(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリウレタン混合物が、少なくとも1種のポリエステルウレタン(B1)と、少なくとも1種のポリエーテルウレタン(B2)と、少なくとも1種のポリカーボネートウレタン(B3)とを混合し、続いて、少なくとも1つのイソシアネート基においてブロック剤でブロック化された脂肪族イソシアネートを含む架橋剤により少なくとも部分的に架橋することにより製造されていることを特徴とする、請求項1記載の熱固定可能な面状形成物。
前記接着材料構造体が、前記面状形成物のすぐ上にある、前記ポリウレタン混合物を含む下層と、前記下層の上に配置された、溶融接着剤を含む上層とを有する二層接着材料構造体として形成されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の熱固定可能な面状形成物。
前記ポリウレタン混合物および前記溶融接着剤がダブルドットとして形成されており、前記ポリウレタン混合物が下側ドットパターンとして、前記溶融接着剤が上側ドットパターンとして形成されていることを特徴とする、請求項11記載の熱固定可能な面状形成物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された適用性、殊に着色処理(製品染め)における改善された後処理特性、および改善された加工性の点で優れた、殊にテキスタイル産業における固定可能な芯地または裏地として使用可能な、熱固定可能な面状形成物と、その製造と、テキスタイル用の芯地としてのその使用とに関する。
【0002】
芯地は、衣服の目に見えない骨格である。芯地は、適切なフィット性と最適な着心地とをもたらす。用途に応じて、芯地は、加工性を補助し、機能性を高め、衣服を安定させる。衣服の他に、これらの機能は、工業用テキスタイル用途、例えば、家具産業、クッション産業および家庭用テキスタイル産業で利用できる。
【0003】
芯地について重要な特性は、柔軟性、弾力性、手触り、耐洗濯性および手入れ耐性、ならびに使用時の基材材料の十分な耐摩耗性である。
【0004】
芯地は、不織布、織物、経編物(Gewirken)または同等のテキスタイル面状形成物からなっていてもよく、これらには、多くの場合さらに接着材料が設けられており、それにより、芯地は、多くの場合、熱的に高温で、および/または圧力により表地と接着することが可能である(固定芯地)。そのようにして、芯地が表地に積層化される。前述の様々なテキスタイル面状形成物は、製造方法に応じて、異なる特性を有する。織物は、経糸方向および緯糸方向のスレッド/ヤーンからなり、経編物は、メリヤス編み(Maschenbindung)によりテキスタイル面状形成物へと結合されるスレッド/ヤーンからなる。不織布は、重なって繊維パイル(Faserflor)になった単一繊維からなり、これらの繊維は、機械的、化学的、または熱的に結合される。
【0005】
機械的に結合されている不織布の場合、繊維パイルは、繊維を機械的に交絡させることにより固定される。そのために、ウォータージェットもしくはスチームジェットによるニードリング技術または交絡のいずれかが使用される。ニードリングでは、たしかに柔軟な製品が得られるが、手触りが比較的不安定になるため、この技術は、芯地の分野では、極めて特殊なニッチにしか用いることができなかった。さらに、機械的ニードリングでは、一般的に50g/m
2超の目付が必要であり、これは、多くの芯地用途にとって非常に重い。
【0006】
ウォータージェットにより固定された不織布は、より低い目付を示すが、一般的に平らであり、弾力性があまりない。
【0007】
化学的に結合されている不織布の場合、繊維パイルには、含浸、噴霧またはその他の一般的な施与方法によりバインダー(例えばアクリレートバインダー)が備えられ、続いて圧縮される。バインダーは、繊維を互いに結合させて不織布にするが、これにより製品が比較的硬くなる。それというのも、バインダーは、繊維パイルの大部分にわたって分布し、繊維を複合材料のように連続的に互いに接着するからである。手触りまたは柔軟性の変化は、繊維の混合またはバインダーの選定により限定的に相殺されるにすぎない。
【0008】
熱的に結合されている不織布は、芯地として使用するために、カレンダー機または熱風により固定されることが一般的である。芯地不織布の場合、今日では、ドット状のカレンダー機固定が標準的技術として用いられている。ここで、繊維パイルは、一般的に、このプロセスのために特別に開発されたポリエステルまたはポリアミド繊維からなり、カレンダー機により、繊維の融点前後の温度で固定され、ここで、カレンダー機のローラには、ドットの刻印が設けられている。そのようなドットの刻印は、例えば、1cm
2あたり64個のドットからなり、例えば12%の溶接面を占め得る。ドットの配置がないと、芯地は平らな状態で固定され、不適切なほどに手触りが硬くなるであろう。
【0009】
テキスタイル面状形成物を製造する上記の様々な方法は公知であり、専門書および特許文献に記載されている。
【0010】
芯地に施与されていることが一般的である接着材料は、多くの場合、熱活性化可能であり、一般的に熱可塑性ポリマーからなる。この接着材料コーティングを施与する技術は、従来技術に準拠して、個別の作業工程で、繊維面状形成物において行われる。接着材料技術としては、一般的に、パウダードット法、ペースト印刷法、ダブルドット法、散布法およびホットメルト法が知られており、特許文献に記載されている。今日では、ダブルドットコーティングが、手入れ処理後の表地との接着に関して、かつバックリベッティング(Rueckvernietung)に関して最も効率が良いと考えられている。
【0011】
