【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
メタノール及び/又はジメチルエーテルを、メタノールからプロピレンを製造する触媒と接触させて、プロピレンを得る、メタノール及び/又はジメチルエーテルからプロピレンを製造する方法であって、
前記メタノールからプロピレンを製造する触媒は、分子篩を含み、
前記分子篩構造が少なくとも一次元の8員環小細孔通路を有し、該8員環通路方向に沿って拡散可能な物質の最大直径は2.0Å以上であり、分子篩構造に収容可能な物質の最大直径は6Å以下であり、
プロピレンの1パスあたりの選択性が60%より大きい、ことを特徴とする方法。
前記メタノールからプロピレンを製造する触媒は、アルミノケイ酸塩分子篩、シリコアルミノリン酸塩分子篩又は遷移金属リン酸アルミニウム分子篩のうちから選択される少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
メタノール及び/又はジメチルエーテルを、メタノールからプロピレンを製造する前記触媒と接触させるための反応温度は、300℃〜500℃である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
プロピレンは、重要な化学工業原料であり、主にポリプロピレン(PP)、プロピレンオキシド(PO)、アクリロニトリル(AN)、アクリル酸(AA)などの化学工業製品の生産に使用され、最終の用途は包装、建築、自動車、繊維、日用化学製品などの様々な分野に関する。現在、プロピレンに対する世界的な需要量は年々増加しており、中国の経済発展の恩恵を受けて、中国のプロピレン消費量も急速に増加している。
【0003】
現在、中国国内外のプロピレンの生産方法は、主に石油を原料とし、中国の石油資源は非常に乏しく、石油の貯蔵量と生産量は国家経済の急速な発展のニーズを満たすことができず、需要と供給の矛盾が大きい。石炭からメタノール/ジメチルエーテルを介して低炭素オレフィン(MTO)及びプロピレン(MTP)を触媒的に製造する技術は、豊かな石炭と天然ガス資源を利用することができ、石油ルートでオレフィンを取得するのに有利な代替と補充手段であり、従って、研究者に幅広く注目されている。
【0004】
MTP技術のキーは、高特性触媒の開発である。HZSM−5分子篩は、適切な孔径及び酸特性のため、MTP触媒の最初の選択肢になる。20世紀90年代に、ドイツのLurgi社は、変性されたシリカアルミナ比の高いZSM−5分子篩に基づいて、高いプロピレン選択性を有するMTP固定床プロセスを開発した。該プロセスは、プロピレンの収率を最大化することを目指し、プロセスにおいてエチレンとC4+炭化水素類をプロピレンから分離し、MTP反応システムにリサイクルし、それにより、原料メタノールの変換率が99%より大きくなること、及び炭素ベースのプロピレンの収率が71%に達することを実現する。近年、中国石油化工股フン有限公司と清華大学もS−MTO/MTP及びFMTP技術プロセスを相次いで開発した。
【0005】
現在、工業で使用されているMTP触媒は、いずれもZSM−5を分子篩触媒として使用し、この他、SAPO−34及びSAPO−18をMTP反応に使用することについての関連する報告もある。これらの触媒に基づいて得られるプロピレンの選択性は限られており、プロピレンの1パスあたりの選択性の向上は現在のMTP反応研究にとって最も重要な挑戦である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、触媒が提供され、前記触媒は、分子篩を含み、前記分子篩構造が少なくとも一次元の8員環小細孔通路を有し、該8員環通路方向に拡散可能な物質の直径は、2.0Å以上であり、分子篩構造に収容可能な物質の直径は、6Å以下であり、
前記触媒は、メタノール及び/又はジメチルエーテルからプロピレンを製造する反応に使用される。
【0007】
好ましくは、前記分子篩構造は、一次元、二次元又は三次元の8員環通路を含み、通路方向に拡散可能な物質の直径は、2.0Å以上である。
【0008】
好ましくは、前記空間構造に収容可能な物質の直径は、4.8Å〜6Åである。
【0009】
好ましくは、前記分子篩の骨格のタイプは、AFN、DFT、PHI、SIV、THO、APD、CAS、EDI、GIS及びVNIのうちから選択される少なくとも1種である。
【0010】
好ましくは、前記分子篩は、シリコアルミノリン酸塩分子篩、アルミノケイ酸塩分子篩、遷移金属リン酸アルミニウム分子篩のうちから選択される少なくとも1種である。
【0011】
好ましくは、前記触媒は、遷移金属リン酸アルミニウム分子篩を含み、製造方法は、
合成釜に遷移金属原料、アルミニウム源、リン源、テンプレート剤、及び溶媒を加え、結晶化して前記遷移金属リン酸アルミニウム分子篩を得るステップを含み、
前記溶媒は、水、有機アミン又はイオン液体である。
【0012】
本発明の別の態様によれば、メタノール及び/又はジメチルエーテルを、メタノールからプロピレンを製造する触媒と接触させて、プロピレンを得る、メタノール及び/又はジメチルエーテルからプロピレンを製造する方法が提供され、
