(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明の課題は、顧客の所望に柔軟に対応できる電気設備計測ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、複数個のモジュールを相互に連結して構成する電気設備計測ユニットであって、各モジュールのうちの少なくとも1つが、電気設備の情報を計測するセンサを接続する接続部と、各モジュールの連結方向に貫通する電源ラインと、センサからの計測結果を電源ラインに重畳させる処理部を備えたセンサモジュールであることを特徴とする電気設備計測ユニットとする。
【0007】
また、複数個のモジュールを相互に連結して構成する電気設備計測ユニットであって、各モジュールのうちの少なくとも1つが、電気設備に設置されるデバイスを接続する接続部と、各モジュールの連結方向に貫通する電源ラインと、電源ラインに重畳した電文からデバイスへの制御信号を抽出する処理部を備えたデバイスモジュールであることを特徴とする電気設備計測ユニットする。
【0008】
また、複数個のモジュールを相互に連結して構成する電気設備計測ユニットであって、各モジュールのうちの少なくとも1つが、モジュールに配置した電源ラインに外部電源からの電力を供給する電源部と、通信部を備えた通信モジュールであり、前記通信部が、外部の通信機器からの電文を電源ラインに重畳させるか、電源ラインに重畳した電文を外部の通信機器に発信することを特徴とする電気設備計測ユニットとする。
【0009】
また、複数個のモジュールを相互に連結して構成する電気設備計測ユニットであって、他の電気設備計測ユニットの電源ラインを接続ラインで結んだ構成とすることが好ましい。
【0010】
また、通信モジュールの電源部を通信部と分離可能な別筺体に配置した構成とすることが好ましい。
【0011】
また、通信モジュールは、電気設備の情報を記録するメモリを備えた構成とすることが好ましい。
【0012】
また、複数個のモジュールを相互に連結して構成する電気設備計測ユニットであって、各モジュールのうちの少なくとも1つが、電気設備の情報を計測するセンサを接続する接続部と、各モジュールの連結方向に貫通する電源ラインと、各モジュール間で通信を行なう通信ラインと、を備え、各モジュール同士を物理的に連結することにより、電源ライン及び通信ラインの接続を行なうものとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、各モジュールを組み合わせて電気設備計測ユニットを構成することにより顧客の所望に柔軟に対応できる電気設備計測ユニットを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1及び
図2に示すことから理解されるように、実施形態の電気設備計測ユニット10は、複数個のモジュール1を相互に連結して構成している。実施形態のモジュール1は、分電盤又は配電盤に取り付けられるものである。実施形態の電気設備計測ユニット10は、センサモジュール11を備えている。
図3及び
図4に示すことから理解されるように、センサモジュール11は、電気設備の情報を計測するセンサを接続する接続部32と、各モジュール1の連結方向に貫通する電源ライン21と、センサからの計測結果を電源ライン21に重畳させる処理部31を備えている。
【0016】
より具体的には、接続部32にセンサ(電流センサ、電圧センサ、温度センサ等・・図示せず)を接続し、電流、電圧、温度等の分電盤又は配電盤の情報を計測できるように構成されている。なお、センサから処理部31に送られた計測結果は、処理部31で計測情報に変換される。また、処理部31はこの計測情報を含む電文を作成し、電源ライン21に電文を重畳させることができるようにしている。
【0017】
センサモジュール11の処理部31は電源ライン21から取り出した駆動電源によって動かすことができる。また、
図4に示すことから理解されるように、接続部32で計測した計測結果は、処理部31でA/D変換され、演算された後、通信変換が行われ電文として出力される。処理部31は、電源ライン21に重畳させるため、計測信号を含んだ電文を作成する。この電文には計測信号の他、送信元アドレス、及び送信先アドレス等が記述されている。この処理部31は、接続部32に接続したセンサで計測した、計測結果を受けて他のモジュール1を制御するための制御信号を生成することも可能である。
【0018】
例えば、センサモジュール11に接続した電流センサの計測結果が閾値を超えた場合、処理部31はブザーを接続したデバイスモジュールのアドレスを送信先アドレスに記述したり、制御信号(ブザーON)を出力したりすることが可能である。なお、処理部31より出力された電文は、電源ライン21に重畳される。
