(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976425
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】オゾン酸化によるセメント材の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 9/00 20060101AFI20211125BHJP
C04B 18/08 20060101ALI20211125BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20211125BHJP
C04B 22/16 20060101ALI20211125BHJP
C04B 24/06 20060101ALI20211125BHJP
C04B 24/12 20060101ALI20211125BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20211125BHJP
B01D 53/60 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
C04B9/00
C04B18/08 Z
C04B18/14 A
C04B22/16 A
C04B24/06
C04B24/12 A
B01D53/50 240
B01D53/60ZAB
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-517908(P2020-517908)
(86)(22)【出願日】2018年8月29日
(65)【公表番号】特表2020-536031(P2020-536031A)
(43)【公表日】2020年12月10日
(86)【国際出願番号】CN2018103034
(87)【国際公開番号】WO2019062453
(87)【国際公開日】20190404
【審査請求日】2020年5月23日
(31)【優先権主張番号】201710939636.6
(32)【優先日】2017年9月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520101753
【氏名又は名称】中晶環境科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】童裳慧
【審査官】
手島 理
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第107488021(CN,A)
【文献】
特表2003−520749(JP,A)
【文献】
特表2004−522688(JP,A)
【文献】
特表2017−522186(JP,A)
【文献】
特開昭54−008170(JP,A)
【文献】
特表2006−501060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
C04B 40/00−40/06
B01D 53/50
B01D 53/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排煙とオゾン含有ガスとを混合して混合排煙を形成し、前記混合排煙を吸収塔に供給し、粉状脱硫脱硝剤と反応して排煙の乾式脱硫脱硝を行い、処理後排煙を形成する工程であって、前記脱硫脱硝剤が酸化マグネシウムと触媒を含み、当該触媒がバナジウムの酸化物、マンガンの酸化物、コバルトの酸化物、ニッケルの酸化物、銅の酸化物から選ばれた1種または複数種である工程(1);
前記処理された排煙を除塵処理して副生成物を得る工程であって、前記副生成物が、硫酸塩および硝酸塩を含む第1副生成物と、未利用の脱硫脱硝剤を含む第2副生成物とを含み、前記第1副生成物が副生成物倉に排出され、前記第2副生成物が吸収塔に循環される工程(2)、および、
第1副生成物、酸化マグネシウム、石炭フライアッシュおよび添加剤を含む原料を均一になるように混合してセメント材を得る工程であって、前記セメント材100重量部に対して、第1副生成物が20〜60重量部であり、酸化マグネシウムが16〜33重量部であり、石炭フライアッシュが15〜35重量部であり、かつ添加剤が1〜15重量部である工程(3)、
を含むことを特徴とするオゾン酸化に基づく前記セメント材の製造方法。
【請求項2】
