(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
世界経済はますますより石油由来のプラスチックを用いる。互いに異なる形態のプラスチックが広範囲な物理化学的特性を現わし、相対的に成形及び加工が容易であり、プラスチックの多様性によってプラスチックは世界経済で重要な役割を果たし、プラスチックの多様な応用を探索する。
【0003】
プラスチック廃棄物の再生は先進国家であっても依然として挑戦的な課題である。プラスチックからなる消費用包装材の年間世界的生産量は2015年に2500万トンであった。このような材料の大部分は使用後再生されず埋立された(Plastics−The Facts2015、Plastics Europe).
【0004】
ポーランドでは、2012年に約147万トンを使用済みのプラスチック廃棄物が発生した。その中で、24%が再生され、17%がエネルギーの回収に用いられ、残り59%が埋立地に埋立された。比較のために、2012年欧州連合では、26%の使用済みのプラスチック廃棄物が再生され、その中で、36%がエネルギー回収に用いられ、38%が埋立地に埋立された(Plastics Industry in Poland2013)。このように、プラスチック廃棄物の加工実績は、紙、硝子及びアルミニウムのような他の2次原料の実績に比べて非常に低い。プラスチック廃棄物の大部分はごみ廃棄場所に未分類された形態で他の廃棄物と混合して残存する。このような形態の一連の行為はその資源が徐徐に枯渇されて行く石油から由来する貴重な材料の明白な損失である。
【0005】
再生技術の開発は、今までは主に使用済みポリエチレンテレフタルレート(PET:polyethylene terephthalate)瓶の加工に集中されている。PETの回収率は30%を越え、その再生工程は最適化されて機械化された。PETは最も頻繁に用いられるプラスチックの中の一つであり、それにより、その回収は経済的な理由から特に重要である。
【0006】
プラスチック廃棄物の管理で特殊な問題点は、多層フィルムのような多層材料及びそれからなる物品で構成される廃棄物である。食品包装フィルム、トレイ、ソフトパッケージ、ブリスター、各種産業(例えば、建築,輸送、農業、医薬)で用いられる産業用フィルムのように、主に用いられる多層材料はPE、PET、EVOH、PVC、PAのような多様なプラスチックからなる複合材料である。
【0007】
多層プラスチック材料は互いに異なる物理化学的特性を現わす多様で異質的な材料の集合で、多くの場合、その構成要素を処理する特定の方法を必要とする。多層プラスチックから由来する廃棄物の分離の困難性及び多様性が、廃棄物の分類工場で、後続する追加加工及び回収に適用される単一形態の材料のクリーンストリーム(clean streams)を得にくくする。一部報告書では、例えば、多層材料の中のPEまたはPETを回収することができる革新的なプラスチック分離技術が現われた(EP2650324)。
【0008】
PETからなるもの、または他のプラスチックの複数の層からなるバリア層を含む多層トレイ(multi−layer trays)80万トンが毎年欧州市場に累積されていることと推算されている。多層プラスチック(PETトレイ含む)からの廃棄物は飲料包装のポリオレフインまたはPETのような回収された清浄原材料と適合しない(incompatible)。その故、多層材料は再生市場で深刻な問題であり、環境に大きな負担になる。
【0009】
例えば、1kgのPETを生産するのに約1.9kgの石油を必要とするので、多層プラスチックの再生可能性の欠如は大量の原料の損失を意味する。一方、1kgのPETの燃焼により1kgのCO
2及び他の毒性ガスが放出されるため、PET廃棄物を燃焼させてエネルギーを回収することは環境に大きな影響を与える(Vest H.:Production and Recycling of PET−Bottles.InfoGate.2003)。
【0010】
多層プラスチックの再生において解決されない問題は、多層プラスチックを構成するプラスチックのグループによってプラスチックを分けることができる技術が不足するということである。フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR spectroscopy)、紫外線−可視光線分光光度計(UV−VIS spectroscopy)またはX線撮影(roentgenography)のような分析方法を含んで再生に用いられる伝統的な分類器(sorters)は他の基準よりプラスチックを構成する材料の形態によって廃棄物を分類する。例えば、単一材料プラスチックからなるプラスチックから紙、金属及び硝子を分離することは可能である。しかしながら、現時点では、様々なプラスチックで一緒に作られた多層廃棄物を識別、規定、そして分離することは不可能である。
【0011】
現在、多層プラスチックの廃棄物は再生に適用されない。これら大部分は埋立され、一部のみが廃棄物燃焼施設で用いられて熱エネルギーに転換される。このような接近法は効果的に再利用されることができる貴重な原料の明白な無駄使いであり、これはますます増加する温室ガスの大気への放出に寄与してしまう。
【0012】
プラスチック材料に添加される蛍光有機化合物を含ませることにより、プラスチックをマーキングする方法がある。このような解決策に関して、見掛けを改善して黄変または老化を防止するためにプラスチックに添加される光増白剤、紫外線安定化剤のようなプラスチック用の通常の添加剤の存在が問題になる。光増白剤は300〜410nmの範囲の放射線を吸収し、これらはまた潜在的な蛍光マーカーの所定の吸収及び放出範囲と重畳される広範囲のスペクトル放射(440〜550nm)を有する。マーキング用材料が、例えば、光増白剤を含む場合、検出工程で、マーキングされた材料で由来する信号からマーカー信号を区別する可能性を確保するために、光増白剤の放出範囲以外の放出を有するマーカーを用いることが要求される。光増白剤放出の範囲以外の電磁波を放出するマーカーの適用は吸光が可視光線領域のスペクトル内であることに制限され、これはさらには低濃度でも過度に着色されるということを意味する。
