特許第6976314号(P6976314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6976314商用車をハンドオーバするためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976314
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】商用車をハンドオーバするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20211125BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20211125BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   G08G1/16 A
   G08G1/00 X
   G08G1/09 F
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-513051(P2019-513051)
(86)(22)【出願日】2017年8月14日
(65)【公表番号】特表2019-530078(P2019-530078A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2017070642
(87)【国際公開番号】WO2018046253
(87)【国際公開日】20180315
【審査請求日】2019年4月8日
(31)【優先権主張番号】102016116858.0
(32)【優先日】2016年9月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フーバ ネーメト
(72)【発明者】
【氏名】チャバ ホルヴァート
【審査官】 ▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/046979(WO,A1)
【文献】 特開平09−222922(JP,A)
【文献】 特開2015−056134(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/151291(WO,A1)
【文献】 特開平10−230843(JP,A)
【文献】 特開2015−133050(JP,A)
【文献】 特開2016−031660(JP,A)
【文献】 特開2015−210595(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102014224124(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0052312(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
B60W 30/00 − 60/00
G05D 1/00 − 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車(10)を限定範囲内で自律的に動作させるために、運転者(12)と管理システム(200)との間で前記商用車(10)をハンドオーバするためのシステムにおいて、前記システムは、
前記運転者が前記商用車のハンドオーバを要求することを可能にするように構成された車両インタフェース(110)と、
前記商用車の安全状態を確認するように構成された安全性モジュール(120)と、
前記運転者がハンドオーバを要求し、前記安全性モジュールが安全状態を確認した場合に、前記運転者と前記管理システムとの間で前記車両をハンドオーバするように構成された制御モジュール(130)と、
を前記商用車(10)に実装可能であり、
前記制御モジュール(130)は、前記限定範囲の他の加入者の少なくとも1つのインタフェースを使用して、当該他の加入者に前記商用車(10)を少なくとも一時的にハンドオーバするように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記管理システムは、通信インタフェースを有し、
前記車両インタフェース(110)はさらに、前記通信インタフェースに接続され、前記限定範囲のインフラストラクチャを検出するように構成されており、
前記安全性モジュール(120)は、前記インフラストラクチャが自律的なオペレーションモードを制御することが可能であるどうかを評価するように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記安全性モジュール(120)は、前記安全状態が確認された場合、および/または、前記インフラストラクチャが十分であると評価された場合にのみ、前記ハンドオーバを実施するように構成されている、
請求項1または2記載のシステム。
【請求項4】
前記車両インタフェース(110)は、前記車両(10)と共に移動されるように前記商用車内または前記商用車上に設置可能またはインストール可能である物理インタフェースまたはソフトウェアインタフェースを含む、
