特許第6976296号(P6976296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976296
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/50 20110101AFI20211125BHJP
   H01R 12/72 20110101ALI20211125BHJP
【FI】
   H01R24/50
   H01R12/72
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-176462(P2019-176462)
(22)【出願日】2019年9月27日
(62)【分割の表示】特願2017-82017(P2017-82017)の分割
【原出願日】2017年4月18日
(65)【公開番号】特開2019-216124(P2019-216124A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2020年4月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仙波 信行
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−201234(JP,A)
【文献】 実開昭60−172370(JP,U)
【文献】 特開2011−86414(JP,A)
【文献】 特開平8−138807(JP,A)
【文献】 特開2006−190614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/00 − 24/86
H01R 12/00 − 12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装される同軸コネクタであって、
中心コンタクトと、
前記中心コンタクトを保持する絶縁体と、
前記絶縁体を保持するとともに相手側コネクタに結合される外部コンタクト、および前記基板のスルーホールに挿入される実装脚と前記基板の表面に先端面が当接するスペーサ突起と下面に形成されたベースを有する外部導体と、を備え、
前記実装脚の外周面は、基端部先端部とが前記実装脚の先端に向けて裁頭円錐状に縮径するとともに、前記基端部と前記先端部との間の部分概略円柱状をなし、
前記実装脚は、前記外周面から半径方向に突出するとともに、その実装脚の軸心に対する直交平面にて互いに離間する少なくとも3つの突起を有し、
前記少なくとも3つの突起は、前記実装脚の外周面の前記概略円柱状の部分の概略全長に亘って前記軸心からの高さが均一で前記軸心に沿って延在し、前記スペーサ突起の先端面よりも前記先端部寄りの部分で前記スルーホールの内面に線接触することを特徴とする同軸コネクタ。
【請求項2】
前記少なくとも3つの突起は、前記直交平面にて互いに等角度で配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
前記突起は、断面視で中央部が凸状に膨らんだ凸状湾曲面を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の同軸コネクタ。
【請求項4】
前記外部コンタクトおよび前記ベースは、亜鉛もしくはその合金、またはアルミニウムもしくはその合金からなり、互いに一体化されたダイカスト品であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の同軸コネクタ。
【請求項5】
前記ベースは、前記基板とは反対側に自動実装機が吸着可能な吸着面を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の同軸コネクタ。
【請求項6】
前記中心コンタクト、前記絶縁体および前記外部コンタクトをそれぞれ2つ備える、請求項1から5までのいずれか一項に記載の同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信カードや移動体通信機器、音響機器、映像機器等の電子機器に使用される同軸コネクタに関し、特に基板に搭載されて使用される同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の同軸コネクタとして、特許文献1には、中心コンタクトと、中心コンタクトを保持する絶縁体と、絶縁体を保持するとともに相手側コネクタに結合される嵌合部、および基板へ実装される実装部を有する外部導体と、を備えるものが知られている。
【0003】
実装部には、基板のスルーホールに挿入され、はんだ付けされる円柱形状の実装脚が設けられており、スルーホールへの実装脚の円滑な挿入と、実装時の良好なはんだ流れとを確保するため、実装脚とスルーホールとの間にクリアランスを設けるのが通常であるが、このクリアランスによって同軸コネクタの実装位置ずれが生じる。
【0004】
