(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976435
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】家具用金具
(51)【国際特許分類】
E05D 5/02 20060101AFI20211125BHJP
E05D 15/40 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
E05D5/02
E05D15/40
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-528198(P2020-528198)
(86)(22)【出願日】2018年10月22日
(65)【公表番号】特表2021-504605(P2021-504605A)
(43)【公表日】2021年2月15日
(86)【国際出願番号】AT2018060254
(87)【国際公開番号】WO2019100091
(87)【国際公開日】20190531
【審査請求日】2020年5月22日
(31)【優先権主張番号】A50980/2017
(32)【優先日】2017年11月24日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ホルツアプフェル
(72)【発明者】
【氏名】フィリプ シュルーゲ
【審査官】
砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−179297(JP,A)
【文献】
特表2014−525551(JP,A)
【文献】
特表2016−509146(JP,A)
【文献】
特開2001−140824(JP,A)
【文献】
実開昭57−080708(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0208690(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/00
E05D 1/00−15/58
E05F 11/00−11/54
F16B 7/00
F16B 12/00
F16B 12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具用金具(7)であって、前記家具用金具(7)を家具部分(4,5)に取り付けるための回転可能に支持された少なくとも1つのねじ(17)を備えた家具用金具(7)において、
前記家具用金具(7)は、前記ねじ(17)とは別個の、前記ねじ(17)に運動伝達可能に連結された、工具受容部(22)を備えた少なくとも1つの駆動エレメント(21)を有しており、前記少なくとも1つのねじ(17)は、工具(25)による前記工具受容部(22)の回転により駆動可能であり、前記家具用金具(7)は、第1のケーシング壁(9a)と、前記第1のケーシング壁(9a)から離間された第2のケーシング壁(9b)とを備えたケーシング(9)を有しており、前記第1のケーシング壁(9a)と前記第2のケーシング壁(9b)との間には、前記ねじ(17)と前記駆動エレメント(21)とを収容するための少なくとも1つの支持部材(13)が配置されており、前記支持部材(13)は、前記ねじ(17)を支持するための少なくとも1つの第1のガイド(14)と、前記駆動エレメント(21)を支持するための少なくとも1つの第2のガイド(15)とを有していることを特徴とする家具用金具(7)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの駆動エレメント(21)は第1の回転軸線(A)を中心として回転可能に支持されていて、前記少なくとも1つのねじ(17)は第2の回転軸線(B)を中心として回転可能に支持されており、前記第1の回転軸線(A)と前記第2の回転軸線(B)とは、側方で互いにずらされて配置されている、請求項1記載の家具用金具。
【請求項3】
前記駆動エレメント(21)と前記少なくとも1つのねじ(17)とは、協働する歯列(18,19)を介して互いに運動伝達可能に連結されている、請求項1または2記載の家具用金具。
【請求項4】
第1の歯列(18)が、前記駆動エレメント(21)の周面に配置または形成されている、請求項3記載の家具用金具。
【請求項5】
前記ねじ(17)は、ねじ山区分(24a,24b)と、前記ねじ山区分(24a,24b)に接続されている頭部(20)とを有しており、第2の歯列(19)が、前記ねじ(17)の前記頭部(20)に配置または形成されている、請求項3または4記載の家具用金具。