請求項1から3までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項5】
前記車両インタフェース(110)は、物理インタフェースおよびソフトウェアインタフェースを含み、
前記制御モジュール(130)は、前記ハンドオーバを要求するために前記運転者(12)によって前記物理インタフェースおよび前記ソフトウェアインタフェースが操作された場合にのみ、前記車両(10)をハンドオーバするように構成されている、
請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記車両インタフェース(110)は、以下の要素のうちの少なくとも1つ、すなわち、スイッチ、ボタン、レバー、ペダル、情報伝達手段のうちの少なくとも1つを含み、
前記要素は、物理的に実装されている、または、ソフトウェアによって実装されている、
請求項4または5記載のシステム。
【請求項7】
前記車両インタフェース(110)はさらに、前記限定範囲内に他の活動主体が存在するかどうかの問い合わせを実施するように構成されており、
前記制御モジュール(130)はさらに、前記運転者(12)から前記管理システム(200)に前記車両(10)をハンドオーバする際に、前記他の活動主体の存在またはアクションを考慮するように構成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項8】
前記車両インタフェース(110)はさらに、前記運転者(12)または他の加入者による承認を問い合わせるように構成されており、
前記制御モジュール(130)は、前記車両インタフェース(110)において承認が実施された場合にのみ、前記ハンドオーバを実施するように構成されている、
請求項1から7までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項9】
前記制御モジュール(130)は、
前記運転者(12)が前記商用車(10)の運転室内に存在することを確認し、
前記運転者(12)が前記運転室内に物理的に存在する場合に、前記管理システム(200)から前記運転者に前記商用車(10)をハンドオーバする
ように構成されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載のシステムを有する商用車(10)。
【請求項11】
商用車に限定範囲内で自律的にオペレーションを行わせるために、運転者(12)と管理システム(200)との間で前記商用車(10)をハンドオーバするための方法において、
前記商用車(10)の車両インタフェース(110)によって、前記運転者(12)と前記管理システム(200)との間で前記商用車(10)をハンドオーバするように要求すること(S110)と、
前記商用車(10)の安全性モジュール(120)によって、前記商用車(10)の安全状態を確認すること(S120)と、
前記商用車(10)の制御モジュール(130)によって、前記運転者(12)がハンドオーバを要求し、安全状態が確認された場合に、前記運転者(12)と前記管理システム(200)との間で前記商用車(10)をハンドオーバすることと
を含み、
前記商用車(10)は、前記限定範囲の他の加入者の少なくとも1つのインタフェースを使用して、当該他の加入者に、少なくとも一時的にハンドオーバする、
方法。
【請求項12】
データ処理ユニット上で実行された場合に、請求項11記載の方法を実施するように構成されたソフトウェアが格納されている、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者と管理システムとの間で商用車をハンドオーバするためのシステムおよび方法に関し、特に、自律的なオペレーションのための商用車のハンドオーバ/テイクオーバに関する。
【背景技術】
【0002】
自律的に動作される商用車に関する関心がますます高まっているが、これに対応するシステムは、技術的に非常に複雑である。差し当たり、自律的なオペレーションを運用することができるようにするためには、そのようなシステムをまず始めに限定範囲(例えば荷役場など)に適用することが可能であろう。限定範囲においては、例えば、発生するおそれのある故障の数および種類を最小限に抑えることができるし、低速の商用車を用いてシステムを動作させることができるからである。
【0003】
自律モードでの安全性を保証し、さらには継続的な作業を可能にするためには、責任の所在を常に明確に規定することが重要であると共に、人間の運転者と、車両に関する制御をテイクオーバするシステム(すなわち機械)または他の人間との間における、十分に定義されたハンドオーバおよびテイクオーバプロセスが重要である。
【0004】
