特許第6976402号(P6976402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6976402吸収性物品および吸収性物品を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976402
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】吸収性物品および吸収性物品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/476 20060101AFI20211125BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20211125BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   A61F13/476
   A61F13/56 110
   A61F13/15 390
   A61F13/15 356
   A61F13/15 357
   A61F13/15 360
【請求項の数】26
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-500129(P2020-500129)
(86)(22)【出願日】2018年7月5日
(65)【公表番号】特表2020-526296(P2020-526296A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(86)【国際出願番号】EP2018068232
(87)【国際公開番号】WO2019008090
(87)【国際公開日】20190110
【審査請求日】2020年2月28日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/067068
(32)【優先日】2017年7月7日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/067071
(32)【優先日】2017年7月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エシティ・ハイジーン・アンド・ヘルス・アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ブロムストレーム
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−104089(JP,A)
【文献】 特開2013−220225(JP,A)
【文献】 特開2009−213719(JP,A)
【文献】 特表平05−506799(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01208823(EP,A1)
【文献】 特開2015−100502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体浸透性表シート(3)、液体不浸透性裏シート(4)、および前記表シート(3)と前記裏シート(4)との間に挟まれる吸収性芯材(5)を有する主本体(2)を備える吸収性物品(1)であって、前記主本体(2)は、縦軸(Y1)と、前記縦軸(Y1)に対して垂直な方向に延びる横軸(X1)とに沿って配置され、前記主本体(2)は前部分(6)、後部分(7)、および股部分(8)を画定し、前記物品(1)は第1の羽根部(9)および第2の羽根部(10)を備え、前記第1の羽根部(9)および前記第2の羽根部(10)が、前記主本体(2)の前記股部分(8)から外方に、前記縦軸(Y1)に関して非対称に反対方向へ且つ前記横軸(X1)に概ね沿って延び、前記羽根部(9、10)には、前記主本体(2)に重なるように前記縦軸(Y1)に向けて折り畳まれるときに前記羽根部(9、10)を衣服に留め付けるように構成される留め付け手段(11、12)が設けられ、
各々の羽根部(9、10)に、円の少なくとも1つの弧(30)を画定する外側縁(14)が形成され、前記弧は、前記外側縁(14)の区域(31)と一致すると共に規定された半径(r)を有し、前記区域(31)は、前記弧(30)が前記外側縁(14)ともはや一致しない1の点(29)と第2の点(32)との間で前記外側縁(14)に沿って延び、前記半径(r)は40〜500mm範囲内であり、前記外側縁(14)は、前記第1の点(29)を横方向の最も外側の点(29)の形態で含み、前記区域(31)は前記最も外側の点(29)から前記第2の点(32)まで延びることを特徴とする吸収性物品(1)。
【請求項2】
前記外側縁(14)は円の2つ以上の弧(30a、30b)を画定し、前記弧(30a、30b)の各々は、湾曲した形とされた区域(31a、31b)を画定し、規定された半径(ra、rb)を有し、前記第1の半径(ra)と前記第2の半径(rb)とは両方とも40〜500mm範囲内にある、請求項1に記載の吸収性物品(1)。
【請求項3】
前記外側縁(14)は少なくとも1つの真っ直ぐな区域(36)を含む、請求項2に記載の吸収性物品(1)。
【請求項4】
前記半径(r; ra、rb)は50〜400mm範囲内にある、請求項1から3のいずれか一
に記載の吸収性物品(1)。
【請求項5】
前記半径(r; ra、rb)は50〜300mm範囲内にある、請求項3に記載の吸収性物品(1)。
【請求項6】
各々の羽根部(9、10)は、前記第1の点(29)と前記第2の点(32)との間に第1の直線(20)を画定し、上方縁区域(21)に沿って第2の直線(21a)を画定し、前記第1の線(20)は前記縦軸(Y1)に対して第2の角度(α2)を画定し、前記第2の線(21a)は前記縦軸(Y1)に対して第3の角度(α3)を画定し、各々の角度(α2、α3)の大きさは、α2<α3、またはα2>α3、またはα2=α3となるように選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項7】
前記第2の角度(α2)の大きさは10°<α2<65°となるように選択される、請求項6に記載の吸収性物品(1)。
【請求項8】
前記第3の角度(α3)の大きさは60°<α3<120°となるように選択される、請求項6または7に記載の吸収性物品(1)。
【請求項9】
各々の羽根部(9、10)に、前記留め付け手段(11、12)とさらなる縁(21、23)との間に把持タブを構成する領域(24、25)が形成される、請求項6から8のいずれか一項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項10】
前記羽根部(9、10)は、0°を超えるが45°未満である前記横軸(X1)に対する第1の角度(α1)を画定する共通の直線(13)に概して沿って延びる、請求項1から9のいずれか一項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項11】
前記第1の角度(α1)は10°〜35°の範囲内である、請求項10に記載の吸収性物品(1)。
【請求項12】
