特許第6976300号(P6976300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6976300車両システム、車両制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976300
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】車両システム、車両制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20211125BHJP
   B60L 58/40 20190101ALI20211125BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20211125BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20211125BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20211125BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20211125BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20211125BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20211125BHJP
   B60K 6/32 20071001ALI20211125BHJP
   B60W 20/13 20160101ALI20211125BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20211125BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20211125BHJP
   H01M 10/615 20140101ALN20211125BHJP
   H01M 10/625 20140101ALN20211125BHJP
   H01M 10/6571 20140101ALN20211125BHJP
   H01M 10/651 20140101ALN20211125BHJP
   H01M 10/633 20140101ALN20211125BHJP
【FI】
   B60L3/00 NZHV
   B60L58/40
   B60L58/12
   H01M8/00 Z
   H01M8/00 A
   H01M8/04537
   H01M8/04313
   H01M10/48 P
   H01M10/44 P
   B60K6/32
   B60W20/13
   B60W10/26 900
   !H01M8/10 101
   !H01M10/615
   !H01M10/625
   !H01M10/6571
   !H01M10/651
   !H01M10/633
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-198784(P2019-198784)
(22)【出願日】2019年10月31日
(65)【公開番号】特開2021-72723(P2021-72723A)
(43)【公開日】2021年5月6日
【審査請求日】2020年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 良次
(72)【発明者】
【氏名】上野臺 浅雄
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−279124(JP,A)
【文献】 特開平11−220803(JP,A)
【文献】 特開2011−255777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 58/00−58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両システムであって、
発電装置と、
前記発電装置の発電制御を行う電力制御部と、
前記発電装置、燃料収容部、および燃料供給経路のうちのいずれかに取り付けられた第1センサの検出結果に基づいて、前記発電装置に供給され前記発電装置が消費す前記燃料収容部に収容された燃料の残量を導出する第1導出部と、
前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置と、
前記蓄電装置に取り付けられた第2センサの検出結果に基づいて、前記蓄電装置の充電量または充電率を導出する第2導出部と、
前記第1導出部により導出された燃料の残量に基づいて前記車両が走行可能な第1走行距離を算出し、前記第1走行距離に関する情報を出力部に出力させる出力制御部と、を備え、
前記第1導出部により導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった場合、または前記第1導出部により導出された前記燃料の残量に基づいて算出された前記第1走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、
前記電力制御部は、前記発電装置に発電を継続させ、
前記出力制御部は、前記第2導出部により導出された充電量または充電率に基づいて前記車両が走行可能な第2走行距離を算出し、前記第2走行距離に関する情報を出力部に出力させる、
車両システム。
【請求項2】
前記電力制御部は、
前記第1導出部により導出された燃料の残量が前記第1閾値よりも小さくなった場合、または前記第1導出部により導出された燃料の残量に基づいて算出された走行距離が前記第2閾値よりも小さくなった場合であっても、最大効率となる発電電力での発電を継続させる、
請求項1に記載の車両システム。
【請求項3】
前記電力制御部は、
前記第1導出部により導出された燃料の残量が前記第1閾値よりも小さくなった場合、または前記第1導出部により導出された燃料の残量に基づいて算出された走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、前記発電装置に供給可能な燃料が無くなるまで前記発電装置による発電を継続させる、
請求項1または2に記載の車両システム。
【請求項4】
前記出力制御部は、
前記第2走行距離に関する情報を前記出力部に出力させる場合、前記出力部から出力される情報が、前記第1走行距離に関する情報から前記第2走行距離に関する情報に切り替えられたことを前記出力部から出力させる、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項5】
前記出力制御部は、
前記第1導出部により導出された導出された燃料残量に基づく実走行距離から、前記第1センサの誤差に基づく所定距離を減算した値を、前記第1走行距離として算出する、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項6】
車載コンピュータが、
