(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態にかかる熱交換換気装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる熱交換換気装置100の構成を示す図である。
図2は、
図1に示す熱交換換気装置100を示す第1の平面図である。
図3は、
図1に示す熱交換換気装置100を示す第2の平面図である。熱交換換気装置100は、排気流と給気流との熱交換を行いながら換気を行うことが可能な装置である。
図1には、分解された状態における熱交換換気装置100の斜視図を示している。
【0012】
熱交換換気装置100は、室外から室内への給気と室内から室外への排気とにより室内を換気することで、室内の快適な空気環境を維持する。また、熱交換換気装置100は、給気流と排気流との熱交換により、室内へ取り込まれる空気と室内の空気との温度差を小さくして、室内の空調負担を低減させる。
【0013】
熱交換換気装置100は、給気流を発生させる給気送風機2と、排気流を発生させる排気送風機3と、給気流と排気流との熱交換を行う熱交換器4と、給気送風機2と排気送風機3と熱交換器4とが収容された筐体1とを備える。給気送風機2は、室外の空気を筐体1内へ取り込み、筐体1内へ取り込まれた空気を室内へ送る。排気送風機3は、室内の空気を筐体1内へ取り込み、筐体1内へ取り込まれた空気を室外へ送る。筐体1には、給気流が通過する給気風路と排気流が通過する排気風路とが設けられている。
【0014】
熱交換換気装置100は、給気送風機2と熱交換器4と排気送風機3とが水平方向へ並んだ水平設置とされる。熱交換換気装置100は、天井に設置される。熱交換換気装置100は、給気送風機2と熱交換器4と排気送風機3とが鉛直方向へ並んだ垂直設置が可能とされたものであっても良い。熱交換換気装置100は、垂直設置により、室内の壁面に設置可能とされる。熱交換換気装置100は、水平設置と垂直設置とを選択可能であっても良い。熱交換換気装置100は、水平設置と垂直設置とが選択可能となることで、設置態様の自由度を高めることが可能となる。
【0015】
図2には、水平設置とされた熱交換換気装置100を下方から見た場合の構成を示している。
図3には、水平設置とされた熱交換換気装置100を前方から見た場合の構成を示している。実施の形態1では、主に、熱交換換気装置100が水平設置とされたものとして説明する。
【0016】
筐体1は、直方体形状を呈する箱体であって、6つの板部1a,1b,1c,1d,1e,1fから構成されている。板部1aは、上方へ向けられる天面となる部分である。筐体1が第1の姿勢であるとき、板部1bは、下方へ向けられる底面となる部分である。第1の板部である板部1cは、給気吸込口5と排気吹出口8とが設けられた部分である。第2の板部である板部1dは、給気吹出口6と排気吸込口7とが設けられている。板部1aと板部1bとは、板部1cと板部1dとの間の部分であって、板部1cと熱交換器4との間の風路と板部1dと熱交換器4との間の風路とを構成する。筐体1が第1の姿勢であるとき、板部1c,1dは、横へ向けられる側面となる部分である。板部1cは、筐体1が呈する直方体形状における長手方向のうちの一方の端をなす。板部1dは、筐体1が呈する直方体形状における長手方向のうちの他方の端をなす。
【0017】
板部1e,1fは、板部1cと板部1dとの間の部分である。筐体1が第1の姿勢であるときに、第3の板部である板部1eは、前方へ向けられる正面となる部分である。筐体1が第1の姿勢であるときに、板部1fは、後方へ向けられる背面となる部分である。
【0018】
板部1eには、熱交換換気装置100の全体を制御する制御装置9が設けられている。制御装置9は、給気送風機2の駆動と排気送風機3の駆動との制御により、熱交換換気装置100の換気風量を制御する。
【0019】
板部1bには、開口10が形成されている。開口10は、熱交換器4に対して、筐体1が第1の姿勢であるときの下方に形成されている。熱交換換気装置100が天井裏に水平設置される場合には、天井には、天井よりも下方からの開口10と制御装置9とへの作業のための点検口11が設けられる。
図1および
図2には、点検口11の範囲を破線によって示している。筐体1内に収容される構成要素は、開口10を通して着脱可能とされている。
【0020】