前記直線(13)は、前記第1の羽根部(9)の前記外側縁(14)における前記第1の点(29)と、前記第2の羽根部(10)の前記外側縁(15)における対応する点(33)との間で延びる、請求項10または11に記載の吸収性物品(1)。
【請求項13】
前記第1の点(29)および前記対応する点(33)は、対応する前記外側縁(14、15)に沿う横方向で最も外側の点によって構成される、請求項12に記載の吸収性物品(1)。
【請求項14】
前記第1の羽根部(9)は第1の留め付け手段(11)を支持し、前記第2の羽根部(10)は第2の留め付け手段(12)を備え、前記第1の留め付け手段(11)および前記第2の留め付け手段(12)は前記物品の方向において互いにずれている、請求項1から13のいずれか一項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項15】
前記留め付け手段(11、12)は、製造の間、剥離層(38)によって覆われる、請求項1から14のいずれか一項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項16】
各々の羽根部(10)の前記外側縁(15)と前記縦軸(Y1)との間に画定されるような第1の距離(d1)が40〜100mmの範囲にある、請求項1から15のいずれか一項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項17】
前記第1の羽根部折り畳み縁(26)と、対応する前記外側縁(15)との間で画定されるような第2の距離(d2)が20〜60mmの範囲にある、請求項16に記載の吸収性物品(1)。
【請求項18】
各々の羽根部(9、10)が前記物品(1)の使用中に折られ得る第2の羽根部折り畳み縁(26a)が画定され、前記第2の羽根部折り畳み縁(26a)は、前記主本体の全長の10〜80%の範囲内でる長さを有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項19】
前記吸収性芯材(5)の各々の縦辺は、前記縦軸(Y1)と概して平行である芯材縁(27)を少なくとも一部画定する、請求項1から18のいずれか一項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項20】
前記吸収性芯材(5)は、前記主本体(2)の前記外側縁に概して付随し、前記吸収性芯材(5)の周辺全体に沿って概して等しい幅である前記主本体の縁領域(28)を画定する、請求項1から19のいずれか一項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項21】
前記留め付け手段(11、12)は、前記羽根部(9、10)の各々において接着剤材料を支持する1つまたは複数の領域の形態である、請求項1から20のいずれか一項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項22】
前記領域は、概して矩形であり、前記物品(1)の方向において互いに対してずらされるように各々の羽根部(9、10)において位置決めされる、請求項21に記載の吸収性物品(1)。
【請求項23】
前記領域(11、12)は、各々の対応する羽根部(9、10)の横方向の全長に概して沿って延びるように配置される、請求項21または22に記載の吸収性物品(1)。
【請求項24】
前記羽根部(9、10)に、前記留め付け手段(11、12)とさらなる縁(21、23)との間に把持タブを構成する領域(24、25)が形成される、請求項21から23のいずれか一項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項25】
前記裏シート(4)の衣服に面する側において前記主本体(2)に沿って位置決めされるさらなる留め付け手段(18)を備える、請求項1から24のいずれか一項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項26】
縦軸(Y1)に沿う縦延長部と横軸(X1)に沿う横延長部とを有する吸収性物品(1)を製造するための方法であって、前記物品(1)は前部分(6)、後部分(7)、および股領域(8)を画定し、前記方法は、
液体浸透性表シート(3)を準備し、液体不浸透性裏シート(4)を準備し、前記表シート(3)と前記裏シート(4)との間に吸収体本体(5)を挟むことで主本体(2)を形成するステップと、
前記主本体(2)から外方に、前記縦軸(Y1)に関して非対称に反対方向へ且つ前記横軸(X1)に概ね沿って延びるように構成される第1の羽根部(9)および第2の羽根部(10)を形成するステップと、
前記羽根部(9、10)に、前記主本体(2)に重なるように前記縦軸(Y1)に向けて折り畳まれるときに前記羽根部(9、10)を衣服に留め付けるための留め付け手段(11、12)を設けるステップと
含み、
各々の羽根部(9、10)に、円の少なくとも1つの弧(30)を画定する外側縁(14)を形成するステップであって、前記弧は、前記外側縁(14)の区域(31)と一致すると共に規定された半径(r)を有する、ステップと、
前記弧(30)が前記外側縁(14)ともはや一致しない1の点(29)と第2の点(32)との間で前記外側縁(14)に沿って延びるように前記区域(31)を形成するステップと、
前記半径(r)が40〜500mm範囲内となるように各々の羽根部(9、10)を形成するステップと、
前記外側縁(14)が前記第1の点(29)を横方向の最も外側の点(29)の形態で含み、前記区域(31)が前記最も外側の点(29)から前記第2の点(32)まで延びるように、各々の羽根部(9、10)を形成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体浸透性表シート、液体不浸透性裏シート、および前記表シートと前記裏シートとの間に挟まれる吸収性芯材を有する主本体を備える吸収性物品であって、前記主本体は、縦軸と、縦軸に対して垂直な方向に延びる横軸とに沿って配置され、前記主本体は前部分、後部分、および股部分を画定し、前記物品は、主本体の前記股部分から、縦軸に関して非対称に反対方向へ外方に、概して前記横軸に沿って延びる第1の羽根部および第2の羽根部を備え、前記羽根部には、主本体に重なるように前記縦軸に向けて折り畳まれるときに前記羽根部を衣服に留め付けるように構成される留め付け手段が設けられる、吸収性物品に関する。
【0002】
本開示は、縦軸に沿う縦延長部と横軸に沿う横延長部とを有する吸収性物品を製造するための方法であって、前記物品は前部分、後部分、および股領域を画定する、方法にも関する。さらに、方法は、液体浸透性表シートを準備し、液体不浸透性裏シートを準備し、前記表シートと前記裏シートとの間に吸収体本体を挟むことで主本体を形成するステップと、前記主本体から反対方向へ外方に、概して前記横軸に沿って延びるように構成される第1の羽根部および第2の羽根部を形成するステップと、前記羽根部に、前記主本体に重なるように前記縦軸に向けて折り畳まれるときに前記羽根部を衣服に留め付けるための留め付け手段を設けるステップとを含む。
【背景技術】
【0003】
