(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フライホイールの全体的な主共振速度が、前記第1の固定子ポート又は前記第3の固定子ポートの巻線の電気特性インピーダンスの変化による前記減衰ネットワークの動作によって変更される、請求項5に記載のエネルギー貯蔵システム。
前記フライホイールの回転速度の振動を検出し、該振動の周波数を決定し、前記減衰ネットワークの動作を制御して、ねじり減衰応答を変更し、動的負荷摂動に対するシステムの安定性を向上させるように構成された制御システムをさらに含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
前記フライホイールの前記回転速度の振動を検出し、該振動の周波数を決定し、前記減衰ネットワークの動作を制御して、ねじり減衰応答を変更し、動的負荷摂動に対するシステムの安定性を向上させるように構成された制御システムをさらに含む、請求項11に記載のエネルギー貯蔵システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本特許文書において本開示の原理を説明するために使用される以下に記載される図及び様々な実施形態は、単に例示に過ぎず、開示の範囲を制限するように解釈すべきではない。当業者は、本開示の原理が、任意のタイプの適切に配置された装置又はシステムで実施され得ることを理解するであろう。
【0010】
単純化及び明確化のために、いくつかの特徴及び構成要素は、他の図に関連して示されているものを含めて、全ての図に明示的に示されるわけではない。図に示される全ての特徴は、説明する実施形態のいずれかで使用され得ることが理解されよう。特定の図からの特徴又は構成要素の省略は、単純化及び明確化を目的としており、その図に関連して説明した実施形態において特徴又は構成要素を使用できないことを意味するものではない。
【0011】
本開示の実施形態は、本明細書に記載の特徴のいずれか1つ、複数、又は全てを含んでもよいことが理解されよう。また、本開示の実施形態は、追加的又は代替的に、本明細書に列挙されていない他の特徴を含み得る。例えば、開示される実施形態は、米国特許第9,667,232号及び第9,837,996号に記載される1つ又は複数の特徴を含み得、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。開示される実施形態は、特定の用途における電力システムに関して説明され得るが、これらの実施形態は、他の任意の適切なシステム又は用途にも適用可能である。
【0012】
本開示の実施形態は、慣性エネルギー貯蔵システムにおけるねじり振動を減衰させて、供給されたエネルギーの反復及び非反復の負荷変動又は急速な脈動を補償するための普遍的な方法及びシステムを提供する。開示される実施形態は、電磁エフェクタ又はレーダーシステムに代表されるように、異なる電気的時定数及び異なるパルス速度を有する広範囲の負荷タイプをカバーする。いくつかの既存の(そして非常に基本的な)補償システムでは、負荷の電気的時定数は、フライホイール−電気機械装置の機械的時定数よりも大幅に小さい。対照的に、開示される実施形態は、負荷の電気的時定数が機械的時定数に近い場合、及び電気的パルス周波数が機械的共振周波数に近い場合に、ねじり振動を補償する。これは、大規模システムを含む用途に有利である。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態は、フライホイール回転式機械の動作の装置補償速度範囲を調整するためのシステム及び方法を提供する。いくつかの特定の実施形態では、システムは可変速度/可変エネルギーシステムであり、それにより、フライホイール速度は、反復ベースで、60%等の下限速度から100%の最大基本速度まで変化する。典型的に、エネルギー供給の各シーケンス又はパルスは、ΔT秒毎に反復ベースでシステム全体の貯蔵積エネルギーE
tの部分量ΔEを抽出する。1つの動作モードでは、貯蔵システムは、100%エネルギー/100%速度レベルで放電動作を開始し、N個の高レベル放電のシーケンスが行われ、それにより、抽出される有効総エネルギーは、Ee=N×ΔEである。この期間中に、機械の速度は広範囲の速度を通過し、これには、主要な(第1の)機械的共振速度が含まれる場合と含まれない場合がある。多くの従来の慣性エネルギー貯蔵システムでは、第1の共振速度は動作範囲内にあり、第2の共振速度は最大動作速度を上回っている。これは明らかに運用上の制限を課す。本開示の実施形態は、機械的共振速度付近の任意の長さの動作時間を回避するように動作する。これは、この機械的共振速度付近の動作が回転子の振動及び最終的なベアリングの不具合を誘発する可能性があるためである。ねじり回転子振動に加えて、高エネルギーパルス放電サイクル中に横方向モード振動又は横方向回転振動も存在する可能性がある。開示される実施形態はまた、横方向のシャフト振動に減衰を適用するために使用され得る。
【0014】
本開示の実施形態は、電気機械の相互作用を通じて最大動作速度を超えてその主共振速度を上げることによって、全体的な主共振速度を変更する。いくつかの実施形態は、慣性フライホイールに直接的に結合又は間接的に結合された三重給電式(triply-fed)巻線回転子誘導機(TFIM)を利用する。TFIMには、機械システムへの電力及びエネルギーの挿入又は抽出のための複数の固定子巻線ポートがある。例えば、いくつかの実施形態では、TFIMは、タービン発電機等の電源から電力を入力するための1つの固定子ポートと、脈動又は定常負荷へのエネルギー供給と別個のねじり補償巻線(TCW)との組合せのための2つの固定子出力ポートとを含むことができる。他の実施形態は、慣性フライホイールに直接的に結合又は間接的に結合された、二重給電式(doubly-fed)巻線回転子誘導機(DFIM)を利用する。開示される実施形態は、レールガン(railgun)及びレーザ等のパルス負荷の動作のために大きなエネルギー貯蔵モジュールを使用する海軍艦艇の電力システムを含む、多種多様な用途で使用することができる。
