(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サブICは、前記メイン一次コイルモードが前記通電モードから前記遮断モードに切り替えられた場合に前記二次コイルに二次電流が流れること伴って前記サブICに侵入するサージ電圧を抑制するコンデンサを含んで構成される
請求項1から5のいずれか1項に記載の点火装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による点火装置を、好適な実施の形態にしたがって図面を用いて説明する。なお、図面の説明においては、同一部分または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
実施の形態1.
はじめに、本発明の実施の形態1における点火装置との比較例として、比較例における点火装置について説明する。
図11は、比較例における点火装置を示す構成図である。
図11に示す点火装置は、点火コイル装置1A、電源2、ECU(Engine Control Unit)3および点火プラグ4を備える。
【0012】
点火コイル装置1Aは、内燃機関に取り付けられており、点火プラグ4にエネルギを供給することで点火プラグ4のギャップ間で火花放電を発生させる。点火コイル装置1Aは、メイン一次コイル11、サブ一次コイル12、二次コイル13、メインIC(Integrated Circuit)14およびサブIC(Integrated Circuit)15を備える。
【0013】
メイン一次コイル11およびサブ一次コイル12のそれぞれは、同一の電源2と接続されている。電源2は、例えばバッテリなどの直流電源である。
【0014】
メイン一次コイル11およびサブ一次コイル12のそれぞれは、電源2から通電された場合に発生させる磁束の向きが互いに逆方向になるように巻かれている。すなわち、電源2から見ると、メイン一次コイル11およびサブ一次コイル12のそれぞれの極性は、互いに逆極性となる。
【0015】
メイン一次コイル11は、電源2から通電された場合、その極性が二次コイル13の極性と逆極性となる。サブ一次コイル12は、電源2から通電された場合、その極性が二次コイル13の極性と同極性となる。
【0016】
メイン一次コイル11およびサブ一次コイル12は、二次コイル13と磁気的に結合している。これにより、メイン一次コイル11およびサブ一次コイル12と、二次コイル13との間で相互誘導が起こる。
【0017】
メイン一次コイル11は、電源2からの通電によって磁束を発生させる。以下、電源2からの通電によってメイン一次コイル11が発生させる磁束を通電磁束と称す。また、メイン一次コイル11は、電源2からの通電が遮断されることによって通電磁束の向きと逆方向の磁束を発生させる。以下、電源2からの通電が遮断されることによってメイン一次コイル11が発生させる磁束を遮断磁束と称す。
【0018】
サブ一次コイル12は、電源2からの通電によって通電磁束の向きと同方向の磁束を発生させる。以下、電源2からの通電によってサブ一次コイル12が発生させる磁束を追加磁束と称す。
【0019】
二次コイル13は、一端が点火プラグ4と接続されており、他端がグランドと接続されている。二次コイル13は、メイン一次コイル11およびサブ一次コイル12と磁気的に結合することでエネルギを発生させる。二次コイル13によって発生したエネルギは、点火プラグ4に供給される。
【0020】
点火プラグ4にエネルギが供給されると、点火プラグ4のギャップ間で火花放電が発生する。これにより、点火プラグ4は、内燃機関の燃焼室内の可燃混合気に点火し、その可燃混合気を燃焼させる。
【0021】
メインIC14は、電源2からメイン一次コイル11に通電する通電モードと、電源2からメイン一次コイル11への通電を遮断する遮断モードとの間で、メイン一次コイル11のモードを切り替える。以下、メイン一次コイル11のモードを、メイン一次コイルモードと称す。
【0022】
具体的には、メインIC14は、オンとオフとの間で切り替え可能なトランジスタ141を含んで構成されている。トランジスタ141のコレクタは、メイン一次コイル11と接続されている。トランジスタ141のエミッタは、グランドと接続されている。
【0023】
トランジスタ141は、オンである場合、電源2とメイン一次コイル11との間を導通させる。これにより、電源2からメイン一次コイル11に通電することが可能となる。一方、トランジスタ141は、オフである場合、電源2とメイン一次コイル11との間を遮断する。これにより、電源2からメイン一次コイル11への通電を遮断することが可能となる。
【0024】
サブIC15は、電源2からサブ一次コイル12に通電する通電モードと、電源2からサブ一次コイル12への通電を遮断する遮断モードとの間で、サブ一次コイル12のモードを切り替える。以下、サブ一次コイル12のモードを、サブ一次コイルモードと称す。
【0025】
具体的には、サブIC15は、オンとオフとの間で切り替え可能なトランジスタ151を含んで構成されている。トランジスタ151のコレクタは、サブ一次コイル12と接続されている。トランジスタ151のエミッタは、グランドと接続されている。
【0026】
トランジスタ151は、オンである場合、電源2とサブ一次コイル12との間を導通させる。これにより、電源2からサブ一次コイル12に通電することが可能となる。一方、トランジスタ151は、オフである場合、電源2とサブ一次コイル12との間を遮断する。これにより、電源2からサブ一次コイル12への通電を遮断することが可能となる。
【0027】
ECU3は、点火コイル装置1Aを制御する制御部の一例である。ECU3は、内燃機関の運転状態に関する情報を検出する各種センサの検出結果を取得し、取得した各種センサの検出結果に基づいて内燃機関の運転状態を判断し、点火コイル装置1Aを制御する。具体的には、ECU3は、点火コイル装置1AのメインIC14およびサブIC15のそれぞれの駆動を制御する。
【0028】
以下、説明の便宜上、メイン一次コイル11からメインIC14に向かって電流が流れる方向、すなわち、