車両に搭載される発電装置の発電を制御し、
前記発電装置に取り付けられた第1センサの検出結果に基づいて、前記発電装置に供給され前記発電装置が消費す燃料収容部に収容された燃料の残量を導出し、
前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置に取り付けられた第2センサの検出結果に基づいて、前記蓄電装置の充電量または充電率を導出し、
前記導出された燃料の残量に基づいて前記車両が走行可能な第1走行距離を算出し、
前記第1走行距離に関する情報を出力部に出力し、
前記導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった場合、または前記燃料の残量に基づいて算出された前記第1走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、
前記発電装置の発電を継続するよう制御し、
前記導出された充電量または充電率に基づいて前記車両が走行可能な第2走行距離を算出し、前記第2走行距離に関する情報を出力部に出力する、
車両制御方法。
【請求項7】
車載コンピュータに、
車両に搭載される発電装置の発電を制御させ、
前記発電装置、燃料収容部、および燃料供給経路のうちいずれかに取り付けられた第1センサの検出結果に基づいて、前記発電装置に供給され前記発電装置が消費す前記燃料収容部に収容された燃料の残量を導出させ、
前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置に取り付けられた第2センサの検出結果に基づいて、前記蓄電装置の充電量または充電率を導出させ、
前記導出された燃料の残量に基づいて前記車両が走行可能な第1走行距離を算出させ、
前記第1走行距離に関する情報を出力部に出力させ、
前記導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった場合、または前記燃料の残量に基づいて算出された前記第1走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、
前記発電装置の発電を継続するよう制御させ、
前記導出された充電量または充電率に基づいて前記車両が走行可能な第2走行距離を算出させ、前記第2走行距離に関する情報を出力部に出力させる、
プログラム。
【請求項8】
車両に搭載される車両システムであって、
発電装置と、
前記発電装置の発電制御を行う電力制御部と、
前記発電装置、燃料収容部、および燃料供給経路のうちのいずれかに取り付けられた第1センサの検出結果に基づいて、前記発電装置に供給され前記発電装置が消費す前記燃料収容部に収容された燃料の残量を導出する第1導出部と、
前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置と、
前記蓄電装置に取り付けられた第2センサの検出結果に基づいて、前記蓄電装置の充電量または充電率を導出する第2導出部と、
前記第1導出部により導出された燃料の残量に基づいて前記車両が走行可能な第1走行距離を算出し、前記第1走行距離に関する情報を出力部に出力させる出力制御部と、を備え、
前記第1導出部により導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった場合、または前記第1導出部により導出された前記燃料の残量に基づいて算出された前記第1走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、
前記電力制御部は、前記発電装置に発電を継続させ、
前記出力制御部は、前記第2導出部により導出された充電量または充電率に基づいて前記車両が走行可能な第2走行距離を算出し、前記第2走行距離に関する情報を前記第1走行距離に関する情報に代えて出力部に出力させる、
車両システム。
【請求項9】
車両に搭載される車両システムであって、
発電装置と、
前記発電装置の発電制御を行う電力制御部と、
前記発電装置、燃料収容部、および燃料供給経路のうちのいずれかに取り付けられた第1センサの検出結果に基づいて、前記発電装置に供給され前記発電装置が消費す前記燃料収容部に収容された燃料の残量を導出する第1導出部と、
前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置と、
前記蓄電装置に取り付けられた第2センサの検出結果に基づいて、前記蓄電装置の充電量または充電率を導出する第2導出部と、
前記第1導出部により導出された燃料の残量に基づいて算出された前記車両が走行可能な第1走行距離を算出し、前記第1走行距離に関する第1情報と、前記第2導出部により導出された充電量または充電率に基づいて算出された前記車両が走行可能な第2走行距離に関する第2情報とを切り替えて出力部に出力させる出力制御部と、を備え、
(1)前記発電装置が発電を行っている状態において、前記第1導出部により導出された燃料の残量が第1閾値以上である場合、または前記第1導出部により導出された前記燃料の残量に基づいて算出された前記第1走行距離が第2閾値以上である場合、
前記出力制御部は、前記第1情報を前記出力部に出力させ、
(2)前記第1情報が前記出力部に出力され、且つ前記発電装置が発電を行っている状態において、前記第1導出部により導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった場合、または前記第1導出部により導出された前記燃料の残量に基づいて算出された前記第1走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、
前記電力制御部は、前記発電装置に発電を継続させ、且つ
前記出力制御部は、前記第1情報に代えて前記第2情報を出力部に出力させる、
車両システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両システム、車両制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、システム全体の要求電力を、蓄電装置が担う蓄電装置分担電力と、燃料電池が担う燃料電池分担電力とを割り振る際、蓄電装置から負荷に至るまでの電力供給経路における電力効率を考慮して蓄電装置分担電力を決定し、システム全体の要求電力から蓄電装置分担電力を差し引いた差分の電力を燃料電池分担電力として設定するが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−162652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、発電装置の燃料の残量や蓄電装置の充電残量を考慮して、走行可能距離を乗員に通知することについて十分に検討させていなかった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、発電装置の燃料の残量や蓄電装置の充電残量を考慮して、走行可能距離を乗員に通知することができる車両システム、車両制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