特許第6976417号(P6976417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976417
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】バルブコア
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/20 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   F16K15/20 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-508752(P2020-508752)
(86)(22)【出願日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】JP2018013432
(87)【国際公開番号】WO2019186956
(87)【国際公開日】20191003
【審査請求日】2020年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】杉野 匠生
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第2272634(US,A)
【文献】 米国特許第4462449(US,A)
【文献】 特開2017−129239(JP,A)
【文献】 特表2009−523975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00−15/20
B60C 23/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の胴部と、前記胴部の外側面を包囲する胴パッキンと、前記胴部に挿通され、前記胴パッキンに上方から当接するワッシャーと、外側面に雄螺子部を有し、前記胴部に対して回動する頭部と、を有するバルブコアであって、
前記頭部の下面が前記ワッシャーに上方から当接するバルブコア。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブコアであって、
前記雄螺子部から前記胴部側に延長された筒状の延長筒部を備えるバルブコア。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバルブコアであって、
前記頭部の前記下面と前記胴パッキンが上下方向で重なる位置に配置されるバルブコア。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のバルブコアであって、
前記胴部は、前記ワッシャーが挿通される挿通部と、前記挿通部より大径で、且つ、前記ワッシャーの外径より小径な大きさをなし、前記挿通部との段差面に前記ワッシャーが当接すると共に前記外側面に前記胴パッキンが挿通されるベース部と、を備えるバルブコア。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載のバルブコアであって、
前記頭部及び前記胴部は、セラミックス又は樹脂で構成されているバルブコア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブコアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のバルブコアは、外面に嵌合されている胴パッキンをフランジ部で押して、バルブステムの内面に押し付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−360832号(図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したバルブコアは、フランジ部等のバルブコアの一部が変形する可能性があり、そのような変形を抑えることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、円筒状の胴部と、前記胴部の外側面を包囲する胴パッキンと、前記胴部に挿通され、前記胴パッキンに上方から当接するワッシャーと、外側面に雄螺子部を有し、前記胴部に対して回動する頭部と、を有するバルブコアであって、前記頭部の下面が前記ワッシャーに上方から当接するバルブコアである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係るバルブコアの側断面図
図2】バルブコアの側断面図
図3】(A)頭部の上面図(B)頭部の側面図
図4】バルブコアの拡大側断面図
図5】バルブコアの拡大側断面図
図6】変形例に係るバルブコアの側断面図
図7】変形例に係るバルブコアの側断面図
図8】変形例に係るバルブコアの側断面図