【0013】
分散された蛍光マーカーを含むラッカーでプラスチック材料をマーキングする方法が公知されており、このようなラッカーはマーキング用材料上に直接適用される(POLYMARK Report 「Removable Identification Technology to Differentiate Food ContactPETin Mixed Waste Streams:Interim Report」)。そこで、蛍光法により検出が行われる。このような方法の利点は:単純性、低費用及び用いられたマーカーの高蛍光収率である。残念ながら、このような方法は適切な分散物を製造するために超分散剤、乳化剤、消泡剤及び安定化剤のような相当数の添加剤を使用する必要がある。しかも、噴霧によって適用されるラッカー層の厚さは数十ミクロメーターに達する量である一方、ラッカーは最終製品上に適用され、これは包装業者の位置で材料マーキングの工程を行う必要がある。蛍光スペクトルの低い解像度もこのような方法の疑う余地のない弱点である。このような方法で用いられる無色マーカーは光増白剤の特性と類似する蛍光特性を有し、これはコードの使用可能性を微かにする(多数のマーカーに対して干渉及び消光が現われる可能性がある)。このような方法はまた有色プラスチックの検出中にも問題になる。
【0014】
プラスチック包装の最終段階でプラスチック包装の表面上に蛍光マーカーを含むラッカーを適用することからなる、プラスチックをマーキングする方法が公知されている(Final Report NEXTEK 「Optimising the use of machine readable inks for food packaging sorting」)。このような方法でラッカーをラベル上に適用することも考慮される。有機及び無機マーカーが添加されたニトロセルロースラッカーがコーティングに用いられる。このような方法は廃棄物の効率的なマクロ分類を許容するが、フレークを分類する可能性はない。プラスチックが熱成形される前にプラスチックをマーキングする可能性がないということがこのような方法の疑う余地のない弱点である。マーカー老化によって紫外線安定化剤を用いることがさらに要求される。0.5〜5%の範囲のラッカー中のマーカーの大きい濃度の使用及び稀土類金属を含む高価の無機マーカーの使用によって、上述された方法は費用がたくさんかかる。
【0015】
前記提供された方法は励起源(excitation source)としてLEDまたはハロゲンランプを有する変形された産業用近赤外線検出器(NIR detector)をさらに備えたマーキングされたプラスチック検出システムを含む。
【0016】
プラスチック生産の段階でプラスチックに蛍光マーカーを直接添加することによってプラスチックをマーキングする方法が公知されている(「Automated sorting of polymer flakes:Fluorescence labelingAnd development ofA measurement system prototype」、Waste Management;Heinz Langhals「Binary Fluorescence Labeling for the Recovery of Polymeric Materials for Recycling」)。このような方法は450〜800nmの範囲で蛍光を現わすペリレン誘導体をマーカーとして用いる。マイクロ分類(microsorting)及びマクロ分類両方とも可能である。この方法は数ppmのマーカー濃度で迅速な検出が可能で、判読精度は約300kgフレーク/hの容量で12種のマーキングされたプラスチックに対して99%を超える。このような方法の短所は、多色のプラスチックの検出及び4つのマーカーしか用いることができない問題があり、これは二進法システムを用いる場合、15種類のコード多様性のみを付与する。さらに、マーカーはプラスチックの材料内に永久的に内包され、今後これを除去することが不可能である。蛍光マーカー(ペリレン誘導体)はそのものが高価で、これらの合成は複雑である。ペリレン誘導体が過度な色相を有するため、マーキングされたプラスチックの着色の危険がさらに存在する。潜在的に、ペリレン誘導体(多環芳香族炭化水素(PAH))でマーキングされたプラスチックはその中に保存された食品の安定性に悪影響を与える虞がある。
【0017】
前記提供された方法は、フレークを分給し、分類コンベヤーの開始点に偏在させる所謂「特異ユニット(singularity unit)」を用いるプラスチック検出システムも含む。ライン内に、フレーク形態を検査するためのシステムも位置し、白色LEDの光及び高速の産業用カメラを用いる。CCDタイプカメラと回折網を含む分光光度計の速度は30万スペクトル/秒である。
WO/0044508号で開示された国際特許出願に記載されている「プラスチック容器の形態を分類して立証する方法」も公知されている。この出願は、プラスチック容器の表面を内面または外面上にそれらの内容物、用途や組成によってマーキングされた容器の識別を可能にする所定の蛍光マーキングで被覆する方法を記述している。
【0018】
プラスチックからなる多層及び/または多成分材料の今後の効率的な回収及び再利用可能にグループ化するためにこれらのマーキング、検出及び分類を許容する方法を開発するための充足されない要求が存在している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は現在最小限の程度しか再生されていない多層プラスチックの再生を含んで、プラスチックの形態及び化学的組成に関係なく、多様な形態のプラスチックに対する効率的で完全な再生システムの開発及び実行を可能にする。
