(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1〜
図3に示す超音波洗浄装置1は、槽2と外箱3と超音波振動子4とポンプ5とを備えている。槽2は、例えばステンレス鋼(SUS)で形成されている。槽2は、鉛直方向に平行な側面を形成する側面板21と、鉛直方向に直角な水平方向に平行又は傾斜した底面を形成する底面板22とを有する。なお、底面板22は、後述する第1空間25(洗浄空間)の底面板22aと第2空間26の底面板22bとを有する。側面板21は、
図3に示す平面視で直角四角形を形成するように配置される。底面板22は、側面板21の下端に接続されている。側面板21の上端により
図3の平面視で直角四角形の開口が形成されている。なお、超音波洗浄装置1は、槽2の開口を閉塞する蓋7(
図1、
図2参照)を備えている。蓋7は開閉可能に設けられる。
【0013】
槽2は、側面板21の上端から水平方向外側に屈曲する屈曲部23を有する。屈曲部23は、
図3の平面視で見て、側面板21の上端にて形成される開口と相似する直角四角形の外縁を形成する。屈曲部23は外箱3の上端にシリコン8(
図1、
図2参照)を間に挟んで支持されている。
【0014】
槽2の側面板21(屈曲部23を除く)及び底面板22は外箱3に接触していない。つまり、側面板21及び底面板22と外箱3との間には隙間が形成されている。より詳しくは、側面板21とこれに対向する外箱3の側面板32との間には隙間が形成されている。また外箱3には底面板が設けられていない。そのため、槽2の底面板22は、外箱3(超音波洗浄装置1)の接地面に露出しており、底面板22と接地面の間には隙間が形成されている。このように、槽2は、上部(屈曲部23)のみが外箱3に支持されている。
【0015】
また、槽2は内部に仕切り板24を備えている。仕切り板24は、鉛直方向に平行な仕切り面(平面)を形成するように設けられる。この仕切り板24により、槽2の内部には2つの空間25、26が形成されている。空間25、26は、仕切り板24を間に挟んで水平方向に並ぶように形成される。第1空間25は、超音波振動子4及び洗浄対象(図示外)を入れるための空間(以下洗浄空間という場合がある)である。第2空間26は、洗浄空間25から仕切り板24を超えて溢れた液体を溜めるための空間である。
【0016】
槽2の側面板21は、仕切り板24の下端242(
図1参照)から下方に向かって、仕切り板24と連続する平面を形成する連続側面板21a(
図1参照)を有する。仕切り板24及び連続側面板21aは単一の平板から構成されている。連続側面板21aは洗浄空間25の側面の一部を形成する。
【0017】
洗浄空間25は側面板21、底面板22a及び仕切り板24により直方体状の空間に設定されている。洗浄空間25の底面板22aは鉛直方向に直角な水平方向に平行な底面を形成するように設けられる。また、底面板22aは、第2空間26の底面板22bよりも下方に設けられている。洗浄空間25は、大型の洗浄対象(例えば車のホイールなど)を収容可能に形成されている。具体的には、洗浄空間25の高さH1(
図1参照)は例えば500mm以上1000mm以下に設定される。洗浄空間25の水平方向における長手方向幅X1(
図3参照)は例えば500mm以上1000mm以下に設定される。洗浄空間25の水平方向における短手方向幅Y(
図3参照)は例えば300mm以上700mm以下に設定される。また、洗浄空間25の底面板22aから仕切り板24の上端241までの高さH2(
図1参照)は、洗浄空間25の高さH1よりも低く、例えば500mm以上900mm以下に設定される。高さH2は、洗浄空間25に液体を最大限入れた場合の液面W1の高さに相当する。
【0018】
洗浄空間25の下部には液体を洗浄空間25に流入させ、又は洗浄空間25から流出させるための液流通穴27が形成されている。液流通穴27は、仕切り板24に連続して設けられる連続側面板21aの下部に設けられる。より具体的には、液流通穴27は、高さ方向(
図1、
図2の紙面の上下方向)において、第2空間26の底面22bよりも洗浄空間25の底面22aに近い位置に形成されている。また液流通穴27は、ポンプ5の吐出口52(