【0015】
図1は、本開示による減衰ネットワークを含む例示的なエネルギー貯蔵システム100を示している。
図1に示されるように、エネルギー貯蔵システム100は、外部電源104によって給電されるTFIM固定子ポートS1を含むTFIM102を含む。外部電源104はまた、AC/ACコンバータC1 106(別個の入力電力段106a及び出力電力段106bと、周波数f2の高周波ACリンクと共に示される)に接続され、このコンバータC1 106は、ライン周波数とは異なる周波数及び電力レベルでTFIM102の回転子回路の励起を生成する。TFIM102の固定子ポートS2は、電気リアクタンスが低く、且つ1つ又は複数の脈動又は非反復負荷L2を別個の出力電力コンバータC2 108を介して供給するように設計された多相機械出力巻線であり、コンバータC2 108は、AC/AC又はAC/DCコンバータであり得る。電気負荷L2は、サージ特性ンピーダンスZs、パルス周波数fpを有しており、オプションで電気的共振周波数foを有する。
【0016】
TFIM102は、ねじり補償巻線であり、好ましくはバキュームブレーカ122に給電する多相平衡巻線である3次固定子ポートS3を含む。固定子ポートS3は、高出力受動部品及び自動又は閉ループ調整手段を含むインダクタ/コンデンサ/抵抗器(LCR)ねじり振動減衰ネットワーク110によって負荷がかけられる。減衰ネットワーク110内の循環電流Icの共振周波数及び大きさ及び位相を変化させることにより、TFIM102から抽出された電力P3及びQ3のレベル及び位相角は、システム全体の機械的共振周波数の変化を引き起こす。
【0017】
固定子ポートS3は、有効(real)P3電力と無効(reactive)Q3電力との両方を減衰ネットワーク110に供給することができる。いくつかの実施形態では、この電力は、ポートS1又はポートS2のいずれかとは異なる電圧レベルである。好ましい実施形態では、ポートS3の出力電圧レベルは、ポートS1とポートS2との両方よりも高い電圧及び低い電流レベルであり、それにより、全体的な機械及びコンバータスキームのサイズ及びコストの削減を可能にする。減衰ネットワーク110内の循環電流Icは、フェーザ(phasor:複素振幅)成分I
dx及びI
qxを伴う複素電流である。固定子ポートS3の出力電流I3も、フェーザ成分I
d3及びI
q3を伴う複素電流である。
【0018】
図1は、多相系の一相のみを示している。
図1に示されるように、減衰ネットワーク110は、複数の構成要素を含む。可飽和(saturable)多相インダクタLd112は、少なくとも60:1の範囲に亘ってインダクタンスを変化させる能力を有し、且つ外部DCバイアス電源114によって制御される。コンデンサバンクCd116は、制御されていないシャント多相コンデンサバンクと、両側サイリスタT2によって電流の大きさが制御されるシャント多相コンデンサバンクとを含むことができる。抵抗成分Rd118は、多相インダクタLd112と直列の多相抵抗バンクを含み得、多相インダクタLd112は、Rdを通る電流の大きさ及び位相角を調整することによって実効ダンパー抵抗を制御するシャント接続されたサイリスタT1を有する。
【0019】
エネルギー貯蔵システム100の主な利点は、少なくとも60:1の範囲に亘って減衰ネットワーク110の共振周波数を変更し、且つ後に本明細書で説明する機械制御システムからのコマンドのミリ秒以内に減衰制御を実行する能力である。さらに、固定子ポート巻線S3の皮相(apparent)電力定格(P3+jQ3として表される)は、出力ポートS2(P2+jQ2)又はS1への入力ポート電力(P1+jQ1)の皮相電力定格の一部にすることができ、その結果、かなりの電力増幅率を有する制御方式が得られる。この構成は、固定子ポートS3の無効電力Q3が、S1又はS2ポートの無効電力Q1又はQ2を個別に又はグループとして次の式のようにバランス又は超過できるという、適切なコンポーネント選択による基本的な利点を提供する。
Q3≧Q1+Q2
【0020】
典型的な動作モードでは、固定子出力ポートS2がアクティブであるとき、固定子ポートS1への電力はオフである。従って、Q3の大きさがQ2の大きさ以上である(Q3≧Q2)の場合に制御メカニズムが存在する可能性がある。パルス負荷コンバータC2 108の入力Q2が誘導性(inductive:誘電性)である場合に、次に、補償電力Q3は、容量性であり、(Q2と)同じ大きさであるが位相角が180度離れている可能性がある。これにより、システムの動的安定性が向上する。逆に、パルス負荷コンバータC2 108の入力Q2が高容量性である場合に、補償電力Q3は、Q3の大きさがQ2の大きさを超える場合を含めて、高誘導性になるように調整され得、それにより、正味の遅れ(lagging)力率をもたらす。これは、ポートS1の電源ラインが切断されたときにパルス負荷の優れた無効補償を提供し、フライホイール120に貯蔵されたエネルギーとの相互作用に関する不安定又は振動状態を低減する。
【0021】
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵システム100は、ポートS1が、フライホイール120の速度をゼロから任意の中間速度又は100%に上げるためのモータリング(motoring:運転)モードでのみ使用される動作モードを含み、それにより、ねじり振動が、無負荷状態で動作している出力ポートでも存在し得る。このモータリングモード(及びそれに関連する共振機械速度)は、ランナップ(run-up:試運転)モードが開始する前に共振速度又は周波数が予測可能であるため、補正するには単純なモードである。
【0022】