両システム、車両制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車両システムは、車両に搭載される車両システムであって、発電装置と、前記発電装置の発電制御を行う電力制御部と、前記発電装置、燃料収容部、および燃料供給経路のうちいずれかに取り付けられた第1センサの検出結果に基づいて、前記発電装置に供給される燃料の残量を導出する第1導出部と、前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置と、前記蓄電装置に取り付けられた第2センサの検出結果に基づいて、前記蓄電装置の充電量または充電率を導出する第2導出部と、前記導出された燃料の残量に基づいて前記車両が走行可能な第1走行距離を算出し、前記第1走行距離に関する情報を出力部に出力させる出力制御部と、を備え、前記導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった場合、または前記燃料の残量に基づいて算出された前記第1走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、前記電力制御部は、前記発電装置に発電を継続させ、前記出力制御部は、前記導出された充電量または充電率に基づいて前記車両が走行可能な第2走行距離を算出し、前記第2走行距離に関する情報を出力部に出力させる、ものである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記電力制御部は、前記導出された燃料の残量が前記第1閾値よりも小さくなった場合、または前記燃料の残量に基づいて算出された走行距離が前記第2閾値よりも小さくなった場合であっても、最大効率となる発電電力での発電を継続させる、ものである。
【0008】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記電力制御部は、前記導出された燃料の残量が前記第1閾値よりも小さくなった場合、または前記燃料の残量に基づいて算出された走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、前記発電装置に供給可能な燃料が無くなるまで前記発電装置による発電を継続させる、ものである。
【0009】
(4):上記(1)〜(3)の態様において、前記出力制御部は、前記第2走行距離に関する情報を前記出力部に出力させる場合、前記出力部から出力される情報が、前記第1走行距離に関する情報から前記第2走行距離に関する情報に切り替えられたことを前記出力部から出力させる、ものである。
【0010】
(5):上記(1)〜(4)の態様において、前記出力制御部は、前記導出された燃料残量に基づく実走行距離から、前記第1センサの誤差に基づく所定距離を減算した値を、前記第1走行距離として算出する、ものである。
【0011】
(6):本発明の態様に係る車両制御方法は、車載コンピュータが、車両に搭載される発電装置の発電を制御し、前記発電装置、燃料収容部、および燃料供給経路のうちいずれかに取り付けられた第1センサの検出結果に基づいて、前記発電装置に供給される燃料の残量を導出し、前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置に取り付けられた第2センサの検出結果に基づいて、前記蓄電装置の充電量または充電率を導出し、前記導出された燃料の残量に基づいて前記車両が走行可能な第1走行距離を算出し、前記第1走行距離に関する情報を出力部に出力し、前記導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった場合、または前記燃料の残量に基づいて算出された前記第1走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、前記発電装置の発電を継続するよう制御し、前記導出された充電量または充電率に基づいて前記車両が走行可能な第2走行距離を算出し、前記第2走行距離に関する情報を出力部に出力する方法である。
【0012】
(7):本発明の態様に係るプログラムは、車載コンピュータに、車両に搭載される発電装置の発電を制御させ、前記発電装置、燃料収容部、および燃料供給経路のうちいずれかに取り付けられた第1センサの検出結果に基づいて、前記発電装置に供給される燃料の残量を導出させ、前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置に取り付けられた第2センサの検出結果に基づいて、前記蓄電装置の充電量または充電率を導出させ、前記導出された燃料の残量に基づいて前記車両が走行可能な第1走行距離を算出させ、前記第1走行距離に関する情報を出力部に出力させ、前記導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった場合、または前記燃料の残量に基づいて算出された前記第1走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、前記発電装置の発電を継続するよう制御させ、前記導出された充電量または充電率に基づいて前記車両が走行可能な第2走行距離を算出させ、前記第2走行距離に関する情報を出力部に出力させるプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
(1)〜(7)によれば、発電装置の燃料の残量や蓄電装置の蓄電残量を考慮して、走行可能距離を乗員に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る電動車両10の構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係るFCシステム100の構成の一例を示す図である。
図3】電力制御装置50の構成の一例を示す図である。
図4】FC出力の一例を示すグラフである。
図5】FC出力の他の例を示すグラフである。
図6】時間経過に伴う走行距離の変化の一例を示す図である。
図7】電力制御装置50により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】電力制御装置50により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の車両システム、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。以下の説明において、電動車両10は、発電装置により発電された電力を走行用の電力として用いる燃料電池車両であるものとする。
【0016】
[電動車両]
図1は、実施形態に係る電動車両10の構成の一例を示す図である。図1に示すように、電動車両10は、例えば、モータ(回転電機)12と、駆動輪14と、ブレーキ装置16と、車両センサ20と、変換器32と、BTVCU(Battery Voltage Control Unit)34と、バッテリシステム(蓄電装置)40と、電力制御装置50と、出力部60と、充電口70と、コンバータ72と、FC(Fuel Cell:燃料電池)システム100とを備える。電力制御装置50とFCシステム100を合わせたものが、燃料電池システムの一例である。
