(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976633
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】しっとり感に優れた色調化粧料組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20211125BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20211125BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20211125BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20211125BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20211125BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20211125BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/44
A61K8/36
A61K8/81
A61K8/02
A61Q1/02
A61Q1/12
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-545210(P2019-545210)
(86)(22)【出願日】2017年5月26日
(65)【公表番号】特表2019-537626(P2019-537626A)
(43)【公表日】2019年12月26日
(86)【国際出願番号】KR2017005534
(87)【国際公開番号】WO2018088656
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2020年5月25日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0148985
(32)【優先日】2016年11月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】サン−フン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】キョン−ウ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】キョン−ソプ・キム
【審査官】
片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−195485(JP,A)
【文献】
特開2011−136917(JP,A)
【文献】
特開2002−255746(JP,A)
【文献】
特表2010−503726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絹雲母、合成マイカ及び球状粉体を含み、
前記絹雲母は、ラウロイルグルタミン酸2ナトリウム及びジミリスチン酸アルミニウムでコーティングされた、粉体色調化粧料組成物。
【請求項2】
前記組成物は、脂肪酸、乳化剤、またはこれらの混合物でコーティングされたタルクをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の粉体色調化粧料組成物。
【請求項3】
前記絹雲母は、化粧料組成物の総重量対比0.1〜2重量%のラウロイルグルタミン酸2ナトリウム、及び0.5〜5重量%のジミリスチン酸アルミニウムでコーティングされたことを特徴とする請求項1に記載の粉体色調化粧料組成物。
【請求項4】
前記絹雲母は、化粧料組成物の総重量対比5〜30重量%で含まれることを特徴とする請求項1に記載の粉体色調化粧料組成物。
【請求項5】
前記絹雲母の平均粒径は、5〜25μmであることを特徴とする請求項1に記載の粉体色調化粧料組成物。
【請求項6】
前記合成マイカは、マイカの結晶構造4面体にあるアルミニウム原子の一部または全部が鉄原子で置換されたことを特徴とする請求項1に記載の粉体色調化粧料組成物。
【請求項7】
前記合成マイカは、化粧料組成物の総重量対比1〜15重量%で含まれることを特徴とする請求項1に記載の粉体色調化粧料組成物。
【請求項8】
前記球状粉体は、ポリメチルメタクリレートを含むことを特徴とする請求項1に記載の粉体色調化粧料組成物。
【請求項9】
前記球状粉体は、化粧料組成物の総重量対比0.5〜7重量%で含まれることを特徴とする請求項1に記載の粉体色調化粧料組成物。
【請求項10】
前記球状粉体と合成マイカとの重量比は、1:0.2〜1:2(球状粉体:合成マイカ)であることを特徴とする請求項1に記載の粉体色調化粧料組成物。