図2参照)よりも下方に設けられている。本実施形態では、液流通穴27はポンプ5の本体よりも下方に設けられている。また液流通穴27は、後述の第2空間26に形成された液流通穴28(
図1〜
図3参照)よりも下方に設けられている。
【0019】
第2空間26は、側面板21、底面板22b及び仕切り板24によりほぼ直方体状の空間に設定されている。第2空間26は洗浄空間25よりも小さい空間に設定されている。具体的には、第2空間26の底面22bは、洗浄空間25の底面22aよりも高い位置に設けられている。第2空間26の底面22bから仕切り板24の上端241までの高さH3は、洗浄空間25の上記高さH1、H2よりも小さい。また、洗浄空間25の長手方向幅X1に平行な方向における第2空間26の幅X2(
図3参照)は、長手方向幅X1よりも小さい。また、第2空間26の、水平方向における幅X2に直角な方向の幅は、洗浄空間25の短手方向幅Yと同じである。
【0020】
第2空間26の底面板22bは水平方向に対して若干傾斜した状態で設けられる(
図2参照)。具体的には、
図2に示すように、底面板22bは、槽2の短手方向(換言すれば仕切り板24の上端241の延設方向)における、底面板22bの一端22b1から他端22b2に近づくにしたがって次第に下方に変位するように設けられる。
【0021】
底面板22bには、第2空間26から液体を流出させるための液流通穴28が形成されている。
図2に示すように、液流通穴28は、底面板22bの傾斜方向における両端22b1、22b2のうち上方側の端部22b1よりも下方側の端部22b2に寄った位置に形成されている。より具体的には、液流通穴28は、底面板22bの傾斜方向における上方側の端部22b1と下方側の端部22b2との中間位置よりも下方側の端部22b2に寄った位置に形成されている。また、液流通穴28は、ポンプ5の吸い込み口51(
図2参照)よりも上方に設けられている。本実施形態では、液流通穴28はポンプ5の本体よりも上方に設けられている。また液流通穴28は、洗浄空間25の液流通穴27よりも上方に設けられている。
【0022】
なお、超音波洗浄装置1は液体中の油等の汚れを除去するフィルタ30を備えている(
図1参照)。フィルタ30は例えばウレタンにより形成されたスポンジフィルタであり、第2空間26に溜められる液体の液面W2(
図1参照)に浮かんだ状態に設けられる。
【0023】
ここで、仕切り板24の板厚方向と鉛直方向の両方に直角な方向を仕切り板24の幅方向(
図2の紙面の左右方向)と定義する。仕切り板24の幅方向における両端243、244が、槽2の側面板21に直角に接続されている。
【0024】
仕切り板24の上端241は、水平方向に平行に延びるように形成される。また上端241は、槽2の上端屈曲部23よりも下方に位置する。上端241には、下方に凹んだ溝245が形成されている(
図4参照)。溝245は、上端241の幅方向(延設方向)に沿って間隔d3をあけて繰り返し(複数)形成されている。溝245は、上端241の幅方向における両方の端部に位置する端溝245aと、端溝245a以外の溝245b(内側溝という)とを有する。各内側溝245bは互いに同一のV字状に形成されている。内側溝245bの、上端241の幅方向における幅d1は、例えば、複数の内側溝245bの間に形成される平坦部246の上記幅方向における幅d3と等しい。ただし、これに限定されず、内側溝245bの幅d1は平坦部246の幅d3よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。内側溝245bの深さd2は例えば内側溝245bの幅d1よりも小さい。ただし、これに限定されず、内側溝245bの深さd2は幅d1と等しくてもよいし、幅d1より大きくてもよい。
【0025】
端溝245aは、内側溝245bの形状(V字状)を半分にした形状(傾斜直線状)に形成されている。端溝245aの底部245a1が側面板21に接触している。端溝245aの深さは、内側溝245bの深さd2と等しい。すなわち、端溝245aの底部245a1と、内側溝245bの底部245b1とは同一の高さ位置に設けられる。
【0026】
溝245間に形成される部分246(平坦部)は、