【0017】
モータ12は、例えば、三相交流電動機である。モータ12のロータは、駆動輪14に連結される。モータ12は、FCシステム100により発電された電力とバッテリシステム40により蓄電された電力とのうち少なくとも一方を用いて、電動車両10の走行に用いられる駆動力を駆動輪14に出力する。また、モータ12は、車両の減速時に車両の運動エネルギーを用いて発電する。
【0018】
ブレーキ装置16は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、を備える。ブレーキ装置16は、ブレーキペダルの操作によって発生した油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置16は、上記説明した構成に限らず、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0019】
車両センサ20は、アクセル開度センサと、車速センサと、ブレーキ踏量センサと、を備える。アクセル開度センサは、運転者による加速指示を受け付ける操作子の一例であるアクセルペダルに取り付けられ、アクセルペダルの操作量を検出し、アクセル開度として電力制御装置50に出力する。車速センサは、例えば、各車輪に取り付けられた車輪速センサと速度計算機と、を備え、車輪速センサにより検出された車輪速を統合して車両の速度(車速)を導出し、電力制御装置50及び出力部60に出力する。ブレーキ踏量センサは、ブレーキペダルに取り付けられ、ブレーキペダルの操作量を検出し、ブレーキ踏量として電力制御装置50に出力する。
【0020】
変換器32は、例えば、AC−DC変換器である。変換器32の直流側端子は、直流リンクDLに接続されている。直流リンクDLには、BTVCU34を介してバッテリシステム40が接続されている。変換器32は、モータ12により発電された交流電圧を直流電圧に変換して直流リンクDLに出力する。
【0021】
BTVCU34は、例えば、昇圧型のDC―DCコンバータである。BTVCU34は、バッテリシステム40から供給される直流電圧を昇圧して直流リンクDLに出力する。また、BTVCU34は、モータ12から供給される回生電圧、または、FCシステム100から供給されるFC電圧をバッテリシステム40に出力する。
【0022】
バッテリシステム40は、例えば、バッテリ42と、バッテリセンサ44と、ヒータ46とを備える。
【0023】
バッテリ42は、例えば、リチウムイオン電池などの二次電池である。バッテリ42は、例えば、モータ12またはFCシステム100において発電された電力を蓄え、電動車両10の走行のための放電を行う。
【0024】
バッテリセンサ44は、例えば、電流センサ、電圧センサ、温度センサを備える。バッテリセンサ44は、例えば、バッテリ42の電流値、電圧値、温度を検出する。バッテリセンサ44は、検出した電流値、電圧値、温度等を電力制御装置50に出力する。バッテリセンサ44の温度センサは、「蓄電装置に取り付けられた第2センサ」の一例である。
【0025】
ヒータ46は、バッテリ42に熱が伝わる位置に設けられ、バッテリ42に蓄電された電力を用いてバッテリ42を加熱する。ヒータ46は、例えば、バッテリセンサ44により検出されたバッテリ42の温度が所定温度未満である場合に、バッテリ42を加熱する。
【0026】
FCシステム100は、発電装置の一例である。ここでは、上述した通り電動車両10が燃料電池車両であって、発電装置が燃料電池である例について説明する。FCシステム100は、例えば、燃料ガスに燃料として含まれる水素と、酸化剤としての空気中の酸素とが反応することによって発電する燃料電池である。FCシステム100は、発電した電力を、例えば、変換器32とBTVCU34との間の直流リンクに出力する。これによって、FCシステム100の供給する電力は、変換器32を介してモータ12に供給されたり、BTVCU34を介してバッテリシステム40に供給され、バッテリ42に蓄電されたりする。
【0027】
電力制御装置50は、電動車両10の電力関係についての制御を統括的に行う。なお、詳細については、後述する。
【0028】
出力部60は、例えば、表示部62と、音声出力部64とを備える。表示部62は、電力制御装置50の制御に応じた情報を画像で出力する。音声出力部64は、電力制御装置50の制御に応じた情報を音声で出力する。例えば、表示部62は、電動車両10の走行可能距離(あるいは、走行可能距離に関する情報)を示す画像を表示し、音声出力部64は、電動車両10の走行可能距離(あるいは、走行可能距離に関する情報)を示す音声を出力する。また、表示部62は、車両センサ20により出力される車速等を示す画像を表示してもよい。
【0029】
充電口70は、電動車両10の車体外部に向けて設けられている。充電口70は、充電ケーブル220を介して充放電装置200に接続される。充電ケーブル220は、第1プラグ222と第2プラグ224を備える。第1プラグ222は、充放電装置200に接続され、第2プラグ224は、充電口70に接続される。充放電装置200から供給される電力は、充電ケーブル220を介して充電口70に供給される。
【0030】
充電ケーブル220は、電力ケーブルに付設された信号ケーブルを含む。信号ケーブルは、電動車両10と充放電装置200の間の通信を仲介する。したがって、第1プラグ222と第2プラグ224のそれぞれには、電力コネクタと信号コネクタが設けられている。
【0031】
コンバータ72は、充電口70とバッテリシステム40の間に設けられる。コンバータ72は、充電口70を介して充放電装置200から導入される電流、例えば交流電流を直流電流に変換する。コンバータ72は、変換した直流電流をバッテリシステム40に対して出力する。
【0032】
<FCシステム100>
図2は、実施形態に係るFCシステム100の構成の一例を示す図である。
【0033】
図2に示すように、FCシステム100は、例えば、FCスタック110と、インテイク112と、エアポンプ114と、封止入口弁116と、加湿器118と、第1気液分離器120と、排気再循環ポンプ122と、排水バルブ124と、水素タンク126と、燃料センサ126Aと、水素供給弁128と、水素循環部130と、第2気液分離器132と、温度センサ140と、コンタクタ142と、FCVCU(Fuel Cell Voltage Control Unit)144と、FC制御装置146とを備える。
【0034】
FCスタック110は、複数の燃料電池セルが積層された積層体(図示略)と、この積層体を積層方向の両側から挟み込む一対のエンドプレート(図示略)と、を備える。
【0035】
燃料電池セルは、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、この膜電極接合体を接合方向の両側から挟み込む一対のセパレータと、を備える。
【0036】