【請求項6】
前記ねじ(17)は、前記ねじ(17)の軸方向で互いに離間された、第1のストッパ面(23a)と、少なくとも1つの第2のストッパ面(23b)とを有しており、前記駆動エレメント(21)の歯列(18)は、前記ねじ(17)の前記第1のストッパ面(23a)と前記第2のストッパ面(23b)との間に配置されている、請求項3から5までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項7】
前記家具用金具(7)は少なくとも2つのまたはそれ以上のねじ(17)を有しており、工具(25)によって前記工具受容部(22)を回転させることにより前記2つのまたはそれ以上のねじ(17)を駆動可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項8】
前記2つまたはそれ以上のねじ(17)の第1のねじ(17)および第2のねじ(17)がそれぞれ、ねじ山が配置されているねじ山区分(24a,24b)を有しており、前記第1のねじ(17)のねじ山と前記第2のねじ(17)のねじ山とは、逆のねじ回し方向を、または同じねじ回し方向を有している、請求項7記載の家具用金具。
【請求項9】
前記支持部材(13)は、前記第1のケーシング壁(9a)と前記第2のケーシング壁(9b)とに当接している、請求項1から8までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項10】
前記少なくとも1つのねじ(17)と、前記少なくとも1つの駆動エレメント(21)とは、前記支持部材(13)の前記ガイド(14,15)に対して相対的に、予め規定された位置で保持装置(16)によって予備固定されており、前記保持装置(16)は、前記工具(25)によって前記駆動エレメント(21)に力を加えることにより解除可能であり、前記ねじ(17)は、前記保持装置(16)の解除が行われた後、前記駆動エレメント(21)と共に、前記支持部材(13)の前記ガイド(14,15)に対して相対的に、前記ケーシング壁(9a,9b)に対して横方向に、好適には前記ケーシング壁(9a,9b)に対して垂直方向に摺動可能となるように案内されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項11】
前記少なくとも1つのねじ(17)と前記少なくとも1つの駆動エレメント(21)とが、予め規定された位置を起点として、2つの逆向きの方向に移動可能であって、これにより前記第1のケーシング壁(9a)または選択的に前記第2のケーシング壁(9b)が前記ねじ(17)を介して2つの異なる家具部分(4,5)に取り付け可能である、請求項10記載の家具用金具。
【請求項12】
前記少なくとも1つの駆動エレメント(21)は第1の回転軸線(A)を中心として回転可能に支持されていて、前記少なくとも1つのねじ(17)は第2の回転軸線(B)を中心として回転可能に支持されており、前記少なくとも1つの駆動エレメント(21)の前記第1の回転軸線(A)と前記少なくとも1つのねじ(17)の前記第2の回転軸線(B)とは、実質的に互いに平行に延在している、請求項1から11までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の家具用金具(7)を家具部分(4,5)に取り付ける方法であって、以下のステップ、すなわち、
工具(25)を、駆動エレメント(21)の工具受容部(22)内に導入するステップ、
前記工具(25)によって前記工具受容部(22)を回転させることにより、前記駆動エレメント(21)を回転させるステップ、
前記駆動エレメント(21)と少なくとも1つのねじ(17)との間の運動伝達可能の連結により、前記ねじ(17)を駆動するステップ、
前記家具用金具(7)を、前記少なくとも1つのねじ(17)を介して前記家具部分(4,5)に取り付けるステップ、
を有することを特徴とする、家具用金具(7)を家具部分(4,5)に取り付ける方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具用金具であって、この家具用金具を家具部分に取り付けるための回転可能に支持された少なくとも1つのねじを備えた家具用金具に関する。
【0002】
さらに本発明は、このような家具用金具を家具部分に取り付けるための方法に関する。
【0003】
