(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、
図1には、本実施形態のバルブコア10を収容したバルブステム50が示されている。バルブステム50は、タイヤ(図示せず)から延びた筒状をなし、その内側がタイヤの内部空間に連通するコア装着孔55になっている。また、コア装着孔55の開口寄り位置には雌螺子部52が形成されている。その奥側には雌螺子部52から離れるに従って徐々に縮径する縮径部53が備えられている。また、バルブステム50の外周面には、図示しないキャップを螺合装着するための雄螺子部54が形成されている。
【0008】
コア装着孔55内には、本実施形態のバルブコア10が螺合装着されている。
図2に示されるように、バルブコア10は、頭部20と胴部30及びそれらに挿通されている可動シャフト40を備えている。なお、以下では、胴部30に対して頭部20が配置されている側を上側、その反対側を下側という。
【0009】
可動シャフト40は、頭部20及び胴部30の中心部を貫通するシャフト部41の上端部に圧縮コイルバネ45を係止するバネ係止部41Aを備え、途中位置に弁体42を備えている。弁体42は、シャフト部41から徐々に拡径したテーパー部41Bとそのテーパー部41Bの大径側端部(下端)から間隔をあけて配置されたテーパー部41Bよりも大径な円柱部41Cと、テーパー部41Bと円柱部41Cとに挟まれたシール部41Dとから構成される。なお、本実施形態における可動シャフト40は、例えば、黄銅といった導体で構成され、シール部41Dは、例えば、ゴムやエラストマーといった弾性部材で構成される
【0010】
頭部20は、中央に可動シャフト40及び胴部30の上端が挿通する貫通孔20Aを有し、外側面にバルブステム50に螺合される雄螺子部23が形成されている。具体的には
図3に示されるように、頭部20は、円盤状のベース部22と、ベース部22の上端面において180度離れた2位置から起立した1対の支柱21S,21Sの間に架橋部21Hを架け渡したゲート構造をなし、その架橋部21Hの中央を、ベース部22の中心軸と略同軸のガイド孔21Aが貫通しているゲート部21と、を備えている。架橋部21Hの径方向における幅は、ベース部22の径方向における幅よりも広くなっている。なお、本実施形態における頭部20は、例えば、セラミックスや樹脂といった絶縁体で構成される。
【0011】
また、
図2に示されるように、可動シャフト40のバネ係止部41Aと頭部20の間には、圧縮コイルバネ45が設けられている。圧縮コイルバネ45は、バネ係止部41Aとゲート部21の上面21Jとの間で圧縮された状態でシャフト部41に挿通されている。
【0012】
胴部30は、中央に可動シャフト40が挿通する貫通孔30Aを有する円筒状をなし、その途中位置に外側に張り出したフランジ部35を備えている。胴部30のうち、フランジ部35よりも上側に形成されている挿通部31の外径は、頭部20の貫通孔20Aよりも小径になっていて、頭部20の貫通孔20Aに挿通される。フランジ部35よりも下方に形成されるベース部32は、その外径が挿通部31の外径よりも大径になっている。また、ベース部32の下端部には、上方に向かうに従って内径が徐々に縮径するテーパー部32Tが形成されている。そして、テーパー部32Tには、圧縮コイルバネ45によって上向きに付勢されている可動シャフト40の弁体42のシール部42Dが嵌合する構成となっている。なお、本実施形態における胴部30は、例えば、セラミックスや樹脂といった絶縁体で構成される。
【0013】
ところで、胴部30には、胴部30の外側面30Mを包囲する胴パッキン48が設けられている。胴パッキン48は、例えば、エラストマーで構成される。
図4に示されるように、胴パッキン48は、その上面48Jがフランジ部35の下面35Kに当接している。また、胴パッキン48は、上下方向における中間位置から下端にかけて外側面が縮径する形状となっている。なお、胴パッキン48の厚みは、フランジ部35の下面の張り出し量と略同一に形成されている。
【0014】
ここで、本実施形態のバルブコア10は、
図2に示されるように、頭部20の下面20Mがフランジ部35と当接可能に構成されている。具体的には、
図3(B)に示されるように、頭部20のベース部22は、外側面に雄螺子部23が形成されている螺合筒部24と、螺合筒部24から下方に垂下する延設部25とを備えている。そして、延設部25の下面25Mがフランジ部35の上面35Jに当接する構成になっている。
【0015】
また、
図4に示されるように、頭部20の下面20Mは、胴パッキン48と上下方向で重なる位置に配置されている。具体的には、頭部20の下面20Mは、その外縁部25Gが胴パッキン48の径方向における中心位置に配置され、内縁部25Nが胴部30のベース部32と重なる位置に配置されている。即ち、頭部20の下面20Mは、フランジ部35の下面35K側の付け根部35Tを径方向で跨いで当接する構成になっている。