広い速度範囲及び広いエネルギー貯蔵動作範囲を有する慣性エネルギーシステムにおいて、電気機械内の無効電力の正味のバランスをゼロバランスにすることには明確な利点がある。逆に、(補償なしで)出力端子に高容量性の負荷がかかると、電気的共振周波数が機械的固有周波数と一致し、より大きなシステム共振又は不安定性を引き起こす可能性がある。従って、本開示の実施形態は、(共通の固定子フレーム上の機械巻線のセット内で)電気無効電力のバランスを取り、ねじり振動電力を略ゼロに低減するか、あるいは放電サイクルが有効である間に、広範囲の基本電気周波数に亘って機械全体を遅れ力率に強制する手段を含む。
【0023】
図2は、本開示による、減衰ネットワーク及び2つの回転子ポートを含む別の例示的なエネルギー貯蔵システム200を示している。
図2に示されるように、エネルギー貯蔵システム200は、
図1に示されるものと同じ又は同様の複数の構成要素を含む。しかしながら、
図2では、TFIM102の固定子ポートS2及びS3は、異なるパルス負荷を有する。システム200において、ポートS2はAC/DC電力コンバータ202に給電し、ポートS3はAC/AC電力コンバータ204に給電し、次に、この電力コンバータ204は、パルス、定常状態、又は非反復負荷を供給する。各ポートS2、S3は、設計上、異なる電気的時定数と異なる電圧レベルとを有している。電源104からの入力は、TFIMフライホイールシステムに電力を供給するための多相AC入力であるバキュームブレーカ206を介して固定子ポートS1に入る。ポートS1への定周波数入力でうまく機能する「回転子スリップ周波数制御」と呼ばれる一般的な手法によって回転子が基本速度に上げられるため、固定子ポートS1に可変周波数入力電力を供給する電力コンバータはなく、少なくとも1つの回転子巻線に端子短絡回路がある必要がある。
【0024】
システム200の1つの新しい態様は、回転子ポートR1及びR2での2つの独立した巻線回転子回路の使用であり、これらは両方とも多相スリップリングアセンブリによって給電される。回転子ポートR1の巻線は、回転子の直軸(direct axis)(D)を中心とする巻線であり、通常は回転子に電力を供給する。逆に、回転子ポートR2の巻線は、回転子の磁気横軸(quadrature axis)(Q)を中心とし、減衰ネットワーク110に電力(無効電力又は有効電力のいずれか)を生成する。減衰ネットワーク110は、
図2の減衰ネットワーク110がより低い主周波数範囲に亘って動作し得ることを除いて、
図1に記載されたその基本回路と同じ又は同様であり得る。そのため、ポートR1及びR2の2つの2次(回転子)巻線の磁気相互結合は最小限であり、これは制御上の利点であるが、両方の巻線はそれらのインピーダンスを1次巻線に反映して、システムの機械的応答を修正する。
【0025】
ポートR1に供給する巻線の起磁力(MMF)は、MMFを磁化することができ、ポートR2に供給する巻線のMMFは、MMFを消磁することができる。ポートR2巻線に誘起される電気周波数は、常にポートR1の電気周波数と同じであるため、機械の回転速度が変化すると逆に変化する。フライホイール120の速度の動作範囲が3600rpmのベースの60%から100%である場合に、2極60Hz(固定子S1入力)機械の回転子周波数は40%から2%のスリップ範囲で24.0から1.2Hzになる。実際には、ポートR2巻線のMMF定格及び物理的質量は、ポートR1巻線のMMF定格及び物理的質量の約2分の1から4分の1である。さらに、ポートR1及びR2の入力/出力の組み合わされた作用及び電力の流れ(電気的角度及び大きさ)は、ねじり振動減衰のための効果的な手段を提供する。
【0026】
図2を参照すると、三重給電誘導機に絶縁2次回転子巻線R2を使用することにより、可変LCR減衰特性と、システム入力力率(ライン側巻線ポートS1に反映される)を容量性から遅れ力率に変化させて、機械トルク又は速度の観測される振動に対抗する電力レベル応答を形成するための能力とが提供される。従来のフライホイール機械システムは、電気機械の入力係数が非常に高容量性であるため、余分で不要なねじり振動を引き起こす可能性がある。本明細書に開示される実施形態は、機械入力端子で利用可能な制御可能な負及び正のVAR能力を有することによってこの問題を解決し、特に、バランスのとれた誘導−抵抗力率を入力電源ラインに反映して、システムの固有周波数を通常の動作周波数より高くすることができる。
【0027】
従って、本開示の実施形態の1つの目的は、第1及び第2の臨界機械速度を最低動作シャフト速度よりも高くすることである。第2の目的は、フライホイールトルク又はシャフト速度の振動が発生したときに、応答性の高いダイナミックブレーキ電気減衰トルクを(2つの異なる手段から)機械に課し、その際に振動を低減又は排除することである。第3の目的は、機械の入力電気インピーダンスを(減衰ネットワークの使用と電磁反射によって)同じ電力定格の従来の回転式機械よりも低くすることである。入力インピーダンスが低いと、機械が電力システム全体又は原動機と相互作用するときのトルク又は速度の振動の大きさが根本的に減少する。
【0028】
再び
図1を参照すると、ねじり振動補償を提供する第2の手段は、抵抗器Rd 118を調整し、減衰ネットワーク110の主成分電流が抵抗成分であり、I
dx>I
qxであることを保証し、この抵抗成分をポートS3での機械巻線に反映する。バキュームブレーカ122は、減衰が必要なときに、減衰ネットワーク110を機械巻線に接続する。バキュームブレーカ122の応答時間は2ミリ秒と速い。その結果、これはポートS2の出力巻線に抵抗ダンパーとして現れるか、あるいは(S2負荷が低いか又は存在しない場合に)ポートS3を介したこの減衰効果により、全体的な機械的ねじり振動の大きさが直接減少し、機械的周波数特性を上げる。これは、ポートS3を流れる電流が、抵抗器Rd118に有効電力を供給し、TFIM102に制御可能で高速応答のブレーキトルクを提供するために実現される。