【0027】
本発明による技術は多層材料を今後の再加工に適切な多様な形態のプラスチックの適切なクリーンストリームに分類することを可能にすることを目標とする。
【0028】
本発明による解決策は、例えばPE層からのPET層の分離技術(http://www.sulayr−gs.es/)及びポリエステルまたはポリオレフインからのPVCの分離技術(http://www.vinyloop.com/en/)のように多層材料の個別層を分離するための、現在市場で用いられる解決策に対する補完策である。
【0029】
本発明による技術は一つの方法を多様な形態及び様々な応用(application)に意図されたプラスチックの処理に用いることを可能にさせることを確保する。用いられたマーキング剤は毒性がなく、プラスチック材料の特性を変化させない。本発明による技術をバリア材料の外層に適用することにより、食品との接触で意図された包装をマーキングするための使用を可能にする。
【0030】
本発明によってプラスチックをマーキングするためのコーティング材料はコーティング材料のベースと、コーティング材料のベースの全体容積に溶解または分散した、適切に選択された有機蛍光マーカーの形態または2μm以下の直径を有する球状ポリマーマトリックス上に化学的に固定化された(特許出願P.414596に記述される)、適切に選択された有機蛍光マーカーの形態でコーティング材料のベース内に導入された、適切に選択された有機蛍光マーカーの形態の選択された蛍光マーカーとを含む。蛍光マーカーはコーティング材料のベースとなる適切に選択された無色材料内に分散され均質化されてプラスチックマーキング用コーティング材料を形成する。
【0031】
本発明によるコーティング材料のマーキング容量は多様な形態の蛍光マーカーの使用によって得られる。
一つの蛍光マーカーに基づく単一コーティング材料またはコーティング材料の組み合わせでプラスチックがマーキングされことができ、ここで、各コーティング材料は他の形態の蛍光マーカーを含む。コーティング材料内に導入された、用いられた各蛍光マーカーの定性的組み合わせまたは用いられたそれぞれ互いに異なる蛍光マーカーを含むコーティング材料の定性的組み合わせはプラスチックの特定の形態または多層材料の形態をマーキングする別途の多様なコードを構成することができる。蛍光マーカーの潜在的な数は理論的に無限であり、コーティング材料の中にn個の蛍光マーカーの組み合わせを用いるか互いに異なる蛍光マーカーを含むn個のコーティング材料の組み合わせを用いる場合、x=2n−1のコードの変形を得ることが可能である。例えば、コーティング材料の中に3つの蛍光マーカーを用いるかまたは3つの互いに異なる蛍光マーカーを含む3つのコーティング材料を用いる場合(A、B、C)、コード(A、B、C、AB、AC、BC、ABC)で区分される7つの定性的に互いに異なるマーキングを開発することが可能である。
【0032】
本発明によるコーティング材料を製造するのに用いられる蛍光マーカーは、蛍光マーカー、即ち好ましくは500nmを超える波長で蛍光を現わす300〜700nmの範囲で蛍光を現わす有機化合物の分子を含む。蛍光マーカーは、マーキングされた材料の色相特性を変化させないので、蛍光マーカーは互いに異なる応用のための材料をマーキングするのに用いられることができる。本発明によれば、蛍光マーカーとして(純粋な形態または高分子微粒子上に堆積されて)、
1,8−ナフタルイミド、アセナフテン、アントラセン、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾキサジン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチアゾール、キナゾリン、キノリン、ダンシル、ジアゾベンゼン、ジフェニルアントラセン、ジカルボキシイミド、フェナントレン、フェナントロリン、フェナントリジン、フェノキサジン、フェニルエチニル、フェニルイミダゾール、フラボン、フルオレン、ナフタリン、オキサジアゾール、ピラゾリン、スピロピラン、スチルベン、チアジアゾール、チアゾール誘導体、好ましくは、ジアリル−フルオレセイン(I)、アリル−ローダミンB(II)、4`−アリルオキシ−3−ヒドロキシフラボン(III)、2,5−ビス(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)チオフェン(IV)、tert−ブチル−ピレン(V)またはフルオレセイン(VI)が用いられる。
【0033】
蛍光マーカーは高い収率の電磁放射を特徴とし、これはマーキングされた材料の中で1ppm以下の濃度で蛍光マーカーの検出を許容する。
【0034】
蛍光マーカーは、コーティング材料の中に溶解または分散された形態で特許出願P.414596に記述された方法によって2μm以下の直径を有する球形ポリマーマトリックスに固定化された形態で存在することができ、ここで、蛍光マーカーは永久的に、化学的にポリマーマトリックス内に内包されて均質するようにポリマーマトリックス内に分散され、そして蛍光マーカーは同じく蛍光マーカーのポリマーマトリックスの材料との共重合を許容する化学基を含む。ポリマーマトリックス中の蛍光マーカーの固定化は永久的であるので、蛍光マーカーは放出されず、そして蛍光マーカーはマーキングされた材料内に移動しない。ポリマーマトリックスの材料に対する蛍光マーカーの含量は1.0重量%以下である。この場合、蛍光マーカーはコーティング材料の中に永久的に分散して留まり、蛍光マーカーは材料内に移動しない。
【0035】
