特許第6976427号(P6976427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976427
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】担持された白金粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/02 20060101AFI20211125BHJP
   B01J 23/42 20060101ALI20211125BHJP
   B01J 37/16 20060101ALI20211125BHJP
   C23C 18/44 20060101ALI20211125BHJP
   C25B 11/073 20210101ALI20211125BHJP
【FI】
   B01J37/02 101E
   B01J23/42 M
   B01J37/16
   C23C18/44
   C25B11/073
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-522293(P2020-522293)
(86)(22)【出願日】2018年10月19日
(65)【公表番号】特表2021-500223(P2021-500223A)
(43)【公表日】2021年1月7日
(86)【国際出願番号】EP2018078752
(87)【国際公開番号】WO2019081374
(87)【国際公開日】20190502
【審査請求日】2020年6月5日
(31)【優先権主張番号】17197763.0
(32)【優先日】2017年10月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520131303
【氏名又は名称】ヘレウス アムロイ テクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】ネッセルベルガー マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ハッシェ フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】ショフラー リアンネ
(72)【発明者】
【氏名】エヴァイナー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ノイシュッツ マルク
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/120703(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0020924(US,A1)
【文献】 特開2006−202761(JP,A)
【文献】 特表2007−532288(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/059192(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
C23C 18/44
C25B 11/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒組成物の製造方法であって、
(i)カーボン粒子の形態の担体材料に、水性媒体中で白金化合物を含浸させ、
(ii)3.5〜6.0の範囲のpHおよび少なくとも50,000の撹拌機のレイノルズ数で撹拌しながら、含浸された担体材料を水性媒体中で還元剤と接触させる、
方法。
【請求項2】
前記担体材料が、カーボンブラック、活性炭、熱分解カーボン、グラファイト、カーバイド誘導カーボン、カーボンナノチューブ、グラフェン、メソ多孔性カーボン、窒素および/もしくはホウ素ドープカーボン、またはこれらのカーボン材料の少なくとも2つの混合物であり、かつ/あるいは前記白金化合物が白金(II)または白金(IV)化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記担体材料の前記含浸が、6以下の前記水性媒体のpHで行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程(ii)における前記還元剤は、ギ酸、金属ホウ素水素化物、アルカリ金属水素化物、水素、金属チオ硫酸、アルデヒド、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、ヒドラジン塩酸塩もしくはアスコルビン酸、またはこれらの還元剤の少なくとも2つの混合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(ii)における前記撹拌機の前記レイノルズ数が75,000〜180,000の範囲にあり、および/または工程(ii)における水性媒体のpHが4.5〜5.6の範囲にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(ii)における前記水性媒体が、20℃〜95℃の範囲の温度Tを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(ii)における前記撹拌機の前記レイノルズ数が90,000〜150,000の範囲にある、請求項5に記載の方法