なお、熱交換換気装置100が垂直設置とされた場合には、板部1cは底面、板部1dは天面、板部1bは正面、板部1aは背面、板部1e,1fは側面となる。開口10は正面へ向けられる。熱交換換気装置100が垂直設置とされるケースとして、居室の壁に埋め込まれて設置される場合、あるいは建物の居室以外の機械室あるいは納戸といった室内の壁面に掛けられて設置される場合があり得る。熱交換換気装置100は、開口10を正面に向けた状態で掛けられることで、開口10と制御装置9とへの作業は、正面から点検口11を介さずに行うことができる。熱交換換気装置100は、垂直設置とされることで、点検口11を介さない作業が可能となりメンテナンス時の作業性を向上できる場合がある。なお、熱交換換気装置100は、壁に埋め込まれて設置される場合には、壁面に形成された点検口11を介して開口10と制御装置9とへの作業が可能とされても良い。
【0021】
第1のドレン受けであるドレンパン12は、熱交換器4に対して下方に配置されている。ドレンパン12は、筐体1が第1の姿勢であるときに熱交換器4で生じたドレン水を溜める。ドレンパン12は、板部1bに取り付けられることによって開口10を塞ぐ。
【0022】
給気フィルター13は、筐体1の内部において熱交換器4の板部1c側に配置される。給気フィルター13は、室外から給気吸込口5を通って給気風路へ流入する空気に含まれる塵埃を捕集する。排気フィルター14は、筐体1の内部において熱交換器4の板部1d側に配置される。排気フィルター14は、室内から排気吸込口7を通って排気風路へ流入する空気に含まれる塵埃を捕集する。熱交換換気装置100は、給気フィルター13および排気フィルター14にて塵埃を捕集することによって、塵埃の付着による熱交換器4の目詰まりを防ぐ。
【0023】
図4は、
図1に示す熱交換換気装置100が有する風路について説明する図である。
図4には、筐体1の内部の構成を下方から見た状態を示している。
【0024】
熱交換換気装置100は、熱交換換気と普通換気とを切り換える風路切り換え装置20を有する。熱交換換気装置100は、熱交換換気では、熱交換器4による排気流18との熱交換を経た給気流17を室内へ送る。熱交換換気装置100は、室外より室内のほうが快適な温度である場合に、熱交換換気により室外の空気の温度を室内の空気の温度に近づけることで、空調負担を低減させる。
【0025】
熱交換換気装置100は、普通換気では、熱交換器4による排気流18との熱交換を経ない給気流17を室内へ送る。熱交換換気装置100は、室内より室外のほうが快適な温度である場合に、普通換気により快適な温度の空気を室外から室内へ送ることで、室内を快適な温度にするとともに空調負荷を低減させる。また、普通換気では、熱交換器4への排気流18の通過による圧力損失が抑えられることから、熱交換換気装置100の消費電力を低減することができる。なお、
図4において、排気流18は、熱交換換気の場合における排気流とする。バイパス気流19は、普通換気の場合における排気流とする。筐体1には、給気流17が通過する給気風路15と、排気流18とバイパス気流19とが通過する排気風路16とが設けられている。
【0026】
給気風路15は、給気吸込口5と熱交換器4における給気流17の流入口との間の上流側風路15aと、熱交換器4における給気流17の流出口と給気吹出口6との間の下流側風路15bとを含む。室外から給気吸込口5へ吸い込まれた給気流17は、上流側風路15aを通り、給気フィルター13を通過してから熱交換器4へ流入する。熱交換器4から流出した給気流17は、下流側風路15bを通り、給気吹出口6から室内へ向けて吹き出される。
【0027】
排気風路16は、排気吸込口7と熱交換器4における排気流18の流入口との間の上流側風路16aと、熱交換器4における排気流18の流出口と排気吹出口8との間の下流側風路16bとを含む。室内から排気吸込口7へ吸い込まれた排気流18は、上流側風路16aを通り、排気フィルター14を通過してから熱交換器4へ流入する。熱交換器4から流出した排気流18は、下流側風路16bを通り、排気吹出口8から室外へ向けて吹き出される。
【0028】
バイパス風路21は、熱交換器4の外に設けられた風路である。上流側風路16aには、熱交換器4へ向かう排気流18が通過する熱交換側開口部22と、バイパス風路21へ向かうバイパス気流19が通過するバイパス側開口部23とが設けられている。風路切り換え装置20は、排気吸込口7から熱交換器4への排気流18の流動と排気吸込口7からバイパス風路21へのバイパス気流19の流動とを切り換える。風路切り換え装置20が有するダンパーは、熱交換側開口部22とバイパス側開口部23との間にて回動可能に支持されている。制御装置9は、ダンパーの動作の制御により、熱交換換気と普通換気との切り換えを制御する。風路切り換え装置20の詳細については後述する。筐体1内に形成された各風路には、結露を生じにくくさせるために、