そのようなダブルドットは二層構造を有する。これは下側ドットおよび上側ドットからなる。下側ドットは、ベース材料にしみ込み、接着材料戻りに対するバリア層として機能し、かつ上側ドット粒子を固定する役割を果たす。一般的な下側ドットは、例えば、固定の際に接着力に寄与するバインダーおよび/または熱可塑性ポリマーからなる。使用される薬品に応じて、下側ドットは、ベース材料における固定のみならず、接着材料戻りを防止するバリア層としても寄与する。二層複合材における主要接着成分は、主に上側ドットである。これは、熱可塑性材料からなっていてもよく、粉末として下側ドットに散布される。散布プロセスの後に、(下層のドットの間の)余剰部分の粉末を再び吸い取ることが好ましい。続く焼結の後に、上側ドットは、下側ドットに(熱により)結合され、上側ドットへの接着剤として機能することができる。
【0012】
芯地の使用目的に応じて、様々な数のドットが押し付けられ、かつ/または接着材料量またはドットパターンの形状は変化する。一般的なドット数は、例えば、9g/m
2の施与でCP110、または11g/m
2の施与量でCP52である。
【0013】
ペースト印刷も広く用いられている。この技術の場合、粒径80μm未満の粒子形態にあることが一般的な熱可塑性ポリマーと、増粘剤と、流動助剤とからの水性分散液が製造され、ペーストの状態で、回転式スクリーン印刷法により、多くの場合ドット状に基材層へと押し付けられる。続いて、印刷処理された基材層を乾燥プロセスにかけることが好ましい。
【0014】
様々な溶融接着剤を熱間接着用の接着媒体として芯地または裏地に使用してもよいことが知られている。
【0015】
現在、薄くて透明で、柔軟な、または開放的な表地が、衣服産業において、特に婦人用上着でトレンドとなっている。そのような表地を補助するためには、非常に軽く、その構造が開放的な芯地が向いている。
【0016】
ここで、慣用的な水性ペースト系としての前記材料のコーティングには問題がある。それというのも、これらの系は、コーティングプロセスにおいてベースに浸透し、後の工程で製造設備を著しく汚すからである。これにより、製品品質が著しく悪化するのみならず、製造設備を何度も停止して、手間をかけて機械部品を洗浄する必要がある。
【0017】
さらに、この浸透により、接着材料下側ドットを良好に形成することができなくなり、粉末の散布(ダブルドットコーティング)の後に、突起の少ない不均一なドットが形成される。さらに、ドットが展着すると、下側ドットが「塗り付けられて」、それにより、下側ドットの外縁部にある、また部分的に隙間にもある粉末を上手く吸引することができなくなる。これにより、設備が汚れるのみならず、接着後に複合材が弱くなる。
【0018】
公知の接着材料下側ドットのさらなる欠点は、これが、後処理プロセス、殊に「製品染め」の用途に限定的にしか適しておらず、比較的高い固定条件/固定温度で塗布される必要さえあることである。
【0019】
本発明の課題は、ポリウレタンコーティングが施与された、テキスタイル材料製の基材層を含むテキスタイル面状形成物であって、殊に着色処理(製品染め)において優れた後処理特性を有するテキスタイル面状形成物を用意することである。さらに、バックリベッティングは、殊に基材層が軽く(目付10〜30g/m
2)かつ/または開放的な場合でも非常に少ないことが望ましく、ポリウレタンコーティングの施与において設備は汚れないことが望ましい。
【0020】
さらに、テキスタイル面状形成物は、化学的に耐クリーニング性であり、95℃までの非常に良好な耐洗濯性を示し、サイクル数が多くても乾燥条件に耐えることが望ましい。
【0021】
前記課題は、本発明により、殊にテキスタイル産業において熱固定可能な芯地として使用することができる、熱固定可能な面状形成物であって、テキスタイル材料からなる基材層を有し、前記基材層に接着材料構造体が施与されており、前記接着材料構造体が、少なくとも1種のポリエステルウレタン(B1)と、少なくとも1種のポリエーテルウレタン(B2)と、少なくとも1種のポリカーボネートウレタン(B3)とを有するポリウレタン混合物を含有するポリウレタンコーティングを含み、前記ポリウレタン混合物が、少なくとも1つのイソシアネート基においてブロック剤でブロック化された少なくとも1種のイソシアネートを含む架橋剤により少なくとも部分的に架橋されている、熱固定可能な面状形成物により解決される。
【0022】
ポリウレタン混合物は、少なくとも1種のポリエステルウレタン(B1)と、少なくとも1種のポリエーテルウレタン(B2)と、少なくとも1種のポリカーボネートウレタン(B3)とを混合し、続いて、少なくとも1つのイソシアネート基においてブロック剤でブロック化されたイソシアネートを含む架橋剤により少なくとも部分的に架橋することにより製造することが可能である。
【0023】
本発明の意味でのイソシアネートは、置換または非置換C
1〜C
40、好適にはC
3〜C
18アルキル基、アリール基またはアラルキル基を、1つ以上のイソシアネート基を有する基体として有する。特に好ましいイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である。同様に、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H
12MDI)も適している。イソシアネートは、平衡反応においてオリゴマー化して、例えばダイマーまたはトライマーとして存在していてもよい。ここで、先に挙げた鎖長はモノマー単位に関連する。
【0024】
本発明によると、脂肪族イソシアネート、殊に、C
3〜C
18アルキル基、好適にはC
4〜C