膜電極接合体は、アノード触媒およびガス拡散層からなるアノード110Aと、カソード触媒およびガス拡散層からなるカソード110Bと、アノード110Aおよびカソード110Bによって厚さ方向の両側から挟み込まれた陽イオン交換膜などからなる固体高分子電解質膜110Cと、を備える。
【0037】
アノード110Aには、燃料として水素を含む燃料ガスが水素タンク126から供給され、カソード110Bには、酸化剤として酸素を含む酸化剤ガス(反応ガス)である空気がエアポンプ114から供給される。
【0038】
アノード110Aに供給された水素は、アノード触媒上で触媒反応によりイオン化され、水素イオンは、適度に加湿された固体高分子電解質膜110Cを介してカソード110Bへと移動する。水素イオンの移動に伴って発生する電子は直流電流として外部回路(FCVCU144など)に取り出し可能である。
【0039】
アノード110Aからカソード110Bのカソード触媒上へと移動した水素イオンは、カソード110Bに供給された酸素と、カソード触媒上の電子と反応して、水を生成する。
【0040】
エアポンプ114は、FC制御装置146により駆動制御されるモータなどを備え、このモータの駆動力によってインテイク112を介して外部から空気を取り込んで圧縮し、圧縮後の空気をカソード110Bに接続された酸化剤ガス供給路150に送り込む。
【0041】
封止入口弁116は、エアポンプ114と、FCスタック110のカソード110Bに空気を供給可能なカソード供給口110aとを接続する酸化剤ガス供給路150に設けられ、FC制御装置146の制御によって開閉される。
【0042】
加湿器118は、エアポンプ114から酸化剤ガス供給路150に送り込まれた空気を加湿する。より詳細には、加湿器118は、例えば中空糸膜などの水透過膜を備え、エアポンプ114からの空気を、水透過膜を介して接触させることで水分を空気に添加する。
【0043】
第1気液分離器120は、カソード110Bで消費されることなく、酸化剤ガス排出路152に排出されたカソード排ガスと液水とを分離する。第1気液分離器120により液水から分離されたカソード排ガスは、排気再循環路154に流入する。
【0044】
排気再循環ポンプ122は、排気再循環路154に設けられ、第1気液分離器120から排気再循環路154に流入したカソード排ガスを、封止入口弁116からカソード供給口110aに向かい酸化剤ガス供給路150を流通する空気と混合し、カソード110Bに再び供給する。
【0045】
第1気液分離器120によりカソード排ガスから分離された液水は、接続路162を介して、燃料ガス供給路156に設けられた第2気液分離器132に排出される。第2気液分離器132に排出された液水はドレイン管164を介して大気中に排出される。
【0046】
水素タンク126は、水素を圧縮した状態で貯留する。燃料センサ126Aは、例えば、燃料収容部である水素タンク126に取り付けられたセンサであって、水素タンク126に貯留されている水素の残量を検出する。
【0047】
これに限られず、燃料センサ126Aは、燃料供給経路である燃料ガス供給路156に設けられ、水素タンク126からアノード供給口110cに供給された水素量を検出することで、水素タンク126の残量を導出するための情報を検出してもよい。なお、燃料センサ126Aが設置される箇所は、上記箇所に限られず、発電装置であるFCシステム100のどこかで、燃料残量を検出できるところでよい。例えば、燃料センサ126Aは、水素供給弁128の開弁している時間や弁が開く角度などを検出することで、水素タンク126の残量を導出するための情報を検出してもよい。燃料センサ126Aは、「発電装置、燃料収容部、および燃料供給経路のうちのいずれかに取り付けられた第1センサ」の一例である。
【0048】
水素供給弁128は、水素タンク126と、FCスタック110のアノード110Aに水素を供給可能なアノード供給口110cとを接続する燃料ガス供給路156に設けられている。水素供給弁128は、FC制御装置146の制御によって開弁した場合に、水素タンク126に貯留された水素を燃料ガス供給路156に供給する。
【0049】
水素循環部130は、アノード110Aで消費されることなく燃料ガス排出路158に排出されたアノード排ガスを、燃料ガス供給路156に循環させる。
【0050】
第2気液分離器132は、水素循環部130の作用により燃料ガス排出路158から燃料ガス供給路156に循環するアノード排ガスと液水とを分離する。第2気液分離器132は、液水から分離されたアノード排ガスを、FCスタック110のアノード供給口110cに供給する。
【0051】
温度センサ140は、FCスタック110のアノード110Aおよびカソード110Bの温度を検出し、検出信号をFC制御装置146に出力する。
【0052】
コンタクタ142は、FCスタック110のアノード110Aおよびカソード110Bと、FCVCU144との間に設けられている。コンタクタ142は、FC制御装置146からの制御に基づいて、FCスタック110とFCVCU144との間を電気的に接続させ、または遮断する。
【0053】
FCVCU144は、例えば、昇圧型のDC―DCコンバータである。FCVCU144は、コンタクタ142を介したFCスタック110のアノード110Aおよびカソード110Bと電気負荷との間に配置されている。FCVCU144は、電気負荷側に接続された出力端子148の電圧を、FC制御装置146によって決定された目標電圧に昇圧する。FCVCU144は、例えば、FCスタック110から出力された電圧を目標電圧に昇圧して出力端子148に出力する。
【0054】
FC制御装置146は、発電装置の発電制御を行う電力制御部の一部に含まれる。例えば、FC制御装置146は、FCシステム100に要求されるFC要求電力で発電するような発電制御を行う。また、FC制御装置146は、要求される発電量で発電するような発電制御を行う。
【0055】
FC制御装置146は、FCシステム100の暖機が必要であり、且つ、FCシステム100に要求されるFC要求電力が所定以上であると電力制御装置50により判定された場合、FCシステム100の暖機制御を行う。電力制御装置50は、例えば、温度センサ140による検出信号をFC制御装置146から取得し、温度センサ140により検出されたFCスタック110の温度が閾値未満である場合に、FCシステム100の暖機が必要であると判定する。また、電力制御装置50は、FCシステム100の暖機制御を行っている間、温度センサ140による検出信号をFC制御装置146から取得し、温度センサ140により検出されたFCスタック110の温度が閾値以上となった場合に、FCシステム100の暖機制御が完了したと判定する。
【0056】
<電力制御装置50>
図3は、電力制御装置50の構成の一例を示す図である。電力制御装置50は、例えば、処理部52と、記憶部54とを含む。処理部52は、例えば、モータ制御部52Aと、ブレーキ制御部52Bと、電力制御部52Cと、燃料導出部(第1導出部)52Dと、SOC導出部(第2導出部)52Eと、出力制御部52Fと、切替判定部52Gとを備える。モータ制御部52A、ブレーキ制御部52B、電力制御部52C、燃料導出部52D、SOC導出部52E、出力制御部52F、及び切替判定部52Gは、それぞれ別体の制御装置、例えば、モータECU、ブレーキECU、バッテリECUといった制御装置に置き換えられてもよい。
