(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部は、前記第1面と対向する第2面を有するとともに、当該表示部は、前記支持部が固定された前記第1面が設けられるディスプレイ部と、前記当接部が接着された前記第1面の縁部および前記第2面が設けられるカバー部とを含み、
前記ディスプレイ部と前記カバー部とは、表示部用接着部材により接着されており、
前記ホルダ部は、前記ネジ締結部が設けられる第1ホルダ部と、前記支持部が設けられる第2ホルダ部とを有し、
前記第1ホルダ部と前記第2ホルダ部との間の接続構造の剛性は、前記ホルダ部における当該接続構造以外の部分の剛性よりも弱い
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る表示装置1の一例の外観を示す斜視図である。
実施の形態1において、表示装置1は、例えば、車両の車室内前方のセンターコンソールに設置されナビゲーションシステムの画像等を表示する、狭額縁のフラットディスプレイ仕様の表示装置を想定している。
図1において車両の図示は省略しているが、
図1に示すx軸の正方向は、車両に設置された状態の表示装置1からみて、車両の後方に向かう方向である。車両に設置された状態の表示装置1からみたx軸の正方向側を、「正面側」ともいうものとする。また、車両に設置された状態の表示装置1からみたx軸の負方向側を「背面側」ともいうものとする。また、
図1に示すz軸の正方向は、車両に設置された状態の表示装置1からみて、鉛直上方に向かう方向である。車両に設置された状態の表示装置1からみたz軸の正方向側を、「上面側」ともいうものとし、当該z軸の負方向側を「下面側」ともいうものとする。また、
図1に示すy軸の正方向は、車両に設置された状態の表示装置1を、運転席側から見た場合の、当該表示装置1の右側の方向である。車両に設置された状態の表示装置1からみたy軸の正方向側及び負方向側を、両方含めて単に「側面側」ともいうものとする。
【0010】
表示装置1は、表示部11と、意匠パネル12と、筐体14を備える。また、
図1では図示を省略しているが、表示装置1は、ホルダ部13を備える(
図3参照)。
表示部11は、画像等を表示する。
ホルダ部13は、表示部11よりも背面側に配置され、表示部11に一体的に固定されて、表示部11を支持する。表示部11およびホルダ部13の詳細な構成については後述する。以下の説明において、ホルダ部13が一体的に固定された状態の表示部11を、「ホルダ付き表示部」ともいうものとする。
意匠パネル12は、表示部11からみてホルダ部13よりも背面側から表示部11を覆うように配置され、ホルダ付き表示部と固定される。実施の形態1では、意匠パネル12はx軸方向に貫通した空間を形成する枠形状とし、ホルダ付き表示部と意匠パネル12とは、ホルダ付き表示部の背面側の面の外周部にて固定される。意匠パネル12の詳細な構成、および、意匠パネル12とホルダ付き表示部の詳細な固定構造は後述する。
筐体14は、ホルダ付き表示部および意匠パネル12よりも背面側に配置される。
筐体14には、表示部11の表示動作を制御する表示制御回路等が格納される。
【0011】
図2は、実施の形態1に係る表示装置1の一例の分解斜視図である。
図2は、表示装置1を背面側から見た、表示装置1の分解斜視図としている。なお、説明の簡単のため、
図2では、筐体14の記載は省略している。
図2を用いて、表示部11、ホルダ部13、および、意匠パネル12の構成について説明する。
【0012】
表示部11は、ディスプレイ部111とカバー部112を含む。
ディスプレイ部111は、矩形の形状を有する一般的な液晶ディスプレイである。ディスプレイ部111の短辺の方向が、表示装置1が車両に設置された状態での、表示部11の上下方向となる。
カバー部112は、ディスプレイ部111の正面側に、ディスプレイ部111を被覆するように設けられている。カバー部112は、ディスプレイ部111を保護する保護部材であり、タッチ操作に対応するタッチパネルである。