図1に示す断熱部品27が設けられている。
【0029】
図5は、
図1に示す熱交換換気装置100が有する熱交換器4の配置について説明する図である。
図5には、熱交換換気装置100からドレンパン12と給気フィルター13と排気フィルター14とが外された状態の斜視図を示している。熱交換器4は、板部1aとドレンパン12との間に配置される。熱交換器4は、筐体1内において、筐体1の長手方向における中央に位置する。
【0030】
熱交換換気装置100のメンテナンスの際に、ドレンパン12が開口10から外されて、給気フィルター13と排気フィルター14とが筐体1内から開口10を通して外される。さらに、熱交換器4と給気送風機2と排気送風機3とが筐体1内から開口10を通して外される。筐体1が第1の姿勢であるときにおける熱交換器4の直下には、メンテナンスの際における熱交換器4の落下を防ぐための複数の押さえ板24が設けられている。開口10からドレンパン12を取り外し可能としたことで、開口10を通して熱交換器4と給気送風機2と排気送風機3とを筐体1内から取り出すことができる。
【0031】
図6は、
図1に示す熱交換換気装置100が有する熱交換器4の第1例を示す斜視図である。第1例にかかる熱交換器4は、四角柱形状をなす。第1例にかかる熱交換器4は、給気流17の向きと排気流18の向きとが互いに垂直である直交型の熱交換器である。
【0032】
熱交換器4は、給気風路15と排気風路16との間に設けられている。熱交換器4は、給気流17と排気流18との間の全熱交換を行う。熱交換器4は、互いに間隔が設けられて配置された複数の仕切材30と、複数の仕切材30の間隔を保持する間隔保持材31とを備える。熱交換器4は、仕切材30と間隔保持材31とを積層させて構成された積層体である。仕切材30は、平坦に加工されたシート材である。間隔保持材31は、波形の凹凸が施されたシート材である。仕切材30と間隔保持材31とは、互いに接合されている。
【0033】
熱交換器4は、仕切材30と間隔保持材31とを積層させた方向である積層方向を板部1eと板部1fとに平行にして配置されている。熱交換器4は、積層方向を板部1cと板部1dとに平行にして配置されても良い。
【0034】
積層体において、波形の折り目の方向が互いに垂直となるように向きを異ならせた間隔保持材31が、仕切材30を介して交互に積層されている。これにより、熱交換器4には、排気流18が通過する一次通路32と給気流17が通過する二次通路33とが積層方向において交互に設けられている。仕切材30では、給気流17と排気流18とを混合させずに、一次通路32を通過する排気流18と二次通路33を通過する給気流17との間の顕熱交換と潜熱交換とが行われる。なお、熱交換器4は、顕熱交換と潜熱交換との一方のみを行うものであっても良い。
【0035】
仕切材30と間隔保持材31とには、紙が使用されている。熱交換器4は、仕切材30と間隔保持材31とに紙が使用されることによって、製造コストを抑えることができる。紙によって一次通路32と二次通路33が構成されていることで、熱交換によって発生した結露水を一次通路32と二次通路33とによって保持することができる。また、風路へ進入した結露水が結氷することによる風路の閉塞を低減できる。
【0036】
図7は、
図1に示す熱交換換気装置100が有する熱交換器4の第2例を示す斜視図である。第2例にかかる熱交換器4は、六角柱形状をなす。第2例にかかる熱交換器4は、給気流17の向きと排気流18の向きとを180度異ならせた対向流型の熱交換器である。熱交換換気装置100には、第1例にかかる熱交換器4と第2例にかかる熱交換器4とのどちらが適用されても良い。熱交換器4の形状は、多角柱形状であれば良く、六角柱形状および四角柱形状以外の形状であっても良い。なお、
図1には、第2例にかかる熱交換器4を示している。対向流型の熱交換器4が設けられることにより、熱交換換気装置100は、高い熱交換効率での熱変換を行うことができる。
【0037】
次に、熱交換換気装置100におけるドレン水の排出のための構成について説明する。
図8は、
図3に示すVIII−VIII線における熱交換換気装置100の断面図である。
図8には、水平設置で設置された熱交換換気装置100を示している。
図2に示す板部1bは、下方へ向けられている。第2のドレン受けであるドレンパン35と第3のドレン受けであるドレンパン36と第4のドレン受けであるドレンパン37とは、板部1bのうち筐体1内側の面に設けられている。
【0038】
ドレンパン35は、給気風路15の上流側風路15aと排気風路16の下流側風路16bとのうち下方側に配置されている。ドレンパン35は、上流側風路15aと下流側風路16bとにおいてドレン水を保持する。
