特許第6976369号(P6976369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976369
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】多孔質フィルムの測定
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/49 20060101AFI20211125BHJP
   G01N 21/59 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   G01N21/49 A
   G01N21/59 M
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-29291(P2020-29291)
(22)【出願日】2020年2月25日
(62)【分割の表示】特願2017-533605(P2017-533605)の分割
【原出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2020-106536(P2020-106536A)
(43)【公開日】2020年7月9日
【審査請求日】2020年2月25日
(31)【優先権主張番号】1422964.5
(32)【優先日】2014年12月22日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】502311527
【氏名又は名称】エヌディーシー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハンフリー,ケヴィン ポール
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド,ロバート ピーター
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−508291(JP,A)
【文献】 特表平07−501890(JP,A)
【文献】 特開平04−009644(JP,A)
【文献】 特表平06−504126(JP,A)
【文献】 米国特許第05452091(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 − G01N 21/01
G01N 21/17 − G01N 21/61
G01B 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の平均透過スペクトルを決定する段階と、第1サンプルの透過スペクトルを得る段階と、散乱補正モデルを用いて前記第1サンプルの散乱補正パラメーターを決定する段階と、散乱補正パラメーターを使用して第1パラメーターSを算出する段階と、により前記材料の第1サンプルの第1パラメーターSを算出する段階と、
第1サンプルの第2パラメーターAを算出する段階であって、第2パラメーターは、第1サンプルの単位面積当たりの質量に関するパラメーターである段階と、
第1サンプルの、算出された第1パラメーターSと、第1サンプルの、算出された第2パラメーターAとを組み合わせて、第1サンプルの厚さ、単位面積当たりの質量、密度、または細孔率を算出する段階と、
を有する方法。
【請求項2】
第2回帰係数を含む第2多変数回帰モデルを使用して第1サンプルの第2パラメーターAを算出する段階をさらに含み、第2パラメーターは、第1サンプルの単位面積当たりの質量g/mに関するパラメーターである、請求項に記載の方法。
【請求項3】
第3波長において第1サンプルによって示される吸収量が第4波長において第1サンプルによって示される吸収量と異なる第3波長および第4波長を決定する段階と、
第3波長における放射線をフィルタリングする段階を含み、前記第3波長における前記第1サンプルの透過率を測定する段階と、
第4波長における放射線をフィルタリングする段階を含み、前記第4波長における前記第1サンプルの透過率を測定する段階と、
前記材料の第4サンプルおよび第5サンプルの第3波長における透過率を測定し、
第4サンプルおよび第5サンプルの第4波長における透過率を測定し、
第4サンプルおよび第5サンプルのそれぞれの第2パラメーターを測定し、
第2多変数回帰モデルの第2回帰係数を算出することにより前記第2回帰係数を算出する段階と、を有し、
前記第3波長および第4波長における前記第4サンプルの透過率の測定値は独立変数であり、第4サンプルの対応する第2パラメーターの測定値は第2多変数回帰モデルの第1式の従属変数であり、
前記第3波長および第4波長における前記第5サンプルの透過率の測定値は独立変数であり、第5サンプルの対応する第2パラメーターの測定値は第2多変数回帰モデルの第2式の従属変数であり、
前記第4サンプルおよび第5サンプルの前記第2パラメーターは、既知の領域のサンプルの重さを測ることによって測定される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
第1サンプルの算出された第1パラメーターSと、第1サンプルの算出された第2パラメーターAとを組み合わせて、第1サンプルの厚さ、単位面積当たりの質量、密度、および細孔率の少なくともいずれか一つを算出する段階をさらに有する、請求項に記載の方法。
【請求項5】
第1サンプルの算出された第1パラメーターSと、第1サンプルの算出された第2パラメーターAとの組み合わせることには、乗算または除を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
算出された前記第1パラメーターSと、算出された第2パラメーターAとを組み合わせる段階は、第1サンプルの厚さ、単位面積当たりの質量、密度、または細孔率Tを、
T= a [(Sb + c)(Ad + e)] + f、
T= a [(Sb + c)/(Ad + e)] + f、
T= a [(Ad + e)/(Sb + c)] + f、および
T= a {A [(Sb)+ c]} + d、ここで、a、b、c、d、eおよびfは経験的に計算された定数、からなる群から選択された式を使用して算出する段階を含む、
請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記材料はリチウムイオンバッテリーセパレーターフィルムである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、フィルムを特徴付ける方法に関する。特に、本開示は、材料の第1サンプルの第1パラメーターを算出する方法に関する。より詳細には、本開示は、多孔質フィルムの厚さ、細孔率、および/または密度の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
微多孔質リチウムイオン・バッテリー・セパレーター・フィルム(BSF)は、典型的には、およそ8〜40μmの厚さ、5〜25g/mの単位面積当たりの質量、0.5〜0.65g/cmの密度の間のポリプロピレンまたはポリエチレンのフィルムである。
【0003】
フィルムの微細孔は、電池のカソードとアノードとの間の荷電イオンの伝搬を可能にする。これらの微細孔は、フィルム内に均一に分布されないことがある。このため、単位面積あたり均一な質量を有するフィルムであっても、フィルム内の微細孔の分布に依存して、その密度(また、それゆえに厚さ)において顕著な変動を有する。
【0004】