実施の形態1では、カバー部112の長辺の長さは、ディスプレイ部111の長辺の長さよりも長い。また、カバー部112の短辺の長さは、ディスプレイ部111の短辺の長さよりも長い。
【0013】
ディスプレイ部111とカバー部112との間には、当該ディスプレイ部111とカバー部112とを接着するための接着部材(以下、「表示部用接着部材11a」という。)が設けられている。表示部用接着部材11aは、例えば、両面テープである。
実施の形態1では、一例として、表示部用接着部材11aは、ディスプレイ部111とカバー部112とが重なる領域の全域を覆う面積を有するものとする。しかし、これは一例に過ぎず、表示部用接着部材11aは、例えば、ディスプレイ部111とカバー部112とが重なる領域の一部のみを覆う面積を有するものであってもよい。表示部用接着部材11aは、ディスプレイ部111の大きさに応じて、ディスプレイ部111とカバー部112とを接着させるのに十分な面積を有するものとなっていればよい。
【0014】
表示部11が有する背面側の面には、ホルダ部13が固定される。
ここで、
図3は、実施の形態1に係る表示装置1が備えるホルダ部13の概略を説明するための図である。
図3は、ホルダ部13を背面側から見た背面図である。また、
図3において、図上の上方向が、上面側である。
ホルダ部13は、金属等で形成され、第1ホルダ部131および第2ホルダ部132から成る。第1ホルダ部131と第2ホルダ部132は、別々に形成された、別々の部品であり、第1ホルダ部131と第2ホルダ部132とがネジ留めされることによって、ホルダ部13が一体的に形成される。具体的には、第2ホルダ部132の上面側および下面側の端部に設けられたホルダネジ穴1322(
図2参照)が、それぞれ、第1ホルダ部131が有するホルダネジ穴1314(
図2参照)と重ねられ、第2ホルダ部132と第1ホルダ部131とがネジ3によってネジ留めされる。
なお、実施の形態1では、
図3に示すように、ホルダ部13には、第2ホルダ部132が2つ備えられるものとしたが、これは一例に過ぎない。ホルダ部13には、第2ホルダ部132が1つのみ備えられるものとしてもよいし、第2ホルダ部132が3つ以上備えられるものとしてもよい。
【0015】
第2ホルダ部132の、正面側の面には、支持部1321が設けられている。
第2ホルダ部132は、正面側に向かって窪んだ凹部を有し、当該凹部に、支持部1321が設けられる。
支持部1321は、表示部11が有する背面側の面において表示部11に固定されて表示部11を支持する。なお、支持部1321が固定される、表示部11が有する背面側の面は、後述する第1面1111(
図6参照)の一部を構成する面である。また、実施の形態1では、支持部1321が固定される、表示部11が有する背面側の面(第1面1111)は、具体的には、ディスプレイ部111が有する背面側の面である。
実施の形態1では、上述のとおり、第2ホルダ部132は、正面側に向かって窪んだ凹部を有するものとし、支持部1321が当該凹部に設けられるものとするが、これは一例に過ぎず、第2ホルダ部132は凹部を必須としない。第2ホルダ部132の、正面側の一部に、支持部1321が設けられるようになっていればよい。
【0016】
第1ホルダ部131には、ネジ穴1312を有するネジ締結部1311が設けられている。
ホルダ部13が、表示部11が有する第1面1111(
図6参照)に固定された状態において、ネジ穴1312は、その軸線の方向が、第1面1111と直交している。なお、「直交」とは、厳密な直交ではなくてもよく、略直交の意味を含む。
実施の形態1では、
図2および
図3に示すように、ネジ締結部1311は、ホルダ部13の4隅にそれぞれ1箇所ずつ設けられることで、計4箇所に設けられている。なお、これは一例に過ぎず、ネジ締結部1311は、ホルダ部13の適宜の位置に、適宜の数、設けられるようにすることができる。