【0039】
ドレンパン36は、排気風路16の上流側風路16aと給気風路15の下流側風路15bとのうち下方側に配置されている。ドレンパン36は、上流側風路16aと下流側風路15bとにおいてドレン水を保持する。
【0040】
ドレンパン37は、バイパス風路21のうち下方側に配置されている。ドレンパン37は、バイパス風路21においてドレン水を保持する。熱交換換気装置100は、4つのドレンパン12,35,36,37によってドレン水を保持可能とする。4つのドレンパン12,35,36,37は、筐体1の外へドレン水を排出させる経路を構成可能に、互いに連結されている。
【0041】
排水口25は、筐体1の下部に位置している。排水口25は、筐体1内に保持されたドレン水を筐体1の外へ流出させる。排水口25は、ドレンパン12のうち給気フィルター13側の端部12aから、筐体1の長手方向に垂直な向きに立てられている。排水口25は、板部1eに対して垂直に立てられている。仮に、排水口25が筐体1の長手方向に平行な向きとされた場合、排水口25が給気フィルター13または排気フィルター14の着脱の妨げとなることがあり得る。排水口25が筐体1の長手方向に垂直とされたことで、給気フィルター13または排気フィルター14の着脱の妨げとならない態様で排水口25を配置することができる。
【0042】
排水口25の高さ位置は、板部1bの高さ位置と同等とされている。できるだけ低い位置に排水口25が設けられていることで、熱交換換気装置100は、排水口25からの排水を促すことができる。
【0043】
ドレンパン36とドレンパン37との境界には、排水経路を構成する排水経路部38aが設けられている。排水経路部38aは、ドレンパン36とドレンパン37とをつなぐとともに、ドレンパン36のほうがドレンパン37よりも高い位置となるように形成された部分である。ドレンパン36に溜められたドレン水は、排水経路部38aを通ってドレンパン37へ流れる。
【0044】
ドレンパン37と、ドレンパン12の端部12aとの境界には、排水経路を構成する排水経路部38cが設けられている。排水経路部38cは、ドレンパン37と端部12aとをつなぐとともに、ドレンパン37のほうが端部12aよりも高い位置となるように形成された部分である。ドレンパン37に溜められたドレン水は、排水経路部38cを通って端部12aへ流れる。端部12aへ流れたドレン水は、排水口25から筐体1の外へ排出される。
【0045】
ドレンパン35と、ドレンパン12の端部12aとの境界には、排水経路を構成する排水経路部38bが設けられている。排水経路部38bは、給気フィルター13と板部1eとの間に設けられている。排水経路部38bは、ドレンパン35と端部12aとをつなぐとともに、ドレンパン35のほうが端部12aよりも高い位置となるように形成された部分である。ドレンパン35に溜められたドレン水は、排水経路部38bを通って端部12aへ流れる。端部12aへ流れたドレン水は、排水口25から筐体1の外へ排出される。
【0046】
ドレンパン35には、上流側風路15aと下流側風路16bとの間を仕切る仕切り部39が形成されている。下流側風路16bで凝縮した水は、仕切り部39が設けられていることで、上流側風路15aで凝縮した水と混在せずに排水経路部38bへ進行する。室外の空気が多湿である場合、霧などによって室外が一時的に多湿状態になったことが想定される。熱交換換気装置100は、上流側風路15aで凝縮した水をドレンパン35に保持しておき、換気運転によって水を蒸発させても良い。
【0047】
次に、風路切り換え装置20の構成について説明する。
図9は、
図1に示す熱交換換気装置100が有する風路切り換え装置20と、風路切り換え装置20が装着された給気送風機2とを示す斜視図である。
【0048】
給気送風機2は、給気送風機2の外殻をなすとともに上下に2つに分割されているケーシングを有する。第1のケーシング2aは、2つに分割されたうちの上側にあるほうの部分である。第2のケーシング2bは、2つに分割されたうちの下側にあるほうの部分である。第1のケーシング2aには、給気送風機2の駆動源であるファン駆動機2cが収容される。第2のケーシング2bには、給気送風機2へ給気流が吸い込まれる流入口が形成されている。ファン駆動機2cの駆動によって回転軸を中心に回転する羽根車は、第1のケーシング2aと第2のケーシング2bとの内部に収容される。
図9では、羽根車の図示を省略している。第1のケーシング2aと第2のケーシング2bとは、羽根車の周囲における渦巻状の風路を構成する。
【0049】