国際公開第2013/029070号および国際公開第2014/138760号には、家具用金具が開示されており、この家具用金具はねじによって、家具本体の互いに向かい合って位置する側壁に選択的に取り付けることができる。このために、ねじの両端部領域には、工具受容部が設けられているので、ねじは、第1の工具受容部の回転により第1の側壁内に、または選択的に第2の工具受容部の回転により第2の側壁内にねじ込み可能である。しかしながら、家具用金具を組み付けるために、比較的大きな力をかける必要があり、さらに、家具用金具の幅は、ねじの両側に配置された工具受容部により比較的大きなものとなっている。
【0004】
本発明の課題は、上述した欠点を回避する冒頭で述べた形式の家具用金具を提供することである。
【0005】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴により解決される。本発明の好適な別の構成は、従属請求項に規定されている。
【0006】
本発明によれば、家具用金具は、ねじとは別個の、ねじに運動伝達可能に連結された、工具受容部を備えた少なくとも1つの駆動エレメントを有しており、少なくとも1つのねじは、工具による工具受容部の回転により駆動可能である。
【0007】
提案した構造により複数の利点が得られる、すなわち、
−ねじに隣接して側方に配置された駆動エレメントにより、ねじの両側への工具受容部の配置を省くことができるので、家具用金具の構成形式をより平らに構成することができ、
−駆動エレメントを、機械的な伝動装置(例えば、歯車伝動装置またはスクリュ伝動装置)を介してねじに運動伝達可能に連結することができ、これにより、伝達比の変更の可能性が得られる。例えば、駆動エレメントを、充電式ドライバによって、比較的高い回転数で駆動することができ、この場合、ねじは相応に減じられた回転数で、しかしながら高いトルクで家具部分内へとねじ込み可能であり、
−提案された構造により、さらに、家具用金具の2つまたはそれ以上のねじを、駆動エレメントに運動伝達可能に連結することもでき、これにより、2つまたはそれ以上のねじは、工具による工具受容部の回転により駆動可能であり、
−提案された本発明により、最終的には、家具用金具の少なくとも1つのねじを選択的に、家具本体の互いに向かい合って位置する2つの面に取り付けることもできる。
【0008】
1つの実施例によれば、少なくとも1つの駆動エレメントは第1の回転軸線を中心として回転可能に支持されていて、少なくとも1つのねじは第2の回転軸線を中心として回転可能に支持されており、第1の回転軸線と第2の回転軸線とは、側方で互いにずらされて配置されていてよい。このようにして、平らな構成形式で家具用金具を構成することができる。
【0009】
別の実施例によれば、駆動エレメントと少なくとも1つのねじとは、協働する歯列を介して互いに運動伝達可能に連結されていてよい。第1の歯列は例えば、駆動エレメントの周面に配置または形成することができる。これに対して第2の歯列は、ねじの頭部に配置または形成することができ、この場合、第1の歯列と第2の歯列とは、特に直接的にも、互いに接続されている。
【0010】
別の実施例によれば、駆動エレメントとねじとは互いに回転運動伝達可能に連結されているだけではなく、ねじの長手方向で延びる軸方向でも互いに運動伝達可能に連結されていることが想定され得る。これにより例えば、駆動エレメントが、ねじの長手方向でねじと共に移動可能であり、これによりねじは、家具本体の第1の側壁内に、または選択的に、第1の側壁に対向して位置する第2の側壁にねじ込み可能である。駆動エレメントとねじとの間のこのような軸方向の運動伝達可能の連結は、例えば、ねじが、ねじの軸方向で互いに離間された第1のストッパ面と少なくとも1つの第2のストッパ面とを有しており、駆動エレメントの歯列が、ねじの第1のストッパ面と第2のストッパ面との間に配置されているように行われてよい。
【0011】
家具用金具を家具部分に取り付ける方法は、以下のステップ、すなわち、
工具を、駆動エレメントの工具受容部内に導入するステップ、
工具によって工具受容部を回転させることにより、駆動エレメントを回転させるステップ、
駆動エレメントと少なくとも1つのねじとの間の運動伝達可能の連結により、ねじを駆動するステップ、
家具用金具を、少なくとも1つのねじを介して家具部分に取り付けるステップ、を特徴とする。
【0012】
家具用金具は、例えば、家具フラップのための作動駆動部材として形成されていてよく、家具本体に対して相対的に可動に支持された家具部分を駆動するための、旋回可能に支持された少なくとも1つの作動アームを有している。この家具用金具は、作動アームに力を負荷するために、ばね装置および/または作動アームを駆動するための電気的な駆動装置を含んでいてよい。
