(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記メインモータが作動状態から停止状態に向かうほど、前記サブモータの出力を大きくし、前記メインモータが停止状態になった後、前記サブモータの出力を小さくする、
請求項3に記載のギヤ装置。
前記制御装置は、前記第1離間距離及び前記第2離間距離が0でない状態から0である状態に近づくほど、前記サブモータの出力を大きくし、前記第1離間距離及び前記第2離間距離が0である状態になった場合、前記サブモータの出力を小さくする、
請求項7に記載の搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。また、説明に用いる各図は概念図である。なお、図面において、ギヤの歯の表示は省略され、ギヤ等の部材の配置が見えるようにアーム等を透視して擬似的にギヤ等の部材が表示されている。また、図面において、ギヤ間に隙間が表示されていても、明細書の説明の通りギヤ同士は噛み合っている。また、図面は概念図であるため、ギヤ等の大きさを正確に表すものではない。
【0011】
<ギヤ装置の構成例>
図1に示すように、ギヤ装置5は、メインモータ51と、駆動ギヤ52と、従動ギヤ53と、従動軸531と、一体ギヤ54と、サブギヤ55と、サブモータ56と、減速機57と、制御装置58と、を備えている。メインモータ51は、例えばサーボモータ等の電動モータである。駆動ギヤ52は、メインモータ51の駆動力により回転するギヤである。駆動ギヤ52は、メインモータ51の出力軸511に接続されている。なお、出力軸511は、メインモータ51の出力軸部にメインモータ51とは別部材のシャフト部材を同軸的に結合して形成されたものでもよく、駆動軸であるともいえる。メインモータ51は、減速機構を介して出力軸511に駆動力を伝達するように構成されてもよい。
【0012】
従動ギヤ53は、駆動ギヤ52にかみ合っているギヤである。従動軸531は、従動ギヤ53の回転軸を構成し、作動対象(負荷)にメインモータ51の駆動力を伝達するシャフト部材である。一体ギヤ54は、従動ギヤ53と一体的に回転するギヤである。一体ギヤ54の回転中心と従動ギヤ53の回転中心とは、従動軸531を介して接続(固定)されている。一体ギヤ54は、従動ギヤ53の一部であるともいえる。ギヤ装置5の作動対象は、従動軸531に直接又は間接的に設けられる。
【0013】
サブギヤ55は、一体ギヤ54とかみ合っているギヤである。なお、サブギヤ55は、従動ギヤ53にかみ合うように配置されてもよい。サブモータ56は、減速機57を介して、サブギヤ55を回転させる電動モータ(例えばサーボモータ)である。サブギヤ55は、サブモータ56の出力軸561に設けられている。減速機57は、サブモータ56の回転を減速して出力軸561に伝達する。
【0014】
図示しないが、メインモータ51及びサブモータ56には、それぞれ速度・位置検出器(例えばエンコーダ)が設けられている。速度・位置検出器は、制御装置58に接続されている。駆動ギヤ52、従動ギヤ53、一体ギヤ54、及びサブギヤ55は、例えば、はすば歯車(インボリュート歯車)又は平歯車である。サブモータ56の最大出力(最大駆動力)は、メインモータ51の最大出力よりも小さい。
【0015】
制御装置58は、例えば電子制御ユニット(ECU)であって、メインモータ51及びサブモータ56を制御する。制御装置58は、メインモータ51及びサブモータ56に、それぞれ独立して制御電流を印加する。制御装置58は、例えばサーボドライバ(サーボアンプ)を備え、速度・位置検出器の検出結果に基づいて、メインモータ51及びサブモータ56のそれぞれに対して、実際の位置(回転角)、速度(回転数)、及び回転力をそれらの目標値に追従させる。なお、制御装置58は、例えば互いに通信可能な2つの制御装置、すなわちメインモータ51の制御装置とサブモータ56の制御装置とで構成されてもよい。
【0016】
図2に示すように、制御装置58は、サブモータ56が、メインモータ51の駆動力による駆動ギヤ52の回転に応じて、従動ギヤ53の回転方向とは反対方向の駆動力である反対力をサブギヤ55に付与するように、サブモータ56の駆動力を制御する。例えば、メインモータ51の作動により駆動ギヤ52が時計回りに回転すると、駆動ギヤ52の歯の一方面521が、従動ギヤ53の歯の他方面532に当接して押圧し、従動ギヤ53が反時計回りに回転する。通常、従動ギヤ53の回転速度(反時計回り)が駆動ギヤ52の回転速度(反時計回り)よりも早くならない限り、駆動ギヤ52の何れかの歯の一方面521と従動ギヤ53の何れかの歯の他方面532とが当接した状態、すなわちメインモータ51の駆動力が駆動ギヤ52から従動ギヤ53に伝わっている状態が継続される。
【0017】
ここで、メインモータ51が駆動ギヤ52を時計回りに回転させ、その後、回転を停止させ、再度時計回りに回転させるケースについて説明する。上記のように、駆動ギヤ52が時計回りに回転すると、駆動ギヤ52の歯の一方面521が従動ギヤ53の歯の他方面532を押圧して従動ギヤ53が反時計回りに回転する。そして、メインモータ51が停止すると駆動ギヤ52は停止するが、バックラッシュ及び何らか要因により、駆動ギヤ52と従動ギヤ53との間で振動が発生することがある。このような振動現象により、互いの歯が衝撃を受けるため、耐久性の低下及び騒音の発生が課題となる。