【0029】
機械の固定子ポートS3巻線は、その内部過渡インダクタンスLd’及び内部巻線抵抗R3’から構成されるT3の小さなL/R時定数を有し、これは、実物大の機械では、約20ミリ秒であるT3に達する可能性がある。(制御によって)Ld=0でこの回路にRdを追加することにより、ポートS3の実効L/R電気的時定数ははるかに小さくなる(例えば、TX=2ms)。2ミリ秒のこの時定数Txは、50〜250ミリ秒の範囲であり得る、フライホイール/電気機械の組合せの典型的な機械的時定数よりもはるかに高速である可能性がある。従って、例えば制御可能なブレーキトルクを介して6×Tx秒毎に循環する抵抗減衰電流の小さなバーストを、キロヘルツ範囲の帯域幅で提供することができる。マスター制御システムは、周波数foの速度振動を検出すると、減衰ネットワークに信号を送り、有効電力と無効電力とを個別に調整する。これは、各L−C−Rコンポーネントに個別のスイッチング制御があるためである。
【0030】
図3は、本開示による例示的なL−C−R減衰回路300の詳細な概略図を示している。減衰回路300は、減衰ネットワーク110を表す(又は減衰ネットワーク110によって表す)ことができ、実際の要素値を変化させて、
図1、
図2、又は
図7のいずれかに適用することができる。一般に、このような減衰回路は、ねじり振動減衰回路であり、
図1又は
図2の固定子ポートS3又は回転子ポートR2のいずれかに適用できる。
【0031】
図3に示されるように、減衰回路300は、ねじり振動の電気的減衰を調整するための高出力調整可能なRLC回路を含む回転子特殊補助回路である。減衰回路300はまた、絶縁補助固定子巻線として使用され得る。減衰回路300は、両側(bilateral)装置である複数のサイリスタと、DCバイアス制御される複数の可飽和インダクタとを含む。減衰回路300は、ACライン入力に印加される有効(kW)と無効(kVAR)との両方の電力減衰特性を提供する。回転子周波数励起コントローラ106bと組み合わせて、機械の端子インピーダンスは、負又は正のインピーダンスになるように調整することができる。こうして、減衰回路300は、広範囲の船舶電力システムに適用可能である。
【0032】
図4は、本開示による可飽和3相5kVインダクタの試験結果を示すチャート400である。
図4で試験されるインダクタは、
図1、
図2、及び
図7に示される減衰ネットワーク110の多相インダクタLd112であり得る。インダクタは、60:1のインダクタンス範囲を有しており、且つ0〜110アンペアの可変DCソースによって迅速に制御される。試験結果は、400Hz、5.0kVrms単相電源で得られた。磁気コア上に制御可能なDCバイアスを有する3相可飽和リアクトル(reactor)は、当技術分野で知られている。磁気コアのDCバイアスが2アンペアの場合に、1相あたりのインダクタンスは3.450Hである一方、20アンペアではインダクタンスは1.40Hに低下し、さらに110アンペアのDCバイアスでは、1相あたりのインダクタンスは57mHになる。サイリスタT1の様々なゲーティングレベルでのRd−T1の組合せの抵抗は、2オームから始まり、120オームまで上昇する。こうして、60:1の範囲も可能である。L/Rサブ回路の組合せは、2つのコンデンサ段とシャント(shunt)で動作する。いくつかの実施形態では、減衰ネットワークコンデンサ段は、固定コンデンサCd1及び制御可能なコンデンサCd2の組合せを含む。もちろん、制御可能なコンデンサ−サイリスタネットワークの複数段により、より細かい制御をもたらすことが可能である。
【0033】
図5は、本開示による減衰ネットワークからの有効電力(real power)及び無効電力(reactive
power)の動作範囲を示すサークル
図500である。
図5の減衰特性は、
図1、
図2、及び
図7の減衰ネットワーク110を表すことができる。
図5では、減衰ネットワークは、DFIM機械の内部リアクタンスX1及び重要な場合は任意の配電線リアクタンスXtで構成される。減衰ネットワークの総複素インピーダンスは、コンデンサの分岐がオフの状態でR+jXdである。内部リアクタンスと外部リアクタンスとの組合せをX=X1+Xt+Xdとする。固定子ダンピング巻線R2の相あたりの内部電圧をE1とする。ダンピング抵抗Rdの両端の電圧は、サイリスタT1がオフのときに、E2として規定される。
【0034】
フライホイールに加えられる電磁トルクT
eMは、従来の理論によるものである。
【数1】
ここで、θは内部電圧E1とダンピング抵抗器Rdの電圧E2との間の電気角であり、
【数2】
はラジアン/秒単位の機械的角速度である。
図5は、1.0+j0.166の値の量Pu+
jQuの矢印の頭「A」を示しており、ここで、QはVARに遅れており、Pはワット単位の有効電力である。無効電力Qは全体的に誘導負荷であり、これは回転子の振動を減衰させるのに役立つ。
【0035】
電力出力/入力巻線とダンピング巻線S3との組合せによって発生する電気機械的トルクもまた、以下のような機械的振動方程式に等しい。
T
em=−Jd
2θ/dt
2 (2)
ここで、Jはフライホイール機械セット全体の慣性モーメントである。回生負荷等の特定の条件では、Ts2とTs3とは両方とも正であり、モータリングトルクTs1に追加され得、これにより、コントローラが入力バキュームブレーカ206を開くまでフライホイールが過速度になる。
【0036】
トルクT
emは、3つの項から構成される。
T
em=Ts1+Ts2+Ts3 (3)
ここで、Ts1は巻線S1からのトルク成分であり、Ts2は巻線S2からのトルク成分であり、Ts3は巻線S3からのトルク成分である。TFIMが生成(放電)モードの場合に、Ts1=0である。Ts2の性質は、負荷回路及びデューティサイクルに依存する。これは確率的負荷である、又はTs2が周期関数である可能性がある。
【0037】
