特許第6976466号(P6976466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6976466
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03G 3/00 20060101AFI20211125BHJP
   F03D 9/00 20160101ALI20211125BHJP
   F03G 7/00 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   F03G3/00 B
   F03D9/00
   F03G7/00 B
   F03G7/00 H
【請求項の数】6
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2021-32827(P2021-32827)
(22)【出願日】2021年3月2日
【審査請求日】2021年3月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】315002678
【氏名又は名称】松本 義照
(73)【特許権者】
【識別番号】506269954
【氏名又は名称】松本 記子
(73)【特許権者】
【識別番号】520176810
【氏名又は名称】松本 唯那
(73)【特許権者】
【識別番号】521090265
【氏名又は名称】松本 久美子
(73)【特許権者】
【識別番号】521089971
【氏名又は名称】塚本 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松本 義照
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第107044395(CN,A)
【文献】 特許第6793865(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 3/00
F03G 7/00
F03D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向へ延びて内部が液体で満たされた上昇路と、
前記液体よりも密度が小さい複数の錘と、
前記上昇路の外側で前記錘を一時的に蓄えておくための上部錘収容部と、
前記上部錘収容部の下方で前記錘を一時的に蓄えておくための下部錘収容部と、
前記上昇路の下端部に開閉可能な第1ゲートを介して接続された下部搬入室と、
前記下部搬入室と前記下部錘収容部との間を開閉する第2ゲートと、
前記下部搬入室に前記液体を出し入れする第1給排水機構と、
前記下部錘収容部から前記下部搬入室を介して前記上昇路へ前記錘を移動させる第1移動機構と、
前記上昇路の上端部に開閉可能な第3ゲートを介して接続された上部搬出室と、
前記上部搬出室と前記上部錘収容部との間を開閉する第4ゲートと、
前記上部搬出室に前記液体を出し入れする第2給排水機構と、
前記上昇路から前記上部搬出室を介して前記上部錘収容部へ前記錘を移動させる第2移動機構と、
上下に離間した一対のプーリ間に巻回され、前記錘の降下に連動して周回可能にされた無端状ワイヤと、
前記無端状ワイヤに間隔をあけて取り付けられた複数の錘係合部と、
前記錘の降下に伴って前記無端状ワイヤが下降する下降ラインの上部に設けられ、前記上部錘収容部に蓄えられた前記錘を前記錘係合部に取り付ける上部錘装着機構と、
前記下降ラインの下部に設けられ、前記錘係合部から前記錘を取り外して、前記下部収容部に受け渡す下部錘離脱機構と、
前記プーリの回転力により発電する発電機とを具備し、
前記上部錘収容部は、前記錘が前記上部錘装着機構まで重力で移動するように、前記上部搬出室側から前記上部錘装着機構側へ徐々に低くなるように傾斜した上部走行台を有し、
前記下部錘収容部は、前記下部錘離脱機構が取り外した前記錘が前記第1移動機構まで重力で移動するように、前記下部錘離脱機構側から前記下部搬入室側へ徐々に低くなるように長手方向に傾斜した下部走行台を有し、
前記第2移動機構は、前記錘を前記上昇路から前記上部搬出室へ進入させる第1機構と、前記錘を前記上部搬出室から前記上部錘収容部へ進入させる第2機構とを有し、
前記第2機構は、前記第3ゲート及び前記第4ゲートを閉じた状態で、内部が液体で満たされた前記上部搬出室から、前記第2給排水機構により前記液体を排出し、前記液体が排出した後、前記第4ゲートを開けることで、前記錘を自重で、前記上部搬出室から前記上部錘収容部へ移動させる機構である、発電装置。
【請求項2】
前記プーリと前記発電機との間には、回転速度を調整するための減速機構を備える、請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記錘は、多角柱形状である、請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記錘は、前記上部走行台及び前記下部走行台に沿って走行するためのローラを備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発電装置。
【請求項5】
前記無端状ワイヤは、ローラーチェーンであり、前記プーリは、前記ローラーチェーンと係合するスプロケットである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発電装置。
【請求項6】
上下方向へ延びて内部が液体で満たされた上昇路と、
前記液体よりも密度が小さい複数の錘と、
前記上昇路の外側で前記錘を一時的に蓄えておくための上部錘収容部と、
前記上部錘収容部の下方で前記錘を一時的に蓄えておくための下部錘収容部と、
前記上昇路の下端部に開閉可能な第1ゲートを介して接続された下部搬入室と、
前記下部搬入室と前記下部錘収容部との間を開閉する第2ゲートと、
前記下部搬入室に前記液体を出し入れする第1給排水機構と、
前記下部錘収容部から前記下部搬入室を介して前記上昇路へ前記錘を移動させる第1移動機構と、
前記上昇路の上端部に開閉可能な第3ゲートを介して接続された上部搬出室と、
前記上部搬出室と前記上部錘収容部との間を開閉する第4ゲートと、
前記上部搬出室に前記液体を出し入れする第2給排水機構と、
前記上昇路から前記上部搬出室を介して前記上部錘収容部へ前記錘を移動させる第2移動機構と、
上下に離間した一対のプーリ間に巻回され、前記錘の降下に連動して周回可能にされた無端状ワイヤと、
前記無端状ワイヤに間隔をあけて取り付けられた複数の錘係合部と、
前記錘の降下に伴って前記無端状ワイヤが下降する下降ラインの上部に設けられ、前記上部錘収容部に蓄えられた前記錘を前記錘係合部に取り付ける上部錘装着機構と、
前記下降ラインの下部に設けられ、前記錘係合部から前記錘を取り外して、前記下部収容部に受け渡す下部錘離脱機構と、
前記プーリの回転力を外部へ伝達するための動力伝達部とを具備し、
前記上部錘収容部は、前記錘が前記上部錘装着機構まで重力で移動するように、前記上部搬出室側から前記上部錘装着機構側へ徐々に低くなるように傾斜した上部走行台を有し、
前記下部錘収容部は、前記下部錘離脱機構が取り外した前記錘が前記第1移動機構まで重力で移動するように、前記下部錘離脱機構側から前記下部搬入室側へ徐々に低くなるように長手方向に傾斜した下部走行台を有し、
前記第2移動機構は、前記錘を前記上昇路から前記上部搬出室へ進入させる第1機構と、前記錘を前記上部搬出室から前記上部錘収容部へ進入させる第2機構とを有し、
前記第2機構は、前記第3ゲート及び前記第4ゲートを閉じた状態で、内部が液体で満たされた前記上部搬出室から、前記第2給排水機構により前記液体を排出し、前記液体が排出した後、前記第4ゲートを開けることで、前記錘を自重で、前記上部搬出室から前記上部錘収容部へ移動させる機構である、動力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の1つの要因とされる温室効果ガスを排出しない、再生可能エネルギーの利用・促進がますます求められている。
再生可能エネルギーによる主な発電方式として、具体的には、風力発電、水力発電、揚水発電、太陽光発電、太陽熱発電、地熱発電等が挙げられる。
【0003】
これらの再生可能エネルギーは、天候等に左右されるため、供給の安定化が課題となる。
そこで、得られた再生可能エネルギーを貯蔵する方法が検討されている。
【0004】
再生可能エネルギーを貯蔵する方法としては、例えば、特許文献1に示すような揚水発電装置が挙げられる。
揚水発電は、夜間や休日昼間などの電気の需要の少ない時間帯に余剰電力で水を汲み上げておき、電気が必要な時に水を流下させて発電する方法である。
【0005】
また、再生可能エネルギーとして風のエネルギーを効率よく貯蔵する装置として、特許文献2には、風力によって回転される回転体と、回転体の回転に連動して周回される第1無端状ワイヤ及び第2無端状ワイヤと、前記ワイヤに間隔をあけて取り付けられた複数の第1錘係合部及び第2錘係合部と、前記錘係合部を介して前記ワイヤに着脱可能な複数の錘と、前記錘を一時的に蓄えておく上部錘収容部と、錘の下降により回転する第2下部プーリと、第2下部プーリの回転により第2軸を介して発電する発電機とを具備する風力発電装置が開示されている。特許文献2に記載の風力発電装置によれば、大量の電力を、複数の錘(位置エネルギー)として蓄積可能であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−178878号公報
【特許文献2】特許第6793865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたような揚水発電装置は、広大な土地に設置しなければならず、設置可能な場所が限られる。
また、特許文献2に記載されたような風力発電装置は、風の弱い地域や建物に囲まれた場所等では、十分に機能を発揮できず、上記揚水発電装置と同様に設置可能な場所が限られる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、設置場所に限られず、大量の電力を位置エネルギーとして蓄積することができ、かつ、より大量の電力を効率的に発生させることができる発電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]本発明の第1の態様は、上下方向へ延びて内部が液体で満たされた上昇路と、
前記液体よりも密度が小さい複数の錘と、
前記上昇路の外側で前記錘を一時的に蓄えておくための上部錘収容部と、