ところで、近年、電子機器で処理する情報量が増大し、それに伴い基板間におけるデータの伝送速度も飛躍的に高速化してきており、高周波信号の伝送を扱う同軸コネクタでは、僅かな実装位置ずれによっても同軸コネクタの電圧定在波比が悪化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−201234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題を解消し、同軸コネクタの、基板への実装時における位置ずれに起因した電圧定在波比の増大を防止することができる同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板に実装される同軸コネクタであって、中心コンタクトと、前記中心コンタクトを保持する絶縁体と、絶縁体を保持するとともに相手側コネクタに結合される外部コンタクト、および基板のスルーホールに挿入される実装脚と前記基板の表面に先端面が当接するスペーサ突起と下面に形成されたベースを有する外部導体と、を備え、上記目的を達成するため、前記実装脚の外周面は、基端部先端部とが前記外周面の先端に向けて裁頭円錐状に縮径するとともに、前記基端部と前記先端部との間の部分では概略円柱状をなし、前記実装脚は、前記外周面から半径方向に突出するとともに、その実装脚の軸心に対する直交平面にて互いに離間する少なくとも3つの突起を有し、前記少なくとも3つの突起は、前記実装脚の外周面の前記概略円柱状の部分の概略全長に亘って前記軸心からの高さが均一で前記軸心に沿って延在し、前記スペーサ突起の先端面よりも前記外周面の先端寄りの部分で前記スルーホールの内面に線接触するものとされている。
【0008】
なお、本発明の同軸コネクタにあっては、前記少なくともつの突起は、前記直交平面にて互いに等角度で配置されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明の同軸コネクタにあっては、前記突起は、前記軸心に沿って延びるリブ形状に形成されている。
【0010】
さらに、本発明の同軸コネクタにあっては、前記突起は、断面視で中央部が凸状に膨らんだ凸状湾曲面を有していることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の同軸コネクタにあっては、前記外部コンタクトおよび前記ベースは、亜鉛もしくはその合金、またはアルミニウムもしくはその合金からなり、互いに一体化されたダイカスト品であることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の同軸コネクタにあっては、前記ベースは、前記基板とは反対側に自動実装機が吸着可能な吸着面を有することが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の同軸コネクタにあっては、前記中心コンタクト、前記絶縁体および前記外部コンタクトをそれぞれ2つ備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の同軸コネクタによれば、実装脚の外周面の、先端に向けて裁頭円錐状に縮径する基端部と先端部との間の概略円柱状の部分に形成されてその外周面から半径方向に突出し、その実装脚の軸心に対する直交平面で互いに離間する少なくとも3つの突起によって、実装脚の外周面の概略円柱状の部分とスルーホールの内面との間に隙間を形成してこの隙間にはんだを流入させることができるので、同軸コネクタを基板に安定して実装することができる。また、実装脚の外周面の概略円柱状の部分に設けられた突起が、その実装脚の外周面の概略円柱状の部分の概略全長に亘って実装脚の軸心からの高さが均一で軸心に沿って延在し、基板表面に当接してベースの下面と基板表面との間に隙間を維持するスペーサ突起の先端面よりも外周面の先端寄りの部分でスルーホールの内面に線接触することによって、同軸コネクタを高い位置決め精度と安定した実装姿勢で基板に実装することができるようになるので、実装時における位置ずれに起因した電圧定在波比の増大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の同軸コネクタの上面側斜視図である。
図2図1に示した同軸コネクタの底面側斜視図である。
図3図1に示した同軸コネクタの正面図である。
図4図3中のA−A線に沿う断面図である。
図5図1の同軸コネクタの分解斜視図である。
図6図1に示した同軸コネクタの底面図である。
図7図1に示した同軸コネクタを基板に実装した状態で示す側面図である。
図8図1に示した同軸コネクタを基板に実装した状態で示す底面図である。
図9】本発明の他の実施形態の同軸コネクタの表面側斜視図である。
図10図9に示した同軸コネクタの底面側斜視図である。
図11】本発明の実施例の同軸コネクタと比較例の同軸コネクタにつき、電圧定在波比を測定したときの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここで図1は、本発明にしたがう一実施形態の2連式の同軸コネクタの上面側を示す斜視図であり、図2は、図1の同軸コネクタの底面側(実装面側)を示す斜視図であり、図3は、図1の同軸コネクタの正面図であり、図4は、図3におけるA−A線に沿う断面図であり、図5は、図1の同軸コネクタの分解斜視図である。
【0017】
図1および図2に示すように、実施形態の同軸コネクタ10はレセプタクルコネクタであり、相手側同軸コネクタであるプラグコネクタ(図示省略)の外部導体に結合される少なくとも1つ(ここでは2つ)の外部コンタクト12と、基板B(図7参照)に実装されるベース14とを備えている。外部コンタクト12およびベース14は、協働して外部導体15を構成する。同軸コネクタ10は、好ましくは高周波信号を伝送する高周波同軸コネクタ10である。以下の説明では便宜上、相手側同軸コネクタとの挿抜方向を前後方向として前後左右方向を規定する。また、同軸コネクタ10からみて基板B側を下として上下方向を規定する。したがって、図1および図2に示すように、外部コンタクト12は同軸コネクタ10の前方側に配置され、ベース14は同軸コネクタ10の後方側に配置されている。