図5はまた、矢印「B」によって示される別の動作モードを示している。この矢印は、0.50−j0.09の値の量P+jQを示している。これは、Rdで散逸(消費)される正の有効電力を示すが、VAR(Q)は負又は先行力率であり、減衰ネットワークと負荷との組合せが容量性であることを示す。静的スイッチ切替えモード電力コンバータを含む特定のパルス負荷は、多くの場合、容量性入力インピーダンスを有している。これは、回転子のねじり振動の可能性のない安定した動作のために回避する必要がある。
【0038】
従って、最も基本的な補償方式は、
図5に動作点「A」によって示されるように、遅れ力率で動作する減衰ネットワークを有する。負荷がポートS2で高誘導性である場合に、コンデンサCd2が、通電されているが、サイリスタT2によって変調される状態で減衰ネットワークを動作させることが有利である。制御システムが次のように同時の有効電力減衰と無効電力減衰との組合せを提供する更なる手段が提供される。
【0039】
1.Ldへの制御可能なDCバイアスは、容量性Q2が、大きく、且つ高速時定数Tx1の場合に、負荷コンバータの力率を補償するための要件に応答する。
【0040】
2.制御可能な抵抗要素Rdは、より遅い時定数Tx2でのフライホイールねじり振動の機械的減衰の要件に応答する。
【0041】
振動の周期は、従来の理論によって次のように与えられる。
【数3】
ここで、MはTFIM=H/180*fの慣性定数であり、Hは電気機械のメガワット秒/MVA定格でのフライホイールのエネルギー貯蔵である。
【0042】
従って、式(4)に確認されるように、総リアクタンスXが増大すると、振動の周期が増大する、すなわち、ねじれ周波数が低下する。これは通常望ましくない。逆に、可飽和リアクトルLdのDCバイアス(すなわち、より高いDCバイアス電流)を変化させることによってリアクタンスXパラメータが減少すると、振動周期が減少し、ねじれ中心点の振動周波数が増大する。これが本開示の目的である。
【0043】
再び
図1を参照すると、
図1の実施形態は、中間ACリンクを含み、可変電圧可変周波数電力を回転子励起ポートR1に供給するAC/ACコンバータC1 106を示している。二重給電誘導機に関するこのタイプの基本的な回転子制御は、当技術分野で知られている。しかしながら、3次固定子巻線S3出力とポートR1での回転子励起を組み合わせて、TFIM電気機械の総エアギャップ起磁力を有効電力と無効電力との両方で変調することは斬新である。ポートR1を流れる回転子電流は、ポートS2又はS3のいずれかに向けられた固定子電力を、R1ポート電力入力の位相、大きさ、及び周波数によって大幅に制御できるという増幅効果を提供する。コンバータC1 106は、ポートR1に周波数を提供し、これは、典型的に、機械速度に基づいて、ポートS1への固定子ライン入力周波数の一部である。放電モードのときの制御システムの1つの目的は、その機械的周波数fmが出力周波数f3を次の式のように高く略一定に保つことができるように変化する際に、回転子周波数frを実際の機械の機械的周波数fmで逆に追跡することである。
fr+fm=f3
こうして、機械速度が低下すると、回転子周波数がブーストされ、f3は一定のまま又は増大する可能性がある。
【0044】
ねじり振動では、機械的周波数は、fm”=fm+δfmとして変化する。これにより、回転子制御周波数は、180度の位相シフトを伴った応答fr”=fr+δfrを有するように調整される。振動から導出される機械的電力は、電力成分Posc=
【数4】
を生成し、これは、抵抗器Rd118で発生する多相ブレーキ力によって相殺される。
図1のエネルギー貯蔵システム100では、ポートS3で発生する有効電力は、ポートR1への回転子の電気入力電力と同時に作用でき、これは、ポートS2での出力周波数を制御し、逆作用する速度振動のための回転子のアクティブ制御速度摂動信号を生成する。
【0045】
いくつかの実施形態では、減衰ネットワーク110は、パルス負荷を反復ベースで打ち消すために使用される。例えば、
図6は、本開示による、ポートS2でのパルス負荷と位相が逆になる減衰ネットワーク110のRd抵抗モードの動作を示している。このような構成は、フライホイール120から全体的に一定の大きさの機械の有効電力負荷及び一定の機械トルクを生成する。
図6に示される簡素なケースの場合に、負荷コンバータは、例えば50ミリ秒のサイクルタイムの60/40デューティサイクルの方形波である入力電力及び電流を受け取る。減衰ネットワーク110は、反対のパルス及び反対の電力を生成するように制御されるので、TFIM102は、ポートS2、S3との固定された結合負荷を認識する。これ自体が、フライホイールの放電サイクルが単調で速度の高調波がないため、ねじり振動を引き起こす条件を軽減又は排除する。有効電力補償に加えて、減衰ネットワーク110は、コンバータC2 108の無効電力補償を提供するので、DFIMは、正味ゼロの無効電力変調を有する。これにより、システムの動的な安定性が向上する。
【0046】
図7は、本開示による、単一の回転子ポート上に減衰ネットワークを含む別の例示的なエネルギー貯蔵システム700を示している。
図7に示されるように、エネルギー貯蔵システム700は、
図1及び
図2に示されるものと同じ又は同様の複数の構成要素を含む。しかしながら、
図7では、減衰ネットワーク110は、周波数f2で動作するAC/ACコンバータC1 106の入力回転子励起電力段106aと出力回転子励起電力段106bと間の高周波リンクに電気的に接続される。これにより、電気機械の構造が簡素化されるか、又は第2の出力ポートS3を周波数f3の負荷ポートにすることができる。周波数コンバータ702は、リンク周波数をf2(30kHzまで高くて一定であり得る)から、300〜3000Hz等のより低い可変周波数fdに変化させる。この高周波リンクは、コンパクトで高密度の電力変換を提供する。
【0047】