【0018】
しかしながら、本実施形態によれば、例えばメインモータ51の駆動開始とともに、あるいはメインモータ51の開始後から停止前に、制御装置58が、サブモータ56を駆動させ(サブモータ56に給電して積極的に駆動力を発生させ)、サブギヤ55から従動ギヤ53に時計回りに回転させる力(反対力)を付与することができる。サブモータ56は、サブギヤ55、一体ギヤ54、及び従動軸531を介して、従動ギヤ53に逆トルクを付与する。
【0019】
サブモータ56は、従動ギヤ53の歯の他方面532を駆動ギヤ52の歯の一方面521に押し当てるように、従動ギヤ53に力を加える。サブモータ56の駆動力(反対力)は、メインモータ51の駆動力よりも小さい。駆動ギヤ52は、サブモータ56の反対力よりも大きな反時計回りの力(メインモータ51の力)を受けて、互いの歯の当接面同士が当接した状態を維持しつつ、反時計回りに回転する。
【0020】
サブモータ56は、メインモータ51が停止した後も、サブギヤ55に上記力を付与し続ける。これにより、メインモータ51が停止した後も、サブモータ56によって従動ギヤ53の歯の他方面532が駆動ギヤ52の歯の一方面521に押し付けられ、振動は抑制される。この際、後述するメインモータ51の固定手段512(ブレーキ機能)により、駆動ギヤ52(出力軸511)は固定されている。本実施形態のメインモータ51は、電磁ブレーキ付きモータである。サブモータ56は、メインモータ51が再度駆動するまで(あるいは所定時間)、反対力を付与し続ける。
【0021】
その後、メインモータ51が駆動し、従動ギヤ53が再度反時計回りに回転し始める際も、サブモータ56の力により駆動ギヤ52の歯と従動ギヤ53の歯との当接状態が維持されているため、衝撃や音が発生することなく従動ギヤ53が回転し始める。このように、サブモータ56がメインモータ51の駆動に応じて(例えば、少なくともメインモータ51の停止直前から)駆動することで、駆動ギヤ52の停止時の振動、及び停止後の同方向への回転開始時の衝撃を抑制することができる。
【0022】
このように、本実施形態のギヤ装置5によれば、従動ギヤ53には、メインモータ51の駆動力による回転方向とは反対方向の力、すなわちブレーキとなる力がサブギヤ55から付与される。これにより、従動ギヤ53の歯の当接面と駆動ギヤ52の歯の当接面とが当接した状態が維持され、バックラッシュがない状態と同様の状態が形成される。本実施形態によれば、サブモータ56によりバックラッシュがない状態を形成することで、ギヤ間の振動を抑制することができる。また、サブギヤ55自体は、普通のギヤで足り、複雑な構造は不要である。また、駆動源にサブモータ56を用いているため、ギヤ(モジュール)のサイズやトルクの大きさにかかわらず、バックラッシュによる振動等を抑制することができる。サブモータ56の反対力による動力のロスは発生するが、振動抑制(耐久性及び静音性の向上)の優先度が高い状況においては特に有効となる。例えば、大トルクの装置におけるギヤ装置5の振動抑制効果は大きい。
【0023】
図1及び
図3に示すように、メインモータ51は、停止時に駆動ギヤ52(出力軸511)を固定する固定手段512を備えている。固定手段512は、例えば電磁ブレーキである。一例として、固定手段512は、一方面にブレーキライニング512eが設けられたアーマチュア512aと、出力軸511に固定されたブレーキハブ512bと、アーマチュア512aをブレーキハブ512bに向けて付勢するコイルスプリング512cと、アーマチュア512aの他方面に対向且つ離間して配置された励磁コイル512dと、を備えている。
【0024】
励磁コイル512dに電圧が印加されると、電磁力によりアーマチュア512aが励磁コイル512dに引き寄せられる。これにより、アーマチュア512a及びブレーキライニング512eがブレーキハブ512bから離間し、ブレーキ機能が解除され、出力軸511は自由に回転可能となる。
【0025】
一方、励磁コイル512dに電圧が印加されていない状態では、アーマチュア512a及びブレーキライニング512eは、コイルスプリング512cによりブレーキハブ512bに押し付けられ、出力軸511が固定される。これにより、駆動ギヤ52が固定される。メインモータ51が停止すると、励磁コイル512dへの給電も停止し、出力軸511及び駆動ギヤ52が固定される。
【0026】
制御装置58は、サブモータ56が、メインモータ51の作動中(作動開始時を含む)に反対力をサブギヤ55に付与し始め、メインモータ51が作動状態から停止状態に切り替わってから所定時間経過するまで、継続して反対力をサブギヤ55に付与するように、サブモータ56を制御する。これにより、メインモータ51停止後の振動を効果的に抑制することができる。制御装置58が、メインモータ51の作動開始と同時にサブモータを作動させることで、制御が簡易となる上、メインモータ51作動中の歯と歯の衝突を効果的に抑制することができる。ギヤ装置5によれば、ギヤの耐久性の向上及びギヤの衝突音の低減が可能となる。