【請求項8】
工程(ii)における水性媒体のpHが4.9〜5.3の範囲にある、請求項5に記載の方法
【請求項9】
電気化学反応に用いる触媒組成物であって、
カーボン粒子の形態の担体材料、
担体材料上に存在する金属白金粒子と、2.0nm以上のd10値および7.0nm以下のd90値を有する、小角X線散乱によって決定される体積加重粒度分布
を含む、触媒組成物。
【請求項10】
前記白金粒子の前記体積加重粒度分布が、3.0〜5.0nmの範囲にある中央値d50を有する、請求項に記載の触媒組成物。
【請求項11】
10≧2.0nmおよびd90≦6.5nmである、請求項9または10に記載の触媒組成物。
【請求項12】
前記白金粒子の前記粒度分布のd10、d90およびd50値が以下の条件を満たす、請求項9〜11のいずれか一項に記載の触媒組成物。
(d90−d10)/d50≦1.0
【請求項13】
前記金属白金粒子が5〜60重量%の量で前記触媒組成物中に存在する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項14】
前記白金粒子の前記体積加重粒度分布が、3.5〜4.5nmの範囲にある中央値d50を有する、請求項10に記載の触媒組成物。
【請求項15】
d10≧2.3nmおよびd90≦6.0nmである、請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項16】
前記金属白金粒子が15〜50重量%の量で前記触媒組成物中に存在する、請求項13に記載の触媒組成物。
【請求項17】
請求項9〜16のいずれか一項に記載の触媒組成物を含有する、電気化学セル、特に燃料または電解セル。
【請求項18】
電気化学反応のための触媒としての、請求項9〜16のいずれか一項に記載の触媒組成物の使用。
【請求項19】
前記電気化学反応が、酸素の電気化学的還元、水素の電気化学的酸化、水からの酸素の電気化学的形成、または水からの水素の電気化学的形成である、請求項18に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担持された白金粒子の製造、および燃料または電気分解セルにおける触媒としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカーボンのような担体材料に適用される白金粒子は、燃料セル(例えばプロトン交換膜(PEM)燃料セル)または電解セル(例えば水電解)のための触媒として使用されることが知られている。成分として、これらの担持された触媒組成物は、触媒活性物質(白金粒子)および担体材料(例えば、カーボン粒子)を含み、これらはまた、通常、粒子の形態で存在する。この触媒系によって触媒される反応は、表面反応である。したがって、利用可能な白金表面は、極めて重要であり、可能な限り大きくなければならない(アクセス可能な白金表面の最大化)。これは、体積に対する表面の可能な最大比を達成するために、白金粒子を可能な限り小さくすることを意味する。しかしながら、これらの白金粒子の粒径が減少すると、使用される電気化学的環境における安定性が低下する。したがって、一方では、十分な安定性を達成するために必要なだけ大きい白金粒子を設計するが、十分に高い化合物活性(すなわち、所与の電圧で白金化合物に対して標準化された電流)を達成するために可能な限り小さい白金粒子を保持することが必要である。
【0003】
電気化学的に活性な白金表面(電気化学的にアクセス可能な全ての白金粒子の表面の合計)を最大にするために、白金粒子をできるだけ均質に、かつ高い分散度で担体上に分布させることが必要である。合成条件は、さらに、白金粒子が主に担体上に形成され、一方、可能であれば、担持されていない白金粒子凝集体の形成が回避されるように選択されるべきである。
【0004】
非特許文献1には、担体材料としての炭素および白金粒子を含む燃料セル用触媒組成物が記載されている。炭素担持白金粒子の特性を、表1にまとめる。白金粒子の粒径は、TEM画像により決定された。この方法では、非常に限られた数の白金粒子しか考慮されていないという事実のために、また、例えば担体材料の細孔内に存在する白金粒子が確実に捕捉されないという事実のために、TEMは、白金粒子の粒度分布の信頼できる判定を可能にしない。この刊行物の表1によれば、TEMを介して測定して、HClO中の白金粒子の平均粒径が3〜4nmの場合に、0.32A/mg Pt〜0.35A/mg Ptの化合物活性が測定された。白金粒子の平均粒径の1〜2nmへのさらなる減少に応答して、0.40A/mg Ptを超える化合物活性を達成することができた。しかしながら、粒子サイズが非常に小さいため、白金粒子の安定性は著しく低下する。
【0005】
炭素担持白金粒子の製造のための多くの方法が、知られている。例えば、非特許文献2による概要記事を参照されたい。カーボン担体上での白金粒子の形成は、例えば、マイクロエマルジョン法、ポリオール法または方法によって行うことができ、その場合、担体は最初に白金化合物で含浸され、この白金化合物は続いて金属白金に還元される。