図11に図示する矢印方向を正方向とし、メインIC14からメイン一次コイル11に向かって電流が流れる方向を負方向と定義する。また、サブ一次コイル12からサブIC15に向かって電流が流れる方向、すなわち、
図11に図示する矢印方向を正方向とし、サブIC15からサブ一次コイル12に向かって電流が流れる方向を負方向と定義する。
【0029】
さらに、二次コイル13から点火プラグ4に向かって電流が流れる方向、すなわち、
図11に図示する矢印方向を正方向とし、点火プラグ4から二次コイル13に向かって電流が流れる方向を負方向と定義する。なお、これらの定義は、後述する
図1、
図3、
図5、
図6および
図7についても同様である。
【0030】
次に、比較例における点火装置の動作例について、
図12を参照しながら説明する。
図12は、比較例における点火装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図12では、メインIC駆動信号、メイン一次電流、サブIC駆動信号、サブ一次電流および二次電流のそれぞれの時間変化が図示されている。
【0031】
ここで、メインIC駆動信号とは、メインIC14を駆動するための信号である。ECU3からメインIC14にメインIC駆動信号が入力されると、メインIC14が駆動することによってメイン一次コイルモードが遮断モードから通電モードに切り替えられる。メイン一次電流とは、メイン一次コイル11に流れる電流である。
【0032】
サブIC駆動信号とは、サブIC15を駆動するための信号である。ECU3からサブIC15にサブIC駆動信号が入力されると、サブIC15が駆動することによってサブ一次コイルモードが遮断モードから通電モードに切り替えられる。サブ一次電流とは、サブ一次コイル12に流れる電流である。二次電流とは、二次コイル13に流れる電流である。
【0033】
図12に示すように、時刻t1において、ECU3からメインIC14へのメインIC駆動信号の入力が開始されると、メインIC14が駆動を開始する。この場合、メイン一次コイルモードが通電モードに切り替えられ、メイン一次コイル11に正方向のメイン一次電流が流れる。
【0034】
時刻t2において、ECU3からメインIC14へのメインIC駆動信号の入力が停止すると、メインIC14の駆動が停止する。この場合、メイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられ、メイン一次電流が0となる。
【0035】
メイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられると、相互誘導作用によって、二次コイル13に電圧が発生する。この電圧によって、点火プラグ4のギャップ間で絶縁破壊が起こって放電が発生し、二次コイル13に負方向の二次電流が流れる。
【0036】
時刻t3において、ECU3からサブIC15へのサブIC駆動信号の入力が開始されると、サブIC15が駆動を開始する。この場合、サブ一次コイルモードが通電モードに切り替えられ、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れる。サブ一次電流は、
図12に示すように、立ち上がりが速く、その立ち上がりの後、緩やかに増加する。
【0037】
サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れることに伴って二次コイル13に重畳電流が発生する。この重畳電流は、サブ一次コイル12と二次コイル13との巻数比に応じて二次コイル13に発生する。
図12に示すように、サブ一次コイル12による重畳電流は、メイン一次コイル11による二次電流に重畳する。
【0038】
時刻t4において、サブIC15の駆動が継続しており、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れているものの、二次コイル13に流れる二次電流が0となる。つまり、二次コイル13に流れる二次電流が消失する。
【0039】
時刻t5において、ECU3からサブIC15へのサブIC駆動信号の入力が停止すると、サブIC15の駆動が停止する。つまり、ECU3は、サブIC15の駆動を停止させることでサブ一次コイルモードを通電モードから遮断モードに切り替える。この場合、サブ一次コイルモードが遮断モードに切り替えられ、サブ一次電流が0となる。
【0040】
ここで、時刻t4と時刻t5との間の期間、すなわち、サブIC過剰駆動期間に着目する。この場合、この期間では、二次電流が消失しているにも関わらず、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れ続けている。この場合、上述したように、サブ一次コイル12間の電位差が大きくなり、過大な電流が発生する。
【0041】
このような電流によって、サブ一次コイル12およびサブIC15の発熱が増加し、その結果、点火コイル装置1が破損してしまう可能性がある。また、二次コイル13に流れる二次電流が消失した後、サブIC15の駆動を停止させるためにトランジスタ151をオンからオフに切り替えると、二次コイル13に逆極性の電圧が発生する。その結果、点火コイル装置1に内蔵している各種素子にダメージを与える可能性がある。
【0042】
以上から分かるように、比較例における点火装置の構成は、二次電流が消失しているにも関わらず、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れ続けてしまう構成となっているので、上述のような問題が発生する可能性がある。これに対して、実施の形態1における点火装置は、二次電流が消失している場合には、サブIC駆動信号によらず、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れることを遮断する構成となっている。
【0043】