前記メタノールからプロピレンを製造する触媒は、本願に係る前記触媒を含む。
【0013】
好ましくは、前記メタノールからプロピレンを製造する触媒は、アルミノケイ酸塩分子篩、シリコアルミノリン酸塩分子篩又は遷移金属リン酸アルミニウム分子篩のうちの少なくとも1種を含む。
【0014】
前記したメタノール及び/又はジメチルエーテルをメタノールからプロピレンを製造する触媒と接触させるための反応温度は、300℃〜500℃である。
【0015】
好ましくは、前記方法では、原料の転化率は、75%より大きい。
【0016】
好ましくは、前記方法では、プロピレンの1パスあたりの選択性は、60%より大きい。
【発明の効果】
【0017】
本願は以下の有益な効果をもたらすことができる。
【0018】
1)本願に係る分子篩触媒はMTP反応に対して良好な触媒作用を有し、本発明に係る触媒を使用すると、メタノールの転化率を80%以上にすることができ、且つ本発明の触媒は従来技術におけるMTP反応の選択性が悪いという問題を解決することができ、1パスあたりのプロピレン選択性は、60%より高い。
【0019】
2)本発明の触媒分子篩の組成は柔軟的で様々であり、MTP反応を駆動することができる限り、実際の需要に応じて異なる分子篩を選択することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を参照しながら本発明についてさらに説明する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するためのものにすぎず、本発明の範囲を制限するためのものではない。以下の実施例では、具体的な条件が明記されていない実験方法は、一般的に、通常の条件又はメーカーが推薦する条件に従って行われる。特に説明しない限り、本願で用いられる原料は、いずれも商業的に購入されるものであり、特殊な処理せずにそのまま用いられる。
【0022】
本願のテスト条件は以下のとおりである。
【0023】
触媒を打錠して、20〜40メッシュに破砕し、600℃で空気を導入して4時間焙焼する。0.3gの該サンプルを触媒として固定床反応器(自作)に入れ、MTP反応評価を行い、反応器は、石英管である。550℃で窒素ガスを導入して1時間活性化し、次に、温度を目標温度に下げて反応させる。メタノールは、窒素ガスによって運ばれる。反応生成物は、オンラインガスクロマトグラフィー(アジレントA7890)、PoraPlot−Q−HTクロマトグラフカラムを介して分析される。
【0024】
触媒の元素組成は、Philips社製のMagix 2424 蛍光X線分析装置(XRF)によって測定される。
【0025】
触媒のX線粉末回折相分析(XRD)は、オランダのパナリティカル(PANalytical)社製のX’Pert PRO X線回折装置を使用し、Cuターゲット、Kα線源(λ=0.15418nm)、電圧が40KV、電流が40mAである。
【0026】
米国Micromeritics社製のASAP 2020物理吸着装置でサンプルの比表面積と孔径分布を測定する。分析する前に、サンプルを350℃で6h真空加熱して前処理し、Heを媒体としてサンプルチューブの自由体積を測定する。サンプルを分析するとき、窒素ガスを吸着ガスとし、液体窒素の温度(77K)で物理的な吸脱着測定を行う。BET公式を使用して材料の比表面積を決定し、相対圧力(P/P
0)が0.99の時のN
2の吸着量を使用して材料の総細孔容積を計算する。t−plot方法で微細孔の表面積と微細孔の細孔容積を計算する。計算するとき、N
2分子の横断面積を0.162nm
2とする。
【0027】
米国Micromeritics社製のAutochem2920化学吸着装置で、NH
3を飽和吸着した後のサンプルの温度プログラム脱着を測定する。600℃、40mL/minのHe雰囲気でサンプルを60min活性化処理する。温度を100℃に下げた後アンモニアガスを注入してサンプルに飽和状態まで吸着させ、物理的に吸着されたNH
3をHeパージによって除去し、次に10℃/minの速度で600℃にプログラム昇温し、TCDモニターでNH
3脱着信号を記録する。
【0028】
以下、実施例を参照しながら本発明についてさらに説明する。
【0029】
実施例1
MnAPO−AFN分子篩の合成
100mLのステンレス反応釜に、MnCl
2・4H
2O、脱イオン水、アルミニウムイソプロポキシド、蓚酸、1,3−プロパンジアミン(1,3−PDA)及びリン酸(85%)を一括して加えた。反応物のモル比は、MnCl
2・4H
2O:Al(iPrO)
3:H
3PO
4:H
2C
2O
4:1,3PDA:H
2O=(1.0:1.4:5.0:1.6:5.0:920)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら180℃に昇温し、72h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、120℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS1を得て、MnAPO−AFNと命名した。