蛍光マーカーの固定化のためのポリマーマトリックスは、明確な球形形状及び0.1〜20μmの範囲の直径を有する高分子微粒子からなる。最適には、高分子微粒子の大きさは2μmである。高分子微粒子は特許出願P.414596で記述された方法に得ることができる。
【0036】
コーティング材料のベースはラッカー及び適切に選択されたシリコーンの両方であってもよい。コーティング材料のベースは適切な樹脂(例えばアクリル、アルキド、シリコーン)の水性分散液であるか、またはエチルアセテート、2−(2−ブトキシエタノール)、2−ブタノン及びこれらの混合物を含むことができる。コーティング材料のベースを適切に選択することによりベースの蛍光マーカーとの適合性及びプラスチックマーキング用ラッカーの耐久性を確保する。コーティング材料のベースはコーティング材料のマーキングされたプラスチック材料への適切な接着を確保するためにも選択される。
低濃度の蛍光マーカーの使用または蛍光マーカーがミクロメーターの大きさのポリマーマトリックスに内包されるという事実により、マーキングされた材料にコーティングを適用した後、蛍光マーカーを含む本発明によるコーティング材料は無色透明である。本発明によるコーティング材料における蛍光マーカーの最適濃度は0.01〜0.1重量%である。
【0037】
本発明によるコーティング材料は
波長が250〜650nmの範囲の吸収及び300〜700nmの範囲の蛍光を現わし、好ましくは500nmを超える波長を有する蛍光を現わす。適切に選択された蛍光マーカを使用することにより、蛍光マーカーの放出信号と光増白剤または紫外線安定化剤のようなプラスチックに対する潜在的な添加剤の放出信号とが重なる問題はない。
【0038】
本発明によるコーティング材料は220℃まで熱的に安定しており、これはコーティング材料で被覆されたプラスチックの熱処理を可能にする。本発明によるコーティング材料は高い光安定性を現わし、紫外線−可視光線放射への露出を可能にする。さらに、本発明によるコーティング材料はマーキングされた材料の物理化学的特性に影響を与えず、材料の全体耐用寿命の間に材料の運転条件で安定している。
【0039】
本発明によるコーティング材料は、非毒性であり、水に不溶性である。本発明によるコーティング材料を食品との接触が意図されることを含んで包装材料として用いられるプラスチックをマーキングするのに用いることが可能である。
【0040】
コーティング材料はマーキングされたプラスチックに接着力を現わし、利用可能な再生方法でプラスチックの表面から除去可能であるか、適切に選択された洗浄剤、有機溶剤またはそれらの混合物に可溶性であり、得られた2次原料が汚染される危険なしにプラスチックの再加工前にプラスチックから選択的に除去することができる。
【0041】
または、コーティング材料はマーキングされたプラスチックに接着力を現わし、このプラスチックの物理化学的特性が保持される間にプラスチックの表面から除去不可能である。
【0042】
本発明によるプラスチックマーキング方法は、コーティング材料のベース中に分散して均質化された、蛍光マーカーの適切な組成を含むプラスチックマーキング用コーティング材料を適用するか、または互いに異なる蛍光マーカーを含む多重のコーティング材料を適用することによって実現される。用いられたコーティング材料の組成または互いに異なるコーティング材料の組み合わせはプラスチックの特定流れに対応する何れのコードを構成する。包装と同様にフレークを分類する廃棄物の分類の間に本発明による方法を用いてマーキングされた材料を確認することができる。廃棄物の分類が終わると、コーティング材料は適切に選択された洗浄剤、有機溶剤またはそれらの混合物で洗浄される。
【0043】
プラスチックのマーキングのために、互いに異なる定性的組成の蛍光マーカーを有するコーティング材料を用いるか、または互いに異なる蛍光マーカーを含む互いに異なるコーティング材料を用いることが可能である。コーティング材料の中のマーカーの組み合わせまたはプラスチックマーキング用コーティング材料の組み合わせそれぞれは個別のバージョンのコードを構成し、そして材料の製造中に互いに異なる材料をマーキングするために用いられることができる。蛍光マーカーの潜在的な数は理論的に無限であり、コーティング材料中にn個の蛍光マーカーの組み合わせを用いるか、または互いに異なる蛍光マーカーを含むn個のコーティング材料の組み合わせを用いる場合、x=2n−1のコードの変形を得ることが可能である。例えば、コーティング材料の中に3つの蛍光マーカーを用いるかまたは3つの互いに異なる蛍光マーカーを含む3つのコーティング材料を用いる場合(A、B、C)、コード(A、B、C、AB、AC、BC、ABC)で区分される7つの定性的に互いに異なるマーキングを開発することが可能である。
【0044】
または、適切に選択された照射により励起された後に観測可能な幾何学的パターンを形成するようにするために、マーキング用として互いに異なる蛍光マーカーの組み合わせを有する各種コーティング材料を用いることが可能である。コーティング材料の単一層または一セットの複数の層が暗号化された情報を有する互いに異なるパターンを含むことができる。マーキングされた材料の識別に関する情報は幾何学的記号で暗号化され(例えば、Aマーカーを有するコーティング材料のパターンは円を形成し、Bマーカーを有するパターンは十字を形成し、Cマーカーを有するパターンは三角形を形成する)、及び/または文字で記録され、及び/またはバーコードまたはQRコード(登録商標)で提供される。幾何学的記号、文字情報及びバーコードまたはQRコード(登録商標)の潜在的な組み合わせの数は無限である。
【0045】