風路切り換え装置20は、排気吸込口7から熱交換器4へ向かう風路とバイパス風路21とを切り換える切り換え部であるダンパー40を有する。熱交換換気において、ダンパー40は、
図4に示すバイパス側開口部23を塞ぐ。排気流18は、上流側風路16aから熱交換側開口部22を通過して、熱交換器4へ進行する。一方、普通換気において、ダンパー40は、熱交換側開口部22を塞ぐ。バイパス気流19は、上流側風路16aからバイパス側開口部23を通過して、バイパス風路21へ進行する。熱交換器4を通過した排気流18とバイパス風路21を通過したバイパス気流19とは、下流側風路16bを通過して排気吹出口8へ進行する。
【0050】
風路切り換え装置20は、ダンパー40を駆動する駆動機であるダンパー駆動機41および戻りばね42と、ダンパー40とダンパー駆動機41とをつなぐワイヤー43とを有する。風路切り換え装置20は、給気送風機2の外殻に設けられている。
【0051】
図10は、
図9に示す給気送風機2が有する第1のケーシング2aの斜視図である。
図11は、
図9に示す給気送風機2が有する第2のケーシング2bの斜視図である。第1のケーシング2aには、上方からダンパー40を保持する保持部である第1の保持部45が設けられている。第2のケーシング2bには、下方からダンパー40を保持する保持部である第2の保持部46が設けられている。第1のケーシング2aと第2のケーシング2bとが組み合わせられた状態において、第1の保持部45と第2の保持部46とは、ダンパー40を動作可能に保持する。
【0052】
図12は、
図11に示す第2のケーシング2bが有する第2の保持部46の斜視図である。
図13は、
図10に示す風路切り換え装置20が有するダンパー40の斜視図である。ダンパー40は、
図4に示す熱交換側開口部22とバイパス側開口部23とを閉塞可能な寸法をなす平板部51と、平板部51の下端から垂直に立てられた立ち上がり部52と、平板部51の上端から垂直に立てられた立ち上がり部53とを有する。立ち上がり部52,53は、風圧によるダンパー40の撓みを抑制させる機能を果たす。
【0053】
さらに、ダンパー40は、立ち上がり部52に形成された貫通孔54と、立ち上がり部53に形成された貫通孔55と、戻りばね42がつながれる連結部56と、ワイヤー43がつながれる連結部57とを有する。連結部56は、平板部51の1つの辺から延ばされて設けられている。連結部57は、平板部51の面から立ち上げられている。
【0054】
図12に示すように、第2の保持部46は平板形状をなす。第2の保持部46の上面には、上方へ突出された円柱状の凸部46aと、凸部46aの周囲に形成され第2の保持部46の上面よりも高くなるような段差をなす段差部46bとが設けられている。凸部46aが下方から貫通孔54へ挿入されることにより、第2のケーシング2bにダンパー40が装着される。
【0055】
第1の保持部45は、第2の保持部46と同様の凸部46aと段差部46bとを有する。第1の保持部45において、凸部46aと段差部46bとは、第1の保持部45の下面に設けられる。第1の保持部45の凸部46aが上方から貫通孔55へ挿入されることにより、第1のケーシング2aにダンパー40が装着される。
【0056】
第1の保持部45の凸部46aと第2の保持部46の凸部46aとは、ダンパー40の回転軸となる。第1のケーシング2aの第1の保持部45と第2のケーシング2bの第2の保持部46とにダンパー40が保持されるため、熱交換換気装置100は、第1のケーシング2aおよび第2のケーシング2b以外のダンパー40の保持のための構成が不要となる。これにより、熱交換換気装置100は、熱交換換気のための風路と普通換気のための風路との切り換えのための構成について、部品点数を少なくすることができ、低コストかつ簡易な構成とすることができる。
【0057】
第2の保持部46に段差部46bが設けられていることにより、ダンパー40と第2の保持部46との摩擦を少なくすることができる。第1の保持部45に段差部46bが設けられていることにより、ダンパー40と第1の保持部45との摩擦を少なくすることができる。これにより、風路切り換え装置20は、ダンパー40をスムーズに回動させることができる。
【0058】
戻りばね42の一方の端は、
図10に示す第1のケーシング2aに設けられている取付部47につながれる。戻りばね42の他方の端は、ダンパー40の連結部56につながれる。取付部47は、第1のケーシング2aと第2のケーシング2bとのどちらに設けられていても良い。
【0059】