いくつかの実施形態では、TFIM102は、異なる磁気軸を中心とする固定子巻線を含む。例えば、固定子ポートS2巻線は、機械の直軸(D)を中心に配置でき、固定子ポートS3は、機械の横軸(Q)を中心に配置でき、2つの軸は電気的に90度離れている。その場合に、TFIM102は、D軸を中心とする固定子入力ポートS1巻線を含むことができる。次の例に示されるように、3つの固定子巻線が、異なる電圧レベルと3つの異なるインピーダンスを有すること、又はベース電力(MVA)レベルに加えて、独立した回転子ポート電圧を有することには明らかな利点がある。
【0048】
5,000ボルト、3相及びベースインピーダンス=15オームのポートS1。
【0049】
10,000ボルト、6相及びベースインピーダンス=50オームのポートS2、その後整流される。
【0050】
15,000ボルト、3相及びベースインピーダンス=400オームのポートS3。
【0051】
1,000ボルト、3相及びベースインピーダンス=75オームのポートR1。
【0052】
こうして、補償ネットワークは、固定子ポートS3に位置付けされる場合に、それは負荷電圧レベル又は入力電源の詳細によって制限されないので、最高電圧レベル及び最高インピーダンスレベルで動作する。これにより、非常にコンパクトで効率的な減衰ネットワークが可能になる。サイリスタスイッチング技術は15kVレベルで利用できる。回転子ポートR1は最低電圧ポートである。これは、この電力が、高電圧が禁止されている回転スリップリングを介して伝達されることが多いためである。
【0053】
多相降圧変圧器704は、主電源104からの入力ライン電圧を、回転子回路に給電するためにAC/ACコンバータC1 106からの最小の電圧調整を必要とするレベルまで下げる。AC/ACコンバータC1 106は、その出力端子で回転子ポートR1への無効電力を(位相角遅延によって)制御して、回転子の速度変動に反比例するように回転子の厳密な周波数制御を提供することに加えて、回転子回路の力率が高い(例えば、90%以上)ことを保証することができる。
【0054】
先に議論したように、AC/ACコンバータC1 106は、双方向「ACリンク」コンバータであり、これは、回転子回路に負又は正の有効電力を供給して、準同期(sub-synchronous)又は超同期(super-
synchronous)動作のいずれかを提供することができる。この動作の一例はポートS2の負荷回路が突然負荷を失う場合であり、回転子が過速度になる傾向があり、これは、回転子に与えられるC1周波数を強制的に低くする(超同期動作を引き起こす)こと及び/又は減衰ネットワーク110を高抵抗にし、ブレーキトルクを提供させることで制御できる。
【0055】
図8は、本開示による、固定子及び回転子の減衰の組合せを使用する2段ねじり振動ダンパーを含む例示的なエネルギー貯蔵システム800を示している。
図8に示されるように、エネルギー貯蔵システム800は、
図1及び
図2に示されるものと同じ又は同様の複数の構成要素を含む。しかしながら、
図8では、TFIM102の固定子ポートS1は、抵抗器バンクに結合される。抵抗器バンク802は、三角形に配置されたダイナミックブレーキ抵抗器R1の多相セットであり、これらは、巻線を横切って並列に接続される。各相の抵抗器は、TFIM
102がモータリングモード又は充電モードのときにオフになる、直列接続されたサイリスタ又は同様の両側スイッチTS1のセットによって制御される。TFIM102が放電モードにあり、入力ラインのバキュームブレーカ206が開いているときに、速度コントローラがねじり振動を検出すると、サイリスタスイッチは、電流I
dbフローを抵抗器バンク802及び固定子ポートS1巻線に生じさせるために閉じるか、又は逆相モードで導通するように命令され、それにより、TFIM102上に直軸ブレーキトルクを生成する。電流I
db及びブレーキトルクの蓄積は速く、電気回路のL/R時定数が、抵抗が挿入されているために短い(例えば、≦2ms)ため、機械的時定数よりも一桁小さい。
【0056】
固定子ポートS1巻線に電圧を誘導するための主機械磁束(MMF)は、ポートR1への主回転子励起と、減衰ネットワーク110に接続されているポートR2での回転子巻線のオプションの使用との組合せによって提供される。通常の動作慣行の範囲外であるが、減衰ネットワーク110を利用して機械回転子MMF励起をブーストするために、減衰ネットワーク110は、最大容量電流負荷及び最小誘導電流で動作され、それにより、正味の先行(leading)力率負荷をポートR2巻線に生成する。主電源104からの主励起供給ラインが利用できない場合に、容量性モードの減衰ネットワーク110を使用して、TFIM102を自己励起し、ねじり振動減衰のための有意な制御可能なブレーキトルクを与える。いくつかの実施形態では、サイリスタ又はIGBTスイッチTS1の制御は、パルス幅変調(PWM)方式を使用して提供される。これは、スイッチング装置が通常1マイクロ秒の期間内にオンにすることができ、ダイナミックブレーキ回路の通常の機械L/R時定数が、機械システムを20ミリ秒以上の時定数で制御するために200〜500マイクロ秒であるためである。自己励起が発生すると、変圧器TR1は電力を供給せず、機械の磁化は、減衰ネットワーク110の静電容量によって厳密に供給される。
【0057】
図9は、本開示による標準的なサイリスタ整流器900の例を示している。整流器900は、高電圧昇圧変圧器を含む12パルス位相遅延整流器(PDR)である。整流器900は、出力負荷コンバータに使用することができ、高電圧昇圧及び負荷でのDCの使用を可能にする。
【0058】