【0006】
形成する白金粒子の表面に吸着され得、担持された白金粒子を触媒として使用する前に除去しなければならない界面活性剤は、典型的には、マイクロエマルジョン法の場合に使用される。
【0007】
ポリオール法の場合、多価アルコール(例えば、エチレングリコール)は、溶媒および還元剤として作用する。形成する白金粒子の表面と相互作用し、したがって粒子を安定化する化合物は、ポリオールの酸化に応答して生成される。これらの吸着された化合物は、担持された白金粒子を触媒として使用する前に、適切な処理(例えば、熱処理または酸での洗浄)によって除去されなければならない。
【0008】
既に上述したように、先ず、水性媒体中に分散されたカーボン系担体材料に、前駆体として作用する白金化合物を含浸させ(含浸工程)、続いて、担体材料上に存在する白金化合物を金属白金に還元する(還元工程)ことも知られている。
【0009】
還元工程について、白金化合物を含浸させた担体材料を水性媒体から除去し、乾燥させて、その後、水素などの還元ガスで高温で処理することができる。しかしながら、これは、隣接する白金粒子の凝集をもたらし、したがって、粒径の望ましくない増加をもたらし、これはまた、制御が困難である。
【0010】
代替において、担体材料上に存在する白金化合物の還元は、水性媒体中で既に行うことができる。例えば、NaBH、ギ酸、水素(H)、チオ硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドまたはヒドラジンを、還元剤として使用することができる。
【0011】
特許文献1には、触媒粒子を適用することができる担体材料の製造方法が記載されている。例えば、SiO等の無機酸化物をカーボン系材料(例えば、カーボンブラックまたは活性炭)と混合し、この方法において加熱処理に供する。金属粒子は、それによって得られる担体材料に、含浸プロセスを介して、その後の還元によって適用することができる。担体材料の無機酸化物は、酸または塩基での処理によって再び部分的に除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第US 2006/0099483 A1号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】J.C.Meier et al.,Beilstein J.Nanotechnol.,2014,5,S.44−67
【非特許文献2】K.B.Kokoh et al.,Catalysts,2015,5、310〜348頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の1つの目的は、容易かつ効率的に実施することができ、粒子を可能な限り均質に、かつ担体上に高度の分散で分布させ、一方、可能であれば、支持されていない凝集した白金粒子の形成を回避する方法によって、担持された白金粒子(すなわち、担体材料上に存在する)を製造することである。本発明のさらなる目的は、良好な触媒特性、特に高い化合物活性を有する、担持された白金粒子に基づく触媒組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、触媒組成物の製造方法であって、
(i)カーボン粒子の形態の担体材料に、水性媒体中で白金化合物を含浸させ、
(ii)3.5〜6.0の範囲のpHおよび少なくとも50,000の撹拌機のレイノルズ数で撹拌しながら、含浸された担体材料を水性媒体中で還元剤と接触させる、
方法によって解決される。
【0016】
本発明の一部として、上記の条件の両方、従って3.5〜6.0の範囲のpH、さらに少なくとも50,000の撹拌機の十分に高いレイノルズ数(すなわち、水性媒体の十分な乱流混合)が還元工程(ii)のために維持される場合、同時に非常に低いパーセンテージの担持されていない白金粒子を有する担体材料上の金属白金粒子の高度の分散が実現され得ることが認識されている。これらのプロセスパラメータのうちの1つが維持されない場合、これは、以下の実施例によって示されるように、担体材料上の金属白金粒子の不均一な分布および/または担持されていない白金粒子凝集体の形成をもたらし得る。
【0017】
当業者に知られているように、レイノルズ数は、液体媒体がどの程度激しく撹拌されるかについて、撹拌技術の分野における尺度(この文脈では撹拌機のレイノルズ数としても知られている)を表す。撹拌機のレイノルズ数の値が10,000を超える場合、液体媒体は乱流で混合されていると考えられる。
【0018】
しかしながら、本発明の一部として、乱流混合のこの下限を大幅に超えなければならない。本発明によるpH範囲と組み合わせると、これは、担持された粒子の非常に高い分散度をもたらし、一方、担持されていない白金粒子の形成は、非常に効果的に抑制される。
【0019】
白金粒子のための担体として作用することができるカーボン粒子の形態の適切な担体材料は、当業者に一般に知られている。
【0020】