例えば生理用ナプキンおよびパンティライナの形態での吸収性物品がよく知られている。このような吸収性物品の大まかな目的は、様々な種類の身体浸出液を吸収、分散、および保管する一方で、吸収性物品の使用中に高水準の快適性および乾いている感覚を着用者に提供することである。また、このような吸収性物品は、着用者が身体浸出液によって布地を汚してしまうことを防止するように構成される。
【0004】
従来の生理用ナプキンは、液体浸透性表シート、液体不浸透性裏シート、および表シートと裏シートとの間に挟まれる吸収性芯材を備える主本体で通常は設計されている。主本体は、縦軸と、縦軸に対して垂直な方向に延びる横軸とに沿って配置される。
【0005】
さらに、生理用ナプキンの形態での吸収性物品には、2つの羽根部、つまり、主本体から反対方向へ外方に、概して横軸に沿って延びる2つの羽根形の留め付け要素がしばしば設けられる。羽根部の目的は、使用者の下着への生理用ナプキンの留め付けを可能にすることである。そのために、羽根部は、主本体に重なるように前記縦軸に向けて折り畳まれるように配置される。下着への生理用ナプキンの留め付けを可能にするために、各々の羽根部には、接着剤材料などの留め付け手段が提供される。このようにして、生理用ナプキンは、使用中に下着における所定位置で取り付けおよび保持され得る。
【0006】
先行技術によれば、生理用ナプキンの羽根部は、対称に形成でき、つまり、生理用ナプキン全体がその縦軸に関して対称である輪郭を画定すると言えるように形成できる。代替で、羽根部が縦軸に関して非対称に形成できることも知られている。
【0007】
前述の種類の非対称の羽根部を有する先に知られている吸収性物品が、米国特許第5401268号の特許文献から知られている。この文献は、ナプキンの縦縁の両側に沿って非対称に配置される2つの羽根部を有する生理用ナプキンを示している。
【0008】
米国特許第5401268号に開示されている羽根部は、2つの三角形部分から形成され、それらの部分の底辺に半円形の刻み目および各三角形部分の頂部にも丸い切込みを備える。米国特許第5401268号に示されている羽根部の目的は、生理用ナプキンを下着に固定するために比較的大きな表面を提供することである。
【0009】
米国特許第5401268号に開示されている物品が、羽根形の留め付け要素の設けられた吸収性物品に関する基本的な要件を満たしているにもかかわらず、この技術の分野内でさらなる向上が求められている。初めに、具体的には着用者のための快適性を向上させるように、羽根部がナプキンを下着にしっかりと取り付けるように構成されなければならないという要件がある。これは、羽根形の要素の取り付けが、下着における何らかの望ましくないせん断力、または下着への物品の留め付けの不安定性の何らかの他の原因を引き起こしてはならないことを意味する。
【0010】
また、羽根部を形成するための方法を含め、この種類の製品のためのよりコスト効果のある製造方法を提供するために、継続的な努力が行われている。
【0011】
具体的には、各々の羽根部における接着剤を備えた留め付け手段のより最適な使用を提供するための要件が増加している。この点において、吸収性物品の製造者は、各々の羽根部に適用される接着剤材料の帯片を使用することにしばしば限られている。このような工程では、十分な量の接着剤を使用するが、同時に、比較的高いコストをもたらすと考えられている剥離紙の使用を最小限にする必要がある。
【0012】
さらに、接着剤材料は、別の方法で不快感をもたらし得る不要な力を使用者の衣服に生じさせないように、羽根部において使用されなければならない。
【0013】
さらに、前述の種類の吸収性物品を製造する従来の手法は、真っ直ぐな縁を伴う切断作業に大部分を依存するという欠点を有している。このような真っ直ぐな縁は、使用者の快適性にとって常に最適とは限らない可能性がある。
【0014】
さらに、非対称に配置された羽根部を伴う吸収性物品を設計する従来の方法は、物品が使用されるときに使用者が羽根部を他の羽根部に重ねて折り畳んでしまい、つまり、そのため、第1の羽根部における接着剤が(使用者の下着に配置される代わりに)第2の羽根部の裏側に位置決めされるという危険性をもたらし、それが欠点である。
【0015】
結果的に、技術の関連分野内においてさらなる向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5401268号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本開示によれば、この分野内の先行技術に関する前述の問題を解決する目的を伴う吸収性物品が提供される。具体的には、物品は、高水準の快適性を着用者に提供する一方で必要な吸収特性も提供するために、下着への生理用ナプキンのしっかりとして安定した取り付けを提供するように構成される。また、本開示は、生理用ナプキンのためのコスト効果のある製造工程に寄与することと、使用者が使用中に羽根部を他の羽根部に重ねて折り畳んでしまい、つまり、そのため、第1の羽根部における接着剤が使用者の下着の代わりに第2の羽根部の裏側に位置決めされるという危険性を低減することとに寄与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本開示によれば、この目的は、液体浸透性表シート、液体不浸透性裏シート、および前記表シートと前記裏シートとの間に挟まれる吸収性芯材を有する主本体を備える吸収性物品であって、前記主本体は、縦軸と、縦軸に対して垂直な方向に延びる横軸とに沿って配置され、前記主本体は前部分、後部分、および股部分を画定し、前記物品は第1の羽根部および第2の羽根部を備え、前記第1の羽根部および前記第2の羽根部が、主本体の前記股部分から外方に、縦軸に関して非対称に反対方向へ且つ前記横軸に概ね沿って延び、前記羽根部には、前記主本体に重なるように前記縦軸に向けて折り畳まれるときに前記羽根部を衣服に留め付けるように構成される留め付け手段が設けられる、吸収性物品を用いて達成される。さらに、各々の羽根部に、円の少なくとも1つの弧を画定する外側縁が形成され、弧は、前記外側縁の区域と一致すると共に規定された半径を有し、前記区域は、前記弧が前記外側縁ともはや一致しない前記外側縁における第1の点と第2の点との間で前記外側縁に沿って延び、前記半径は40〜500mmの間隔の範囲内である。
【0019】
本開示は特定の利点を提供する。初めに、本開示は、着用者の下着において所定位置でしっかりと合わせられて保持されるという生理用ナプキンにおける要件を満たす。具体的には、本開示は、羽根部に提供される利用可能な接着剤の比較的大きな部分が、生理用ナプキンの使用中、生理用ナプキンの対称の縦軸の近くに位置決めされるという事実のため、提供される。
【0020】
さらに、円の前述の弧を伴う外側縁を含む本開示による羽根部の構成は、使用中に使用者が羽根部を他の羽根部に重ねて折り畳んでしまい、そのため第1の羽根部における接着剤が第2の羽根部の上に位置決めされるという危険性が低減されるという本発明のさらなる利点をもたらす。羽根部が先に画定されたような円弧形の外縁で形成されるという事実は、この危険性を最小限にする。
【0021】