本発明によるマーキング方法は、マーキングされたプラスチックを適用された何れのマーキング体系によって適切な組み合わせの蛍光マーカーを含むコーティング材料の層で被覆するか、または互いに異なる蛍光マーカーを含む互いに異なるコーティング材料の層で被覆することからなる。コーティング材料は材料の製造段階でマーキングされた材料の表面上に適用され、続いてマーキングされた材料がさらに技術的工程を行う。または、コーティング材料の層がプラスチックからなる最終製品の表面に適用されることができる。
【0046】
マーキングされた材料上へのプラスチックコーティング用コーティング材料またはコーティング材料の組み合わせの層の適用は、フレキソ印刷(flexography printing)、ロートグラビア印刷(rotogravure printing)、オフセット印刷(offset printing)、レターセット(letterset)、パッド印刷(pad printing)、凹版(intaglio)、平版印刷(planographic printing)、凸版印刷(letterpress printing)、スクリーン印刷(screen printing)、デジタル印刷(digital printing)、スプレー(エアログラフィー)(spraying(aerography))及び何れの他の印刷法またはコーティング法によって実現される。
【0047】
スプレー、スクリーン印刷及びパッド印刷も多層材料からなる最終製品上に、例えば包装上へコーティング材料を塗布することができる。コーティング材料はマーキングされたプラスチックの全体表面上にまたはその部分上に塗布されることができ、そしてコーティング材料の層は均一(全体的に移動)または印刷走査線のようにプラスチックの表面上にパターンを形成することができる。本発明によるマーキング方法は、1〜5μmの範囲以内、好ましくは2μmの適切な厚さのコーティング材料の層の適用を仮定する。
【0048】
プラスチックマーキング用コーティング材料のための適切なベースの選択で最も重要な要因の一つはコーティング材料のマーキングされた材料への適切な接着力である。コーティング材料は耐久性、色相及び見掛けのようなコーティングされた材料の物理化学的特性に影響を与えることができない。コーティング材料はプラスチックを加工するための、そして以後のその利用のための諸条件で安定している必要があり、また、マーカーの品質と特性及びマーカーの検出可能性に影響を与えてはならない。
【0049】
プラスチックマーキング用コーティング材料は、分類工程後、再生中に適切な洗浄混合物でマーキングされた材料の表面から除去される。分類後マーカーを除去することにより再生を目的とした材料から汚染を除去することができ、次に、単一成分または多成分材料のさらなる加工を許容する。洗浄は廃棄物分類施設または廃棄物加工施設の再生ラインまたは洗浄ラインで行われる。
【0050】
純粋な原料を加工する必要があるため、プラスチックの表面からコーティング材料を除去することはプラスチックの再生中に必要な段階である。用いられる洗浄混合物はプラスチックを毀損することなく、コーティング材料を完全に溶解する必要がある。必要な特性を有する複数の洗浄混合物を開発することが可能である。洗浄剤の例示的な組成は以下の実施例で記述されるが、これは本発明による解決策で記述されない他の洗浄剤及び混合物を用いる可能性を排除しない。
【0051】
本発明によるマーキングされたプラスチックの識別方法は、本発明によってマーキングされたプラスチック廃棄物の蛍光測定法試験で行われ、この試験は適用された何れのマーキング体系によってプラスチックマーキング用に用いられたコーティング材料の組成またはコーティング材料の形態で暗号化された情報を判読することを可能にする。
【0052】
プラスチック及び多層プラスチック材料そして多成分プラスチック材料をマーキングするために、蛍光マーカーの互いに異なる定性的組成を有するコーティング材料または互いに異なる蛍光マーカーを含む互いに異なるコーティング材料のセットが用いられる。コーティング材料中のマーカーの組み合わせまたはプラスチックマーキング用コーティング材料の組み合わせそれぞれは個別のバージョンのコードを構成し、そして材料の製造中に互いに異なる材料をマーキングするのに用いられることができる。蛍光マーカーの潜在的な数は理論的に無限であり、コーティング材料中にn個の蛍光マーカーの組み合わせを用いるか、または互いに異なる蛍光マーカーを含むn個のコーティング材料の組み合わせを用いる場合、x=2n−1のコードの変形を得ることが可能である。例えば、コーティング材料の中に3つの蛍光マーカーを用いるか、または3つの互いに異なる蛍光マーカーを含む3つのコーティング材料を用いる場合(A、B、C)、コード(A、B、C、AB、AC、BC、ABC)で区分される7つの定性的に互いに異なるマーキングを開発することが可能である。
【0053】
または、マーキングされた材料の識別に関する情報は幾何学的記号で暗号化され、及び/または文字で記録され、及び/またはバーコードまたはQRコード(登録商標)で提供される。幾何学的記号、文字情報及びバーコードまたはQRコード(登録商標)の潜在的な組み合わせの数は無限である。
【0054】
本発明による識別方法はプラスチック生産業者によって開発されて適用される必要がある。マーキング及び識別の標準化は2次原料を効率的に回収することがができるようにし、またプラスチック産業における原料消費及びエネルギー消費の減少、そして大気への温室ガス排出の減少に寄与することができる。
【0055】
本発明による識別方法は特定の検出器を備えたオンラインモードで実行され、分類する前にプラスチック廃棄物の流れの蛍光測定法試験で行われ、これはコーティング材料の組成または互いに異なるコーティング材料の選択で提供されるコードの判読ができるようにする。
【0056】