カーボンブラック、例えばアセチレンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラックまたはサーマルブラック、活性炭、熱分解カーボン、グラファイト、炭化物由来カーボン、カーボンナノチューブ、グラフェン、メソ多孔性カーボン、窒素またはホウ素ドープカーボン、またはこれらのカーボン材料の少なくとも2つの混合物を、例示的な方法で挙げることができる。
【0021】
カーボン系担体材料は、このようにして微細に分散された白金粒子の形成を支持するために、高いBET表面を有することが好ましい。担体物質は、例えば、少なくとも10m/g、より好ましくは少なくとも50m/gまたは少なくとも150m/g、例えば10〜2000m/gまたは50〜1500m/gまたは150〜1300m/gのBET面を有する。
【0022】
カーボン系担体材料は、任意に多孔性であってもよい。担体材料は、例えば、少なくとも0.1ml/g、より好ましくは少なくとも0.2ml/gまたは少なくとも0.3ml/g、例えば0.1〜4.0ml/gまたは0.2〜3.5ml/gまたは0.3〜3.0ml/gの細孔容積を有する。
【0023】
これらの担体材料は、市販されているか、または当業者に知られている方法によって製造することができる。
【0024】
担体材料の含浸およびその後の金属白金への還元のために使用することができる白金化合物は、当業者に知られている。
【0025】
白金化合物は、例えば、Pt(II)または白金(IV)化合物、例えばPt(II)もしくはPt(IV)塩またはPt(II)もしくはPt(IV)錯体化合物またはPt有機金属化合物である。ヘキサクロロ白金酸もしくはこの酸の塩、硝酸白金、ハロゲン化白金、アセチルアセトン酸白金もしくはシュウ酸白金、またはこれらの化合物の少なくとも2つの混合物は、例示的な白金化合物として挙げることができる。
【0026】
本発明による方法によって生成される金属白金粒子が合金元素を尚含有することを条件として、1つまたは複数の金属化合物を、白金化合物に加えて水性媒体に添加することもできる。この場合、担体材料として作用するカーボン粒子は、白金化合物だけでなく、追加の金属化合物によっても含浸される。このさらなる金属化合物は、例えば、以下の金属:Ru、Pd、Ir、Cr、Co、Ni、Cu、Fe、Mn、W、Vのうちの1つの化合物であり得る。このさらなる化合物は、例えば、塩、錯体または有機金属化合物であり得る。
【0027】
水性媒体は、好ましくは、50体積%を超える、より好ましくは70体積%を超える水分量を有する。
【0028】
含浸工程のために、カーボン系担体材料と、担体材料上に堆積される白金化合物とを、水性媒体中に同時に、ならびに順次導入することができる。まず、担体材料を、例えば水性媒体中に分散させ、続いて白金化合物を(例えば水溶液の形態で)計量供給する。
【0029】
カーボン系担体材料を白金化合物で含浸するための適切な条件は、当業者に公知である。水性媒体を、含浸工程の間撹拌することが好ましい。これにより、撹拌力を広い範囲にわたって変化させることができる。例えば、含浸工程は、少なくとも50,000または少なくとも75,000またはさらに少なくとも90,000(例えば、50,000〜200,000または75,000〜180,000、90,000〜150,000)の撹拌機のレイノルズ数で行うこともできる。代替において、50,000未満の撹拌機のレイノルズ数で含浸工程を実施することも可能である。
【0030】
含浸工程中の水性媒体のpHは、広い範囲にわたって変化させることができる。含浸工程の間、水性媒体は、例えば最大6.0のpHを有する。
【0031】
含浸工程の間、水性媒体の温度は、例えば、20℃〜95℃、好ましくは40℃〜90℃または60℃〜80℃である。この温度Tでの水の密度および動粘性係数は、工程(i)の間の撹拌機のレイノルズ数の決定のために使用される。
【0032】
白金化合物中に存在する白金対担体材料の質量比は、例えば、1/10〜8/10、より好ましくは2/10〜7/10である。
【0033】
水性媒体中には、担体材料は、例えば0.05重量%〜2.5重量%、より好ましくは0.1〜2.0重量%の量で存在する。
【0034】
含浸工程の持続時間は、担体材料として作用するカーボン粒子上に十分な量の白金化合物が堆積することができるように選択される。当業者は、日常的な試験に基づいて適切な期間を決定することができる。
【0035】
含浸工程の間、白金化合物は、担体材料上、すなわちカーボン粒子の表面上に吸着される。多孔性カーボン粒子の場合、これは、内面、すなわち、細孔の内側に位置する表面であってもよい。含浸された担体材料が、ステップ(i)の結果として得られる。
【0036】
既に上述したように、含浸された担体材料は、還元工程(ii)において、3.5〜6.0の範囲のpHおよび少なくとも50,000の撹拌機のレイノルズ数で撹拌することによって、水性媒体中で還元剤と接触させられる。
【0037】
還元剤と接触させることによって、金属白金粒子が、担体材料上(すなわちカーボン粒子の表面上)に形成される。本発明による方法によって製造される触媒組成物は、金属白金粒子を、例えば5〜60重量%、より好ましくは15〜50重量%または25〜50重量%の量で含有する。