各ネジ締結部1311には、スリット1313が設けられる。当該スリット1313は、ネジ締結部1311が、後述する意匠パネル12の被締結座面部122よりも弱い剛性を有するようにするためのものである。ネジ締結部1311がスリット1313によって撓むことが可能とされていることで、ネジ締結部1311の剛性が弱くされている。
ネジ締結部1311の剛性は、ネジ締結部1311と被締結座面部122とがネジ留めされる際に、ネジ締結部1311が被締結座面部122側に引き込まれる程度に、被締結座面部122の剛性より弱くなっていればよい。ネジ締結部1311と被締結座面部122とのネジ留めについては、後述する。
【0017】
第1ホルダ部131には、当該第1ホルダ部131の一部が背面側に切り起こされて形成された爪部134が設けられ、爪部134には、仲介部品133が設けられる。仲介部品133は、表示部11を筐体14に対して正面側方向または背面側方向にスライドさせるスライド機構を構成する部品の1つである。実施の形態1に係る表示装置1は、表示部11が、筐体14の正面を覆う閉状態と、筐体14の正面を露出した開状態とを切替自在なものとする図示しないスライド機構を有している。
【0018】
表示部11と第2ホルダ部132の間には、表示部11と第2ホルダ部132とを接着により固定するための接着部材(以下、「ホルダ用接着部材13a」という。)が設けられる。ホルダ用接着部材13aは、例えば、両面テープである。
【0019】
表示部11からみてホルダ部13よりも背面側から、表示部11のディスプレイ部111およびホルダ部13を覆うように、意匠パネル12が設けられている。
意匠パネル12は、樹脂等で形成され、意匠パネル12には、当接部121と、被締結座面部122が設けられている。
当接部121は、意匠パネル12における正面側の一面に設けられた、意匠パネル12が表示部11と接着される領域である。実施の形態1では、当接部121は、意匠パネル12の正面側の一面の外周全体にわたって設けられるものとする。
被締結座面部122は、溝が切られていない貫通穴1221を有する。被締結座面部122は、ホルダ部13が第1面1111(
図6参照)に固定され、かつ、意匠パネル12が後述のように第1面1111の縁部1111a(
図6参照)に接着された状態において、ネジ締結部1311からみて、第1面1111とは反対側に位置する。実施の形態1では、ネジ締結部1311は、4箇所に設けられているため、被締結座面部122も、それぞれのネジ締結部1311に対応して1箇所ずつ設けられ、計4箇所に設けられている。
また、ホルダ部13が第1面1111(
図6参照)に固定され、かつ、意匠パネル12が第1面1111の縁部1111a(
図6参照)に接着された状態において、貫通穴1221の軸線は、ネジ穴1312の軸線と共通している。1つのネジ穴1312と当該ネジ穴1312に対応する1つの貫通穴1221とは、1本のネジ2によって締結される。なお、ネジ穴1312の軸線と、貫通穴1221の軸線とは、厳密な意味で「共通」していなくてもよく、ネジ2を円滑に締結することが可能となる程度に略共通していればよい。
【0020】
意匠パネル12の当接部121と表示部11との間には、意匠パネル12と表示部11とを接着するための接着部材(以下、「パネル用接着部材12a」という。)が設けられる。パネル用接着部材12aは、例えば、両面テープである。意匠パネル12の当接部121は、表示部11が有する第1面1111の縁部1111a(
図6参照)において表示部11と接着される。実施の形態1では、当接部121が接着される、第1面1111の縁部1111aとは、具体的には、カバー部112が有する背面側の面の縁部である。すなわち、実施の形態1において、カバー部112が有する背面側の面の縁部は、ディスプレイ部111が有する背面側の面と同様に、第1面1111の一部を構成する面である。
【0021】
実施の形態1に係る表示装置1における、表示部11と意匠パネル12の固定構造について説明する。
表示部11と意匠パネル12とは、ホルダ付き表示部と意匠パネル12とが、パネル用接着部材12aによって接着された後、ネジ留めによって固定される。