または、本発明による識別方法は分類前プラスチック廃棄物の流れの照射後に可視的なグラフィック情報を判読する検出器を備えるオンラインモードで実行される。幾何学的記号(例えば、Aマーカーを有するコーティング材料のパターンは円を形成して、Bマーカーを有するパターンは十字を形成し、Cマーカーを有するパターンは三角形を形成する)のセットで記録された情報はデジタル画像分析を利用して判読されることができる。コーティング材料で印刷された文字の形態のグラフィック情報は光学文字認識(OCT:optical character recognition)のための光学システムを利用して判読されることができ、マーキングされた材料の形態に関する直接情報を含むことができる。同様に、コーティング材料で印刷されたバーコードまたはQRコード(登録商標)の形態の情報はマーキングされた材料の形態に対する直接情報を含むことができる。
【0057】
続いて、廃棄物の特定された流れが実行された分析の結果によって単一成分または一つの形態の多成分プラスチックを含む廃棄物の流れに分類される。単一形態のプラスチック−また多層材料の形態へのクリーンストリームを得た後、これらを特定のプラスチックの形態及びデザインにマッチングするように適切に選択された適切な回収方法で加工することが可能である。
【0058】
プラスチックの識別及び分類の段階が終わると、本発明によるプラスチックマーキング用コーティング材料は適切に選択された洗浄剤を用いて洗浄される。続いて、コーティング材料の層のない廃棄物の流れは2次原料の分類及び回収の連続工程において追加エラーの原因となれる原料が汚染されることなくさらに回収段階で加工されることができる。
【0059】
マーキングされたプラスチックを識別するための検出器はコーティング材料の蛍光分析法に基づいてプラスチックの表面を被覆しているコーティング材料の定性的組成の決定または互いに異なるコーティング材料の識別を保証する。検出器は適切な倍率を有する落射蛍光光学システムを含む必要があり、そして検出器は一セットの光学フィルター及びCCDマトリックスを装着する必要がある。また、検出器は蛍光マーカーに基づいてコードの変形を識別するための専門ソフトウェア(specialist software)も必要である。
【0064】
プラスチックマーキング用コーティング材料、プラスチックマーキング方法、
及び、マーキングされたプラスチックの識別方法がそれらの応用の範囲を制限することがなく以下の実施例及び表で記述される。
【0065】
実施例1.3つの特定の蛍光マーカーがベース内へのプラスチックマーキング用コーティング材料の分散のために、球状の複合ポリマーマトリックス上に化学的に固定化された蛍光マーカーの形態で開発された。蛍光マーカーとして、ジアリルフルオレセイン(I)、アリル−ローダミンB(II)及び4`−アリルオキシ−3−ヒドロキシフラボン(III)が用いられた。ポリマーマトリックスとして、特許出願P.414596で記述された方法によって得られた1.5〜1.9μmの直径を有する単分散複合高分子微粒子、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)が用いられた。ポリマーマトリックス中の各蛍光マーカーの化学的固定化が特許出願P.414596に記述された方法によって行われた。
【0066】
実施例2.3つの蛍光マーカーがプラスチックマーキング用コーティング材料のベース中に溶解されるように意図された化合物の形態で製造された。蛍光マーカーとして、2,5-ビス(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)チオフェン(IV)、tert−ブチル-ピレン(V)及びフルオレセイン(VI)が選択された。
【0067】
実施例3.コーティング材料の互いに異なる形態のベースが互いに異なる形態のプラスチック上への接着能力に対して検査されて試験された。コーティング材料用ベースとして、2成分、化学的に硬化された無色ラッカー:Gecko(ラッカー224358+硬化剤132871)、Rotoester(ラッカー271848+硬化剤140235)、Chespa(ラッカー2K Gloss R2+硬化剤 B−20)及び無色単一成分ラッカー:Top Coat HR(WP71077F)及び Top Coat SPL(WP21110F)が用いられた。多層PET及びPVCフィルム上へのコーティング材料のベースの適用の試験が実行された。大部分の場合で得られたコーティングは永久的で水に不溶性であった。その結果を表1に示した。エージングチャンバで行われた太陽光露出の刺激により得られたコーティングの高い光安定性が確認された。
【0068】
表1
多層PET及びPVCフィルム上のコーティング材料のベースの安定性
【0069】
実施例4.実施例3からの多層PETまたはPVCホイルからのコーティング材料のベースのコーティングの洗浄に対する試験が行われた。用いられた洗浄溶液は、界面活性剤2%が添加されたpH=13の水溶液(A)、ベンジルアルコール(B)、ベンジルアルコールと界面活性剤2%が添加された水の混合物(1:1)(C)、Ν,Ν−ジメチルホルムアミド(D)、ジメチルスルホキシド(E)であった。連続混合または超音波の存在とともに60〜80℃の温度の範囲で洗浄試験が行われた。コーティング材料のベースのコーティングの洗浄性の結果を表2〜4に示した。
【0070】
表2
多層PETまたはPVCフイルムの表面からの2成分の化学的に硬化された無色ラッカーGecko(ラッカー224358+硬化剤132871)の洗浄性
【0071】
表3
多層PETまたはPVCフイルムの表面からの2成分の化学的に硬化された無色ラッカー Rotoester(ラッカー271848+硬化剤140235)の洗浄性
【0072】
表4
多層PETまたはPVCフイルムの表面からの2成分の化学的に硬化された無色ラッカーChespa(ラッカー2K Gloss R2+硬化剤B−20)の洗浄性
【0073】