【0019】
また、実施形態の電気設備計測ユニット10は、デバイスモジュール12を備えている。
図5及び
図6に示すことから理解されるように、デバイスモジュール12は、電気設備に設置されるデバイスを接続する接続部33と、各モジュール1の連結方向に貫通する電源ライン21と、電源ライン21に重畳した電文からデバイスへの制御信号を抽出する処理部31を備えている。より具体的には、接続部33にデバイス(ブザー、ランプ等・・図示せず)を接続し、制御信号に応じてデバイスを動作させることができるように構成されている。
【0020】
図5に示すことから理解されるように、デバイスモジュール12には、デバイスと接続する処理部31を備えている。また、デバイスモジュール12に備えた処理部31は、接続部33を介してデバイスに制御信号を出力することができる。この処理部31は電源ライン21から取り出した駆動電源によって動かすことができる。また、
図5及び
図6に示すことから理解されるように、処理部31は、電源ライン21に重畳された制御情報を含む電文から制御情報を抽出することができる。これにより、デバイスに制御信号として出力することができる。処理部31より出力された制御信号は、接続部33を介してデバイスに伝達される。これによりデバイスを制御コマンドで制御することができる。
【0021】
また、実施形態の電気設備計測ユニット10は、通信モジュール13を備えている。
図7及び
図8に示すことから理解されるように、この通信モジュール13は、モジュールに配置した電源ラインに外部電源からの電力を供給する電源部38と、通信部36を備えている。この通信部36は、外部の通信機器からの電文を電源ライン21に重畳させるか、電源ライン21に重畳した電文を外部の通信機器に発信するかの少なくともいずれか一方を行うことができるように構成されている。
【0022】
図7、
図9及び
図10に示すことから理解されるように、通信モジュール13には、HUB91等を介して外部の通信機器9と接続する通信接続部34を備えている。また通信モジュール13に備えた処理部31は、通信接続部34を介して外部に出力する信号を処理することができる。
図7に示した例においては、電圧を調整可能な電源部38を備えている。この電源部38は外部電源7から電源が供給される。実施形態の処理部31は電源部38から取り出した駆動電源によって動かすことができる。
【0023】
外部電源7は電源部38を介して電源ライン21に電力を供給する。この外部電源7は計測対象(電流計測等のセンサが計測とする対象)とは異なる系統の電源とすることが好ましい。例えば外部電源7は蓄電池からなるものとし、系統電源の状態とは無関係に電力供給できるものとする。また、電源部38は例えば外部電源7が24Vの場合、モジュールが駆動するために必要な直流電源を12Vに変換するものとしてもよい。
【0024】
なお、実施形態の電源部38はD/Dコンバータで蓄電池の電圧変動等を調整することが可能である。電源部38は必要となる電源容量にあわせて電源を調整すれば良く、複数種類の電源基板を用意して対応させることができる。また、この電源部38は、計測対象となる主電路から独立したものとなるように構成している。電気や信号を流す電源ライン21をメイン電源と別にすることで、主電路が停電した場合でも盤内の計測を続行することができる。
【0025】
図9に示す例においては、計測ユニット10が1つの計測装置としてキュービクル(QB)に配置されている。また、集電箱や接続箱には、それぞれ別のユニット10が配置されている。各ユニット10は共通の接続ライン24で接続されている。より具体的には、他の電気設備計測ユニット10の電源ラインを接続ラインで結んでいる。この接続ライン24は、各ユニット10間で電力を供給すると同時に、通信を行なう通信ラインとして機能する。なお、通信モジュール13はQBにだけ配置されていればよく、この通信モジュール13と繋がる各モジュール1は、同一のユニット10のモジュール1のように通信や制御が可能となる。
【0026】
図7及び
図8に示すことから理解されるように、通信モジュール13は、電気設備の情報を記録するメモリ35を備えている。電源ライン21に重畳された計測情報は、処理部31で変換されてメモリ35に記憶することができる。このメモリ35はセンサモジュール11を介して伝達された計測情報などを一時的に記憶することができる。計測情報は通信部36を介して外部の通信機器9に一定時間毎に送信することができる。処理部31には表示部接続部37を介して表示機8が接続される。処理部31はメモリ35のデータを読み出して表示機8に表示することができる。配電盤を点検した作業者は、ユニット10の表示機8に表示された内容から、モジュール1の情報を読み取ることで配電盤に関する情報得ることもできる。なお、設定部により表示機8に表示する項目を設定することができる。