【0027】
<ギヤ装置を備える搬送装置>
ギヤ装置5の適用例として、搬送装置1について説明する。本実施形態の搬送装置1は、
図4及び
図5に示すように、ギヤ装置5と、従動軸531が回転可能に支持された基部3と、作動対象として従動軸531に設けられたリンク機構4と、を備えている。メインモータ51の出力は、基部3内に配置された駆動ギヤ52及び従動ギヤ53を介して、従動軸531及びリンク機構4に伝達される。
【0028】
基部3は、筐体であって、ギヤ装置5及びリンク機構4を支持している。基部3の内部には、ギヤ装置5のうちメインモータ51のハウジング(本体部)と従動軸531の一端部を除く部分が配置されている。メインモータ51及びサブモータ56のハウジングは、基部3に回転不能に固定されている。各ギヤは、基部3に回転可能に支持されている。なお、基部3は、図示略の他の駆動源により、リンク機構4(基部3)の高さを変更(上下移動)することができる。
【0029】
(リンク機構の構成)
リンク機構4は、スコットラッセルの原理を利用したリンク機構である。具体的に、リンク機構4は、固定ギヤ41と、第1アーム42と、第1回転ギヤ43と、第2回転ギヤ44と、第2アーム45と、を備えている。固定ギヤ41は、基部3に固定されたギヤ(例えばセクターギヤ)である。従動軸531は、固定ギヤ41の中心軸上に配置されている。
【0030】
第1アーム42は、長手方向を有するアーム状部材である。第1アーム42は、例えば、内部空間を有するように複数の板状部材で形成されている。第1アーム42の内側には、例えば2枚の板状部材に挟まれるように、固定ギヤ41、第1回転ギヤ43、及び第2回転ギヤ44が配置されている。第1アーム42は、第1回転中心部421と、第1連結部422と、第1中央部423と、を備えている。
【0031】
第1回転中心部421は、第1アーム42のうち、従動軸531に固定された部分である。本実施形態の第1回転中心部421は、第1アーム42の一端部(上端部)である。第1連結部422は、第1アーム42のうち、第1回転中心部421より下方に位置する部分である。本実施形態の第1連結部422は、第1アーム42の他端部(下端部)である。第1連結部422は、第2回転ギヤ44を回転可能に支持する部分である。
【0032】
第1中央部423は、第1アーム42のうち、第1回転中心部421から第1連結部422まで従動軸531に直交する方向に延びる部分である。第1中央部423は、第1回転中心部421と第1連結部422とをつなぐ部分ともいえる。第1アーム42は、従動軸531の回転により従動軸531を中心に回転する。第1連結部422は、従動軸531を中心とした円軌道上を揺動する。
【0033】
第1回転ギヤ43は、第1中央部423に回転可能に支持されたギヤである。第1回転ギヤ43は、固定ギヤ41とかみ合っている。第1回転ギヤ43は、第1アーム42の回転により第1アーム42とともに移動し、固定ギヤ41とのかみ合いにより第1アーム42と同じ回転方向に回転する。例えば、
図4において、従動軸531を中心とした第1アーム42の反時計回りの回転と、第1回転ギヤ43の回転軸を中心とした第1回転ギヤ43の反時計回りの回転とは、連動している。このように、第1回転ギヤ43は、第1アーム42の回転に連動して回転する。
【0034】
第2回転ギヤ44は、第1連結部422に回転可能に支持され、第1回転ギヤ43に連動して第1回転ギヤ43の回転方向とは逆方向に回転する。本実施形態の第2回転ギヤ44は、第1回転ギヤ43にかみ合っている。例えば、
図4において、第1回転ギヤ43の回転軸を中心とした第1回転ギヤ43の反時計回りの回転と、第2回転ギヤ44の回転軸を中心とした第2回転ギヤ44の時計回りの回転とは、連動している。なお、第2回転ギヤ44と第1回転ギヤ43とは、例えば複数のギヤやプーリを介することで連動するように構成されてもよい。第2回転ギヤ44は、第1回転ギヤ43と直接又は間接的にかみ合っている。
【0035】
第2アーム45は、第1アーム42と同構成のアーム状部材である。第1アーム42と第2アーム45とは、互いに材質が異なる同じ形状の部材といえる。第2アーム45は、第2回転中心部451と、第2連結部452と、第2中央部453と、を備えている。第2回転中心部451は、第2アーム45のうち、第2回転ギヤ44に連結された部分である。本実施形態の第2回転中心部451は、第2アーム45の一端部(下端部)である。
【0036】
第2回転ギヤ44の回転軸上には、第2回転ギヤ44と一体的に回転する軸状部材441が設けられている。軸状部材441は、第2回転ギヤ44の中心部から第2回転ギヤ44の軸方向に延びている。軸状部材441は、基部3側の端部である一端部が第2回転ギヤ44に固定され、他端部が第2アーム45の第2回転中心部451に固定されている。軸状部材441により、互いに第2回転ギヤ44の回転軸を中心とした、第2回転ギヤ44の回転と第2アーム45の回転とは連動する。