図4の方向から見て、仕切り板24の幅方向に平行な直線状に形成される。
【0027】
外箱3は、例えばステンレス鋼(SUS)で形成されている。外箱3は、槽2の周囲を囲むように設けられる。具体的には、外箱3は、
図5に示すように、直方体状の外枠部31と、外枠部31で囲まれる空間の側方を塞ぐ側面板32とを備える。外枠部31は角パイプにて構成されている。外枠部31は、水平方向に設けられる、平面視で直角四角形の枠を形成する上水平枠部311と、上水平枠部311の下方において上水平枠部311に平行に設けられて平面視で直角四角形の枠を形成する下水平枠部312と、上下水平枠部311、312に垂直に設けられて、上水平枠部311の角部と下水平枠部312の角部との間を接続する垂直枠部313とを備える。
【0028】
上水平枠部311に槽2の上端屈曲部23がシリコン8を介して接続されている。これにより、外箱3は槽2を支持する。
【0029】
外箱3の内側かつ槽2の外側にはポンプ5の収容空間500が形成されている(
図1、
図2参照)。外箱3の側面板32のうち、ポンプ収容空間500を閉塞する位置に設けられる側面板32a(
図1、
図5参照)は開閉可能に設けられる。したがって、側面板32aを開けたときには、ポンプ収容空間500及びそこに設けられるポンプ5は外部から目視可能となる。なお、側面板32aが設けられずに、常時、ポンプ収容空間500が外部に露出されるようにしてもよい。
【0030】
また、外箱3は4つのキャスター33を備える。各キャスター33は下水平枠部312の角部付近に取り付けられている。
【0031】
超音波振動子4は、洗浄空間25の底面22aに載置されている。超音波振動子4は電力の供給により超音波を発振する部材である。超音波振動子4の超音波発振周波数は例えば40kHzである。また超音波振動子4の超音波発振出力は後述の制御部90により調整可能である。また、超音波振動子4は洗浄空間25に着脱可能に設けられる。
【0032】
なお、超音波洗浄装置1は、超音波振動子4を保護するための保護フレーム6(
図1参照)を備える。保護フレーム6は、超音波振動子4を覆った状態で洗浄空間25の底板22aに載置される。保護フレーム6は、超音波振動子4の上方を、超音波振動子4の上面との間で隙間を形成するように覆う上方覆い部6aを有する、上方覆い部6aは、例えば金属で網状に形成されるとともに、水平に配置される。この上方覆い部6aに洗浄対象が載せられることで、洗浄対象と超音波振動子4とが接触しないようになっている。
【0033】
ポンプ5は、槽2の液体を循環させるためのポンプであり、より具体的には、第2空間26の液体を吸い込んで、吸い込んだ液体を洗浄空間25に送るためのポンプである。ポンプ5は、例えば渦巻きポンプであり、高揚程型(例えば最高揚程が10m以上)のポンプである。ポンプ5は上記ポンプ収容空間500に配置される。具体的には、
図1に示すように、ポンプ支持部510が、ポンプ収容空間500において該空間500に対面する側面板21aに取り付けられている。ポンプ5はこのポンプ支持部510に取り付けられている。このように、ポンプ5は、ポンプ支持部510を介して側面板21aに取り付けられている。また、ポンプ5は、第2空間26の液流通穴28よりも低い位置に設けられ、洗浄空間25の液流通穴27よりも高い位置に設けられる。ポンプ5は、
図2に示すように、吸い込み口51と吐出口52とを有しており、吸い込み口51から液体を吸い込んで、吸い込んだ液体を吐出口52から吐出するように構成される。
【0034】
また、超音波洗浄装置1は、ポンプ5と槽2とを接続する
管10、11、12と、
管10、11、12の途中に設けられるバルブ13〜16とを備えている(
図1、
図2参照)。なお、
図2ではバルブ13〜16を図示を省略している。第1の
管10は、第2空間26の液流通穴28と、ポンプ5の吸い込み口51との間を接続する吸込側
管である。
図2に示すように、吸込側
管10は、上流側の部分10aと下流側の部分10bとを有している。上流側部分10aは金属製の剛体
管として構成されている。上流側部分10aの一端が第2空間26の液流通穴28に接続され、他端が下流側部分10bの一端に接続されている。下流側部分10bは、例えば樹脂等の軟質素材で形成された軟質