前記上部錘収容部の下方で前記錘を一時的に蓄えておくための下部錘収容部と、
前記上昇路の下端部に開閉可能な第1ゲートを介して接続された下部搬入室と、
前記下部搬入室と前記下部錘収容部との間を開閉する第2ゲートと、
前記下部搬入室に前記液体を出し入れする第1給排水機構と、
前記下部錘収容部から前記下部搬入室を介して前記上昇路へ前記錘を移動させる第1移動機構と、
前記上昇路の上端部に開閉可能な第3ゲートを介して接続された上部搬出室と、
前記上部搬出室と前記上部錘収容部との間を開閉する第4ゲートと、
前記上部搬出室に前記液体を出し入れする第2給排水機構と、
前記上昇路から前記上部搬出室を介して前記上部錘収容部へ前記錘を移動させる第2移動機構と、
上下に離間した一対のプーリ間に巻回され、前記錘の降下に連動して周回可能にされた無端状ワイヤと、
前記無端状ワイヤに間隔をあけて取り付けられた複数の錘係合部と、
前記錘の降下に伴って前記無端状ワイヤが下降する下降ラインの上部に設けられ、前記上部錘収容部に蓄えられた前記錘を前記錘係合部に取り付ける上部錘装着機構と、
前記下降ラインの下部に設けられ、前記錘係合部から前記錘を取り外して、前記下部収容部に受け渡す下部錘離脱機構と、
前記プーリの回転力により発電する発電機とを具備し、
前記上部錘収容部は、前記錘が前記上部錘装着機構まで重力で移動するように、前記上部搬出室側から前記上部錘装着機構側へ徐々に低くなるように傾斜した上部走行台を有し、
前記下部錘収容部は、前記下部錘離脱機構が取り外した前記錘が前記第1移動機構まで重力で移動するように、前記下部錘離脱機構側から前記下部搬入室側へ徐々に低くなるように長手方向に傾斜した下部走行台を有する、発電装置である。
【0010】
この発電装置は、下部錘収容部に一時的に蓄えられた錘が、第1移動機構により、第2ゲートを介して下部錘収容部から下部搬入室へ移動する。下部搬入室に錘が進入した後、第2ゲートは閉じられ、下部搬入室には、第1給排水機構により液体が供給される。錘は、液体よりも密度が小さいため、液体が供給されるにつれて、錘が浮上していく。下部搬入室が液体で満たされると、第1ゲートが開き、錘が下部搬入室から上昇路へ進入する。錘は、上昇路の下端部から、上昇路の上端部へと浮力により浮上していく。上昇路の上端部まで錘が浮上すると、第3ゲートが開き、錘は、上昇路から上部搬出室へ浮力により移動する。上部搬出室に錘が進入した後、第3ゲートは閉じられ、第2給排水機構により液体が排出される。液体が排出されるにつれて、錘が下降していく。第2給排水機構により液体が完全に排出されると第4ゲートが開き、第2移動機構により、錘は、上部搬出室から上部錘収容部へ移動する。上部錘収容部に一時的に蓄えられた錘は、重力で上部走行台上を移動する。錘は、錘の降下に伴って無端状ワイヤが下降する下降ラインの上部に設けられた上部錘装着機構側に向かっていき、錘と上部錘装着機構により無端状ワイヤに間隔をあけて取り付けられた錘係合部とが係合し、錘が無端状ワイヤに取り付けられる。無端状ワイヤに取り付けられた錘は、重力により下降する。錘が、下降ラインの下部まで下降すると、下部錘離脱機構により、錘は、無端状ワイヤの錘係合部から取り外され、下部収容部に受け渡される。錘の下降により、無端状ワイヤ及び無端状ワイヤが周回する上下に離間した一対のプーリが回転し、その回転力により発電機が発電する。
【0011】
したがって、この発電装置によれば、前記錘を前記上部錘収容部に、複数蓄えておくことができるため、大量の電力を、複数の前記錘(位置エネルギー)として蓄積可能である。また、前記錘は、簡易に交換可能であるため、設置場所の環境によって、重さや材質を簡易に変更することができ、効率的に発電することができる。
【0012】
[2]前記[1]の発電装置は、前記プーリと前記発電機との間には、回転速度を調整するための減速機構を備えていてもよい。
この減速機構により、前記プーリの回転速度は調整させる。
この場合、錘の下降を安定的に行うことができるという利点を有する。
【0013】
[3]前記[1]又は[2]の発電装置において、前記錘は、多角柱形状であってもよい。
この場合、下部搬入室から上昇路を介して上部搬出室までの移動をより安定的に行うことができるという利点を有する。
【0014】
[4]前記[1]〜[3]の発電装置において、前記錘は、前記上部走行台及び前記下部走行台に沿って走行するためのローラを備えていてもよい。
この場合、上部走行台及び下部走行台における錘の移動を、よりスムーズに行うことができるという利点を有する。
【0015】
[5]前記[1]〜[4]の発電装置において、前記無端状ワイヤは、ローラーチェーンであり、前記プーリは、前記ローラーチェーンと係合するスプロケットであってもよい。
この場合、非常に重い錘であっても、より安定的に錘を下降させることができるという利点を有する。
また、発電装置の耐久性をより高めることができるという利点を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、設置場所に限られず、大量の電力を位置エネルギーとして蓄積することができ、かつ、より大量の電力を効率的に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一実施形態に係る発電装置の正面図である。
図2】同発電装置の下部走行台を示す平面図である。
図3】同発電装置の下部走行台を示す正面図である。
図4】同発電装置において、錘が下部錘収容部から下部搬入室に進入する様子を示す図である。
図5】同発電装置において、錘が進入した下部搬入室に第1給排水機構により液体が供給される様子を示す図である。
図6】同発電装置において、錘が下部搬入室から上昇路に進入する様子を示す図である。
図7】同発電装置において、錘が上昇路から上部搬出室に進入する様子を示す図である。
図8】同発電装置において、錘が進入した上部搬出室の液体が、第2給排水機構により排出される様子を示す図である。
図9】同発電装置において、錘が上部搬出室から上部錘収容部に移動する様子を示す図である。
図10】同発電装置において、上部搬出室に第2給排水機構により液体が供給される様子及び下部搬入室から第1給排水機構14により液体が排出される様子を示す図である。
図11】同発電装置の上部走行台を示す平面図である。
図12】同発電装置の上部走行台を示す正面図である。
図13】同発電装置の上部プーリに巻回されている無端状ワイヤの状態を示す側面図である。
図14】(a)は、錘の側面図である。(b)は、錘の正面図である。
図15】同発電装置の上部錘装着機構を示す側面図である。
図16】同発電装置において、錘が下降している状態を示す図である。
図17】同発電装置の下部錘離脱機構を示す側面図である。
図18】本発明の第二実施形態に係る発電装置の正面図である。
図19】同発電装置において、錘が下部錘収容部から下部搬入室に進入する様子を示す図である。
図20】同発電装置において、錘が進入した下部搬入室に第1給排水機構により液体が供給される様子を示す図である。
図21】同発電装置において、錘が下部搬入室から上昇路に進入する様子を示す図である。
図22】同発電装置において、錘が上昇路から上部搬出室に進入する様子を示す図である。
図23】同発電装置において、錘が進入した上部搬出室の液体が、第2給排水機構により排出される様子を示す図である。
図24】同発電装置において、錘が上部搬出室から上部錘収容部に移動する様子を示す図である。
図25】同発電装置において、上部搬出室に第2給排水機構により液体が供給される様子及び下部搬入室から第1給排水機構14により液体が排出される様子を示す図である。
図26】本発明の第三実施形態に係る発電装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した一実施形態である発電装置について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0019】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る発電装置1の正面図である。
発電装置1は、垂直方向に長く接地面GLに直立した筒状の本体4と、この本体4の上端に設置された第1液体貯蔵タンク2とを有する。第1液体貯蔵タンク2は、第2給排水機構11が有する配管を介して上部搬出室3と接続されている。また、第1液体貯蔵タンク2は、第1給排水機構14が有する配管を介して下部搬入室8と接続されている。なお、図1では、第1液体貯蔵タンク2は、上部搬出室3及び下部搬入室8と接続されているが、いずれか一方のみと接続されていてもよい。また、第1液体貯蔵タンク2、上部搬出室3及び下部搬入室8は、第2給排水機構11又は第1給排水機構14が有する配管を介してそれぞれ接続されているが、少なくとも第1液体貯蔵タンク2と上部搬出室3又は下部搬入室8とが、第2給排水機構11又は第1給排水機構14が有する配管を介して接続されていればよい。
【0020】
第1給排水機構14及び第2給排水機構11は、それぞれ配管及びポンプにより構成されている。第1液体貯蔵タンク2に貯蔵された液体L1は、第1給排水機構14及び第2給排水機構11がそれぞれ有する配管を通り、第1給排水機構14及び第2給排水機構11がそれぞれ有するポンプにより、第1液体貯蔵タンク2、上部搬出室3、及び下部搬入室8に出し入れされる。
【0021】
本体4は、上下方向へ延びて内部が液体L1で満たされた上昇路6を有する。上昇路6の下端部には、開閉可能な第1ゲート10を介して接続された下部搬入室8を有する。上昇路6の上端部には、開閉可能な第3ゲート13を介して接続された上部搬出室3を有する。下部搬入室8の外側には、第2ゲート12を介して接続された下部錘収容部36を有する。上部搬出室3の外側には、第4ゲート22を介して接続された上部錘収容部30を有する。
【0022】
下部錘収容部36の下部搬入室8とは反対側には、下部錘離脱機構34を有する。下部錘離脱機構34は、下部走行台47の下部搬入室8側とは反対側の長手方向端部が有する機構である。下部走行台47は、長手方向に傾斜しており、下部錘離脱機構34側から下部搬入室8側へ徐々に低くなっている。下部走行台47は下部錘離脱機構34と下部搬入室8との間に下部錘収容部36を有する。
【0023】
上部錘収容部30の上部搬出室3とは反対側には、上部錘装着機構32を有する。上部錘装着機構32は、上部走行台46の上部搬出室3側とは反対側の長手方向端部が有する機構である。上部走行台46は、長手方向に傾斜しており、上部搬出室3側から上部錘装着機構32側へ徐々に低くなっている。上部走行台46は上部錘装着機構32と上部搬出室3との間に上部錘収容部30を有する。