【0037】
第2連結部452は、第2アーム45のうち、第2回転中心部451より上方に位置する部分である。本実施形態の第2連結部452は、第2アーム45の他端部(上端部)である。第2連結部452には、搬送対象物であるワーク8が配置される搬送部材7が設けられている。搬送部材7は、第2連結部452から下方に延びている。搬送部材7は、第2連結部452に対して回転可能に設置されている。第1実施形態では、第2アーム45の先端部に対してワーク8が載置される。
【0038】
第2中央部453は、第2アーム45のうち、第2回転中心部451から第2連結部452まで従動軸531に直交する方向に延びる部分である。第2中央部453は、第2回転中心部451と第2連結部452とをつなぐ部分ともいえる。第2アーム45は、第2回転ギヤ44の回転により、第2回転ギヤ44の回転軸を中心に回転する。第1実施形態のリンク機構4は、後述する設計により、第2連結部452が水平方向に直線状に移動するように構成されている。
【0039】
(リンク機構の動き)
ここで、従動軸531を含む平面であって鉛直方向に平行な平面を仮想平面91として、リンク機構4の動きについて説明する。
図4に示すように、リンク機構4は、第1連結部422及び第2連結部452が、従動軸531の回転に応じて、仮想平面91の一方側の領域61と他方側の領域62とを行き来するように構成されている。
【0040】
第1連結部422(図では第1連結部422の中央)と仮想平面91との離間距離である第1離間距離D1は、従動軸531の回転に応じて、0から第1所定値までの範囲で変動する。また、第2連結部452(図では第2連結部452の中央)と仮想平面91との離間距離である第2離間距離D2は、従動軸531の回転に応じて、0から第1所定値よりも大きい第2所定値までの範囲で変動する。
【0041】
以下、第1連結部422及び第2連結部452が仮想平面91に近づくように従動軸531が回転する従動軸531の回転方向を「接近回転方向」と称し、第1連結部422及び第2連結部452が仮想平面91から遠ざかるように従動軸531が回転する従動軸531の回転方向を「離間回転方向」と称する。リンク機構4は、第1離間距離D1及び第2離間距離D2が0でない状態において、重力により従動軸531に加わる接近回転方向へのトルク(以下「接近トルク」ともいう)が、重力により従動軸531に加わる離間回転方向へのトルク(以下「離間トルク」ともいう)よりも大きくなるように構成されている。
【0042】
図4において、第2連結部452が一方側領域61にある場合、従動軸531の接近回転方向は反時計回りであり、従動軸531の離間回転方向は時計回りである。また、
図4において、第2連結部452が他方側領域62にある場合、従動軸531の接近回転方向は時計回りであり、従動軸531の離間回転方向は反時計回りである。
図4の矢印は、一方側領域61において、従動軸531が接近回転方向に回転した際の各ギヤ及びアームの回転方向を表している。従動軸531の接近回転方向及び離間回転方向は、それぞれ、仮想平面91を境界として逆方向となる。
【0043】
(リンク機構の設計例)
固定ギヤ41と第2回転ギヤ44との間には、所定のギヤ比が設定されている。第1実施形態において、第2回転ギヤ44と固定ギヤ41とのギヤ比は、1:2である。固定ギヤ41の歯数(全周に歯がある場合の歯数)は2n(nは整数)であり、第1回転ギヤ43の歯数はnであり、第2回転ギヤ44の歯数はnである(固定ギヤ41の歯数:第2回転ギヤ44の歯数=2:1)。
【0044】
第1アーム42の長さは、第2アーム45の長さと等しい。第1アーム42の質量は、第2アーム45の質量よりも大きい。第1アーム42と第2アーム45とは、同様の構成(形状)である。材質は例えば、第1アーム42が鉄製であり、第2アーム45がアルミニウム製である。
【0045】
リンク機構4は、第2離間距離D2が第1離間距離D1の2倍になるように構成されている。仮想平面91に平行で且つ第2回転ギヤ44の回転軸を含む平面を第2仮想平面92とすると、第2仮想平面92は、第1アーム42と第2アーム45とが為す角度を等分する。第2離間距離D2が第2所定値(最大値)である場合、第1離間距離D1も第1所定値(最大値)である。以下、離間距離D1、D2が最大値である状態を「最遠状態」という。第1実施形態では、最遠状態において、第1アーム42と第2アーム45との為す角度は120°である。
【0046】
(リンク機構の動作の具体例)
図4に示すような一方側領域61での最遠状態(以下「一方側最遠状態」という)から、第1アーム42が反時計回りに60°回転すると、第1離間距離D1は0となる。当該第1アーム42の回転に連動して、第2回転ギヤ44及び第2アーム45が時計回りに60°回転し、第2離間距離D2も0になる。以下、離間距離D1、D2が0である状態を「中央状態」という。
【0047】
リンク機構4の状態が一方側最遠状態から中央状態に移行することで、ワーク8は、最遠位置から従動軸531の真下まで搬送される。中央状態において、第2連結部452の搬送部材7の取り付け位置、第2回転ギヤ44の回転軸、及び従動軸531は、仮想平面91上に配置される。