次に、本発明の実施の形態1における点火装置について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における点火装置を示す構成図である。なお、実施の形態1における点火装置を説明するにあたって、上述した比較例における点火装置と同様である点の説明を省略し、比較例における点火装置と異なる点を中心に説明する。
【0044】
図1に示す点火装置は、点火コイル装置1、電源2、ECU3および点火プラグ4を備える。点火コイル装置1は、内燃機関に取り付けられており、点火プラグ4にエネルギを供給することで、点火プラグ4のギャップ間で火花放電を発生させる。点火コイル装置1は、メイン一次コイル11、サブ一次コイル12、二次コイル13、メインIC14、サブIC15、検出回路16およびサブIC駆動判定回路17を備える。
【0045】
検出回路16は、二次コイル13に接続されており、二次コイル13の状態を検出する。具体的には、検出回路16は、二次コイル13の状態として、二次コイル13に流れる二次電流を検出し、その検出結果をサブIC駆動判定回路17に出力する。
【0046】
サブIC駆動判定回路17は、検出回路16によって検出された二次コイル13の状態が、二次コイル13に二次電流が流れていない状態、すなわち非通電状態である場合、サブIC15の駆動を停止させる制御を行う。
【0047】
具体的には、サブIC駆動判定回路17は、検出回路16によって二次コイル13の状態として検出された二次電流に基づいて、サブIC15の駆動を停止させる制御を行う。
【0048】
より具体的には、サブIC駆動判定回路17は、検出回路16によって検出された二次電流の大きさが予め設定される電流閾値以下である場合、サブIC15の駆動を停止させる制御を行う。ここで、この電流閾値は、例えば0である。また、電流閾値は、0を基準に適宜マージンを付加した値としてもよい。このように、サブIC駆動判定回路17は、検出回路16によって検出された二次電流の大きさが電流閾値以下となった場合、サブIC15の駆動を停止させる。したがって、二次コイル13に二次電流が通電している期間のみ、ECU3側からの制御によらず、サブIC駆動判定回路17側からサブIC15を制御することが可能となる。
【0049】
次に、実施の形態1における点火装置の動作例について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における点火装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図2では、メインIC駆動信号、メイン一次電流、サブIC駆動信号、サブ一次電流および二次電流のそれぞれの時間変化が図示されている。
【0050】
図2に示すように、時刻t1において、ECU3からメインIC14へのメインIC駆動信号の入力が開始されると、メインIC14が駆動を開始する。この場合、メイン一次コイルモードが通電モードに切り替えられ、メイン一次コイル11に正方向のメイン一次電流が流れる。
【0051】
このように、時刻t1では、ECU3は、メインIC14を駆動させることでメイン一次コイルモードを遮断モードから通電モードに切り替える。
【0052】
時刻t2において、ECU3からメインIC14へのメインIC駆動信号の入力が停止すると、メインIC14の駆動が停止する。この場合、メイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられ、メイン一次電流が0となる。
【0053】
メイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられると、相互誘導作用によって、二次コイル13に電圧が発生する。この電圧によって、点火プラグ4のギャップ間で絶縁破壊が起こって放電が発生し、二次コイル13に負方向の二次電流が流れる。
【0054】
このように、時刻t2では、ECU3は、メインIC14の駆動を停止させることでメイン一次コイルモードを通電モードから遮断モードに切り替える。
【0055】
時刻t3において、ECU3からサブIC15へのサブIC駆動信号の入力が開始されると、サブIC15が駆動を開始する。この場合、サブ一次コイルモードが通電モードに切り替えられ、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れる。サブ一次電流は、
図2に示すように、立ち上がりが速く、その立ち上がりの後、緩やかに増加する。
【0056】
サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れることに伴って二次コイル13に重畳電流が発生する。この重畳電流は、サブ一次コイル12と二次コイル13との巻数比に応じて二次コイル13に発生する。
図2に示すように、サブ一次コイル12による重畳電流は、メイン一次コイル11による二次電流に重畳する。
【0057】
このように、時刻t3では、ECU3は、サブIC15を駆動させることでサブ一次コイルモードを遮断モードから通電モードに切り替える。
【0058】
時刻t4において、ECU3からサブIC15へのサブIC駆動信号の入力が継続している。しかしながら、検出回路16によって検出された二次電流が0であるので、サブIC駆動判定回路17は、サブIC15の駆動を停止させる。つまり、二次コイル13に流れる二次電流が消失すれば、サブIC駆動信号によらず、サブIC駆動判定回路17は、サブIC15の駆動を停止させる。
【0059】
これにより、二次コイル13に流れる二次電流が消失している場合において、ECU3側からのサブIC15の制御によらず、サブIC駆動判定回路17側からサブIC15の駆動を停止させることが可能となる。
【0060】
時刻t5において、ECU3からサブIC15へのサブIC駆動信号の入力が停止する。ここで、時刻t4と時刻t5との間の期間、すなわち、サブIC駆動停止期間に着目する。この期間では、先の
図12に示すサブIC過剰駆動期間とは異なり、二次コイル13に流れる二次電流が消失したことに応じて、サブIC駆動信号によらず、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れることが遮断される。
【0061】