【0030】
実施例2
SAPO−AFN分子篩の合成
100mLの合成釜に所定量のアルミニウムイソプロポキシド、脱イオン水、トリエチレンジアミン(DABCO)、オルトケイ酸テトラエチル及びリン酸(85%)を順に加えた。反応物のモル比は、Al
2O
3:P
2O
5:SiO
2:DABCO:H
2O=(1.0:1.0:0.3:3.0:50)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら200℃に昇温し、40h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、120℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS2を得て、SAPO−AFNと命名した。
【0031】
実施例3
CoAlPO−DFT分子篩の合成
2gの炭酸コバルトを108.23gの脱イオン水及び26.78gのリン酸(85%)に溶解した。他のビーカーで10gのアルミニウムイソプロポキシド、10.32gのリン酸及び53gのグリコールを均一に混合し、室温で24h撹拌した。23.41gの上記調製されたグリコール溶液を、コバルトを含む水溶液と混合した後、20分間均一に撹拌して、30gの溶液を取り出し、1.05gのキニーネ及び3.08gのピペラジン及び0.6mlのエチレンジアミンを加えた。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら180℃に昇温し、96h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、100℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS3を得て、CoAlPO−DFTと命名した。
【0032】
実施例4
SAPO−DFT分子篩の合成
100mLの合成釜に所定量の擬ベーマイト(65重量%)、脱イオン水、1,3−ジアミノプロパン(1,3−DPA)、シリカゾル(31重量%)及びリン酸(85%)を順に加えた。反応物のモル比は、Al
2O
3:P
2O
5:SiO
2:1,3−DPA:H
2O=(1.0:1.0:0.3:5.0:50)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら180℃に昇温し、12〜72h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、120℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS4を得て、SAPO−DFTと命名した。
【0033】
実施例5
ZnAlPO−PHI分子篩の合成
100mLの合成釜に酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、脱イオン水、リン酸、グリコール(EG)及びN,N−ジメチル−1,3−プロピルアミン(C
5H
14N
2)を順に加えた。反応物のモル比は、ZnO:P
2O
5:Al
2O
3:C
5H
14N
2:20H
2O:100EG=(3:5:1:8:20:100)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら180℃に昇温し、48h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、100℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS5を得て、ZnAlPO−PHIと命名した。
【0034】
実施例6
SiAl−PHI分子篩の合成
100mLの合成釜に所定量のKOH、脱イオン水、ケイ酸ナトリウム溶液(Na
2O:8.9%、SiO
2:28.7%)及びアルミン酸ナトリウム(30.5% Na
2O、45.6% Al
2O
3)を順に加えた。反応物のモル比は、Na
2O:K
2O:Al
2O
3:SiO
2:H
2O=(6.95:3.5:1.0:22:350)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら120℃に昇温し、12h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、100℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS6を得て、SiAl−PHIと命名した。
【0035】
実施例7
CoAlPO−SIV分子篩の合成
100mLのステンレス合成釜にリン酸、アルミニウムイソプロポキシド、Co(OH)
2、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイドイオン液体(IL)及びフッ化水素酸を順に加えた。反応物のモル比は、Al(iPrO)
3:H
3PO
4:HF:IL:Co(OH)
2:6H