12アルキル基を基体として有するイソシアネートが特に好ましい。すなわち、実際の実験において、これを使用することより、固定された芯地の洗濯安定性を特に大幅に向上させることができることが判明した。これは、強疎水性の相互浸透性三次元構造体が形成されることに起因すると考えられており、この三次元構造体は、脂肪族骨格の移動性が良好であることに基づいて生じる。
【0025】
ポリエステルウレタン(B1)は、
− 5〜65質量割合のイソシアネート含量を有する、少なくとも1種の二官能性の、好適には脂肪族、脂環式または芳香族ポリイソシアネート(A)と、
− 少なくとも1種のポリエステルポリオール(b1)と、場合により
− 少なくとも1種の鎖延長剤(C)と
を反応させることにより得られる。
【0026】
ポリエーテルウレタン(B2)は、
− 5〜65質量割合のイソシアネート含量を有する、少なくとも1種の二官能性の、好適には脂肪族、脂環式または芳香族ポリイソシアネート(A)と、
− 少なくとも1種のポリエーテルポリオール(b2)と、場合により
− 少なくとも1種の鎖延長剤(C)と
を反応させることにより得られる。
【0027】
ポリカーボネートウレタン(B3)は、
− 5〜65質量割合のイソシアネート含量を有する、少なくとも1種の二官能性の、好適には脂肪族、脂環式または芳香族ポリイソシアネート(A)と、
− 少なくとも1種のポリカーボネートポリオール(b3)と、場合により
− 少なくとも1種の鎖延長剤(C)と
を反応させることにより得られる。
【0028】
本発明の好ましい形態は、従属請求項に記載されている。
【0029】
本発明によれば、面状形成物は、ポリウレタンコーティングを有しており、このポリウレタンコーティングは、少なくとも1種のポリエステルウレタン(B1)と、少なくとも1種のポリエーテルウレタン(B2)と、少なくとも1種のポリカーボネートウレタン(B3)とのポリウレタン混合物を含有し、このポリウレタン混合物は、少なくとも1つのイソシアネート基においてブロック剤でブロック化されたイソシアネートを含む架橋剤により少なくとも部分的に架橋されている。
【0030】
本発明による面状形成物が、殊に着色処理(製品染め)において優れた後処理特性を有することが判明した。さらに、バックリベッティングは、殊に基材層が軽い(目付10〜30g/m
2)かつ/または開放的な場合でも非常に少なく、ポリウレタンコーティングの施与において設備が汚れることがない。
【0031】
さらに、テキスタイル面状形成物は、化学的に耐クリーニング性であり、95℃までの非常に良好な耐洗濯性を示し、サイクル数が多くても乾燥条件に耐える。
【0032】
1つの機構に固執するものではないが、面状形成物の優れた特性は、ポリエステルポリウレタン(B1)、ポリエーテルポリウレタン(B2)およびポリカーボネートポリウレタン(B3)と、架橋剤としての少なくとも部分的にブロック化されたイソシアネートとの特定の仕様の組み合わせにより達成することが可能であると考えられる。ポリエーテルポリオール(b2)から形成されたポリエーテルポリウレタン(B2)は、ポリカーボネートポリオール(b3)から形成されたポリカーボネートポリウレタン(B3)とともに、面状形成物の優れた耐洗濯性をもたらし、ポリエステルポリオール(b1)から形成されたポリエステルポリウレタン(B1)が、その優れた感触および伸縮性をもたらすと考えられる。
【0033】
「ブロック化されたイソシアネート」という用語は、慣用的な意味に準じて、ポリウレタン混合物との接触におけるイソシアネートが、ブロック剤、殊にアルコールとの付加化合物(ウレタン)および/またはアミンとの付加化合物(尿素)として存在している状態を表す。この付加化合物は、比較的高い温度においてイソシアネートを再び放出することができ、それによりポリウレタン混合物の架橋を開始することができる。
【0034】
ブロック化されたイソシアネートを使用することにより、架橋のタイミングを選択的に調整することができる。これにより、架橋がすでにコーティングプロセスの間に起こることで、コーティングが不規則的になり得ることを防止することができる。さらに、ブロック化されたイソシアネートを使用することにより、個別に架橋度を調整することができ、それにより、下側ドットにおける凝集力と、コーティングされた下地へのその付着とを最適化することができる。これにより、テキスタイル面状形成物の表面の品質が改善され、殊に、ポリウレタン混合物の剥離力の性能が向上し、これは、製品染めのような機械的に困難な後処理プロセスにおいても維持される。
【0035】
架橋剤としてのブロック化されたイソシアネートの使用についてさらに有利であるのは、ポリウレタン混合物の調整によりポリウレタン混合物の粘弾性特性を選択的に調整することができ、剥がれ挙動を選択的に調整することができることである。さらに、ブロック化されたイソシアネートにより、テキスタイル面状形成物の手触りおよび耐クリーニング性をどちらも選択的に変化させることができる。
【0036】
ポリウレタン混合物は、イソシアネートによってのみ架橋されて存在していることが好ましい。しかしながら、さらなる架橋剤、例えばアジリジンが存在することも考えられる。
【0037】
本発明の好ましい実施形態において、ポリウレタン混合物は、架橋剤を、それぞれポリウレタン(B1)、(B2)および(B3)の総質量を基準として、0.1〜20質量%、さらに好ましくは1〜10質量%、殊に2〜6質量%の量で含有している。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、ポリウレタン混合物は、0.01〜0.5、さらに好ましくは0.05〜0.3、殊に0.1〜0.2の架橋度を有する。架橋度は、それぞれ使用される量を考慮して、ポリウレタンB1、B2およびB3におけるイソシアネート活性基の総数に対する、イソシアネートにおけるイソシアネート基の総数の比から計算することができる。
【0039】