【請求項11】
前記球状粉体及び合成マイカと絹雲母との重量比は、1:0.2〜1:3(球状粉体及び合成マイカ:絹雲母)であることを特徴とする請求項1に記載の粉体色調化粧料組成物。
【請求項12】
組成物の総重量に対して、ポリメチルメタクリレート(PMMA)0.5〜7重量%、鉄で置換した合成マイカ1〜15重量%、ラウロイルグルタミン酸2ナトリウム及びジミリスチン酸アルミニウムでコーティングされた絹雲母5〜30重量%、体質顔料30〜50重量%、及びオイル0.1〜15重量%を含む粉体色調化粧料組成物。
【請求項13】
(s1)絹雲母、合成マイカ及び球状粉体を含む粉体部を撹拌する段階;(s2)前記粉体部にオイル部を噴射する段階;及び(s3)前記(s2)段階の生成物を混合し、粉砕及び濾過する段階を含み、
前記絹雲母は、ラウロイルグルタミン酸2ナトリウム及びジミリスチン酸アルミニウムでコーティングされた、粉体色調化粧料組成物の製造方法。
【請求項14】
前記(s1)段階は、追加的に脂肪酸、乳化剤、またはこれらの混合物でコーティングされたタルクをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の粉体色調化粧料組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色調化粧料組成物に関し、より詳しくは、柔らかくて滑らかに塗り心地が向上してすべすべした肌の化粧表現が可能であると共に、しっとり感に優れた色調化粧料組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
本出願は、2016年11月9日出願の韓国特許出願第10−2016−0148985号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
一般的なメイクアップ化粧料には液状ファンデーションまたは固形ファンデーションなどがあり、主成分がパウダーであるコンパクト、ツーウェイケーキ、プレスドパウダーまたは圧縮パクトなどがある。これら製品はしみまたはくすみなどをカバーするためのものであって、肌カバー力を与えると同時に華やかな肌表現のために使われる。前記メイクアップ化粧料は、塗り心地、密着性及びしっとりする使用感を有するものの、粒子の固まりによって化粧浮きが生じ得る。
【0004】
近年のメイクアップトレンドを見れば、メイクアップ化粧料にはカバー力、密着力または塗り心地などの基本属性だけでなく、しっとり感も求められている。また、メイクアップ化粧料を使用する消費者もしっとり感を非常に重要に思い、しっとり感は製品の選択基準で主要な購買指数(key buying factor)になっている。そこで、メイクアップ化粧料のしっとり感を向上させるため、多様な研究が行われている。しかし、通常の色調化粧料、特に液状または固形のファンデーション化粧料でしっとり感を向上させる場合、密着性が低下する問題点がある。また、油相及び水相の比率を変化させてしっとり感を向上させることができるが、肌のテカリが増加して化粧が滑らかではなく、局所部位にオイルまたは粒子の固まり現象が生じることがある。また、粘度の低いオイル及びフェニル基が末端または分枝型に結合されたオイルを使用する場合、光沢感及びしっとり感が向上するものの、密着性及び持続力が低下するという短所がある。
【0005】
また、パウダーが主成分であるパウダーファンデーションまたはコンパクトなどの化粧料にしっとり感を与えるため、高含量のエステルオイルをオイルバインダー形態で配合する方法、天然由来ワックスまたは合成ワックスなどで粉体の表面を改質する方法、及びポリオール、油剤、澱粉または変性澱粉などを含む水中油型エマルションバインダーを含む剤形など多様な方法が提案されているが、これら方法はそれぞれの限界を有している。
【0006】
すなわち、圧縮成形のために使われる結合剤であるオイルバインダーで高含量のエステルオイルを配合すれば、しっとり感は向上するものの配合含量に限界がある。また、天然由来ワックスまたは合成ワックスなどで粉体表面をコーティングまたは改質する場合、少量では効果を十分発揮できず、多量をコーティングすればワックス特有のべたつきと結合力のため、表面染み現象が生じたり、または、製品をパフやブラシなどで取り出す(pick−up)とき、製品を取り出せない恐れがある。また、オイルまたはワックスなどの固まりによって現れるグレージング(greasing)現象またはケーキング(caking)現象などが生じ得る。また、澱粉または変性澱粉を含み、ポリオール及び油剤が混合された水中油型エマルション剤形の化粧料は、剤形内の水分を蒸発させて安定性を向上させるため焼成工程を経るが、しっとり感を与えるための水相の精製水が焼成過程で消失し、しっとり感を発揮できないこともある。また、前記焼成タイプのメイクアップ化粧料は、水分散バインダー、油中水型または水中油型エマルションバインダーを用いて剤形化が試みられているが、しっとり感を与えるには限界がある。また、焼成タイプの化粧料は、表面が硬くて割れる現象があり、落下安定性が低く、色相表現力の十分でないという短所がある。