【0024】
下部走行台47の下部搬入室8側とは反対側の外側、及び、上部走行台46の上部搬出室3側とは反対側の外側には、無端状ワイヤ20を有する。無端状ワイヤ20は、間隔をあけて取り付けられた複数の錘係合部24を有する。無端状ワイヤ20の錘係合部24と、錘26とは着脱可能である。無端状ワイヤ20は、上下に離間した一対の上部プーリ16及び下部プーリ18を巻回している。上部プーリ16の同軸下方に、上部プーリ16と対になる下部プーリ18を有する。下部プーリ18は発電装置M1と接続されている。
【0025】
下部錘収容部36に一時的に蓄えられた錘26が、第1移動機構38により、第2ゲート12を介して下部錘収容部36から下部搬入室8へ移動する。下部搬入室8に錘26が進入した後、第2ゲート12は閉じられ、下部搬入室8には、第1給排水機構14により液体L1が供給される。錘26は、液体L1よりも密度が小さいため、液体L1が供給されるにつれて、錘26が浮上していく。下部搬入室8が液体L1で満たされると、第1ゲート10が開き、錘26が下部搬入室8から上昇路6へ進入する。錘26は、上昇路6の下端部から、上昇路6の上端部へと浮力により浮上していく。上昇路6の上端部まで錘26が浮上すると、第3ゲート13を通過し、錘26は、上昇路6から上部搬出室3へ浮力により移動する。上部搬出室3に錘26が進入した後、第3ゲート13は閉じられ、第2給排水機構11により液体L1が排出される。液体L1が排出されるにつれて、錘26が下降していく。第2給排水機構11により液体L1が上部搬出室3から完全に排出されると第4ゲート22が開き、第2移動機構28により、錘26は、上部搬出室3から上部錘収容部30へ移動する。上部錘収容部30に一時的に蓄えられた錘26は、重力で上部走行台46上を移動する。錘26は、錘26の降下に伴って無端状ワイヤ20が下降する下降ラインの上部に設けられた上部錘装着機構32側に向かっていく。上部錘装着機構32により、錘26と、無端状ワイヤ20に間隔をあけて取り付けられた錘係合部24とが係合し、錘26が、無端状ワイヤ20に取り付けられる。無端状ワイヤ20に取り付けられた錘26は、重力により下降する。錘26が、下降ラインの下部まで下降すると、下部錘離脱機構34により、錘26は、無端状ワイヤ20の錘係合部24から取り外され、下部錘収容部36に受け渡される。錘26の下降により、無端状ワイヤ20及び無端状ワイヤ20が周回する上下に離間した一対の上部プーリ16及び下部プーリ18が回転し、その回転力により発電機M1が発電を行う。
【0026】
したがって、夜間や休日昼間などの電気の需要の少ない時間帯に、下部錘収容部36に一時的に蓄えられる錘26を、第1移動機構38により、下部搬入室8を介して上昇路6に移動させる。次いで、錘26を、液体L1で満たされた上昇路6において、上昇路6の下端部から、上昇路6の上端部へと浮力により浮上させる。次いで、第2移動機構28により、錘26を上部錘収容部30に蓄える。これを繰り返すことにより、複数の錘26を上部錘収容部30に蓄えることができる。
【0027】
一方で電気が必要な場合は、上部錘収容部30に蓄えられた複数の錘26を、上部錘装着機構32により、無端状ワイヤ20の錘係合部24と係合し、錘26を次々に下降させる。この錘26が下降するエネルギーによって、上部プーリ16、無端状ワイヤ20、及び下部プーリ18が回転し、その回転力で発電機M1が発電を行う。
【0028】
また、余剰電力が発生した際に、その電力を用いて発電装置1内のシステムの制御を行い、上述した方法により、複数の錘26を上部錘収容部30に蓄える。
【0029】
図1には示していないが、回転速度を上げるために、下部プーリ18と発電装置M1とは、複数のプーリ及びベルトを介して連結されていてもよい。この場合、下部プーリ18側のプーリの直径が大きく、発電装置M1側のプーリの直径が小さいものとなるように配置する。
【0030】
図1には示していないが、発電装置1は、車両上に載置されていることにより、走行可能な構造であってもよいし、発電装置1の下部に車輪が具備されており、移動可能な構造であってもよい。
【0031】
本体4の形状は特に限定されず、角筒状であっても、円筒状であってもよい。また、本体4は、複数の部材がつなぎ合わされて構成されていてもよい。
【0032】
発電装置1の高さは、特に限定されないが、例えば、10〜50mが好ましく、10〜30mがより好ましい。発電装置1の高さは、必要な電力量等から適宜設計する。
【0033】
液体L1として、具体的には、水、有機溶媒等が挙げられるが、水であることが好ましい。液体L1として、水を用いる場合は、該水は、水道水でもってもよいし、蒸留水であってもよいし、イオン交換水であってもよいし、川や湖沼の水であってもよいし、海水であってもよいし、海水を処理した淡水であってもよい。
【0034】
錘26の数は、特に限定されないが、例えば、2〜50個が好ましく、2〜40個がより好ましく、3〜30個がさらに好ましい。
【0035】
図2は、下部走行台47を示す平面図である。下部走行台47は、細長い板状の台である。下部走行台47の長手方向の一方の端部には、下部搬入室8を有し、他方の端部には、下部錘離脱機構34を有する。下部搬入室8と下部錘離脱機構34との間には、下部錘収容部36を有する。下部走行台47は、下部錘収容部36の距離を長くするために、下部走行台47の下部錘離脱機構34側の端部から、下部走行台47の下部搬入室8側の端部まで、下部走行台47の下部錘離脱機構34側の端部の外側を周回するような形状となっている。なお、下部走行台47の形状は、特に限定されず、直線形状であってもよい。
【0036】
下部走行台47は、下部走行溝49を有し、下部走行溝49は、下部走行台47の下部搬入室8側の長手方向端部から、下部走行台47の下部錘離脱機構34側の長手方向端部まで、同一深さ及び幅で設けられている。下部走行台47の下部錘離脱機構34側の端部は、下部走行台47と無端状ワイヤ20とが接触しないように、切欠部53を有する。なお、下部走行台47は、下部走行溝49を有していなくてもよい。
【0037】
図3は、下部走行台47を示す正面図である。下部走行台47は、長手方向に傾斜しており、下部錘離脱機構34側から下部搬入室8側へ徐々に低くなっている。下部走行台47の下部錘離脱機構34側端部の高さと下部走行台47の下部搬入室8側端部の高さとの差(下部錘離脱機構34側端部の高さ−下部搬入室8側端部の高さ)は、下部走行台47に載置される錘26が自重で下部錘離脱機構34側端部から下部搬入室8側端部まで、自動で移動可能な差であれば特に限定されないが、例えば、10〜30cmが好ましい。
【0038】
下部錘離脱機構34により離脱した錘26は、下部走行台47に載置された後、下部走行溝49に沿って自重で移動し、下部走行台47の下部錘収容部36を経由し、下部走行台47の下部搬入室8側へ自動で移動する。
【0039】
図4は、錘26が下部錘収容部36から下部搬入室8に進入する様子を示す図である。下部走行台47の下部搬入室8側には第1錘ストッパS1を有する。下部走行台47は、第1錘ストッパS1を複数備えていてもよいし、第1錘ストッパS1を備えていなくてもよい。第1錘ストッパS1は、垂直アクチュエータとプレートとから構成されており、垂直アクチュエータの作動により、プレートが上下に昇降する。第1錘ストッパS1の構造はこれに限定されず、錘26を静止させることのできる機構であれば、特に限定されない。
【0040】
下部搬入室8の下部錘収容部36側の入口には、第2ゲート12を有する。第2ゲート12の開閉により、下部搬入室8と、下部錘収容部36との連通及び遮断が制御される。第2ゲート12として、具体的には、垂直アクチュエータによって上下に昇降可能なシャッターが挙げられる。第2ゲート12は、樹脂製であっても、金属製であってもよい。また、第2ゲート12は、液体L1が漏れないように第2ゲート12の先端部に弾性体を有していてもよい。
【0041】
下部搬入室8の上昇路6側の出口には、第1ゲート10を有する。第1ゲート10の開閉により、下部搬入室8と、上昇路6との連通及び遮断が制御される。第1ゲート10として、具体的には、垂直アクチュエータによって上下に昇降可能なシャッターが挙げられる。第1ゲート10は、樹脂製であっても、金属製であってもよい。また、第1ゲート10は、液体L1が漏れないように第1ゲート10の先端部に弾性体を有していてもよい。
【0042】
下部搬入室8の天井は、浮上した錘26が、浮力で上昇路6に進入するように、下部錘収容部36側よりも上昇路6側が高くなっている。
【0043】
第2ゲート12が開き、第1錘ストッパS1が引っ込むと、錘26は自重で移動し、下部搬入室8に進入する。下部搬入室8の底面も下部錘収容部36側が高く上昇路6側が低くなるように傾いているため、錘26は、下部搬入室8の上昇路6側に自重で移動していく。錘26が下部搬入室8内に進入したことを図示していないセンサが感知すると、第2ゲート12が閉じる。
【0044】
図5は、錘26が進入した下部搬入室8に第1給排水機構14により液体L1が供給される様子を示す図である。第1給排水機構14は、2つの配管と図示していないポンプとにより構成されている。図示していないポンプを制御することにより、液体L1が配管を通って下部搬入室8に供給される。また、同様に、図示していないポンプを制御することにより、下部搬入室8の液体L1が配管を通って排出される。配管は金属製の配管であってもよいし、樹脂製の配管であってもよい。また、配管ではなく、金属製又は樹脂製のホースであってもよい。該配管及びホースの数は、1つでもよいし、2つ以上であってもよい。
【0045】
下部搬入室8内に液体L1が供給されると、錘26は、液体L1よりも密度が小さいため、錘26は浮力により浮上する。
【0046】
図6は、錘26が下部搬入室8から上昇路6に進入する様子を示す図である。下部搬入室8内が、液体L1で満たされたことを図示していないセンサが感知すると、第1ゲート10が開く。第1ゲート10が開くと、下部搬入室8の天井は、上昇路6側が高くなっているため、下部搬入室8の天井に沿いながら錘26が移動していき、錘26は、上昇路6に進入する。上昇路6に進入した錘26は浮力により、上昇路6の下端部から上端部まで移動する。
【0047】