【0027】
また、
図7に示すように、通信モジュール13には、通信部36が備えられている。
図7及び
図10に示すことから理解されるように、処理部31から通信部36側に出力された信号は、この通信部36と通信接続部34を経て外部に設けた通信機器9に向けて出力される。実施形態においては、HUB91を介してコンピュータ92に出力される。このコンピュータ92は、通信モジュール13から受けた信号をもとにモジュール1及びユニット10を管理することができる。
【0028】
また、
図1、2、3、5、7に示すことから理解されるように、モジュール1は、他のモジュール1と物理的に連結するための物理的連結部22と、電気が流れる電源ライン21を備えている。この電源ライン21は、センサからの計測結果を処理部31で処理した電文を重畳させることができる。また、電源ライン21に重畳した電文については、処理部31が制御信号を抽出するように機能することで、デバイスに伝達可能となる。
【0029】
また、電源ライン21には、物理的連結部22を用いて他のモジュール1と連結することにより、他のモジュール1の電源ライン21と接続される電源連結部23を備えている。よって、電源ライン21の連結と同時に通信ラインを他のモジュール1と連結させることができる。したがって、複数のモジュール1が連結されて1つのユニット10を構成することが容易となる。このため、顧客が所望する機能のみを備えたユニット10を提供することが可能となる。なお処理部31は電源ライン21からの電源供給により駆動させることができる。
【0030】
実施形態の電気設備計測ユニット10では、各々のモジュール1は、電源ライン21が筺体の幅方向に延びるように設けられている。この電源ライン21は、モジュール1の縦、横、高さの長さのうち最も短い横の長さ方向に延びるように設けられている。また、電源ライン21の双方の端部側で他のモジュール1と連結することができる。実施形態では、複数のモジュール1で構成される電気設備計測ユニット10の一端のモジュール1から他端のモジュール1まで電源ライン21が通信ラインの機能を兼ねて貫かれている。なお、各モジュール1は固有の通信アドレスを備えている。
【0031】
各モジュール1には物理的連結部22として、凸状連結部22aと、凹状連結部22bを備えている。凸状連結部22aと凹状連結部22bは、モジュール1を組み合わせる際の位置決めの役割も果たす。
【0032】
実施形態では、センサモジュール11、デバイスモジュール12、通信モジュール13がモジュールの幅方向に積層するように組み合わせられてユニット10を構成している。センサモジュール11、デバイスモジュール12、通信モジュール13は信号を処理する処理部31を備えている。センサモジュール11の接続部32には、例えば電流計測等を行なうためのセンサを接続するが、処理部31で計測結果を計測信号に変換する。また、処理部31で処理された計測信号を含んだ電文を電源ライン21に重畳させる。
【0033】
デバイスモジュール12の接続部33には警報ランプ等のデバイスを接続するが、電源ライン21に含まれる電文から制御信号を処理部31で抽出し、デバイスを動作させる。
【0034】
通信モジュール13は通信部36を備えている。このため、ユニット10外部からの電文を電源ライン21に重畳させ各モジュール1に送信させることができる。すなわち、実施形態のモジュール1は、電力線搬送通信(PLC)を用いるものであり、演算結果を電源ライン21に重畳させることができる。つまり、電源ライン21を通信ラインとしても利用するものである。したがって、電源連結部23が信号の伝達経路として用いられる。このような構成のため、モジュール1内の構成が煩雑になることを抑制することができる。なお、ユニット10間同士の接続もモジュール1内の電源ライン21を接続ライン24で接続するのみで通信ラインを接続することが可能となる。
【0035】
ところで、実施形態の電気設備計測ユニット10は、モジュール1(センサモジュール11)が他のモジュール1(デバイスモジュール12)を制御することができる。モジュール1同士を直接連結する構成としているが、この連結により、信号の伝達経路を繋ぐことができる。したがって、モジュール1どうしの信号の移動にLANが介在する必要は無くなる。このため、LANにおける通信動作が緩慢になることを抑制することができる。
【0036】
このように、『電気及び信号が流れる電源ライン21と、通信機器9と接続する通信接続部34と、通信接続部34を介して外部に出力する信号を処理する処理部31を備えた通信モジュール13』と、『電気及び信号が流れる電源ライン21と、通信モジュール13を介して導入された信号を処理する処理部31を備えたモジュール1』とを接続ライン24で物理的に連結することで、電気的にも接続されたユニット10とすることが可能となる。このユニット10の通信モジュール13との間で信号を送受信するコンピュータ92設けて管理システム100とすることで、LANへの負担を抑制した管理システム100とすることができる。