【0057】
処理部52は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0058】
プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性記憶媒体)に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0059】
モータ制御部52Aは、車両センサ20の出力に基づいて、モータ12に要求される駆動力を算出し、算出した駆動力を出力させるようにモータ12を制御する。
【0060】
ブレーキ制御部52Bは、車両センサ20の出力に基づいて、ブレーキ装置16に要求される制動力を算出し、算出した制動力を出力させるようにブレーキ装置16を制御する。
【0061】
電力制御部52Cは、車両センサ20の出力に基づいて、バッテリシステム40とFCシステム100に要求される総要求電力を算出する。例えば、電力制御部52Cは、アクセル開度と車速に基づいてモータ12が出力すべきトルクを算出し、トルクとモータ12の回転数から求められる駆動軸要求電力と、補機などが要求する電力とを合計して総要求電力を算出する。
【0062】
また、電力制御部52Cは、SOC導出部52Eにより導出されたバッテリ42のSOCに基づいてバッテリ42の充放電要求電力を算出する。そして、電力制御部52Cは、総要求電力からバッテリ42の充放電要求電力を減算(放電側を正とする)することで、FCシステム100に要求されるFC要求電力を算出し、算出したFC要求電力に相当する電力をFCシステム100に発電させる。
【0063】
燃料導出部52Dは、燃料センサ126Aの検出結果に基づいて、FCシステム100(発電装置の一例)に供給される燃料の残量を導出する。例えば、燃料導出部52Dは、検出された水素の残量をそのまま燃料の残量として取り扱ってもよい。また、燃料導出部52Dは、検出された供給された水素量等に基づいて、水素タンク126の残量を導出してもよい。
【0064】
SOC導出部52Eは、バッテリセンサ44の出力に基づいて、バッテリ42のSOC(State Of Charge;以下「バッテリ充電率」ともいう)を導出する。例えば、SOC導出部52Eは、検出された充放電電流の積分値に基づいてSOCを算出する。なお、SOC導出部52Eは、SOCを導出する前に、バッテリ42の劣化率と満充電容量を推定し、推定結果に基づいてSOCを導出してもよい。SOC導出部52Eは、導出したSOCを切替判定部52Gに出力する。
【0065】
以下、SOC導出部52EがSOCを導出する例について説明するが、これに限られない。例えば、SOC導出部52Eは、バッテリセンサ44の出力に基づいて、バッテリ42の充電量を導出し、導出した充電量を導出結果として切替判定部52Gに出力してもよい。SOC導出部52Eは、「第2導出部」の一例である。
【0066】
出力制御部52Fは、導出された燃料の残量に基づいて、電動車両10が走行可能な第1走行距離を導出する。例えば、出力制御部52Fは、電動車両10の燃費に基づいて、第1走行距離を導出する。このとき、出力制御部52Fは、電動車両10の現在位置に基づき、走行している地形に応じた重みを燃費に乗算すること等により、第1走行距離を導出してもよい。
【0067】
なお、出力制御部52Fは、導出された燃料残量に基づく実走行距離から、燃料センサ126Aの最大誤差に基づく所定距離を減算した値を、第1走行距離として算出してもよい。燃料センサ126Aの最大誤差は、例えば、20mileであり、予め決められている。こうすることで、燃料センサ126Aとして、検出精度が低い製品を採用した場合であっても、第1走行距離の信頼性を高めることができる。一方、第1走行距離で走行できない状態であったとしても、実際は燃料が残っており、走行可能な場合があり得る。
【0068】
出力制御部52Fは、第1走行距離に関する情報を出力部60に出力させる。例えば、出力制御部52Fは、第1走行距離を表示する画像データを生成し、表示部62に出力する。出力制御部52Fは、第1走行距離を発話する音声データを生成し、音声出力部64に出力する。
【0069】
切替判定部52Gは、切替タイミングに到達したか否かを判定する。切替判定部52Gは、例えば、導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった場合、切替タイミングに到達したと判定する。これに限られず、切替判定部52Gは、燃料の残量に基づいて算出された走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、切替タイミングに到達したと判定してもよい。また、切替判定部52Gは、導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなり、且つ、走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、切替タイミングに到達したと判定してもよい。
【0070】
切替判定部52Gは、切替タイミングに到達した場合、記憶部54の切替フラグ54Aを、オンに書き換える。この切替フラグ54Aがオフの場合、第1走行距離を出力部60に出力している状態であり、切替フラグ54Aがオンの場合、第2走行距離を出力部60に出力している状態である。なお、水素タンク126に燃料の水素が補充された場合、切替判定部52Gは、切替フラグをオフに切り替えてもよい。第1走行距離は、発電装置の燃料の残量に応じた電動車両10の走行可能距離である。第2走行距離は、バッテリ42の充電量あるいは充電率等に応じた電動車両10の走行可能距離である。
【0071】
出力制御部52Fは、切替タイミングに到達した場合、導出されたSOC(または充電量)に基づいて電動車両10が走行可能な第2走行距離を算出し、第1走行距離に替えて、第2走行距離に関する情報を出力部60に出力させる。こうすることにより、第1走行距離で見ると走行できない状態であったとしても、第2走行距離で見ると走行可能な状態であることを、乗員に伝えることができる。このような場合の一例として、例えば、燃料センサ126Aに基づき導出された燃料残量が「空」であり、電動車両10が走行できないかのように見える場合であっても、実際には、バッテリ42の電力を用いて走行可能な場合が含まれる。また、燃料センサ126Aに基づき導出された燃料残量は「空」であっても、実際は燃料が残っており、発電を継続することが可能な場合も含まれる。なお、出力制御部52Fは、バッテリセンサ44により検出されたバッテリ42の電圧値に基づいて、第2走行距離を導出してもよい。
【0072】
なお、出力制御部52Fは、切替フラグ54Aを参照して、切替フラグ54Aがオフの場合は、第1走行距離を出力部60に出力させ、切替フラグ54Aがオンの場合は、第2走行距離を出力部60に出力させるようにしてもよい。こうすることで、メーターに表示される走行距離を変更するたびに切替タイミングに到達しているか否かを判定しなくて済む。