管として構成されている。さらに、下流側部分10bは透光性を有する素材で形成されている。なお、下流側部分10bの透光性の程度は、後述の絞り
管40の後方側で発生する気泡(マイクロバブル)を下流側部分10bの外側から目視できる程度であればよく、例えば下流側部分10bの可視光透過率は10%以上である。下流側部分10bの一端が上流側部分10aに接続され、他端がポンプ5の吸い込み口51に接続されている。なお、以下では、下流側部分10bを吸込側
管という場合がある。
【0035】
第2の
管11は、ポンプ5の吐出口52と洗浄空間25の液流通穴27との間を接続する吐出側
管である。吐出側
管11は、途中に2方向に分岐する分岐部11dを有しており、分岐後の一方の流路を形成する部分11bの端部が洗浄空間25の液流通穴27に接続されている。分岐後の他方の流路を形成する部分11cの端部が外部に開放されている。
【0036】
第3の
管12は、吸込側
管10の上流側部分10aから分岐するように設けられる。
管12の一端が上流側部分10aに接続され、他端は外部に開放されている。
【0037】
第1のバルブ13は、吸込側
管10に設けられ、具体的には、吸込側
管10の上流側部分10aの、第3の
管12との接続部よりも下流側に設けられる。第1のバルブ13は上流側部分10aの流路の開閉を手動で切り替えるバルブとして構成されている。
【0038】
第2のバルブ14は、吐出側
管11に設けられ、具体的には、吐出側
管11の分岐部11dよりも上流側に設けられる。第2のバルブ14は、吐出側
管11の分岐部11dよりも上流側の流路の開閉を手動で切り替えるバルブとして構成されている。
【0039】
第3のバルブ15は、吐出側
管11に設けられ、具体的には、吐出側
管11の、端部が外部に開放された分岐後部分11cに設けられる。第3のバルブ15は、分岐後部分11cの流路の開閉を手動で切り替えるバルブとして構成されている。
【0040】
第4のバルブ16は、第3の
管12に設けられる。第4のバルブ16は第3の
管12の流路の開閉を手動で切り替えるバルブとして構成されている。
【0041】
超音波洗浄装置1は絞り
管40(
図6〜
図9参照)を備えている。絞り
管40は、槽2に入れた液体中の溶存気体(酸素、窒素、二酸化炭素等)の泡を発生させて、液体の脱気を行うための部材である。絞り
管40は、絞り
管40の全体が吸込側
管10の下流側部分10bの中に挿入された状態で設けられる(
図6参照)。絞り
管40は、例えば塩化ビニル等の硬質樹脂により円筒状に形成されている。また、絞り
管40は例えば不透過性の素材(不透明な素材)により形成されているが、透過性の素材で形成されてもよい。絞り
管40は、内側に、吸込側
管10の下流側部分10bの流路径よりも小さい径の絞り流路401を形成する。絞り流路401の径は、ポンプ5の吸い込み力により液体が絞り流路401を流れたときに、絞り流路401の出口部403の後方側に液体中の溶存気体の泡を発生させるように定められている。なお、絞り流路401の、絞り
管40の中心軸線Lに直角な断面は円形である。
【0042】
絞り
管40(絞り流路401)の入口部402は下流方向に進むにしたがって次第に縮径する形状(テーパ形状)に形成されている。より具体的には、入口部402は、絞り
管40の中心軸線Lに直角な面を形成する外周部402aと、外周部402aの内側において下流方向に進むにしたがって次第に縮径する形状(テーパ形状)に形成される傾斜部402bとを有する。外周部402a及び傾斜部402bは、
図8の方向から見て環状に形成されている。
【0043】
絞り流路401は、中心軸線Lの方向に沿って一定の径の流路を形成する一定径部404を有する。一定径部404は、入口部402と出口部403の間に形成される。一定径部404の、中心軸線Lの方向における幅d12(
図6参照)は、入口部402の、中心軸線Lの方向における幅d11(
図6参照)よりも大きく、具体的には例えば幅d11の5倍以上である。
【0044】