吸収性物品は、前記外側縁は、第1の点を横方向の最も外側の点の形態で含み、前記区域は、前記弧が前記外側縁ともはや一致しない前記最も外側の点から前記第2の点まで前記外側縁(14)に沿って延びるように構成され得る。
【0022】
前記外側縁は円の2つ以上の弧を画定してもよく、前記弧の各々は、湾曲した形とされた区域を画定し、規定された半径を有し、前記第1の半径と前記第2の半径とは両方とも40〜500mmの間隔の範囲内にある。別の実施形態によれば、吸収性物品は、半径が50〜400mmの間隔の範囲内にあるように構成され得る。さらに、半径は50〜300mmの間隔の範囲内にあり得る。
【0023】
さらに、前記外側縁は少なくとも1つの真っ直ぐな区域を含み得る。本開示によれば、真っ直ぐな区域は、600mmを超える半径を有する湾曲した形とされた区域を画定する区域として画定される。
【0024】
各々の羽根部は、第1の点と第2の点との間に第1の直線を画定し、上方縁区域に沿って第2の直線を画定するように構成されてもよく、第1の線は縦軸に対して第2の角度(α2)を画定し、第2の線は縦軸に対して第3の角度(α3)を画定し、各々の角度(α2、α3)の大きさは、α2<α3、またはα2>α3、またはα2=α3となるように選択される。
【0025】
吸収性物品は、前記第2の角度(α2)の大きさが10°<α2<65°となるように選択されるように構成され得る。
【0026】
吸収性物品は、前記第3の角度(α3)の大きさが60°<α3<120°となるように選択されるように構成され得る。
【0027】
さらに、各々の羽根部に、前記留め付け手段とさらなる縁との間に把持タブを構成する領域が形成され得る。
【0028】
羽根部は、0°を超えるが45°未満である前記横軸に対する第1の角度(α1)を画定する共通の直線に概して沿って延び得る。直線は、第1の羽根部の外側縁における前記第1の点と、第2の羽根部の外側縁における対応する点との間で延び得る。第1の点および前記対応する点は、対応する外側縁に沿う横方向で最も外側の点によって構成され得る。第1の角度(α1)は間隔10°〜35°の範囲内であり得る。
【0029】
さらに、吸収性物品は、第1の羽根部が第1の留め付け手段を備え、第2の羽根部は第2の留め付け手段を備えるように構成されてもよく、前記第1の留め付け手段および第2の留め付け手段は物品の縦方向において互いにずれてもよい。
【0030】
留め付け手段は、製造の間、剥離層によって覆われてもよい。
【0031】
また、各々の羽根部の外側縁と縦軸との間に画定されるような第1の距離が40〜100mmの範囲にあり得る。
【0032】
また、第1の羽根部折り畳み縁と、対応する外側縁との間で画定されるような第2の距離が20〜60mmの範囲にあり得る。
【0033】
さらに、各々の羽根部が物品の使用中に折られ得る第2の羽根部折り畳み縁が画定されてもよく、主本体の全長の間隔10〜80%の範囲内で、好ましくは主本体の全長の間隔25〜65%の範囲内である長さを有し得る。
【0034】
また、吸収性物品は、吸収性芯材の各々の縦辺が、縦軸と概して平行である芯材縁を少なくとも一部画定するように構成され得る。
【0035】
吸収性芯材は、主本体の外側縁に概して付随し、吸収性芯材の周辺全体に沿って概して等しい幅である主本体の縁領域を画定し得る。
【0036】
留め付け手段は、1つまたは複数の留め付け領域の形態であり得る。留め付け手段は、前記羽根部の各々において接着剤材料を備える1つまたは複数の領域の形態であり得る。
【0037】
領域は、概して矩形であってよく、物品の縦方向において互いに対してずらされるように各々の羽根部において位置決めされ得る。
【0038】
また、領域は、各々の対応する羽根部の横方向の全長に概して沿って、または各々の対応する羽根部の横方向の全長の一部だけに沿って延び得る。
【0039】
さらに、前記羽根部に、前記留め付け手段とさらなる縁との間に把持タブを構成する領域が形成され得る。
【0040】
また、吸収性物品は、前記裏シートの衣服に面する側において主本体に沿って位置決めされるさらなる留め付け手段を備え得る。
【0041】
さらに、縦軸に沿う縦延長部と横軸に沿う横延長部とを有する吸収性物品を製造するための方法であって、前記物品は前部分、後部分、および股領域を画定し、前記方法は、液体浸透性表シートを準備し、液体不浸透性裏シートを準備し、前記表シートと前記裏シートとの間に吸収体本体を挟むことで主本体を形成するステップと、前記主本体から外方に、縦軸に関して非対称に反対方向へ且つ前記横軸に概ね沿って延びるように構成される第1の羽根部および第2の羽根部を形成するステップと、前記羽根部に、前記主本体に重なるように前記縦軸に向けて折り畳まれるときに前記羽根部を衣服に留め付けるための留め付け手段を設けるステップとを含む、方法が提供される。さらに、方法は、以下のステップ、すなわち、各々の羽根部に、円の少なくとも1つの弧を画定する外側縁を形成するステップであって、前記弧は、前記外側縁の区域と一致すると共に規定された半径を有する、ステップと、前記弧が前記外側縁ともはや一致しない外側縁における第1の点と第2の点との間で前記外側縁(14)に沿って延びるように前記区域を形成するステップと、前記半径が40〜500mmの間隔の範囲内となるように各々の羽根部を形成するステップとを含む。
【0042】
本開示のさらなる利点および有利な特徴は、以下の記載および従属請求項において開示されている。
【0043】
本発明は、添付の図面において示された図を参照して以下においてより詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の実施形態による生理用ナプキンの形態で吸収性物品の上方からの図である。
図1A図1による物品の拡大部分の図である。
図2】生理用ナプキンの断面図である。
図3】製造されたときの状態での図1および図2に示された生理用ナプキンの上方からの図である。
図4】本発明のさらなる実施形態を示す図である。
図5】本発明のさらなる実施形態を示す図である。
図5A図5による物品の拡大部分の図である。
図6】本発明のさらなる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本開示の異なる態様が、添付の図面を参照して以後においてより完全に記載されている。しかしながら、本明細書で開示されている実施形態は、多くの異なる形態で実現でき、本明細書において明記された態様に限定されるとして解釈されるべきではない。
【0046】
図1を最初に参照すると、本開示の実施形態によって製造された生理用ナプキン1の形態で吸収性物品の上方からの図が示されている。生理用ナプキン1は、着用者からの身体浸出液を吸収するための吸収性構造に基づく。
【0047】
図1から、生理用ナプキン1が、液体浸透性表シート3と液体不浸透性裏シート4とを伴う主本体2を備えることが、理解できる。生理用ナプキン1は、表シート3と裏シート4との間に挟まれる吸収性芯材5も備える。表シート3は、生理用ナプキン1の表面、つまり、着用者に面する側に配置される。裏シート4は、生理用ナプキン1の裏面、つまり、着用者の下着(図示せず)に面する側に配置される。さらに、表シート3と裏シート4との両方が、主本体2の外周全体に沿って吸収性芯材5の外側で側方に延びている。