図9】変形例に係るバルブコアの側断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図1には、本実施形態のバルブコア10を収容したバルブステム50が示されている。バルブステム50は、タイヤ(図示せず)から延びた筒状をなし、その内側がタイヤの内部空間に連通するコア装着孔55になっている。また、コア装着孔55の開口寄り位置には雌螺子部52が形成されている。その奥側には雌螺子部52から離れるに従って徐々に縮径する縮径部53が備えられている。また、バルブステム50の外周面には、図示しないキャップを螺合装着するための雄螺子部54が形成されている。
【0008】
コア装着孔55内には、本実施形態のバルブコア10が螺合装着されている。図2に示されるように、バルブコア10は、頭部20と胴部30及びそれらに挿通されている可動シャフト40を備えている。なお、以下では、胴部30に対して頭部20が配置されている側を上側、その反対側を下側という。
【0009】
可動シャフト40は、頭部20及び胴部30の中心部を貫通するシャフト部41の上端部に圧縮コイルバネ45を係止するバネ係止部41Aを備え、途中位置に弁体42を備えている。弁体42は、シャフト部41から徐々に拡径したテーパー部41Bとそのテーパー部41Bの大径側端部(下端)から間隔をあけて配置されたテーパー部41Bよりも大径な円柱部41Cと、テーパー部41Bと円柱部41Cとに挟まれたシール部41Dとから構成される。なお、本実施形態における可動シャフト40は、例えば、黄銅といった導体で構成され、シール部41Dは、例えば、ゴムやエラストマーといった弾性部材で構成される
【0010】
頭部20は、中央に可動シャフト40及び胴部30の上端が挿通する貫通孔20Aを有し、外側面にバルブステム50に螺合される雄螺子部23が形成されている。具体的には図3に示されるように、頭部20は、円盤状のベース部22と、ベース部22の上端面において180度離れた2位置から起立した1対の支柱21S,21Sの間に架橋部21Hを架け渡したゲート構造をなし、その架橋部21Hの中央を、ベース部22の中心軸と略同軸のガイド孔21Aが貫通しているゲート部21と、を備えている。架橋部21Hの径方向における幅は、ベース部22の径方向における幅よりも広くなっている。なお、本実施形態における頭部20は、例えば、セラミックスや樹脂といった絶縁体で構成される。
【0011】
また、図2に示されるように、可動シャフト40のバネ係止部41Aと頭部20の間には、圧縮コイルバネ45が設けられている。圧縮コイルバネ45は、バネ係止部41Aとゲート部21の上面21Jとの間で圧縮された状態でシャフト部41に挿通されている。
【0012】
胴部30は、中央に可動シャフト40が挿通する貫通孔30Aを有する円筒状をなし、その途中位置に外側に張り出したフランジ部35を備えている。胴部30のうち、フランジ部35よりも上側に形成されている挿通部31の外径は、頭部20の貫通孔20Aよりも小径になっていて、頭部20の貫通孔20Aに挿通される。フランジ部35よりも下方に形成されるベース部32は、その外径が挿通部31の外径よりも大径になっている。また、ベース部32の下端部には、上方に向かうに従って内径が徐々に縮径するテーパー部32Tが形成されている。そして、テーパー部32Tには、圧縮コイルバネ45によって上向きに付勢されている可動シャフト40の弁体42のシール部42Dが嵌合する構成となっている。なお、本実施形態における胴部30は、例えば、セラミックスや樹脂といった絶縁体で構成される。
【0013】
ところで、胴部30には、胴部30の外側面30Mを包囲する胴パッキン48が設けられている。胴パッキン48は、例えば、エラストマーで構成される。図4に示されるように、胴パッキン48は、その上面48Jがフランジ部35の下面35Kに当接している。また、胴パッキン48は、上下方向における中間位置から下端にかけて外側面が縮径する形状となっている。なお、胴パッキン48の厚みは、フランジ部35の下面の張り出し量と略同一に形成されている。
【0014】
ここで、本実施形態のバルブコア10は、図2に示されるように、頭部20の下面20Mがフランジ部35と当接可能に構成されている。具体的には、図3(B)に示されるように、頭部20のベース部22は、外側面に雄螺子部23が形成されている螺合筒部24と、螺合筒部24から下方に垂下する延設部25とを備えている。そして、延設部25の下面25Mがフランジ部35の上面35Jに当接する構成になっている。
【0015】
また、図4に示されるように、頭部20の下面20Mは、胴パッキン48と上下方向で重なる位置に配置されている。具体的には、頭部20の下面20Mは、その外縁部25Gが胴パッキン48の径方向における中心位置に配置され、内縁部25Nが胴部30のベース部32と重なる位置に配置されている。即ち、頭部20の下面20Mは、フランジ部35の下面35K側の付け根部35Tを径方向で跨いで当接する構成になっている。
【0016】