本発明によると、ブロック剤は、160℃未満、例えば110〜140℃、さらに好ましくは120〜130℃の脱ブロック化温度を有することが好ましい。
【0040】
本発明によると、特に好ましいブロック剤は、3,5−ジメチルピラゾール(DMP)、アセト酢酸、マロンエステル、ブタノンオキシム、第二級アミン、カプロラクタム、フェノール、アルコールおよびそれらの混合物からなる群より選択される。ここで、DMPが極めて特に好ましい。それというのも、DMPは、ポリマーの優れた架橋をもたらし、毒性ではなく、120〜130℃の低い温度ですでに脱ブロック化するからである。
【0041】
イソシアネートは、1つ以上のイソシアネート基にブロック化して存在していてもよい。
【0042】
実際の実験において、特定のポリウレタン混合物を使用することにより、面状形成物の驚くほど良好な耐洗濯性および高い伸縮性を達成できることが判明した。よって、感触の全体性能において欠点を被ることなく、より硬い不織布も使用することができる。さらに、高い伸縮性を有する繊維(例えばBIKO繊維)またはヤーンを用いることなく、ポリウレタンコーティングだけで面状形成物に高い伸縮性を付与することも可能である。これにより、特定の特性を有する新たな製品、例えば従来のポリアミド/ポリエステル不織布をベースとする伸縮性バンド芯地を製造することができる。
【0043】
ポリウレタンを使用することのさらなる利点は、本発明によるテキスタイル面状形成物が、柔軟で、伸縮性があり、優れた(気持ちの良い)手触りを有していることである。芯地の手触りの試験は、テキスタイル産業における重大かつ重要な試験である。殊にベース用のシリコーン仕上げを行わなくても気持ちの良い手触りを得ることができることが有利である。
【0044】
ポリウレタンを使用することのさらなる利点は、合成の自由度が大きいことである。よって、ポリウレタン合成について、モノマーの選択肢が大きくなり、これにより、所望の物理的特性、例えば、硬度、伸縮性などの調整を容易にすることが可能になる。
【0045】
二官能性ポリイソシアネート(A)としては、5〜65質量割合のイソシアネート含量を有する、C
4〜18脂肪族および/またはC
6〜20脂環式、ならびにC
6〜20芳香族ジイソシアネートを使用することが好ましい。
【0046】
よって、殊に、1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−または2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−および1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H
12MDI、HMDI)、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)イソシアナトメチルシクロヘキサンおよびビス(イソシアナトメチル)ノルボルナンおよび/またはそれらの異性体混合物、ならびにトルエン−2,4−ジイソシアネート(TDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)および/またはそれらの異性体混合物が適している。
【0047】
脂肪族および脂環式ジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−または2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−および1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H
12MDI、HMDI)、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)イソシアナトメチルシクロヘキサンおよびビス(イソシアナトメチル)ノルボルナンが特に適していることが判明した。
【0048】
Aに記載の特に好ましいポリイソシアネートは、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)および4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンである。Aに記載の特に好ましいポリイソシアネートは、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)である。
【0049】
bに記載の特に適切なポリオールは、例えば、400g/mol〜6000g/mol、さらに好ましくは1000g/mol〜4000g/molの分子量を有するポリエステルポリオール(b1)、400g/mol〜6000g/molの分子量を有するポリエーテルポリオール(b2)、および/または450g/mol〜3000g/molの分子量を有するポリカーボネートポリオール(b3)である。
【0050】
本発明の文脈において、ポリエステルポリオール(b1)とは、1つより多くの水酸基、好ましくは2つの末端水酸基を有するポリエステルであると理解される。これらは、公知の手法により、例えば、脂肪族ヒドロキシカルボン酸から、または脂肪族および/もしくは芳香族ジカルボン酸と、1つ以上のジオールとから製造することができる。適切な出発生成物の例は、コハク酸、アジピン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、グルタル酸、グルタル酸無水物、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸無水物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびε−カプロラクトンである。
【0051】