【0037】
また、
図11に示した例においては、通信モジュール13は、電源部38を備えていない構成である。また、処理部31は、電源ライン21から取り出した駆動電源によって動かす構成である。その他は
図7に示す例と同様である。この例においては、通信モジュール13に電源を供給する電源部38を通信部36と分離可能な別筺体に配置している。より詳しくは、電源部38を備えた電源モジュール14の筐体を通信モジュール13の筐体に接続できる構成としている。このように構成すれば、通信モジュール13と電源部38を分けることができ、接続するモジュール1の種類や数などが変わることで、必要な電源容量が変わっても、電源モジュール14のみを交換すれば良く、通信モジュール13を交換しなくてよくなる。
【0038】
同様に、「電気が流れる電源ライン21と、電圧を調整可能な電源部38と、を備えた第一のモジュール1」と、「第一のモジュール1に備えられた電源部38で電圧調整された電気が流れる電源ライン21と、通信機器9と接続する通信接続部34と、通信接続部34を介して外部に出力する信号を処理する処理部31を備えた第二のモジュール1」、を備えたユニット10とすれば、第二のモジュール1に電源部38を設ける必要が無くなる。
【0039】
また、モジュール1は、エンドカバー4と連結することができる。
図12に示すエンドカバー4は、モジュール1の電源連結部23と接続される第一の端子41と、電源ライン21を介して第一の端子41と繋がる第二の端子42と、電源ライン21を介して第一の端子41と繋がる第三の端子43を備えている。このようなエンドカバー4をモジュール1に連結することで、エンドカバー4が連結されたモジュール1に対して、複数箇所から電気的に接続することが可能となる。したがって、
図12において集電箱に取り付けたモジュール1のように、複数の経路と繋ぐことが可能となり、配線を効率よく行うことが可能となる。
【0040】
なお、上記した実施形態のセンサモジュール11は、複数個のモジュール1を相互に連結したときに各モジュール1に電源ライン21にセンサからの計測結果を重畳させる処理部31を備えたものとし、電源ライン21が通信ラインを兼ねたものとして説明したが、
図13に示すように、電源ライン21と通信ライン25が各モジュール1内に別々に存在してもよい。
【0041】
すなわち、複数個のモジュール1を相互に連結して構成する電気設備計測ユニット10の各モジュール1のうちの少なくとも1つが、電気設備の情報を計測するセンサを接続する接続部32と、各モジュール1の連結方向に貫通する電源ライン21と、各モジュール1間で通信を行なう通信ライン25と、を備え、各モジュール1同士を物理的に連結することにより、電源ライン21及び通信ライン25の接続を同時に行なうこととしてもよい。
【0042】
この場合、処理部31は電源ライン21にセンサからの計測結果を重畳させる必要はなく、単に通信ライン25に計測結果を送信すればよい。この場合、電源ライン21は処理部31や接続部32を介してセンサ等に電源を供給するために使用される。その他の部分については上記の実施形態と同様であり、デバイスモジュール12、通信モジュール13についても、電源ライン21及び通信ライン25がそれぞれ設けられること以外は同様である。なお、電気設備計測ユニット10同士を接続する場合には、電源ライン21及び通信ライン25の双方を接続する必要がある。
【0043】
以上、いくつかの実施形態について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、PLCを用いない構成とすることも可能である。この場合、通信ラインと電源ラインが並走するように構成することも可能である。
【0044】
また、ユニットは、必要なモジュールを組み合わせて構成すれば良い。例えば、電源モジュールと、センサモジュールと、通信モジュールのみでユニットを組み上げることも可能である。また、二つのモジュールでユニットを組み上げても良いし、五つ以上のモジュールでユニットを組み上げても良い。また、センサモジュールを複数備えたものにするなど、各々の種類のモジュールを複数組み込んで一つのユニットにしても良い。
【0045】
また、物理的連結部は、どのような形態のものでもよい、物理的連結部と他の部品を利用することにより、各モジュールが連結するように構成しても良い。
【0046】
電源部に導入されるのは直流電源である必要は無く、交流電源を導入するように構成しても良い。