工程(3)において、前記セメント材100重量部に対して、前記原料がさらにスラグ9〜25重量部を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(3)において、前記セメント材100重量部に対して、第1副生成物が20〜25重量部、酸化マグネシウムが16〜20重量部であり、石炭フライアッシュが25〜30重量部であり、スラグが15〜20重量部であり、かつ、添加剤が6〜10重量部であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(1)において、前記触媒がバナジウムの酸化物であり、かつ、前記脱硫脱硝剤における前記触媒の割合が0.01〜0.05wt%である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(1)において、前記吸収塔における混合排煙の含水率が3.5〜6wt%であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(1)において、前記排煙の含塵量が20〜70mg/Nm3であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(1)において、前記排煙の温度が90〜200℃であり、かつ、前記オゾン含有ガスにおけるオゾン濃度が2〜15wt%であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(1)において、高圧霧化ノズルから前記オゾン含有ガスを噴射し、排煙と混合し、前記高圧霧化ノズルの圧力が0.7〜1.0MPaであり、前記高圧霧化ノズルの出口方向が、排煙流れ方向に対して80〜120度であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(2)において、第1副生成物と第2副生成物との重量比が1〜2:1〜2であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの1項に記載の方法。
【請求項10】
工程(3)において、前記添加剤がリン酸二水素塩、リン酸一水素塩、酒石酸、酒石酸塩又はアミノトリメチレンホスホン酸から選ばれた1種または複数種であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント材の製造方法に関し、特にオゾン酸化によるセメント材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメント材は、様々な建築材料を作成できる。現在、マグネシウム法に基づく脱硫によりセメント材を製造することに関する技術が知られている。例えば、CN104843749Aには、酸化マグネシウムを利用し、廃液及びスラグに対して脱硫を行い、セメント材の原料を製造する方法が開示されており、当該方法では、高効率的な噴霧技術を採用し、排煙中の二酸化硫黄、酸素ガスを水酸化マグネシウム溶液と反応させて硫酸マグネシウムを生成し、これに廃硫酸と酸化マグネシウムを加えてpHを5〜6に調整して飽和させ、そして、硫酸マグネシウム飽和溶液を、晶析、濃縮、固液分離し、乾燥して副生成物を取得し、これを軽焼酸化マグネシウム粉と攪拌してMgO-MgSO
4-H
2Oの3元系セメント材を形成する。この方法では、硫酸マグネシウムの含有量を安定化させることができず、濃縮工程が必要となるため、吸収剤や酸の投入量がさらに多くなる。
【0003】
従来の排煙脱硫脱硝装置は湿式プロセスを採用していることが多く、大量の産業廃液が発生しやすく、水不足地域への普及に不利である。CN11768902Aには、酸化剤であるO
3を排煙パイプラインに噴霧し、排煙中のNOを水に容易に溶解するNO
2やN
2O
5に酸化し、水やアルカリ液で排煙を吸収することにより脱硝効果が得られる排煙脱硝方法が開示されている。CN103801177A号には、排煙中のNOをO
3により酸化して高価数のNOxとし、次いで排煙を酸化マグネシウムスラリーに吸収させ、酸化マグネシウムスラリーが最初に排煙中のSO
2と反応することによりSO
2を吸収して亜硫酸マグネシウムを生成し、脱硫が完了した。そして、蓄積された亜硫酸マグネシウムは高価数のNOxと酸化還元反応して亜硝酸イオンと硫酸イオンを生成し、当該反応によりNOxの吸収が促進され、比較的に高い脱硫脱硝効率が得られる排煙脱硫脱硝方法が開示されている。この方法では脱硝の目的は達成できるが、O
3は高温環境下で容易に分解され、脱硝効率が低下し、O
3の使用量が過大となり、かつ大量の水を消費する必要があるという問題がある。また、CN103585877Bには、排煙脱硫後のスラリーを用いてMgSO
4を製造するシステムであって、Mg(OH)
2脱硫法を用いてMgSO
4を製造し、副生物がMgSO
4溶液であるシステムが開示され、当該方法では、大量の水蒸気で蒸発、結晶化、乾燥させることが必要であるため、水蒸気を多く消費し、生産コストを上昇させる。
【0004】
また、中国の経済の急速な発展に伴い、大量のスラグ廃棄物は発生している。例えば、ボイラーから燃焼した石炭からスラグを生成し、石炭燃焼発電所でフライアッシュを生成し、鉄鋼プラントで鉄鋼スラグを生成し、住宅解体と再配置により建築廃棄物等を生成する。これらのスラグ廃棄物のほとんどは、十分に処理及び利用されておらず、大量の土地を占有し、環境を汚染している。