【0038】
撹拌技術の分野では、撹拌機のレイノルズ数は、液体媒体がどの程度激しく撹拌されるかについての尺度を表す。撹拌機のレイノルズ数の値が10,000を超える場合、液体媒体は乱流混合されたと考えられる。温度Tにおける撹拌機のレイノルズ数の判定は、以下の式に基づいて公知の方法で行われる:
R=(ρ*N*D)/η
式中、
Rは、撹拌機のレイノルズ数であり、
ρは、温度Tでの水の密度(kg/m)であり、
Nは、撹拌機の速度(回転/秒)であり、
Dは、撹拌機の最大直径であり、
ηは、温度Tでの水の動粘性係数(kg/(m*s))である。
【0039】
温度の関数としての水の密度および動粘性係数は、一般に知られている。撹拌機の最大直径Dは、撹拌軸に対して垂直に決定される。
【0040】
還元工程(ii)中の水性媒体の撹拌には、従来の撹拌機を使用することができる。十分に高い撹拌速度を調節することによって、少なくとも50,000の撹拌機のレイノルズ数で還元が起こることが保証される。例えば、アンカースターラー、スクリュースターラー、ディスクスターラー、インペラスターラー、プロペラスターラーまたは傾斜ブレードスターラーは、適切なスターラーと名付けることができる。
【0041】
工程(ii)は、当業者に知られている一般的な反応器中で行うことができる。
【0042】
工程(ii)では、工程(ii)で使用される反応器の最大内径reactorに対する最大撹拌機直径Dの比率は、少なくとも0.4、より好ましくは少なくとも0.5または少なくとも0.6である。好ましい実施形態では、以下が適用される:
0.3≦D/reactor<1.0;
より好ましくは:
0.4≦D/reactor≦0.98
または
0.5≦D/reactor≦0.90。
【0043】
当業者は、当該当業者の専門家の知識に基づいて、ステップ(ii)において反応器が充填される水性媒体の適切な充填レベルを決定することができる。例えば、充填レベルHと、反応器の最大内径reactorは、次の条件を満たしている:
0.5≦H/reactor<2.0。
【0044】
工程(i)および(ii)を実施するために、同じ反応器および同じ撹拌機を使用することが好ましい。
【0045】
ギ酸、金属水素化ホウ素(例えば、NaBHおよびLiBHなどのアルカリ金属水素化ホウ素)、アルカリ金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム)、水素(H)、金属チオ硫酸塩(例えば、NaSなどのアルカリ金属チオ硫酸塩)、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)、アルコール(例えば、イソプロパノールなどのモノヒドロキシアルコール)、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、ヒドラジン塩酸塩もしくはアスコルビン酸、またはこれらの還元剤の少なくとも2つの混合物を、例えば還元剤として使用することができる。
【0046】
当業者は、当該当業者の専門家の知識に基づいて、還元工程のための適切な温度T(すなわち、還元工程(ii)中の水性媒体の適切な温度)を、使用される還元剤の関数として決定することができる。工程(ii)における水性媒体の温度Tは、例えば、20℃〜95℃、より好ましくは30℃〜90℃、または50℃〜80℃の範囲にある。この温度Tにおける水の密度および動粘性係数を、撹拌機のレイノルズ数の判定に使用した。
【0047】
工程(ii)における撹拌機のレイノルズ数は、好ましくは少なくとも75,000、より好ましくは少なくとも90,000である。好ましい実施形態では、撹拌機のレイノルズ数は、50,000〜200,000、より好ましくは75,000〜180,000、さらにより好ましくは90,000〜150,000である。
【0048】
工程(ii)における水性媒体のpHは、好ましくは4.5〜5.6、より好ましくは4.9〜5.3の範囲にある。
【0049】
還元により、担体材料として作用するカーボン粒子上に存在する白金化合物が金属白金に還元され、金属ナノ粒子が担体材料上(すなわちカーボン粒子上)に形成される。担体材料がさらなる金属化合物で含浸されているならば、還元によって白金合金、例えば、以下の金属:Ru、Pd、Ir、Cr、Co、Ni、Cu、Fe、Mn、W、Vの1つまたは複数を含有する白金合金を得ることができる。
【0050】
白金化合物の金属白金粒子への還元が行われた後(これは、白金元素または白金合金であり得る)、触媒組成物は、水性媒体から単離され得、一般的な方法を介して乾燥に供され得る。
【0051】
非常に良好な触媒特性、特に非常に高い化合物活性を有する触媒組成物は、上記の方法によって得ることができる。
【0052】
したがって、本発明はさらに、触媒組成物であって、
− カーボン粒子の形態の担体材料、
− 担体材料上に存在する金属白金粒子と、2.0nm以上のd10値および7.0nm以下のd90値を有する、小角X線散乱によって決定される体積加重粒度分布
を含む、触媒組成物に関する。
【0053】
