用された。このようにして得られた複合材料20(
図2参照)は、熱硬化性樹脂の硬化が達成されるまで160℃および20バールでプレスされた。最終のパネルに存在する誘導充電器は、誘導充電器を標準の家庭用電源コンセントに接続するケーブル(ここには図示せず)を介してその電力を受ける。携帯電話がパネルの最外面に置かれ、パネルの誘導充電器は外部電源によって作動され、携帯電話は無線で充電された。
【0079】
プリプレグ32とシールド層35の両方の構造を除いて、実施例4と同じ工程が行われた。この実施例4では、誘導充電器33が配置される穴37が、シールド層35に設けられている。プリプレグ32は、凹部36を備える。凹部36と穴37は整列しており、誘導充電器33はプリプレグ32とシールド層35の両方に埋め込まれている。シールド層35はプリプレグ34の上に配置されている。凹部36を備えるプリプレグ32の上に、装飾層31が最外面層として適用された。このようにして得られた複合材料30(
図3参照)は、熱硬化性樹脂の硬化が達成されるまで160℃および20バールでプレスされた。最終のパネルに存在する誘導充電器は、誘導充電器を標準の家庭用電源コンセントに接続するケーブル(ここには図示せず)を介してその電力を受ける。携帯電話がパネルの最外面に置かれ、パネルの誘導充電器は外部電源によって作動され、携帯電話は無線で充電された。
【0081】
この実施例6では、ZENSシングルワイヤレス充電器に見られるのと同様のタイプの単一の有線誘導コイルが使用された。プリプレグ42に凹部46が作られ、シールド層45(FINEMETR超軽量、PET熱可塑性キャリア内のフレキシブル磁気シールド)が、プリプレグ42,44の上に、続いて凹部46に配置された。誘導充電器43は凹部46に配置され、誘導充電器43はシールドされた。誘導充電器43は、底部を含むすべての側面でシールド層46と接触している(
図4参照)。5枚の樹脂含浸紙47がコイル43の上に置かれ、装飾層41が置かれ最外面層として適用され、それによりプリプレグ42,44と、コイル43の側面と底部にて樹脂含浸紙47およびシールド層45で完全に覆われた誘導コイル43と、を備える複合材料40を得る。誘導コイル43は、このようにして複合材料にシームレスに一体化される。このように配置された樹脂含浸紙47の上に装飾層41が置かれ、この組立体40(
図4参照)は熱硬化性樹脂の硬化が達成されるまで160℃および70バールでプレスされた。このようにして得られたパネルの集積コイルからのケーブル(ここには図示せず)が、外部電源(ここには図示せず)に接続された。携帯電話がパネルの最外面に置かれ、パネルの誘導充電器は外部電源によって作動され、携帯電話は無線で充電された。
【0083】
ZENSシングルワイヤレス充電器に見られるのと同様のタイプの単一の有線誘導コイル53が、樹脂含浸紙54の積層体内に形成された凹部56、および、シールド層55(FINEMETR超軽量、PET熱可塑性キャリア内のフレキシブル磁気シールド)に形成された凹部57内に配置された。凹部56と凹部57は、整列している。次に、凹部のない5枚の樹脂含浸紙52が、このように配置されたコイル53の上に加えられ、それにより樹脂含浸紙と、完全に一体化された誘導コイルとを含む複合材料50を得る。このように配置された樹脂含浸紙の上に装飾層51が配置された。このようにして得られた組立体は、熱硬化性樹脂の硬化が達成されるまで160℃および70バールでプレスされた。このようにして得られたパネルからの集積コイルからのケーブル(ここには図示せず)が外部電源に接続された。携帯電話がパネルの最外面に置かれ、パネルの誘導充電器は外部電源によって作動され、携帯電話は無線で充電された。電話機の充電効率は、実施例3のそれに匹敵していた。
【0084】
図2から
図5では、シールド層23,33,43および53がパネルの全幅にわたって示されているが、シールド層5のサイズは、関連する誘導コイルの周りに20cmの最小値で広がるようにできる。
【0085】
実施例8:シールド層有りおよび無しの誘導パネルの熱吸収の比較。
【0086】
2つの異なるパネルタイプ、すなわち実施例1に記載のパネル(シールド層なし)および実施例4に記載のパネル(FINEMETR(登録商標)超軽量、PET熱可塑性キャリア内のフレキシブル磁気シールドで作製されたシールド層有り)が用いられた。各パネルの下、シールド層の下に強磁性金属(鉄)が置かれ、金属の温度が測定された。シールド層を有するパネルの下の鉄の温度は、シールド層のないパネルの下の鉄の温度よりも低かった。