車両の自律的なオペレーションに対する公知の解決策は、実質的に乗用車に関するものであって、商用車および商用車に関連する特殊性に関するものではない。例えば、独国特許出願公開第102015201209号明細書(DE 10 2015 201 209)には、乗用車のためのパーキングサービス(バレーパーキング)を実施する制御ユニットが開示されている。米国特許出願公開第2016/200326号明細書(US 2016/200326)はさらに、車両を自律モードに切り替えることができるかどうかを判断するために、まず始めに車両の状態がチェックされ、運転者がチェックリストを実行するという自律的な運転方式を記載している。さらに、米国特許出願公開第2009/248231号明細書(US 2009/248231)は、車両のための手動モードと自律モードとの間で切り替えることができるシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102015201209号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/200326号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/248231号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの従来技術は、乗用車にとっては利点を提供するが、商用車にはほとんど関係がない(バレーパーキングなど)特別なシステムであるか、または、運転者の存在を必要とするものであり、したがって、非効率的である。さらに、これらの従来技術は、商用車によって特定のアクションを実施すること、または、運転者の貴重な作業時間を節約可能にすることを可能にするものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、上に挙げた課題の少なくとも一部を解決する、商用車を動作させるためのシステムが必要とされている。このことは、請求項1または請求項13記載の、商用車をハンドオーバするためのシステムおよび方法と、請求項11記載の商用車と、請求項12記載の管理システムとによって達成される。従属請求項は、さらなる有利な実施形態を定義する。
【0008】
本発明は、商用車を限定範囲内で自律的に動作させることを可能にする、運転者と管理システムとの間で商用車をハンドオーバするためのシステムに関する。本システムは、車両インタフェースと、安全性モジュールと、制御モジュールとを含む。車両インタフェースは、運転者が商用車のハンドオーバを要求することを可能にするように構成されている。安全性モジュールは、商用車の安全状態を確認するように構成されている。制御モジュールは、運転者がハンドオーバを要求し、安全性モジュールが安全状態を確認した場合に、運転者と管理システムとの間で車両をハンドオーバするように構成されている。
【0009】
本発明の枠内において、限定範囲は、例えば、当該領域での安全方針を励行することを可能にし、商用車によるまたは商用車における安全な自律的なアクションを可能にするための、自由な立ち入り/乗り入れが不可能であって立ち入り制御が実施される、任意の領域を含むことができる。限定範囲とは、例えば、商用車が積載される場所、または商用車が積荷の荷役のために使用される場所である、荷積み場および荷降ろし場、ホール、荷役場、フェリー、航空機である。商用車の安全状態とは、例えば、人間または機械に対する危険が及ぼされることなく商用車が無期限に留まることができる状態を意味すると理解することができる。そのような状態は、一般的に限定範囲の性質に依存している。安全状態の例は、休止状態、前述した領域内の駐車位置、車両の特定の向き、停止中の駆動装置、または、それらの組み合わせである。
【0010】
管理システムは、例えば通信インタフェースを有することができ、車両インタフェースを、任意選択的に、通信インタフェースに接続され、限定範囲のインフラストラクチャを検出するように構成することができる。その場合、安全性モジュールは、任意選択的に、インフラストラクチャが自律的なオペレーションモードを制御することが可能であるかどうかを評価することができる。インフラストラクチャの問い合わせによって、限定範囲の最低基準が満たされている場合にのみ商用車をハンドオーバすることが可能となるということを保証することができる。そのような基準は、例えば、商用車と管理システムとの間の通信接続が十分であることを含むことができるが、特定の安全性規定が存在することを含むこともでき、これらを、必要に応じて問い合わせることができる。
【0011】
任意選択的に、安全性モジュールを、安全状態が確認された場合、および/または、インフラストラクチャが十分であると評価された場合にのみ、ハンドオーバを実施するように構成することができる。
【0012】
任意選択的に、車両インタフェースは、車両と共に移動されるように商用車内または商用車上に設置可能またはインストール可能(ソフトウェアインタフェースの場合)である物理インタフェースおよび/またはソフトウェアインタフェースを含むことができる。
【0013】