図9に示されるように、整流器900は、12パルスPDRコンバータを含むYデルタ3相入力902を含む。例えば、電気機械の出力電圧が14,800ボルトACである場合に、整流後、この電圧は100〜20,000VDCの範囲内で制御できる。次に、スイッチング電源は、この20kVDC電力を定電流又は定電力DC出力に変換して、少なくとも2つの異なるタイプの充電モードで中間エネルギー貯蔵を充電する。パルス負荷は、主に容量性−抵抗性入力インピーダンスを有する電磁エフェクタ又はレーダーであり得るが、誘導性−抵抗性負荷はまた一般的である。パルス負荷は、入力電流及び電力のPWM波形を有してもよい。
図9の変圧器はまた、例えば、出力高調波を低減するための15相30パルスシステムを生成するためのジグザグ変圧器として構成され得る。
【0059】
図10は、本開示による2つの回転子ポートを含む例示的なエネルギー貯蔵システム1000におけるマスター制御システムの使用を示している。
図10に示されるように、エネルギー貯蔵システム1000は、
図2等の以前の図に示されるものと同じ又は同様の複数の構成要素を含む。
【0060】
図10は、固定子ポートS3についての
図2の負荷回路の更なる改良を示し、それにより、出力コンバータは、制御可能なDC出力を含む位相遅延整流器1008であり、制御可能なDC出力は、DC/DCスイッチング電源(SPS)1010に、次に、中間エネルギー貯蔵モジュール(IES)及び最終パルス負荷No.3に接続される。IESモジュールは、ウルトラコンデンサバンク又は電気化学電池システムの場合がある。ポートS3でのTFIM出力は、好ましくは、整流効率を助けるために多相出力(例えば、6、9又は12相)である。位相遅延整流器1008の出力は、典型的に、高電圧DC出力である。
【0061】
エネルギー貯蔵システム1000は、ねじり振動を軽減するいくつかの方法を含むマスター制御システムを含む。このシステムには、ねじり振動減衰コントローラ(TODC)1002と負荷コントローラ1004との2つの電子コントローラが含まれる。どちらも、入力信号の処理に高速デジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して、D/Q軸の量に変換し、状態空間方程式を解き、出力装置の制御を実行するための補助回路に命令することができる。
【0062】
TODC1002への入力は、以下を含むことができる:
・フライホイールからTFIMへのトルク負荷;
・フライホイール又はTFIMのシャフト速度;
・主電源の電流、電圧、及び電力;
・負荷2の位相遅延整流器1006からの電流、電圧、及び電力入力;
・負荷3の位相遅延整流器1008からの電流、電圧、及び電力入力;及び
・ポートR1へのコンバータ出力電流及び電力に関するAC/ACコンバータ106からのアナログ信号。
【0063】
TODC1002からの出力は、以下を含むことができる:
・電源104からTFIM入力ポート1へのバキュームブレーカ206を開くためのコマンドデジタル信号;
・TFIMポートS1にダイナミックブレーキ抵抗器を接続するためにサイリスタスイッチをゲーティングするためのコマンドアナログ信号;
・減衰ネットワーク110の電流を遮断するためにポートR2のバキュームブレーカ122を開くためのデジタル信号;
・ダンピング可飽和インダクタLd112へのDC電流バイアスレベルを制御するためのアナログ信号;
・ダンピング抵抗器Rd118上のサイリスタスイッチへのPWMデジタル信号;及び
・ダンピングコンデンサCd116上のサイリスタスイッチへのPWMデジタル信号。
【0064】
負荷コントローラ1004への入力は、以下を含むことができる:
・ポートS1での入力電流及び電力;
・ポートS2での入力電流及び電力;
・ポートS3での入力電流及び電力;
・ポートR1での入力電流及び電力;
・ポートR2での入力電流及び電力;
・フライホイールのシャフト速度;
・ロードセルによるフライホイールからTFIMへの機械トルク;
・中間エネルギー貯蔵モジュールのエネルギー及び電圧レベル;
・位相遅延整流器1006の出力電圧及び電流レベル;及び
・位相遅延整流器1008の出力電圧及び電流レベル。
【0065】
負荷コントローラ1004からの出力は、以下を含むことができる:
・バキュームブレーカ206を電源104からTFIM入力ポート1に開くためのデジタル信号;
・位相遅延整流器1006の出力DCレベルを制御するためのアナログ信号;
・位相遅延整流器1008の出力DCレベルを制御するためのアナログ信号;
・SPS1010の出力を制御するためのデジタル信号;
・ポートR1でのTFIM励起のためのACリンクコンバータ106の出力を制御するためのデジタル信号;及び
・電源オペレータへの保護停止機能。
【0066】
いくつかの実施形態では、TODC1002の制御方法は、5つのポートの全ての電流及び電圧が直軸及び横軸の量で表される、TFIM性能のシステムの方程式の状態空間解である。システム1000では、電流及び電圧入力の全ての入力3相センサ量は、制御システムプロセッサ内でD軸及びQ軸変数に変換される。これらの技術は、DFIM制御に関する当技術分野で知られている。
【0067】
説明する制御システムは、TFIM102の充電(モータリング)モード又は放電(生成)モードのいずれかでシャフト速度又はトルクのねじり振動を減衰させるために使用することができる。減衰ネットワーク110は、ねじり振動がしきい値を超える場合に、どちらのモードでも励起できる。これは、このネットワークの誘導電圧及び電流がどちらのモードでも存在するためである。固定子ポートS1でのダイナミックブレーキ抵抗器(DBR)ネットワーク1012の追加の減衰効果は、主に放電モードで有効にされ、典型的に、モータリングモードで開いている(オフである)。減衰ネットワーク110及びポートR2での巻線を含めることによる3つ(又はそれ以上)の電気機械の固有インピーダンスの変更は、機械式フライホイール機械システムのねじり振動の固有振動数を上げて、危険速度が複合回転式機械の好ましい動作範囲(例えば、基本速度の50%から100%)内で発生するのを防ぐ。
【0068】
図11A〜