【0007】
メイクアップ化粧料において、しっとりした使用感及び密着力は必須に求められる要素であるが、特にパウダー剤形は剤形的な特性からしっとりした使用感を与えるには限界がある。また、パウダー剤形はケーキング現象またはグレージング現象などが生じ得、製品塗布の際、化粧ムラ現象または粒子の固まりによった化粧浮き現象などが引き起こされ得る。このように、化粧料のしっとりした使用感を向上させるため多様な方法が試みられているが、未だ実効性が足りなく消費者が体感するほどの効果は発揮できない実情である。
【0008】
したがって、しっとりした使用感及び密着性を同時に向上させながら、化粧ムラ現象なく、すべすべした肌の化粧表現力に優れた色調化粧料組成物の開発が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、しっとりした使用感及び密着性を同時に向上させ、肌の表現が滑らかで化粧浮き現象が少ない色調化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、湿式コーティングされた絹雲母、合成マイカ及び球状粉体を含む色調化粧料組成物を提供する。また、前記組成物は、脂肪酸、乳化剤、またはこれらの混合物でコーティングされたタルクをさらに含むことができる。また、前記色調化粧料組成物は、望ましくは、粉体色調化粧料組成物であり得る。
【0011】
本発明者らは、色調化粧料において、互いに相対的な属性を有してトレードオフ(trade−off)関係にあるしっとり感及び密着性を同時に向上させるために鋭意研究した。その結果、本発明者らはしっとりした使用感を向上させるため、柔らかい使用感を具現する絹雲母を選択し、特定粒径と分布度を有する絹雲母を対象に表面の改質を多様に試みた。また、柔らかい塗り心地のため、分散性に優れながら粉体の粒径分布度が広くなくてシャープ(sharp)な球状粉体を一緒に使用した。また、密着性のため、特定素材で加工処理されたタルクを素材として選択して使用した。このようにして製造された色調化粧料組成物は、塗り心地及びしっとり感が優れ、同時に肌密着性が優れて滑らかな化粧効果が奏されるという驚くべき知見に至り、本発明を完成した。
【0012】
本発明において、絹雲母は、湿式コーティングされた絹雲母であって、しっとりした性質を向上させるため、表面特性が改質されたものであるかまたはコーティングされたものを使用できる。望ましくは、前記絹雲母は、ラウロイルグルタミン酸2ナトリウム(disodium lauroyl glutamate)、ジミリスチン酸アルミニウム(aluminium dimyristate)、またはこれらの混合物で湿式コーティングされたものを使用できる。前記ラウロイルグルタミン酸2ナトリウムは、敏感な肌に使用可能なマイルドな界面活性剤であって、肌親和性に優れる。また、前記ジミリスチン酸アルミニウムは、粉体表面を金属性脂肪酸でコーティング改質して粉体と肌との密着性を向上させると同時に、他の粉体との相互結合力を強化させて成形性にも優れた素材である。本発明において、前記絹雲母の湿式コーティングに使用される溶媒は、精製水、エタノール及びイソプロピルアルコールなどからなる群より選択されたいずれか1つ以上が使用され、これらに限定されることはない。また、前記化合物の外に、多様なコーティング剤を使用して絹雲母を改質することで、化粧料の使用感、塗り心地及び安定性などの物性に影響を与えることができる。
【0013】
前記絹雲母は、化粧料組成物の総重量対比0.1〜2重量%、望ましくは0.5〜1.5重量%のラウロイルグルタミン酸2ナトリウム、及び0.5〜5重量%、望ましくは1〜3重量%のジミリスチン酸アルミニウムで湿式コーティングできる。本発明の化粧料組成物は、上記のような特定の重量比の化合物で湿式コーティングされた絹雲母を含むことで、化粧料組成物のしっとりした使用感及び肌密着性を最大限に発揮することができる。
【0014】
また、前記絹雲母、望ましくは湿式コーティングされた絹雲母は、吸油力が約0.9〜1.3cc/gであり得る。前記絹雲母は、例えば、K.S.Pearl社製のSericite JまたはEast Hill社製のSericite E−CL、J&J社製のSericite FFAなどを使用できるが、これらに限定されない。
【0015】