【0048】
リンク機構4は、上述の通り、重力により従動軸531に加わる接近トルクT1が、重力により従動軸531に加わる離間トルクT2よりも大きくなるように構成されている。上記の設計例によれば、第1アーム42と第2アームの質量の差により、接近トルクが離間トルクより大きくなる。
【0049】
詳細に、接近トルクT1は、重力により第1アーム42が従動軸531に加える第1モーメントM1と、重力により第2アーム45が第2回転ギヤ44に加える第2モーメントM2との和に相当する(T1=M1+M2)。また、離間トルクT2は、第2モーメントM2に、第2回転ギヤ44に対する固定ギヤ41のギヤ比(ここでは2)を乗算した値に相当する(T2=2×M2)。
【0050】
第1アーム42の質量をm1とし、第2アーム45の質量をm2とし、仮想平面91と第1アーム42の重心との距離をl1とし、第2仮想平面92と第2アーム45の重心との距離をl2とすると、第1モーメントM1は、M1=m1×g×l1となり、第2モーメントM2は、M2=m2×g×l2となる。gは重力加速度である。第1実施形態では、l1=l2である。
【0051】
したがって、第1実施形態において、T1>T2を満たす条件は、M1>M2となり、m1>m2となる。第1実施形態では、材質の違いにより、第1アーム42の質量が、第2アーム45の質量よりも大きくなっている。これにより、リンク機構4において、接近トルクT1が離間トルクT2よりも大きくなる。なお、第1アーム42の質量には、第1アーム42に設けられた第1回転ギヤ43及び第2回転ギヤ44の質量が含まれている。
【0052】
離間距離D1、D2が0でない状態において、従動軸531には、重力により、接近トルクT1から離間トルクT2を引いた値のトルクΔTが加わる。ワーク8や搬送部材7の質量によるモーメントは、接近トルクT1及び離間トルクT2に均等に加わる。このため、T1>T2の関係は、ワーク8や搬送部材7の質量の大小にかかわらず成立する。
【0053】
基部3には、離間距離D1、D2が最大値である状態(一方側最遠状態)を維持するためのロック機構(図示略)が設けられている。ロック機構は、例えば第1アーム42に係合してその回転を規制する部材及び係合/非係合を切り替える部材を備えている。
【0054】
ワーク8の搬送の流れの一例について説明すると、まず一方側最遠状態において、例えば基部3の上下運動又は他の装置により、第2連結部452下方の搬送部材7にワーク8が載置される。そして、ロック機構が解除されると、重力によるトルクΔTが従動軸531に加わり、第1アーム42及び第2アーム45が他方側領域62に向けて移動する。なお、この際、メインモータ51が第1アーム42に駆動力を加えても良い。
【0055】
従動軸531の反時計回りの回転及び第2回転ギヤ44の時計回りの回転により、第1アーム42及び第2アーム45は、仮想平面91上に到達し、中央状態となる。そして、第1アーム42及び第2アーム45は、慣性力により他方側領域62に進入する。
【0056】
第1アーム42及び第2アーム45は、上記一方側領域61での移動により発生する慣性力により、他方側領域62で他方側最遠状態(他方側領域62での最遠状態)に向けて移動する。慣性力は、リンク機構4の状態が他方側最遠状態になる前に、重力によるトルクΔT等により打ち消される。したがって、メインモータ51は、従動軸531に反時計回りの回転力を加えて、他方側最遠状態を達成させる。リンク機構4は、少なくとも重力によるトルクΔTにより一方側最遠状態から中央状態となり、慣性力とメインモータ51の駆動力とにより中央状態から他方側最遠状態となる。搬送目的地に到達した状態である他方側最遠状態において、搬送部材7からワーク8が取り除かれる。
【0057】
そして、上記同様に、リンク機構4は、少なくとも重力によるトルクΔTにより他方側最遠状態から中央状態となり、慣性力とメインモータ51の駆動力とにより中央状態から一方側最遠状態となる。第1実施形態の設計例では、第2連結部452の移動軌跡及びワーク8の移動軌跡は、直線状となる。
【0058】
本実施形態によれば、離間距離D1、D2が0以外である場合に、重力により生じる接近トルクT1が離間トルクT2よりも大きく、従動軸531には各アーム42、45が仮想平面91に接近する方向のトルクΔT(ΔT=T1−T2)が加わる。したがって、搬送の開始位置にセットされた第1アーム42及び第2アーム45は、メインモータ51が従動軸531に駆動力を加えることなく、仮想平面91に接近する。そして、第1アーム42及び第2アーム45が一方側領域61から他方側領域62に移動した後には、各アーム42、45の移動による慣性力がリンク機構4に働く。他方側領域62において、メインモータ51は、慣性力で作動するリンク機構4に対して、不足する駆動力を補うように駆動すればよい。つまり、本構成によれば、重力によるトルクΔT及び慣性力を利用することで、全体としてリンク機構4の作動に必要なメインモータ51の出力を低減させることができる。また、メインモータ51の最大出力を上げることなく(メインモータ51の大型化なく)、搬送速度の高速化が可能となる。