図4は、実施の形態1に係る表示装置1について、ホルダ付き表示部と意匠パネル12とがパネル用接着部材12aで接着された状態の一例を示す、表示装置1の斜視図である。
図4は、表示装置1を背面側から見た、表示装置1の斜視図である。なお、説明の簡単のため、
図4では、筐体14の図示は省略している。
ホルダ付き表示部と意匠パネル12とは、
図4に示す状態となった後、背面側からネジ留めされることで固定される。
図5は、
図4で示す表示装置1の背面図である。
図5においても、筐体14の図示は省略している。
図6は、
図5のX部分のA−A切断線による断面図である。
図6は、
図5のX部分の断面を下面側から見た断面図である。
図4〜
図6を用いて、表示部11とホルダ部13とが接着され、表示部11と意匠パネルとが接着された後、ホルダ付き表示部のホルダ部13と意匠パネル12とがネジ留めにより固定された、表示装置1における表示部11の固定構造について説明する。
【0022】
まず、表示部11とホルダ部13とが接着される接着方法、および、ホルダ付き表示部と意匠パネル12とが接着される方法について説明する。
ディスプレイ部111とカバー部112とが、表示部用接着部材11aによって接着される。
ディスプレイ部111とカバー部112が接着された状態で、カバー部112の背面側の面における、ディスプレイ部111の長辺方向の両端部の外側、および、ディスプレイ部111の短辺方向の両端部の外側は、それぞれ、一定の領域を有するようになっている。当該一定の領域は、パネル用接着部材12aが配置される領域となる。当該領域の幅は、表示装置1の仕様に応じて適宜設定される。
【0023】
ここで、表示部11が有する背面側の面を、表示部11の「第1面1111」というものとする(
図6参照)。また、表示部11の正面側の面を表示部11の「第2面1121」というものとする(
図6参照)。
実施の形態1において、第1面1111は、具体的には、ディスプレイ部111の背面側の面、および、カバー部112の背面側の面における前記一定の領域である。カバー部112の背面側の面における当該一定の領域は、言い換えれば、表示部11が有する第1面1111の縁部1111a(
図6参照)である。また、実施の形態1において、第2面1121は、具体的には、カバー部112の正面側の面である。
【0024】
ディスプレイ部111とカバー部112とが接着されると、さらに、表示部11とホルダ部13とが接着される。より具体的には、第1面1111の一部を構成する面であるディスプレイ部111の背面側の面と、第2ホルダ部132の支持部1321とが、ホルダ用接着部材13aにより接着される。
【0025】
さらに、ホルダ付き表示部と意匠パネル12とが接着される。具体的には、表示部11が有する第1面1111の縁部1111aにおいて、ホルダ付き表示部と、意匠パネル12の当接部121とが、パネル用接着部材12aによって接着される。
【0026】
以上の方法で、パネル付き表示部と意匠パネル12とが接着された状態では、
図6に示すように、ネジ穴1312および貫通穴1221は、いずれも軸線の方向が第1面1111と直交する方向である。言い換えれば、当該軸線の方向はx軸と平行な方向である。なお、「直交」とは、上述のとおり、厳密な直交ではなくてもよく、略直交の意味を含む。また、パネル付き表示部と意匠パネル12とが接着され、かつ、ネジ締結部1311と被締結座面部122とがネジ留めされる前の状態では、
図6に示すように、ネジ締結部1311と被締結座面部122との間にはクリアランス100が設けられる。
クリアランス100の値は、関連する部品の集積公差以上の値となるように適宜設定される。関連する部品とは、ネジ締結部1311および被締結座面部122のz軸方向の相対的位置関係に影響する部品である。
【0027】
ホルダ付き表示部と意匠パネル12とが接着された後、当該ホルダ付き表示部と当該意匠パネル12とがネジ留めされる。
次に、ホルダ付き表示部と意匠パネル12とがネジ留めされて固定された固定構造について説明する。