2O=(1.0:2.9:0.69:40:1.6:3.6)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら170℃に昇温し、72h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、100℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS7を得て、CoAlPO−SIVと命名した。
【0036】
実施例8
SAPO−SIV分子篩の合成
100mLの合成釜に所定量の水酸化アルミニウム、脱イオン水、イソプロピルアミン(IPA)、ホワイトカーボンブラック、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイドイオン液体(IL)、フッ化水素酸及びリン酸(85%)を順に加えた。反応物のモル比は、Al
2O
3:1.0P
2O
5:0.3SiO
2:IL:0.3HF:IPA:H
2O=(1.0:1.0:0.3:25:0.3:2.0:10)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら180℃に昇温し、48h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、120℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS8を得て、SAPO−SIVと命名した。サンプルを焙焼してテンプレート剤を除去した後、その比表面積及び細孔容積を測定したが、サンプルは高いBET比表面積412.8m
2g
−1、及び大きい孔体積0.24cm
3g
−1を有し、t−plot方法で計算して得られた細孔比表面積及び細孔容積はそれぞれ360.5m
2g
−1及び0.18cm
3g
−1であった。
【0037】
実施例9
ZnAlPO−THO分子篩の合成
100mLの合成釜に酸化亜鉛、アルミニウムイソプロポキシド、リン酸、エチレングリコール(EG)及び1,3−ジアミノプロパン(1,3−DPA)を順に加えた。反応物のモル比は、ZnO:P
2O
5:Al
2O
3:1,3−DPA:EG=(3:5:1:8:120)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら180℃に昇温し、96h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、100℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS9を得て、ZnAlPO−THOと命名した。
【0038】
実施例10
SAPO−THO分子篩の合成
100mLの合成釜に擬ベーマイト、脱イオン水、ピペリジン(C
5H
11N)、ホワイトカーボンブラック及びリン酸(85%)を順に加えた。反応物のモル比は、1.0 Al
2O
3:1.0 P
2O
5:0.3 SiO
2:3.0 C
5H
11N:40 H
2O=(1:1:0.3:3.0:40)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら180℃に昇温し、12〜72h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、120℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS10を得て、SAPO−THOと命名した。
【0039】
実施例11
SAPO−APD分子篩の合成
100mLの合成釜にアルミニウムイソプロポキシド、脱イオン水、エタノールアミン(ETA)、シリカゾル(30%)及びリン酸(85%)を順に加えた。反応物のモル比は、Al
2O
3:P
2O
5:SiO
2:ETA:H
2O=(1:1.4:0.3:7:140)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら160℃に昇温し、72h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、120℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS11を得て、SAPO−APDと命名した。NH
3−TPD方法を用いて該分子篩の表面酸性を研究した。NH
3−TPD曲線図を
図1に示した。サンプルは、170℃ほどで非常に高い脱着ピークが出現し、370℃でより低い突出のみが存在し、サンプルの酸性が非常に弱いことが分かった。
【0040】
実施例12
SiAl−CAS分子篩の合成
合成釜にピペラジン、脱イオン水、LudoxAS−40、アルミン酸ナトリウム及びHFを順に加えた。反応混合物のモル比は、Na
2O:Al
2O
3:SiO
2:C
4H
10N
2:HF:H
2O=(1:1:10:5.6:77)であった。均一に撹拌してから密封し、150℃に昇温し、48h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、100℃の空気で乾燥させて、分子篩前駆体1を得た。前駆体1を管状炉に入れて1℃/分の速度で1000℃に昇温し、10時間加熱し、対象物質分子篩S12を得て、SiAl−CASと命名した。