図7は、錘26が上昇路6から上部搬出室3に進入する様子を示す図である。上部搬出室3の上昇路6側の入口には、第3ゲート13を有する。第3ゲート13の開閉により、上昇路6と上部搬出室3との連通及び遮断が制御される。第3ゲート13として、具体的には、垂直アクチュエータによって上下に昇降可能なシャッターが挙げられる。第3ゲート13は、樹脂製であっても、金属製であってもよい。また、第3ゲート13は、液体L1が漏れないように第3ゲート13の先端部に弾性体を有していてもよい。
【0048】
上部搬出室3の上部錘収容部30側の出口には、第4ゲート22を有する。第4ゲート22の開閉により、上部搬出室3と上部錘収容部30との連通及び遮断が制御される。第4ゲート22として、具体的には、垂直アクチュエータによって上下に昇降可能なシャッターが挙げられる。第4ゲート22は、樹脂製であっても、金属製であってもよい。また、第4ゲート22は、液体L1が漏れないように第4ゲート22の先端部に弾性体を有していてもよい。
【0049】
上昇路6の天井は、浮上した錘26が、浮力で上部搬出室3に進入するように、上部搬出室3側が高くなっている。また、上部搬出室3の天井についても、浮上した錘26が、浮力で上部搬出室3の奥まで進入するように、上昇路6側よりも上部錘収容部30側が高くなっている。
【0050】
錘26が上端部まで浮上すると、上昇路6の天井は、上部搬出室3側が高くなっているため、錘26は、浮力で上昇路6の天井に沿いながら移動し、上部搬出室3に進入する。
【0051】
図8は、錘26が進入した上部搬出室3の液体L1が、第2給排水機構11により排出される様子を示す図である。第2給排水機構11は、2つの配管と図示していないポンプとにより構成されている。図示していないポンプを制御することにより、上部搬出室3の液体L1が配管を通って排出される。また、同様に、図示していないポンプを制御することにより、液体L1が配管を通って上部搬出室3に供給される。配管は金属製の配管であってもよいし、樹脂製の配管であってもよい。また、配管ではなく、金属製又は樹脂製のホースであってもよい。該配管及びホースの数は、1つでもよいし、2つ以上であってもよい。
【0052】
錘26が進入したことを図示していないセンサが感知すると、第3ゲート13が閉じる。第3ゲート13が閉じると、第2給排水機構11により上部搬出室3から液体L1が排出される。液体L1が排出されるに伴い、錘26が下降していく。
【0053】
図9は、錘26が上部搬出室3から上部錘収容部30に移動する様子を示す図である。第2給排水機構11により上部搬出室3から液体L1が完全に排出されたことを図示していないセンサが感知すると、第4ゲート22が開く。上部搬出室3の底面は上昇路6が高く、上部錘収容部30側が低くなるように傾いているため、第4ゲート22が開くと、錘26は自重で上部錘収容部30側へ移動する。
【0054】
図10は、上部搬出室3に第2給排水機構11により液体L1が供給される様子及び下部搬入室8から第1給排水機構14により液体L1が排出される様子を示す図である。上部搬出室3に供給される液体L1は、第1液体貯蔵タンク2から供給されてもよく、下部搬入室8から排出される液体L1は、第1液体貯蔵タンク2に排出されてもよい。また、上部搬出室3と下部搬入室8との間を、液体L1が行き来し、長時間の運転により液体L1の量が少なくなった際に、初めて第1液体貯蔵タンク2から液体L1が供給される機構であってもよい。
【0055】
液体L1を上部搬出室3と、下部搬入室8との間を液体L1が行き来する場合の具体的な態様は以下の通りである。まず、錘26が下部錘収容部36から下部搬入室8に進入する際は、液体L1は全て上部搬出室3に存在する。この時、第2ゲート12は開いた状態であり、第1ゲート10、第3ゲート13及び第4ゲート22は閉じた状態である。次いで、下部搬入室8を液体L1で満たして錘26を浮上させる際は、上部搬出室3に存在する液体L1を全て下部搬入室8に移動させる。この時、第1ゲート10、第2ゲート12、第3ゲート13及び第4ゲート22は全て閉じた状態である。下部搬入室8が液体L1で満たされ、第1ゲート10が開き、錘26が上昇路6に進入した後は、再び第1ゲート10が閉まり、下部搬入室8を満たしている液体L1を上部搬出室3に全て移動させる。上部搬出室3が液体L1で満たされると、第3ゲート13が開き、錘26が上昇路6から上部搬出室3に進入する。この時、下部搬入室8は液体L1が入っていない状態であるため、次の錘26を下部搬入室8に進入させることができる。次いで、上部搬出室3の液体L1を下部搬入室8に移動させると、上部搬出室3に存在する錘26は、液体L1が排出されることにより下降し、下部搬入室8に存在する錘26は、液体L1が供給されることにより浮上していく。
【0056】
図11は、上部走行台46を示す平面図である。上部走行台46は、細長い板状の台である。上部走行台46の長手方向の一方の端部には、上部搬出室3を有し、他方の端部には、上部錘装着機構32を有する。上部搬出室3と下部錘離脱機構34との間には、上部錘収容部30を有する。上部走行台46は、上部錘収容部30の距離を長くするために、上部走行台46の上部錘装着機構32側の端部から、上部走行台46の上部搬出室3側の端部まで、上部走行台46の上部錘装着機構32側の端部の外側を周回するような形状となっている。なお、上部走行台46の形状は、特に限定されず、直線形状であってもよい。
【0057】
上部走行台46は、上部走行溝48を有し、上部走行溝48は、上部走行台46の上部搬出室3側の長手方向端部から、上部走行台46の上部錘装着機構32側の長手方向端部まで、同一深さ及び幅で設けられている。上部走行台46の上部錘装着機構32側の端部は、上部走行台46と無端状ワイヤ20とが接触しないように、切欠部50を有する。なお、上部走行台46は、上部走行溝48を有していなくてもよい。
【0058】
図12は、上部走行台46を示す正面図である。上部走行台46は、長手方向に傾斜しており、上部搬出室3側から上部錘装着機構32側へ徐々に低くなっている。上部走行台46の上部搬出室3側端部の高さと上部走行台46の上部錘装着機構32側端部の高さとの差(上部搬出室3側端部の高さ−上部錘装着機構32側端部の高さ)は、上部走行台46に載置される錘26が自重で上部搬出室3側端部から上部錘装着機構32側端部まで、自動で移動可能な差であれば特に限定されないが、例えば、10〜30cmが好ましい。
【0059】
上部走行台46は、上部錘装着機構32側に第2錘ストッパS2を有する。上部走行台46は、第2錘ストッパS2を複数備えていてもよい。第2錘ストッパS2は、垂直アクチュエータとプレートとから構成されており、垂直アクチュエータの作動により、プレートが上下に昇降する。第2錘ストッパS2の構造はこれに限定されず、錘26を静止させることのできる機構であれば、特に限定されない。
【0060】
上部搬出室3から搬出された錘26は、上部走行溝48に沿って自重で移動し、上部走行台46の上部錘収容部30を経由し、上部走行台46の上部錘装着機構32側へ自動で移動し、第2錘ストッパS2により静止する。第2錘ストッパS2により、錘26が上部錘収容部30に蓄積されていく。第2錘ストッパS2が引っ込むことにより、錘26は上部錘装着機構32側に移動し、上部錘装着機構32により、無端状ワイヤ20と係合される。
【0061】
図13は、上部プーリ16に巻回されている無端状ワイヤ20の状態を示す側面図である。発電装置1において、無端状ワイヤ20は、ローラーチェーンであり、上部プーリ16及び下部プーリ18はスプロケットであるが、それらに限定されない。無端状ワイヤ20は、ローラーチェーンであるため、無端状ワイヤ20と錘係合部24が独立した構造ではなく、無端状ワイヤ20と錘係合部24が一体となっている。錘係合部24の形状は特に限定されず、例えば、錘26が引掛け部を有し、無端状ワイヤ20の錘係合部24がピン状、先端がL字状の円柱形状、又は釣り針形状等であってもよい。また、無端状ワイヤ20及び錘係合部24は、樹脂製であっても、金属製であってもよいが、耐久性の観点から、いずれも金属製であることが好ましい。
【0062】
図14(a)は、錘26の側面図である。図14(b)は、錘26の正面図である。錘26は、錘本体54と、錘本体54の正面に連結された突起部58と、錘本体54の両側面以外の各面に連結されたローラ64とを有する。
【0063】
錘26は、単位体積当たりの重量を軽くするために、錘本体54の内部は空洞になっている。錘26は、例えば、錘26の上部に浮力体を有していてもよい。
【0064】
錘26は、突起部58を1つの面に2つ有している。錘26は、突起部58を少なくとも1つ有していればよいが、錘26を無端状ワイヤ20で下降させる際に、より安定させる観点から、突起部58を2つ以上有することが好ましい。突起部58の形状は、特に限定されず、例えば、突起部58の先端がL字状になっていてもよい。
【0065】
錘26は、突起部58を有することにより、無端状ワイヤ20の錘係合部24との係合が可能となる。
【0066】
錘26は、底面の4隅に4つ、正面の4隅に4つ、天面の4隅に4つ、背面の4隅に4つの合計16つのローラ64を有する。錘26が有するローラ64の数は、特に限定されないが、錘26の底面にローラ64を1つ以上有することにより、錘26の上部走行台46及び下部走行台47での移動がよりスムーズになる。また、正面、天面、及び背面にローラ64を1つ以上有することにより、錘26の下部搬入室8から、上昇路6への移動、及び、上昇路6から上部搬出室3への移動がよりスムーズになる。
【0067】
錘26の重さは、液体L1の密度よりも錘26の密度が小さくなるように制御されていれば、特に限定されない。例えば、液体L1が4℃の水である場合、液体L1の密度は997kg/cmであるため、錘26が1m角の立方体のとき、重さが997kg未満であればよい。
【0068】
錘26は、樹脂製であっても、金属製であってもよいが、耐久性の観点から、金属製であることが好ましい。また、その中でも、アルミニウム製、鉄製又はステンレス製であることがより好ましい。
【0069】
図15は、上部錘装着機構32を示す側面図である。上部走行台46の無端状ワイヤ20側の長手方向端部は、下方に傾動する傾動台座82と蝶番86により連結されている。上部走行台46の無端状ワイヤ20側の長手方向端部の下側には、水平アクチュエータ78を有する。水平アクチュエータ78は、水平方向に伸縮可能なロッド79を有し、ロッド79の水平アクチュエータ78とは反対方向の先端には、ローラ80が連結されている。ローラ80は、傾動台座82の底面と接触している。
【0070】