【0059】
また、上記設計例の構成によれば、第1アーム42と第2アーム45とを同様の構成(同型)とした上で、第1アーム42と第2アーム45との質量差を調整するだけで、メインモータ51の出力を低減させる構成を実現することができる。つまり、容易且つ低コストにトルクΔTが生じる構成を実現できる。また、ワーク8の移動軌跡を直線状にすることができ、振動低減及び省スペース化が可能となる。
【0060】
(ギヤ装置の制御)
一方側最遠状態にあるリンク機構4を他方側最遠状態にするために、制御装置58は、ロックを解除し、メインモータ51を一方向(例えば正回転側)に駆動し、従動軸531を反時計回りに回転させる。同時に、制御装置58は、サブモータ56を駆動させ、従動ギヤ53に反対力を付与する。
【0061】
摩擦力を除いて考えると、リンク機構4が一方側最遠状態から中央状態になるまでの間、第1アーム42及び第2アーム45には、主に、移動をアシストする力として重力によるトルクΔTとメインモータ51の駆動力とが加わり、移動を妨げる力としてサブモータ56による反対力が加わる。続いて、リンク機構4が中央状態から他方側最遠状態になるまでの間、第1アーム42及び第2アーム45には、主に、移動をアシストする力として慣性力とメインモータ51の駆動力とが加わり、移動を妨げる力としてトルクΔTと反対力とが加わる。
【0062】
したがって、制御装置58は、例えば、リンク機構4が中央状態から他方側最遠状態になるまでの間、又は中央状態を過ぎて慣性力がなくなる位置(推定位置)から他方側最遠状態までの間、メインモータ51の駆動力を、一方側最遠状態から中央状態までの間に加える駆動力よりも大きくする。メインモータ51は、少なくとも中央状態を過ぎて慣性力がなくなる位置(推定位置)から他方側最遠状態までの間、それまでの駆動力よりも大きな駆動力を従動軸531に付与するといえる。なお、リンク機構4が一方側最遠状態から他方側最遠状態になるまでの間、制御装置58は、メインモータ51の駆動力を一定にしてもよい。
【0063】
一方、他方側最遠状態にあるリンク機構4を一方側最遠状態にするために、制御装置58は、メインモータ51を他方向(逆回転側)に駆動し、従動軸531を時計回りに回転させる。また、同時に、制御装置58は、サブモータ56を駆動させ、従動ギヤ53に反対力を付与する。
【0064】
この場合も、リンク機構4が他方側最遠状態から中央状態になるまでの間、第1アーム42及び第2アーム45には、移動をアシストする力としてトルクΔTとメインモータ51の駆動力とが加わり、移動を妨げる力として反対力が加わる。また、リンク機構4が中央状態から一方側最遠状態になるまでの間、第1アーム42及び第2アーム45には、移動をアシストする力として慣性力とメインモータ51の駆動力とが加わり、移動を妨げる力としてトルクΔTと反対力とが加わる。したがって、上記同様、メインモータ51が、少なくとも中央状態を過ぎて慣性力がなくなる位置(推定位置)から一方側最遠状態までの間、それまでの駆動力よりも大きな駆動力を従動軸531に付与するように、制御装置58はメインモータ51を制御する。
【0065】
また、移動中のリンク機構4を中央状態で停止させる場合、制御装置58は、メインモータ51を制御して、離間距離D1、D2が0となる位置で第1アーム42及び第2アーム45を停止させる。メインモータ51が停止すると、メインモータ51の駆動力が0となり、固定手段512(電磁ブレーキ)により駆動ギヤ52が固定される。ここで、サブモータ56等がない従来の構成では、駆動ギヤ52と従動ギヤ53とのかみ合い部分で振動が発生し、歯と歯の衝突による騒音が発生する。振動や歯と歯の衝突は、他のタイミングでも起き得るが、メインモータ51の停止時に顕著となる。
【0066】
本実施形態では、制御装置58が、メインモータ51とともにサブモータ56を制御することで、上記のようなバックラッシュによる振動を抑制することができる。制御装置58は、メインモータ51の駆動力による駆動ギヤ52の回転に応じて、サブモータ56を制御して、従動ギヤ53の回転方向とは反対方向の力である反対力をサブギヤ55に付与する。制御装置58は、サブモータ56を制御して、メインモータ51が従動ギヤ53に加える力(トルク)の向きとは反対向きの力(トルク)を従動ギヤ53に加える。これにより、バックラッシュがない状態と同様の状態を形成することができ、ギヤ間の振動は抑制される。
【0067】
制御例として、一方側最遠状態にあるリンク機構4を移動させて中央状態で停止させる場合、制御装置58は、メインモータ51を駆動させるとともに、サブモータ56も駆動させる。本例の制御装置58は、メインモータ51の駆動と同時にサブモータ56も駆動させる。メインモータ51は、制御装置58の制御により、サブモータ56の駆動力よりも大きい駆動力で、例えば自身の最大出力の50%の駆動力で、従動ギヤ53を反時計回りに回転させる。制御装置58は、例えばリンク機構4が中央状態になるまで、駆動力を従動ギヤ53に付与する。
【0068】