実施例5.互いに異なる形態のプラスチックに対するコーティング材料の互いに異なる形態のベースの接着能力が検査されて試験された。コーティング材料のためのベースとして、単一成分、無色ラッカー:Optilack TF03、Optilack TF04、Optilack TF05及び2成分、無色ラッカー:GlossVarnishl40170、DilventVarnish 390938が試験された。APET及びPVCフィルム上へのコーティング材料のベースを適用する試みが行われた。得られたコーティングは耐久的で、水に不溶性であった。その結果を表5に示した。エージングチャンバ内で行われた太陽光露出のシミュレーションにより得られたコーティングの高い光安定性が確認された。
表5
多層APET及びPVCフィルム上のコーティング材料のベースの安定性
【0074】
実施例6.実施例5からの多層APETまたはPVCホイルからのコーティング材料のベースの適用されたコーティングの洗浄性に対する試験が行われた。用いられた洗浄溶液は:界面活性剤2%が添加されたpH=13の水溶液(F)及びエチルアセテート(G)である。70℃で超音波の中で洗浄試験が行われた。洗浄槽時間は10分である。コーティング材料のベースのコーティングの洗浄性の結果を表6に示した。
【0075】
表6
多層APET及びPVCフィルムの表面からの無色ラッカー:Optilack TF03、Optilack TF04、Optilack TF05、GlossVarnish l40170、DilventVarnish 390938の洗浄性
【0076】
実施例7.実施例5からのコーティング材料のベースの適用されたコーティングを有するAPET及びPVCフィルムの熱成形の試験が行われた。コーティング材料のベースがフレキソ印刷でフィルム上に適用された(移動:6.0cm
3/m
2)。連続加熱で熱成形工程を行った。熱成形のために、真空成形機725FLB(CR Clarke)が用いられた;鋳型の深さ:5mm、50mm及び100mm、加熱時間10〜30秒。行われた試験の結果を表7に示した。満足な結果が得られ;大部分の場合でラッカー層またはプラスチックの損傷が観察されず、そして熱成形された物品が成形機から満足に分離された。
【0077】
表7
無色ラッカー:Optilack TF03、Optilack TF04、Optilack TF05、GlossVarnish l40170、DilventVarnish 390938の層で被覆されたAPET及びPVCの熱成形
【0078】
実施例8.実施例1のように製造された蛍光マーカー及びコーティング材料のベース:Optilack TF04を用いて、互いに異なる定性的組成を有する一連のプラスチックマーキング用コーティング材料が製造された。コーティング材料の中の0.001〜1.0%の範囲の蛍光マーカーの濃度が用いられた。3つの形態の蛍光マーカー(I、II、III)に基づいて、コードを異なるようにする(I、II、III、I−II、I−III、II−III、I−II−III)プラスチックマーキング用コーティング材料の7つの変形を開発した。得られたコーティング材料は無色で透明であった。分光分析試験の間、得られたコーティング材料の高い量子収率(quantumyield)が確認された。老化に対する試験は紫外線−可視光線の照射に露出される間に製造されたコーティング材料の光安定性が確認された。
【0079】
実施例9.実施例2のように製造された蛍光マーカー及びコーティング材料のベース:Optilack TF04を用いて、一連のプラスチックマーキング用コーティング材料が製造された。コーティング材料の中の0.001〜1.0%の範囲の蛍光マーカーの濃度が用いられた。3つの形態の蛍光マーカー(IV、V、VI)に基づいて、コードを異なるようにする(IV、V、VI、IV−V、IV−VI、V−VI、IV−V−VI)プラスチックマーキング用コーティング材料の7つの変形を開発した。得られたコーティング材料は無色で透明である。分光分析試験の間、得られたコーティング材料の高い量子収率が確認された。老化に対する試験は紫外線−可視光線の照射に露出される間に製造されたコーティング材料の光安定性が確認された。
【0080】
実施例10.実施例1のように製造された蛍光マーカー及びコーティング材料のベース−多成分シリコーン:Silicoleaseemulsion 907+Silicoleaseemulsion CATA 903+Silicoleaseemulsion XL 969+SilicoleaseADD702(Bluestarsilicone、France)を用いて、互いに異なる定性的組成を有する一連のプラスチックマーキング用コーティング材料が製造された。コーティング材料の中の0.001〜1.0%の範囲の蛍光マーカーの濃度が用いられた。3つの形態の蛍光マーカー(I、II、III)に基づいて、コードを異なるようにする(I、II、III、I−II、I−III、II−III、I−II−III)プラスチックマーキング用コーティング材料の7つの変形を開発した。得られたコーティング材料は無色で透明である。分光分析試験の間、得られたコーティング材料の高い量子収率が確認された。老化に対する試験は紫外線−可視光線の照射に露出される間に製造されたコーティング材料の光安定性が確認された。
【0081】