上部走行台46は、長手方向に傾斜しており、無端状ワイヤ20側が低くなるように構成されているため、錘26は自重で、上部走行台46の無端状ワイヤ20側の長手方向端部に向けて自動で移動し、錘26の突起部58が、無端状ワイヤ20の錘係合部24に挿入されることで、錘26の突起部58と、無端状ワイヤ20の錘係合部24とが係合する。図示していないセンサで、錘26の突起部58と、無端状ワイヤ20の錘係合部24が係合したことを感知すると、水平アクチュエータ78が作動し、ロッド79及びロッド79の先端に連結しているローラ80が水平アクチュエータ78側に収納される。ローラ80が水平アクチュエータ78側に収納されると、傾動台座82は支えが無くなり、下方に折れ曲がる。これにより、無端状ワイヤ20の錘係合部24に係合した錘26が下降していく。錘26が下降したことを図示していないセンサが感知すると、再度水平アクチュエータ78が作動し、ロッド79及びロッド79の先端に連結しているローラ80が水平方向に伸びることで、下方に折れ曲がった傾動台座82が元の位置に戻る。
【0071】
図16は、錘26が下降している状態を示す図である。錘26の2つの突起部58と、無端状ワイヤ20の錘係合部24とが係合している。錘26の重さによって、無端状ワイヤ20も下降する。錘26は2つの突起部58を有し、2点で支持されているため、安定して下降する。
【0072】
図17は、下部錘離脱機構34を示す側面図である。下部走行台47は、長手方向に傾斜しており、下部走行台47の無端状ワイヤ20側が高くなるように構成されている。錘26が下降してきて、下部走行台47に載置されると、自重で無端状ワイヤ20側とは反対側に自動で移動し、錘26の突起部58と、無端状ワイヤ20の錘係合部24とが離脱する。
【0073】
以上説明したように、この発電装置1は、錘26を上部錘収容部30に複数蓄えておくことができる。そのため、大量の電力を、複数の錘(位置エネルギー)として蓄積可能である。また、発電装置1は、錘26を重力と浮力とにより移動させることができるため、発電装置1の装置内での電力消費が抑えられている。具体的には、下部錘収容部36に蓄えられた錘26は、下部走行台47が傾斜しているため重力により下部搬入室8内に進入し、下部搬入室8から上昇路6、及び、上昇路6から上部搬出室3へは浮力によって移動し、上部搬出室3から上部錘収容部30及び上部錘装着機構32へは、上部走行台46が傾斜しているため重力によって移動する。これにより、発電装置1は、効率的な発電が可能となる。
【0074】
また、発電装置1は、風力発電装置や揚水発電装置のように、風や川の水を利用する装置ではないため、設置場所に限られず、あらゆる場所に設置が可能である。
【0075】
発電装置1において、下部錘収容部36から下部搬入室8を介して上昇路6へ錘26を移動させる第1移動機構38は、錘26を下部錘収容部36から下部搬入室8へ進入させる機構と、錘26を下部搬入室8から上昇路6へ進入させる機構とから構成されている。錘26を下部錘収容部36から下部搬入室8へ進入させる機構として、具体的には、下部錘収容部36よりも下部搬入室8を低くすることにより、錘26が重力で移動する機構を採用している。また、錘26を下部搬入室8から上昇路6へ進入させる機構として、具体的には、下部搬入室8の天井を下部錘収容部36側から上昇路6側へと高くなっていくようにすることにより、錘26が浮力で移動する機構を採用している。第1移動機構38としては、それらの機構に限定されず、例えば、押出装置により錘26を押し出して、下部搬入室8から上昇路6へ移動させる機構であってもよいし、磁石を有する装置を錘26にくっつけ、引っ張ることにより、錘26を下部搬入室8から上昇路6へ移動させる機構であってもよいし、水流により錘26を下部搬入室8から上昇路6へ移動させる機構であってもよい。
【0076】
発電装置1において、上昇路6から上部搬出室3を介して上部錘収容部30へ錘26を移動させる第2移動機構28は、錘26を上昇路6から上部搬出室3へ進入させる機構と、錘26を上部搬出室3から上部錘収容部30へ進入させる機構とから構成されている。錘26を上昇路6から上部搬出室3へ進入させる機構として、具体的には、上昇路6の天井において、上部搬出室3側の方を高くすることにより、錘26が浮力で移動する機構を採用している。錘26を上部搬出室3から上部錘収容部30へ進入させる機構として、具体的には、上部搬出室3よりも上部錘収容部30を低くすることにより、錘26が重力で移動する機構を採用している。第2移動機構28の機構としては、それらの機構に限定されず、例えば、錘26を上昇路6から上部搬出室3へ進入させる機構としては、押出装置により錘26を押し出して、上昇路6から上部搬出室3へ移動させる機構であってもよいし、磁石を有する装置を錘26にくっつけ、引っ張ることにより、錘26を上昇路6から上部搬出室3へ移動させる機構であってもよいし、水流により錘26を上昇路6から上部搬出室3へ移動させる機構であってもよい。
【0077】
<第二実施形態>
図18は、本発明の第二実施形態に係る発電装置101の正面図である。
発電装置101は、垂直方向に長く接地面GLに直立した筒状の本体104と、この本体104の上端に設置された第1液体貯蔵タンク102と、本体104の下端部に設置された第2液体貯蔵タンク201を有する。第1液体貯蔵タンク102は、第2給排水機構111を介して、上部搬出室103と接続されている。
【0078】
第1液体貯蔵タンク102内の液体L2は、第2給排水機構111を介して、第2液体貯蔵タンク201に排出される。下部搬入室108内の液体L2についても、第1給排水機構114を介して、第2液体貯蔵タンク201に排出される。第2液体貯蔵タンク201に貯蔵された液体L2は、汲み上げポンプ206により、配管208を通って、第1液体貯蔵タンク102に排出される。
【0079】
第2給排水機構111における給水機構は、給水弁203とアクチュエータにより構成されている。アクチュエータが作動し、給水弁203がアクチュエータ側に引っ込むことにより、第1液体貯蔵タンク102に貯蔵された液体L2は、重力により、上部搬出室103に流れ込む。
【0080】
第2給排水機構111における排水機構は、第2排水弁204とアクチュエータにより構成されている。アクチュエータが作動し、第2排水弁204がアクチュエータ側に引っ込むことにより、上部搬出室103に存在する液体L2は、重力により、第2液体貯蔵タンク201に排出される。
【0081】
第1給排水機構114における給水機構は、第1ゲート110に構成されており、第1ゲート110は上下に昇降可能なシャッターと、アクチュエータにより構成されている。アクチュエータが作動し、ゲートが上昇することにより、上昇路106内の液体L2が、重力により、下部搬入室108に流れ込む。
【0082】
第1給排水機構114における排水機構は、第1排水弁202とアクチュエータにより構成されている。アクチュエータが作動し、第1排水弁202がアクチュエータ側に引っ込むことにより、下部搬入室108に存在する液体L2は、重力により、第2液体貯蔵タンク201に排出される。
【0083】
本体104は、上下方向へ延びて内部が液体L2で満たされた上昇路106を有する。上昇路106の下端部には、開閉可能な第1ゲート110を介して接続された下部搬入室108を有する。上昇路106の上端部には、開閉可能な第3ゲート113を介して接続された上部搬出室103を有する。下部搬入室108の外側には、第2ゲート112を介して接続された下部錘収容部136を有する。上部搬出室103の外側には、第4ゲート122を介して接続された上部錘収容部130を有する。
【0084】
下部錘収容部136の下部搬入室108とは反対側には、下部錘離脱機構134を有する。下部錘離脱機構134は、下部走行台147の下部搬入室108側とは反対側の長手方向端部が有する機構である。下部走行台147は、長手方向に傾斜しており、下部錘離脱機構134側から下部搬入室108側へ徐々に低くなっている。下部走行台147は下部錘離脱機構134と下部搬入室108との間に下部錘収容部136を有する。
【0085】
上部錘収容部130の上部搬出室103とは反対側には、上部錘装着機構132を有する。上部錘装着機構132は、上部走行台146の上部搬出室103側とは反対側の長手方向端部が有する機構である。上部走行台146は、長手方向に傾斜しており、上部搬出室103側から上部錘装着機構132側へ徐々に低くなっている。上部走行台146は上部錘装着機構132と上部搬出室103との間に上部錘収容部130を有する。
【0086】
下部走行台147の下部搬入室108側とは反対側の外側、及び、上部走行台146の上部搬出室103側とは反対側の外側には、無端状ワイヤ120を有する。無端状ワイヤ120は、間隔をあけて取り付けられた複数の錘係合部124を有する。無端状ワイヤ120の錘係合部124と、錘126とは着脱可能である。無端状ワイヤ120は、上下に離間した一対の上部プーリ116及び下部プーリ118を巻回している。上部プーリ116の同軸下方に、上部プーリ116と対になる下部プーリ118を有する。下部プーリ118は発電装置M2と接続されている。
【0087】
下部錘収容部136に一時的に蓄えられた錘126が、第1移動機構138により、第2ゲート112を介して下部錘収容部136から下部搬入室108へ移動する。下部搬入室108に錘126が進入した後、第2ゲート112は閉じられ、下部搬入室108には、第1給排水機構114により液体L2が供給される。錘126は、液体L2よりも密度が小さいため、液体L2が供給されるにつれて、錘126が浮上していく。下部搬入室108が液体L2で満たされると、第1ゲート110が開き、錘126が下部搬入室108から上昇路106へ進入する。錘126は、上昇路106の下端部から、上昇路106の上端部へと浮力により浮上していく。上昇路106の上端部まで錘126が浮上すると、第3ゲート113を通過し、錘126は、上昇路106から上部搬出室103へ浮力により移動する。上部搬出室103に錘126が進入した後、第3ゲート113は閉じられ、第2給排水機構111により液体L2が排出される。液体L2が排出されるにつれて、錘126が下降していく。第2給排水機構111により液体L2が、上部搬出室103から完全に排出されると、第4ゲート122が開き、第2移動機構128により、錘126は、上部搬出室103から上部錘収容部130へ移動する。上部錘収容部130に一時的に蓄えられた錘126は、重力で上部走行台146上を移動する。錘126は、錘126の降下に伴って無端状ワイヤ120が下降する下降ラインの上部に設けられた上部錘装着機構132側に向かっていく。上部錘装着機構132により、錘126と、無端状ワイヤ120に間隔をあけて取り付けられた錘係合部124とが係合し、錘126が、無端状ワイヤ120に取り付けられる。無端状ワイヤ120に取り付けられた錘126は、重力により下降する。錘126が、下降ラインの下部まで下降すると、下部錘離脱機構134により、錘126は、無端状ワイヤ120の錘係合部124から取り外され、下部錘収容部136に受け渡される。錘126の下降により、無端状ワイヤ120及び無端状ワイヤ120が周回する上下に離間した一対の上部プーリ116及び下部プーリ118が回転し、その回転力により発電機M2が発電する。