意匠パネル12の背面側から、ネジ締結部1311のネジ穴1312および被締結座面部122の貫通穴1221にネジ2が挿入され、当該ネジ2が締結される。ネジ2が締結されると、ネジ2の軸力により、ネジ締結部1311および被締結座面部122に締め付け力が生じ、ホルダ付き表示部と意匠パネル12とが固定される。
【0028】
このとき、上述のとおり、ネジ締結部1311および被締結座面部122が接着された状態では、ネジ穴1312および貫通穴1221は、いずれも軸線の方向が第1面1111と直交する方向であり、また、ネジ締結部1311および被締結座面部122がネジ留めされる前の状態で、ネジ締結部1311と被締結座面部122との間にはクリアランス100が設けられている。そのため、ネジ2が締結されると、当該ネジ2が締結されることで生じた、被締結座面部122方向への軸力により、ネジ締結部1311と被締結座面部122との間には、互いに近づく方向の力が加わることとなる。当該方向は、第1面1111と直交する方向、言い換えれば、x軸と平行な方向である。
【0029】
また、上述のとおり、ネジ締結部1311において、スリット1313が設けられていることにより、ネジ締結部1311の剛性が、被締結座面部122の剛性よりも弱くなっている。そのため、ネジ締結部1311は、ネジが締結された際、被締結座面部122の方向へ引き込まれやすくなっている。このことにより、実施の形態1に係る表示装置1では、ネジ締結部1311と被締結座面部122とをネジ留めする際、ネジ締結部1311と被締結座面部122との間に加わる互いに近づく方向の力を過度に大きくすることが無く、一定範囲の大きさの力とすることができる。
【0030】
このように、ホルダ付き表示部と意匠パネル12とを、背面側からネジ留めすることで、ネジ締結部1311と被締結座面部122との間には、互いに近づく方向の力が加わることとなる。したがって、意匠パネル12とホルダ付き表示部との間にも互いに近づく方向の力が加わるのみであり両者が互いに引き剥がされる方向への力が生じることはない。すなわち、実施の形態1に係る表示装置1では、意匠パネル12とホルダ付き表示部とがネジ留めによって固定される際、ホルダ付き表示部が意匠パネル12から剥がれることを防ぎ、意匠パネル12とパネル付き表示部とが接着された状態を維持することができる。
【0031】
一方、ネジ締結部1311と被締結座面部122とをネジ留めした際、ネジ締結部1311が被締結座面部122の方向へ引き込まれる力が、表示部11において表示部用接着部材11aがディスプレイ部111とカバー部112とを接着させている力より大きくなる場合、ディスプレイ部111をカバー部112から引き剥がす方向への力が働くことになる。
ここで、仮に、ホルダ部13が1つの部品で構成され(
図7参照)、第1ホルダ部131から第2ホルダ部132にかけて、ホルダ部13が均一の剛性を有するものであるとする。この場合、ホルダ付き表示部と意匠パネル12とをネジ留めした際の、ディスプレイ部111をカバー部112から引き剥がす方向へ働く力が、ディスプレイ部111とカバー部112との接着面に直に伝わることになり、当該力の影響を受けやすい。
【0032】
そこで、実施の形態1に係る表示装置1では、上述のとおり、ホルダ部13を、別々の部品である第1ホルダ部131および第2ホルダ部132とを有するものとしている。そして、第1ホルダ部131および第2ホルダ部132がネジ留めされてホルダ部13が形成されることで、第1ホルダ部131と第2ホルダ部132との間の接続構造の剛性を、ホルダ部13における当該接続構造以外の部分の剛性より弱くしている。
その結果、ネジ締結部1311と被締結座面部122とをネジ留めした際に、ネジ締結部1311が被締結座面部122の方向へ引き込まれる力が、表示部11において表示部用接着部材11aがディスプレイ部111とカバー部112とを接着させている力より大きくなる場合であっても、ホルダ部13における接続構造部分が撓むことができる。このため、実施の形態1に係る表示装置1では、上記の場合にも、ディスプレイ部111がカバー部112から引き剥がされる方向へ働く力を低減させ、ディスプレイ部111とカバー部112とが接着された状態を維持することができる。