BSFの製造者は、品質保証および生産管理の目的のために、製造ウェブ全域にわたって製造されるフィルムの厚さ、単位面積あたりの質量、密度、および/または細孔率の変動を把握することを望む。赤外線、X線、ガンマ線、またはベータ粒子により搬送ウェブ上でポリマーフィルムの単位面積あたりの質量を測定する標準的な方法は、フィルムを透過する放射線を測定し、これと、フィルムを伴わない状態で標準化された示度とを比較するというものがある。フィルムが重くなるほど透過する放射線が減少する。このため、フィルムが一定で均一な密度であると仮定することにより、フィルムの厚さは、単位面積あたりの質量から判断される。これは、全域にわったって均一な密度を有しないフィルムに関し、容認できない誤認を生じさせる。
【0005】
BSFは、微細孔を有するため、均一な密度を有しない。このため、この方法を利用することで、真の厚さというよりもむしろ、厚さの近似値のみが得られる。フィルムの密度が不均一であるほど、近似の程度は悪化するであろう。この方法を使ってフィルムの密度を測定することもまた不可能である。
【0006】
赤外線が微多孔質ポリマーフィルムと相互作用するとき、ある波長がフィルムによって分子的に吸収される。吸収される波長はポリマーに依存する。例えば、ポリエチレンは2315nm、2350nm、および3300〜3600nmの間あたりに吸収中心を示す。よりポリマーが存在することで、これらの波長においてより放射が吸収される。それゆえ、吸収波長においてフィルムを通して透過する放射量を測定することにより、フィルムの質量(単位面積あたりの質量)の情報を確かめることができる。
【0007】
赤外線はまた、フィルム内の微細孔により弾性的に散乱され、波長が短くなるほど、微細孔から散乱する程度が増大する。短波長(1500〜2500nm)は長波長(2500〜5000nm)よりもより散乱する。散乱量はまた、単位体積あたりの微細孔の数(すなわちフィルムの密度)、およびそれらの形態(大きさおよび形状)に依存する。細孔率は、微細孔の量、大きさ、および形状の関数である。
【0008】
このため散乱効果は、BSFを直接通じた赤外線「IR」放射線の透過が波長が短くなるにつれて減少することに伴う、近赤外線/中赤外線「NIR−MIR」スペクトルのベースラインにおける連続シフトとして明らかである。低密度のBSFフィルムは、単位体積当たりの微細孔がより多いため、IRを散乱させる程度が大きい。それゆえ、密度が低下するほど、短波長のベースラインの変化をより表す。それゆえ、結果として生じる直接透過スペクトルは、(波長、フィルム密度、およびフィルムの微細孔の形態の関数である)連続するベースラインの変化と、(ポリマー型およびフィルムの単位面積当たりの質量に依存する)吸収度特性との組み合わせである。
【0009】
図1は、異なる散乱特性を有する一方、単位面積当たりの質量が等しいポリマーフィルムの透過スペクトルの例を示す。
【0010】
図1は、3つのNIR−MIR透過スペクトル:第1スペクトル101、第2スペクトル103、および第3スペクトル105を示す。第1スペクトル101は、微細孔を有しない透明なポリマーフィルムから得られるNIR−MIR透過スペクトルである。第2スペクトル103は、微細孔を有するため透明なポリマーフィルムより密度が低い第2ポリマーフィルムから得られるNIR−MIR透過スペクトルである。第3スペクトル105は、微細孔を大量に有し、第2ポリマーフィルムより密度が低い第3フィルムから得られるNIR−MIR透過スペクトルである。3つのポリマーフィルムの化学成分が同一であるため、同じ波長において、第1スペクトル101、第2スペクトル103、および第3スペクトル105に吸収ピークが見られる。
【0011】
第1矢印150は、弾性散乱が増大する第1の傾向を示す。図1に示すように、散乱したNIR−MIR放射線の割合は、フィルムの密度の減少とともに増加する。図1にさらに示すように、第2矢印160により示す第2の傾向はまた、波長の増大に伴い散乱が減少することを示す。第2の傾向は、スペクトルのこの領域においては、波長がより短いときに微細孔からの散乱をより示すという事実に帰する。このことは、スペクトルのベースラインシフトが、弾性散乱に起因し、波長に依存し、その傾きがフィルムの微細孔の数および形態に依存するという結果となる。
【0012】
NIRまたはMIRにより弾性散乱材料を測定する現行方法は、散乱効果に起因するベースラインの変化を好ましくないと考える。したがって、これらの方法は、それを取り除くことにより、吸収をより効果的に測定しようとしている。これは、同時に測定された透過率と、拡散反射スペクトルとを組み合わせることにより成し得る。例として、米国特許公報4,602,160を参照されたい。そこには、搬送されるペーパーウェブにおいて構成成分を測定する技術が公開されている。
あるいは、多重散乱補正(MSC)および拡張多重散乱補正(EMSC)のような散乱−補正スペクトルを生成するために、実験的に導かれる散乱モデルがデータに適用され得る。例として、Journal of Anal. Chem 2003,75,pp394−404、およびAnal.Lett.2011,44 pp824−836を全面的レヴューのために参照されたい。
特に、従来の方法は、測定効率を向上するために、得られたスペクトルから散乱関連の特徴を除外することに注目している。これに対し、本開示は、従来は切り捨てていた散乱関連の特徴からサンプルについての有用な情報を得るための方法を説明する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
概要
本開示の各側面は、添付の独立請求項において定義されている。
【0014】
正確な厚さ、細孔率、および密度のような、搬送される多孔質フィルムの特性を測定するin−situ法がここに提供される。方法は、フィルムが実質的に吸収を示さない複数のIR波長において、多孔質フィルムの透過率を測定することを利用する。それゆえ、方法は、散乱に関連する測定を提供する。この測定から、多孔質フィルムのパラメーターが直接的または間接的に決定され得る。
【0015】
多孔質フィルムのさらなる特性付けのために、この測定と、吸収波長における少なくとも一つのさらなる測定とを組み合わせる方法がさらにここに提供される。
【0016】
散乱補正モデルからのパラメーターの他の使用により多孔質フィルムのパラメーターを測定する他の方法もまたここに提供される。
【0017】
本開示による方法は、フィルムの密度および/または細孔率の情報を得るために、搬送されるポリマーウェブの測定中に、弾性散乱効果の結果として生じるIRスペクトルベースラインの変化を意図的に使用する。通常は、この情報は、散乱が吸収測定に対し誤差を導入するとみられているため、散乱効果を除外するために、スペクトルの前処理の間に切り捨てられる。
【0018】
発明者は、BSF微細孔からの散乱の情報、ひいてはBSFの密度の情報、を得るためにベースラインを使用し得ることを認識した。選択的に、これを吸収波長において測定されたIR透過情報と組み合わせることにより、正確な厚さ、単位面積あたりの質量、および密度の測定を構成できる。
【0019】
慣例的に、部分最小二乗法のような回帰法がスペクトル全体に適用される。固有の散乱波長における透過光に対する多変数回帰は既知の手順ではない。
【0020】