【0005】
本発明は、排煙の脱硫脱硝副生成物を十分に利用し、産業固形廃棄物等の物料と組み合わせてセメント材を製造することができるオゾン酸化に基づくセメント材の製造方法を提供することを目的とする。本発明は、さらに排ガスと固形廃棄物の相乗的な処理と資源の持続可能な利用を実現することを目的とする。
【0006】
本発明は、前記目的を達成するため、下記の構成を採用する。
【0007】
本発明は、
排煙とオゾン含有ガスとを混合して混合排煙を形成し、前記混合排煙を吸収塔に供給し、粉状脱硫脱硝剤と反応して排煙の乾式脱硫脱硝を行い、処理後排煙を形成する工程であって、前記脱硫脱硝剤が酸化マグネシウムと触媒を含み、当該触媒がバナジウムの酸化物、マンガンの酸化物、コバルトの酸化物、ニッケルの酸化物、銅の酸化物から選ばれた1種または複数種である工程(1)、
前記処理された排煙を除塵処理して副生成物を得る工程であって、前記副生成物が、硫酸塩および硝酸塩を含む第1副生成物と、未利用の脱硫脱硝剤を含む第2副生成物とを含み、前記第1副生成物が副生成物倉に排出され、前記第2副生成物が前記吸収塔に循環される工程(2)、および、
第1副生成物、酸化マグネシウム、石炭フライアッシュおよび添加剤を含む原料を均一になるように混合して前記セメント材を得る工程であって、前記セメント材100重量部に対して、第1副生成物が20〜60重量部であり、酸化マグネシウムが16〜33重量部であり、石炭フライアッシュが15〜35重量部であり、添加剤が1〜15重量部である工程(3)、
を含むオゾン酸化に基づくセメント材の製造方法を提供する。
【0008】
本発明に係る方法によれば、好ましくは、工程(3)において、前記セメント材100重量部に対して、前記原料はさらに9〜25重量部スラグを含む。
本発明に係る方法によれば、好ましくは、工程(3)において、前記セメント材100重量部に対して、第1副生成物が20〜25重量部、酸化マグネシウムが16〜20重量部、石炭フライアッシュが25〜30 重量部、スラグが15〜20重量部、かつ、添加剤が6〜10重量部である。
【0009】
本発明に係る方法によれば、好ましくは、工程(1)において、前記触媒はバナジウムの酸化物であり、かつ、前記脱硫脱硝剤における前記触媒の割合が0.01〜0.05wt%である。
【0010】
本発明に係る方法によれば、好ましくは、工程(1)において、前記吸収塔における混合排煙の含水率が3.5〜6wt%である。
【0011】
本発明に係る方法によれば、好ましくは、工程(1)において、前記排煙の含塵量が20〜70mg/Nm
3である。
【0012】
本発明に係る方法によれば、好ましくは、工程(1)において、前記排煙の温度が90〜200℃であり、前記オゾン含有ガスにおけるオゾン濃度が2〜15wt%である。
本発明に係る方法によれば、好ましくは、工程(1)において、前記オゾン含有ガスを高圧霧化ノズルで噴射し、排煙と混合し、前記高圧霧化ノズルの圧力が0.7〜1.0MPaであり、前記高圧霧化ノズルの出口方向が、排煙流れ方向に対して80〜120度である。
【0013】
本発明に係る方法によれば、好ましくは、工程(2)において、第1副生成物と第2副生成物の重量比は1〜2:1〜2である。
【0014】
本発明に係る方法によれば、好ましくは、工程(3)において、前記添加剤はリン酸二水素塩、リン酸一水素塩、酒石酸、酒石酸塩又はアミノトリメチレンホスホン酸から選ばれた1種または複数種である。
【0015】
本発明では酸化マグネシウムを吸收剤とし、オゾン酸化プロセスと組み合わせて排煙から二酸化硫黄と窒素酸化物を除去することができる。得られた副生成物は、そのままセメント材の素材とすることができる。本発明は、オゾン酸化に基づく乾式脱硫脱硝の副生物を原料としてセメント材を製造することにより、排ガスと固形廃棄物の相乗的処理と資源の継続的利用を可能にする。本発明におけるオゾン酸化に基づく乾式排煙脱硫脱硝方法は、従来の乾式脱硫脱硝方法に比べて、水および水蒸気の使用量を大幅に低減し、省資源、省エネルギーを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0017】
本発明におけるセメント材は多種の建築材料の製造に利用されることができる。本発明におけるオゾン酸化に基づくセメント材の製造方法は、排煙脱硫脱硝工程(1)、除塵工程(2)およびセメント材製造工程(3)を含む。詳細は後述する。
【0018】
<排煙脱硫脱硝工程>
排煙とオゾン含有ガスを混合して混合排煙を形成した。混合排煙を吸収塔に供給し、粉状の脱硫脱硝剤と反応して排煙の乾式脱硫脱硝を完了し、副生成物を形成し、かつ浄化排煙を得た。乾式排煙脱硫脱硝方法は、当業界にて汎用な設備を用いて行うことができ、ここではその説明を省略する。
【0019】