好ましい実施形態では、白金粒子の体積加重粒度分布は、3.0〜5.0nm、より好ましくは3.5〜4.5nmの範囲にある中央値d50を有する。
【0054】
好ましくは、d10≧2.0nmおよびd90≦6.5nm、より好ましくはd10≧2.3nmおよびd90≦6.0nmである。
【0055】
好ましくは、白金粒子の粒度分布のd10、d90、d50値は、以下の条件を満たす:
(d90−d10)/d50≦1.0
【0056】
さらにより好ましくは、以下の条件が適用される:
0.5≦(d90−d10)/d50≦1.2
または
0.6≦(d90−d10)/d50≦0.9
【0057】
触媒組成物は、金属白金粒子を、例えば5〜60重量%、より好ましくは15〜50重量%または25〜50重量%の量で含有する。
【0058】
好ましくは、白金粒子は、不可避の不純物を除いて、さらなる金属元素を含まない(すなわち、白金は元素形態で存在する)。代替において、白金が白金合金の形態で存在することも可能である。白金合金は、例えば、以下の金属:Ru、Pd、Ir、Cr、Co、Ni、Cu、Fe、Mn、W、Vのうちの1つまたは複数を含有することができる。
【0059】
カーボン系担体材料の好ましい特性に関しては、上記の記載を参照することができる。
【0060】
カーボンブラック、例えばアセチレンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラックもしくはサーマルブラック、活性炭、熱分解カーボン、グラファイト、炭化物由来カーボン、カーボンナノチューブ、グラフェン、メソ多孔性カーボン、窒素もしくはホウ素ドープカーボン、またはこれらのカーボン材料の少なくとも2つの混合物を、例示的な方法で挙げることができる。
【0061】
担体物質は、好ましくは、少なくとも10m/g、より好ましくは少なくとも50m/gまたは少なくとも150m/g、例えば10〜2000m/gまたは50〜1500m/gまたは150〜1300m/gのBET面を有する。担体材料は、任意に多孔性であってもよい。担体材料は、例えば、少なくとも0.1ml/g、より好ましくは少なくとも0.2ml/gまたは少なくとも0.3ml/g、例えば0.1〜4.0ml/gまたは0.2〜3.5ml/gまたは0.3〜3.0ml/gの細孔容積を有する。
【0062】
触媒組成物は、好ましくは、少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、さらには少なくとも98重量%の炭素系担体材料および白金粒子からなる。
【0063】
白金粒子の表面は、界面活性物質を含まないことが好ましい。
【0064】
好ましい実施形態では、触媒組成物は、本発明による上述の方法によって得ることができる。
【0065】
本発明はさらに、上記の触媒組成物を含有する電気化学セル、特に燃料または電解セルに関する。
【0066】
燃料コールは、例えば、プロトン交換膜(PEM)燃料セル、例えば、水素またはメタノール−PEM燃料セルであり得る。電解セルは、好ましくは、水電解のための電解セル、特にPEM水電解セルである。
【0067】
本発明はさらに、電気化学反応のための触媒としての上記組成物の使用に関する。
【0068】
この電気化学反応は、例えば、酸素の電気化学的還元(「酸素還元反応」、ORR)、水素の電気化学的酸化(「水素酸化反応」、HOR)、水からの酸素の電気化学的形成(「酸素発生反応」、OER)、または水からの水素の電気化学的形成(「水素発生反応」、HER)である。
【0069】
本発明で使用される測定方法は、以下に特定される。
【0070】
レイノルズ数:
温度Tにおける撹拌機のレイノルズ数の判定は、以下の式に基づいて行われる:
R=(ρ*N*D)/η
式中、
Rは、撹拌機のレイノルズ数であり、
ρは、温度Tでの水の密度(kg/m)であり、
Nは、撹拌機の速度(回転/秒)であり、
Dは、撹拌機の最大直径であり、
ηは、温度Tでの水の動粘性係数(kg/(m*s))である。
【0071】
温度の関数としての水の密度および動粘性係数は、一般に知られている。撹拌機の最大直径Dは、撹拌軸に対して垂直に決定される。
【0072】
pHの判定:
pHの判定は、InLab Reach Pro−425電極を備えたMettler Toledo SevenCompactを用いて行った。電極タイプ:pH組み合わせ電極;ダイヤフラムタイプ:セラミック;参照電解質:3mol/l KCl;シャフト材料:ガラス;参照電極:Ag/AgCl。
【0073】
電極層は測定前に校正されている。
【0074】
粒子サイズ分布、d10、d50、およびd90値:
小角X線散乱により粒度分布を決定した。
【0075】
「Bragg−Brentano」装置X’Pert Proは、透過ジオメトリで操作され、一次ビームには、平行ビームを作るためにミラーが設けられている。触媒材料(10〜20mg)を、透過試料ホルダー中の2つのマイラー箔間に適用する。基板の測定には、対応する担体材料を有するサンプルホルダーが必要である。放射線源は、40kVおよび40mAの標準励起と0.1542nmの波長を持つCu X線管とした。
【0076】