【0013】
選択的には、家具用金具は、家具用ヒンジとして、引出用引き出しガイドとして、または少なくとも1つの機能部分(例えば、可動の家具部分の運動を制動するための減衰装置、家具本体に対して相対的な閉鎖された終端位置へと家具部分を引き込むための引込装置、閉鎖された終端位置から開放位置へと可動の家具部分を放出するためのイジェクト装置(特にタッチ・ラッチ装置))を支持するための支持装置として形成されていてもよい。
【0014】
家具用金具は、ケーシングを、または最も簡単には組付けプレートも、含んでいてよく、この場合、ケーシングまたは組付けプレートは、家具用金具の回転可能に支持された少なくとも1つのねじによって、家具部分に取り付けることができる。
【0015】
本発明のその他の詳細および利点は、以下の図面の説明につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1a】家具本体に対して相対的に可動に支持された家具部分を有した家具を示す斜視図である。
【
図1b】家具本体に対して相対的に可動に支持された家具部分を取り外した状態で
図1aの家具を示す斜視図である。
【
図2】家具用金具の1つの実施例を示す斜視図である。
【
図3a】家具用金具のケーシング壁を示す斜視図である。
【
図3b】家具用金具のケーシング壁を示す平面図である。
【
図3c】家具用金具のケーシング壁を示す斜視図の詳細図である。
【
図4a】支持部材、ねじ、および駆動エレメントを示す斜視図である。
【
図4b】ねじ、および駆動エレメントを示す斜視図である。
【
図5a】ねじを保持するための保持装置を備えた家具用金具を予め規定された位置で示す断面図である。
【
図5b】ねじを保持するための保持装置を備えた家具用金具を、別の組付け位置で示す断面図である。
【
図5c】ねじを保持するための保持装置を備えた家具用金具を、別の組付け位置で示す断面図である。
【
図6a】ねじと駆動エレメントの別の実施例を示す斜視図である。
【
図6b】ねじと駆動エレメントの別の実施例を示す斜視図である。
【0017】
図1aには、例えばキッチン上部戸棚として形成することができる、棚状の家具1が示されている。この家具1は、側壁4,5を備えた家具本体2ならびに可動に支持された家具部分3を有しており、この可動に支持された家具部分は、組付け位置で水平に延在する軸線6を中心として、家具本体2に対して相対的に旋回可能に支持されている。
図1aでは、家具部分3は、家具本体2の棚を遮蔽する、鉛直な閉鎖位置に位置していて、この閉鎖位置と、家具本体2に対して相対的に持ち上げられる開放位置との間を、家具用金具7によって移動させることができる。
【0018】
図1bには、家具部分3を取り外した状態の家具1が示されている。第1の側壁4には、家具部分3を動かすための家具用金具7が取り付けられており、この家具用金具7は、図示した実施例では、家具部分3に接続すべき旋回可能に支持された少なくとも1つの作動アーム8を備えた作動駆動装置7aとして形成されている。
【0019】
図2には、作動駆動装置7aとして形成された家具用金具7が斜視図で示されている。家具用金具7は、互いに離間された2つのケーシング壁9a,9bを備えたケーシング9を含み、作動アーム8は、レバー10a,10b,10c,10dを介して、組付け位置で水平に延在する軸線を中心としてケーシング9に対して相対的に旋回可能に支持されている。作動アーム8に力を加えるために、家具用金具7は、(図示されていない)ばね装置および/または電気的な駆動装置を含んでいてよい。
【0020】
ケーシング壁9a,9bは、互いに鏡像対称的に形成することができるので、ここで行われる説明はそれぞれ両ケーシング壁9a,9bに有効である。ケーシング9は、第1のケーシング壁9aを介して家具本体2の第1の側壁4に(
図1a、
図1b)、または選択的に、第2のケーシング壁9bを介して第2の側壁5に組み付けることができる。ケーシング壁9a,9bはそれぞれ、工具25(
図5b、
図5c)によって駆動エレメント21(
図3c)を操作するための第1の穴11aと、ケーシング9内に配置されたねじ17を貫通させるための第2の穴11bとを有している。穴11a,11bはそれぞれ、好適には環状に閉じられている、エンボス加工部の形態の補強隆起部12の内側に配置されており、これにより、側壁4,5にねじ固定する際にケーシング壁9a,9bが変形するリスクは減じられる。
【0021】