絞り流路401の出口部403は、中心軸線Lに略直角な端面403aと、その端面403aの中心に形成される絞り流路401の開口403b(出口)とを有する。端面403aは、中心軸全Lに直角な面又は直角に近い面として形成される。端面403aの中心軸線Lに対する角度θ1(
図6参照)は、入口部402の傾斜部402bの、中心軸線Lに対する角度θ2(
図6参照)よりも大きく、角度θ2よりも90度に近い角度に設定される。
【0045】
また、絞り
管40は、出口部403の端面403aから後方側(下流側)に中心軸線Lに平行に突出した突出部405を有する。突出部405は、
図6、
図7の側方から見て、出口部403の後方側の気泡発生領域450を隠蔽しない形状に形成されており、換言すれば、気泡発生領域450に側方から導通した形状に形成されている。具体的には、突出部405は、端面403aの、開口403bを中心とした周方向における一部区間から突出するように設けられる。また、突出部405は周方向に沿って間隔をあけて複数(具体的には4つ)形成されている。
【0046】
各突出部405の、出口部403(端面403a)からの突出量d13(突出部405の中心軸線Lの方向における幅)(
図6参照)は互いに同じである。その突出量d13は、絞り流路401(後述の本体部41)の中心軸線Lの方向における長さ(入口部402の上記幅d11と、一定径部404の上記幅d12との合計)よりも小さい。具体的には突出量d13は絞り流路401の長さ(=d11+d12)の2分の1よりも小さく、より具体的には例えば3分の1よりも小さい。
【0047】
本実施形態では、複数の突出部405は周方向に等間隔又はほぼ等間隔で形成されているが、等間隔に形成されなくてもよい。複数の突出部405の間には、気泡発生領域450に導通する空間(換言すれば切り欠き部)が形成されている。
【0048】
各突出部405の、開口403bを中心とした周方向における幅d21(
図9参照)は、各突出部405の間に形成される空間(以下突出部間空間)の、周方向における幅d22(
図9参照)より小さい。ここでは、4つの突出部405のいずれの幅d21も、4つの突出部間空間のいずれの幅d22よりも小さい。
【0049】
以下、絞り
管40のうち、絞り流路401を形成する部分(突出部405以外の部分)を本体部41という。突出部405は、
図9の方向(中心軸線Lに直角な平面視)で見て略三角形に形成されている。つまり、突出部405の先端面405aは、
図9の方向から見て略三角形に形成されている。突出部405は、
図9の方向から見て、本体部41の外周線と一致した円弧の外周線を有する。言い換えれば、突出部405は、本体部41の外周側面(曲面)と連続した外周側面(曲面)を有する。また、
図9の方向から見て、突出部405は、出口部403の開口403bから径方向に離れた位置に形成されている。なお、本体部41と突出部405とは同一素材で一体に形成されている。本体部41及び突出部405は円筒素材を切削加工することにより形成されている。
【0050】
絞り
管40は吸込側
管10bの中に着脱可能に設けられる。つまり、絞り
管40と吸込側
管10bとを固定する固定部材(ネジ等の締結部材やテープ等の接着部材)は設けられていない。したがって、絞り
管40は吸込側
管10bから取り外しが可能である。
【0051】
また、絞り
管40(本体部41)の外周側面が吸込側
管10bの内面に密着している。また、突出部405の先端面405aはポンプ5の吸い込み口51の端面に接触している。つまり、突出部405は吸い込み口51で位置決めされている。
【0052】
超音波洗浄装置1は、超音波振動子4の出力等を制御する制御部90と、制御部90を支持する支持部95とを備えている(
図1参照)。制御部90は、電源のオンオフを切り替える電源スイッチ91と、超音波振動子4に供給する電力(換言すれば超音波振動子4の出力パワー)を調整する出力調整部92と、超音波振動子4の出力レベルを表示する表示部93と、ポンプ5のオンオフを切り替えるポンプスイッチ94とを有する。出力調整部92によって調整可能な最大出力値は例えば1000Wである。表示部93は、予め定められた最大出力値(例えば1000W)に対する現在の出力値の割合(0〜100%)を表示する。
【0053】