【0033】
なお、上述のとおり、実施の形態1に係る表示装置1は、一例として、スライド機構を有するものとしている。スライド機構を有する表示装置1においては、表示部11が開状態から閉状態に移行する際、モニタ付き表示部に、仲介部品133を介して、筐体14側に引き込まれる方向の力が働く。このように、モニタ付き表示部が筐体14側に引き込まれる方向へ働く力は、ディスプレイ部111がカバー部112から引き剥がされる方向へ働く力になる。しかし、実施の形態1に係る表示装置1では、第1ホルダ部131と第2ホルダ部132との間の接続構造の剛性が、ホルダ部13における当該接続構造以外の部分の剛性より弱くされることで、表示部11が閉状態に移行する際のディスプレイ部111がカバー部112から引き剥がされる方向へ働く力を低減することもできる。
【0034】
以上のとおり、実施の形態1に係る表示装置1は、意匠パネル12とパネル付き表示部との固定力を向上することができる。
【0035】
なお、意匠パネル12とパネル付き表示部とのネジ留めについては、側面側からネジ留めすることも一案として考えられる。
しかし、意匠パネル12とパネル付き表示部とを、表示装置の側面側からネジ留めしたのでは、上述した実施の形態1に係る表示装置1のような、固定力を向上させる効果は得られないことがある。以下、具体的に説明する。
【0036】
図8〜
図10は、意匠パネル12とパネル付き表示部とを、側面側からネジ留めした場合の表示装置の構造について説明するための図である。
図8は、上述の
図4に対応し、側面側からネジ留めされるようにした点以外は、
図4と同様の構成を有するため、同じ構成には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図9は、上述の
図5に対応し、側面側からネジ留めされるようにした点以外は、
図5と同様の構成を有するため、同じ構成には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図10は、
図9のY部分のB−B切断線による断面図である。
図10は、
図9のY部分の断面を下面側から見た断面図である。
図10は、上述の
図6に対応している。意匠パネル12とパネル付き表示部とは、側面側からネジ留めされるため、
図10に示すように、意匠パネル12において、被締結座面部122’は、側面側の一面に設けられている。また、第1ホルダ部131のネジ締結部1311’は、被締結座面部122’と対向する位置に設けられている。なお、被締結座面部122’と、ネジ締結部1311’のそれぞれに設けられたネジ穴の軸線は、いずれも表示部11が有する背面側の面と平行な方向である。
【0037】
図10に示すように、ホルダ付き表示部と意匠パネル12とが接着された状態で、ネジ2が側面側から締結されると、ネジ2の締結による軸力は、側面方向に付与される。
この場合、ネジ2の締結時に、正面側方向に負荷がかかった状態で締結されると、意匠パネル12とパネル用接着部材12aによって接着されているホルダ付き表示部を、意匠パネル12から引き剥がす方向に、力が働くことになり得る。
なお、集積公差により、第1ホルダ部131のネジ締結部1311’側のネジ位置が、意匠パネル12の被締結座面部122’側のネジ穴よりも背面側方向にずれている場合、ネジ2が、当該被締結座面部122’側のネジ穴に対して、正面側に、ネジ締結時の推力によって変位させて締結された場合、意匠パネル12とパネル用接着部材12aによって接着されているホルダ付き表示部を意匠パネル12から引き剥がす方向に働く力は、最大となる。
特に、実施の形態1で想定している狭額縁のフラットディスプレイ仕様の表示装置の場合は、意匠パネル12の当接部121の幅を大きく取れない。したがって、パネル用接着部材12aによる、意匠パネル12とホルダ付き表示部との接着力には限界がある。このような場合に、側面側からネジ2を締結するのでは、ネジ2を締結した際の軸力が表示部11を意匠パネル12から剥がす方向に作用し、表示部11と意匠パネル12とが接着された状態を維持することができないおそれがある。