車両インタフェースが、物理インタフェースとしてもソフトウェアインタフェースとしても存在する場合には、制御モジュールを、ハンドオーバを要求するために運転者によって物理インタフェースおよびソフトウェアインタフェースの両方が操作された場合にのみ、車両をハンドオーバするように構成することができる。
【0014】
任意選択的に、車両インタフェースは、以下の要素のうちの少なくとも1つ、すなわち、スイッチ、ノブ、レバー、ペダル、情報伝達手段のうちの少なくとも1つを含むことができ、これらの要素は、物理的に存在するか、または、ソフトウェアによって実装されることができる。
【0015】
任意選択的に、車両インタフェースをさらに、限定範囲内に他の(1つまたは複数の)活動主体が存在するかどうかの問い合わせを実施するように構成することができる。この場合、制御モジュールをさらに、運転者から管理システムに車両をハンドオーバする際に、他の活動主体の存在またはアクションを考慮するように構成することができる。他の活動主体とは、例えば、限定範囲内で活動を実施するために限定範囲内に滞在する資格のある、他の自律的に動作される車両、機械、または、人間とすることができる。
【0016】
任意選択的に、制御モジュールをさらに、限定範囲の他の加入者の少なくとも1つのインタフェースを使用して、当該他の加入者に商業車を少なくとも一時的にハンドオーバするように構成することができる。他の加入者とは、例えば、限定範囲内に滞在しており、限定範囲内で所定の行動(例えば操車作業または荷役作業)を実施する人間とすることができ、なお、この所定の行動には、例えば商用車の一時的なテイクオーバが含まれる。しかしながら、他の加入者は、必ずしも人間である必要はなく、必要に応じて実行されるべき特別な機能(例えば特定の駐車位置に到着させる機能)を実行する、管理システムのサブシステムとすることも可能である。
【0017】
任意選択的に、車両インタフェースをさらに、運転者または他の加入者による承認を問い合わせるように構成することができ、制御モジュールを、車両インタフェースにおいて承認が実施された場合にのみ、ハンドオーバを実施するように構成することができる。ここに記載されたハンドオーバプロセスにおいては、例えば、作業者、または、他の一時的に行動するオペレータ、または、運転者自身が、所望のハンドオーバを(仮想または実際の)スイッチインタフェースにおいて承認することができる。承認は、例えば特別なコードを介して実施することができる。例えば、ハンドオーバしようとする人間は、コードをテキスト形式で、または、バーコードとして、車両の入力部にグラフィカルに入力して、ハンドオーバを承認することができる。このために、モバイルデバイスは、車両の視覚センサによって承認として読み取られるコードを生成することができる。これにより、ハンドオーバを実施しようとする意図を、商用車自体によって、および/または、限定範囲の管理システムもしくは操作者によって、(自動的にまたは手動で)確実に承認することが可能となる。
【0018】
任意選択的に、制御モジュールをさらに、(例えば特別なセンサによって、または車両インタフェースを介した問い合わせによって)運転者が商用車の運転室内に存在することを確認するように構成することができる。本システムは、運転者が運転室内に物理的に存在する場合に、管理システムから運転者に商用車をハンドオーバすることができる。特に、運転者が運転室内に存在しない場合にはハンドオーバを実施する必要はない。
【0019】
本発明は、上述したようなシステムを有する商用車にも関する。
【0020】
本発明はさらに、少なくとも以下の特徴、すなわち、通信インタフェースと制御ユニットとを含む、上述した管理システムにも関する。通信インタフェースは、商用車を運転者からテイクオーバすること、または、商用車を運転者にハンドオーバすることが可能となるように、上述したシステムとの接続を形成するように構成されている。制御ユニットは、商用車に限定範囲内で自律的にオペレーションを行わせるように構成されている。
【0021】
管理システムは、複数の車両の自律的な動作を調整する中央制御装置である必要はない。管理システムは、差し当たり、ハンドオーバされた1台の車両に対してのみ責任を負うので、運転者は、もはや責任を負う必要がない。管理システムは、商用車の運転者の代わりとなる機械である。しかしながら、管理システムは、複数の自律的な車両を調整するために他のシステムと通信することができる。管理システムが、複数の商用車を同時に管理し、全ての自律的なアクションの調整を引き受けることも可能である−が、必須ではない−。
【0022】
本発明は、商用車を限定範囲内で自律的に動作させるために、運転者と管理システムとの間で商用車をハンドオーバするための方法にも関する。本方法は、以下のステップ、すなわち、運転者と管理システムとの間で商用車をハンドオーバするように要求するステップと、商用車の安全状態を確認するステップと、運転者がハンドオーバを要求し、安全状態が確認された場合に、運転者と管理システムとの間で商用車をハンドオーバするステップとを含む。
【0023】