とりわけ本開示による改良された方法は、搬送されるBSFポリマーウェブのウェブ全域の厚さ、密度、および細孔率のプロファイルをin−situで正確に測定することを生産者に可能にする。このことは、生産工程中に、in−situでの厚さ、密度、または細孔率のプロファイルに基づいて、生産プロセスの動的な制御を生産者に可能にする。生産制御は、良質なBSFのキークオリティパラメーターである均一な厚さ、密度、および細孔率を有するフィルムの生産において、生産者を支援する。
【0021】
X線または原子核ゲージのような、BSFを測定するための現在確立している技術は、in−situでの単位面積あたりの質量のウェブ全域のプロファイルの測定のみ可能である。それゆえ、これらのプロファイルに基づく動的制御は、単位面積あたりの質量が均一なフィルムの生産のみ支援可能であり、これらのフィルムは不均一な厚さ、密度、および細孔率をなお有し得る。
【0022】
有利には、本方法は、比較的少数の離散波長のみにおいてサンプルを探査するように調整された測定ゲージをin−situで用いることで採用され得る。実際、本開示によれば、多孔質サンプルは、3つの波長測定のみを利用してin−situで完全に特徴付けされ得る。注意すべきは、フルスペクトルゲージは、たとえそれが使用され得るとしても、必須ではないということである。
【0023】
原子核およびX線の測定ゲージが、BSFのパラメーターを測定するために慣習的に用いられている。一般的に、赤外線測定ゲージが、原子核ゲージおよびX線より少なくとも次の理由により有利である。
【0024】
・より安全であり(ベータおよびX線とは異なり、赤外線照射は非電離放射線である)、
・たとえば、ゲージの周りの立入禁止区域の設定、操作者の専門家トレーニング、ベータゲージソースの保存、搬送、および廃棄といった、電離放射線では必要となる余計な予防措置/法的義務が不要であり、
・原子力(例えば、ベータ)源は時間の経過とともにその活性を失う−たとえば、Pm147は2.6年の半減期を有し、このことは、これらのゲージは時間の経過とともに干渉が大きくなる−赤外線ゲージの性能に同様の低下はなく、
・赤外線測定ゲージは、空気の温度および圧力または湿度のような環境要因に敏感でない−それゆえ定期的な空気の標準化の実施、または乾燥した/一定温度の空気パージの必要がなく、および、
・IRゲージでは、より広いエアギャップ(透過ヘッドと検出ヘッドの間のスペース)とすることが可能(およそ8cm)−ベータ線では1cm、X線では2cm−であり、このことで、ラインのスタートアップの間にゲージのヘッド間にウェブを簡単に装着でき−また、生産中にウェブがヘッドにからまる可能性を低減できる。
【0025】
本開示は、赤外線測定ゲージからの測定値を利用する新しい方法を提供するものであり、この装置を原子核およびX線の測定ゲージに対する実行可能な代替物にするものである。
【0026】
ここでは、微細孔からの散乱とともに正確な厚さおよび密度を測定するゲージが開示されている。有利には、本開示に係る赤外線測定ゲージは、ゲージの中に異なるキャリブレーション設定を実装する必要なく、広い範囲の密度を有するフィルムを測定できる。フィルム内の細孔の程度を測定することにより、厚さの正確な測定(それゆえ、密度/細孔率の測定)が可能である。本発明者らは、これが赤外線測定ゲージで可能であることを認識している。X線およびベータ波は細孔によって散乱されないので、単純にこれらの測定を実施できない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面の簡単な説明
本開示の実施形態が、次の添付された図面を参照してこれより説明される。
図1図1は、異なる散乱特性を有するポリマーフィルムの透過スペクトルを示す。
図2図2は、BSFの搬送ウェブを透過したIR放射線を示す。
図3図3は、実施形態に係る、散乱モデルおよび吸収モデルの組み合わせを示す図です。
図4図4は、BSFのいくつかのサンプルについての、接触マイクロメーターによる厚さに対する、スケーリングされた単位面積当たりの質量を示す。
図5図5は、第1実施形態による方法によって得られたIR測定値に対する、接触マイクロメーターによる厚さを示す。
図6図6は、第2実施形態による方法によって得られたIR測定値に対する、接触マイクロメーターによる厚さを示す。
【0028】
図面において、同様の参照符号は同様の部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面の詳細な説明
用語「パラメーター」は、厚さ、細孔率、密度、または単位面積当たりの質量のような特性を示すために使用される。 用語「サンプル」は、測定されている特定の対象を示すために使用される。サンプルには、既知のパラメーターと未知のパラメーターとを含み得る。 用語「材料」は、化学的組成物および構造的組成物のようなサンプルの組成を示すために使用される。
【0030】
本開示によれば、近赤外線「NIR」は、一般的には1〜2.5μmの範囲の波長であると考えられ、中赤外線「MIR」は、一般的には2.5〜5μmの範囲の波長であると考えられる。
【0031】
赤外線吸収ゲージは、サンプルの水分含有量、ベース層または基材上のフィルムの厚さまたはコーティング重量、もしくはサンプルの厚さまたは基本重量(単位面積当たりの質量)のようなサンプルの様々な成分またはパラメーターを測定するために使用される。
【0032】
赤外線吸収ゲージは、従来、赤外線をサンプルに照射し、サンプルにより拡散反射し、透過し、および/または散乱した放射線の強度を測定することにより動作する。
【0033】
測定された強度に比例する信号は、測定されるパラメーターの値を提供するように処理される。
【0034】
NIR−MIR領域のような領域内の波長の連続スペクトルにわたってサンプルを探査する第1カテゴリーのゲージと、注意深く選択された複数の離散的な波長のみにおいてサンプルを探査する第2カテゴリーのゲージとの間で区別を引き出し得る。第1カテゴリーのゲージは、連続スペクトル装置と考えられると理解される。第1カテゴリーのゲージは、一般に、第2カテゴリーのゲージよりも大きく高価である。第2カテゴリーのゲージは、特定の波長の選択があるという特徴により、第1カテゴリーのゲージと区別できる。この選択は、一般的にサンプルの材料および/または光学特性に基づく。第2カテゴリーのゲージは、複数の所定の波長でそれぞれ放射線を「選択」するために、複数の狭帯域幅の光学フィルタを実装することができる。
【0035】
実施形態は、第2カテゴリーのゲージに関する。有利には、発明者らは、少数の所定の波長で良好なBSF測定を行うことができ、費用効果の高い第2カテゴリーの低コストのゲージを使用できることを見いだした。
【0036】
実施形態では、ゲージによって投影される波長は、着目する材料に基づいて選択される。実施形態では、材料が異なる光学的挙動を示す波長が選択される。実施形態では、サンプルが比較的低い吸収度を示す第1波長と、当該サンプルが比較的高い吸収度を示す第2波長とを選択できる。たとえば、サンプル中の水の量を測定する場合、一方の波長は水の吸収波長(1450nmまた1945nmのいずれか)を選択でき、他方の波長は、水に顕著には吸収されない波長として選択される「参照波長」であり得る。
【0037】