本発明において、前記絹雲母の平均粒径は、5〜25μm、望ましくは6〜20μm、より望ましくは8〜15μmであり得る。絹雲母の平均粒径によって化粧料組成物のしっとりした使用感の程度が変わり得る。本発明の化粧料組成物は、上記のような平均粒径を有する絹雲母を含む場合、最も優れたしっとり感を発揮することができる。
【0016】
本発明においては、前記絹雲母を化粧料組成物の総重量対比5〜30重量%、望ましくは8〜20重量%、より望ましくは10〜15重量%で含むことができる。前記絹雲母の含量が5重量%未満であれば、しっとり感及び柔らかい塗り心地の効果が十分発揮できないか、または、僅かな程度である。また、前記絹雲母の含量が30重量%を超えれば、化粧ムラ現象が引き起こされ、パフ及びブラシなどの化粧道具を使用して製品を取り出すとき、粉が多く発生して粉飛散現象が生じ、成形安定性も低下する問題点がある。
【0017】
本発明において、前記合成マイカは、鉄で置換された合成マイカを使用することができる。合成マイカは、鉱石から得られた原物質を加工処理して使用するものではなく、元素を用いて合成するため、天然マイカより白色度が優れ、不純物が少なくて純度が高い特徴がある。本発明において、前記合成マイカは、合成マイカのうち、異なる性質を有するように改質されたものであることを特徴とする。すなわち、前記合成マイカは、鉄で置換された合成マイカであって、具体的に、マイカの結晶構造4面体にあるアルミニウム原子(Al)の一部または全部を鉄原子(Fe)で置換して合成した赤い茶色の粉体を含むものを使用できる。
【0018】
一方、合成マイカの色相は、か焼(calcination)過程の温度によって多様に具現できる。望ましくは、本発明による鉄で置換された合成マイカは、酸化鉄色素の含量を減らして、肌色と類似に演出されたものを使用できる。本発明による鉄で置換された合成マイカは、体質顔料としてだけでなく、肌色を演出するための着色顔料としての機能も果たすことができる。また、本発明による鉄で置換された合成マイカは、他の合成マイカに比べてしっとりした性質及び滑らかな感触がより優れ、鉄を含むことでUV吸収能も有している。
【0019】
本発明において、前記合成マイカの平均粒径は、5〜35μm、望ましくは7〜20μm、より望ましくは8〜13μmであり得る。本発明の化粧料組成物は、上記のような平均粒径を有する合成マイカを含む場合、最も優れたしっとり感を発揮することができる。
【0020】
本発明においては、前記合成マイカを化粧料組成物の総重量対比1〜15重量%、望ましくは2〜10重量%、より望ましくは3〜5重量%で含むことができる。前記合成マイカの含量が1重量%未満であれば、しっとり感及び柔らかい塗り心地の効果が十分発揮できないか、または、僅かな程度である。また、前記合成マイカの含量が15重量%超えれば、化粧ムラ現象が引き起こされ、パフ及びブラシなどの化粧道具を使用して製品を取り出すとき、粉が多く発生して粉飛散現象が生じ、成形安定性も低下する問題点がある。
【0021】
本発明において、前記球状粉体はポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むことができる。前記ポリメチルメタクリレートは、吸油力が約0.5〜1.5cc/gであり得、表面処理されていない非多孔質の真球状粉体を使用できる。望ましくは、前記ポリメチルメタクリレートは微粒子の分布度が広くなくて均一且つシャープであり得る。望ましくは、前記ポリメチルメタクリレートは均一なサイズの分散相を有する分散系からなる単分散相(mono−dispersed)であり得る。また、前記ポリメチルメタクリレートは、残留モノマーが除去された真球状粒子を使用できる。前記ポリメチルメタクリレートは、例えば、NEGAMI Chemical Industrial社製のArtPearl K7PまたはAICA Kogyo社製のGM−0800Sなどを使用できるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明において、前記球状粉体の平均粒径は、5〜25μm、望ましくは6〜20μm、より望ましくは8〜12μmであり得る。本発明の化粧料組成物は、上記のような平均粒径を有する球状粉体を含む場合、最も優れた塗り心地を発揮することができる。
【0023】
本発明においては、前記球状粉体を化粧料組成物の総重量対比0.5〜7重量%、望ましくは1〜5重量%、より望ましくは2〜4重量%で含むことができる。前記球状粉体の含量が7重量%を超える場合は、パフ及びブラシなどの化粧道具を使用して製品を取り出すとき、粉が多く発生して粉飛散現象が生じ、成形安定性も低下する問題点がある。また、前記球状粉体の含量が0.5重量%未満であれば、肌に塗布したとき、柔らかい塗り心地を十分発揮できない。
【0024】