基板除去後の得られた散乱曲線を、PANalytical EasySAXSSoftware(Ver.2.0)を用いて評価した。粒度分布曲線は、このソフトウェアで実行されるアルゴリズムによって計算された。原理は、測定から得られる散乱曲線I(q)が、以下の積分:
【数1】
を介して粒度分布DV(R)に関連付けられることである。
【0077】
使用した記号は、次のように定義される:
q:散乱ベクトル
(R):体積加重粒度分布
R:粒子半径
【0078】
上記式の間接フーリエ変換は、計測データ中のノイズに非常に感受性であるという事実のために、決定されたD(R)は、反復プロセスに基づいて実行される。この判定から得られる分布曲線D(R)は、体積加重粒度分布(粒子体積による分布)を表し、これは、数加重粒度分布D(R)に次のように関連付けられる:
【数2】
【0079】
(R)関数を有する粒度分布の決定のために、均質で相互作用しない球形粒子の集合体が存在することが仮定される。このアルゴリズムは、以下の参考文献:D.I.Svergun et al.,Acta Cryst.,A44,1988、244〜250頁に記載されている間接フーリエ変換を使用する。分布曲線の形状についての仮定は、それによってなされない。粒子体積加重サイズ分布が得られる。
【0080】
10、d50およびd90は、白金粒子の粒度分布に基づいて決定することができる。dx値は、粒子の体積加重部分x(%)がこの粒子サイズ未満であることを特定する。
【0081】
電気化学的測定のための測定セットアップ:
化合物活性および電気化学的に活性な表面のような電気化学的パラメーターの測定は、回転ディスク電極(RDE)を用いて行った。
【0082】
全ての測定は、Hg/HgSO参照電極(Schott Instruments GmbH)、対電極としての白金ガーゼおよびポテンシオスタットを使用して、室温で0.1M HClO電解液中に3つのTeflon容器を含む測定セル中で行った。
【0083】
ガラス状カーボン基材(直径:5mm;0.196cm Pine Research Instrumentation AFE5T050GC)を用いて、あらかじめ鏡面仕上げに研磨した試料体上に、20μlの水性触媒分散液を塗布し、大気中で密閉乾燥した。このようにして製造されたサンプルは、14μgPtcm−2の貴金属装入物を有し、回転電極(Pine Research Instrumentation AFMSRCE)に固定された。すべての計測、電気化学的に活性な表面の計測、ならびに化合物活性の計測は、補償された電解質抵抗を用いて行った。この目的のために、電解質抵抗のオーミック率の平均値は、4kHz、5kHz、6kHzでの測定の前に決定され、ポテンシオスタットの「iR補正」機能によって2オームの残留抵抗に補正された。
【0084】
電気化学的表面(EASA)の判定:
電気化学的に活性な表面は、水素不足電位堆積法の測定された電荷から決定された。50mVs−1の電位供給速度を有するアルゴン飽和電解液中の分極曲線が、この目的に役立った。電荷は、経時的な電流の積分から電気化学的二重層容量を差し引いた後に続く。200μCcm−2を、白金表面を判定するための換算係数として推測する。
【0085】
化合物活性の測定:
アルゴン中の分極曲線を差し引いた後、50mVs−1の電位供給速度およびディスク電極の1600min−1の回転速度で、酸素飽和電解液中のアニオン分極曲線から化合物活性を決定した。
【0086】
BET表面積:
BET表面積は、BET法を用いて77Kでの窒素吸着によって測定される。
【0087】
細孔容積:
細孔容積は、77Kでの窒素吸着およびP/P=0.99の比圧によって決定される。
【0088】
以下の実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0089】
実施例1
含浸工程(i):
約250m/gのBET表面を有するVulcan(登録商標)XC72−Rとして市販されている6gのカーボンブラックを、100mLの水でスラリー化し、二重シェル反応器に入れ、2Lまで水で満たした。撹拌機のレイノルズ数を100,854に設定し、懸濁液を70℃に加熱した。1時間の保持時間の後、40gの硝酸性HPtCl溶液(Pt10重量%)を計量供給し、続いて一定の混合および温度で1時間保持した。
【0090】
還元工程(ii):
NaCOを加えることにより、水性媒体のpHを5.1の値に設定した。次に、還元剤として作用するギ酸を添加した。撹拌機のレイノルズ数は100,854であり、水性媒体の温度は70℃であった。反応器の最大内径reactorに対する最大撹拌機直径Dの比率は、0.69であった。還元中、カーボン粒子上に存在する白金化合物は、金属白金に還元された。金属白金粒子が担持されたカーボン粒子が得られた。0.5時間後、触媒組成物を水性媒体から濾過し、窒素雰囲気中110℃で乾燥させた。触媒組成物の白金含有量は、40重量%であった。
【0091】
触媒組成物のTEM画像を、種々の拡大率で撮影した。これらのTEM画像を、図1および図2に示す。
【0092】
高い拡大率で数個のカーボン粒子を示すに過ぎない図1から、金属白金粒子は、担体材料として作用するカーボン粒子上に高い分散度で高度に均質に分散されていることが分かる。