したがって、比較例における点火装置とは異なり、実施の形態1における点火装置では、二次電流が消失しているにも関わらず、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れ続けてしまうことを抑制することができる。
【0062】
以上、本実施の形態1によれば、点火装置において、検出回路16によって検出された二次コイル13の状態が非通電状態である場合、サブIC15の駆動が停止するように構成されている。なお、実施の形態1では、サブIC駆動判定回路17が、検出回路16によって二次コイル13の状態として検出された二次電流に基づいて、サブIC15の駆動を停止させるように構成される場合を例示している。
【0063】
これにより、ECU3側からの制御によらず、サブIC15の制御を行うことが可能となり、二次コイル13に流れる二次電流が消失しているにも関わらず、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れ続けるケースが発生することを抑制することができる。
【0064】
したがって、サブ一次コイル12間の電位差が大きくなることで過大な電流が発生することによって、サブ一次コイル12およびサブIC15の発熱が増加することを抑制し、結果として、点火コイル装置1が破損してしまうことを抑制することができる。また、二次コイル13に逆極性の電圧が発生することを抑制し、結果として、点火コイル装置1に内蔵している各種素子にダメージを与えることを抑制することができる。
【0065】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2では、先の実施の形態1と構成が異なっている点火コイル装置1を備えた点火装置について説明する。なお、実施の形態2では、先の実施の形態1と同様である点の説明を省略し、先の実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0066】
図3は、本発明の実施の形態2における点火装置を示す構成図である。
図3に示す点火装置は、点火コイル装置1、電源2、ECU3および点火プラグ4を備える。点火コイル装置1は、メイン一次コイル11、サブ一次コイル12、二次コイル13、メインIC14、サブIC15および検出回路16を備える。
【0067】
検出回路16は、二次コイル13に接続されており、メイン一次コイルモードが通電モードから遮断モードに切り替えられた場合に二次コイル13に二次電流が流れることに伴って電圧を発生させる。
【0068】
検出回路16は、その発生させた電圧を、サブIC15を駆動させるための電圧であるサブIC電源電圧として、サブIC15に供給するように構成されている。つまり、二次コイル13に二次電流が流れている間、その二次電流に従って検出回路16が発生させる電圧は、サブIC電源電圧として使用される。これにより、二次コイル13に二次電流が流れていれば、サブIC15が駆動可能な状態となり、その二次電流が消失すれば、サブIC15が駆動不可な状態となる。
【0069】
このように、検出回路16は、二次コイル13の状態として、二次コイル13に二次電流が流れたことに応じて電圧を発生させ、発生させた電圧を、サブIC15を駆動するためのサブIC電源電圧として、サブIC15に供給するように構成される。
【0070】
サブIC15は、トランジスタ151およびコンデンサ152を含んで構成されている。コンデンサ152は、メイン一次コイルモードが通電モードから遮断モードに切り替えられた場合に二次コイル13に二次電流が流れること伴ってサブIC15に侵入するサージ電圧を抑制する役割を果たす。これにより、サブIC15の破壊を抑制することができる。なお、コンデンサ152の容量は、例えば0.72μF以下である。
【0071】
このように、サブIC15にコンデンサ152を設けることによって、電源2からメイン一次コイル11への通電が遮断されたタイミングで発生するサージ電圧を抑制することができ、その結果、サブIC15の破壊を抑制することができる。また、コンデンサ152の容量を0.72μF以下にすることによって、点火コイル装置1に通常設けられるコンデンサと共用してコンデンサ152を使用することができる。
【0072】
次に、実施の形態2における点火装置の動作例について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本発明の実施の形態2における点火装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図4では、メインIC駆動信号、メイン一次電流、サブIC駆動信号、サブ一次電流、二次電流およびサブIC電源電圧のそれぞれの時間変化が図示されている。
【0073】
ここで、サブIC電源電圧とは、サブIC15を駆動させるための電源電圧である。検出回路16は、上述したように、二次コイル13に二次電流が流れることに伴って電圧を発生させ、その発生させた電圧を、サブIC電源電圧としてサブIC15に供給する。
【0074】
図4に示すように、時刻t1において、ECU3からメインIC14へのメインIC駆動信号の入力が開始されると、メインIC14が駆動を開始する。この場合、メイン一次コイルモードが通電モードに切り替えられ、メイン一次コイル11に正方向のメイン一次電流が流れる。
【0075】
時刻t2において、ECU3からメインIC14へのメインIC駆動信号の入力が停止すると、メインIC14の駆動が停止する。この場合、メイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられ、メイン一次電流が0となる。
【0076】
メイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられると、相互誘導作用によって、二次コイル13に電圧が発生する。この電圧によって、点火プラグ4のギャップ間で絶縁破壊が起こって放電が発生し、二次コイル13に負方向の二次電流が流れる。
【0077】