本発明によると、ポリエステルポリオールとしては、良好に結晶化するポリエステルポリオールを使用することが好ましい。適切な結晶化するポリエステルポリオールは、例えば、分子中に6〜12個の炭素原子を有する、直鎖状、好適には非架橋脂肪族ジカルボン酸、例えば、アジピン酸およびドデカン二酸、ならびに分子中に4〜8個の炭素原子、好適には偶数個の炭素原子を有する直鎖状ジオール、例えば、1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールをベースとするものである。同様に、二官能性出発分子、例えば1,6−ヘキサンジオールをベースとするポリカプロラクトン誘導体も、特に適切なものとして挙げられる。
【0052】
ポリエーテルポリオール(b2)およびポリカーボネートポリオール(b3)について、好ましい分子量は、互いに独立して、400g/mol〜6000g/mol、さらに好ましくは1000g/mol〜4000g/molの範囲にある。
【0053】
Cに記載の適切な鎖延長剤は、二価脂肪族C
1〜8アルコール、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、および1,6−ヘキサンジオールである。
【0054】
Cに記載の好ましい鎖延長剤は、偶数個の炭素原子を有する。ここで、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールおよびそれらの異性体混合物、ならびに1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。Cに記載の特に好ましい鎖延長剤は、1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールである。
【0055】
ポリウレタンコーティングの製造は、バッチプロセスにおいて、例えば以下の通りに、容易に実施することが可能である。
【0056】
各ポリオール(b1、b2またはb3)を、90℃で、真空のもと、2時間の期間にわたり脱気および脱水する。続いて、ポリオールを100℃に加熱し、撹拌しながら、連続的に、触媒、加水分解防止剤およびエージング防止剤のような添加剤、ならびに1種以上の鎖延長剤を添加する。最後に、撹拌しながらポリイソシアネートを添加する。ここから生じる発熱性反応により、反応混合物の温度が大きく上昇する。同時に、反応が進行するにつれて反応混合物の粘度が常に上昇し続けるため、基本的には、反応温度が当初の大きな上昇の後にほぼ一定の値に落ち着いたら、反応混合物を注ぎ出す。成分を一段階で反応させる方法は、ワンショット法(一段階法)とよばれる。
【0057】
バッチが比較的大きい場合、反応押出成形機による連続的なプロセスが推奨される。
【0058】
続いて、前述のポリウレタンB1、B2およびB3を、互いに混合して、少なくとも部分的にブロック化されたイソシアネートを架橋剤として添加してもよい。イソシアネートの脱ブロック化は、好適には面状形成物への施与の直後に、例えば、80℃〜200℃の温度、さらに好ましくは100℃〜150℃の温度、殊に120℃〜140℃の温度に加熱することにより行われる。
【0059】
実際の実験において、ポリウレタン混合物がポリアクリル酸および/またはポリウレタン誘導体を増粘剤として含有すると特に好ましいことが判明した。これらの物質を使用することにより、特に均一な気泡不含のコーティングを得られることが判明した。
【0060】
ポリウレタン混合物が、殊に、アルミノケイ酸塩、好適には、カオリン、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、層状ケイ酸塩および酸化アルミニウムより選択されるフィラー、例えば、ウォラストナイト、ドロマイト、雲母、バライト粉末またはタルクを含有することが考えられる。この場合、フィラーの量は、それぞれポリウレタン混合物の総質量を基準として、好適には0.5〜55質量%、さらに好ましくは5〜45質量%である。ここで、フィラーは、5nm〜100μmの平均粒径を有していることが好ましい。さらに、ポリウレタン混合物をフィラーで変性することにより、その粘弾性特性(レオロジー)、手触り、耐クリーニング性、細孔分布、接着性、および剥がれ挙動を選択的に調整することができる。
【0061】
本発明の特に好ましい実施形態において、フィラーは、2〜20μm、さらに好ましくは3〜15μm、殊に7〜10umの平均粒径を有するシリカである。同様に、DIN ISO787−5で測定した場合に、30〜90g/100gμm、さらに好ましくは50〜80g/100g、殊に60〜80g/100gの油価(Oelzahl)、および/または0.5〜3ml/gμm、さらに好ましくは1〜2ml/g、殊に1〜1.5ml/gの平均細孔容積を有するシリカが好ましい。シリカは、非晶質および/または殊に親水性シリカであることが特に好ましい。シリカの量は、それぞれポリウレタン混合物の総質量を基準として、好適には0.5〜55質量%、さらに好ましくは1〜20質量%、殊に2〜8質量%である。この実施形態において、ポリウレタン混合物は、ポリウレタン混合物の総質量を基準として、別のフィラー、殊に前述の別のフィラーを、好適には10質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満の量で含有する。
【0062】
