【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題を解決するための手段は、下記のとおりである。
【0006】
第1に、
第1工程(トレース工程)として、下絵を描いたベース紙に、0.056ミリメートルの厚さのトレーシングペーパを重ねて、下絵をトレーシングペーパにトレースした後で、
第2工程(マスキング工程)として、該ベース紙に、必要箇所のマスキングを行い、
第3工程(金属箔貼工程)として、前記ベース紙に、金属箔を、接着剤としての膠を用いて重ね貼りし、
第4工程(熱圧着工程)として、該重ね貼りした金属箔の上に、当て紙を載せ、当て紙の表面温度が40〜60℃、好ましくは45〜55℃、より好ましくは48〜52℃、更に好ましくは50℃で熱圧着することで、ベース紙と金属箔とを一体化し、
第5工程(「彫り込み」工程)として、乾燥させた後で、熱圧着した金属箔の上に、下絵をトレースしたトレーシングペーパを配置した後に、該トレーシングペーパの上から、例えば剣先0.8〜2.0ミリメートルの磨きヘラで行う「彫り込み」により、下絵による微細な凹状部を、ベース紙と一体となった金属箔に形成し、
第6工程(鉛筆表現工程)として、該凹状部に基づいて、鉛筆によって対象物を表現することを特徴とする、金属箔を用いた絵画の製造方法。
第2に、
前記第6工程(鉛筆表現工程)における鉛筆による対象物の表現は、
下絵による微細な凹状部を形成した金属箔に、シーラーを塗布した後に、鉛筆で描くことで行うものであることを特徴とする、上記第1に記載の金属箔を用いた絵画の製造方法。
第3に、
前記第6工程(鉛筆表現工程)における鉛筆による対象物の表現は、
下絵による微細な凹状部を形成した金属箔に、シーラーを塗布した後に、鉛筆で描くことを、複数回繰り返すことを特徴とする、上記第1に記載の金属箔を用いた絵画の製造方法。
第4に、
前記第6工程(鉛筆表現工程)における鉛筆による対象物の表現は、
下絵による微細な凹状部を形成した金属箔に、シーラーを塗布した後に、鉛筆で下描きを行い、
該下描き後に、更にシーラーを塗布した後に、鉛筆で中描きを行い、
該中描き後に、更にシーラーを塗布した後に、鉛筆で上描きを行うことで行うことを特徴とする、上記第1に記載の金属箔を用いた絵画の製造方法。
第5に、
ベース紙に金属箔を、接着剤としての膠を用いて重ね貼りして一体化し、
該重ね貼りした金属箔に対して、例えば剣先0.8〜2.0ミリメートルの磨きヘラで「彫り込み」により形成されている微細な凹状部に基づいて、鉛筆によって対象物が表現されていることを特徴とする、金属箔を用いた絵画。
第6に、
前記鉛筆による対象物の表現は、下絵による微細な凹状部を形成した金属箔に、シーラーを塗布した後に、鉛筆で描くことを複数回繰り返したものであることを特徴とする、上記第5に記載の金属箔を用いた絵画。
第7に、
前記鉛筆による対象物の表現は、下絵による微細な凹状部を形成した金属箔に、シーラーを塗布した後に、鉛筆で下描きを行い、
該下描き後に、更にシーラーを塗布した後に、鉛筆で中描きを行い、
該中描き後に、更にシーラーを塗布した後に、鉛筆で上描きを行うものであることを特徴とする、上記第5に記載の金属箔を用いた絵画。
【0007】
前記第5工程(「彫り込み」工程)におけるトレーシングペーパの上から行う、例えば剣先0.8〜2.0ミリメートルの磨きヘラを用いた「彫り込み」は、トレーシングペーパ自体を彫って破いたり、積層された金属箔自体を削るものではなく、ベース紙と一体化された金属箔に対して、トレッシングペーパの下絵に基づき、例えば磨きヘラの先端を微細線状に押し込むことによって、微細な凹状部を形成するものである。
【0008】
「彫り込み」に使用する道具としては、例えば剣先0.8〜2.0ミリメートルに加工した超硬金属による磨きヘラを用いるのが望ましいが、鉄筆等を用いることもできる。
ここで、剣先が0.8ミリメートル未満だと、トレッシングペーパが破れるリスクが高くなり、2.0ミリメートルより大きいと、微細な表現が困難になる。
【0009】
金属箔としては、厚さの異なる金箔、銀箔、プラチナ箔等を使用することができる。
トレッシングペーパの厚みが、0.056ミリメートルより大きい場合には、微細な凹状部をベース紙と一体化した金属箔に形成するのが困難となり、0.056ミリメートル未満の場合には、「彫り込み」工程において、トレッシングペーパが破れるリスクが高くなる。
【0010】
ベース紙としては、360キログラムのケント紙を使用することが望ましい。
ケント紙を用いるのは、色鉛筆書きが鮮明となるためである。
また、360キログラムの特厚のケント紙を用いるのは、例えば剣先0.8〜2.0ミリメートルの磨きヘラによる彫り込み深さを、細かく調整することが可能となり、鉛筆による濃淡が鮮明となり、より深みのある表現が可能となるためである。