時刻t2において、検出回路16は、二次コイル13に二次電流が流れることに伴って電圧を発生させ、その発生させた電圧を、サブIC電源電圧としてサブIC15に供給する。したがって、
図4に示すように、時刻t2において、サブIC15へのサブIC電源電圧の供給が開始されるので、サブIC15が駆動可能な状態となる。
【0078】
時刻t3において、ECU3からサブIC15へのサブIC駆動信号の入力が開始されると、駆動可能な状態となっているサブIC15が駆動を開始する。この場合、先の
図2と同様に、サブ一次コイルモードが通電モードに切り替えられ、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れる。
【0079】
サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れることに伴って二次コイル13に重畳電流が発生する。この重畳電流は、サブ一次コイル12と二次コイル13との巻数比に応じて二次コイル13に発生する。
図4に示すように、サブ一次コイル12による重畳電流は、メイン一次コイル11による二次電流に重畳する。
【0080】
時刻t4において、ECU3からサブIC15へのサブIC駆動信号の入力が継続している。しかしながら、時刻t4では、二次コイル13に流れる二次電流が0となるので、検出回路16が発生させる電圧が0となる。したがって、
図4に示すように、サブIC電源電圧が0となり、検出回路16からサブIC15へのサブIC電源電圧の供給が停止する。そのため、ECU3から入力されるサブIC駆動信号によらず、サブIC15の駆動が停止する。つまり、二次コイル13に流れる二次電流が消失すれば、検出回路16からサブIC15へのサブIC電源電圧の供給が停止するので、サブIC駆動信号によらず、サブIC15の駆動が停止する。
【0081】
これにより、ECU3からサブIC15へのサブIC駆動信号の入力が継続している場合であっても、二次電流が消失すれば、サブIC15の駆動を停止させることが可能となる。
【0082】
時刻t5において、ECU3からサブIC15へのサブIC駆動信号の入力が停止する。ここで、時刻t4と時刻t5との間の期間、すなわち、サブIC駆動停止期間に着目する。この期間では、先の
図12に示すサブIC過剰駆動期間とは異なり、二次コイル13に流れる二次電流が消失したことに応じて、サブIC駆動信号によらず、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れることが遮断される。
【0083】
したがって、比較例における点火装置とは異なり、実施の形態2における点火装置では、二次電流が消失しているにも関わらず、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れ続けてしまうことを抑制することができる。
【0084】
以上、本実施の形態2によれば、点火装置において、検出回路16は、先の実施の形態1と異なり、二次コイル13の状態として、二次コイル13に二次電流が流れたことに応じて電圧を発生させ、発生させた電圧を、サブIC15を駆動するためのサブIC電源電圧として、サブIC15に供給するように構成される。
【0085】
これにより、二次コイル13に二次電流が通電している期間では、ECU3側からの制御によらず、サブIC電源電圧によってサブIC15の制御を行うことが可能となり、二次コイル13に流れる二次電流が消失しているにも関わらず、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れ続けるケースが発生することを抑制することができる。
【0086】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3では、先の実施の形態2における検出回路16の具体的な構成例について説明する。なお、実施の形態3では、先の実施の形態2と同様である点の説明を省略し、先の実施の形態2と異なる点を中心に説明する。
【0087】
図5は、本発明の実施の形態3における点火装置を示す構成図である。
図5に示す点火装置は、点火コイル装置1、電源2、ECU3および点火プラグ4を備える。点火コイル装置1は、メイン一次コイル11、サブ一次コイル12、二次コイル13、メインIC14、サブIC15および検出回路16を備える。
【0088】
検出回路16は、二次コイル13に接続された抵抗161を含んで構成されている。抵抗161は、メイン一次コイルモードが通電モードから遮断モードに切り替えられた場合に二次コイル13に二次電流が流れることに伴って電圧を発生させる。つまり、その二次電流が抵抗161に流れることによって、抵抗161に電圧が発生する。なお、抵抗161の抵抗値は、固定値であってもよいし、二次電流の値に応じて変化する可変値であってもよい。
【0089】
次に、二次コイル13に二次電流が流れることに伴って抵抗161が発生させる電圧、すなわち、サブIC15に供給されるサブIC電源電圧について、具体的な数値例を示しながらさらに説明する。
【0090】
先の
図4に示すように、時刻t2においてメイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられた場合、二次コイル13に流れる二次電流の大きさは、例えば、100mAである。二次電流の大きさは、時刻t2以降、100mAから緩やかに減少していき、時刻t2から約2ms経過後に0mAに達する。
【0091】
ここで、抵抗161の抵抗値が100Ω以上400Ω以下であるものとする。抵抗161の抵抗値を100Ω以上400Ω以下にすることによって、サブIC電源電圧として使用可能な十分な電圧を確保することができる。
【0092】
上述の場合、時刻t2に上述の二次電流が抵抗161に流れることによって抵抗161に発生する電圧は、10V以上40V以下である。この電圧は、先の実施の形態2で説明したように、サブIC電源電圧として使用される。したがって、二次コイル13に二次電流が流れている期間のみ、サブIC15を駆動可能な状態にすることができる。二次コイル13に流れる二次電流が0になれば、サブIC15へのサブIC電源電圧の供給が停止し、サブIC15の駆動を停止させることができる。