【0048】
図1に示された吸収性芯材は、実質的に矩形の設計を有する。しかしながら、吸収性芯材はこの具体的な設計に限定されず、本開示の範囲内において概して任意の幾何学的形態で形成され得る。
【0049】
さらなる実施形態によれば、1つまたは複数の追加の層が吸収性物品1において設けられてもよい。例えば、捕獲層が吸収性芯材5と表シート3との間に配置されてもよい。このような追加の層は、例えば、液体捕獲層および液体吸収層として作用するために吸収性物品において使用され得るエアレイド層、スパンレース層、高ロフトの発泡体または任意の他の種類の材料の層の形態であり得る。捕獲層は、吸収性芯材によって吸収される前に排出された液体を素早く受け入れて一時的に保管するように適合される。このような捕獲層は、例えば、エアレイド不織布、スパンレース不織布、高ロフト不織布、または発泡材料から成り得る。エアレイド不織布は綿毛、木材パルプで製作でき、ここでは、綿毛繊維が素早く移動する空気流へと分散させられ、圧力および吸引を用いて移動する網へ凝集させられる。織物が、パルプの分散させられた樹脂および/または熱可塑性樹脂と結合させられ得る。織物は、(熱による)熱結合、(接着剤による)ラテックス結合、または複合結合(熱結合およびラテックス結合の組み合わせ)、または機械的結合(水素による高圧縮高温の結合)され得るエアレイド不織布の坪量は、例えば50〜100gsmであり得る。
【0050】
表シート3、裏シート4、および吸収性芯材5は、以下においてさらに詳細に説明されているように、それらの具体的な目的に適した任意の材料から成り得る。また、前述の層3、4、5は、接着剤、熱結合、または超音波結合などを用いる任意の従来の手段によって、互いに連結され得る。
【0051】
さらに、図面には示されていないが、生理用ナプキン1は、生理用ナプキン1の水平面に沿って見られるとき、つまり鉛直方向において異なる層で構成されることに加えて、異なる材料層、密度、または材料成分を有するように構成されてもよい。
【0052】
図1に示されているように、生理用ナプキン1は、縦軸Y1に沿った縦延長部と、横軸X1に沿った横延長部とを有する。さらに、生理用ナプキン1は、前部分6、後部分7、および股部分8へと分けられると言える。前部分6は、生理用ナプキン1の使用中、着用者のお腹に向かう方向に向けられるように意図されている。
【0053】
さらに、実施形態によれば、生理用ナプキン1には、ナプキン1を着用者の下着に留め付けるように構成された2つの留め付け羽根部9、10または留め付けタブが形成されている。より正確には、生理用ナプキン1は、各々が主本体2から反対方向で外向きに延びる第1の羽根部9および第2の羽根部10を備える。羽根部9、10は、概して横軸X1の方向に沿って延びている。また、羽根部9、10には留め付け手段11、12が設けられており、留め付け手段11、12は、実施形態によれば、羽根部9、10が縦軸Y1に向かう方向において主本体2の下へ折り畳まれるときに羽根部9、10を下着に留め付けるように構成される1つまたは複数の接着領域の形態である。
【0054】
さらに、留め付け手段11、12の各々の接着領域は、前記接着領域についての質量の中心に対応する中心点34、35を画定すると言える。知られている技術によれば、このような中心点は、その形に関係なく、任意の領域について画定され得る。
【0055】
各々の羽根部9、10は、図1に示された実施形態によれば、湾曲した形とされた外側縁14、15を有し、つまり、吸収性物品1の縦方向に沿って外向きに延びる曲線を画定する。具体的には、第1の羽根部9の外側縁14は、外側縁14に沿うすべての点のうち、縦軸Y1への最も大きい距離を有する外側縁14に沿った点を画定するという意味において最も外側の点である第1の点29を画定する。湾曲した形とされた外側縁14は、前述したように特定の利点を提供するように形成されている。
【0056】
これらの利点を得るために、外側縁14は、具体的には、外側縁14の区域31と一致すると共に規定された半径rを有する円の少なくとも1つの弧30を画定する。区域31は、弧30が前記外側縁14ともはや一致しない第1の点29と第2の点32との間で外側縁14に沿って延びている。
【0057】
図1に示されている実施形態では、第1の点29は、外側縁14の横方向の最も外側の点29によって構成されている。しかしながら、本発明は、後でより詳細に記載されているように、この実施形態だけに限定されていない。図1を参照すると、外側縁14の区域31は、最も外側の点29から、弧30が外側縁14と一致しなくなる第2の点32まで延びている。
【0058】
対応するように、第2の羽根部10は、第1の羽根部9と同じように成形されており、第1の点29と同じ意味で最も外側の点である第2の点33を伴う第2の外側縁15を有し、つまり、第2の点33は、第2の外側縁15に沿うすべての点のうち、縦軸Y1まで最も大きい距離を有する点を画定する。
【0059】
先に記載した湾曲した形とされた外側縁14、15による利点は、使用中に使用者が羽根部9を他の羽根部10に重ねて折り畳んでしまい、そのため、第1の羽根部9における接着剤が第2の羽根部10の裏側に位置決めされるという危険性が低減されることである。羽根部9、10における接着剤の目的は、羽根部9、10を使用者の下着に留め付けることであり、代わりに羽根部9、10が互いに付着させられる場合、使用者は物品1を使用後に取り外すのが難しくなる可能性があり、それが欠点である。
【0060】
図1Aは、円および区域31の弧30を含む物品1の一部分を示す拡大図である。図1Aの実施形態に示されているように、外側縁14は、外側縁14に沿って延びると共に前記外側縁14の区域31と一致する円の弧30を画定するように形成されている。円の弧30は規定された半径rを有し、半径rは、実施形態によれば、間隔40〜500mmの範囲内であり得る。さらに、区域31は第1の点29と第2の点32と間で延び、前記第2の点32は、弧30が外側縁14ともはや一致しない外側縁14に沿う点である。羽根部9が前記湾曲した形とされた区域31を備えるという事実は、前述したように、特定の利点をもたらす。
【0061】
図1において示されているように、2つの羽根部9、10は、横軸X1に対して角度α1を画定する共通の直線13に沿って概して延びるような非対称に配置されている。実施形態によれば、前記角度α1の大きさは0°を超えるが45°未満である。具体的な実施形態によれば、前記角度α1は間隔10〜35°の範囲内であり得る。羽根部9、10が、生理用ナプキン1の縦方向において互いに対してずらされるように配置され得ることは、留意されるべきである。
【0062】
図1に示された前述の直線13の延長をはっきりと画定するために、前記直線13が前述の第1の点29と第2の点33とを貫いて延びることは、留意され得る。図1による実施形態では、これらの点29、33は、外側縁14、15に沿う横方向で最も外側の点に対応する。
【0063】