上記の方法を、ソフトウェアまたはコンピュータプログラム製品における命令の形態で実装または格納することもでき、格納された命令は、本方法がプロセッサ(例えば車両制御ユニットの1つ)上で実行された場合に、本方法によるステップを実施することができる。したがって、本発明は、処理ユニットによって実行された場合に、上述した方法のうちの1つを実施するように構成されたソフトウェアコード(ソフトウェア命令)が格納されている、コンピュータプログラム製品にも関する。処理ユニットは、ソフトウェアコードを実行することができる対応するマイクロプロセッサを有する任意の形態のコンピュータまたは制御ユニットとすることができる。
【0024】
本発明は、自律的な走行システムの範囲内で、ハンドオーバ/ハンドオーバプロセスと、(特に商用車のための)対応するインタフェースとを使用し、これによって商用車を限定範囲の内部で自律的に動作させることを可能にすることにより、冒頭に述べた課題の少なくとも一部を解決する。特に、車両のオペレーションモードの制御を引き受ける物理インタフェースおよび/または仮想インタフェースが使用される。
【0025】
本実施例は、公知のシステムと比較して複数の利点を提供する。
【0026】
公知の解決策とは対照的に、本実施例は、中央制御装置を必要とせず、それでもなお、ハンドオーバおよびテイクオーバにおける責任の所在が常に明確に規定されていることを常に保証する。特に、本発明によれば、自律的な作業方式の間に運転者が車両内に存在することは必須ではない−し、望まれないことも多い−。本実施例は、管理システムから商用車の運転者への明確な返却プロセスを定義する。
【0027】
限定範囲内で本システムを使用する利点は、自律的な走行機能のための限定範囲によって、商用車の安全なオペレーションのために十分なインフラストラクチャおよび技術的設備を保証することができるということにある。本実施例によれば、商用車が、自律的なオペレーションを支持するための限定範囲に乗り入れた場合に、自律モードがトランスペアレントに検出され、つまり、車両に対する責任が常に一義的に割り当てられることを永続的に保証する方法およびインタフェースを使用して検出される。
【0028】
本発明の実施例は、以下の詳細な説明と、複数の異なる実施例の添付の図面とからより良好に理解される。ただし、これらの実施例は、本開示を特定の実施形態に限定するものとして解釈されるべきではなく、説明および理解のために使用されるものに過ぎないとして理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】運転者と管理システムとの間で商用車をハンドオーバするためのシステムの1つの実施例を示す図である。
図2】運転者と管理システムとの間で商用車をハンドオーバするための方法のフローチャートである。
図3】実施例によるシステムを使用して自律的な動作のために商用車をハンドオーバ/テイクオーバする場合におけるプロセス制御に関する状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、運転者と管理システム200との間で商用車10をハンドオーバするために適したシステムを示し、管理システム200は、商用車10を限定範囲内で自律的に動作させることが可能である。本システムは、車両インタフェース110と、安全性モジュール120と、制御モジュール130とを含む。車両インタフェース110は、運転者が商用車10のハンドオーバを要求することを可能にする。安全性モジュール120は、商用車10の安全状態を確認することが可能であり、制御モジュール130は、運転者がハンドオーバを要求し、安全性モジュールが安全状態を確認した場合に、運転者と管理システムとの間で車両10をハンドオーバするように構成されている。
【0031】
本システムは、例えば商用車10において、ハードウェアコンポーネントまたはソフトウェアとして制御ユニットの内部に実装することができる。さらに、管理システム200を他の加入者と結合させることができる。例えば第1の加入者は、管理システム200と通信しているインタフェース210を有することができ、このインタフェース210を、物理インタフェースとして、または仮想インタフェースとしても構成することができる。他の加入者は、他の物理インタフェースまたは仮想インタフェース220を含むことができ、これらの他の物理インタフェースまたは仮想インタフェース220もまた、管理システム200に接続されている。管理システム200自体がインタフェースを有することも可能である。
【0032】
これらのインタフェースを介して例えば人間のオペレータ/ユーザは、管理システム200または他のコンポーネントと通信することができ、車両10のハンドオーバに対する明示的な承認を与えることができる。また、車両インタフェース110は、管理システム200と通信するように構成されているだけでなく、他の加入者の他のインタフェース210,220と情報を交換することも可能である。これに基づいて安全性モジュール120は、商用車10が安全状態にあるかどうか、ハンドオーバを実施することが可能であるかどうかを確認することができる。これに関して、安全性の承認を得るために、安全性モジュール120が他の加入者210,220と直接的に通信することが可能である。