【0093】
以上、本実施の形態3によれば、先の実施の形態2における検出回路16の具体的な構成例として、検出回路16は、抵抗161によって構成される。これにより、先の実施の形態2と同様の効果が得られる。また、検出回路16が電圧を発生させるための構成として、抵抗161が用いられているので、サブIC電源電圧として使用される電圧を容易に発生させることができる。
【0094】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4では、先の実施の形態2における検出回路16の具体的な構成例について説明する。なお、実施の形態4では、先の実施の形態2と同様である点の説明を省略し、先の実施の形態2と異なる点を中心に説明する。
【0095】
図6は、本発明の実施の形態4における点火装置を示す構成図である。
図6に示す点火装置は、点火コイル装置1、電源2、ECU3および点火プラグ4を備える。点火コイル装置1は、メイン一次コイル11、サブ一次コイル12、二次コイル13、メインIC14、サブIC15および検出回路16を備える。
【0096】
検出回路16は、二次コイル13に接続されたツェナーダイオード162を含んで構成されている。ツェナーダイオード162は、メイン一次コイルモードが通電モードから遮断モードに切り替えられた場合に二次コイル13に二次電流が流れることに伴って電圧を発生させる。つまり、その二次電流がツェナーダイオード162に流れることによって、ツェナーダイオード162に電圧が発生する。ツェナーダイオード162は、先の実施の形態3における抵抗161と比べて、安定した電圧を発生させる。
【0097】
次に、二次コイル13に二次電流が流れることに伴ってツェナーダイオード162が発生させる電圧、すなわち、サブIC15に供給されるサブIC電源電圧について、具体的な数値例を示しながらさらに説明する。
【0098】
先の
図4に示すように、時刻t2においてメイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられた場合、二次コイル13に流れる二次電流の大きさは、例えば、100mAである。二次電流の大きさは、時刻t2以降、100mAから緩やかに減少していき、時刻t2から約2ms経過後に0mAに達する。
【0099】
ここで、ツェナーダイオード162のツェナー電圧は、5V以上20V以下であるものとする。ツェナーダイオード162のツェナー電圧を5V以上20V以下にすることによって、サブIC電源電圧として使用可能な十分な電圧を確保することができる。以下、ツェナーダイオード162のツェナー電圧は、具体的には14Vであるものとする。
【0100】
上述の場合、時刻t2に上述の二次電流がツェナーダイオード162に流れることでツェナーダイオード162が発生させる電圧は、14Vである。この電圧は、先の実施の形態2で説明したように、サブIC電源電圧として使用される。したがって、二次コイル13に二次電流が流れている期間のみ、サブIC15を駆動可能な状態にすることができる。二次コイル13に流れる二次電流が0になれば、サブIC15へのサブIC電源電圧の供給が停止し、サブIC15の駆動を停止させることができる。
【0101】
以上、本実施の形態4によれば、先の実施の形態2における検出回路16の具体的な構成例として、検出回路16は、ツェナーダイオード162によって構成される。これにより、先の実施の形態2と同様の効果が得られる。また、検出回路16が電圧を発生させるための構成として、ツェナーダイオード162が用いられているので、サブIC電源電圧として使用される安定した定電圧を容易に発生させることができる。
【0102】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5では、先の実施の形態1と構成が異なっている点火コイル装置1を備えた点火装置について説明する。なお、実施の形態5では、先の実施の形態1と同様である点の説明を省略し、先の実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0103】
図7は、本発明の実施の形態5における点火装置を示す構成図である。
図7に示す点火装置は、点火コイル装置1、電源2、ECU3および点火プラグ4を備える。点火コイル装置1は、メイン一次コイル11、サブ一次コイル12、二次コイル13、メインIC14、サブIC15、検出回路16およびサブIC駆動判定回路17を備える。
【0104】
検出回路16は、メインIC14のトランジスタ141と並列に接続されており、二次コイル13の状態を検出する。具体的には、検出回路16は、二次コイル13の状態として、二次コイル13に流れる二次電流によって変化するメインICコレクタ電圧を検出するように構成されている。メインICコレクタ電圧は、メインIC14のトランジスタ141のコレクタ・エミッタ間に発生する電圧である。
【0105】
サブIC駆動判定回路17は、検出回路16によって二次コイル13の状態として検出されたメインICコレクタ電圧に基づいて、サブIC15の駆動を停止させる制御を行う。つまり、二次コイル13に流れる二次電流に応じた電圧がトランジスタ141のコレクタ・エミッタ間に発生するので、サブIC駆動判定回路17は、この電圧を検知することで、二次コイル13に二次電流が流れていないことを検知してサブIC15の駆動を停止させる制御を行う。
【0106】
次に、実施の形態5における点火装置の動作例について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、本発明の実施の形態5における点火装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図8では、メインIC駆動信号、メイン一次電流、サブIC駆動信号、サブ一次電流、二次電流およびメインICコレクタ電圧のそれぞれの時間変化が図示されている。
【0107】
ここで、メインICコレクタ電圧とは、メインIC14のトランジスタ141のコレクタ・エミッタ間に発生する電圧である。