ゲージは、一定の放射スペクトルを有する赤外線源(たとえば、フィラメントランプ)と、サンプルにより反射、透過、および/または散乱される放射線を受光するための検出器とを含む。選択的に、基準検出器も使用できる。実施形態においては、狭帯域幅フィルタを光源とサンプルとの間に配置して、サンプルを所望の測定波長と参照波長にのみ露出する。この場合、たとえば放射線源の前にある回転ホイールに適切なフィルタを配置することによって、選択された波長の放射線にサンプルが連続的に露出される。他の実施形態では、フィルタホイールは、サンプルと検出器との間に配置され、各フィルタは、サンプルと検出器との間に継続的に挿入される。 第2カテゴリーのゲージを使用してフィルムを測定する他の複数の方法が知られており、それらは同様に本開示と互換性がある。
【0038】
検出器は、サンプルとの相互作用後の光の強度を測定し、当該検出器に入射する放射線の強度に応じた信号を生成する。最も単純な場合では、測定波長の光を受光したときの検出器からの信号と、参照波長を光を受光したときの検出器からの信号との間の比を演算することにより、パラメーターの尺度を提供する測定信号が得られる。いくつかの測定波長および/またはいくつかの参照波長が使用されることができ、測定波長および基準波長の信号が、関連するパラメーターを演算するために使用される。
【0039】
本開示は、多孔質サンプルの厚さ、細孔率、密度、および/または単位面積当たりの質量を測定する方法を提供する。有利な実施形態では、多孔質サンプルは、BSFウェブのような搬送する生産ライン上で形成される、リチウムイオンBSFのようなBSFである。実施形態では、搬送されるBSFウェブ上で透過赤外線光が測定される。しかし、本開示が、BSFが製造される方法に限定されないことは理解されるであろう。同様に、実施形態は、非限定的な例としてのみにおいて、BSFに関する。本開示による方法は、通気性フィルム、空隙のある(パール化された)フィルム、またはIR放射線を散乱させる添加剤または充填剤を含むフィルムのような、弾性的に散乱する任意のフィルムに等しく適用可能である。
【0040】
概要として、本開示は、散乱に起因するスペクトルに現れる(または、いくつかの離散的な波長にわたり現れる)ベースラインシフトを利用して、細孔の散乱特性を測定することに関する。
【0041】
図2は、本開示の一実施形態を示す。
【0042】
搬送されるバッテリーフィルムウェブに照射される赤外線光の形式的平行ビームを生成する、NIR−MIR光エンジンまたは送信器が示されている。透過光は受信器により検出される。図2においては、光がウェブの下から照射されるが、送信器と受信器の位置は入れ替えられ得る。
【0043】
より具体的には、図2は、バッテリーセパレーターフィルム201、NIR−MIR光送信器203、およびNIR−MIR光受信器209の断面を示している。NIR−MIR光送信器203とNIR−MIR光受信器209は、バッテリーセパレータフィルム201の面の両側に配置されている。NIR−MIR光送信器203は、バッテリーセパレータフィルム201を照射するように配置され、NIR−MIR光受光器209は、NIR−MIR光送信器203から、バッテリーセパレーターフィルム201を透過した光を受光するように配置される。
【0044】
図2は、バッテリーセパレーターフィルムからの透過したIR放射線の、異なる波長における散乱の差を示している。比較的短波長の光207aは、一般的に比較的大きく散乱し、少ない割合しか受信器により収集されない。比較的長波長の光207bは、対照的に散乱する程度が低く、それゆえ多くの割合が、フィルムを透過したとして受信器により検出される。
【0045】
より具体的には、動作時に、NIR−MIR光送信器203は、NIR−MIR光の平行ビーム205を生成する。本実施形態においては、平行ビーム205の光軸は、バッテリーセパレーターフィルム201の平面に対して実質的に直交している。しかし、他の実施形態においては、平行ビーム205の光軸は、バッテリーセパレーターフィルム201の平面に対して実質的に直交していない。平行ビーム205は、バッテリーセパレーターフィルム201の第1表面211に入射する。平行ビーム205は、バッテリーセパレーターフィルム201により散乱される。図2に示すように、比較的短波長の光207aは、比較的長波長の光207bよりもより多く散乱される。散乱光207a、207bは、バッテリーセパレーターフィルム201の第2表面213から出現する。NIR−MIR受光器209は、バッテリーセパレーターフィルム201の第2表面213から出現する光を受光する。実施形態においては、透過IRスペクトルを得るための特定の光学的配置について記載されているが、サンプルのパラメーターを決定するための下記に説明する方法は、透過IRスペクトルを得るために使用される光学的配置に限定されない。すなわち、以下に説明する方法の目的のために、透過IRスペクトルがどのように得られるかは問題ではない。
【0046】
以下に説明する方法は、第1カテゴリーのゲージおよび第2のカテゴリーのゲージを含む任意のタイプのゲージからのデータを処理するために使用され得る。実施形態においては、以下に説明する方法は、回転フィルターホイール上に実装され、または光エンジン内における他の任意の適切な配置における、事前に指定されたIRフィルターを使用することにより生成された比較的小数の波長のみからなる還元されたスペクトルに適用される。あるいは、(たとえば)フーリエ変換赤外線分光法(FT−R)のような測定技術によって得られる連続NIR−MIRスペクトルを使用できる。
【0047】
概して、BSFの厚さのようなパラメーターを測定するためにIR弾性散乱を利用する2つの方法を以下説明する。共に、BSFの細孔の大きさおよび形態はほぼ一定であると仮定されるが、フィルムの密度(単位体積当たりの細孔の数)は変化する。
散乱影響波長における多変数回帰−「方法I」
要約すれば、BSFにおける弾性散乱に敏感であることが既知のスペクトルの領域におけるIR透過光の様々な波長が測定される(たとえば、ベースラインの変化が最もよく見られるスペクトルの領域)。領域はBSFを構成するポリマーの吸収特徴の特性を含まないように選択される。サンプルの透過率は、これらの波長で測定される。選択的に、これらの波長における透過率のいくつかの比が次に計算される。 これらの測定値または比を用いて、IRスペクトルのこれらの領域における弾性散乱のみに起因するベースラインの変化を測定できる。 実施形態においては、測定値または測定値の比が、カーブフィッティングまたは多変数線形回帰モデルにおける予測因子として使用される。
【0048】
一実施形態においては、比は、非吸収性を有し散乱に影響を受ける波長での透過率の測定値を、非吸収性を有し散乱に影響されない波長での透過率の測定値で割ることによって算出される。
【0049】
より具体的には、第1サンプルの複数の波長におけるIR透過率の測定値を使用し、材料の第1サンプルの未知の第1パラメーターを決定する方法が提供される。第1のパラメーターは、細孔率、密度、および/または厚さに関係または関連(たとえば、単純な線形比例または多項式関係による)する。実施形態においては、第1パラメーターは、複数の波長において示される散乱の量または程度に影響するパラメーターである。さらに代替的な実施形態においては、第1パラメーターは、吸収波長の、厚さ(または密度または気孔率)への回帰から算出される散乱関連パラメーターである。実施形態において、第1パラメーターは、細孔率、密度、および/または厚さである。
【0050】