支持部95は、制御部90が載せられる台95aと、この台95aを外箱3の上端(換言すれば、槽2の上端屈曲部23)に掛ける引っ掛け部95bとを有する。引っ掛け部95bは、外箱3に対して着脱可能に設けられる。したがって、支持部95及びこれに支持される制御部90は、外箱3の上端の周方向における任意の位置に設置が可能となっている。このように、制御部90は、支持部95を介して外箱3の上端から吊り下がった状態に設けられる。制御部90は、超音波振動子4及びポンプ5と電気ケーブルで接続されている。
【0054】
次に、超音波洗浄装置1の作用効果を説明する。超音波洗浄装置1を使用する場合には、先ず、槽2の蓋7を開けて、槽2に液体として洗浄液(例えば水)を入れる。このとき、洗浄液に洗剤等の添加剤を混ぜてもよい。槽2に入れる液量は、洗浄空間25から仕切り板24を超えて第2空間26に溢れる量とする。したがって、洗浄液を槽2に入れた後の状態は、洗浄空間25での液面W1(
図1参照)が仕切り板24の上端241と同じ高さ位置にある状態となる。また第2空間26にも水が入れられた状態となる。次に、洗浄空間25に車のホイール等の洗浄対象を入れる。また、第2空間26にフィルタ30を入れて液面W2に浮かべた状態にする。なお、洗浄対象やフィルタ30は、槽2に洗浄液を入れる前に予め槽2に入れてもよい。
【0055】
その後、制御部90の電源スイッチ91をオンし、出力調整部92を操作して超音波振動子4を作動させる。さらに、ポンプスイッチ94をオンしてポンプ5を作動させる。ポンプ5を作動させるときには、第1のバルブ13及び第2のバルブ14を開いた状態にするとともに、第3のバルブ15及び第4のバルブ16を閉じた状態にする。
【0056】
ポンプ5が作動することで、第2空間26の洗浄液は、液流通穴28から吸込側
管10を通ってポンプ5に吸い込まれる。ポンプ5に吸い込まれた洗浄液は、吐出口52から吐出側
管11及び液流通穴27を通って洗浄空間25に送られる。洗浄空間25の下から洗浄液が送られることで、洗浄空間25の洗浄液は仕切り板24を超えて第2空間26に溢れる。これにより、洗浄空間25の洗浄液はポンプ5によって循環する。
【0057】
また、循環する洗浄液が絞り
管40の絞り流路401(本体部41)に達すると、流路断面積が狭くなることで流速が速くなり、洗浄液の動圧(単位体積当たりの運動エネルギー)が急激に上昇するとともに静圧(圧力)が急激に低下する。その後、洗浄液が絞り流路401を通過すると、流路断面積が広がるために流速が遅くなり、洗浄液の動圧が急激に低下するとともに静圧が急激に上昇する。このような急激な圧力変化により、絞り流路401の後方側の領域450でキャビテーションが発生して、液中に溶存している気体(空気)の泡が発生する。この気泡が、洗浄液とともに洗浄空間25に送られて、洗浄空間25の液中を上昇していき、最終的に液面W1から外側に放出される。このようにして、洗浄液の脱気が行われる。脱気が行われることで、洗浄空間25の広範囲に超音波を伝搬させることができ、広範囲にわたって超音波によるキャビテーション現象を効果的に発生させることができる。これにより、洗浄対象を効果的に洗浄できる。特に、本実施形態では、槽2は大型に構成されており、液面W1付近は超音波振動子4からの距離が大きいので、底面22a付近に比べて超音波が伝わりにくい。しかし、脱気を行うことで、液面W1付近においてもキャビテーション現象を効果的に発生させることができる。
【0058】
なお、脱気が十分に行われたか否かは槽2に発生する超音波による音の大きさで判断できる。具体的には、脱気が不十分の場合には、超音波によるキャビテーション現象の発生も不十分となることで、槽2に発生する音は小さい。脱気が十分に行われた場合には、キャビテーションが効果的に発生することで、槽2に発生する音が大きくなる。
【0059】
また、絞り
管40は気泡発生領域450に側方から導通した形状に形成されており、なおかつ、吸込側管10bは透光性を有する素材で形成されるので、吸込側
管10bを通して気泡発生領域450を目視できる。これにより、絞り管40での気泡の発生状況を簡易かつ正確に判断できる。
【0060】