シリカを使用することにより、ポリウレタン混合物の流動特性を改善することができる。これにより、より迅速にコーティングすることができ、例えば下側ドットとしての良質なポリウレタンコーティングが得られ、このことは、上側ドットの良好な結合、および耐製品染め性にとって大きな利点である。さらに、耐後処理性は、フィラーを均質に導入することによりさらに向上させることがき、価格を低下させることができる。さらに、シリカを使用することにより、製造物のレオロジー挙動が改善され、このことは特に、芯地が軽く、かつ/または開放的である場合に有利である。すなわち、これらの下地の場合、コーティングプロセスの間に、接着材料が芯地に浸透し過ぎる、または最悪の場合には「貫通」するリスクが非常に高い。それにより、一次接着が低下し、かつ/またはプリントヘッドおよびそれに続く設備ユニットが汚れる。微粒子状シリカをフィラーとして使用することにより、この問題を大きく取り除くことができる。微粒子状シリカのさらなる利点は、ポリウレタン混合物におけるその分散性が優れていることと、分散液の長期安定性が良好であることである。
【0063】
さらに、ポリウレタン混合物は、特に分散液の粘度調整および流動挙動に寄与する助剤も含有していてもよい。適切なバインダー組成により、芯地における感触は、広い範囲で変化し得る。本発明のさらなる有利な実施形態において、ポリウレタン混合物は、活性炭、カーボンブラック、相変化材料(PCM)、熱可塑性ポリマー粉末、エクスパンセル、フロック繊維、接着促進剤、難燃剤、例えば水酸化マグネシウムおよび/もしくは水酸化アルミニウムまたはリン化合物、塗工顔料、例えば二酸化チタン、超吸収体、例えばポリアクリル酸、木材チップ、ゼオライト、金属粉末、磁性粒子、例えば酸化鉄、カプセル化された物質、例えば、着色剤、芳香剤もしくは有効成分(創傷被覆材)、または臭気吸収性物質、例えばシクロデキストリンもしくはPVPより選択される添加剤を、それぞれポリウレタン混合物の総質量を基準として、好適には0.1〜70質量%、さらに好ましくは5〜60質量%の量で含有する。
【0064】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、好適には5〜50MPa、さらに好ましくは15〜40MPa、殊に20〜30MPaの引張強さを有するポリウレタンB1、B2および/またはB3が使用される。
【0065】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、好適には30〜120、さらに好ましくは40〜90、殊に50〜70のショア硬さを有するポリウレタンB1、B2および/またはB3が使用される。
【0066】
ポリウレタンコーティングの目付は、面状形成物の所望の特性に応じて変化し得る。目付を、0.1g/m
2〜40g/m
2、好適には0.5g/m
2〜20g/m
2、殊に1g/m
2〜10g/m
2の範囲で調整することが、たいていの用途の目的にとって好ましいことが判明した。
【0067】
ポリエステルウレタン(B1)、ポリエーテルウレタン(B2)およびポリカーボネートウレタン(B3)は、ポリウレタン混合物中において、純粋な形態で存在していても、混合されて存在していてもよい。よって、ポリウレタン混合物は、ポリウレタンのみならずさらなるポリマーも含有するとも考えられる。ポリエステルウレタン(B1)、ポリエーテルウレタン(B2)およびポリカーボネートウレタン(B3)とは異なるポリマーは、例えば、ポリアクリレート、シリコーン、(コ)ポリエステル、(コ)ポリアミド、ポリオレフィン、スチレンアクリレート、ブタジエンアクリレート、SBR、NBRおよび酢酸エチレンビニルをベースとするポリマーおよび/または前述のポリマーの組み合わせ(混合物および共重合体)を含み得る。ここで、本発明によると、ポリアクリレートおよびシリコーンが特に好ましい。ここで、ポリウレタン混合物の割合は、ポリウレタンコーティングの総量を基準として、好適には20〜100質量%、さらに好ましくは30〜90質量%、殊に40〜90質量%である。
【0068】
ポリウレタン混合物は、固定において接着力に寄与しないように、190℃超の融点を有することがさらに好ましい。このことは殊に、ポリウレタン混合物が下層として施与される場合に有利である。それというのも、この下層は、その上に施与される熱可塑性層に対してバリア層として作用し、これにより、接着材料戻りが僅かになるからである。
【0069】
さらに、本発明による面状形成物は基材層を含む。基材層に使用すべきテキスタイル材料の選定は、それぞれの用途の目的または特別な品質要件を考慮して行われる。例えば、織物、経編物、緯編物(Gestricke)などが適している。ここで基本的には、本発明により何ら制限は課されない。ここで、当業者であれば、その用途に適した材料の組み合わせを特定することができる。
【0070】
不織布、またテキスタイル材料のスレッドまたはヤーンも、化学繊維からなっていても、または天然繊維からなっていてもよい。化学繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、セルロース再生繊維および/または結合繊維を使用することが好ましく、天然繊維としては、ウール繊維または木綿繊維を使用することが好ましい。
【0071】
ここで、化学繊維は、縮れさせることが可能な、縮れた、および/または縮れていないステープル繊維、縮れさせることが可能な、縮れた、および/または縮れていない直接紡績された連続繊維および/または不連続繊維、例えばメルトブロー繊維を含んでいてもよい。基材層は、単層または複数層で構成されていてもよい。
【0072】
不織布を製造するために、冒頭に示した技術を使用してもよい。不織布への繊維パイルの繊維の結合は、機械式(従来のニードリング、ウォータージェット技術)にバインダーを用いて、または熱により行うことが可能である。ただしこの場合、印刷前の基材層の不織布強度が中程度であれば十分である。それというのも、印刷の際に、基材層に、バインダーと熱可塑性ポリマーとの混合物、それからさらにバインダーが施与され、固定されるからである。中程度の不織布強度の場合、コスト面で有利な繊維原料も使用することができるが、これが手触りについての要件を満たすことを条件とする。プロセス手順を単純化してもよい。