図2は、図1で示されている直線13に沿って見たときの断面図である。吸収性芯材5は表シート3と裏シート4との間に挟まれている。前述したように、適切にはエアレイド材料の捕獲層5aが、吸収性芯材5と表シート3との間に配置されてもよい。また、2つの羽根部9、10が、主本体2から反対方向に延びるように形成されている。実施形態によれば、羽根部9、10の各々には、少なくとも1つの接着領域11、12の形態で留め付け手段が設けられており、その留め付け手段は、各々の羽根部9、10の下側に、つまり、着用者に面していない側に適用されている。さらに、主本体2には、生理用ナプキン1を下着の内面に留め付ける目的のためのさらなる留め付け手段18も設けられている。このようなさらなる留め付け手段18は、裏シート4の裏側に配置されると共に生理用ナプキン1の縦方向に沿って延びるように配置される1つまたは複数の接着剤区域18の形態であり得る。
【0064】
図2に示されているように、接着剤区域18は、生理用ナプキン1がその使用されていない状態にあるとき、剥離紙層19で覆われている。生理用ナプキン1が使用されるとき、剥離紙層19は、生理用ナプキン1が下着に留め付けられ得るように使用者によって剥がされる。
【0065】
代替の実施形態によれば、生理用ナプキン1には、以前から知られているように、摩擦の留め具、面ファスナなどの機械的な留め具、または異なる種類の留め具の組み合わせの形態で、様々な種類の留め付け手段が設けられ得る。
【0066】
生理用ナプキン1の一部を形成する様々な層3、4、5の特性および設計は、図1および図2を主に参照してより詳細に記載されている。
【0067】
実施形態によれば、表シート3は、熱可塑性合成繊維から作られた流体浸透性不織布または膜によって形成されている。表シート3は、排出された体液を表シート3の厚さを通じて浸透させるに十分な液体浸透性がある。また、表シート3は、着用者の皮膚に馴染む柔らかい感触の材料から適切に製造されている。
【0068】
異なる実施形態によれば、表シート3は、例えば不織膜、発泡体、または前述の材料の組み合わせなど、様々な織物材料から製造できる。表シート3は穴あきであってもよい。
【0069】
さらに、裏シート4は、たとえポリエチレンまたはポリプロピレンの膜といった高分子膜など、液体不浸透性で通気性のある層によって構成されている。異なる実施形態によれば、裏シート4のために使用され得る材料には、薄く柔軟な流体不浸透性のプラスチック膜または流体不浸透性の不織材料、流体不浸透性の発泡体、および流体不浸透性の積層品がある。
【0070】
図面において示された実施形態によれば、裏シート4は、単一の層によって形成されるが、代替で、少なくとも1つの層が流体不浸透性である多層構造、つまり、積層品によって形成されてもよい。さらに、裏シート4は、任意選択で、任意の方向において弾性的であり得る。また、特には、比較的少ない量の身体浸出液が生理用ナプキン1によって吸収されると考えられる場合に、完全に液体不浸透性ではないが流体浸透に耐性のある裏シート材料が使用されてもよい。
【0071】
さらなる実施形態によれば、裏シート4は、空気および蒸気が裏シート4を通過できることを意味する通気性であってもよい。さらに、裏シート4は、不織布などの織物材料の外側の衣服に面する表面を任意選択で有してもよい。
【0072】
さらに、羽根部9、10は、表シート3と裏シート4とが重ねられ、羽根部9、10が図面において示されているように一体とされた状態で形成されるように形成されている。これは、外側縁14、15が、生理用ナプキン1についての製造工程の間に所望の形態へと切断されることを意味する。図面において示されていない代替の実施形態によれば、羽根部は、別に製造されてから、最終的な製造工程の間に主本体に供給されて最終的に取り付けられてもよい。
【0073】
さらに、図1および図2に示されている実施形態によれば、生理用ナプキン1は、セルロースのフラッフパルプの繊維を含む1つまたは複数の層によって形成された吸収性芯材5を備える。代替の実施形態によれば、吸収性芯材5は、例えば発泡体、繊維詰め物、および同様の材料といった、技術的に知られている任意の適切な吸収性または流体を吸収する材料から作られ得る。前述したように、当該の生理用ナプキン1の要求される特性および使用の分野に依存して、例えばエアレイド、スパンレース、および高ロフトの材料といった、異なる種類の材料の層が単独または組み合わせで使用できる。
【0074】
一実施形態によれば、吸収性物品はライナであり、その場合、吸収性芯材は、例えば不織層といった1つの薄い材料から作られるだけであり得る。
【0075】
さらなる実施形態によれば、吸収性芯材5は適切な量の超吸収性粒子を備える。このような超吸収性材料は、吸収性物品の分野においてよく知られており、大量の流体をヒドロゲルの形成によって吸収することができる水膨潤性で水不溶性の材料によって構成されている。通常の超吸収性材料は、それ自体の自重の少なくとも10倍の流体を吸収することができる。実施形態によれば、前記超吸収性粒子の量は、重量で、つまり、吸収性芯材5の全重量に対して、少なくとも10%である。
【0076】
超吸収性材は吸収性芯材5の材料へ混合されている。吸収性芯材5は、吸収性芯材5の特性を向上させるための構成要素をさらに組み込んでもよい。このような構成要素の一部の例は、技術的に知られているような結合繊維、流体分散材料、流体捕獲材料などである。実施形態によれば、セルロースのフラッフパルプと超吸収性物品との混合物が、吸収性芯材5全体を通じて概して一様に混合されている。
【0077】
さらなる実施形態によれば、吸収性芯材5は、一様な構造であり得るか、または同じ材料もしくは異なる材料の積層品による層状構造であり得る。吸収性層は、一様な厚さを有し得るか、または層の異なる部分において厚さが異なり得る。また、吸収性芯材5の基本の重量および組成は、このような吸収性層内で異なってもよい。
【0078】
さらに、当業者によって知られているように、生理用ナプキン1の様々な層は、接着剤材料の層を用いて適切に取り付けられ得る。このような接着剤層は図面では示されていない。
【0079】
図1を参照すると、羽根部9は、さらなる直線20が第1の点29および第2の点32を貫いて延びるとして画定されるように形成されている。また、さらなる直線21aが羽根部9の上方縁区域21に沿って形成されている。より正確には、初めに言及した線20は縦軸Y1に対してさらなる角度α2を画定しており、第2の線21aは縦軸Y1に対してまたさらなる角度α3を画定する。図1に示されている実施形態では、各々の角度α2、α3の大きさは、α2<α3となるように選択される。しかしながら、本発明は、このような実施形態だけに限定されず、α2>α3またはα2=α3とさえなるように代わりに配置されてもよい。
【0080】
第2の羽根部10は、第1の羽根部9と同様に配置されるが、第1の羽根部9と比較して、つまり、前述の線20、21aに対応する線と比較して、反転(つまり、「逆さまに」)されている。
【0081】
図示された実施形態によれば、羽根部9、10は、概して平行なように配置されている一方で、図1による描写に関するような若干ずれて主本体2に連結されている。
【0082】
結果として、羽根部9、10は、羽根部9、10の設計のため、および羽根部9、10が横軸X1に対して角度α1を画定する前述の共通の直線13に概して沿って延びるという事実のためにも、非対称の設計を形成している。