【0073】
出力制御部52Fは、切替タイミングに到達した場合、出力部60から出力される情報が、第1走行距離に関する情報から第2走行距離に関する情報に切り替えられたことを乗員に通知する。こうすることにより、水素タンク126の残量がなくなったため、バッテリシステム40に充電されている電力だけで走行していることを乗員に認識させることができる。
【0074】
また、切替タイミングに到達した場合、電力制御部52Cは、発電装置による発電を継続させる。例えば、電力制御部52Cは、切替タイミングに到達した時から所定時間が経過する(あるいは所定距離を走行する)まで、発電装置の発電を継続させるよう、FC制御装置146に指示する。
【0075】
これに限られず、電力制御部52Cは、切替タイミングに到達したときから、発電装置に供給可能な燃料が無くなるまで、発電装置による発電を継続させてもよい。例えば、電力制御部52Cは、発電装置により発電された電力がバッテリシステム40や直流リンクDLへ出力されなくなった場合や、発電された電力がバッテリシステム40に来なくなった場合、発電装置に供給可能な燃料が無くなったと判定する。導出された燃料の残量が第1閾値(例えば、第1閾値=0)よりも小さくなった場合であっても、実際には燃料が残っている場合がある。このような場合に、電力制御部52Cは、実際に燃料が尽きるまで発電を継続するよう、FC制御装置146に指示する。
【0076】
例えば、電力制御部52Cは、切替タイミングに到達する前から、最大効率となる発電電力で発電するよう、FC制御装置146に指示する。そして、切替タイミングに到達した場合であっても、最大効率となる発電電力での発電を継続するよう、FC制御装置146に指示する。こうすることで、水素タンク126の残量がわずかであっても、発電効率を落とすことなく最後まで使いきることができ、余剰分はバッテリ42に充電することができる。よって、電動車両10の走行距離を延ばすことができる。
【0077】
<FCシステムの出力制御>
図4は、車両走行時において、FCシステム100に要求されるFC要求電力が比較的小さい場合のバッテリ42のSOCおよびFCシステム100から出力される電力(「FC出力」)の一例を示すグラフである。図4に示す例では、FCシステム100は、バッテリ42のSOCの初期値が閾値X1未満である場合には、バッテリ42のSOCを上昇させるように、FCシステム100からバッテリ42に電力を出力する。この場合、FCシステム100は、例えば、発電効率が最大となる発電量で発電を行い、発電された電力をバッテリ42に出力する。
【0078】
次に、FCシステム100は、バッテリ42のSOCが閾値X1に達した場合、FCシステム100からバッテリ42に出力される電力を制限し、バッテリ42のSOCを減少させる。次に、FCシステム100は、バッテリ42のSOCが閾値X2に達した場合、FCシステム100からバッテリ42に出力される電力を制限前の状態に戻し、バッテリ42のSOCを上昇させる。この結果、バッテリ42のSOCが閾値X2から閾値X1まで上昇する制御と、バッテリ42のSOCが閾値X1から閾値X2まで減少する制御とが繰り返される。
【0079】
図5は、車両走行時において、FCシステム100に要求されるFC要求電力が比較的大きい場合のバッテリ42のSOCおよびFCシステム100から出力される電力の一例を示すグラフである。図5に示す例では、FCシステム100は、バッテリ42に蓄電された電力を用いることなく、FCシステム100において発電された電力を用いて、電動車両10の走行に用いられる駆動力をモータ12から駆動輪14に出力する。この結果、バッテリ42のSOCが維持され、FCシステム100に要求されるFC要求電力に応じてFCシステム100において発電が行われ、発電された電力がモータ12に出力される。
【0080】
図6は、時間経過に伴う走行距離の変化の一例を示す図である。横軸は時間を、縦軸は走行可能距離等を表す。左側の縦軸には、燃料センサ126Aの燃料残量で走行可能な距離を示す「実残走行距離」が記載されている。右側の縦軸には、「実残走行距離」に燃料センサ126Aの誤差分を減算した「第1走行距離」と、バッテリ42のSOCに基づく「第2走行距離」が記載されている。ここでは、SOC制御中央値での残走行距離が30mileで、燃料センサ126Aの最大誤差が20mileであるとする。
【0081】
時刻T1は、切替タイミングに到達したときであり、時刻T2は、水素タンク126の水素が終了したときである。要求電力は、時刻T1まで、固定値であってもよく、変動値であってもよく、任意に設定可能である。一方、要求電力は、時刻T1以降、最大効率で発電可能な電力量に固定される。切替フラグは、時刻T1まではオフであり、時刻T1以降でオンとなる。
【0082】
時刻T1までの期間において、電動車両10は、高低差の地形を、一定の速度で走行している状態であるとする。この時刻T1までの期間において出力部60に出力される走行距離は、水素タンク126の残量に基づいて導出される第1走行距離である。時刻T1までの期間において、第1走行距離は、時間の経過に伴い、減少する。
【0083】
時刻T1からの期間において出力部60に出力される走行距離は、バッテリ42のSOCに基づいて導出される第2走行距離である。時刻T1〜T2の期間において、第2走行距離は、負荷に応じて異なる。
【0084】
Case1は、負荷が発電量よりも大きい場合であり、Case2は、負荷が発電量と同一の場合であり、Case3は、負荷が発電量よりも小さい場合である。Case1において、発電電力だけでなく、バッテリ42の電力も併用して、電動車両10が走行している。このため、第2走行距離が時間の経過に伴い減少する。Case2において、電動車両10は、発電された電力だけでは走行している。そのため、バッテリ42の電力が減少せず、第2走行距離が一定である。Case3では、発電された電力は、電動車両10に出力されるとともに、余剰分がバッテリ42に蓄電される。そのため、バッテリ42の電力が増加し、第2走行距離が時間の経過に伴い増加する。
【0085】
時刻T2からの期間において、発電は停止されるため、バッテリ42の電力が徐々に減少し、第2走行距離が時間の経過に伴い減少する。
【0086】
[車両システムの処理フロー]
以下、第1実施形態に係る車両システム1の制御コンピュータである電力制御装置50における一連の処理の流れについてフローチャートを用いて説明する。図7、8は、電力制御装置50により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図7に示すフローチャートは、例えば、電動車両10が走行を開始した場合に実行される。
【0087】
まず、電力制御装置50は、通常の発電を実行する(ステップS101)。例えば、電力制御部52Cは、最大効率となる発電電力で発電するよう、FC制御装置146に指示する。次いで、燃料導出部52Dは、燃料センサ126Aの検出結果に基づいて、発電装置に供給される燃料の残量を導出する(ステップS103)。