【0093】
図1と比較して、カーボン粒子の数が著しく多いことを示す図2から、白金粒子がカーボン粒子上に実質的に排他的に担持されていることが分かる。このようにして、担持されておらず、凝集した白金粒子の形成は、実質的に完全に抑制された。
【0094】
還元工程のプロセス条件および担持された触媒組成物の特性(TEMから見ることができる)を、以下の表1にまとめる。
【0095】
白金粒子の粒度分布は、小角X線散乱によって決定される。d10、d50、d90値は、粒度分布に基づいて決定した。電気化学的に活性な表面(EASA)および化合物活性を、実施例1の触媒組成物についてさらに測定した。
【0096】
結果を、以下の表2に要約する。
【0097】
比較例1
比較例1において、触媒組成物は、実施例1と同じプロセス条件下で製造されたが、以下の逸脱を有した:水性媒体のpHは、還元工程(ii)の間に8.0であった。比較例1の撹拌機および反応器は、実施例1の撹拌機および反応器に相当した。
【0098】
触媒組成物のTEM画像を、種々の拡大率で撮影した。これらのTEM画像を、図3および4に示す。
【0099】
数個のカーボン粒子のみを高い拡大率で示す図3から、カーボン粒子上に存在する金属白金粒子は、実施例1からの試料と比較して著しく劣った分散度を有することが分かる。図3と比較して著しく多数のカーボン粒子を示す図4から、白金粒子の大部分がカーボン粒子上に担持されていることが分かる。
【0100】
還元工程のプロセス条件および担持された触媒組成物の特性は、TEM画像から見ることができ、以下の表1に要約されている。
【0101】
白金粒子の粒度分布を、小角X線散乱を介して決定した。d10、d50、d90値は、粒度分布に基づいて決定した。電気化学的に活性な表面(EASA)および化合物活性を、実施例1の触媒組成物についてさらに測定した。
【0102】
結果を、以下の表2に要約する。
【0103】
比較例2
比較例2では、実施例1と同じプロセス条件下で触媒組成物を製造したが、以下の逸脱があった:還元工程(ii)の間、撹拌機のレイノルズ数は40,419であった。比較例2の撹拌機は、実施例1の撹拌機に対応したが、異なるレイノルズ数の撹拌機で運転した。比較例2の反応器も、実施例1で使用した反応器に相当した。
【0104】
種々の拡大率でのTEM画像を、触媒組成物について撮影した。これらのTEM画像を、図5および図6に示す。
【0105】
数個のカーボン粒子のみを高い拡大率で示す図5から、カーボン粒子上に存在する金属白金粒子は、高度の分散を有することが分かる。しかしながら、図6から、かなりの量の担持されていない凝集した白金粒子が形成されていることが分かる。
【0106】
還元工程のプロセス条件および担持された触媒組成物の特性(TEM画像から見ることができる)を、以下の表1に要約する。
【0107】
【表1】
【0108】
表1に示されるように、還元工程のための撹拌機のpHならびにレイノルズ数が本発明による範囲内にある場合にのみ、担持された白金粒子の高度の分散が得られ、一方、事実上完全に回避される担持されていない白金粒子が得られる。
【0109】
低すぎる撹拌機のレイノルズ数で還元を行う場合、カーボン粒子上に存在する白金粒子は高度の分散を示すが、有意な割合の担持されていない白金粒子(すなわち、カーボン粒子上に存在しない)が存在する。比較例2参照。
【0110】
還元が非常に高いレイノルズ数で起こった(すなわち、本発明による)が、pHが本発明によるものではなかった場合、担持されていないPt凝集体のパーセンテージは比較的低く保つことができるが、カーボン粒子上に担持された白金粒子は高度の分散を有さない。
【0111】
白金粒子の粒子サイズ、電気化学的に活性な表面、および化合物活性を、実施例1および比較例1の試料(すなわち、白金粒子が主に担持された様式で存在する試料)について決定した。表2に結果が示される。
【0112】
【表2】
【0113】
本発明による触媒組成物によって、400A/g Ptを有意に超える化合物活性が得られた。この非常に高い化合物活性にもかかわらず、組成物は、2nm未満の直径を有する非常に小さいPt粒子を極度に低い割合でしか有しておらず(実施例1のd10値を参照されたい)、これは、燃料セルまたは電解セルの非常に腐食性の条件下でPt粒子の安定性に対して正の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
図1】実施例1における種々の拡大率で撮影した触媒組成物のTEM画像を示す。
図2】実施例1における種々の拡大率で撮影した触媒組成物のTEM画像を示す。
図3】比較例1における種々の拡大率で撮影した触媒組成物のTEM画像を示す。
図4】比較例1における種々の拡大率で撮影した触媒組成物のTEM画像を示す。
図5】比較例2における種々の拡大率で撮影した触媒組成物のTEM画像を示す。
図6】比較例2における種々の拡大率で撮影した触媒組成物のTEM画像を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6