【0083】
図1に示された実施形態によれば、線21aと縦軸Y1との間の角度α3は90°より大きく、これは、比較的小さい領域24が接着領域11と上方縁区域21との間に形成され、領域24は何らかの接着剤で覆われていないことを意味する。この領域24は、下着における生理用ナプキン1の留め付けの間、および下着からの生理用ナプキン1の取り外しの間、羽根部9、10の把持および取り扱いを簡単にする把持タブを形成している。線21aと縦軸Y1との間の角度α3が90°未満である場合でさえ把持タブが設けられ得ることは、留意されるべきである。
【0084】
以下において、本発明の実施形態に関する特定の寸法および測定が、図1を参照して記載されている。示されているように、各々の羽根部(ここでは第2の羽根部10だけを参照して示されている)の最も外側の点29、33と縦軸Y1との間に画定されているような第1の距離d1が、40〜100mm、好ましくは50〜90mm、最も好ましくは60〜90mmの範囲にある。具体的な実施形態によれば、第1の距離d1はおおよそ77mmである。これは、吸収本体4の中心から各々の羽根部9、10の最も外側の点29、33までの距離に相当する。
【0085】
さらに、第1の羽根部折り畳み縁26が、各々の羽根部9、10が主本体2と交わる主本体2の縦辺の一部として画定されており、それに沿って、各々の羽根部9、10は生理用ナプキン1が製造されたときに折ることができる。図1に示されているような第1の羽根部折り畳み縁26は、縦軸Y1と平行である線として画定されている。
【0086】
結果として、第1の羽根部折り畳み縁26は、各々の羽根部9、10が主本体2と交わる主本体2の縦辺の一部として画定されており、それに沿って、各々の羽根部9、10は吸収性物品1が製造されたときに折り畳まれている。
【0087】
前述したように、第1の羽根部折り畳み縁26は、対応する羽根部10が生理用ナプキン1の製造の間に沿って折ることができる線を画定する。しかしながら、生理用ナプキン1の使用中、羽根部9、10は、下着の大きさに適合される線に沿って通常は折り畳まれる。結果として、図1に示されてもいるように、第2の羽根部折り畳み縁26aが、各々の羽根部9、10が生理用ナプキン1の使用中に沿って折り畳まれると考えられる線として画定されている。実施形態によれば、第2の羽根部折り畳み縁26aは、それが折り畳まれるのに沿う長さが、生理用ナプキン1の大きさおよび所望の特性に依存して、主本体の全長の間隔10〜80%の範囲内で、好ましくは主本体の全長の間隔25〜65%の範囲内となるように構成されている。
【0088】
第2の距離d2が、第1の羽根部折り畳み縁26と、対応する羽根部10の対応する最も外側の点33との間に画定されてもよく、前記第2の距離d2は、20〜60mm、好ましくは25〜50mm、最も好ましくは24〜45mmの範囲にある。
【0089】
具体的な実施形態によれば、第2の距離d2はおおよそ39mmである。第2の距離d2の大きさを画定するさらなる方法は、それを生理用ナプキン1の全幅に関連して画定することによるものである。実施形態によれば、第2の距離d2と全幅との間の割合は、12〜39%、好ましくは16〜32%、最も好ましくは16〜29%の範囲にある。
【0090】
さらに、芯材縁27が、吸収性芯材5の各々の縦辺の少なくとも一部に沿って画定され得る。図1に示されているように、芯材縁27は縦軸Y1と概して平行である。また、芯材縁27と、対応する羽根部10の最も外側の点33との間に画定されているような第3の距離d3が、29〜69mm、好ましくは34〜65mm、最も好ましくは34〜61mmの範囲にある。具体的な実施形態によれば、第3の距離d3はおおよそ49mmである。第3の距離d3の大きさを画定するさらなる方法は、それを生理用ナプキン1の全幅に関連して画定することによるものである。実施形態によれば、第3の距離d3と全幅との間の割合は、18〜45%、好ましくは21〜42%、最も好ましくは21〜40%の範囲にある。
【0091】
また、第4の距離d4が芯材縁27と縦軸Y1との間で画定されており、前記第4の距離d4は、10〜50mm、好ましくは15〜45mm、最も好ましくは20〜40mmの範囲にある。具体的な実施形態によれば、第4の距離d4はおおよそ29mmである。第4の距離d4の大きさを画定するさらなる方法は、それを生理用ナプキン1の全幅に関連して画定することによるものである。実施形態によれば、第4の距離d4と全幅との間の割合は、6〜33%、好ましくは9〜29%、最も好ましくは12〜25%の範囲にある。
【0092】
また、芯材縁27は、図面に示されている実施形態によれば、縦軸Y1と概して平行である。しかしながら、他の実施形態では、芯材縁は縦軸Y1に対して平行でなくてもよい。このような場合、前述の距離d3およびd4は、縦軸Y1に沿う位置に依存することになる。
【0093】
さらに、吸収性芯材5に、主本体2の外側縁に概して付随する周辺が形成され、吸収性芯材5は主本体2の周辺全体に沿って縁領域28を画定する。
【0094】
また、羽根部9、10の各々1つに配置されている留め付け手段11、12は、接着剤材料を支持する領域の形態での実施形態と一致している。これらの接着領域11、12は、概して矩形であり、物品1の縦方向において互いに対してずらされるように、および各々の対応する羽根部9、10の横方向の全長に概して沿って延びるようにも、各々の羽根部9、10に位置決めされている。
【0095】
本発明による留め付け手段11、12の配置は、各々の羽根部9、10の安定性を高めるという利点を提供する。また、生理用ナプキン1は、別の方法で着用者の快適性にとって有害となり得る何らかのせん断力が下着に作用することなく、しっかりとした快適に下着に位置決めされて取り付けられ得る。
【0096】
図3は、図1および図2による生理用ナプキンを示しているが、製造されたときの状態、つまり、羽根部9、10が折り畳まれている状態で示している。図1および図2に示されている生理用ナプキン1のすべての構成要素および特徴が図3において符号で示されているわけではない。
【0097】
図3において示されているように、接着領域11、12の主要部分は、縦軸Y1の近くに位置されている。また、接着領域11、12は、生理用ナプキン1の縦方向に沿って互いに対してずらされている。これは、生理用ナプキン1の使用中、使用者へのしっかりとした快適な適合に寄与する一方で、適切な吸収特性を維持する。
【0098】
また、第1の羽根部9における接着領域11は第1の中心点34を画定し、第2の羽根部10における接着領域12は第2の中心点35を画定する。実施形態によれば、留め付け手段11、12は、生産時、また羽根部9、10が使用者の下着に留め付けられる使用中に羽根部9、10が意図されているように位置決めされるとき、留め付け手段11、12が物品1の共通の縦方向に沿って位置決めされないように位置決めされている。これは、第1の羽根部9の位置が、物品1の機械方向26aに沿って、つまり、図1に示されている第2の羽根部折り畳み縁26aに沿って鏡写しにされるとき、第2の羽根部10の位置と一致しないことを意味している。
【0099】