散乱させるためには、波長は細孔の大きさとほぼ同じ位である必要がある。非限定的な例としては、BSFは、典型的には、30〜1000nmくらいのサイズを有する細孔を含む。BSFによっては、これよりも大きい特徴のものが含まれることがあり、それは、IR光を(形態に依存して)有効に散乱させる。実施形態においては、着目する材料には、30nmくらいより大きい直径の細孔が含まれる。実施形態において、ゲージ(第1波長および第2波長を含む)によって使用される波長は、MIR−NIR領域にある。実施形態において、波長は、1500〜5000nmの範囲内から選択される。対照的に、典型的なX線センサーは、細孔の形態にかかわらず、いかなる細孔からも散乱するには短すぎる0.1nmまでの波長を有する。
【0051】
この方法は、最初に、材料が実質的に吸収を示さない少なくとも2つの波長を決定することを含む。当該2つの波長は、散乱の程度に波長依存性があることから、異なる散乱の程度を示すであろう。第1サンプルのIR透過率は、少なくとも2つの波長において測定される。これらの測定値は、第1パラメーターを算出するために、既知の回帰係数を持つ多変数回帰式において使用される。
【0052】
当業者であれば、多変数回帰式の従属変数を決定するために、既知の回帰係数を含む多変数回帰式を使用する方法を理解している。しかし、完全を期すために、実施形態を被限定的な例としてのみ以下説明する。
【0053】
一実施形態では、多変数回帰式は、
α1lnT1+α2lnT2+...+αilnTi+C=S (1a)
である。
【0054】
ここで、α,α,...,αは回帰係数であり、T1,T2,...,Tiは、第1,第2,...,第i波長におけるそれぞれの透過率の測定値、または第1,第2,...,第i波長における透過率の測定値の比のいずれかであり、Cは一定のオフセットであり、Sは第1サンプルの第1パラメーターである。
【0055】
回帰係数α,α,...,αはサンプルの組成、微細孔の大きさ、微細孔の形態、およびゲージの光学的設計に依存する。 以下に説明する実施形態においては、回帰係数は、キャリブレーションプロセスを通じて実験的に決定される。代替可能な実施形態では、回帰係数はルックアップテーブルから得られる。
【0056】
繰り返しになるが、実施形態は特定の多変数回帰式に関連するが、適用方法によっては他の多変数回帰方程式が適切になり得ることが理解できる。
【0057】
他の実施形態において、多変量回帰式は、
α1.T1+α2.T2+...+αi.Ti+C=S (1b)
である。
【0058】
ここで、α,α,...,αは回帰係数であり、T1,T2,...,Tiは、第1,第2,...,第i波長における透過率の測定値の比であり、Cは一定のオフセットであり、Sは第1サンプルの第1パラメーターである。
【0059】
さらに他の実施形態では、多変数回帰式は、
α11.T1+α21.T2+...+α12.(T1)222.(T2)2+...+α13.(T1)323.(T2)3+...+αij.(Ti)j+C=S (ic)
である。
【0060】
ここで、α11,α21,...,αijは回帰係数であり、T1,T2,...,Tiは、第1,第2,...,第i波長におけるそれぞれの透過率の測定値の比であり、Cは一定のオフセットであり、Sは第1サンプルの第1パラメーターである。
【0061】
さらに他の実施形態では、多変数回帰式は、
α1.T1+α2.T2+...+α11.(T1)222.(T2)2+...+α12.(T1).(T2)+...αij.(Ti)(Tj)+C=S (id)
である。
【0062】
ここで、α11,α21,...,αijは回帰係数であり、T1,T2,...,Tiは、第1,第2,...,第i波長における透過率の測定値の比であり、Cは一定のオフセットであり、Sは第1サンプルの第1パラメーターである。
【0063】
さらに他の実施形態では、多変数回帰方程式は、上記式の混合であり、たとえば、S=(式1a)+(式1d)である。繰り返しになるが、当業者は、既知の回帰係数を含む多変数回帰方程式がどのように従属変数を決定するかを理解するであろう。
【0064】
したがって、材料の第1サンプルの第1パラメーターSを計算する方法であって、材料が実質的に吸収を示さない第1波長および第2波長を決定し、 第1波長における第1サンプルの透過率を測定し、 第2波長における第1サンプルの透過率を測定し、および第1回帰係数を含む第1多変数回帰モデルを使用して第1サンプルの第1パラメーターを計算する段階を有し、第1パラメーターは第1波長および第2波長において第1サンプルによって散乱される放射線の総量に影響するパラメーターである方法が提供される。
【0065】
一実施形態においては、第1波長において第1サンプルの透過率を測定する段階は、第1波長を含む放射線の入射により第1サンプルを照射し、第1波長において第1サンプルを透過する放射線の強度を測定することを含む。同様に、一実施形態においては、第2波長において第1サンプルの透過率を測定する段階は、第2波長を含む放射線の入射により第1サンプルを照射し、第2波長において第1サンプルを透過する放射線の強度を測定することを含む。
【0066】
一実施形態においては、方法は、第2カテゴリーのゲージを使用して実施される。したがって、一実施形態においては、第1波長において第1サンプルの透過率を測定する段階は、第1波長における放射線をフィルタリングすることを含み、および/または第2波長において第1サンプルの透過率を測定する段階は、第2波長における放射線をフィルタリングすることを含む。しかし、ここに記載の方法は、第1カテゴリーのゲージに対しても等しく適用可能であることが理解されよう。
【0067】
フィルタリングは、入射放射線または透過放射線に対して実行され得る。したがって、一実施形態においては、第1波長において放射をフィルタリングする段階は、第1サンプルに入射する放射線および/または第1波長において第1サンプルにより透過される放射線に対して実行される。同様に、一実施形態においては、第2波長において放射線をフィルタリングする段階は、第1サンプルに入射する放射線および/または第2波長において第1サンプルにより透過される放射線に対して実行される。
【0068】
実施形態は、NIR−MIR光およびNIR−MIR光送信器および受信器を非限定的な例としてのみ記載している。散乱される放射線の総量に影響するサンプルパラメーターを決定するための開示された方法は、着目するサンプルが電磁スペクトルの他の部分において波長依存のある散乱を示す場合は、電磁スペクトルのその部分にも等しく適している。
【0069】
一実施形態においては、第1波長および第2波長は、可視および/または赤外波長、選択的に、近赤外および/または中赤外波長である。しかし、開示された方法は、電磁スペクトルの他の帯域における測定値を使用して実施され得ると理解できる。すなわち、本開示は、BSFおよびNIR−MIR測定に限定されない。
【0070】
一実施形態においては、透過率は2つの波長において測定される。一実施形態においては、サンプルは2つの波長のうちの1つのみにおいて入射放射線を散乱させる。すなわち、一実施形態においては、第1波長および/または第2波長の少なくとも一方が散乱影響波長である。他の実施形態では、サンプルは両方の波長で入射放射線を散乱するが、第1波長において第1サンプルにより示される散乱量は、第2波長において第1サンプルにより示される散乱量とは異なる。 選択的に、透過率は追加の波長で測定し得る。
【0071】
繰り返しになるが、第1パラメーターは、サンプルにより散乱される光の量に影響する、サンプルの任意のパラメーターであり得る。回帰係数は、第1パラメーターに基づいて決定または算出されると理解できる。
【0072】