本実施形態のバルブコア10の構成に関する説明は以上である。バルブコア10は、以下のようにしてコア装着孔55に組み付けられる。即ち、バルブコア10は、胴部30側からコア装着孔55に挿入された状態で回転操作される。すると、バルブコア10の頭部に形成された雄螺子部23がコア装着孔55の雌螺子部52に螺合して、バルブコア10がコア装着孔55の奥側に移動する。そして、図1に示されるように、胴部30を覆う胴パッキン48がコア装着孔55の縮径部53に当接して頭部20の回転が止まる。
【0017】
図5に示されるように、バルブコア10をコア装着孔55に組み付ける際、胴パッキン48が縮径部53によってフランジ部35側に押されるので、フランジ部35に対して大きな曲げ応力がかかる。ここで、本実施形態のバルブコア10は、フランジ部35に頭部20の下面20Mが上方から当接する。即ち、フランジ部35が、頭部20と胴パッキン48とで挟まれる構成であり、フランジ部35は、胴パッキン48から上方に押される曲げ応力に対して、頭部20から下方に押されることとなる。これにより、胴パッキン48から上方に押される曲げ応力を抑制することが可能となり、フランジ部35の変形を抑制することが可能となる。
【0018】
さらに、本実施形態のバルブコア10は、頭部20の下面20Mが、フランジ部35の下面35K側の付け根部35Tを径方向で跨いで当接する。即ち、応力が集中しやすい部分の上方を抑える構成であるため、フランジ部35の変形を抑制することが可能となる。
【0019】
また、本実施形態のバルブコア10は、可動シャフト40が導体で構成され、頭部20及び胴部30が絶縁体で構成されているので、可動シャフト40を電路として使用することができる。
【0020】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0021】
(1)図6及び図7に示されるように、フランジ部を、胴部30Z,30Yを挿通するワッシャー35Z,35Yで構成してもよい。これにより、胴パッキン48から受けるフランジ部35Z,35Yへの負荷が、胴部30Z,30Yに伝わりにくくなる。
【0022】
ワッシャー35Zを用いる際の胴部30Zの構成として、図6に示されるように、胴部30Zに段差部30DZを設ける構成としてもよい。挿通部31Zにワッシャー35Zを挿通させ、ベース部32Zの上面にワッシャー35Zの内縁部が載置される方法がある。このような構成にすれば、挿通部31Zとベース部32Zとの段差部30DZでワッシャー35Zの位置決めをすることができる。
【0023】
また、ワッシャー35Yを用いる際の胴部30Yの別の構成として、図7に示されるように、胴部30Yの外形に段差がない形状であってもよい。このような構成にすれば、胴部30Yの製造を容易に行うことが可能となる。なお、この場合、胴パッキン48又は頭部20の下面20Mにワッシャー35Yが当接して位置決めされる構成となる。
【0024】
さらに、フランジ部をワッシャー35Z,35Yで構成する場合、図8に示されるように、胴部30から外側に張り出して、胴パッキン48に係止する係止片31TZ,31TYを有する構成にしてもよい。例えば、図8(A)に示される係止片31TZのように、胴パッキン48の下面に当接するように構成してもよい。また、図8(B)に示される係止片31TYのように、胴パッキン48の途中位置で係止する構成にしてもよい。
【0025】
(3)上記実施形態では、延設部25の外側面には雄螺子部23が形成されていない構成となっているが、延設部25の外側面に雄螺子部23が形成されてもよい。
【0026】
(4)図9に示されるように、挿通部31Xと、ベース部32Xの外径が略同一でもよい。この場合、頭部20Xの下面20MX全域が胴パッキン48と上下方向で重なる位置に配置される
【0027】
(5)上記実施形態では、頭部20の下面20Mが、胴パッキン48の上方と、ベース部32の上方とを跨いで配置される構成であったが、胴パッキン48の上方にのみ配置される構成であってもよい。
【0028】
(6)延設部25は筒状をなし、その下面全面がフランジ部35の上面35Jに当接する構成であったが、一部に切り欠きを設けるなど、下面25M全面が当接しない構成であってもよい。また、螺合筒部から複数の突片を垂下する構成とし、その突片の下面をフランジ部35に当接させる構成であってもよい。
【0029】
(7)上記実施形態では、頭部20、胴部30が絶縁体で構成されていたが、導体で構成してもよい。また、バルブコア10を絶縁体で構成してもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 バルブコア
20 頭部
20A 貫通孔
20M,25M 下面
21 ゲート部
22 ベース部
23 雄螺子部
24 螺合筒部
25 延設部
30 胴部
35 フランジ部
35Z,35Y ワッシャー
40 可動シャフト
41 シャフト部
48 胴パッキン
50 バルブステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9