図3は、羽根部9、10の外側縁14、15が縦軸Y1に向けて折り畳まれている実施形態を示している。外側縁が主本体2にわたってさらなる距離で延びることができる、つまり、そのため外側縁は縦軸Y1にわたって延びることは留意されるべきである。外側縁14、15の実際の位置に拘わらず、接着領域11、12が、使用中に主本体2の裏側における接着剤区域18と重なって協働するように、羽根部9、10が折り畳まれるときに位置決めされる場合に有利であることは、留意されるべきである。
【0100】
図3には示されていないが、第1の羽根部9の留め付け手段11と第2の羽根部10の留め付け手段12とは、物品1の製造の間、矩形の剥離紙の形態であり得る剥離層を用いて覆われてもよい。
【0101】
図4に示されているさらなる実施形態によれば、留め付け手段12は、対応する羽根部10の領域を一緒に覆ういくつかの比較的小さい領域12a、12b、12cによって形成され得る。これらの小さい領域12a、12b、12cは、図4に示されているように矩形であり得るか、または対応する羽根部10の適切な領域を覆うために任意の他の適切な形態のものであり得る。図4の実施形態の代替として、小さい領域は、例えば縦軸Y1に対して横断する方向に延びるように配置され得る。また、図1と同様であるようにおいて、図4に示された小さい領域12a、12b、12cは、把持タブ25が形成されるように配置されている。
【0102】
図5は、羽根部9の外側縁14が、前記外側縁14の第1の区域31aと一致する円の第1の弧30aと、前記外側縁14の第2の区域31bと一致する円の第2の弧30bとを画定する本発明の実施形態を示している。第1の弧30aは第1の半径raを有し、第2の弧30bは第2の半径rbを有する。結果として、この実施形態は、外側縁14が相互に異なる湾曲を伴う2つ以上の区域を備えるように本発明が形成され得ることを示している。第1の区域31aは、第1の弧30aが外側縁14の横方向の最も外側の点29(図1も参照されたい)を含むように配置されても配置されなくてもよい。図5に示された実施形態は、外側縁14の最も外側の点29から延びない第1の区域31aを示しているが、前述したように、本発明はこのような配置だけに限定されない。
【0103】
図5Aは、第1の羽根部9の一部分を示し、具体的には、円の第1の弧30aと、円の第2の弧30bと、対応するそれぞれの区域31aおよび31bとを示す拡大図である。
【0104】
さらなる実施形態によれば、外側縁は、第1の弧30aと第2の弧30bとの間で概して真っ直ぐな区域が延びるように成形され得る。このような実施形態が図6に示されている。したがって、図6は、外側縁14が、外側縁の第1の区域31aと一致する円の第1の弧30aと、前記外側縁14の第2の区域31bと一致する円の第2の弧30bと、また、第1の区域31aと第2の区域31bとの間に位置決めされる外側縁14の真っ直ぐな区域36とを画定している実施形態を示している。第1の弧30aは第1の半径raを有し、第2の弧30bは第2の半径rbを有する。結果として、この実施形態は、外側縁14が、相互に異なる湾曲を伴う2つ以上の区域と、第1の区域31aと第2の区域31bとの間に位置決めされたさらなる真っ直ぐの区域36とを備えるように本発明が形成されているのを示している。
【0105】
先に記載されている生理用ナプキン1を製造するための工程は、これから記載されるいくつかのステップを含む。最初に、吸収性芯材5を構成する材料が、それ自体知られているように裏シート4と表シート3との間に挟まれる。このようにして、主本体2は形成される。続いて、第1の羽根部9および第2の羽根部10は、前述したように、主本体2から反対方向へ外方に、概して前記横軸X1に沿って延びるように形成される。さらに、羽根部9、10には、羽根部9、10が主本体2に重なるように折り畳まれるときに羽根部9、10を衣服に留め付けるための留め付け手段11、12が設けられる。さらに、製造方法は、各々の羽根部9、10に、円の少なくとも1つの弧30を画定する外側縁14を形成するステップであって、弧は、外側縁14の区域31と一致すると共に規定された半径rを有する、ステップを含み、前記区域31は、前記弧30が前記外側縁14ともはや一致しない第1の点29と第2の点32との間で前記外側縁14に沿って延びる。
【0106】
生理用ナプキン1の製造の後、最初に後部分7および前部分6を股部分8に重なるように折り畳み、その後に折り畳まれたナプキン1が個々の包装で包装され、箱に保管されることで、生理用ナプキン1は梱包される。代替で、前部分6が最初に股部分8に重なるように折り畳まれてもよく、その後、後部分7は股部分8に重なるように折り畳まれ、折り畳まれたナプキン1は次に包装される。
【0107】
図3を参照して前述されているように、羽根部9、10は、製造ステップの間、第1の折り畳み縁26に沿って折り畳まれる。しかしながら、製造の間、生理用ナプキン1は、代替で、羽根部9、10および縁領域28の一部が芯材縁27に沿って折り畳まれるように折り畳まれてもよい。これは、折り畳まれた製品の幅が先行技術によるものより小さく作ることができることを意味し、これは、必要とされる材料、具体的には、剥離紙19および包装材料の一部の量が削減できるため、有利である。
【0108】
本発明は、実施形態に限定されず、添付の請求項の範囲内で変えることができる。例えば、羽根部9、10の具体的な形は、請求項の範囲内で変わることができる。また、吸収性物品1を形成する様々な層について使用される材料および寸法は、先に示されているように変えることができる。また、羽根部のすべての実施形態および寸法は、図示された実施形態と比較して反転されてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 生理用ナプキン、吸収性物品、物品
2 主本体
3 液体浸透性表シート、層
4 液体不浸透性裏シート、層、吸収本体
5 吸収性芯材、層
5a 捕獲層
6 前部分
7 後部分
8 股部分、股領域
9 留め付け羽根部、第1の羽根部
10 留め付け羽根部、第2の羽根部
11 留め付け手段、接着領域
12 留め付け手段、接着領域
12a、12b、12c 小さい領域
13 直線
14 外側縁
15 第2の外側縁
18 留め付け手段、接着剤区域
19 剥離紙層、剥離紙
20 直線
21 上方縁区域
21a 直線
23 縁
24 領域、把持タブ
25 把持タブ、領域
26 第1の羽根部折り畳み縁
26a 第2の羽根部折り畳み縁、機械方向
27 芯材縁
28 縁領域
29 第1の点、横方向の最も外側の点
30 弧
30a 第1の弧
30b 第2の弧
31 区域
31a 第1の区域
31b 第2の区域
32 第2の点
33 第2の点
34 中心点、第1の中心点
35 中心点、第2の中心点
36 真っ直ぐな区域
38 剥離層
d1 第1の距離
d2 第2の距離
d3 第3の距離
d4 第4の距離
r 半径
ra 第1の半径
rb 第2の半径
X1 横軸
Y1 縦軸
α1 第1の角度
α2 第2の角度
α3 第3の角度
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図5A
図6