【0088】
したがって、夜間や休日昼間などの電気の需要の少ない時間帯に、下部錘収容部136に一時的に蓄えられる錘126を、第1移動機構138により、下部搬入室108を介して上昇路106に移動させる。次いで、錘126を、液体L2で満たされた上昇路106において、上昇路106の下端部から、上昇路106の上端部へと浮力により浮上させる。次いで、第2移動機構128により、錘126を上部錘収容部130に蓄える。これを繰り返すことにより、複数の錘126を上部錘収容部130に蓄えることができる。
【0089】
一方で電気が必要な場合は、上部錘収容部130に蓄えられた複数の錘126を、上部錘装着機構132により、無端状ワイヤ120の錘係合部124と係合し、錘126を次々に下降させる。この錘126が下降するエネルギーによって、上部プーリ116、無端状ワイヤ120、及び下部プーリ118が回転し、その回転力で発電機M2により発電させる。
【0090】
また、余剰電力が発生した際に、その電力を用いて発電装置101内のシステムの制御を行い、上述した方法により、複数の錘126を上部錘収容部130に蓄える。
【0091】
図18には示していないが、回転速度を上げるために、下部プーリ118と発電装置M2とは、複数のプーリ及びベルトを介して連結されていてもよい。この場合、下部プーリ118側のプーリの直径が大きく、発電装置M2側のプーリの直径が小さいものとなるように配置する。
【0092】
図18には示していないが、発電装置101は、車両上に載置されていることにより、走行可能な構造であってもよいし、発電装置101の下部に車輪が具備されており、移動可能な構造であってもよい。
【0093】
本体104の形状は特に限定されず、角筒状であっても、円筒状であってもよい。また、本体104は、複数の部材がつなぎ合わされて構成されていてもよい。
【0094】
発電装置101の高さは、特に限定されないが、例えば、10〜50mが好ましく、10〜30mがより好ましい。発電装置101の高さは、必要な電力量等から適宜設計する。
【0095】
液体L2として、具体的には、水、有機溶媒等が挙げられるが、水であることが好ましい。また、液体L1として、水を用いる場合は、該水は、水道水でもってもよいし、蒸留水であってもよいし、イオン交換水であってもよいし、川や湖沼の水であってもよいし、海水であってもよいし、海水を処理した淡水であってもよい。
【0096】
錘126の数は、特に限定されないが、例えば、2〜20個が好ましく、2〜10個がより好ましく、3〜6個がさらに好ましい。
【0097】
図19は、錘126が下部錘収容部136から下部搬入室108に進入する様子を示す図である。下部錘離脱機構134により離脱した錘126は、下部走行台147に載置された後、自重で移動し、下部走行台147の下部錘収容部136を経由し、下部走行台147の下部搬入室108側へ自動で移動する。下部走行台147の下部搬入室108側には第3錘ストッパS3を有する。下部走行台147は、第3錘ストッパS3を複数備えていてもよいし、第3錘ストッパS3を備えていなくてもよい。第3錘ストッパS3は、垂直アクチュエータとプレートとから構成されており、垂直アクチュエータの作動により、プレートが上下に昇降する。第3錘ストッパS3の構造はこれに限定されず、錘126を静止させることのできる機構であれば、特に限定されない。
【0098】
下部搬入室108の下部錘収容部136側の入口には、第2ゲート112を有する。第2ゲート112の開閉により、下部搬入室108と下部錘収容部136との連通及び遮断が制御される。第2ゲート112として、具体的には、垂直アクチュエータによって上下に昇降可能なシャッターが挙げられる。第2ゲート112は、樹脂製であっても、金属製であってもよい。また、第2ゲート112は、液体L2が漏れないように第2ゲート112の先端部に弾性体を有していてもよい。
【0099】
下部搬入室108の上昇路106側の出口には、第1ゲート110を有する。第1ゲート110の開閉により、下部搬入室108と上昇路106との連通及び遮断が制御される。第1ゲート110として、具体的には、垂直アクチュエータによって上下に昇降可能なシャッターが挙げられる。第1ゲート110は、樹脂製であっても、金属製であってもよい。また、第1ゲート110は、液体L2が漏れないように第1ゲート110の先端部に弾性体を有していてもよい。
【0100】
下部搬入室108の天井は、浮上した錘126が、浮力で上昇路106に進入するように、下部錘収容部136側よりも上昇路106側が高くなっている。
【0101】
第2ゲート112が開き、第3錘ストッパS3が引っ込むと、錘126は自重で移動し、下部搬入室108に進入する。下部搬入室108の底面も下部錘収容部136側が高く上昇路106側が低くなるように傾いているため、錘126は、下部搬入室108の上昇路106側に自重で移動していく。錘126が下部搬入室108内に進入したことを図示していないセンサが感知すると、第2ゲート112が閉じる。
【0102】
図20は、錘126が進入した下部搬入室108に第1給排水機構114により液体L2が供給される様子を示す図である。ここで、第1給排水機構114における給水機構は、第1ゲート110が開くことにより、上昇路106内の液体L2が、重力により、下部搬入室108に流れ込む機構である。下部搬入室108内に液体L2が供給されると、錘126は、液体L2よりも密度が小さいため、錘126は浮力により浮上する。第1ゲート110が下から上に移動する機構であり、かつ、錘126の大きさ及び下部搬入室108の広さを制御することにより、下部搬入室108内に液体L2が進入する際に、錘126が、液体L2の流れで回転してしまうことを抑制できる。
【0103】
図21は、錘126が下部搬入室108から上昇路106に進入する様子を示す図である。下部搬入室108内が、液体L2で満たされ、かつ、第1ゲート110が完全に開くと、下部搬入室108の天井が、上昇路106側が高くなっているため、下部搬入室108の天井に沿いながら錘126が移動していき、錘126は、上昇路106に進入する。上昇路106に進入した錘126は浮力により、上昇路106の下端部から上端部まで移動する。
【0104】
図22は、錘126が上昇路106から上部搬出室103に進入する様子を示す図である。上部搬出室103の上昇路106側の入口には、第3ゲート113を有する。第3ゲート113の開閉により、上昇路106と上部搬出室103との連通及び遮断が制御される。第3ゲート113として、具体的には、垂直アクチュエータによって上下に昇降可能なシャッターが挙げられる。第3ゲート113は、樹脂製であっても、金属製であってもよい。また、第3ゲート113は、液体L2が漏れないように第3ゲート113の先端部に弾性体を有していてもよい。
【0105】
上部搬出室103の上部錘収容部130側の出口には、第4ゲート122を有する。第4ゲート122の開閉により、上部搬出室103と上部錘収容部130との連通及び遮断が制御される。第4ゲート122として、具体的には、垂直アクチュエータによって上下に昇降可能なシャッターが挙げられる。第4ゲート122は、樹脂製であっても、金属製であってもよい。また、第4ゲート122は、液体L2が漏れないように第4ゲート122の先端部に弾性体を有していてもよい。
【0106】
上昇路106の天井は、浮上した錘126が、浮力で上部搬出室103に進入するように、上部搬出室103側が高くなっている。また、上部搬出室103の天井は、浮上した錘126が、浮力で上部搬出室103の奥まで進入するように、上昇路106側よりも上部錘収容部130側が高くなっている。
【0107】
錘126が上端部まで浮上すると、上昇路106の天井は、上部搬出室103側が高くなっているため、錘126は、浮力で上昇路106の天井に沿いながら移動し、上部搬出室103に進入する。
【0108】
図23は、錘126が進入した上部搬出室103の液体L2が、第2給排水機構111により排出される様子を示す図である。錘126が進入したことを図示していないセンサが感知すると、第3ゲート113が閉じる。第3ゲート113が閉じると、第2給排水機構111により上部搬出室103から液体L2が排出される。液体L2が排出されるに伴い、錘126が下降していく。
【0109】
第2給排水機構111により上部搬出室103から液体L2が排出される具体的な機構としては、第2排水弁204が、アクチュエータ側に引っ込むことにより、上部搬出室103の床に穴が開き、その穴から、液体L2が重力により排出されていく。排出された液体L2は、配管を通って、第2液体貯蔵タンク201に貯蔵される。該配管は、金属製の配管であってもよいし、樹脂製の配管であってもよい。また、配管ではなく、金属製又は樹脂製のホースであってもよい。該配管及びホースの数は、1つでもよいし、2つ以上であってもよい。
【0110】
図24は、錘126が上部搬出室103から上部錘収容部130に移動する様子を示す図である。第2給排水機構111により、液体L2が、上部搬出室103から完全に排出されたことを、図示していないセンサが感知すると、第4ゲート122が開く。上部搬出室103の底面は上昇路106が高く、上部錘収容部130側が低くなるように傾いているため、第4ゲート122が開くと、錘126は自重で上部錘収容部130側へ移動する。
【0111】
図25は、上部搬出室103に第2給排水機構111により液体L2が供給される様子及び下部搬入室108から第1給排水機構114により液体L2が排出される様子を示す図である。
【0112】
第2給排水機構111により上部搬出室103に液体L2が供給される機構として、具体的には、アクチュエータが作動し、給水弁203がアクチュエータ側に引っ込むことにより、第1液体貯蔵タンク102と上部搬出室103とが連通し、第1液体貯蔵タンク102に貯蔵された液体L2は、重力により、上部搬出室103に流れ込む。また、同時に、第3ゲート113が開くことにより、上昇路106内の液体L2も、重力により、上部搬出室103に流れ込む。