【0033】
図1は、商用車10を管理システム200にハンドオーバするための組み合わされたシステムに関する概略的なスキームのみを示していることを理解すべきである。破線は、対応する情報交換を具体的なシステムにおいてこれらの破線に沿って実施可能となるように任意選択的に設けられている接続に関連している。しかしながら、これらの接続がどの程度の範囲で形成されるかは、具体的な状況に依存している。例えばいくつかの用途においては、仮想(コンピュータ化されたまたはディスプレイベースの)制御インタフェースを利用することが有用であり得るか、または、利用しないことも有用であり得る。また、制御プロセスを中央制御装置によって引き受けてもよく、または、引き受けなくてもよい。
【0034】
図2は、商用車10に限定範囲内で自律的にオペレーションを行わせるために、運転者と管理システム200との間で商用車10をハンドオーバするための方法のフローチャートを示す。本方法は、以下のステップ、すなわち、運転者と管理システム200との間で商用車をハンドオーバするように要求するステップS110と、商用車10の安全状態を確認するステップS120と、運転者がハンドオーバを要求し、安全状態が確認された場合に、運転者と管理システム200との間で商用車10をハンドオーバするステップS130とを含む。
【0035】
本方法または本方法の少なくとも一部を、コンピュータによって実装することもでき、すなわち、プロセッサ上で実行された場合に本方法のステップを実行することが可能である、記憶媒体に格納された命令によって、本方法または本方法の少なくとも一部を実施することができる。命令は、典型的には(プロセッサを有する)制御ユニットの内部または周辺の種々異なる媒体上に種々異なるように格納することができる1つまたは複数の命令を含み、これらの命令は、読み取られて制御ユニットにより実行された場合に、本発明に係る方法を実施するために必要とされる機能およびオペレーションを制御ユニットに実行させるように構成されている。
【0036】
図3は、商用車10を限定範囲内で自律的に動作させるためのシステムを実施するための状態図を示す。図示の場合においては、1つまたは複数の加入者21が、車両10における種々異なるオペレーション(荷積みまたは荷降ろし、洗浄、整備、補給など)を実施することができる。この状態図は、商用車10の運転者12と限定範囲の(仮想または現実の)管理者20との間のハンドオーバおよびテイクオーバを記述したものであり、ここでは、加入者12,21と車両10との間の相互作用が図示されている。
【0037】
状態図は、物理インタフェース(スイッチ、ノブ、レバーなど)と、仮想インタフェース(例えばモバイルアプリケーション)とが商用車10に設けられていることを仮定しており、その一方で、他の加入者20,21(例えば限定範囲の管理者または作業者)は、例えばコンピュータ、モバイルデバイス、タブレットなどのような仮想制御インタフェースを介してシステムの挙動に影響を与えることが可能である。しかしながら、これらのインタフェースは、例としてのみ理解されるべきであり、必ずしもそのように構成される必要はない。例えば、作業者21が商用車10におけるアクションを実施してもよく、その場合には、この作業者21が、商用車10に対して責任を負うことができ、または負うべきである。
【0038】
実施例によれば、限定範囲のインフラストラクチャは、全ての活動主体12,20,21と商用車10とが相互に接続されるように(例えばインタネットへの)無線通信を提供する。商用車10は、対応するモードにセットされ、このモードに維持される。本発明の枠内においては、作業者21によって実施される「オペレーション」は、可能性のある全ての商用車10(トラック、車両の組み合わせ、バス、農耕車など)と、限定範囲内で実施される可能性のある全ての対応するオペレーションとを指すことができる。
【0039】
詳細には、図3の状態図は、以下の状況を示す:
【0040】
初期状態においては、商用車10と、運転者12と、限定範囲の管理者20と、他の加入者21とが相互に分離されている。例えば運転者12は、限定範囲に接近すると、接続の問い合わせを実施することができる。限定範囲の検出に基づいて(状態310)、車両10および運転者12の両方を限定範囲に接続することができる(状態311)。運転者と車両との組み合わせを1つのユニットとして限定範囲に接続することも可能である(状態312)。
【0041】
これに応答して、接続を確認することができる(状態320)。任意選択的に、ハンドオーバプロセスを継続するために、管理システム200におけるインタフェースが管理者20によって操作されなければならない(例えばボタンが押されなければならない)ようにすることが可能である(状態330)。その後、安全性のチェックを実施することができ、現在のインフラストラクチャによって限定範囲内での自律的なオペレーションが可能であるかどうかを確認することができる(状態332)。これに続いて、待機状態を続けることができ(状態334)、または、車両のハンドオーバに関する問い合わせを実施することができる(状態336)。これに続いて、車両のハンドオーバが実施される(状態340)。