本発明においては、前記球状粉体と合成マイカとを1:0.2〜1:2(球状粉体:合成マイカ)の重量比で含むことができる。前記球状粉体及び合成マイカが上記の重量比で含まれる場合、化粧料組成物の塗り心地としっとりした感触を最大限に発揮することができる。また、前記球状粉体及び合成マイカと絹雲母とは1:0.2〜1:3(球状粉体及び合成マイカ:絹雲母)の重量比で含有できる。前記球状粉体及び合成マイカと絹雲母とが上記の重量比で含まれる場合、化粧料組成物がしっとりした使用感及び密着性を同時に満足させることができる。
【0025】
また、本発明の色調化粧料組成物は、体質顔料として脂肪酸、乳化剤、またはこれらの混合物でコーティングされたタルクをさらに含むことができる。望ましくは、前記タルクはステアロイルグルタミン酸2ナトリウムでコーティングされたタルクを使用でき、このような場合、化粧料組成物の塗り心地及び密着性が優れ、粉飛散現象が減少し、成形性及び落下安定性も向上する。ただし、本発明において、前記コーティングされたタルクはステアロイルグルタミン酸2ナトリウムでコーティングされたタルクに限定されず、脂肪酸及びアミノ酸系列またはエステルオイル系列の乳化剤などを含む物質でコーティング処理されたタルクが含まれ得る。
【0026】
本発明において、粉体は通常1mm以下の粒子サイズを有する固体物質の集合体を意味し得る。本発明の組成物で使用可能な粉体は、化粧品分野で通常使用される体質顔料、着色顔料及び白色顔料などからなる群より選択されたいずれか1つ以上を含むことができる。望ましくは、本発明の化粧料組成物は前記体質顔料を含むことができる。前記体質顔料は、タルク、マイカ、カオリン、アルミナ、ケイ酸バリウム、白雲母、合成雲母、炭酸マグネシウム及びゼオライトなどを含む無機顔料;ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー、ポリスチレンパウダーなどを含む有機顔料などからなる群より選択されるいずれか1つ以上を使用できる。また、上記の例示に限定されず、当業界で通常知られている体質顔料、例えば[現代化粧品学、チョ・ワング、ラン・ムンチョン、ベ・ドクファン共著、韓国学術情報(株)、2007.2.出版]に記載された体質顔料などを本発明の組成物に体質顔料として使用可能である。
【0027】
前記体質顔料は、化粧料組成物の総重量対比30〜50重量%、望ましくは32〜48重量%、より望ましくは35〜45重量%で含有できる。前記体質顔料が30重量%未満であれば、塗り心地が低下し得、50重量%超過の場合は、粉体の固まり現象が生じ得る。
【0028】
望ましくは、前記体質顔料は疎水化処理されたものを使用できる。具体的に、前記体質顔料は、シリコーン類、炭化水素類、フッ素、アルキル水素ポリシロキサン、界面活性剤及び天然及び合成ワックスなどからなる群より選択されたいずれか1つ以上で表面を改質して使用可能である。また、前記白色顔料は、シリコーン類、エステル系オイル、水酸化アルミニウム及びステアリン酸などからなる群より選択されたいずれか1つ以上でコーティング処理された二酸化チタンまたは酸化亜鉛などを使用できるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明による化粧料組成物は、前記粉体が結合されて成形されるようにオイル、望ましくはオイルバインダーを含むことができる。前記オイルは、その種類が限定されず、化粧料組成物で通常使用されるオイルを使用可能である。前記オイルは、ミネラルオイルなどを含む炭化水素系オイル;トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、リンゴ酸ジイソステアリル、水添ポリイソブテン(hydrogenated polyisobutene)、フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニルダイマージリノール酸(phytosteryl/isostearyl/cetyl/stearyl/behenyl dimer dilinoleate)、水添ロジン酸メチル(methyl hydrogenated rosinate)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(caprylic/capric triglyceride)、ミリスチン酸イソプロピル(isopropyl myristate)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(neopentyl glycol dicaprate)及びステアロイルステアリン酸オクチルドデシル(octyldodecyl stearoyl stearate)などを含むエステル系オイル;オリーブオイル及びマカダミアオイルなどを含む植物性オイル;及びシクロメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン及びジメチコンなどを含むシリコーンオイルからなる群より選択されたいずれか1つ以上を使用できるが、これらに限定されることはない。