【0113】
第1給排水機構114により液体L2が下部搬入室108から排出される機構として、具体的には、アクチュエータが作動し、第1排水弁202がアクチュエータ側に引っ込むことにより、下部搬入室108に存在する液体L2は、重力により、第2液体貯蔵タンク201に流れ込む。
【0114】
第2液体貯蔵タンク201に貯蔵された液体L2は、汲み上げポンプ206により、配管208を通って、第1液体貯蔵タンク102に排出される。これにより、液体L2は、発電装置101内を循環する。配管208は、金属製の配管であってもよいし、樹脂製の配管であってもよい。また、配管ではなく、金属製又は樹脂製のホースであってもよい。該配管及びホースの数は、1つでもよいし、2つ以上であってもよい。
【0115】
錘126が、上部錘収容部130を通過して、無端状ワイヤ120に取り付けられ、下降し、下部錘離脱機構134により取り外され、下部錘収容部136に受け渡される機構は、上述した第一実施形態の発電装置1と同様の機構である。また、錘126の具体的な態様としては、上述した第一実施形態の発電装置1における錘26と同様のものが挙げられる。また、無端状ワイヤ120の具体的な態様としては、上述した第一実施形態の発電装置1における無端状ワイヤ20と同様のものが挙げられる。また、上下に離間した一対の上部プーリ116及び下部プーリ118の具体的な態様としては、上述した第一実施形態の発電装置1における上部プーリ16及び下部プーリ18と同様のものが挙げられる。
【0116】
以上説明したように、この発電装置101は、錘126を上部錘収容部130に複数蓄えておくことができる。そのため、大量の電力を、複数の錘(位置エネルギー)として蓄積可能である。また、発電装置101は、錘126を重力と浮力とにより移動させることができるため、発電装置101の装置内での電力消費が抑えられている。具体的には、下部錘収容部136に蓄えられた錘126は、下部走行台147が傾斜しているため重力により下部搬入室108内に進入し、下部搬入室108から上昇路106、及び、上昇路106から上部搬出室103へは浮力によって移動し、上部搬出室103から上部錘収容部130及び上部錘装着機構132へは、上部走行台146が傾斜しているため重力によって移動する。
【0117】
また、発電装置101は、風力発電装置や揚水発電装置のように風や川の水を利用する装置ではないため、設置場所に限られず、あらゆる場所に設置が可能である。
【0118】
発電装置101において、下部錘収容部136から下部搬入室108を介して上昇路106へ錘126を移動させる第1移動機構138は、錘126を下部錘収容部136から下部搬入室108へ進入させる機構と、錘126を下部搬入室108から上昇路106へ進入させる機構とから構成されている。錘126を下部錘収容部136から下部搬入室108へ進入させる機構として、具体的には、下部錘収容部136よりも下部搬入室108を低くすることにより、錘126が重力で移動する機構を採用している。また、錘126を下部搬入室108から上昇路106へ進入させる機構として、具体的には、下部搬入室108の天井を下部錘収容部136側から上昇路106側へと高くなっていくようにすることにより、錘126が浮力で移動する機構を採用している。第1移動機構138としては、それらの機構に限定されず、例えば、押出装置により錘126を押し出して、下部搬入室108から上昇路106へ移動させる機構であってもよいし、磁石を有する装置を錘126にくっつけ、引っ張ることにより、錘126を下部搬入室108から上昇路106へ移動させる機構であってもよいし、水流により錘126を下部搬入室108から上昇路106へ移動させる機構であってもよい。
【0119】
発電装置101において、上昇路106から上部搬出室103を介して上部錘収容部130へ錘126を移動させる第2移動機構128は、錘126を上昇路106から上部搬出室103へ進入させる機構と、錘126を上部搬出室103から上部錘収容部130へ進入させる機構とから構成されている。錘126を上昇路106から上部搬出室103へ進入させる機構として、具体的には、上昇路106の天井において、上部搬出室103側の方を高くすることにより、錘126が浮力で移動する機構を採用している。錘126を上部搬出室103から上部錘収容部130へ進入させる機構として、具体的には、上部搬出室103よりも上部錘収容部130を低くすることにより、錘126が重力で移動する機構を採用している。第2移動機構128の機構としては、それらの機構に限定されず、例えば、錘126を上昇路106から上部搬出室103へ進入させる機構としては、押出装置により錘126を押し出して、上昇路106から上部搬出室103へ移動させる機構であってもよいし、磁石を有する装置を錘126にくっつけ、引っ張ることにより、錘126を上昇路106から上部搬出室103へ移動させる機構であってもよいし、水流により錘126を上昇路106から上部搬出室103へ移動させる機構であってもよい。
【0120】
以上説明した第一実施形態の発電装置1は、より大量な電力を必用な場合に最適な形態である。第一実施形態の発電装置1において、液体L1の移動を、上部搬出室3と下部搬入室8との間のみにした場合、上昇路6内の液体L1の量が多い場合であっても、液体L1の移動量を少なくすることができ、効率的である。また、上昇路6内を浮上している錘26に影響を与えず、発電装置1の安定的な作動が行える。
【0121】
一方で、第二実施形態の発電装置101は、より小スペースで電力が必用な場合に最適な形態である。第二実施形態の発電装置101において、液体L2をポンプで移動させるのは、第2液体貯蔵タンク201から液体L2を汲み上げポンプ206で移動させる際のみであるため、装置内の制御をより簡易にすることができる。
【0122】
<第三実施形態>
図26は、本発明の第三実施形態に係る発電装置501の正面図である。
発電装置501は、垂直方向に長い筒状の本体504と、本体504の下端部に設置された第1液体貯蔵タンク701を有する。発電装置501の本体504は、湖沼Wの中に設置されている。一方で、発電機M3は、接地面GL上に設置されている。なお、発電装置501は、湖沼の中に設置されているが、例えば、川の中、海の中に設置されていてもよい。
【0123】
第1液体貯蔵タンク701内の液体L3は、排出ポンプ706により、配管を通って、湖沼Wに排出される。
【0124】
第2給排水機構511における給水機構は、給水弁703とアクチュエータにより構成されている。アクチュエータが作動し、給水弁703がアクチュエータ側に引っ込むことにより、湖沼Wの液体L3は、重力により、上部搬出室503に流れ込む。
【0125】
第2給排水機構511における排水機構は、第2排水弁704とアクチュエータにより構成されている。アクチュエータが作動し、第2排水弁704がアクチュエータ側に引っ込むことにより、上部搬出室503に存在する液体L3は、重力により、第1液体貯蔵タンク701に排出される。
【0126】
第1給排水機構514における給水機構は、第1ゲート510に構成されており、第1ゲート510は上下に昇降可能なゲートと、アクチュエータにより構成されている。アクチュエータが作動し、ゲートが上昇することにより、上昇路506内の液体L3が、重力により、下部搬入室508に流れ込む。
【0127】
第1給排水機構514における排水機構は、第1排水弁702とアクチュエータにより構成されている。アクチュエータが作動し、第1排水弁702がアクチュエータ側に引っ込むことにより、下部搬入室508に存在する液体L3は、重力により、第1液体貯蔵タンク701に排出される。
【0128】
本体504は、上下方向へ延びて内部が液体L3で満たされた上昇路506を有する。上昇路506の湖沼W側の壁の一部には、湖沼Wの液体L3が流入する開口部を有し、該開口部は、フィルターF1を有する。
【0129】
上昇路506の下端部には、開閉可能な第1ゲート510を介して接続された下部搬入室508を有する。上昇路506の上端部には、開閉可能な第3ゲート513を介して接続された上部搬出室503を有する。下部搬入室508の外側には、第2ゲート512を介して接続された下部錘収容部536を有する。上部搬出室503の外側には、第4ゲート522を介して接続された上部錘収容部530を有する。
【0130】
下部錘収容部536の下部搬入室508とは反対側には、下部錘離脱機構534を有する。下部錘離脱機構534は、下部走行台547の下部搬入室508側とは反対側の長手方向端部が有する機構である。下部走行台547は、長手方向に傾斜しており、下部錘離脱機構534側から下部搬入室508側へ徐々に低くなっている。下部走行台547は下部錘離脱機構534と下部搬入室508との間に下部錘収容部536を有する。
【0131】
上部錘収容部530の上部搬出室503とは反対側には、上部錘装着機構532を有する。上部錘装着機構532は、上部走行台546の上部搬出室503側とは反対側の長手方向端部が有する機構である。上部走行台546は、長手方向に傾斜しており、上部搬出室503側から上部錘装着機構532側へ徐々に低くなっている。上部走行台546は上部錘装着機構532と上部搬出室503との間に上部錘収容部530を有する。
【0132】
下部走行台547の下部搬入室508側とは反対側の外側、及び、上部走行台546の上部搬出室503側とは反対側の外側には、無端状ワイヤ520を有する。無端状ワイヤ520は、間隔をあけて取り付けられた複数の錘係合部524を有する。無端状ワイヤ520の錘係合部524と、錘526とは着脱可能である。無端状ワイヤ520は、上下に離間した一対の上部プーリ516及び下部プーリ518を巻回している。上部プーリ516の同軸下方に、上部プーリ516と対になる下部プーリ518を有する。上部プーリ516は発電装置M3と接続されている。
【0133】