第2のケーシング2bには、ダンパー駆動機41が設置される設置部48が設けられている。ダンパー駆動機41は、設置部48の底部に設けられている固定部49に固定される。ダンパー駆動機41は、固定部49に固定されることによって、設置部48の底部から持ち上げられた状態で設置される。第1のケーシング2aには、設置部48に載置されたダンパー駆動機41を覆う保護カバー44が設けられている。
【0060】
第1のケーシング2aと第2のケーシング2bとが組み合わせられることにより、設置部48と保護カバー44とは一体とされる。ダンパー駆動機41は、互いに一体とされた設置部48と保護カバー44との中に収容される。設置部48のうち保護カバー44との接触部分には、気密材50が設けられている。気密材50は、設置部48と保護カバー44との間を封止する。固定部49と気密材50とは、設置部48と保護カバー44とのどちらに設けられていても良いものとする。
【0061】
ワイヤー43の一方の端は、ダンパー駆動機41につながれている。ワイヤー43は、設置部48と保護カバー44とによって囲われた内部から、設置部48および保護カバー44の外側へ引き出されている。ワイヤー43の他方の端は、連結部57につながれている。
【0062】
次に、風路切り換え装置20の動作について説明する。
図9に示すダンパー40は、バイパス側開口部23を閉じている状態とする。
図9に示す状態から、ダンパー駆動機41が駆動によってワイヤー43を巻き取ることにより、連結部56がダンパー駆動機41へ引き寄せられる。連結部56がダンパー駆動機41へ引き寄せられることによって、ダンパー40は、
図9に示す回転方向Cへ回転する。戻りばね42は、連結部56が取付部47に近づけられることによって縮められる。
【0063】
ダンパー40が回転方向Cへ回転することによって、バイパス側開口部23は開放される。ダンパー駆動機41は、ダンパー40が熱交換側開口部22に到達するまでワイヤー43を巻き取ると、ワイヤー43の引っ張りを保持したまま駆動を停止する。このとき、ダンパー40は、熱交換側開口部22を閉じている状態となる。戻りばね42には、縮められる前の状態へ戻ろうとする弾性エネルギーが蓄えられる。
【0064】
その後、ダンパー駆動機41がワイヤー43の引っ張りを解除すると、ダンパー40は、戻りばね42のばね力によって、熱交換側開口部22から回転方向Cとは逆向きに回転する。ダンパー40が回転方向Cとは逆向きに回転することによって、熱交換側開口部22は開放される。ダンパー40は、戻りばね42のばね力によって、バイパス側開口部23に到達するまで回転する。これにより、ダンパー40は、バイパス側開口部23を閉じている状態に戻る。
【0065】
風路切り換え装置20を構成するダンパー40とダンパー駆動機41と戻りばね42とは、いずれも給気送風機2と一体とされる。メンテナンス時には、筐体1内から給気送風機2とともに風路切り換え装置20を取り出すことができる。このため、風路切り換え装置20の各部のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0066】
設置部48と保護カバー44とは、筐体1内においてダンパー駆動機41を覆うことによって、筐体1内の空気に含まれる水分と塵埃とからダンパー駆動機41を保護する。設置部48と保護カバー44とは、気密材50が設けられることによって、設置部48と保護カバー44との間からの水分と塵埃の進入を防ぐ。これにより、熱交換換気装置100は、水分と塵埃とによるダンパー駆動機41の故障を低減することができる。
【0067】
設置部48では、固定部49への固定によって、設置部48の底部から持ち上げられた状態でダンパー駆動機41が設置される。設置部48の底部から持ち上げられた状態でダンパー駆動機41が設置されることで、設置部48の底部にドレン水が溜まった場合におけるダンパー駆動機41の浸水を防ぐ。これにより、熱交換換気装置100は、ドレン水によるダンパー駆動機41の故障を低減することができる。
【0068】
実施の形態1によると、熱交換換気装置100は、給気送風機2にダンパー40が保持されることで、給気送風機2以外にダンパー40を保持するための構成が不要となる。熱交換換気装置100は、熱交換換気のための風路と普通換気のための風路との切り換えのための構成について、部品点数を少なくすることができ、簡易な構成とすることができる。これにより、熱交換換気装置100は、熱交換を伴う熱交換換気のための風路と熱交換を伴わない普通換気とのための風路とを簡易な構成によって切り換えることができるという効果を奏する。
【0069】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。