【0030】
前記オイルは、化粧料組成物総重量対比0.1〜15重量%、望ましくは3〜13重量%、より望ましくは5〜12重量%で含有できる。前記オイルが0.1重量%未満であれば、粉体が十分結合できず、15重量%を超えれば、オイルによる粉体の固まり現象が生じ得る。
【0031】
本発明の色調化粧料組成物は、上述した成分の外に、組成物の効果を低下させない範囲内で香料、着色剤、防腐剤、酸化安定化剤、紫外線遮断剤及びパール剤などからなる群より選択されたいずれか1つ以上をさらに含むことができる。前記化粧料組成物は、固形のスティックまたはケーキ剤形であり得、具体的にプレスドパウダー、プレスドパクト、パウダーパクト、パウダーファンデーション、ファンデーションパクト及びプレスドパウダーファンデーションなどからなる群より選択されたいずれか1つのパウダー剤形であり得、これらに限定されることはない。
【0032】
また、本発明は、化粧料組成物総重量対比ポリメチルメタクリレート(PMMA)0.5〜7重量%、鉄で置換した合成マイカ1〜15重量%、ラウロイルグルタミン酸2ナトリウム及びジミリスチン酸アルミニウムでコーティングされた絹雲母5〜30重量%、体質顔料30〜50重量%、及びオイル0.1〜15重量%を含む色調化粧料組成物を提供する。望ましくは、前記化粧料組成物は、ステアロイルグルタミン酸2ナトリウムでコーティングされたタルクをさらに含むことができる。上記のような特定の重量比を有する成分の組合せを含む色調化粧料組成物は、しっとりした感触が向上し、柔らかくて滑らかな塗り心地が向上してすべすべした肌の化粧表現が可能であるだけでなく、密着性に優れる。
【0033】
また、本発明は、(s1)湿式コーティングされた絹雲母、合成マイカ及び球状粉体を含む粉体部を撹拌する段階;(s2)前記粉体部にオイル部を噴射する段階;及び(s3)前記(s2)段階の生成物を混合し、粉砕及び濾過する段階を含む色調化粧料組成物の製造方法を提供する。望ましくは、前記(s1)段階は、追加的に脂肪酸、乳化剤、またはこれらの混合物でコーティングされたタルクをさらに含むことができ、このような場合、化粧料組成物の塗り心地、密着性、成形性及び落下安定性を著しく向上させることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の色調化粧料組成物は、しっとりした感触が非常に優れ、肌への塗り心地及び密着性が共に優れ、成形安定性及び落下安定性が優れる。
【0035】
また、本発明の色調化粧料組成物は、粒子の固まりによる化粧ムラ現象がなく、肌化粧が滑らかに表現されて屈曲した部分が浮き出すか又は目立って見えることがないため、肌の表現力が優れる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の理解を助けるために実施例などを挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形でき、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0037】
実施例1、2及び比較例1〜3の粉体化粧料の製造
下記表1に示された成分を用いて粉体色調化粧料を製造した。実施例1及び2ではラウロイルグルタミン酸2ナトリウム及びジミリスチン酸アルミニウムでコーティング処理された絹雲母と鉄で置換した合成マイカの含量を変えて、化粧料組成物のしっとりした感触、塗り心地及び密着性を比較分析した。
【0039】
実施例及び比較例をそれぞれの成分の含量組成に従って製造した。まず、粉体部をヘンシェルミキサに投入して高速(800〜1200rpm)で約5分間混合した後、オイル部を低速(400〜600rpm)で撹拌しながらスプレー噴射した。そして、ヘンシェルミキサで高速(800〜1200rpm)で約3分間混合し、アトマイザーを用いて2回粉砕した後、30メッシュで濾過した。この一連の製造工程を経た半製品を30〜50kgf/cm
2の圧力で1〜3秒間成形した。
【0040】
実験例1:化粧料の使用感評価
実施例1、2及び比較例1〜3で製造されたプレスドパウダーの使用感を評価した。使用感評価は、メイクアップ化粧経歴が2年以上であり、一週間に5回以上持続的に化粧する20〜45歳の未婚及び既婚女性である専門パネル38名を対象にブラインドテストを実施した。使用感評価の基準は下記表2に示された。
【0041】
使用感評価は、被験者女性の顔に実施例または比較例をそれぞれ塗布した後、使用感、特に、しっとり感、密着性、塗り心地、きれいな使用感、化粧ムラ及び化粧浮き現象、そして粉飛散現象を評価した。38名の専門パネルが評価した点数を各項目別に平均で統計処理して下記表3に点数化した。