【0041】
実施例13
SAPO−CAS分子篩の合成
100mLの合成釜に擬ベーマイト、脱イオン水、ピペラジン(PIP)、シリカゾル(30%)及びリン酸(85%)を順に加えた。反応物のモル比は、Al
2O
3:P
2O
5:SiO
2:PIP:H
2O=(1:1:0.3:3:40)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら160℃に昇温し、12h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、120℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS13を得て、SAPO−CASと命名した。
【0042】
実施例14
CoAlPO−EDI分子篩の合成
200mLの合成釜に12.8gの硝酸コバルト、23.2gの硝酸アルミニウム、27.16のリン酸(2M)、8.9gの1,2プロパンジアミン及び100gの脱イオン水を順に加えた。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら150℃に昇温し、48h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、100℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS14を得て、CoAlPO−EDIと命名した。
【0043】
実施例15
SiAl−EDI分子篩の合成
100mLの合成釜に所定量のKOH、脱イオン水、アルミ粉末及びホワイトカーボンブラックを順に加えた。反応物のモル比は、K
2O:Al
2O
3:SiO
2:H
2O=(5:1:3:100)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら100℃に昇温し、96h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、100℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS15を得て、SiAl−EDIと命名した。
【0044】
実施例16
SAPO−EDI分子篩の合成
100mLの合成釜に擬ベーマイト、脱イオン水、トリメチルアミン(TMA)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(35%)、シリカゾル(30%)及びリン酸(85%)を順に加えた。反応物のモル比は、Al
2O
3:P
2O
5:SiO
2:TEA
2O:TMA:H
2O=(1:1:0.3:1.5:2:40)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら170℃に昇温し、12〜72h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、120℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS16を得て、SAPO−EDIと命名した。
【0045】
実施例17
SiAl−GIS分子篩の合成
100mLの合成釜に所定量のフッ化ナトリウム、脱イオン水及びカオリン(Al
2O
3:SiO
2:H
2O=1:2:2.2)を順に加えた。反応物のモル比は、Al
2O
3:SiO
2:NaF:H
2O=(1:3:5:120)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら150℃に昇温し、24h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、100℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS17を得て、SiAl−GISと命名した。
【0046】
実施例18
CoAPO−GIS分子篩の合成
100mLの合成釜に所定量のアルミニウムイソプロポキシド、脱イオン水、リン酸、酢酸コバルト、ジメチルアミン(C
2H
7N)及び1,4−コハク酸(C
4H
7NO
4)を順に加えた。反応物のモル比は、CoAc・4H
2O:Al(iPrO)
3:H
3PO
4:C
2H
7N:C
4H
7NO
4:200H
2O=(0.7:4:1:4:6:1.2:200)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら180℃に昇温し、48h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、100℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS18を得て、CoAPO−GISと命名した。
【0047】
実施例19
SAPO−GIS分子篩の合成