本発明において、前記排煙は事前に除塵処理を行ってもよい。事前除塵処理は、静電気除塵設備にて行うことができる。好ましくは、事前除塵処理した後の排煙の含塵量は、20〜70mg/Nm
3であり、好ましくは30〜50mg/Nm
3であり、排煙含塵量を前記範囲にすることにより、脱硫脱硝効率を効果的に向上させることができる。事前除塵排煙とオゾン含有ガスを混合することにより、排煙における一酸化窒素はオゾンと反応して高価数の窒素酸化物を生成する。本発明において、排煙とオゾン含有ガスとを反応する前に温度が高すぎる場合、緊急対策としての冷却処理を行うことができる。例えば、排煙をシャワー水で降温することにより温度を90〜200℃、より好ましくが90℃〜120℃に下げる。
【0020】
本発明における排煙は、焼結機、ペレットまたは窯炉からの排煙であってもよい。好ましくは、前記排煙における二酸化硫黄の含有量≦3000mg/Nm
3、窒素酸化物含有量≦500mg/Nm
3、酸素ガス含有量が10〜20vt%である。前記プロセスパラメータが上述の範囲であれば、品質の安定した副生成物を得ることに有利であるため、繊維セメント製品の安定生産に寄与する。
【0021】
本発明におけるオゾン含有ガスは、オゾン発生器により製造される。オゾン含有ガスにおけるオゾンの濃度が2〜15wt%であり、好ましくは5〜12wt%であり、より好ましくが7〜10wt%である。本発明におけるオゾン濃度を採用することにより、酸化効果とオゾンの節約を両立できる。排煙とオゾン含有ガスとの反応は、オゾンパイプラインで行ってもよく、前記オゾンパイプラインの材料は表面が炭素繊維で覆われたFRP、例如SS316Lであってもよい。オゾン含有ガスは、高圧噴霧ノズルからオゾンパイプラインに供給され、その中の排煙と混合することができる。高圧噴霧ノズルの圧力は、0.7〜1.0MPaであり、好ましくが0.8〜0.9MPaである。好ましくは、前記高圧噴霧ノズルの出口方向は排煙の流れ方向に対して80〜120度であり、より好ましくが90〜100度である。
【0022】
本発明における脱硫脱硝剤は、酸化マグネシウムと触媒を含んでもよい。前記酸化マグネシウムの粒子径は200〜800メッシュであってもよく、より好ましくが250〜600メッシュである。前記触媒は、二酸硫黄を三酸化硫黄に酸化できるものであり、バナジウムの酸化物、マンガンの酸化物、コバルトの酸化物、ニッケルの酸化物、銅の酸化物から選ばれた少なくとも1つ、好ましくはバナジウムの酸化物、より好ましくはV
2O
5である。本発明において、好ましくは前記脱硫脱硝剤における前記触媒が0.01〜0.05wt%であり、より好ましくは0.02〜0.04wt%である。
【0023】
本発明における脱硫脱硝剤は、吸収塔に供給される前に、まず、加湿処理を行い、これは噴霧による吸収塔への供給に有利であり、また、加湿処理により、吸収塔内の排煙含水率を3.5〜6wt%とする。当該含水率では吸収塔内に多数の水酸化物イオンが存在する場合、O
3は連鎖反応を起こし、ヒドロキシルラジカルを生成するため、O
3の使用量は大幅に減少できる。
【0024】
吸収塔において、脱硫脱硝剤粉は、複数の噴射吸収層を経て噴射され、混合ガスを吸収塔内に供給して下から上に流れ、NOはO
3作用で酸化されて高価数の窒素酸化物を生成し、SO
2は脱硫脱硝剤中の触媒の作用下でSO
3に酸化され、高価数の窒素酸化物とSO
3は、脱硫脱硝剤中の酸化マグネシウムと反応して硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムを生成することにより、脱硫脱硝を実現し、処理後、排煙を吸収塔から排出する。硫酸マグネシウムの結晶粒子径は0.15mmを超え、より好ましくは0.2mmを超える。
【0025】
<除塵工程>
本発明において、処理後排煙を吸収塔から排出した後、除塵装置に供給して除塵処理を行い、浄化排煙と副生成物を得、浄化排煙を大気中に放出し、除塵処理して得られた副生成物の少なくとも一部を排出する。除塵処理して得られた副生成物は第1副生成物および第2副生成物を含む。本発明における第1副生成物は排煙脱硫脱硝反応にて生成した硫酸塩(例えば、硫酸マグネシウム)、硝酸塩(例えば、硝酸マグネシウム)などの生成物を含有し、直接に排出することができる。第2副生成物は、未反応の脱硫脱硝剤の一部を含むため、吸収塔に戻されて繰り返し利用する。浄化排煙は煙突から大気中に排出される。前記除塵設備は、浄化排煙の排出を促進するために、煙突との間に吸引ファンが設けられている。
【0026】
本発明において、前記副生成物の一部を排出し、他の部分を吸収塔に戻す。例えば、まず、アッシュ倉へ排出し、アッシュ倉から2本の配管に分岐し、1つの配管によって第1副生成物を倉へ排出し、もう1つの配管によって第2副生成物を吸収塔へ戻す。好ましくは、第2副生成物の一部を吸収塔にスムーズに戻すように、前記アッシュ倉と吸収塔との間のラインに循環ポンプが設けられている。本発明において、第1副生成物と第2副生成物の重量比は1〜2:1〜2であり、より好ましくは1:1である。