サブモータ56は、制御装置58の制御により、メインモータ51の駆動力よりも小さい駆動力(反対力)、例えば自身の最大出力の10%の駆動力を、サブギヤ55及び従動軸531を介して従動ギヤ53に付与する。サブモータ56は、メインモータ51が駆動したときから駆動し、リンク機構4が中央状態で停止した後も同方向の駆動力を所定時間付与し続ける。もし、メインモータ51停止後、ある時間経過後、再びメインモータ51を駆動し、リンク機構4を中央状態から他方側最遠状態にする場合、再度メインモータ51が駆動開始するまでサブモータ56は反対力を付与し続けてもよい。
【0069】
また、制御装置58は、例えば、リンク機構4が一方側最遠状態と中央状態との間の所定位置に達すると、サブモータ56の駆動力を増大させて(例えば100%)、第1アーム42及び第2アーム45の移動に対するブレーキ力を増大させる。これにより、第1アーム42及び第2アーム45の速度が低下し、第1アーム42及び第2アーム45の停止が緩やかになる。そして、制御装置58は、第1アーム42及び第2アーム45の停止後、例えば初期の駆動力(最大出力の10%)に戻すなど、サブモータ56の駆動力を小さくする。
【0070】
このように、制御装置58は、離間距離D1、D2が0でない状態から0である状態に近づくほど、サブモータ56の出力を大きくし、離間距離D1、D2が0である状態になった場合、サブモータ56の出力を小さくする。このような制御は、作動対象(ここではアーム)の停止前に、作動対象に対してブレーキ力を発揮させるため、作動対象の緩やかな停止が可能となる。この制御は、ギヤ装置5を他の装置に適用した場合でも実行可能である。なお、本例のサブモータ56の出力の変遷は、第1アーム42移動開始から停止までにおいて、初期設定出力(メインモータ51作動開始時)、最大出力、初期設定出力(メインモータ51停止時以降)の順に変化する。
【0071】
制御装置58は、リンク機構4が中央状態になった際に、メインモータ51の固定手段512により、出力軸511が回転しないようにする。制御装置58は、リンク機構4が中央状態になった際に、メインモータ51の出力軸511が回転しないように、メインモータ51を非通電状態に制御して電磁ブレーキを有効にする。
【0072】
リンク機構4が中央状態で停止した際、出力軸511及び駆動ギヤ52は固定され、従動ギヤ53の歯はサブモータ56の駆動力により、駆動ギヤ52の回転時と同様に駆動ギヤ52の歯に押し付けられている。駆動ギヤ52は、サブモータ56からトルクを受けても、メインモータ51のブレーキ機能により停止した状態が維持される。このように、サブモータ56でメインモータ51とは反対の力を従動ギヤ53に加えることで、ギヤ間の振動を抑制することができる。
【0073】
サブモータ56は、制御装置58の制御により、リンク機構4が中央状態から他端側最遠状態になるまでの間も、メインモータ51とは反対方向の駆動力を従動ギヤ53に付与してもよい。この場合、制御装置58は、他方側最遠状態において、メインモータ51の回転方向及びサブモータ56の回転方向をそれぞれ反転させる。この際、駆動ギヤ52の歯と従動ギヤ53の歯とが離間し、互いにこれまでとは異なる歯面に当接する。この際に衝撃とその音が発生し得るが、振動でなく衝突が1回であるため悪影響は小さい。そして、他方側最遠状態にあるリンク機構4を移動させて中央状態で停止させる場合、メインモータ51は従動ギヤ53を時計回りに回転させる力を出力し、サブモータ56は従動ギヤ53を反時計回りに回転させる力を出力する。
【0074】
他方側最遠状態から移動して中央状態でリンク機構4を停止させる場合でも、従動ギヤ53には、サブモータ56の駆動力がメインモータ51の駆動力とは反対方向に付与されるため、上記同様、第1アーム42及び第2アーム45の停止時における振動は抑制される。反対力の付与により移動において力のロスが生じるが、メインモータ51停止時の振動を抑制できる効果に比べると小さいロスといえる。
【0075】
このように、本実施形態によれば、サブモータ56の駆動力(反対力)により、リンク機構4の移動中及び停止中において、従動ギヤ53の歯が駆動ギヤ52の歯に押し付けられた状態が継続する。これにより、メインモータ51稼働中及び停止後の振動が抑制される。
【0076】
制御装置58は、例えば、ユーザの操作又はプログラム等により、リンク機構4を中央状態で停止させるタイミングを把握している場合、リンク機構4が一方側最遠状態又は他方側最遠状態にある際に、次のメインモータ51の駆動後にリンク機構4を中央状態で停止させるというタイミングでサブモータ56を駆動させ、その他の状況ではサブモータ56を停止させていてもよい。制御装置58は、リンク機構4を停止させる前の最遠状態から中央状態への移動時にのみ、サブモータ56を駆動させてもよい。
【0077】