合成釜に擬ベーマイト、脱イオン水、リン酸、シリカゾル(30%)、及びプロピルアミンを順に加えた。反応物のモル比は、Al
2O
3:P
2O
5:SiO
2:4.0 PA:100H
2O=(1:1:0.3:4:100)であった。原料混合物を均一に撹拌してから密封し、撹拌しながら160℃に昇温し、96h回転させて結晶化させた。固体生成物を遠心分離して、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄し、100℃の空気で乾燥させて、使用に備える分子篩サンプルS19を得て、SAPO−GISと命名した。
【0048】
実施例20
構造のキャラクタリゼーション
実施例1〜19で製造されたサンプルに対してXRDキャラクタリゼーションを行って、その結果として、合成されたサンプルは、いずれも純粋な相であり、不均一な分子篩が存在しなかった。選択した実施例2、6及び18のXRDディフラクトグラムは、後の
図1〜3に示された。他の部分のXRDキャラクタリゼーションデータの2θ角度及び相対強度は、表1に示された。実施例11のサンプルに対してNH
3−TPDキャラクタリゼーションを行い、その結果は
図4に示された。
【0050】
実施例21
SAPO分子篩のMTP特性評価
上記実施例で合成されたSAPO分子篩を400〜800℃の空気で2時間焙焼し、使用に備える触媒製品を得て、MTP触媒反応評価に使用したが、触媒の特性評価についての操作は発明を実施するための形態の部分を参照し、観測用のプロセス条件及び触媒の結果は表2に示され、本実施例及び後述の内容が転化率の計算に言及する場合、メタノールとジメチルエーテルの両方がすべて反応物と見なされ、転化率が最も高い場合の値を選択した。表2から分かるように、エチレン、プロピレン及びC4の総選択性は、100%に近かった(機器の検出誤差の影響を受け、総選択性は100%に等しいか、わずかに超える可能性がある)。
【0052】
実施例22
シリコンアルミニウム分子篩のMTPの触媒特性評価
上記実施例で合成されたシリコンアルミニウム分子篩は、水素型分子篩を得るためにイオン交換を行う必要があった。具体的なプロセスは、以下のとおりであった。まず400〜800℃の空気で3時間焙焼した。次に、100gの硝酸アンモニウムを1300mlの脱イオン水に溶解し、完全に溶解してから20gの焙焼後の分子篩サンプルを加え、85℃の油浴で10h撹拌し、静置して冷却させた後に遠心分離し、中性になるまで脱イオン水でサンプルを洗浄した。上記イオン交換ステップを2〜4回繰り返し(S6 2回、S12 4回、その他 3回)、アンモニウム型の分子篩サンプルを得た。次に、400〜800℃の空気で3時間焙焼し、使用に備えるMTP触媒を得た。触媒の特性評価についての操作は、発明を実施するための形態の部分を参照し、観測用のプロセス条件及び触媒の結果は、表3に示される。
【0054】
実施例23
遷移金属リン酸アルミニウム分子篩のMTP触媒特性評価
上記実施例で合成された遷移金属リン酸アルミニウム分子篩は、酸性分子篩を得るために焙焼してテンプレート剤を除去する必要があった。分子篩サンプルを管状炉に入れてO
2ガスを導入し、1度/分の昇温レートで400℃に昇温し、2時間保持し、次に、0.5度/分の速度で500昇温して、4時間焙焼し、使用に備えるMTP触媒を得た。触媒の特性についての操作は、発明を実施するための形態の部分を参照し、観測用のプロセス条件及び触媒結果は、表4に示された。
【0056】
比較例1
一般的に使用されるMTP触媒SAPO−18とZSM−5を選択して、MTP触媒特性の比較実験を行った。2つの触媒サンプルをいずれも焙焼して、テンプレート剤を除去した後使用に備えた。分子篩サンプルを管状炉に入れてO
2ガスを導入し、1度/分の昇温速度で400℃に昇温して、2時間保持し、次に、0.5度/分の速度で500℃に昇温して、4時間焙焼し、使用に備えるMTP触媒を得た。触媒特性についての操作は、発明を実施するための形態の部分を参照し、観測用のプロセス条件及び触媒の結果は、表5に示された。
【0058】
aZSM−5とSAPO−18は、いずれも、低炭素オレフィンの選択性が最も適切な場合を選択して比較した。
【0059】
以上の実施例から分かるように、本発明の分子篩触媒は、高い転化率と高い選択性でMTP反応を触媒することができ、従来技術における触媒より著しく優れる。
【0060】
以上は、本願のいくつかの実施例にすぎず、本願に対するいかなる形態の制限ではなく、本願は、好適な実施例で以上に開示されるが、本願を制限するためのものではなく、いかなる当業者であれば、本願の技術的解決手段を逸脱しない範囲で、上記開示される技術的内容を用いて行われたいくつかの変化または修飾は、いずれも等価実施例に同等であり、技術的解決手段の範囲内に属する。
【0061】
以上は、本願のいくつかの実施例にすぎず、本願に対するいかなる形態の制限ではなく、本願は、好適な実施例で以上に開示されるが、本願を制限するためのものではなく、いかなる当業者であれば、本願の技術的解決手段を逸脱しない範囲で、上記開示される技術的内容を用いて行われたいくつかの変化または修飾は、いずれも等価実施例に同等であり、技術的解決手段の範囲内に属する。