様々な異なるモデルが第1パラメーターの決定に適し得ること、および本開示が、記載された特定のモデルに限定されないことが理解され得る。モデルは、ベースライン勾配の測定を提供する必要がある。一実施形態においては、第1多変数回帰モデルは、第1線形多変数回帰モデルである。
【0073】
一実施形態では、回帰係数は、従来のキャリブレーション方法によって算出される。回帰係数を生成するために、既知の厚さ、単位面積当たりの質量、および密度を有するバッテリーフィルムサンプルのトレーニングセットを使用し得る。応答変数(第1パラメーター)は、搬送されるウェブにおける弾性散乱に依存する量であり、サンプルの既知の厚さおよび単位面積当たりの質量から算出された、フィルムサンプルの密度、または予想される散乱係数であり得る。
【0074】
一実施形態においては、方法は、第1波長において材料の第2サンプルおよび第3サンプルの透過率を測定し、第2波長において第2サンプルおよび第3サンプルを測定し、第2サンプルおよび第3サンプルのそれぞれの第1パラメーターを測定し、および第1多変数回帰モデルの第1回帰係数を算出し、第1波長および第2波長における第2サンプルの透過率の測定値は独立変数であり、第2サンプルの対応する第1パラメーターの測定値は第1多変数回帰モデルの第1式の従属変数であり、第1波長および第2波長における第3サンプルの透過率の測定値は独立変数であり、第3サンプルの対応する第1パラメーターの測定値は第1多変数回帰モデルの第2式の従属変数である、ことにより第1回帰係数を算出することをさらに含む。
【0075】
回帰係数を計算するためのこれらの選択的な段階は、材料の少なくとも第2サンプルおよび第3サンプルの第1パラメーターを測定する段階を特に含む。第2サンプルおよび第3サンプルは、これらのサンプルの第1パラメーターの値が既知であるため、「キャリブレーション」サンプルまたは「トレーニングセット」と呼ばれ得る。第1パラメーターを測定するために採用される方法は、第1パラメーターの性質に依存する。
【0076】
当業者は、回帰係数を決定するために回帰式を解くための方法を理解するであろう。方法に2つの波長比が使用される場合は、2つの回帰係数と一定のオフセット(式1を参照)が存在するため、第1パラメーターの測定値を有する3つのキャリブレーションサンプルが必要となるであろう。これは、3つの未知数(回帰係数と一定のオフセット)決定するためには少なくとも3つの式が必要であるためである。実際には、より多くの数のキャリブレーションサンプルを使用できる。
【0077】
一実施形態では、第1パラメーターSは細孔率であり、第2サンプルおよび/または第3サンプルの第1パラメーターSを測定する段階は、下記式を使用して第2サンプルおよび/または第3サンプルの細孔率を算出することを含む。
【0078】
1−(サンプル密度/材料密度) (2)
ここで、「サンプル密度」は、サンプルの単位面積当たりの質量をサンプルの厚さで割って測定したサンプルの密度であり、「材料密度」は細孔のない材料の既知の密度である。細孔率はパーセンテージとして引用できる。
【0079】
他の実施形態においては、第1パラメーターSは厚さであり、第2サンプルおよび/または第3サンプルの第1パラメーターを測定する段階は、マイクロメーター、選択的に接触マイクロメーターを使用して第2サンプルおよび/または第3サンプルの厚さを測定することを含む。
【0080】
第1波長および第2波長は、その波長において材料が実質的に吸収を示さない波長である。これらの波長は、事前に得られたデータまたは材料の事前知識から特定され得る。実施形態においては、第1波長および第2波長は分光法によって決定される。特に、第1波長および第2波長は、スペクトルの吸収ピークのない特定された領域により決定されてもよい。当業者は、適切な第1波長および第2波長をどのように特定するかを理解するであろう。したがって、本開示は特定の波長に限定されない。
吸収影響波長における多変数回帰
同様の方法を使用して、少なくとも1つの吸収影響波長を用いることによりサンプルの第2パラメーターを決定できる。
【0081】
要約すると、同じトレーニングセットを使用することにより、BSFポリマーの吸収波長を含むが散乱に起因するベースラインシフトの程度が低いスペクトルの領域もまた多変数回帰モデルの予測因子として使用される。応答変数(サンプルの第2パラメーター)は、既知の厚さおよびサンプルの単位面積あたりの質量に基づく、フィルムサンプルの単位面積当たりの質量、または予測される吸収係数であり得る。
【0082】
一実施形態においては、応答変数は、得られた回帰が(吸収波長に基づいているため)正確な結果を与えないという知識の中で、サンプルの厚さ(あるいは、密度または気孔率)であるが、実際の厚さと比較したときの、モデルにより結果として生じる各サンプルの予想厚さにおける誤差が、Sを算出するために使用されることができ、正確に厚さを測定するために必要な補正が要求される。補正係数は、散乱影響波長の回帰式の第1パラメーターとして使用され得る。
【0083】
一実施形態においては、方法は、第2回帰係数を含む第2多変数回帰モデルを使用して第1サンプルの第2パラメーターAを算出する段階をさらに含み、第2パラメーターは、第1サンプルの単位面積当たりの質量g/mに(たとえば、単純な線形比例または多項式関係によって)関連するパラメーターである。 実施形態においては、第2パラメーターは、第1サンプルの単位面積当たりの質量である。第2パラメーターは、任意の数の方法によって単位面積当たりの質量に関係または関連でき、本開示は、この点において実施形態に限定されない。
【0084】
方法は、最初に、材料が異なる吸収度を示す少なくとも2つの波長を決定する。たとえば、一方の波長(「第3波長」)は、サンプルが吸収を示さない波長で、他方の波長(「第4波長」)は、サンプルが比較的大きな吸収量を示す波長であり得る。従前の方法のように、追加の波長を使用してモデルの精度を高め得る。第1サンプルのIR透過率は、これらの少なくとも2つのさらなる波長において測定される。これらの測定値は、既知の第2回帰係数を有する第2多変数回帰式において使用され、第2パラメーターが算出される。
【0085】
したがって、一実施形態においては、方法は、第3波長および第4波長を決定し、第3波長における第1サンプルにより示される吸収量が、第4波長における第1サンプルによって示される吸収量と異なり、第3波長において放射線をフィルタリングするとともに第3波長において第1サンプルの透過率を測定し、第4波長において放射線をフィルタリングするとともに第4波長において第1サンプルの透過率を測定する段階をさらに含む。
【0086】
一実施形態においては、第3波長および第4波長は、散乱に起因するベースラインシフトが比較的少ないスペクトルの領域にある。
【0087】
繰り返しになるが、当業者は、多変数回帰式の従属変数を決定するために、既知の回帰係数を含む多変数回帰モデルを使用する方法を理解する。式1に示すタイプの多変数回帰式が適切である。
【0088】
一実施形態では、第2多変量回帰式は、次の形をとる。
β1lnT1+β2lnT2+...+βnlnTn+C=A (3)
ここで、β,β,...,βは第2回帰係数、T1,T2,...,Tnは、第1、第2、...および第iの波長におけるそれぞれの透過率の測定値であり、Cは一定のオフセットであり、Aは第1サンプルの第2パラメーターである。
【0089】