本制御例のまとめとして、制御装置58は、第1アーム42及び第2アーム45を、メインモータ51の駆動力によって、離間距離D1、D2が0でない状態から0である状態に向けて移動させる移動処理を実行し、移動処理に続いて第1アーム42及び第2アーム45を離間距離D1、D2が0である状態で停止させる停止処理を実行する。この場合、制御装置58は、サブモータ56が、移動処理中(移動処理開始時を含む)に反対力をサブギヤ55に付与し始め、停止処理が完了してから所定時間が経過するまで、継続して反対力を付与するように、サブモータ56を制御する。制御装置58は、移動処理開始と同時に又は移動処理開始後から停止処理開始までに、サブモータ56を駆動させる。
【0078】
このように、本実施形態の搬送装置1によれば、バックラッシュによる振動を抑制することができる。搬送装置1のように、アーム(メインモータ51)をある位置で停止させた場合に振動が発生しやすい装置にギヤ装置5が適用されると、ギヤ装置5が効果的に機能し、振動が抑制される。また、サブモータ56の経年劣化は小さく、サブギヤ55に必要な駆動力を継続的に付与でき、メンテナンス性も向上する。
【0079】
<その他>
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、搬送装置1において、サブモータ56の駆動タイミングは、メインモータ51と同時に限らず、例えばメインモータ51の停止直前又はアームを緩やかに停止させるための制動力が必要なタイミングであってもよい。ただし、メインモータ51の作動開始(移動処理の開始)と同時にサブモータ56を作動させることで、簡易な制御で、アーム移動中の歯同士の衝突も抑制することができる。また、メインモータ51の固定手段は、上記に限らず、モータ分野で周知のブレーキ機能を適用できる。
【0080】
(第3アームの追加)
また、リンク機構には別のアームが追加されてもよい。例えば、リンク機構40は、
図6に示すように、本実施形態の構成に対してさらに、第3回転ギヤ46と、第3アーム47と、を備えている。第3回転ギヤ46は、第2アーム45の第2連結部452に回転可能に支持され、第2回転ギヤ44の回転に連動して第2回転ギヤ44の回転方向とは逆方向に回転する。第3回転ギヤ46は、例えばアイドルギヤ(図示略)を介して第2回転ギヤ44と接続されている。
【0081】
第3アーム47は、第1アーム42よりも短いアーム状部材である。第3アーム47は、第3回転中心部471と、第3連結部472と、第3中央部473と、を備えている。第3回転中心部471は、第3アーム47のうち、第3回転ギヤに連結された部分である。この連結は、第2回転ギヤ44と第2アーム45との連結と同様、第3回転ギヤ46と連動して回転する軸状部材461により実現される。第3回転中心部471は、第3アーム47の一端部(上端部)である。
【0082】
第3連結部472は、第3アーム47のうち、第3回転中心部471より下方に位置する部分である。第3連結部472は、第3アーム47の他端部(下端部)である。第3連結部472には、搬送部材7とワーク8が配置される。
【0083】
第3中央部473は、第3アーム47のうち、第3回転中心部471から第3連結部472まで駆動軸21に直交する方向に延びる部分である。第3中央部473は、第3回転中心部471と第3連結部472とをつなぐ部分ともいえる。リンク機構40は、第1連結部422、第2連結部452、及び第3連結部472が、駆動軸21の回転に応じて、仮想平面91の一方側領域61と他方側領域62とを行き来するように構成されている。
【0084】
第3連結部472と仮想平面91との離間距離D3は、0から第3所定値(第3所定値>第2所定値>第1所定値)までの範囲で変動する。離間距離D3は、離間距離D1、D2が0になったときに0になる。
【0085】
図6の矢印に示すように、第2アーム45が時計回りに回転して仮想平面91に接近すると、第3回転ギヤ46及び第3アーム47が反時計回りに回転して仮想平面91に接近する。第2実施形態においても、リンク機構40は、駆動軸21に加わる接近トルクT1が離間トルクT2よりも大きくなるように構成されている。これにより、第1実施形態同様の効果が発揮される。
【0086】
例えば、第3アーム47により第3回転ギヤ46に加わるモーメントを第3モーメントM3とすると、T1=M1+M2+M3、及び、T2=(M2+M3)×2が成り立つ。T2の式の「×2」はギヤ比である。第3アーム47の長さや質量等は、T1>T2が成り立つように設定される。
このように、本発明は、上記実施形態の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
【解決手段】本発明は、メインモータ51の駆動力により回転する駆動ギヤ52と、駆動ギヤ52とかみ合った従動ギヤ53と、従動ギヤ53の回転軸を構成し、作動対象にメインモータ51の駆動力を伝達する従動軸531と、従動ギヤ53又は従動軸531に設けられ従動ギヤ53と一体的に回転する一体ギヤ54とかみ合ったサブギヤ55と、サブギヤ55を回転させるサブモータ56と、サブモータ56を制御する制御装置58と、を備え、制御装置58は、サブモータ56が、メインモータ51の駆動力による駆動ギヤ52の回転に応じて、従動ギヤ53の回転方向とは反対方向の駆動力である反対力をサブギヤ55に付与するように、サブモータ56の駆動力を制御する。