下部錘収容部536に一時的に蓄えられた錘526が、第1移動機構538により、第2ゲート512を介して下部錘収容部536から下部搬入室508へ移動する。下部搬入室508に錘526が進入した後、第2ゲート512は閉じられ、下部搬入室508には、第1給排水機構514により液体L3が供給される。錘526は、液体L3よりも密度が小さいため、液体L3が供給されるにつれて、錘526が浮上していく。下部搬入室508が液体L3で満たされると、第1ゲート510が開き、錘526が下部搬入室508から上昇路506へ進入する。錘526は、上昇路506の下端部から、上昇路506の上端部へと浮力により浮上していく。上昇路506の上端部まで錘526が浮上すると、第3ゲート513を通過し、錘526は、上昇路506から上部搬出室503へ浮力により移動する。上部搬出室503に錘526が進入した後、第3ゲート513は閉じられ、第2給排水機構511により液体L3が排出される。液体L3が排出されるにつれて、錘526が下降していく。第2給排水機構511により液体L3が、上部搬出室503から完全に排出されると、第4ゲート522が開き、第2移動機構528により、錘526は、上部搬出室503から上部錘収容部530へ移動する。上部錘収容部530に一時的に蓄えられた錘526は、重力で上部走行台546上を移動する。錘526は、錘526の降下に伴って無端状ワイヤ520が下降する下降ラインの上部に設けられた上部錘装着機構532側に向かっていく。上部錘装着機構532により、錘526と、無端状ワイヤ520に間隔をあけて取り付けられた錘係合部524とが係合し、錘526が、無端状ワイヤ520に取り付けられる。無端状ワイヤ520に取り付けられた錘526は、重力により下降する。錘526が、下降ラインの下部まで下降すると、下部錘離脱機構534により、錘526は、無端状ワイヤ520の錘係合部524から取り外され、下部錘収容部536に受け渡される。錘526の下降により、無端状ワイヤ520及び無端状ワイヤ520が周回する上下に離間した一対の上部プーリ516及び下部プーリ518が回転し、その回転力により発電機M3が発電する。
【0134】
したがって、夜間や休日昼間などの電気の需要の少ない時間帯に、下部錘収容部536に一時的に蓄えられる錘526を、第1移動機構538により、下部搬入室508を介して上昇路506に移動させる。次いで、錘526を、液体L3で満たされた上昇路506において、上昇路506の下端部から、上昇路506の上端部へと浮力により浮上させる。次いで、第2移動機構528により、錘526を上部錘収容部530に蓄える。これを繰り返すことにより、複数の錘526を上部錘収容部530に蓄えることができる。
【0135】
一方で電気が必要な場合は、上部錘収容部530に蓄えられた複数の錘526を、上部錘装着機構532により、無端状ワイヤ520の錘係合部524と係合し、錘526を次々に下降させる。この錘526が下降するエネルギーによって、上部プーリ516、無端状ワイヤ520、及び下部プーリ518が回転し、その回転力で発電機M2により発電させる。
【0136】
また、余剰電力が発生した際に、その電力を用いて発電装置501内のシステムの制御を行い、上述した方法により、複数の錘526を上部錘収容部530に蓄える。
【0137】
図26には示していないが、回転速度を上げるために、上部プーリ516と発電装置M3とは、複数のプーリ及びベルトを介して連結されていてもよい。この場合、上部プーリ516側のプーリの直径が大きく、発電装置M3側のプーリの直径が小さいものとなるように配置する。
【0138】
本体504の形状は特に限定されず、角筒状であっても、円筒状であってもよい。また、本体504は、複数の部材がつなぎ合わされて構成されていてもよい。
【0139】
発電装置501の高さは、特に限定されないが、例えば、10〜50mが好ましく、10〜30mがより好ましい。発電装置501の高さは、必要な電力量等から適宜設計する。
【0140】
発電装置501は、湖沼W中に設置しているため、液体L3は、湖沼の水である。なお、本実施形態の発電装置が湖沼ではなく、川に設置された場合はL3は川の水になり、海に設置された場合は海の水になる。
【0141】
錘526の数は、特に限定されないが、例えば、2〜20個が好ましく、2〜10個がより好ましく、3〜6個がさらに好ましい。
【0142】
発電装置501の動作については、上述した第二実施形態の発電装置101の動作と同様である。
【0143】
以上説明した第三実施形態の発電装置501は、より再生可能エネルギーを利用することができ、制御装置の導入等をより抑えることができる。
【0144】
<他の実施形態>
本実施形態の発電装置は、錘の下降によって、無端状ワイヤ及び該無端状ワイヤが周回するプーリが回転し、その回転力により発電機が発電する機構であるが、その回転力により動力を発生させて、外部に動力を伝達させる動力装置であってもよい。すなわち、本発明の他の実施形態として、上下方向へ延びて内部が液体で満たされた上昇路と、前記液体よりも密度が小さい複数の錘と、前記上昇路の外側で前記錘を一時的に蓄えておくための上部錘収容部と、前記上部錘収容部の下方で前記錘を一時的に蓄えておくための下部錘収容部と、前記上昇路の下端部に開閉可能な第1ゲートを介して接続された下部搬入室と、前記下部搬入室と前記下部錘収容部との間を開閉する第2ゲートと、前記下部搬入室に前記液体を出し入れする第1給排水機構と、前記下部錘収容部から前記下部搬入室を介して前記上昇路へ前記錘を移動させる第1移動機構と、前記上昇路の上端部に開閉可能な第3ゲートを介して接続された上部搬出室と、前記上部搬出室と前記上部錘収容部との間を開閉する第4ゲートと、前記上部搬出室に前記液体を出し入れする第2給排水機構と、前記上昇路から前記上部搬出室を介して前記上部錘収容部へ前記錘を移動させる第2移動機構と、上下に離間した一対のプーリ間に巻回され、前記錘の降下に連動して周回可能にされた無端状ワイヤと、前記無端状ワイヤに間隔をあけて取り付けられた複数の錘係合部と、前記錘の降下に伴って前記無端状ワイヤが下降する下降ラインの上部に設けられ、前記上部錘収容部に蓄えられた前記錘を前記錘係合部に取り付ける上部錘装着機構と、前記下降ラインの下部に設けられ、前記錘係合部から前記錘を取り外して、前記下部収容部に受け渡す下部錘離脱機構と、前記プーリの回転力を外部へ伝達するための動力伝達部とを具備し、前記上部錘収容部は、前記錘が前記上部錘装着機構まで重力で移動するように、前記上部搬出室側から前記上部錘装着機構側へ徐々に低くなるように傾斜した上部走行台を有し、前記下部錘収容部は、前記下部錘離脱機構が取り外した前記錘が前記第1移動機構まで重力で移動するように、前記下部錘離脱機構側から前記下部搬入室側へ徐々に低くなるように長手方向に傾斜した下部走行台を有する、動力装置であってもよい。
【0145】
また、上記動力装置における動力伝達部により伝達される動力によって作動する製造業機器、酪農機器、空調機器、又は建設機器等の装置であってもよく、上記動力装置における動力伝達部により伝達される動力によって作動するコンプレッサー、エアコン、扇風機、クラッシャー又はポンプであってもよい。
【0146】
本実施形態の発電装置は、車両に載置された車両型の発電装置であってもよい。例えば、災害が起きた際に、該車両型の発電装置を走行して災害地に行けば、災害地での電力供給が可能となる。また、本実施形態の発電装置を上記動力装置として用いた場合、例えば、災害地のポンプを直接作動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明の動力装置によれば、設置場所に限られず、大量の電力を位置エネルギーとして蓄積することができ、かつ、より大量の電力を効率的に発生させることができるという優れた効果を奏するから、本発明は産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0148】
1:発電装置、2:第1液体貯蔵タンク、3:上部搬出室、4:本体、6:上昇路、8:下部搬入室、10:第1ゲート、11:第2給排水機構、12:第2ゲート、13:第3ゲート、14:第1給排水機構、16:上部プーリ、18:下部プーリ、20:無端状ワイヤ、22:第4ゲート、24:錘係合部、26:錘、28:第2移動機構、30:上部錘収容部、32:上部錘装着機構、34:下部錘離脱機構、36:下部錘収容部、38:第1移動機構、46:上部走行台、47:下部走行台、48:上部走行溝、49:下部走行溝、50:切欠部、53:切欠部、54:錘本体、58:突起部、64:ローラ、78:水平アクチュエータ、79:ロッド、80:ローラ、82:傾動台座、86:蝶番、M1:発電機、L1:液体、S1:第1錘ストッパ、S2:第2錘ストッパ
【0149】
101:発電装置、102:第1液体貯蔵タンク、103:上部搬出室、104:本体、106:上昇路、108:下部搬入室、110:第1ゲート、111:第2給排水機構、112:第2ゲート、113:第3ゲート、114:第1給排水機構、116:上部プーリ、118:下部プーリ、120:無端状ワイヤ、122:第4ゲート、124:錘係合部、126:錘、128:第2移動機構、130:上部錘収容部、132:上部錘装着機構、134:下部錘離脱機構、136:下部錘収容部、138:第1移動機構、146:上部走行台、147:下部走行台、201:第2液体貯蔵タンク、202:第1排水弁、203:給水弁、204:第2排水弁、206:汲み上げポンプ、208:配管、M2:発電機、L2:液体、S3:第2錘ストッパ
【0150】
501:発電装置、503:上部搬出室、504:本体、506:上昇路、508:下部搬入室、510:第1ゲート、511:第2給排水機構、512:第2ゲート、513:第3ゲート、514:第1給排水機構、516:上部プーリ、518:下部プーリ、520:無端状ワイヤ、522:第4ゲート、524:錘係合部、526:錘、528:第2移動機構、530:上部錘収容部、532:上部錘装着機構、534:下部錘離脱機構、536:下部錘収容部、538:第1移動機構、546:上部走行台、547:下部走行台、701:第1液体貯蔵タンク、702:第1排水弁、703:給水弁、704:第2排水弁、706:排出ポンプ、M3:発電機、L3:液体、F1:フィルター、W:湖沼
【要約】
【課題】設置場所に限られず、大量の電力を位置エネルギーとして蓄積することができ、かつ、より大量の電力を効率的に発生させることができる発電装置の提供。
【解決手段】上下方向へ延びて内部が液体L1で満たされた上昇路6と、液体L1よりも密度が小さい複数の錘26と、上昇路6の外側で錘26を一時的に蓄えておくための上部錘収容部30と、上部錘収容部30の下方で錘26を一時的に蓄えておくための下部錘収容部36と、上昇路6の下端部に開閉可能な第1ゲート10を介して接続された下部搬入室8と、上昇路6の上端部に開閉可能な第3ゲート13を介して接続された上部搬出室3と、上下に離間した一対の上部プーリ16及び下部プーリ18に巻回され、錘26の降下に連動して周回可能にされた無端状ワイヤ20と、上部プーリ16及び下部プーリ18の回転力により発電する発電機M1とを具備する、発電装置1。
【選択図】図1
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