第2回帰係数、β,β,...,βは、サンプルの組成に依存する。以下説明する実施形態においては、第2回帰係数は、キャリブレーションプロセスを通じて実験的に決定される。他の実施形態においては、第2回帰係数はルックアップテーブルから得られる。
【0090】
吸収波長について、透過放射線T1は、理論的にBeer−LamBertの法則によって与えられる。これは、T1incidentが波長1における入射放射線であれば、T1=T1incidentexp(−kG)であるというものである。ここで、kは材料および波長に依存する吸収定数であり、Gは単位面積あたりのサンプルの質量である。したがって、吸収が赤外線の唯一の損失である場合、式3(すなわち、a log)は、有利には線形応答を提供する。
【0091】
繰り返しになるが、実施形態は特定の多変数回帰式に関連するが、式1b式から式1dに示すような他の多変数回帰式が適切であることが理解され得る。繰り返しになるが、当業者は、回帰係数を決定するために回帰式を解く方法を理解するであろう。
【0092】
第2回帰係数は、同様に、従前のキャリブレーション方法によって算出できる。一実施形態においては、方法は、第3波長において材料の第4サンプルおよび第5サンプルの透過率を測定し、第4波長において第4サンプルおよび第5サンプルの透過率を測定し、第4サンプルおよび第5サンプルのそれぞれの第2パラメーターを測定し、および第2多変数回帰モデルの第2回帰係数を算出し、第3波長および第4波長における第4サンプルの透過率の測定値は独立変数であり、第4サンプルの対応する第2パラメーターの測定値は、第2多変数回帰モデルの第1式の従属変数であり、第3波長および第4波長における第5サンプルの透過率の測定値は独立変数であり、第5サンプルの対応する第2パラメーターの測定値は第2多変量回帰モデルの第2式の従属変数である、ことにより、第2回帰係数を算出する段階をさらに含む。
【0093】
第2回帰係数を算出するためのこれらの選択的な段階は、特に、材料の少なくとも第4サンプルおよび第5サンプルの第2パラメーターを測定する段階を含む。第4サンプルおよび第5サンプルは、これらのサンプルの第2パラメーターの値が既知なので、「キャリブレーション」サンプルまたは「トレーニングセット」と呼ばれ得る。第2パラメーターを測定するために採用される方法は、第2パラメーターの性質に依存する。
【0094】
一実施形態においては、第2パラメーターは、「坪量」または単位面積当たりの質量g/mであり、第4サンプルおよび第5サンプルの第2パラメーターは、既知の領域のサンプルの重さを測ることにより測定される。
【0095】
有利な実施形態においては、第3波長または第4波長は、第1波長または第2波長と同じである。さらなる有利な実施形態においては、第4サンプルおよび/または第5サンプルは、第2サンプルおよび/または第3サンプルと同じである。これらの実施形態は、キャリブレーション量および/または必要とされるキャリブレーション測定数が低減されるため、有利である。
【0096】
一実施形態においては、サンプルの参照厚さは、吸収波長に回帰される。この回帰からの予測値を実際の厚さの参照値と比較することができ−これから、各サンプルの散乱値を算出し得る。これは散乱波長に回帰する「第1パラメーター」である。
2つの多変数回帰モデルからの出力の組み合わせ
次に、BSFの厚さ、単位面積当たりの質量、および密度を得るために、2つの回帰モデルを、後の計算において組み合わせ得る。これを図3に示す。
【0097】
一実施形態においては、方法は、第1サンプルの次のさらなるパラメーター:厚さ、単位面積当たりの質量、密度、および細孔率、の少なくともいずれかを算出するために、算出された第1サンプルの第1パラメーターSを、算出された第1サンプルの第2パラメーターAとを組み合わせる。
【0098】
この組み合わせは単純な乗算または除算の形をとることができる。たとえば、散乱モデルが密度を与え、吸収モデルが単位面積あたりの質量を与える場合、組み合わせ関数は、2つの関数の乗算であり、これにより正確な厚さが得られる。すなわち、一実施形態においては、第1パラメーターが厚さであり、および/または第2パラメーターが単位面積当たりの質量である場合、組み合わせは簡単な乗算または簡単な除算である。
【0099】
一方、組み合わせ関数は、トレーニングセットの厚さおよび単位面積当たりの質量から算出される散乱係数および吸収係数がどのように計算されたかに依存して、厚さ、単位面積、および密度を得るための他の数学的演算を含み得る。
【0100】
さらに、このモデルは、各モデル自体の回帰係数を組み合わせ関数に組み込むことによって、−たとえば、荷重和として散乱係数および吸収係数を加えることによって、特に異なる散乱形態のBSFを含むように拡張され得る。この組み合わせは、異なる形態を有するサンプルの別のトレーニングセットに基づいて、実行されるであろう。
【0101】
一実施形態においては、算出された第1パラメーターを算出された第2パラメーターと組み合わせる段階は、次の積の式を使用して、第1サンプルの厚さ、単位面積当たりの質量、密度、または細孔率Tを算出する段階を含む。
T=a[(Sb+c)(Ad+e)]+f (4a)
ここで、Sは、散乱影響波長モデルからの任意の散乱ベース出力であり、Aは、吸収影響波長モデルからの任意の吸収ベース出力であり、a,b,c,d,e,fは実験的に計算された定数である。
【0102】
散乱パラメーターと吸収パラメーターを組み合わせる他の方法も同様に適している。
他の実施形態においては、積の式は、
T=a[(Sb+c)/(Ad+e)]+f (4b)
または、
T=a[(Ad+e)/(Sb+c)]+f (4c)
である。
実施形態においては、オフセットはゼロであり得る。6つのオフセットを使用する実施形態においては、少なくとも6つのキャリブレーションサンプルが使用される。 実施形態においては、6つを超えるキャリブレーションサンプルが使用される。
【0103】
一例においては、第1パラメーターが密度、第2パラメーターが単位面積当たりの質量、さらなるパラメーターが厚さであり、算出された第1パラメーターを算出された第2パラメーターと組み合わせる段階は、次の積の式を使用して第1サンプルの厚さTを算出することを含む。
T=a{A[(Sb)+c]}+d (4d)
繰り返しになるが、ここで、a,b,c,dは実験的に決定された定数である。
【0104】
これらの式は、非限定的な例としてのみ提供され、散乱パラメーターおよび吸収パラメーターの他の数学的組み合わせが可能であることが理解され得る。
【0105】
実施形態においては、第1パラメーターは、サンプルの吸収により影響されるパラメーター(すなわち、本明細書で言及する「第2」パラメーター)と数学的に組み合わされるパラメーターであり、細孔率または密度または厚さの尺度を提供する。実施形態においては、第2パラメーターは、吸収影響波長に関する回帰モデルから決定される、細孔率、密度、または厚さの推定値であり、細孔率、密度、または厚さの正確な測定値を提供するために、散乱影響波長に基づく回帰モデルからの出力との組み合わせを要求する。
【0106】
一例においては、第1パラメーターは、次の段階を実行することで算出される。(1)既知の厚さ(または細孔度または密度)のサンプルを採取し、(2)厚さ(または細孔度または密度)を吸収波長へ回帰し、−これから吸収回帰係数および各サンプルについて予測された厚さを算出し、(3)式4(またはパラメーターを組み合わせる他の方法)を逆に使用して、(式4を使用した組み合わせにより正確な厚さを読んだ後に)吸収波長モデルから予測される厚さ(または細孔率または密度)のために、各サンプルに要求される第1パラメーターを算出し、(4)段階3から算出された散乱パラメーターを取得して、これを散乱波長に回帰させる(これから散乱関連回帰係数を算出する)。