【0108】
図8に示すように、時刻t1において、ECU3からメインIC14へのメインIC駆動信号の入力が開始されると、メインIC14が駆動を開始する。この場合、メイン一次コイルモードが通電モードに切り替えられ、メイン一次コイル11に正方向のメイン一次電流が流れる。
【0109】
時刻t2において、ECU3からメインIC14へのメインIC駆動信号の入力が停止すると、メインIC14の駆動が停止する。この場合、メイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられ、メイン一次電流が0となる。
【0110】
メイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられると、相互誘導作用によって、二次コイル13に電圧が発生する。この電圧によって、点火プラグ4のギャップ間で絶縁破壊が起こって放電が発生し、二次コイル13に負方向の二次電流が流れる。
【0111】
時刻t3において、ECU3からサブIC15へのサブIC駆動信号の入力が開始されると、サブIC15が駆動を開始する。この場合、先の
図2と同様に、サブ一次コイルモードが通電モードに切り替えられ、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れる。
【0112】
時刻t4において、ECU3からサブIC15へのサブIC駆動信号の入力が継続している。しかしながら、サブIC駆動判定回路17は、検出回路16によって検出されたメインICコレクタ電圧から、二次コイル13に二次電流が流れていないことを検知したので、サブIC15の駆動を停止させる。つまり、二次コイル13に流れる二次電流が消失すれば、ECU3から入力されるサブIC駆動信号によらず、サブIC駆動判定回路17は、サブIC15の駆動を停止させる。
【0113】
これにより、二次コイル13に流れる二次電流が消失している場合において、ECU3側からのサブIC15の制御によらず、サブIC駆動判定回路17側からサブIC15の駆動を停止させることが可能となる。
【0114】
時刻t5において、ECU3からサブIC15へのサブIC駆動信号の入力が停止する。ここで、時刻t4と時刻t5との間の期間、すなわち、サブIC駆動停止期間に着目する。この期間では、先の
図12に示すサブIC過剰駆動期間とは異なり、二次コイル13に流れる二次電流が消失したことに応じて、サブIC駆動信号によらず、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れることが遮断される。
【0115】
したがって、比較例における点火装置とは異なり、実施の形態5における点火装置では、二次電流が消失しているにも関わらず、サブ一次コイル12にサブ一次電流が流れ続けてしまうことを抑制することができる。
【0116】
次に、二次コイル13に二次電流が流れることに伴ってメインIC14のトランジスタ141のコレクタ・エミッタ間に発生する電圧について、具体的な数値例を示しながらさらに説明する。
【0117】
先の
図8に示すように、時刻t2においてメイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられた場合、二次コイル13に流れる二次電流の大きさは、例えば、100mAである。二次電流の大きさは、時刻t2以降、100mAから緩やかに減少していき、時刻t2から約2ms経過後に0mAに達する。また、時刻t2においてメイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられた場合、二次コイル13に発生する電圧は、例えば、100Vである。
【0118】
ここで、二次コイル13の巻線抵抗が5kΩであり、二次コイル13とメイン一次コイル11との巻数比が100:1であるものとする。
【0119】
上述の場合、二次コイル13の巻線抵抗に上述の二次電流が流れることでその巻線抵抗に発生する電圧は、500Vである。したがって、メイン一次コイルモードが通電モードから遮断モードに切り替えられた場合に二次コイル13に発生するトータルの電圧は、1500Vである。
【0120】
上述の場合、メイン一次コイル11に15Vの電圧が発生し、この電圧がメインIC14のトランジスタ141のコレクタ・エミッタ間にも発生する。サブIC駆動判定回路17は、メインIC14のトランジスタ141のコレクタ・エミッタ間に発生するこの電圧、すなわち、15Vの電圧を検出回路16が検出することで、二次コイル13に二次電流が通電開始となったことを検知する。また、サブIC駆動判定回路17は、メインIC14のトランジスタ141のコレクタ・エミッタ間に発生するこの電圧、すなわち、15Vの電圧を検出回路16が検出しなくなることで、二次コイル13に二次電流が通電終了となったことを検知する。
【0121】
サブIC駆動判定回路17は、検出回路16の検出結果から、二次コイル13に二次電流が流れなくなったことを検知すれば、サブIC15の駆動を停止させる。つまり、二次コイル13に流れる二次電流が消失すれば、ECU3から入力されるサブIC駆動信号によらず、サブIC駆動判定回路17は、サブIC15の駆動を停止させる。
【0122】
以上、本実施の形態5によれば、点火装置において、検出回路16は、二次コイル13の状態として、メインIC14のトランジスタ141のコレクタ電圧、すなわちメインICコレクタ電圧を検出するように構成されている。また、サブIC駆動判定回路17は、検出回路16によって二次コイル13の状態として検出されたメインICコレクタ電圧に基づいて、サブIC15の駆動を停止させる。
【0123】
これにより、メインICコレクタ電圧から二次コイル13に二次電流が流れていることを検知することができ、二次コイル13に流れる二次電流が0になれば、ECU3側からの制御によらず、サブIC15の制御を行うことが可能となる。したがって、先の実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0124】
実施の形態6.