ここで、絞り管40での気泡の発生は、絞り流路401の断面積やポンプ5の性能(具体的にはポンプ5の揚程など)やポンプ5に供給される商用電源周波数の違い(50Hz、60Hzの違い)に影響される。例えば、ポンプ5の揚程が高いほど気泡が発生しやすい。また、一般的なポンプでは、商用電源周波数が60Hzのほうが50Hzよりも揚程が高い。したがって、商用電源周波数が60Hzのほうが50Hzよりも気泡が発生しやすい。仮に絞り管40において気泡が効果的に発生していない場合には、例えば、絞り管40を、絞り流路401の断面積が異なる別の絞り管40に交換したり、揚程が高い別のポンプ5に交換したりするなどの対応をとることができる。この場合、絞り管40は吸込側管10bに挿入さされた状態で設けられており、締結部材や溶接や接着部材(テープ等)で固定されているわけではないので、簡単に絞り管40を吸込側管10bから取り外すことができる。また、別の絞り管40を簡単に吸込側管10bに装着できる。
【0061】
また、絞り流路401の後方側は気泡発生領域450に側方から導通する空間(突出部間空間)が周方向に複数(具体的には4つ)形成されるので、絞り管40が中心軸線L回りのどの向きにあったとしても、気泡発生領域450を目視できる。さらに、突出部間空間の周方向幅d22(
図9参照)は突出部405の周方向幅d21(
図9参照)よりも大きいので、気泡発生領域450を目視しやすい。
【0062】
また、突出部405がポンプ5の吸い込み口51で位置決めされているので、絞り管40をポンプ5手前のより近い位置に正確に配置させることができる。位置決め部としての突出部405は複数設けられるので、絞り管40に液体が流れる最中に、絞り管40の位置がずれてしまうのを抑制できる。さらに、突出部405の中心軸線Lの方向における幅d13は本体部41の中心軸線Lの方向における幅(d11+d12)よりも小さいので、絞り管40をポンプ5手前のより近い位置に配置させることができる。これによって、効率的に洗浄液を絞り管40に流すことができ、絞り管40において気泡を効果的に発生させることができる。また、絞り管40がポンプ5により近い位置に設けられることで、絞り管40で発生した気泡が洗浄空間25に送られる前に消滅してしまうのを抑制できる。
【0063】
また、絞り
管40の入口部402はテーパ状に形成されているので、洗浄液を、絞り流路401の一定径部404に滑らかに案内でき、入口部402での洗浄液の圧力損失を抑制できる。
【0064】
また、絞り流路401の出口部403は、入口部402に比べて中心軸線Lに直角な面に近い角度の面に形成されており、つまり絞り流路401の一定径部404から急激に拡径する形状に形成されているので、絞り流路401の内外での液体の圧力変化を大きくでき、気泡発生領域450においてキャビテーションによる気泡を効果的に発生させることができる。
【0065】
また、絞り
管40の下流側には、高揚程型(例えば最高揚程が10m以上)のポンプ5が設けられるので、洗浄液を絞り
管40の流路401に効率良く流通させることができる。
【0066】
また、洗浄液は、洗浄空間25の上部から第2空間26に流出し、洗浄空間25の下部から流入するように循環するので、洗浄空間25において洗浄液の流れを生じさせることができ、流れが無い場合に比べて洗浄力を強化できる。また、洗浄空間25からの液流出部は仕切り板24の上端241に設定され、洗浄空間25への液流入口27は、第2空間26の底面22bよりも洗浄空間25の底面22aに近い位置、かつ、ポンプ5よりも下方の位置に設定されるので、洗浄空間25の上下方向の広範囲に洗浄液の流れを生じさせることができる。これによって、上下方向の広範囲で洗浄力を強化できる。
【0067】
また、仕切り板24の上端241には溝245が形成されているので、流路断面積が溝245の位置で絞られることで、洗浄空間25から第2空間26への洗浄液の流速を高くできる。これにより、洗浄液を、洗浄空間25から第2空間2へと効率的に流すことができる。また、洗浄空間25の液面W1の面内の、仕切り板24の上端241から離れた位置においても、上端241に向かう流れを生じさせることができる。これにより、液面W1に洗浄対象から落とされた汚れが留まってしまうのを抑制できる。これにより、洗浄後に洗浄対象を洗浄空間25から引き上げるときに、洗浄対象に汚れが再付着してしまうのを抑制できる。