【0044】
表3に示されたように、ポリメチルメタクリレート及び鉄で置換した合成マイカを一緒に含む実施例1、2及び比較例1〜3は柔らかい塗り心地がかなり向上した。さらに、ラウロイルグルタミン酸2ナトリウム及びジミリスチン酸アルミニウムでコーティングされた絹雲母を含む実施例1、2は、しっとりした感触及び密着性、きれいな使用感、化粧ムラ及び化粧浮き現象で優れた効果が奏された。一方、比較例1〜3は、鉄置換合成マイカの代わりにシリコーンコーティングマイカを使用し、ポリメチルメタクリレートの代わりにシリカとナイロンパウダーを一緒に使用して、塗り心地の面では優秀な評価を受けたが、化粧ムラ及び化粧浮き現象の項目と粉飛散現象で非常に低い評価を受けた。このような実験結果から、シリコーンコーティングマイカ及びシリカとともにナイロンパウダーを適用した比較例1〜3より、鉄で置換した合成マイカ及びポリメチルメタクリレートとともにラウロイルグルタミン酸2ナトリウム及びジミリスチン酸アルミニウムでコーティングされた絹雲母を含む実施例1、2が、パウダー類色調化粧料で具現できなかったしっとりした感触、密着性及び塗り心地を向上させることを確認した。
【0045】
さらに、追加的な実験を通じて、体質顔料のうち代表的に使用されているタルク成分のコーティング基材による塗り心地、密着性及び粉飛散現象などを評価した。
【0048】
表5から分かるように、アルキルシラン及びジメチコンコーティングタルクを適用した比較例4より、ステアロイルグルタミン酸2ナトリウムコーティングタルクを適用した実施例3が、塗り心地、密着性及び粉飛散現象の評価でより優秀な評価を受けた。このような結果から、色調化粧料組成物にシリコーンコーティングタルクよりもステアロイルグルタミン酸2ナトリウムコーティングタルクを適用することが望ましいことを確認できた。
【0049】
実験例2:化粧料の成形性及び安定性評価
実施例1及び3と比較例2及び3で製造したプレスドパウダーの硬度及び落下安定性を評価して、オイル及び微粒子などの固まり現象によって引き起こされるグレージング(greasing)及びケーキング(caking)現象を確認した。硬度の測定は、高分子計器株式会社製のJAL型(JIS K 6301)押針硬度計を使用し、それぞれの平均値を下記表6に示した。落下安定性の測定は、成形が完了したそれぞれの実施例及び比較例を高さ70cmで3mmのゴム板上に垂直自由落下させて破損される時期を測定した。また、製品の表面に現れるグレージング及びケーキング現象は、成形が完了した製品3個を化粧道具(パフ)を用いて女性が実際使用する力で仮定して約100〜120回製品の表面を取り出したときに現れる現象で評価した。
【0051】
表6の結果を見れば、実施例1及び3はしっとりした感触、塗り心地及び密着性の項目で高い点数を獲得しただけでなく、適正な硬度とともに落下安定性が4回以上と合格水準であると確認された。また、オイルの固まりによるグレージング及びケーキング現象でも異常なく安定していることが確認された。一方、シリカとナイロンパウダー及びシリコーンコーティングマイカを適用した比較例2及び3は、硬度が低く落下安定性で製品不合格水準であった。
【0052】
実験例3:化粧料の化粧状態評価
実施例3及び比較例3の化粧料組成物を実際肌に塗布して現れる化粧状態、すなわち、均一な化粧膜、滑らかな化粧表現及び化粧持続性を評価した。評価対象は、20〜45歳の女性28名を対象にして製品を塗るときの感じ及び状態と化粧後の持続性を確認した。
◎:最適の感触または使用感が感じられる
○:ほぼ最適の使用感が感じられるが、非常に満足する水準ではない
△:普通
×:悪い
【0054】
表7の結果を見れば、本発明によって製造された実施例3は、均一な化粧膜及び滑らかな化粧表現で非常に優れた化粧効果を奏し、化粧持続性満足度で優秀であると確認された。一方、比較例3の場合は、均一な化粧膜と滑らかな化粧表現の面から普通の水準であった。比較例3の場合は、球状パウダーの含量及びシリコーンコーティングマイカの含量が若干多いため、密着性が低くて均一な化粧膜を形成し難く、粉飛散現象が酷くて滑らかな化粧表現が具現できなかった。
【0055】
上記の結果から、本発明の化粧料組成物は、適正な平均粒径を有して粒度分布が均一なポリメチルメタクリレート、鉄置換合成マイカ、そして、ラウロイルグルタミン酸2ナトリウム及びジミリスチン酸アルミニウムでコーティングされた絹雲母を含むことで、しっとりした感触が向上し、密着性及び塗り心地が優れ、肌の表現でも滑らかで均一な化粧膜が形成される。また、本発明の化粧料組成物は、ステアロイルグルタミン酸2ナトリウムでコーティングされたタルクを含むことで、成形性及び落下安定性が著しく向上する。