【0073】
ステープル繊維を使用する場合、これを少なくとも1つの梳綿機でカーディングして繊維パイルにすることが有利である。ここで、特殊な不織布特性を可能にすることが望ましい場合、または複数層の繊維構造が望ましい場合、無作為置き(ランダム技術)が好ましいが、縦置きおよび/または横置きの組み合わせ、あるいはさらに複雑な梳綿機の構成も可能である。
【0074】
6.7dtexまでの繊維タイターを有する繊維が芯地として特に適している。より粗いタイターは、その繊維剛性が大きいことを理由に、一般的には使用されない。1.7dtexの範囲の繊維タイターが好ましいが、1dtex未満のタイターを有するマイクロ繊維も考えられる。
【0075】
本発明の特に好ましい実施形態において、基材層は、5〜300g/m
2、さらに好ましくは10〜100g/m
2、さらに好ましくは10〜40g/m
2、殊に10〜30g/m
2の目付を有する。
【0076】
ポリウレタン混合物には、溶融接着剤が施与されていてもよい。
【0077】
よって、本発明の好ましい実施形態によると、ポリウレタンコーティングは、面状形成物のすぐ上にある、ポリウレタン混合物を含む下層と、下層の上に配置された溶融接着剤上層とを含む二層接着材料構造体における下層として形成されている。
【0078】
高温接着剤、高温接着物質、または英語でホットメルトとも称される溶融接着剤は、長く知られている。一般的に、溶融接着剤とは、溶融状態で接着面に施与され、冷却時に急速に凝固し、それにより迅速に強度を確立する、実質的に溶媒不含の製品であると理解される。本発明によると、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリアミド(PA)、ポリエステル(PES)、酢酸エチルビニル(EVA)およびそのコポリマー(EVAC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、非晶質ポリアルファオレフィン(APAO)、ポリウレタン(PU)などを、溶融接着剤として使用することが好ましい。本発明によると、ポリアミドが特に好ましい。それというのも、ポリアミドは、殊に少なくとも95℃の高い耐洗濯性および耐製品染め性を有し得るからである。
【0079】
基本的に、溶融接着剤の接着作用は、これが、熱可塑性ポリマーとして可逆的に溶着可能であり、液状の溶融物として、溶融プロセスにより低下したその粘度を理由に、被接着面を濡らし、それにより被接着面に対する粘着性を生み出すことができることに基づく。その後の冷却の結果、溶融接着剤は再び凝固して固形物になり、この固形物は、高い凝集力を有し、かつこのように接着面への結合を確立する。接着が起こった後、粘弾性ポリマーが、冷却プロセスの後にも、その体積変化と、それに関連する機械的応力の生成とにより粘着性を維持する役割を果たす。凝集力が生成されることにより、下地間に結合力が仲介される。
【0080】
粉末形態の溶融接着剤を使用することが有利である。粒径は、印刷面積、例えば結合ドットの所望のサイズに応じる。ドットパターンの場合、粒径は、0μm超〜500μmで変化し得る。基本的に、溶融接着剤の粒径は、均一ではなく、ある分布に従う。すなわち、常に粒径スペクトルが存在する。粒径は、所望の施与量、ドットサイズおよびドット分布に合わせてあることが好ましい。
【0081】
粉末形態の溶融接着剤は、散布施与により施与可能であり、これは殊に、全体的に通気性のテキスタイル複合材料を製造するための多孔性下地を接着する際に都合が良い。さらに、散布施与について有利であるのは、これがラージスケールでの適用にとって容易な施与方法であることである。例えば、ポリアミド、ポリエステルまたはポリウレタンからなる熱活性化された粉末は、すでに低温で接着可能であるため、熱に敏感な下地、例えば高級なテキスタイルの穏やかな積層化に適している。活性化状態での良好な流れ特性のおかげで、低圧および短い押圧時間でも良好な結合が確立され、それでいて、織物内にしみ通るリスクは低いままである。
【0082】
平坦なポリウレタンコーティングの場合、ポリウレタン混合物は、溶融接着剤上層が配置された二層接着材料構造体の下層である。ここで、溶融接着剤上層は、ドットパターンの形態で形成されていても、または平らに形成されていてもよい。
【0083】
本発明の好ましい実施形態において、二層接着材料構造体は、ポリウレタン混合物および溶融接着剤がダブルドットとして形成されたものであり、この場合、ポリウレタン混合物が下側ドットパターンとして、溶融接着剤が上側ドットパターンとして形成されている。ダブルドットは、規則的または不規則的なパターンで基材層に分布していてもよい。
【0084】
本発明によると、二層接着材料構造体とは、前記の平坦な二層接着材料構造体およびダブルドットの双方であると理解されるべきである。それに相応して、下層という用語は、平らな下層および下側ドットの双方を含み、上層という用語は、平らな上層および上側ドットの双方を含む。
【0085】
下側ドットとしてのポリウレタン混合物と、上側ドットとしての散布粉末とをベースとするダブルドットは、ドットパターンで基材層に施与されることが好ましい。それにより、材料の柔軟性および弾力性が強化される。ドットパターンは、規則的に、または不規則に分布していてもよい。ただし、印刷は全くドットパターンに限定されてはいない。ダブルドットは、任意の形状で、例えば、線、ストライプ、網目状または格子状の構造、長方形、菱形または楕円形の形状を有するドットなどの形状でも施与されてもよい。
【0086】
二層接着材料構造体は、最初に施与されたポリウレタン混合物がバリア層として作用することができるために接着材料戻りが僅かである点で優れている。