図11Cは、本開示による例示的な6極TFIM1100の概略レイアウトを示している。
図11A〜
図11Cに示されるように、回転子及び固定子の巻線の概略レイアウトは、6極で配置された5巻線のTFIMであるTFIM1100のコイル番号を示しており、回転子のデルタ巻線R2はねじり振動減衰のために指定される。
図11Aは回転子巻線R1(メイン)を示し、
図11Bは回転子巻線R2(特殊)を示し、
図11Cは固定子巻線S1、S2、及びS3を示している。多相Y型回転子レイアウトの同様の巻線も実行可能である。
【0069】
TFIM1100は、最低3つの独立した固定子巻線及び最低2つの独立した回転子巻線を有する。当業者は、複数の負荷回路を有する等の様々な特徴を強化するために、3つより多い固定子巻線及び2つより多い回転子巻線を含む任意数の極の同様の機械を構築できることを理解するであろう。2つの回転子巻線には1つのスロット/極/相があり、合計36の回転子スロットに相毎に2つの並列があり、3つの固定子巻線にはそれぞれ1つのスロット/極/相があり、合計54の固定子スロットに直列巻線がある。
図11A〜
図11Cでは、回転子巻線R2は、回転子巻線R1から電気的に10度だけオフセットされる。巻線R1とR2との間の相互結合は80%以上と高くなっている。いくつかの実施形態では、巻線R2は、巻線R1よりも多くの巻数を有し、それにより、減衰ネットワーク給電のためにより高い電圧レベルで動作する。上で議論したように、巻線R1とR2との間の位相オフセットは、90度のシフトをもたらすように構築することもでき、それぞれ直軸と横軸のMMFを生成する。
【0070】
図11A〜
図11Cに示される実施形態は、スリップリング及びブラシアセンブリを使用して、電流を回転子に伝達する。TFIM1100をさらに改良すると、ブラシレス3相励磁機によってR1とR2に給電され、ブラシ及びスリップリングのアセンブリが不要になる。巻線S1、S2、及びS3は、同じ数の極(例えば、6つの極)を有するが、必要な入力又は出力電圧に応じて、異なる直列巻数、コード、及び分配係数を有することができる。巻線S1、S2、及びS3は、典型的に、重ね巻きの二重層コイルであり、巻線R1及びR2は、標準的な業界慣行に従って、同心円状又は重ね巻きであり得る。
【0071】
図11A〜
図11Cの巻線S2及びS3に取り付けられた各負荷回路は、大きく異なる負荷インピーダンス、異なる電気的時定数又はパルス速度を有し得るか、又は本開示に限定されない定常状態負荷となり得る。
【0072】
本明細書に開示される実施形態は、迅速に調整可能なLCR減衰特性と、ライン側巻線に反映される力率を容量性から遅れ力率に変更する能力とを含む、三重給電誘導機のための絶縁二次回転子巻線の使用を提供する。これにより、機械トルク又は速度の観測された振動に対抗する電力レベル応答が形成される。
【0073】
当業者は、説明した実施形態が、原動機、出力発電機、又はその両方として三重給電誘導機を使用する複数のエネルギー貯蔵機セットに適合され得ることを理解するであろう。このシステムの更なる適応は、実施形態の基本的な有用性を損なうことなく、追加の電圧レベルを形成するための昇圧又は降圧変圧器を含むことができる。
【0074】
この特許文書全体で使用される特定の単語及び句の規定を説明することが有利な場合がある。「含む、有する(include)」及び「備える、有する、含む(comprise)」という用語、並びにそれらの派生語は、限定ではなく、包含を意味する。「又は」という用語は、包括的であり、及び/又はを意味する。「〜と関連する」という句、及びその派生語は、〜を含む、〜に含まれる、〜と相互接続する、〜を含む、〜内に含まれる、〜と接続する、〜と結合する、〜と通信する、〜と協力する、〜をインターリーブする、〜を並置する、〜に近接している、〜に束縛されている、〜を有する、〜の特性を有する、〜との関係を有する等を意味する。「少なくとも1つ」という句は、アイテムのリストとともに使用される場合に、リストされたアイテムの1つ又は複数の異なる組合せが使用され得、リスト内の1つのアイテムのみが必要とされ得ることを意味する。例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つ」には、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、そしてA、B、及びCの組合せのいずれかが含まる。
【0075】
本願における説明は、特定の要素、ステップ、又は機能が、特許請求の範囲に含めなければならない必須又は重要な要素であることを意味するものとして読解すべきではない。特許される主題の範囲は、許可された請求項によってのみ規定される。さらに、請求項のいずれも、厳密な単語「〜手段」又は「〜ステップ」が、機能を特定する分詞句が続く特定のクレームで明示的に使用される場合を除き、添付の特許請求の範囲又は請求項の要素のいずれかに関して米国特許法第112条(f)を呼び出すことを意図していない。請求項内の「機構」、「モジュール」、「装置」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「機器」、「機械」、「システム」等の用語の使用(ただしこれらに限定されない)は、請求項自体の特徴によってさらに修正又は強化された、関連技術の当業者に知られている構造を指すと理解及び意図されており、米国特許法第112条(f)を呼び出すことを意図していない。
【0076】
本開示は、特定の実施形態及び一般的に関連する方法を説明しているが、これらの実施形態及び方法の変更及び置換は、当技術分野の当業者には明らかであろう。従って、例示的な実施形態の上記の説明は、本開示を規定又は制約するものではない。以下の特許請求の範囲によって規定されるように、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の変更、置換、及び交替も可能である。