【0027】
<セメント材製造工程>
第1副生成物、酸化マグネシウム、石炭フライアッシュおよび添加剤を含む原料を均一になるように混合して前記セメント材を得る。前記原料は、さらにスラグを含んでもよい。セメント材100重量部に対して、第1副生成物は20〜60重量部、酸化マグネシウムは16〜33重量部、石炭フライアッシュは15〜35重量部、かつ添加剤は1〜15重量部である。前記原料はさらにスラグ9〜25重量部を含む。本発明の1つの実施形態によれば、前記セメント材100重量部に対して、第1副生成物は20〜25重量部、酸化マグネシウムは16〜20重量部、石炭フライアッシュは25〜30重量部、スラグは15〜20重量部、かつ、添加剤は6〜10重量部である。
【0028】
本発明における酸化マグネシウムは、粒子径が200〜800メッシュであり、より好ましくは250〜600メッシュであった。石炭フライアッシュは、発電所、製鉄所、石炭燃焼ボイラ、焼結機、シャフト炉やペレット等のプラントの除塵設備から排出された石炭フライアッシュであってもよい。前記石炭フライアッシュの粒子径は、好ましくは200メッシュを超え、より好ましくは250メッシュを超えた。スラグは、炉スラグ、鉱石スラグ、鉄鋼スラグ、または鉄スラグであってもよく、発電所、製鉄所または化学工場で生産可能であるものであってもよい。前記スラグはスラグ粉に研磨され使用されることができ、例えば、粒子径を200メッシュ超え、より好ましくは250メッシュを超えるに研磨する。添加剤は、リン酸二水素塩、リン酸一水素塩、酒石酸、酒石酸塩又はアミノトリメチレンホスホン酸から選ばれた1種または複数種であり、好ましくはリン酸二水素塩である。
【0029】
これらの原料は従来法により均一に混合することができる。混合設備としては、一軸混合機、二軸混合機または攪拌機を用いてもよく、好ましくは攪拌機を用いる。
【0030】
以下の製造例および実施例において、特に明記しない限り、「部」は重量部を示した。
【0031】
以下の実施例におけるセメント材の性能は、GB/T50448-2008で測定した。そのうち、密度および吸水率はいずれも28日後の測定結果であった。
【0032】
製造例1
製鉄所のボイラーからの排煙を事前脱塵処理して含塵量30mg/Nm
3の事前脱塵煙を得、さらに緊急対策としての冷却処理を行って110℃まで降温させた。そしてオゾンパイプラインに供給し、オゾン含有ガスと混合して混合排煙を得た。前記オゾン含有ガスはオゾン発生器から調製され、かつ当該オゾン含有ガスにおけるオゾン濃度は10wt %であった。オゾン含有ガスを高圧霧化ノズルからオゾンパイプラインに噴出し、排煙と混合した。高圧霧化ノズル出口方向は排煙流れ方向に対して90度の角度であり、高圧霧化ノズルの圧力は0.9 MPaであった。酸化マグネシウムと五酸化バナジウムを含む脱硫脱硝剤の乾燥粉を加湿処理して排煙吸収装置に供給し、複数の噴射吸収層を経って噴射させて排煙中の二硫化硫黄や酸窒化物を吸収した。五酸化バナジウムは脱硫脱硝剤重量の0.03wt%であった。排煙吸収装置内の排煙含水率は3.5 wt%であった。
【0033】
排煙吸収装置で処理された排煙は排出され、除塵装置に供給され、除塵処理を行い、浄化排煙と副生成物を得た。浄化された排煙を吸引ファンの作用下に煙突を介して大気中に排出し、除塵処理により得られた副生成物をアッシュ倉に供給し、そのうち、排煙脱硫脱硝反応で生成した硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等の生成物を第1副生成物として副生成物倉に排出し、アッシュ倉で未利用の脱硫脱硝剤を第2副生成物として循環ポンプの作用下で排煙吸収装置に戻して循環再利用し、排煙の脱硫脱硝処理を行った。脱硫脱硝処理に関するパラメータを表1〜3に示した。
【0037】
本発明は脱硫效率が99.08%であり、設計値よりも高く、出口の二硫化硫黄含有量が国家基準よりも遥かに低かった。O
3消費量は従来のO
3脱硝技術に比べて25〜33%減少し、脱硝効率は平均で84%以上であった。
【0038】
実施例1〜2
製造例1にて得られた第1副生成物、酸化マグネシウム、石炭フライアッシュ、スラグ(鉱石スラグ粉)及び添加剤(リン酸二水素ナトリウム)を均一になるように混合してセメント材を得た。得られたセメント材を40mm×40mm×160mmの型枠に流し込み、温度40℃、湿度60%でそれぞれ3日間、7日間及び28日間熟成して製品を得た。具体的な配合及び製品性能は表4〜5に示した。
【0041】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者が思いつく任意の変形、改良、置換等を本発明の範囲に含まれるものとする。