図3aには、家具用金具7の第2のケーシング壁9bが斜視図で示されており、ケーシング壁9bは、工具25を貫通させるための少なくとも1つの第1の穴11aと、ねじ17を貫通させるための少なくとも1つの第2の穴11bとを有している。第1のケーシング壁9aと第2のケーシング壁9bとの間には、ねじ17と駆動エレメント21とを収容するための少なくとも1つの支持部材13が配置されている。この場合、支持部材13は組付け位置で両ケーシング壁9a,9bに当接し、これら両ケーシング壁に堅固に結合(例えば溶接)されていてよい。支持部材13は、ねじ17を支持するための少なくとも1つの第1のガイド14と、駆動エレメント21を支持するための少なくとも1つの第2のガイド15とを有している。少なくとも1つのねじ17と、少なくとも1つの駆動エレメント21とは、支持部材13のガイド14,15に対して相対的に、予め規定された位置で保持装置16によって予備固定されており、保持装置16は、工具25によって駆動エレメント21に力を加えることにより解除可能であり、次いでねじ17が、駆動エレメント21と共に、支持部材13のガイド14,15に対して相対的に、ケーシング壁9a,9bに対して横方向に、好適にはケーシング壁9a,9bに対して垂直方向に摺動可能に案内されている。換言すると、ねじ17と駆動エレメント21とは、支持部材13内で、両ケーシング壁9a,9bの間に位置する中間位置で、保持装置16によって予備固定されていて、駆動エレメント21に力を加えることにより(すなわち、第1の穴11a内に工具を導入し、次いで駆動エレメント21に圧力を加えることにより)第1のケーシング壁9aの方向に、または選択的に第2のケーシング壁9bの方向に移動可能であるので、第1のケーシング壁9aを家具本体2の第1の側壁4に、または選択的に第2のケーシング壁9bを家具本体2の第2の側壁5に、ねじ17によって固定することができる。
【0022】
図3bには、第2のケーシング壁9bの平面図が示されており、この場合には、支持部材13から突出しているねじ17のねじ山区分24bを、家具本体2の第2の側壁5内へとねじ込み可能である。さらに、別のねじ山区分24aを設けることができ、このねじ山区分24aは、この場合、非作動位置に位置していて、第1のケーシング壁9aを、家具本体2の第1の側壁4に固定するために設けられている。ねじ山区分24aは、それぞれ、支持部材13から突出したねじ17と一体に形成されていてよい、または別個の構成部分として形成されていてもよい。1つの実施例によれば、唯1つの駆動エレメント21の1つの工具受容部22の回転により、家具用金具7の2つ以上のねじ17を駆動することができる。
【0023】
図3cには、第2のケーシング壁9bの詳細図が示されており、この場合、回転可能に支持された駆動エレメント21が、工具受容部22と、これにより駆動可能なねじ17と共に示されている。駆動エレメント21の回転軸線A(
図6a)は、ねじ17の回転軸線(B,C)に対して相対的に側方にずらされて配置されている。駆動エレメント21は、歯列18,19を介してねじ17に運動伝達可能に連結されており、第1の歯列18は、駆動エレメント21の周面に配置または形成されている。ねじ17は、これに対して、ねじ山区分24a,24b(
図4a)と、このねじ山区分24a,24bに接続されている頭部20とを有していてよく、この場合、第2の歯列19は、ねじ17の頭部20に配置または形成されている。工具受容部22の回転時にねじ17を第1のケーシング壁9a内へとねじ込むことができるように、
図3cで符号「17」で示された(非作動の)ねじには逆のねじ回し方向を設けることができる。しかしながら勿論、ねじ17が1つの同じねじ回し方向を有している構成も可能である。
【0024】
図4aには、ねじ17を支持するための第1のガイド14と、駆動エレメント21を支持するための第2のガイド15とを有している支持部材13が示されている。支持部材13の(この場合、横断面で見て、実質的にクローバー型に形成された)ガイド14,15は、実質的に互いに平行に、かつ、ケーシング壁9a,9bに対して実質的に垂直に延びる方向に延在している。駆動エレメント21は、対向して位置する2つの工具受容部22を有しているので、駆動エレメント21を選択的に左側から、または代替的に右側からも、工具25によって操作することができる。駆動エレメント21の両工具受容部22は、この場合、同一に形成されていてよく、(特にトルクスレンチの)工具25を受容するために、例えばスリット形状を、かつ/または多角形形状を有していてよい。(チベット仏教のマニ車を想起させる)ねじ17は、図示した実施例では、互いに一体に結合されているそれぞれ逆方向に向いた2つのねじ山区分24a,24bを有している。