【0038】
これに対し、実施の形態1に係る表示装置1は、上述のとおり、ネジ締結部1311および被締結座面部122が接着された状態では、ネジ穴1312および貫通穴1221は、いずれも軸線の方向が第1面1111と直交する方向であり、また、ネジ締結部1311および被締結座面部122がネジ留めされる前の状態で、ネジ締結部1311と被締結座面部122との間にはクリアランス100が設けられている。そして、ホルダ付き表示部と意匠パネル12とを、背面側からネジ留めするようにし、ネジ2が締結されると、当該ネジ2が締結されることで生じた、被締結座面部122方向への軸力により、ネジ締結部1311と被締結座面部122との間には、互いに近づく方向の力が加わり、意匠パネル12とホルダ付き表示部とが引き剥がされる方向への力が生じないようにしている。
その結果、意匠パネル12とホルダ付き表示部とがネジ留めによって固定される際、ホルダ付き表示部が意匠パネル12から剥がれることを防ぎ、意匠パネル12とパネル付き表示部とが接着された状態を維持することができる。
【0039】
なお、以上の実施の形態1では、ホルダ部13を、別々の部品である第1ホルダ部131および第2ホルダ部132とを有するものとし、第1ホルダ部131および第2ホルダ部132がネジ留めされてホルダ部13が形成されることで、第1ホルダ部131と第2ホルダ部132との間の接続構造の剛性を、ホルダ部13における当該接続構造以外の部分の剛性より弱くするようにした。
しかし、これは一例に過ぎず、第1ホルダ部131と第2ホルダ部132との間の接続構造の剛性が、ホルダ部13における当該接続構造以外の部分の剛性より弱く、ホルダ部13における接続構造部分が撓むことができるようになっていればよい。例えば、ホルダ部13が1つの部品で構成され、第1ホルダ部131と第2ホルダ部132とが接する部分の剛性が、第1ホルダ部131と第2ホルダ部132とが接しない部分の剛性より弱くなるような、当該ホルダ部13における接続構造を有するようにしてもよい。当該接続構造によっても、ディスプレイ部111をカバー部112から引き剥がす方向への力を低減させる効果を得ることができる。
【0040】
また、以上の実施の形態1では、表示装置1において、ネジ締結部1311には、スリット1313が設けられるようにしたが、当該構成は必須ではない。ネジ締結部1311は、スリット1313が設けられていないものであってもよい。
また、以上の実施の形態1では、表示装置1において、第1ホルダ部131と第2ホルダ部132との間の接続構造の剛性を、ホルダ部13における当該接続構造以外の部分の剛性より弱いものとしたが、当該構成は必須ではない。例えば、ネジ締結部1311と被締結座面部122とをネジ留めした際に、ネジ締結部1311が被締結座面部122の方向へ引き込まれる力が、表示部11において表示部用接着部材11aがディスプレイ部111とカバー部112とを接着させている力より大きくならないような場合、
図7に示すように、ホルダ部13は当該ホルダ部13の全域にわたって均一の剛性を有するものであってもよい。
【0041】
また、以上の実施の形態1では、接着部材(表示部用接着部材11a、パネル用接着部材12a、および、ホルダ用接着部材13a)は、両面テープとしたが、これは一例に過ぎない。例えば、接着部材は、粘着材としてもよい。
また、表示部11とホルダ部13とは、ホルダ用接着部材13aで接着されることに限らず、ホルダ部13は、例えばネジ留め等、支持部1321において何らかの方法で表示部11に固定されるようになっていればよい。
【0042】
また、以上の実施の形態1では、カバー部112の長辺の長さ、および、短辺の長さは、いずれも、ディスプレイ部111の長辺の長さ、および、短辺の長さよりも長いものとしたが、これは一例に過ぎない。例えば、カバー部112の長辺の長さ、または、短辺の長さのいずれか一方が、ディスプレイ部111の長辺の長さ、または、短辺の長さよりも長いものであってもよい。