【0016】
本実施形態のバルブコア10の構成に関する説明は以上である。バルブコア10は、以下のようにしてコア装着孔55に組み付けられる。即ち、バルブコア10は、胴部30側からコア装着孔55に挿入された状態で回転操作される。すると、バルブコア10の頭部に形成された雄螺子部23がコア装着孔55の雌螺子部52に螺合して、バルブコア10がコア装着孔55の奥側に移動する。そして、
図1に示されるように、胴部30を覆う胴パッキン48がコア装着孔55の縮径部53に当接して頭部20の回転が止まる。
【0017】
図5に示されるように、バルブコア10をコア装着孔55に組み付ける際、胴パッキン48が縮径部53によってフランジ部35側に押されるので、フランジ部35に対して大きな曲げ応力がかかる。ここで、本実施形態のバルブコア10は、フランジ部35に頭部20の下面20Mが上方から当接する。即ち、フランジ部35が、頭部20と胴パッキン48とで挟まれる構成であり、フランジ部35は、胴パッキン48から上方に押される曲げ応力に対して、頭部20から下方に押されることとなる。これにより、胴パッキン48から上方に押される曲げ応力を抑制することが可能となり、フランジ部35の変形を抑制することが可能となる。
【0018】
さらに、本実施形態のバルブコア10は、頭部20の下面20Mが、フランジ部35の下面35K側の付け根部35Tを径方向で跨いで当接する。即ち、応力が集中しやすい部分の上方を抑える構成であるため、フランジ部35の変形を抑制することが可能となる。
【0019】
また、本実施形態のバルブコア10は、可動シャフト40が導体で構成され、頭部20及び胴部30が絶縁体で構成されているので、可動シャフト40を電路として使用することができる。
【0020】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0021】
(1)
図6及び
図7に示されるように、フランジ部を、胴部30Z,30Yを挿通するワッシャー35Z,35Yで構成してもよい。これにより、胴パッキン48から受けるフランジ部35Z,35Yへの負荷が、胴部30Z,30Yに伝わりにくくなる。
【0022】
ワッシャー35Zを用いる際の胴部30Zの構成として、
図6に示されるように、胴部30Zに段差部30DZを設ける構成としてもよい。挿通部31Zにワッシャー35Zを挿通させ、ベース部32Zの上面にワッシャー35Zの内縁部が載置される方法がある。このような構成にすれば、挿通部31Zとベース部32Zとの段差部30DZでワッシャー35Zの位置決めをすることができる。
【0023】
また、ワッシャー35Yを用いる際の胴部30Yの別の構成として、
図7に示されるように、胴部30Yの外形に段差がない形状であってもよい。このような構成にすれば、胴部30Yの製造を容易に行うことが可能となる。なお、この場合、胴パッキン48又は頭部20の下面20Mにワッシャー35Yが当接して位置決めされる構成となる。
【0024】
さらに、フランジ部をワッシャー35Z,35Yで構成する場合、
図8に示されるように、胴部30から外側に張り出して、胴パッキン48に係止する係止片31TZ,31TYを有する構成にしてもよい。例えば、
図8(A)に示される係止片31TZのように、胴パッキン48の下面に当接するように構成してもよい。また、
図8(B)に示される係止片31TYのように、胴パッキン48の途中位置で係止する構成にしてもよい。
【0025】
(3)上記実施形態では、延設部25の外側面には雄螺子部23が形成されていない構成となっているが、延設部25の外側面に雄螺子部23が形成されてもよい。
【0026】
(4)
図9に示されるように、挿通部31Xと、ベース部32Xの外径が略同一でもよい。この場合、頭部20Xの下面20MX全域が胴パッキン48と上下方向で重なる位置に配置される
。
【0027】
(5)上記実施形態では、頭部20の下面20Mが、胴パッキン48の上方と、ベース部32の上方とを跨いで配置される構成であったが、胴パッキン48の上方にのみ配置される構成であってもよい。
【0028】
(6)延設部25は筒状をなし、その下面全面がフランジ部35の上面35Jに当接する構成であったが、一部に切り欠きを設けるなど、下面25M全面が当接しない構成であってもよい。また、螺合筒部から複数の突片を垂下する構成とし、その突片の下面をフランジ部35に当接させる構成であってもよい。
【0029】
(7)上記実施形態では、頭部20、胴部30が絶縁体で構成されていたが、導体で構成してもよい。また、バルブコア10を絶縁体で構成してもよい。