本発明の実施の形態6では、先の実施の形態1〜5のいずれかにおける点火コイル装置1を複数備えて構成される点火装置について説明する。なお、実施の形態6では、先の実施の形態1〜5と同様である点の説明を省略し、先の実施の形態1〜5と異なる点を中心に説明する。
【0125】
図9は、本発明の実施の形態6における点火装置を示す構成図である。
図9に示す点火装置は、複数の点火コイル装置1と、電源2と、ECU3と、複数の点火プラグ4とを備える。複数の点火コイル装置1のそれぞれは、メイン一次コイル11、サブ一次コイル12、二次コイル13、メインIC14、サブIC15、検出回路16およびサブIC駆動判定回路17を備える。
【0126】
なお、
図9では、便宜上、複数の点火コイル装置1のそれぞれを区別するために、複数の点火コイル装置のそれぞれの符号1の末尾にそれぞれ、(n)、(n+1)、(n+2)、(n+3)を付している。また、各点火コイル装置1の構成要素のそれぞれの符号の末尾に(n)、(n+1)、(n+2)、(n+3)を付している。
【0127】
なお、
図9では、点火装置は、先の実施の形態1における点火コイル装置1を複数備えて構成される場合を例示している。
【0128】
このように、メイン一次コイル11、サブ一次コイル12、二次コイル13、メインIC14およびサブIC15によって構成される点火コイル装置1の数が複数である。
【0129】
次に、実施の形態6における点火装置の動作例について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、本発明の実施の形態6における点火装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図10では、点火コイル装置1(n)に対応する各種パラメータとして、サブIC駆動信号、メインIC駆動信号(n)、メイン一次電流(n)、サブ一次電流(n)および二次電流(n)のそれぞれの時間変化が図示されている。
【0130】
なお、点火コイル装置1(n)〜1(n+3)のそれぞれの動作は同様であるので、ここでは、点火コイル装置1(n)の動作を代表して説明する。
【0131】
ここで、サブIC駆動信号は、サブIC駆動信号(n)と、サブIC駆動信号(n+1)と、サブIC駆動信号(n+2)と、サブIC駆動信号(n+3)とが重畳した信号である。以下、このような信号を重畳サブIC駆動信号と称す。重畳サブIC駆動信号に含まれているサブIC駆動信号(n)〜(n+3)は、それぞれ、サブIC15(n)〜15(n+3)を駆動するための信号である。
【0132】
メインIC駆動信号(n)は、メインIC14(n)を駆動するための信号である。ECU3からメインIC14(n)にメインIC駆動信号(n)が入力されると、メインIC14(n)が駆動することによってメイン一次コイルモードが遮断モードから通電モードに切り替えられる。
【0133】
メイン一次電流(n)は、メイン一次コイル11(n)に流れる電流である。サブ一次電流(n)は、サブ一次コイル12(n)に流れる電流である。二次電流(n)は、二次コイル13(n)に流れる電流である。
【0134】
図10に示すように、時刻t1において、ECU3からメインIC14(n)へのメインIC駆動信号(n)の入力が開始されると、メインIC14(n)が駆動を開始する。この場合、メイン一次コイルモードが通電モードに切り替えられ、メイン一次コイル11(n)に正方向のメイン一次電流(n)が流れる。
【0135】
時刻t2において、ECU3からメインIC14(n)へのメインIC駆動信号(n)の入力が停止すると、メインIC14(n)の駆動が停止する。この場合、メイン一次コイルモードが遮断モードに切り替えられ、メイン一次電流(n)が0となる。
【0136】
時刻t3において、ECU3からサブIC15(n)へのサブIC駆動信号(n)の入力が開始されると、サブIC15(n)が駆動を開始する。この場合、先の
図2と同様に、サブ一次コイルモードが通電モードに切り替えられ、サブ一次コイル12(n)にサブ一次電流(n)が流れる。点火コイル装置1(n)の時刻t4以降の動作については、先の実施の形態1〜5のそれぞれで説明したとおりである。
【0137】
先の実施の形態1〜5で説明したとおり、点火コイル装置1(n)は、検出回路16(n)を備えて構成されているので、二次コイル13に流れる二次電流(n)を検出する機能を有している。
【0138】
そこで、実施の形態6では、このような機能を利用し、
図10に示すように、点火コイル装置1(n)は、二次コイル13(n)に二次電流(n)が通電されている期間にECU3から入力される重畳サブIC駆動信号に含まれるサブIC駆動信号(n)のみに対してサブIC15(n)が応答して駆動するように構成されている。
【0139】
一方、点火コイル装置1(n)は、二次コイル13(n)に二次電流(n)が通電されていない期間にECU3から入力される重畳サブIC駆動信号に含まれている残りの信号、すなわち、サブIC駆動信号(n+1)、(n+2)および(n+3)に対して、サブIC15(n)が応答しないように構成されている。
【0140】
このように、複数の点火コイル装置1(n)〜1(n+3)の各サブIC15(n)〜15(n+3)には、各サブIC15(n)〜15(n+3)に対応するサブIC駆動信号(n)〜(n+3)が重畳された重畳サブIC駆動信号が入力される。また、各サブIC15(n)〜15(n+3)は、自身に入力された重畳サブIC駆動信号に含まれる自身に対応するサブIC駆動信号のみに対して応答して駆動するように構成される。
【0141】
上述した実施の形態6における点火装置の構成によって、ECU3からそれぞれの点火コイル装置1(n)〜1(n+3)に入力されるサブIC駆動信号の共通化を実現することができる。その結果、内燃機関の各気筒に対応する点火コイル装置1(n)〜1(n+3)へECU3から信号出力するための信号線の数を減らすことができ、点火装置の小型化およびコスト低減に寄与する。
【0142】
以上、本実施の形態6によれば、先の実施の形態1〜5のいずれかにおける複数の点火コイル装置1の各サブIC15には、各サブIC15に対応するサブIC駆動信号が重畳された重畳サブIC駆動信号が入力される。また、各サブIC15は、自身に入力された重畳サブIC駆動信号に含まれる自身に対応するサブIC駆動信号のみに対して応答して駆動するように構成される。
【0143】
これにより、二次コイル13に二次電流が通電していることを検知して各サブIC15の制御をすることで、内燃機関の全気筒分のサブIC駆動信号が重畳した信号を各サブIC15へ入力しても、各点火コイル装置1は、自身の二次コイル13に二次電流が通電している期間しかサブIC15を駆動させることができない。したがって、ハーネス本数およびECU3のコネクタピン数を軽減することができる。その結果、点火装置の小型化および軽量化に寄与し、さらに、点火装置のコスト低減にも寄与する。