また、カバー部112およびディスプレイ部111は、長辺の長さ、および、短辺の長さが、それぞれ、等しいものとしてもよい。ここでいう「等しい」とは、略等しいことを含む。
【0043】
また、以上の実施の形態1では、表示装置1が有する表示部11は、一例として、狭額縁のフラットディスプレイを想定しているものとしたが、これは一例に過ぎない。ただし、上述した表示装置1における意匠パネル12とパネル付き表示部との固定構造は、意匠パネル12とパネル付き表示部とを接着するパネル用接着部材12aが設けられる範囲が、背面側からの、意匠パネル12とパネル付き表示部とのネジ留めによる軸力に対して接着を維持できるだけの十分な面積を有しない場合に、特に有効である。
【0044】
以上のように、実施の形態1に係る表示装置1は、第1面1111を有する表示部11と、第1面1111において表示部11に固定されて表示部11を支持する支持部1321、および、軸線の方向が第1面1111と直交するネジ穴1312を有し表示部11からみて第1面1111側に位置するネジ締結部1311、が設けられたホルダ部13と、第1面1111の縁部1111aにおいて表示部11とパネル用接着部材12aにより接着される当接部121、および、ネジ穴1312の軸線と軸線が共通する貫通穴1221を有しネジ締結部1311からみて第1面1111側とは反対側に位置する被締結座面部122、が設けられた意匠パネル12とを備え、ネジ穴1312と貫通穴1221とに1本のネジが締結されることでネジ締結部1311と被締結座面部122とがネジ留めされる前の状態において、ネジ締結部1311と被締結座面部122との間にはクリアランス100が設けられ、ネジ締結部1311と被締結座面部122とがネジ留めされた後の状態において、ネジ締結部1311と被締結座面部122とは、クリアランス100がより小さくなった状態でネジ留めされている、表示部11の固定構造を備えるようにした。そのため、意匠パネル12と表示部11とが接着部材によって接着される表示装置において、当該意匠パネル12と当該表示部11とをネジ留めした際に、当該意匠パネル12と当該表示部11とが接着された状態を維持することができる。
【0045】
また、実施の形態1に係る表示装置1において、ネジ締結部1311の剛性が被締結座面部122の剛性よりも弱い。具体的には、ネジ締結部1311にはスリット1313が設けられることで、ネジ締結部1311の剛性が被締結座面部122の剛性よりも弱くなるようにされている。これにより、意匠パネル12と表示部11との固定力をさらに向上することができる。
【0046】
また、実施の形態1に係る表示装置1において、表示部11は、第1面1111と対向する第2面1121を有するとともに、当該表示部11は、支持部1321が固定された第1面1111が設けられるディスプレイ部111と、当接部121が接着された第1面1111の縁部1111aおよび第2面1121が設けられるカバー部112とを含み、ディスプレイ部111とカバー部112とは、表示部用接着部材11aにより接着されており、ホルダ部13は、ネジ締結部1311が設けられる第1ホルダ部131と、支持部1321が設けられる第2ホルダ部132とを有し、第1ホルダ部131と第2ホルダ部132との間の接続構造の剛性は、ホルダ部13における当該接続構造以外の部分の剛性よりも弱い。具体的には、例えば、第1ホルダ部131と第2ホルダ部132とを別々の部品とし、第1ホルダ部131と第2ホルダ部132との間の接続構造をネジ留め構造とすることで、当該接続構造の剛性が、ホルダ部13における当該接続構造以外の部分の剛性よりも弱くなるようにした。これにより、ディスプレイ部111がカバー部112から引き剥がされる方向への力を低減させ、ディスプレイ部111とカバー部112とが接着された状態を維持することができる。
【0047】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。