実施例11.適用されたコーティングの厚さを最適化し、正確な検出を保証するコーティング材料の層中の蛍光マーカーの適切な最小濃度を選択するために、APETフィルムの表面に実施例8、9及び10のように製造されたコーティング材料の適用試験が行われた。コーティング材料の中の0.001〜1.0%の蛍光マーカーの濃度が試験された。適用層はラッカーに対してはフレキソ印刷、またはシリコーンに対してはコーティングを適用させ、得られた複数の層の厚さは1〜10μmであった。コーティング材料の中のマーカーの最適濃度は0.01〜0.1重量%に決められ、コーティング材料の適用層の最適厚さは2μmに決め、実施例1からの蛍光マーカーの場合、これはマーカー用マトリックスを構成する高分子微粒子の直径に対応する最小層厚さを付与する。得られたコーティングは無色透明である。また、マーキングされた材料の物理化学的特性に対してコーティング材料の影響が発見されなかった。プラスチックをテストした後、コーティング層を除去し、その後、材料の内部へのマーカーの移動が発見されなかった。
【0082】
実施例12.実施例8及び9のように製造されたコーティング材料をAPETフィルム上に塗布した。コーティング材料はフレキソ印刷により塗布した。実施例8からのコーティング材料に対しては、マーキングされたプラスチックの表面上へのコーティング材料の移動は3.5cm
3/m
2の量で用いられ、コーティング材料の層の厚さは2μmであった。実施例9で記述されたコーティング材料に対しては、コーティング材料のフレキソ印刷が50I/cm解像度及び3%被覆を有する走査線の形態で用いられ、ここで、点直径は40μmであり、これら点の間の距離は150μmであった。光学紫外線フィルター(励起320〜380nm、透過420nm)、V(紫色フィルター:励起390〜410nm、透過455nm)、B(青色フィルター:励起460〜490nm、透過520nm)、G(緑フィルター:励起510〜550nm、透過590nm)、そして励起源として水銀ランプが装着された落射蛍光セットを備える光学顕微鏡で蛍光マーカー及びコーティング材料の配列(layout)が調査された。実施例1(
図2)及び実施例2(
図3)からの蛍光マーカーを含むコーティング材料に対して満足のいく結果が得られた。
【0083】
実施例13.実施例9のように製造されたコーティング材料をAPETフィルム上に塗布した。互いに異なる蛍光マーカーの組成(IV、V、VI)を有する3つのコーティング材料がテストされた。一セットの幾何学的形状を印刷することによってコーティング材料がフレキソ印刷により塗布され、円はマーカーIVを含むコーティング材料で印刷され、十字はマーカーVを含むコーティング材料で印刷され、そして三角形はマーカーVIを含むコーティング材料で印刷された。光学紫外線フィルター(励起320〜380nm、透過420nm)、V(励起390〜410nm、透過455nm)、B(励起460〜490nm、透過520nm)、G(励起510〜550nm、透過590nm)、そして励起源として水銀ランプが装着された落射蛍光セットを備えるデジタルカメラでコーティング材料で印刷されたグラフィック情報が調査された。グラフィック情報が判読された。
【0084】
実施例14.実施例9のように製造されたコーティング材料をAPETフィルム上に塗布した。蛍光マーカー(IV)を有するコーティング材料がテストされた。マーカーIVを指称する文字を印刷することによってコーティング材料がフレキソ印刷で塗布された。光学紫外線フィルター(励起320〜380nm、透過420nm)、V(励起390〜410nm、透過455nm)、B(励起460〜490nm、透過520nm)、G(励起510〜550nm、透過590nm)、そして励起源として水銀ランプが装着された落射蛍光セットを備えるデジタルカメラでコーティング材料で印刷されたグラフィック情報が調査された。文字の形態で記録されたグラフィック情報が判読された。
【0085】
実施例15.実施例9のように製造されたコーティング材料をAPETフィルム上に塗布した。蛍光マーカーVを有するコーティング材料がテストされた。マーカーVの指称を含むバーコードを印刷することによってコーティング材料がフレキソ印刷で塗布された。光学紫外線フィルター(励起320〜380nm、透過420nm)、V(励起390〜410nm、透過455nm)、B(励起460〜490nm、透過520nm)、G(励起510〜550nm、透過590nm)、そして励起源として水銀ランプが装着された落射蛍光セットを備えるデジタルカメラでコーティング材料で印刷されたグラフィック情報が調査された。バーコードの形態で記録されたグラフィック情報が判読された。
【0086】
実施例16.産業条件でPETフィルム上に適用された蛍光マーカーの検出に関する試験を行った。互いに異なる組み合わせで実施例8及び9によって製造されたコーティング材料で被覆されたフィルムに対して試験が行われた。検出のためには、蛍光マーカーに基づくコードの変形を識別するための専門ソフトウェアを備えた一セットの光学フィルター及びCCDマトリックスまたはカメラと共に適切な倍率を有する落射蛍光光学システムが用いられた。試験はオフラインで行われ、サンプルは測定ヘッドに対して固定させ、試験は成功的であった。
【0087】
実施例17.実施例12のように得られたマーキングされたPETフィルムは、満足のいく結果で、ラッカー層の損傷が観察されることなく、熱成形した(真空成形機725FLB CR Clarke、鋳型深さ:5mm、50mm及び100mm、加熱時間10〜30秒)。その次に、熱成形されたフィルムに対して蛍光マーカーの検出が行われた。この試験で、オフラインモードで、実施例13のような検出器が用いられた。試験は成功的であり、各材料は互いに異なる信号によって特定され、これは検出器によって獲得されて確認された。
【0088】
実施例18.実施例14のようにマーキングされて熱成形された(真空成形機725FLB CR Clarke、鋳型深さ:5mm、50mm及び100mm、加熱時間10〜30秒)多層PET及びPVCフィルムをコーティング材料の洗浄性に対してテストした。熱成形後の鋳型からフィルムを切断し、実施例6のような洗浄槽の溶液内で洗浄した。蛍光マーカーとともにコーティング材料の層が完全に洗浄された。試験の結果は分光分析法で確認された。