【0068】
さらに、溝245は、上端241の幅方向における端部に形成される端溝245aを含むので、端部に汚れが留まってしまうのを抑制できる。
【0069】
また、第2空間26の底面板22bは傾斜した状態に設けられ、その底面22bに形成される液流通穴28は、底面板22bの傾斜方向における下方側の端部22b2に寄った位置に形成されているので(
図2参照)、第2空間26の液体を液流通穴28の方に案内でき、液流通穴28から流出させやすくできる。さらに、液流通穴28は、ポンプ5よりも上方に設けられているので、第2空間26からポンプ5への洗浄液の吸い込みを効率よく行わせることができる。以上より、ポンプ5による洗浄液の循環効率を向上できる。
【0070】
また、第2空間26にはフィルタ30が設けられるので、洗浄液を清浄にしたうえで洗浄空間25に戻すことができる。これにより、洗浄対象に汚れが再付着してしまうのを抑制できる。さらに、フィルタ30は第2空間26の液面W2に浮かべた状態に設けられるので、フィルタ30の第2空間26への設置、フィルタ30の掃除、又はフィルタ30の取り換えが容易である。また、ポンプ5はフィルタ30で汚れを除去した後の洗浄液を吸い込むので、ポンプ5及び配管10、11、12の内部に汚れが溜まってしまうのを抑制できる。
【0071】
また、洗浄空間25の液流通穴27には、外部に開放した
管11b、11cが接続されるので、洗浄後に、洗浄空間25の液体を、液流通穴27及び
管11b、11cを通して外部に排出できる。洗浄空間25の液体を排出させるには、
図1に示す第2のバルブ14を閉じ、かつ、第3のバルブ15を開けばよい。また、液流通穴27は洗浄空間25の下部に形成されるので、液体を排出させたときに、洗浄空間25に液体が残ってしまうのを抑制できる。
【0072】
また、第2空間26の液流通穴28には、一端が外部に開放された第3の
管12が接続されるので、洗浄後に、第2空間26の液体を、液流通穴28及び第3の
管12を通して外部に排出できる。第2空間26の液体を排出させるには、
図1に示す第1のバルブ13を閉じ、かつ、第4のバルブ16を開けばよい。液流通穴28は、第2空間2の傾斜した底面22bの下方側に形成されるので、液体を排出させたときに、第2空間26に液体が残ってしまうのを抑制できる。
【0073】
また、槽2とこれを支持する外箱3とは上部以外は接触していないので、超音波振動子4からの超音波による振動が槽2から外箱3に伝わってしまうのを抑制でき、つまり超音波による外箱3の共振を抑制できる。これにより超音波の減衰を抑制できる。また、槽2と外箱3とはシリコン8を介して接続されるので、超音波による振動が槽2から外箱3に伝わるのをより一層抑制できる。
【0074】
なお、本開示は上記実施形態に限定されず種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、吸込側管のうち、絞り管が設けられる部分が透光性を有する素材で形成された例を説明したが、絞り管で効果的に気泡を発生することを確認できた後は、透光性を有しない素材(換言すれば遮光性素材、不透明素材)で形成された吸込側管を備えた超音波洗浄装置に絞り管が組み込まれてもよい。また、上記実施形態では、絞り管の突出部の個数が4つの例を示したが、何個であってもよく、1つであってもよい。
【解決手段】超音波洗浄装置は、槽の液体を循環させるためのポンプの吸い込み側の管10bの中に全体が挿入された状態で設けられる流路絞り部としての絞り管40を備える。絞り管40は、絞り流路401の出口部403から後方側に突出した突出部405を有する。突出部405は、絞り管40の周方向における一部区間から後方側に突出するように設けられるとともに、周方向において間隔をあけて複数設けられる。突出部405の先端405aがポンプの吸い込み口51で位置決めされている。絞り管40の入口部402はテーパ状に形成される。出口部403の面403aは、入口部402よりも、絞り管40の中心軸線Lに直角な面に近い角度の面に形成される。吸込側管10bは透光性を有する素材で形成される。