【0087】
上層および下層の施与は、従来式のダブルドットコーティングの形態で行うことが有利であり得る。下側ドットを形成するために、ポリウレタン混合物をポリウレタン分散液の形態で使用してもよい。ポリウレタン混合物は、190℃超の融点を有し得るため、固定の際、接着に寄与しない。そのような下側ドットについて有利であるのは、これが、容易に、例えば、柔軟性、非粘着性、伸縮性、フィルム形成性、さらなる添加剤との適合性、耐光性(黄ばみなし)になるように形成可能であることである。さらに、ポリウレタン混合物中に架橋剤を使用することにより、上側ドットへの、基材層への、またポリマーマトリックス内での結合を大幅に改善することができ、それにより、接着材料系の剥離力を上昇させることができる。よって、架橋されたポリウレタン下側ドットは、それによりバックリベッティングを著しく低減することができるという利点をもたらす。
【0088】
芯地領域の場合、上層を製造するために、良好な粉砕性を有する顆粒(一般的に80〜200μm)を使用することが有利である。
【0089】
同様に、上層とポリウレタン混合物下層との間には、はっきりとした相境界が確認されないと考えられる。これは例えば、混合物においてポリウレタン混合物に、例えば分散液の形態にある微粒子状の熱可塑性材料と、場合によりさらなる成分とを施与することにより生じさせることが可能である。施与の後に、ポリウレタン混合物中の微粒子状の熱可塑性材料を分離すると、より粗い粒子が、結合面の上側、例えばドット表面により多く載る。たしかにポリウレタンマトリックス中のより粗いポリマー粒子が結合されているものの、同時に、不織布表面におけるその空いた(上側)面が、表地との直接の接着に利用される。ダブルドットに類似した構造が形成されるものの、公知のダブルドット法とは対照的に、この構造を形成するためには、1回の方法工程しか必要ではなく、また煩雑な過剰粉末の吸引も省略される。このようにして、芯地は、ポリアミドまたはポリエステルをベースとする従来のポリマーを有するものよりも、高い伸縮性および高い反発性を得る。
【0090】
下側ドットとしての、好適には水性の分散液と、上側ドットとしての散布粉末とをベースとするダブルドットは、先に記載のように、ドットパターンで基材層に施与されることが好ましい。それにより、材料の柔軟性および弾力性が強化される。ドットパターンは、規則的に、または不規則に分布していてもよい。ただし、印刷は全くドットパターンに限定されてはいない。ダブルドットまたはペーストは、任意の形状で、例えば、線、ストライプ、網目状または格子状の構造、長方形、菱形または楕円形の形状を有するドットなどの形状でも施与されてもよい。
【0091】
熱固定可能な面状形成物を製造する好ましい方法は、以下の工程:
a) 基材層を用意する工程、
b) 少なくとも1種のポリエステルウレタン(B1)と、少なくとも1種のポリエーテルウレタン(B2)と、少なくとも1種のポリカーボネートウレタン(B3)と、少なくとも1つのイソシアネート基にてブロック剤でブロック化された、架橋剤としての少なくとも1種のイソシアネートとを含む、ポリウレタン混合物を製造する工程、
c) ポリウレタン混合物を、基材層の選択された面状領域に施与して、接着材料構造体を形成する工程、および
d) 工程c)から得られた基材層を温度処理して、少なくとも部分的にポリウレタン混合物を架橋し、同時にポリウレタン混合物を基材層の表面に/と結合する工程
を含む。
【0092】
本発明による方法により、ここに記載の実施形態のいずれかに記載の本発明による面状形成物を容易に製造することができる。
【0093】
本発明のさらなる対象は、先に記載の方法により製造可能な、熱固定可能な面状形成物である。
【0094】
接着材料構造体は、先に説明したように、下層および上層を有する二層接着材料構造体として形成される。下層を形成するために、面状形成物に、まずポリウレタン混合物を、好適には水性分散液の形態で施与することができる。続いて、この下層に、溶融接着剤、殊に熱可塑性材料を、好適には散布粉末の形態で施与することができる。
【0095】
テキスタイル材料または不織布からなる基材層に、印刷機で直接、ポリウレタン混合物を印刷することができる。そのためには、場合により、印刷工程前に、ポリウレタン混合物に、テキスタイル助剤、例えば、増粘剤(例えば、部分架橋ポリアクリレートおよびそれらの塩)、分散剤、湿潤剤、流動助剤、手触り調整剤を備えるか、またはこれを、印刷プロセスにおいて生産が確実になるように任意の別の手法で処理することが有用であり得る。
【0096】
本発明の好ましい実施形態において、温度処理は、80℃〜200℃の温度、さらに好ましくは100℃〜150℃の温度、殊に120℃〜140℃の温度で行われる。
【0097】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、この方法は、面状形成物の少なくとも1回の着色処理、殊に「製品染め」を含む。ここで、着色処理は、表地への芯地の固定の後に行われることが好ましい。
【0098】
本発明のさらなる対象は、表地に固定するための、好適には、EN ISO9237に準拠して測定した場合に200Paの試験圧で100dm
3/s
*m
2未満の空気透過率を有する表地に固定するための芯地としての、本発明による面状形成物の使用である。
【0099】
しかしながら、本発明による熱固定可能な面状形成物の使用は、この用途に限定されてはいない。また、例えば、クッション家具、強化されたシート構造物、シートカバーのような家庭用テキスタイルにおける固定可能なテキスタイル面状形成物として、または自動車装備、靴部品もしくは衛生品/医療品における、固定可能な、かつ伸びることができるテキスタイル面状形成物としての別の用途も考えられる。