【0088】
出力制御部52Fは、ステップS103において導出された燃料の残量に基づいて、電動車両10が走行可能な第1走行距離を導出し、出力部60に出力させる(ステップS105)。そして、切替判定部52Gは、例えば、導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなったかを判定する(ステップS107)。ここで、第1閾値は、例えば走行距離30mileに相当する燃料量である。なお、ステップS107の処理は、切替タイミングに到達したか否かを判定するものであり、第1走行距離が第2閾値よりも小さくなったか否かを判定する処理であってもよい。ここで、第2閾値は、例えば30mileである。
【0089】
導出された燃料の残量が第1閾値以上である場合、電力制御装置50は、ステップS101に戻って処理を繰り返す。一方、ステップS107において、導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった場合、切替判定部52Gは、切替フラグをオンにする(ステップS109)。そして、図8の処理に移行する。
【0090】
図8に示すように、電力制御部52Cは、発電量を固定して(例えば、最大効率となる発電量)、発電を継続するようFC制御装置146に指示する(ステップS121)。SOC導出部52Eは、バッテリセンサ44の出力に基づいて、バッテリ42のSOCを導出する(ステップS123)。導出されたSOCに基づいて電動車両10が走行可能な第2走行距離を算出し、第1走行距離に替えて、第2走行距離に関する情報を出力部60に出力させる(ステップS125)。
【0091】
次いで、電力制御部52Cは、発電を終了するか否かを判定する(ステップS127)。発電を終了しないと判定された場合、電力制御部52Cは、ステップS121に戻って、処理を繰り返す。一方、切替タイミングに到達した時から所定時間が経過(あるいは所定距離を走行)した場合、あるいは、発電装置に供給可能な燃料が無くなった場合、電力制御部52Cは、発電を終了すると判定する。そして、電力制御部52Cは、発電を終了するようFC制御装置146に指示する(ステップS129)。その後、電動車両10は、バッテリ42の電力だけで走行する純EV走行に移行する(ステップS131)。
【0092】
以上説明したように、実施形態に係る車両システムによれば、車両に搭載される車両システムであって、発電装置と、前記発電装置の発電制御を行う電力制御部と、前記発電装置、燃料収容部、および燃料供給経路のうちいずれかに取り付けられた第1センサの検出結果に基づいて、前記発電装置に供給される燃料の残量を導出する第1導出部と、前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置と、前記蓄電装置に取り付けられた第2センサの検出結果に基づいて、前記蓄電装置の充電量または充電率を導出する第2導出部と、前記導出された燃料の残量に基づいて前記車両が走行可能な第1走行距離を算出し、前記第1走行距離に関する情報を出力部に出力させる出力制御部と、を備え、前記導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった場合、または前記燃料の残量に基づいて算出された前記第1走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、前記電力制御部は、前記発電装置に発電を継続させ、前記出力制御部は、前記導出された充電量または充電率に基づいて前記車両が走行可能な第2走行距離を算出し、前記第2走行距離に関する情報を出力部に出力させることにより、発電装置の燃料の残量や蓄電装置の充電残量を考慮して、走行可能距離を乗員に通知することができる。
【0093】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
車両に搭載される発電装置の発電を制御し、
前記発電装置、燃料収容部、および燃料供給経路のうちいずれかに取り付けられた第1センサの検出結果に基づいて、前記発電装置に供給される燃料の残量を導出し、
前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置に取り付けられた第2センサの検出結果に基づいて、前記蓄電装置の充電量または充電率を導出し、
前記導出された燃料の残量に基づいて前記車両が走行可能な第1走行距離を算出し、
前記第1走行距離に関する情報を出力部に出力し、
前記導出された燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった場合、または前記燃料の残量に基づいて算出された前記第1走行距離が第2閾値よりも小さくなった場合、
前記発電装置の発電を継続するよう制御し、
前記導出された充電量または充電率に基づいて前記車両が走行可能な第2走行距離を算出し、前記第2走行距離に関する情報を出力部に出力する、
ように構成されている、車両システム。
【0094】
なお、上述した切替タイミングは、燃料の残量がわずかになった場合に限られない。例えば、第1閾値や第2閾値は、0より大きい値であってよい。また、切替タイミングは、燃料の残量が第1閾値よりも小さくなった(あるいは第1走行距離が第2閾値よりも小さくなった)場合であって、且つ、SOCが第3閾値よりも小さくなった(あるいは第2走行距離が第4閾値よりも小さくなった)場合であってもよい。こうすることで、例えば、第3閾値をバッテリ42のSOC中央値(例えば、50%)とすることにより、第1走行距離から第2走行距離に切り替えるときに、出力する走行距離がジャンプしないようにすることができる。
【0095】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、発電装置の一例が、FCシステム100のような燃料電池である例について説明したが、発電装置はこの例に限られない。例えば、電動車両10には、走行用バッテリの充電電力に加え、充電電力の不足時にはガソリンエンジンを用いて発電した電力で走行可能な車両(例えば、プラグインハイブリッドカー)も含まれる。この場合、発電装置には、ガソリンエンジンが含まれる。
【符号の説明】
【0096】
10…電動車両、12…モータ、14…駆動輪、16…ブレーキ装置、20…車両センサ、32…変換器、34…BTVCU、40…バッテリシステム、42…バッテリ、44…バッテリセンサ(第2センサ)、46…ヒータ、50…電力制御装置、52A…モータ制御部、52B…ブレーキ制御部、52C…電力制御部、52D…燃料導出部(第1導出部)、52E…SOC導出部(第2導出部)、52F…出力制御部、52G…切替判定部、60…出力部、62…表示部、64…音声出力部、70…充電口、72…コンバータ、100…FCシステム、126…水素タンク、126A…燃料センサ(第1センサ)、200…充放電装置、220…充電ケーブル、222…第1プラグ、224…第2プラグ。
図1
図2
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図7
図8