【0018】
各外部コンタクト12は円筒状をなし、その外周面には相手側同軸コネクタの溝またはスリットにバヨネット式に嵌合される凸部12aが形成されている。これにより、外部コンタクト12は相手側同軸コネクタの外部導体にバヨネット式に結合される。相手側同軸コネクタとの結合形成はこれに限定されず、ネジ結合やプッシュオン結合等でもよい。
【0019】
外部コンタクト12およびベース14は、亜鉛もしくはその合金、またはアルミニウムもしくはその合金からなり、互いに一体化されたダイカスト品であることが好ましい。
【0020】
外部コンタクト12の内側には、図3および図4に示すように、相手側同軸コネクタの中心コンタクトと電気的に接続される中心コンタクト16と、中心コンタクト16を保持する絶縁体18とが配置されている。
【0021】
絶縁体18は、外部コンタクト12の基端部側(後方側)に形成された凹部12b内に圧入により保持されている。絶縁体18の中心には、前後方向に延びる貫通孔18aが形成されており、中心コンタクト16は貫通孔18a内に保持されている。中心コンタクト16には、絶縁体18の貫通孔18aの内面と係止する係止部16aが形成され、中心コンタクト16の脱落防止や位置変動の防止が図られている。絶縁体18および中心コンタクト16は、図5に示すように、外部コンタクト12の前方側開口から挿入し、組み付けることができる。あるいは、中心コンタクト16をインサート品として絶縁体18をインサート成形してもよい。
【0022】
中心コンタクト16は、一端(前端)において相手側同軸コンタクトの中心コンタクトとの接続のため外部コンタクト12内に露出し、他端(後端)において基板Bに形成されたマイクロストリップライン等の導体との接続のためベース14から露出している。
【0023】
ベース14は、図1および図2に示すように、外部コンタクト12の基端位置にて上下、左右方向に延びるフランジ20と、フランジ20から後方へ延びる3つの実装ブロック22と、実装ブロック22間に配置されるとともに、フランジ20の上縁と面一をなす吸着面24とを有している。
【0024】
フランジ20には、同軸コネクタ10を電子機器の筐体等に固定するねじ用のねじ穴26が形成されていてよい。また、実装ブロック22にも同様のねじ穴28が形成されてよい。基板Bの、ねじ穴28の対応位置に貫通穴(図示省略)を形成しておき、この貫通穴に基板Bの下面側からねじを挿通してねじ穴28に締結することで、同軸コネクタ10と基板Bとの固定強度を高めることができる。
【0025】
実装ブロック22は、中心コンタクト16を避けるように互いに間隔を空けて配置されており、各実装ブロック22の下面(基板Bに対向する面)には、基板B表面との間に隙間を維持するスペーサ突起30が一体に形成されている。
【0026】
また、各実装ブロック22には、基板Bのスルーホールb1に挿入される実装脚32が垂下されている。実装脚32は各実装ブロック22に2つ形成されているが、実装脚32の数はこれに限定されず、1つでも3つ以上でもよい。
【0027】
実装脚32の外周面は、円錐台(裁頭円錐)状の基端部と先端部である下端部との間の部分が概略円柱状をなし、その外周面の概略円柱状の部分にはその軸心X(図4参照)に対する直交平面にて互いに離間する少なくとも3つの突起34が形成されている。図示例では3つの突起34が等角度間隔(120度間隔)に形成されている。突起34の数は3つに限定されず、4つ以上でもよい。突起34は、実装脚32の軸心Xに沿って延びるリブ形状を有する。実装脚32の外周面の下端および突起34の下端には、スルーホールb1内への実装脚32の挿入を円滑にする面取り部32a,34aが形成されていて、実装脚32の外周面の下端部はその面取り部32aにより円錐台(裁頭円錐)状をなしている
【0028】
また、突起34は、図6中拡大して示すように、底面視あるいは断面視で中央部が凸状に膨らんだ凸状湾曲面を有している。これにより、突起34はスルーホールb1の内面に線接触または点接触する。突起34の高さhは、突起34を除く実装脚32の直径Dに対して30%〜60%の範囲とすることが好ましい。後述のように、実装脚32とスルーホールb1の内面との間にはんだを流入させる十分な隙間を確保するためである。
【0029】
このように構成された同軸コネクタ10を、図7に示すように基板Bに実装するには、まず、図示しない自動実装機(供給部から供給された電子部品を吸着ノズルで吸着し、基板の所定の場所へ搭載する装置)の吸着ノズルで同軸コネクタ10の吸着面24を吸着し、同軸コネクタ10の各実装脚32を基板Bの対応するスルーホールb1内へ挿入する。このとき、図7に示すように、スペーサ突起30の先端面が基板B表面に当接して実装ブロック22の下面(基板Bに対向する面)と基板B表面との間に隙間を維持するとともに、図8に基板への実装状態を示すように、各実装脚32の外面に形成された複数の突起34がスペーサ突起30の先端面よりも実装脚32の外周面の先端寄りの部分でスルーホールb1の内面に当接することにより同軸コネクタ10は正確に位置決めされ、この状態で中心コンタクト16の後端はマイクロストリップ等の導体に接続されるとともに、実装脚32はスルーホールb1にはんだ付けされる。図8中の拡大図からわかるように、各突起34はその凸状湾曲面の中央部だけがスルーホールb1の内面に当接(線接触)するので、挿入時の摩擦は小さくなり、しかも隣接する突起34間の容積も増大する。