【0042】
任意選択的に、(ドッキング)ステーションが空いていない可能性があるので、待機位置が必要とされる場合がある(状態341)。そうでない場合には、到着すべき(ドッキング)ステーションを指定することができる(状態342)。再び、限定範囲内の任意選択の待機位置につくことができる(状態346)。自律的なオペレーションを即座に開始することも可能である(状態344)。これに続いて、商用車は、限定範囲内を自律的に移動し(状態350)、所望のステーションへのドッキングが実施され(状態352)、このドッキングは、状態354において完了する。
【0043】
その後、車両が、ステーションでのアクション/オペレーションに対する準備ができていることの承認が実施され(状態356)、オペレーションが実行される(状態360)。オペレーションが完了すると(状態362)、限定範囲を通過する車両10の(自律的な)移動の開始(状態370)が、再び実施される(状態372)。状態374において商用車は、最後の目標位置に到着し、運転者12を待つ(状態380)。
【0044】
その後、運転者12がブレーキペダルを操作したかどうか、および、運転者12が運転室内に存在するかどうか(状態384)をチェックすることができる(状態382)。そうであれば、ハンドオーバボタンを押すことができ(状態386)、それに続いて、管理システム200がスイッチを解除し(状態390)、それに続いて、運転者12は、分離スイッチを操作することができ(状態392)、管理システムから車両が分離される(状態395)。
【0045】
手動モードと自律モードとの間の図示されたテイクオーバ/ハンドオーバプロセスは、管理システム200によって、または、車両の安全状態をチェックするサブモジュールによって、実施することができる。これによって、車両10が常に安全状態にあることが常に保証されるべきである。
【0046】
任意選択的に、ハンドオーバおよびテイクオーバプロセスを監視するために、または、積極的にこれに参加するために、限定範囲に関する管理者20(人間または機械も)を利用することができる。この場合には、手動モードと自律モードとの間の切り替えを、安全状態が存在することに基づいて実施するだけではなく、適切な限定範囲が存在すること、および/または、人間または機械(限定範囲の管理者)の相応の判断が存在することにも基づいて実施することが可能である。この場合には、そのようになって初めて、手動モードと自律モードとの間の切り替えを成功させることが可能となる。これによって、システムによる追加的な安全性の承認を実施することができる。
【0047】
既に述べたように、本システムは、いずれにせよ、商用車10が安全状態に到達するまで運転者12が車両に関連したそれぞれのアクションに対する責任を保持することを保証する。既に述べたように、安全状態とは、人間および機械に対する危険が及ぼされることなく商用車が長期間にわたって留まることができる任意の状態とすることができる。安全状態に到達し、これがシステムによって承認された場合には、商用車10に対する責任を、限定範囲に関する管理システム200またはオペレータ(例えば人間であってもよい)にハンドオーバすることを、運転者12に提案することが可能となる。運転者12に対するこの提案は、自律モードに対する承認としてスイッチをオンにするというリクエストを含むことができる。
【0048】
この時点から自律的なオペレーションが終了するまで、管理システム200は、車両10に対して責任を負っており、車両に関連した全ての活動に対しても責任を負っている。自律的なオペレーションモードが終了すると、運転者12は、商用車10へと帰還し(状態380〜395を参照)、商用車10に対する制御を再びテイクオーバすることができる。例えば、返却プロセスをトリガして商用車10に対する制御を取り戻すために、車両10との物理的な相互作用(例えばスイッチの操作)を必須にすることができる。運転者12が車両10に対して責任を負うようになると、車両10の初期状態(手動状態)を再びアクティブ化することができる。その後、商用車10を、運転者12によって再び手動で動作させることが可能となる。
【0049】
明細書、特許請求の範囲、および図面に開示された本発明の特徴は、単独でも任意の組み合わせでも本発明を実現するために本質的であるとすることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 商用車
12 運転者
20 限定範囲の管理者
21 他の加入者/作業者
110 車両インタフェース
120 安全性モジュール
130 制御モジュール
200 管理システム
210,220,・・・ 他の加入者のインタフェース
図1
図2
図3-1】
図3-2】