【0025】
駆動エレメント21と少なくとも1つのねじ17との間を軸方向で運動伝達可能に連結するために、ねじ17は、ねじ17の軸方向で互いに離間された第1のストッパ面23aと、少なくとも1つの第2のストッパ面23bとを有していてよく、この場合、駆動エレメント21の歯列18は、ねじ17の第1のストッパ面23aと第2のストッパ面23bとの間に配置されている。このような構成は、
図4bに良好に示されている。すなわち、例えば駆動エレメント21が、工具25によって圧力を加えることによって、第1の軸方向に押されると、ねじ17は、歯列18がねじ17の第1のストッパ面23aに当接することにより第1の軸方向に一緒に動く。これに対して、駆動エレメント21が、工具25により、第1の軸方向とは逆の第2の方向に力を加えられると、ねじ17は、歯列18がねじ17の第2のストッパ面23bに当接することにより、第1の軸方向とは逆の第2の軸方向に一緒に動く。
【0026】
図5aには、家具用金具7が断面図で示されており、この場合、ねじ17は両ねじ山区分24a,24bと共に、家具用金具7の両ケーシング壁9a,9bの内側に完全に収容されていて、保持装置16によって(好適には、ケーシング壁9a,9bに関して真ん中の位置で)予め規定された位置に保持される。予め規定された位置にねじ17を保持するための保持装置16は、例えば、支持部材13とねじ17との間の摩擦接続的な結合により行うことができる。図示した実施例では、保持装置16は、ねじ17に摩擦接続的に接続する、支持部材13に配置された少なくとも1つの突起によって形成されている。選択的に、保持装置16は、ねじ17に力を加えることにより軸方向で解除可能な少なくとも1つの目標破断個所によっても形成することもできる。
【0027】
図5bには、右側のケーシング壁9bがねじ17を介して家具本体2の右側の側壁5に取り付けられている組付け状態が示されている。
図5aを起点として、工具25が、左側のケーシング壁9aの第1の穴11a内に導入され、続いて、駆動エレメント21の左側の工具受容部22に圧力を加えることにより、保持装置16を解除することができ、次いでねじ17を、右側のケーシング壁9bの方向に動かすことができる。工具25によって左側の工具受容部22を回転させることにより、ねじ17のねじ山区分24bは、右側のケーシング壁9bの第2の穴11bを貫通し、家具本体2の右側の側壁5内にねじ込み可能である。
【0028】
これに対して、
図5cには左側のケーシング壁9aがねじ17を介して家具本体2の左側の側壁4に取り付けられている組付け状態が示されている。
図5aを起点として、工具25が、右側のケーシング壁9bの第1の穴11b内に導入され、続いて、駆動エレメント21の右側の工具受容部22に圧力を加えることにより、保持装置16を解除することができ、次いでねじ17を、左側のケーシング壁9aの方向に動かすことができる。工具25によって右側の工具受容部22を回転させることにより、ねじ17のねじ山区分24aは、左側のケーシング壁9aの第2の穴11bを貫通し、家具本体2の左側の側壁4内にねじ込み可能である。
【0029】
図6aには、ねじ17の別の実施例が示されており、このねじはそれぞれ1つだけのねじ山区分24a,24bしか有していない。ねじ山区分24aは、家具本体2の左側の側壁4内にねじ17をねじ込むために形成されており、他方のねじ17のねじ山区分24bは、家具本体の右側の側壁5にねじ込むことができる。ねじ山区分24a,24bに配置されたねじ山は、この場合、異なるねじ回し方向(一方は右ねじ、他方は左ねじ)を有するように構成することができる。駆動エレメント21の回転軸線(A)は、ねじ17の少なくとも一方の回転軸線(B)に対して、好適にはねじ17の両回転軸線(B,C)に対して相対的に側方にずらされて配置されている。
【0030】
図6bには、唯1つの駆動エレメント21によって複数のねじ17(この場合、4つのねじ17)も駆動することができる構成が示されている。ねじ17は、駆動エレメント21の延長された歯列18に全て係合する歯列19を有している。工具25によって駆動エレメント21を回転させることにより、両ねじ山区分24aは、家具本体2の左側の側壁4内にねじ込み可能である。右側のケーシング壁9bを組み付けるために他方の2つのねじ17を使用する場合には、ねじ17のねじ山区分24bを、家具本体2の右側の側壁5にねじ込むことができる。