【0030】
したがって、本実施形態の同軸コネクタ10によれば、実装脚32とスルーホールb1の内面との間および隣接する突起34間に十分な量のはんだを流入させることができる。また、実装脚32に、基板B表面に当接して実装ブロック22の下面(基板Bに対向する面)と基板B表面との間に隙間を維持するスペーサ突起30の先端面よりも実装脚32の外周面の先端寄りの部分でスルーホールb1の内面に当接する突起34が形成されることによって、実装脚32がスルーホールb1に同心配置され、同軸コネクタ10を高い位置決め精度と安定した実装姿勢で基板に実装することができるようになるので、実装時における位置ずれに起因した電圧定在波比の増大を防止することができる。
【0031】
また、本実施形態において、突起34を、実装脚32の軸心Xに対する直交平面にて互いに等角度で配置した場合には、実装脚32の軸心Xをスルーホールb1の軸心に確実に一致させることができ、より高い位置決め精度での実装が可能になる。
【0032】
さらに、本実施形態において、各実装脚32に形成する突起34の数を3つとした場合には、基板Bに対する高い位置決め精度を確保しつつ、隣接する突起34間にはんだ流入のための十分な隙間を形成することができる。
【0033】
さらに、本実施形態において、突起34を軸心Xに沿って延びるリブ形状に形成し、突起34とスルーホールb1内面との上下方向(挿入方向)に沿う接触長さを増大させているので、同軸コネクタ10の実装姿勢をより一層安定なものとすることができる。
【0034】
さらに、本実施形態において、外部コンタクト12およびベース14を、亜鉛もしくはその合金、またはアルミニウムもしくはその合金からなり、互いに一体化されたダイカスト品とした場合には、ベース14を切削加工で形成した場合と比較して軽量化することができる。特にこのような軽量化は、本実施形態において、ベース14の上面の吸着面24を自動実装機で吸着して基板Bに自動実装する場合に有利に働く。
【0035】
つぎに、図9および図10を参照し、本発明の他の実施形態の同軸コネクタ10について説明する。なお、先の実施形態で説明した同軸コネクタ10における部材または部分と同様の要素には同一の符号を付し、説明は適宜省略する。
【0036】
先の実施形態の同軸コネクタ10は、中心コンタクト16、絶縁体18および外部コンタクト12をそれぞれ2つ備えるものであったが、本実施形態の同軸コネクタ10は、中心コンタクト16、絶縁体18および外部コンタクト12をそれぞれ1つしか備えていない点で異なる。
【0037】
本実施形態の同軸コネクタ10においても、実装脚32の外周面の、円錐台状の基端部と、円錐台状の下端部面取り部との間の、基板Bのスルーホールb1に挿入される円柱状の部分には3つのリブ状の突起34が形成されている。突起34の数は3つに限定されず、4つ以上でもよい。これにより、本実施形態の同軸コネクタ10によれば、実装脚32とスルーホールb1の内面との間および隣接する突起34間に十分な量のはんだを流入させることができる。また、実装脚32の外周面に、基板B表面に当接して実装ブロック22の下面(基板Bに対向する面)と基板B表面との間に隙間を維持するスペーサ突起30の先端面よりも先端寄りの部分でスルーホールの内面と線接触する突起34を設けることによって、同軸コネクタ10を高い位置決め精度と安定した実装姿勢で基板Bに実装することができるようになるので、実装時における位置ずれに起因した電圧定在波比の増大を防止することができる。
【実施例】
【0038】
図1図8に示した構造を備える同軸コネクタの試料(実施例)と、実装脚に突起を設けていない点以外は実施例の同軸コネクタと同じ構造を備える図示しない同軸コネクタの試料(比較例)を作製し、ネットワークアナライザを用いて電圧定在波比を測定した。その結果を図11に示す。
【0039】
図11において、横軸は周波数(GHz)を、縦軸は電圧定在波比を表す。図中実線で描かれた特性曲線は、実施例の同軸コネクタの電圧定在波比の周波数特性を示し、破線で描かれた特性曲線は、比較例の同軸コネクタの電圧定在波比の周波数特性を示している。
【0040】
この結果からわかるように、本発明の試料では、周波数が高くなるに連れて電圧定在波比が増加するがその増大は緩やかであり、12GHzで1.23であった。
【0041】
これに対し、比較例の試料では、周波数が高くなるに連れて電圧定在波比は急激に増大し、12GHzで1.44であった。
【0042】
これにより、本発明の同軸コネクタによれば、高周波帯域においても安定した高周波特性を有することが確認できた。
【0043】
以上、図示例に基づき本発明を説明したが、本発明は種々の変更が可能である。例えば、外部コンタクト12とベース14は一体成形されると説明したが、外部コンタクト12とベース14は別体として成形し相互連結させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、同軸コネクタの、基板への実装時における位置ずれに起因した電圧定在波比の増大を防止可能な同軸コネクタを提供することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 同軸コネクタ
12 外部コンタクト
14 ベース
15 外部導体
16 中心コンタクト
18 絶縁体
20 フランジ
22 実装ブロック
24 吸着面
30 スペーサ突起
32 実装脚
34 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11