散乱影響波長に基づいて測定を行う他の方法−「方法II」
一実施形態においては、サンプルにおける散乱の程度を測定するための他の方法が用いられる。この方法は、散乱影響波長に関する多変数回帰の方法である上記方法Iの代替方法である。この方法の出力は、上述したのと同じ方法で、吸収影響波長に関する多変数回帰と組み合わせることができる。
【0107】
この方法は、多重散乱補正「MSC」に基づくが、同じ原理が、拡張多重散乱補正(EMSC)、逆散乱補正(ISC)、拡張逆散乱補正(EISC)、標準正規変量(SNV)、および光学距離推定および補正(OPLEC)のような他の散乱補正モデルに使用できる。これらの技術は、通常、第1カテゴリーのゲージとともに採用され得るが、実施形態においては、方法IIが、第2カテゴリーのゲージからの測定(すなわち、離散波長において行われる一連の測定)で使用される。
【0108】
MSCは、散乱効果が、「典型的」吸収スペクトルからの偏差としてモデル化できると仮定する。バッテリーフィルムのサンプルの吸収スペクトル(A)は、変換A=ln(1/T)により、その透過率(T)スペクトルから得られ得る。「典型的」スペクトル(ベクトルとして表されるm)はBSFの多くの異なるサンプルの吸収スペクトルを平均化することから近似でき、または、たとえば時間とともに測定される搬送されるBSFウェブのローリングアベレージスペクトルであり得る。いずれのスペクトル測定X(iはサンプルナンバーで、Xは吸収スペクトル)は、次のように近似できる。
Xi〜ai+bixm (5)
したがって、Xを平均の「典型的」スペクトルmに線形回帰することにより、パラメーターaおよびbを推定できる。従来のMSCにおいては、次の式を使用して必要としない散乱効果を除外する。
Xcorr=(Xi-ai)/bi (6)
要約すると、MSCを使用して散乱を除外する代わりに、BSFにおける散乱の程度の尺度として乗算係数bを取得する。したがって、パラメーターbはフィルムサンプルの厚さおよび/または密度を測定するために使用できる−スペクトルの領域における吸収特性に基づいて、直接に、または上記のサンプルの単位面積当たりの質量の従来の測定と組み合わされて、のいずれかで。
すなわち、実施形態においては、MSC散乱補正パラメーターが、搬送されるウェブにおける散乱を(単に補正するというよりも)定量化するために使用される。
一実施形態においては、パラメーターbは、アーカイブスペクトルの平均セット(m)に対して測定されるサンプルのスペクトル(Xi、少なくとも2つの波長における)をプロットするx−yチャートの傾きから見出される。本実施形態においては、パラメーターbは、測定されるサンプルの(散乱に起因する)、スペクトルの傾きの単純な尺度である。
【0109】
したがって、bはサンプルによってどれだけの光が散乱されるかを反映するパラメーターであることが理解され得る。すなわち、上述した散乱パラメーターSと同様に、パラメーターbもまた、厚さ、細孔率、および/または密度に関連する。 したがって、パラメーターbは、単純な線形関係または多項式関係を介してSに関連し得る。実施形態においては、パラメーターbがSの代替として使用される。
【0110】
さらなる実施形態においては、MSCは、測定される、BSFの各サンプルの吸収スペクトルの従前の知識を含むことにより拡張される(EMSC)。本実施形態では、散乱のない各サンプルの仮想吸収スペクトルがモデル化される。これは、既知の単位面積当たりの質量を有し、微細孔を有さず、BSFがそこから作られる、ポリマーの非散乱サンプルの吸収スペクトルを使用することによりなされる。次に、これは、測定されるBSFサンプルの単位面積当たりの質量によりスケーリングされる。この単位面積当たりの質量の値は、散乱の影響を受けないことが知られているスペクトルの領域における吸収特性の測定により得られる。
【0111】
したがって、材料の第1サンプルの第1パラメーターSを算出する他の方法が提供され、方法は、材料のサンプルの典型的なスペクトルを決定し、第1サンプルのスペクトルを得て、得られたスペクトルの平均スペクトルからの偏差を定量化し、および定量化された偏差を第1のパラメーターSの尺度として使用することを含む。
【0112】
一実施形態においては、材料の典型的なスペクトルを決定する段階には、選択的に、材料の搬送されるサンプル上で測定されるスペクトルのローリング時間平均測定値を採用することにより、材料の複数のサンプルの測定されたスペクトルを平均することを含む。一実施形態においては、搬送されるサンプルはBSFの搬送されるウェブである。
【0113】
「典型的スペクトル」はまた、「平均スペクトル」であると説明され得る。一実施形態においては、典型的なスペクトルはまた、吸収波長をモデル化するために、第1サンプルの単位面積当たりの既知の質量に基づいてスケーリングされた同じポリマー材料の非散乱サンプルのスペクトルをも含む。一実施形態においては、偏差を定量化する段階は、典型的なスペクトルと第1サンプルのスペクトルとを比較することにより散乱補正パラメーターを取得することを含む。一実施形態においては、定量化された偏差を使用する段階は、通常は散乱を補正するために使用された後に破棄される散乱補正パラメーターを、それに代えて第1パラメーターSを定量化するために使用する段階を含む。
【0114】
他の実施形態においては、散乱Sを測定するためのオフセットであるa iを、それ自身でまたはb iと組み合わせて使用する。
結果例
図4は、BSFのサンプルの、いくつかの実際の厚さと、スケーリングされた単位面積当たりの質量のプロットを示す。単位面積当たりの質量は一定面積のサンプルを計量することにより得た。値は一定の係数によりスケーリングした。厚さは接触マイクロメーターで測定した。
【0115】
既に説明したように、現在の搬送されるウェブの「厚さ」測定は、フィルムの単位面積当たりの質量を測定するのみであり、厚さが直線的に関連している(すなわち、フィルムが一定の密度を有する)と仮定している。 図4は、これがBSFには当てはまらないことを示している。 単位面積当たりの質量の測定が完全であっても、「厚さ」を推定する単位面積当たりのスケーリングされた質量の測定は、真の厚さを表さない。
【0116】
図5および図6は、上述した方法Iおよび方法IIを使用して、接触マイクロメーター厚さに対する我々の散乱ベースの赤外線測定値をプロットしている。いずれの場合も、(単位面積当たりの質量の測定値のスケーリングに基づく)現在の厚さ測定の方法よりも、真の厚さの良好な測定値を与えるように見える。
【0117】
実施形態においては、BSFの密度の測定にも、方法Iおよび方法IIが、直接に、または従来の単位面積当たりの質量の測定値と組み合わせることにより、使用される。
【0118】
実施形態においては、着目する材料はバッテリーセパレーターフィルムであり、選択的に、リチウムイオンバッテリーセパレータフィルムである。 しかし、この方法は、透過率の測定が行われ得る任意の多孔質試料に同様に適用可能であると理解できる。
【0119】
態様および実施形態は上述されているが、本明細書で開示される本発明の概念から逸脱することなく変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6